(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記滅菌物質供給部は、滅菌物質を収容する滅菌物質収容タンクと、前記滅菌物質収容タンクから供給された滅菌物質を前記作業室に送り出す滅菌物質送出部と、前記滅菌物質収容タンクと前記滅菌物質送出部とを連絡する滅菌物質供給路と、を備え、
前記滅菌物質供給路に微粒子捕集フィルタが設けられ、
前記排出路が前記滅菌物質送出部に連絡することを特徴とする請求項1または2に記載のアイソレータ。
前記滅菌物質供給部は、滅菌物質を収容する滅菌物質収容タンクと、前記滅菌物質収容タンクから供給された滅菌物質を前記作業室に送り出す滅菌物質送出部と、前記滅菌物質収容タンクと前記滅菌物質送出部とを連絡する滅菌物質供給路と、を備え、
前記滅菌物質供給路に微粒子捕集フィルタが設けられ、
前記フィルタ経由排出路又は前記フィルタ非経由排出路が前記滅菌物質送出部に連絡することを特徴とする請求項5または6に記載のアイソレータ。
気体供給口と気体排出口と開口部とを有する作業室と、前記作業室に滅菌物質を供給する滅菌物質供給部と、供給側微粒子捕集フィルタを介して前記気体供給口と前記滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ経由供給路と、供給側微粒子捕集フィルタを介さずに前記開口部と前記滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ非経由供給路と、排出側微粒子捕集フィルタを介して前記気体排出口と前記滅菌物質供給部または外気とを連絡する排出路と、前記フィルタ非経由供給路と前記フィルタ経由供給路とを切換える供給路切換部と、を備えたアイソレータの制御方法であって、
前記供給路切換部により前記フィルタ非経由供給路に切り換えて前記滅菌物質供給部から前記滅菌物質を前記作業室に供給することによって、前記作業室を滅菌する第1滅菌工程と、
前記供給路切換部により前記フィルタ経由供給路に切り換えて前記滅菌物質供給部から前記滅菌物質を前記作業室に供給することによって、前記作業室および前記供給側微粒子捕集フィルタを滅菌する第2滅菌工程と、
を備えることを特徴とするアイソレータの制御方法。
気体供給口と気体排出口と開口部とを有する作業室と、前記作業室に滅菌物質を供給する滅菌物質供給部と、供給側微粒子捕集フィルタを介して前記気体供給口と前記滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ経由供給路と、供給側微粒子捕集フィルタを介さずに前記開口部と前記滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ非経由供給路と、排出側微粒子捕集フィルタを介して前記気体排出口と前記滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ経由循環路と、前記フィルタ非経由供給路と前記フィルタ経由供給路とを切換える供給路切換部と、を備えたアイソレータの制御方法であって、
前記フィルタ非経由供給路を通して、前記作業室内の前記滅菌物質の濃度が所定濃度以上となるまで、前記滅菌物質供給部から前記滅菌物質を前記作業室に供給する前処理工程と、
前記前処理工程の後、前記滅菌物質を、前記滅菌物質供給部から前記フィルタ経由供給路、前記作業室、前記フィルタ経由循環路を経由して、前記滅菌物質供給部へと循環させる滅菌工程と、
を備えることを特徴とするアイソレータの制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような状況下において、本発明者らは以下の課題を認識するに至った。すなわち、上記特許文献1および2では、作業室に気体を供給する気体供給口とは独立した経路を通して、作業室に滅菌物質としての過酸化水素を供給している。そのため、滅菌処理において気体供給口や、気体供給口に設けられた微粒子捕集フィルタを滅菌できない。アイソレータでの作業および当該作業で処理された被処理物のさらなる信頼性の向上を図るためには滅菌処理の確実性が求められるところであり、そのためには、気体供給口や気体供給口に設けられた微粒子捕集フィルタの滅菌が必要となる。
【0007】
しかしながら、滅菌処理において気体供給口や微粒子捕集フィルタを滅菌する場合には、作業室の気体供給口に設けられた微粒子捕集フィルタを滅菌物質が通過することとなる。その際、滅菌物質が微粒子捕集フィルタに吸着してしまう。滅菌処理では、滅菌工程の終了後、作業室内の滅菌物質を除去する除去工程が実施されるが、滅菌物質が微粒子捕集フィルタに吸着した場合には、この吸着した滅菌物質を微粒子捕集フィルタから剥離することが困難であるため、除去工程に長い時間がかかり、結果として滅菌処理全体の時間が長くなってしまう。
【0008】
一方、除去工程において作業室内の気体に無害化処理を施し、作業室内の滅菌物質濃度が被処理物に悪影響を与えない濃度となるまでは、作業室での作業を開始することができない。そして、一般にアイソレータでは、作業室内における1つの作業が終了した後、次の作業に際して滅菌処理を実施している。そのため、アイソレータでの作業効率の向上を図るためには、滅菌処理に要する時間の短縮化が求められる。
【0009】
本発明は本発明者らによるこのような認識に基づいてなされたものであり、その目的は、アイソレータにおける滅菌処理の確実性を向上させるとともに、滅菌処理に要する時間をより短縮することができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、アイソレータである。このアイソレータは、気体供給口と気体排出口とを備え、生体由来材料を対象とする作業を行うための作業室と、気体供給口に設けられた供給側微粒子捕集フィルタと、作業室に滅菌物質を供給する滅菌物質供給部と、滅菌物質供給部と供給側微粒子捕集フィルタの気体流れ下流側とを連絡し、作業室に滅菌物質を送るためのフィルタ非経由供給路と、滅菌物質供給部と供給側微粒子捕集フィルタの気体流れ上流側とを連絡し、作業室に滅菌物質を送るためのフィルタ経由供給路と、作業室に供給された滅菌物質を滅菌物質供給部に戻す循環路と、フィルタ非経由供給路とフィルタ経由供給路とを切換える供給路切換部と、供給路切換部の切換を制御する制御部と、備え、制御部は、作業室を滅菌する第1モードではフィルタ非経由供給路に切り換え、作業室および供給側微粒子捕集フィルタを滅菌する第2モードではフィルタ経由供給路に切り換えるように供給路切換部を制御することを特徴とする。
【0011】
この態様によれば、アイソレータにおける滅菌処理の確実性を向上させるとともに、滅菌処理に要する時間をより短縮することができる。
【0012】
上記態様において、気体排出口に設けられた排出側微粒子捕集フィルタを備え、循環路は、排出側微粒子捕集フィルタの気体流れ下流側と滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ経由循環路、および排出側微粒子捕集フィルタの気体流れ上流側と滅菌物質供給部とを連絡するフィルタ非経由循環路の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0013】
また、上記態様において、循環路は、フィルタ経由循環路およびフィルタ非経由循環路を含み、フィルタ非経由循環路とフィルタ経由循環路とを切換える循環路切換部を備え、制御部は、第1モードではフィルタ非経由循環路に切り換え、第2モードではフィルタ経由循環路に切り換えてもよい。
【0014】
また、上記態様において、作業室内への気体の供給および排出を行うためのファンが循環路に設けられてもよい。
【0015】
また、上記態様において、滅菌物質供給部は、滅菌物質を収容する滅菌物質収容タンクと、滅菌物質収容タンクから供給された滅菌物質を作業室に送り出す滅菌物質送出部と、滅菌物質収容タンクと滅菌物質送出部とを連絡する滅菌物質供給路と、を備え、滅菌物質供給路に微粒子捕集フィルタが設けられ、循環路が滅菌物質送出部に連絡してもよい。
【0016】
また、上記態様において、循環路は、滅菌物質を除去する除去部を通る除去部経由循環路を含み、作業室に供給された滅菌物質が除去部経由循環路を通るように流路を切換える除去部経由循環路切換部を備え、制御部は、第1モードおよび第2モードにおける所定のタイミングで除去部経由循環路に切り換えるように除去部経由循環路切換部を制御してもよい。
【0017】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アイソレータにおける滅菌処理の確実性を向上させるとともに、滅菌処理に要する時間をより短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るアイソレータ100の構成を示す概略図である。
図1に示すように、実施形態1に係るアイソレータ100は、作業室10と、滅菌物質供給部30と、気体供給部50と、気体排出部60とを備える。
【0022】
作業室10は、細胞抽出、細胞培養などの生体由来材料を対象とする作業を行うための空間である。作業室10には前面扉12が開閉可能に設けられており、前面扉12の所定の位置には、作業室10内で作業を行うための作業用グローブ14が設けられている。作業者は前面扉12に設けられた図示しない開口部から作業用グローブ14に手を挿入して、作業用グローブ14を通じて作業室10内で作業を行うことができる。ここで、生体由来材料とは、細胞を含む生物そのもの、あるいは生物を構成する物質、または生物が生産する物質などを含む材料を意味する。
【0023】
また、作業室10は、気体供給口16と気体排出口18とを備える。気体供給口16には、供給側微粒子捕集フィルタとしての供給HEPAフィルタ20(HEPA:High Efficiency Particulate Air)が設けられ、気体排出口18には排出側微粒子捕集フィルタとしての排出HEPAフィルタ22が設けられている。さらに、作業室10には、供給HEPAフィルタ20の気体流れ下流側に設けられ、後述するフィルタ非経由供給路70が連結する開口部24が設けられている。
【0024】
滅菌物質供給部30は、作業室10内に滅菌物質を供給するためのものであり、アイソレータ100は、作業室10内に滅菌物質を供給することで作業室10内を無菌環境とすることができる。ここで、無菌環境とは、作業室で行われる作業に必要な物質以外の混入を回避するために限りなく無塵無菌に近い環境をいう。滅菌物質供給部30は、滅菌物質を収容する滅菌物質収容タンク32と、滅菌物質収容タンク32から供給された滅菌物質を作業室10に送り出す滅菌物質送出部34と、滅菌物質収容タンク32と滅菌物質送出部34とを連絡する滅菌物質供給路36と、を備える。また、滅菌物質供給路36には、微粒子捕集フィルタとしてのメンブレンフィルタ38が設けられている。また、滅菌物質供給路36の滅菌物質収容タンク32とメンブレンフィルタ38との間には弁40が設けられ、弁40の開閉によって滅菌物質収容タンク32から滅菌物質送出部34への滅菌物質の供給が制御される。
【0025】
本実施形態において滅菌物質は過酸化水素であり、滅菌物質送出部34はたとえば
図2に示す過酸化水素ミスト発生器200によって構成することができる。この場合、過酸化水素はミスト状態で作業室10内に送り出されるが、大部分はすみやかに気化し、作業室10内では過酸化水素ガスとして存在する。以下、過酸化水素ミストを含めて過酸化水素ガスという場合がある。
図2は、過酸化水素ミスト発生器200の概略断面図である。
【0026】
図2に示すように、過酸化水素ミスト発生器200は、制御基板202、過酸化水素水タンク204、水封キャップ206、過酸化水素水槽208、超音波発振子210、過酸化水素供給管212を有する。滅菌物質収容タンク32には過酸化水素水が収容されており、たとえば制御基板202によって弁40の開閉が制御されて、滅菌物質収容タンク32から過酸化水素水タンク204に過酸化水素水201が供給される。
【0027】
過酸化水素ミスト発生器200は、制御基板202による制御の下、過酸化水素水タンク204内の過酸化水素水201を水封キャップ206から過酸化水素水槽208に供給する。そして、過酸化水素水槽208内の過酸化水素水201に対して超音波発振子210から超音波振動を与えることにより、過酸化水素ミスト203を発生させる。発生させた過酸化水素ミスト203は、過酸化水素供給管212から作業室10に向けて送り出される。
【0028】
また、滅菌物質送出部34には後述する循環路80が連絡している。なお、滅菌物質送出部34は過酸化水素ミスト発生器200に限らず、たとえば滴下した過酸化水素水に空気を当てて気化させることで過酸化水素ガスを発生させる過酸化水素ガス発生器などであってもよい。また、滅菌物質は過酸化水素に限定されず、たとえばオゾンなどの活性酸素種を含む物質であってもよい。
【0029】
気体供給部50は、作業室10の気体流れ上流側に設けられている。気体供給部50は、吸気口52を備え、吸気口52から取り込まれたアイソレータ100外部の空気などの気体を作業室10内に供給する。気体供給部50から取り込まれた気体の作業室10内への供給は、弁56の開閉によって制御される。また、気体供給部50は、吸気口52の気体流れ下流側に、活性炭、白金触媒などからなる滅菌物質除去フィルタ54を備え、これにより作業室10から過酸化水素ガスが逆流し、アイソレータ100外部に過酸化水素ガスが流出するのを防いでいる。
【0030】
気体排出部60は、作業室10の気体流れ下流側に設けられている。気体排出部60は、排気口62を備え、作業室10内の気体は排気口62からアイソレータ100外部に排出される。作業室10内から排気口62を介したアイソレータ100外部への気体の排出は、弁66の開閉によって制御される。また、気体排出部60は、排気口62の気体流れ上流側に滅菌物質除去フィルタ54と同様の構成を持つ滅菌物質除去フィルタ64を備え、これにより作業室10からアイソレータ100外部への過酸化水素ガスの流出を防いでいる。
【0031】
アイソレータ100は、フィルタ非経由供給路70と、フィルタ経由供給路72とを備える。フィルタ非経由供給路70とフィルタ経由供給路72とは、供給路切換部としての三方弁90を介して滅菌物質供給部30の滅菌物質送出部34に連結している。そのため、アイソレータ100は、三方弁90によって、滅菌物質送出部34から送り出された過酸化水素ガスを作業室10に供給する経路を、フィルタ非経由供給路70とフィルタ経由供給路72とで切り換えることができる構成となっている。
【0032】
フィルタ非経由供給路70の三方弁90と反対側の端部は開口部24に連結しており、すなわち、フィルタ非経由供給路70は、滅菌物質供給部30と供給HEPAフィルタ20の気体流れ下流側とを連絡している。フィルタ経由供給路72の三方弁90と反対側の端部は三方弁92を介して気体供給口16に連結しており、すなわち、フィルタ経由供給路72は、滅菌物質供給部30と供給HEPAフィルタ20の気体流れ上流側とを連絡している。
【0033】
三方弁92には気体供給部50が連結しており、気体供給部50は、三方弁92を介して気体供給口16に連結している。そのため、アイソレータ100は、三方弁92によって、気体供給部50からアイソレータ100外部の気体を作業室10に供給するか、フィルタ経由供給路72を介して滅菌物質供給部30から過酸化水素ガスを作業室10に供給するかを切り換えることができる構成となっている。
【0034】
また、アイソレータ100は、作業室10に供給された過酸化水素ガスを滅菌物質供給部30に戻す循環路80を備える。本実施形態のアイソレータ100において、循環路80は、作業室10の気体排出口18と連結し、排出HEPAフィルタ22の気体流れ下流側と滅菌物質供給部30とを連絡するフィルタ経由循環路81を含む。また、循環路80には、作業室10内への気体の供給および排出を行うためのファン110が設けられている。また、循環路80におけるファン110の気体流れ下流側には三方弁94が設けられており、気体排出部60が三方弁94を介して循環路80に連結されている。そのため、アイソレータ100は、三方弁94によって、作業室10内の気体を滅菌物質供給部30に戻すか、気体排出部60から排出するかを切り換えることができる構成となっている。
【0035】
循環路80の作業室10と反対側の端部は、滅菌物質送出部34に連結しており、作業室10内に供給された過酸化水素ガスが、滅菌物質送出部34において新たに生成された過酸化水素ミスト203と混合されて、再び作業室10に供給される。
【0036】
循環路80は、過酸化水素ガスを除去する除去部としての滅菌物質除去フィルタ83を有する除去部経由循環路82を含む。滅菌物質除去フィルタ83は、滅菌物質除去フィルタ54と同様の構成を持つ。除去部経由循環路82は、除去部経由循環路切換部としての三方弁96を介して循環路80から枝分かれし、三方弁96と反対側の端部が循環路80における滅菌物質供給部30の気体流れ下流側に合流している。そのため、アイソレータ100は、三方弁96によって、作業室10内の気体を除去部経由循環路82を通すか否かを切り換えることができる。作業室10内の気体を除去部経由循環路82に通すことで、作業室10内に存在する過酸化水素ガスを除去することができる。
【0037】
アイソレータ100は、制御部300を備える。制御部300は、弁56、弁66、三方弁90、三方弁92、三方弁94、および三方弁96の開閉と、ファン110のON/OFFとを制御し、また滅菌物質供給部30の制御基板202に対して過酸化水素ミストの生成の開始および停止を指示する。
【0038】
続いて、上述の構成を備えたアイソレータ100における滅菌処理について説明する。まず、作業室10で作業が行われている状態では、制御部300は、三方弁92を気体供給部50側が開となるように制御し、三方弁94を気体排出部60側が開となるように制御する。これにより、アイソレータ100外部の気体、たとえば空気が気体供給部50から供給HEPAフィルタ20を介して作業室10に供給され、作業室10内の空気が排出HEPAフィルタ22を介して気体排出部60からアイソレータ100外部に排出されるという気体流路が形成される。
【0039】
アイソレータ100の滅菌処理は、前処理工程と、滅菌工程と、除去工程とを含む。前処理工程においては、まず、制御部300が気体供給部50からのアイソレータ100外部の空気の供給と気体排出部60からの作業室10内の空気の排出を停止するように三方弁92および三方弁94を制御する。続いて、作業室10内における過酸化水素ガスの濃度が作業室10内の滅菌に必要な濃度以上となるまで、過酸化水素ガスがフィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72を通して作業室10内に供給される。前処理工程において作業室10内における過酸化水素ガスが所定濃度以上となった後、滅菌工程が開始される。
【0040】
滅菌工程では、滅菌物質供給部30から送り出された過酸化水素ガスが、フィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72を経由して、作業室10、フィルタ経由循環路81、滅菌物質供給部30へと循環して滅菌が行われる。滅菌工程が終了した後、滅菌処理は除去工程に入る。
【0041】
除去工程では、滅菌物質供給部30からの過酸化水素ガスの供給が停止されるとともに、作業室10内の気体が除去部経由循環路82を通り、滅菌物質除去フィルタ83によって過酸化水素ガスが分解除去される。また、作業室10内の気体が除去部経由循環路82、フィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72、作業室10へと循環することで、滅菌物質除去フィルタ83における過酸化水素ガスの除去が繰り返される。作業室10内の過酸化水素ガス濃度が所定値以下となったら、制御部300は、三方弁92を気体供給部50側が開となるように制御し、三方弁94を気体排出部60側が開となるように制御する。
【0042】
これにより、アイソレータ100内には、吸気口52より取り込まれた空気が、供給HEPAフィルタ20を通過して作業室10内に至り、作業室10内から排出HEPAフィルタ22を通過して、排気口62から排出されるという気体流路が形成される。その結果、作業室10内の気体が空気に置換され、作業室10内の過酸化水素ガスは作業室10から除去される。また、除去工程では、アイソレータ100内の作業室10以外の領域、たとえばフィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72内に残存する過酸化水素ガスや供給HEPAフィルタ20に吸着している過酸化水素も除去される。
【0043】
除去工程の初期では過酸化水素ガス濃度が高いため、除去工程の開始とともに作業室10内の気体を気体排出部60からアイソレータ100外部に排出しようとすると、滅菌物質除去フィルタ64での過酸化水素ガスの分解に長い時間がかかってしまう。一方、本実施形態では、除去工程において作業室10内の気体が繰り返し除去部経由循環路82を通って過酸化水素ガスが分解されている。そのため、短時間に過酸化水素ガス濃度を低下させることができ、その結果、滅菌処理時間を短縮することができる。また、過酸化水素ガス濃度を十分に低減した後に作業室10内の気体が気体排出部60からアイソレータ100外部に排出されているため、過酸化水素ガスの外部への漏出を防止できる。
【0044】
ここで、前記「所定値」は、たとえば滅菌処理時間の短縮と過酸化水素ガスの漏出の防止を両立し得る値であり、その値は実験により求めることができる。また、作業室10内の過酸化水素ガス濃度は、作業室10内に赤外吸光式センサなどのセンサを設けることで求めることができる。あるいは作業室10内の過酸化水素ガス濃度が所定値になるまでの除去工程開始からの時間を算出し、当該時間の経過を監視することで作業室10内の過酸化水素ガス濃度が所定値となったことを検知するようにしてもよい。
【0045】
除去工程を経て、作業室10内の過酸化水素ガス濃度が所定濃度以下となった場合に、作業室10が使用可能な状態となる。ここで、作業室10が使用可能な状態となる過酸化水素ガスの濃度は、作業に用いられる生体由来材料に、作業上無視できない程度の影響を与えない濃度である。この濃度は、たとえばACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)によって規定されている1ppm(TWA:時間加重平均値)以下の濃度である。
【0046】
ここで、本実施形態のアイソレータ100は、滅菌処理モードとして、作業室10を滅菌する第1モードと、作業室10および供給HEPAフィルタ20を滅菌する第2モードとを備える。アイソレータ100は、ユーザが指示部310を介して第1モードと第2モードの選択が可能となっている。
【0047】
アイソレータ100は指示部310を備え、制御部300は、指示部310からのユーザの指示に応じて、第1モードではフィルタ非経由供給路70に切り換え、第2モードではフィルタ経由供給路72に切り換えるように三方弁90を制御する。制御部300は、図示しない記憶部を備え、記憶部には第1モードを実行するためのプログラムと第2モードを実行するためのプログラムが予め記憶されている。制御部300はこれらのプログラムを呼び出して実行することで、各モードに応じた滅菌処理を実行する。
【0048】
第1モードでは、滅菌物質供給部30の滅菌物質送出部34から送り出された過酸化水素ガスは、フィルタ非経由供給路70を通って、開口部24から作業室10内に供給される。そして、第1モードでは、過酸化水素ガスが滅菌物質供給部30からフィルタ非経由供給路70、作業室10、およびフィルタ経由循環路81を通って、滅菌物質供給部30へと循環する流通経路が形成される。このように、第1モードでは、過酸化水素ガスが供給HEPAフィルタ20を通過することなく作業室10内に供給される。
【0049】
一方、第2モードでは、滅菌物質供給部30の滅菌物質送出部34から送り出された過酸化水素ガスは、フィルタ経由供給路72を通って、供給HEPAフィルタ20を通過して作業室10内に供給される。そして、第2モードでは、過酸化水素ガスが滅菌物質供給部30からフィルタ経由供給路72、供給HEPAフィルタ20、作業室10、およびフィルタ経由循環路81を通って、滅菌物質供給部30へと循環する流通経路が形成される。このように、第2モードでは、過酸化水素ガスが供給HEPAフィルタ20を通過して作業室10内に供給される。
【0050】
供給HEPAフィルタ20に吸着した過酸化水素は、供給HEPAフィルタ20を通過する気体によって剥離するが、供給HEPAフィルタ20を通過する気体の流速が小さい場合には剥離することが困難である。そのため、供給HEPAフィルタ20に吸着した過酸化水素は比較的長い時間をかけて徐々に剥離し、作業室10内に放出される。その結果、作業室10内の過酸化水素ガス濃度が、作業室10を使用可能な濃度まで下がるのに時間がかかってしまう。したがって、上述の第2モードの所要時間は、第1モードの所要時間よりも長くなる。いいかえれば、第1モードは、第2モードよりも所要時間が短く設定できる。
【0051】
そこで、たとえば、作業室内における1つの作業が終了した後、次の作業に際して実施する滅菌処理のモードを第1モードとすることで、滅菌処理時間を短くし、早期に次の作業を開始できるようになる。一方、たとえば1日の作業が終了し、次の作業が翌日に実施されるような場合、あるいは定期的なメンテナンスを実施する場合には、第2モードの滅菌処理を実施することで、供給HEPAフィルタ20を含むより広い領域を滅菌処理し、アイソレータ100での滅菌処理の確実性を向上させることができる。
【0052】
なお、第1モードにおいて、過酸化水素ガスが排出HEPAフィルタ22を通過するため、排出HEPAフィルタ22には過酸化水素が吸着する。そして、排出HEPAフィルタ22に吸着した過酸化水素の剥離には、供給HEPAフィルタ20の場合と同様に比較的長時間を要する。しかしながら、排出HEPAフィルタ22から剥離した過酸化水素は、作業中に生じている作業室10から気体排出部60に向かう空気の流れに乗って気体排出部60側に送り出され、作業室10内に逆流する可能性は低い。そのため、第1モードでは、排出HEPAフィルタ22に吸着した過酸化水素の存在にかかわらず、滅菌処理時間を第2モードよりも短くすることができる。
【0053】
以上説明した構成による作用効果を総括すると、実施形態1のアイソレータ100は、フィルタ非経由供給路70とフィルタ経由供給路72とを備える。また、制御部300が作業室10を滅菌する第1モードではフィルタ非経由供給路70に切り換え、作業室10および供給HEPAフィルタ20を滅菌する第2モードではフィルタ経由供給路72に切り換えている。このような構成において、状況に応じて滅菌処理のモードを選択することで、アイソレータ100における滅菌処理の確実性を向上させるとともに、滅菌処理に要する時間をより短縮することができる。また、アイソレータ100における滅菌処理の確実性が向上することで、アイソレータ100で処理した被処理物の信頼性が向上する。また、滅菌処理に要する時間の短縮によりアイソレータ100の使用効率が向上し、被処理物の生成量を増大させることができる。
【0054】
また、第1モードでは供給HEPAフィルタ20を経由せずに過酸化水素ガスが作業室10に供給されるため、供給HEPAフィルタ20に吸着することによる過酸化水素ガスの無駄な消費を抑えることができる。また、作業室10に供給される過酸化水素ガスの濃度ムラを減らすことができる。
【0055】
また、アイソレータ100は、循環路80にファン110を有し、ファン110によって作業室10内への気体の供給および排出を行っている。ファン110を循環路80に設けたことで、気体供給部50からの気体の供給および気体排出部60からの気体の排出だけでなく、フィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72を介した過酸化水素ガスの循環をも実施することができる。そのため、必要なファンの数が減り、アイソレータ100の部品点数を削減できる。
【0056】
さらに、滅菌物質供給部30の滅菌物質供給路36にメンブレンフィルタ38を設けている。そのため、滅菌物質収容タンク32側からの汚染物質の混入を回避でき、作業室10内の無菌環境を確保できる。また、循環路80に、滅菌物質除去フィルタ83を有する除去部経由循環路82を設け、滅菌処理における除去工程では、作業室10内の気体を除去部経由循環路82に繰り返し通して過酸化水素ガスを分解している。そのため、短時間に過酸化水素ガス濃度を低下させることができ、その結果、滅菌処理時間を短縮することができる。また、過酸化水素ガスの外部への漏出を防止でき、アイソレータ100の安全性が向上する。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2では、循環路80がフィルタ非経由循環路を含む点が実施形態1と異なる。それ以外のアイソレータ100および滅菌物質送出部34の構成などについては実施形態1と同様であるため、同一の図面を用いるとともに説明は適宜省略する。
【0058】
図3は、実施形態2に係るアイソレータ100の構成を示す概略図である。
図3に示すように、実施形態2に係るアイソレータ100は、作業室10と、滅菌物質供給部30と、気体供給部50と、気体排出部60とを備える。作業室10は前面扉12と、作業用グローブ14と、気体供給口16と、気体排出口18とを備え、気体供給口16には供給HEPAフィルタ20が、気体排出口18には排出HEPAフィルタ22が設けられている。さらに、作業室10には、フィルタ非経由供給路70が連結する開口部24と、排出HEPAフィルタ22の気体流れ上流側に設けられ、後述するフィルタ非経由循環路84が連結する開口部26が設けられている。
【0059】
滅菌物質供給部30は、滅菌物質収容タンク32と、滅菌物質送出部34と、滅菌物質供給路36とを備える。滅菌物質供給路36には、メンブレンフィルタ38と弁40とが設けられ、弁40の開閉によって滅菌物質収容タンク32から滅菌物質送出部34への滅菌物質の供給が制御される。本実施形態において滅菌物質は過酸化水素である。また、滅菌物質送出部34には循環路80が連絡している。
【0060】
気体供給部50は、吸気口52と、滅菌物質除去フィルタ54と、弁56とを備える。気体供給部50から作業室10内への気体の供給は、弁56の開閉によって制御される。気体排出部60は、排気口62と、滅菌物質除去フィルタ64と、弁66とを備える。作業室10内からアイソレータ100外部への気体の排出は、弁66の開閉によって制御される。
【0061】
アイソレータ100は、フィルタ非経由供給路70と、フィルタ経由供給路72とを備え、これらは三方弁90を介して滅菌物質送出部34に連結している。フィルタ非経由供給路70の他端は開口部24に連結し、フィルタ経由供給路72の他端は、三方弁92を介して気体供給口16に連結している。また、気体供給部50は、三方弁92を介して気体供給口16に連結している。
【0062】
また、アイソレータ100は、循環路80を備える。本実施形態では循環路80は、フィルタ経由循環路81と、除去部経由循環路82と、フィルタ非経由循環路84とを含んでいる。フィルタ経由循環路81は作業室10の気体排出口18と連結しており、排出HEPAフィルタ22の気体流れ下流側と滅菌物質供給部30とを連絡している。一方、フィルタ非経由循環路84は、開口部26に連結しており、排出HEPAフィルタ22の気体流れ上流側と滅菌物質供給部30とを連絡している。
【0063】
フィルタ経由循環路81の気体排出口18と反対側の端部と、フィルタ非経由循環路84の開口部26と反対側の端部とは、循環路切換部としての三方弁98に連結している。そのため、アイソレータ100は、三方弁98によって作業室10内の気体をフィルタ経由循環路81を経由して循環路80に送るか、フィルタ非経由循環路84を経由して循環路80に送るかを切り換えることができる構成となっている。
【0064】
循環路80には、ファン110が設けられている。具体的には、循環路80における三方弁98の気体流れ下流側に設けられている。また、循環路80におけるファン110の気体流れ下流側には三方弁94が設けられ、気体排出部60が三方弁94を介して循環路80に連結されている。循環路80の作業室10と反対側の端部は、滅菌物質送出部34に連結している。除去部経由循環路82は、滅菌物質除去フィルタ83を有し、三方弁96を介して循環路80から枝分かれし、他端が循環路80に合流している。
【0065】
アイソレータ100は、制御部300を備え、弁56、弁66、三方弁90、三方弁92、三方弁94、三方弁96、および三方弁98の開閉と、ファン110のON/OFFとを制御し、また滅菌物質供給部30の制御基板202に対して過酸化水素ミストの生成の開始および停止を指示する。
【0066】
続いて、上述の構成を備えたアイソレータ100における滅菌処理について説明する。作業室10で作業が行われている状態では、制御部300は実施形態1と同様に制御し、空気が気体供給部50から作業室10、気体排出部60に流れる気体流路を形成する。
【0067】
滅菌処理の前処理工程においては、制御部300は、気体供給部50からの空気の供給と気体排出部60からの空気の排出を停止させ、過酸化水素ガスをフィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72を通して作業室10内に供給する。作業室10内の過酸化水素ガスが所定濃度以上となった後、滅菌工程が開始される。滅菌工程では、滅菌物質供給部30から送り出された過酸化水素ガスが、フィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72を経由して、作業室10、フィルタ経由循環路81あるいはフィルタ非経由循環路84、滅菌物質供給部30へと循環して滅菌が行われる。滅菌工程が終了した後、滅菌処理は除去工程に入る。
【0068】
除去工程では、滅菌物質供給部30からの過酸化水素ガスの供給が停止され、作業室10内の気体が除去部経由循環路82を通って過酸化水素ガスが分解除去される。また、作業室10内の気体がフィルタ経由循環路81あるいはフィルタ非経由循環路84、除去部経由循環路82、フィルタ非経由供給路70あるいはフィルタ経由供給路72、作業室10へと循環する。作業室10内の過酸化水素ガス濃度が所定値以下となったら、制御部300は、三方弁92を気体供給部50側が開となるように制御し、三方弁94を気体排出部60側が開となるように制御する。これにより、作業室10内の気体が外部の空気に置換される。
【0069】
また、除去工程では、アイソレータ100内の作業室10以外の領域、たとえばフィルタ非経由供給路70もしくはフィルタ経由供給路72内、またはフィルタ経由循環路81もしくはフィルタ非経由循環路84内に残存する過酸化水素ガスや供給HEPAフィルタ20および排出HEPAフィルタ22に吸着している過酸化水素も除去される。除去工程を経て、作業室10内の過酸化水素ガス濃度が所定濃度以下となった場合に、作業室10が使用可能な状態となる。
【0070】
ここで、本実施形態のアイソレータ100は、滅菌処理モードとして、作業室10を滅菌する第1モードと、作業室10および供給HEPAフィルタ20を滅菌する第2モードとを備える。制御部300は、第1モードではフィルタ非経由供給路70に切り換え、第2モードではフィルタ経由供給路72に切り換えるように三方弁90を制御する。また、制御部300は、第1モードではフィルタ非経由循環路84に切り換え、第2モードではフィルタ経由循環路81に切り換えるように三方弁98を制御する。
【0071】
したがって、第1モードでは、過酸化水素ガスは、フィルタ非経由供給路70を通って開口部24から作業室10内に供給され、開口部26からフィルタ非経由循環路84を通る。よって、第1モードでは、過酸化水素ガスが供給HEPAフィルタ20および排出HEPAフィルタ22を通過しない。一方、第2モードでは、過酸化水素ガスは、フィルタ経由供給路72を通って、供給HEPAフィルタ20を通過して作業室10内に供給され、排出HEPAフィルタ22を通過してフィルタ経由循環路81を通る。したがって、第2モードでは、過酸化水素ガスが供給HEPAフィルタ20と排出HEPAフィルタ22とを通過する。
【0072】
供給HEPAフィルタ20もしくは排出HEPAフィルタ22に吸着した過酸化水素は、剥離に時間がかかるため、第2モードの所要時間は、第1モードの所要時間よりも長くなる。そこで、たとえば、作業と作業の合間に行う滅菌処理のモードを第1モードで実施することで、滅菌処理時間を短くし、早期に次の作業を開始できるようになる。一方、たとえば定期的なメンテナンスなどを実施する場合には、第2モードの滅菌処理を実施することで、アイソレータ100での滅菌処理の確実性を向上させることができる。
【0073】
以上説明した構成による作用効果を総括すると、実施形態2のアイソレータ100は、実施形態1の構成に加えて、さらにフィルタ非経由循環路84を備える。そして、第1モードでフィルタ非経由循環路84に過酸化水素ガスを通すことで、過酸化水素ガスが供給HEPAフィルタ20だけでなく排出HEPAフィルタ22をも通過しないようにしている。そのため、第1モードで滅菌後の作業室10内で作業を実施している際に、排出HEPAフィルタ22から作業室10への気体の流れが生じた場合であっても、排出HEPAフィルタ22には過酸化水素が吸着していないため、作業室10内に過酸化水素が混入することがない。したがって、実施形態2のアイソレータ100によれば、実施形態1の効果に加えて、アイソレータ100で処理した被処理物の信頼性がさらに向上するという効果が得られる。
【0074】
また、過酸化水素ガスを排出HEPAフィルタ22に通さないため、排出HEPAフィルタ22への吸着による過酸化水素の消費を抑えることができる。そのため、滅菌処理に要する過酸化水素の量を低減することができ、その結果ランニングコストを低減できるという効果が得られる。
【0075】
また、アイソレータ100は、循環路80における三方弁98の下流側にファン110を設けている。そのため、ファン110によって、気体供給部50からの気体の供給および気体排出部60からの気体の排出だけでなく、フィルタ非経由供給路70もしくはフィルタ経由供給路72、およびフィルタ経由循環路81もしくはフィルタ非経由循環路84を介した過酸化水素ガスの循環をも実施することができる。そのため、必要なファンの数が減り、アイソレータ100の部品点数を削減できる。
【0076】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0077】
たとえば、上述の各実施形態では、気体供給部50および気体排出部60を備えた構成であるが、
図4に示すように、気体供給部50および気体排出部60を備えない構成であってもよい。
図4は、変形例に係るアイソレータ100の構成を示す概略図である。
図4に示すアイソレータ100は、気体供給部50および三方弁92と、気体排出部60および三方弁94とを有しない点を除いて、実施形態2に係るアイソレータ100と同様の構成である。
【0078】
また、循環路80は、フィルタ経由循環路81およびフィルタ非経由循環路84の少なくとも1つを含んでいればよく、したがって、たとえば循環路80はフィルタ非経由循環路84のみを含む構成であってもよい。