(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757992
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】合成糸を引き出しかつ巻き取る装置
(51)【国際特許分類】
D01D 7/00 20060101AFI20150716BHJP
B65H 67/052 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
D01D7/00 Z
B65H67/052
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-504174(P2013-504174)
(86)(22)【出願日】2011年1月20日
(65)【公表番号】特表2013-527884(P2013-527884A)
(43)【公表日】2013年7月4日
(86)【国際出願番号】EP2011050720
(87)【国際公開番号】WO2011128121
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2013年9月19日
(31)【優先権主張番号】102010015215.3
(32)【優先日】2010年4月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ヴァイゲント
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン アドラー
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー シェアマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュタインハウス
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−534825(JP,A)
【文献】
特表2009−536270(JP,A)
【文献】
特表2007−522056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 7/00
B65H 67/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紡糸部(1.1,1.2,1.3)を備え、紡糸部(1.1)毎に、駆動される複数のゴデット(11)を備える1つの引出し装置(10.1)と、複数の巻取り部(14.1,14.2)を備える1つの巻取り装置(13.1)とが設けられており、隣接配置された引出し装置(10.1,10.2,10.3)及び隣接配置された巻取り装置(13.1,13.2,13.3)が互いに無関係に独立して駆動可能である、溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を引き出しかつ巻き取る装置であって、
紡糸部(1.1,1.2,1.3)毎に、別個の供給ステーション(21.1,21.2,21.3)が設けられており、前記紡糸部(1.1)の前記引出し装置(10.1)と前記巻取り装置(13.1)とは、電気的なエネルギ供給のために、複数の供給ライン(23.1,23.2)によって並列的に、前記供給ステーション(21.1)に接続されており、前記引出し装置(10.1)と前記巻取り装置(13.1)とは、前記紡糸部(1.1)内において互いに無関係に独立して交換可能に形成されており、前記供給ライン(23.1,23.2)は、前記供給ステーション(21.1)に解離可能に接続されていることを特徴とする、合成糸を引き出しかつ巻き取る装置。
【請求項2】
隣接配置された紡糸部の前記供給ステーション(21.1,21.2,21.3)と前記引出し装置(10.1,10.2,10.3)とは、互いに並んで1つのフレームプラットフォーム(19)に配置されていて、該フレームプラットフォーム(19)は、前記巻取り装置(13.1,13.2,13.3)の上において延在し、かつ該巻取り装置(13.1,13.2,13.3)の間に配置された複数の支持壁(20)、好ましくは遮音壁によって支持される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記紡糸部(1.1,1.2,1.3)における前記引出し装置(10.1,10.2,10.3)は、それぞれ1つの交換可能な構成ユニット(37)を形成していて、該構成ユニット(37)は前記フレームプラットフォーム(19)に解離可能に保持されている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記引出し装置(10.1)の前記構成ユニット(37)は、運搬手段が係合する複数の運搬用開口(38)を有する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記供給ステーション(21.1)は電子制御装置(24)を有し、該電子制御装置(24)は、解離可能な制御ライン(26.1,26.2)によって前記引出し装置(10.1)及び/又は前記巻取り装置(13.1)に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記供給ステーション(21.1)は制御分配器(24)を有し、該制御分配器(24)は、解離可能な複数の制御ライン(26.1,26.2)を介して前記引出し装置(10.1)及び/又は前記巻取り装置(13.1)に接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記巻取り装置(13.1)は紡糸部(1.1)毎に、鏡像的に互いに並んで配置された2つの巻取り機(15.1,15.2)を有し、該巻取り機(15.1,15.2)は互いに無関係に独立して、解離可能な供給ライン(23.2)を介して前記供給ステーション(21.1)に接続されていて、かつ前記紡糸部(1.1)に交換可能に保持されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記巻取り機(15.1,15.2)はそれぞれ1つの制御兼駆動用電子制御ユニット(16.1,16.2)を有し、該制御兼駆動用電子制御ユニット(16.1,16.2)は、前記引出し装置(10.1)の駆動装置(12)用の複数の制御装置を内蔵し、解離可能な制御ライン(26.2)を介して前記供給ステーション(21.1)の前記制御分配器(24)と接続されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記供給ステーション(21.1,21.2,21.3)には紡糸部毎に別のステーション(34,35)が配設されていて、該別のステーション(34,35)に、前記引出し装置(10.1)及び/又は前記巻取り装置(13.1)の圧力空気供給装置及び/又は処理液供給装置が接続可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を引き出しかつ巻き取る装置、すなわち、複数の紡糸部を備え、紡糸部毎に、駆動される複数のゴデットを備える1つの引出し装置と、複数の巻取り部を備える1つの巻取り装置とが設けられており、隣接配置された引出し装置及び隣接配置された巻取り装置が互いに無関係に独立して駆動可能である、溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を引き出しかつ巻き取る装置に関する。
【0002】
溶融紡糸プロセスにおける合成糸の製造時には、糸をグループとして同時に押し出し、引き出し、延伸し、かつパッケージに巻き取ることが普通である。グループ毎に同時に製造される糸の数は、パッケージへの同期的な巻取りを可能にする、巻取り装置において準備された巻取り部によって決定される。従って合成糸の製造は、複数の紡糸部を用いて行われ、この場合1つの紡糸部は1グループの糸を押し出す。それに応じて、引き出しかつ巻き取る装置は、複数の引出し装置と複数の巻取り装置とを有し、これらの引出し装置及び巻取り装置は、機械長辺側に沿って並んで配置されている。合成糸を引き出しかつ巻き取るこのような装置は、例えばWO2005/052224A1に基づいて公知である。
【0003】
公知の装置では紡糸部毎に、駆動される複数のゴデットを備える引出し装置と、複数の巻取り部を備える巻取り装置とが設けられている。引出し装置は通常、巻取り装置の上方において機械フレームに不動に保持されている。給電は、中央の供給ステーションから行われ、この供給ステーションは、配線を介して、引出し装置及び巻取り装置の駆動装置と接続されている。手間がかかる高価な配線の他に、特に新たな設置時には、紡糸部の運転開始に問題のあることが判明している。それというのは、引出し装置及び巻取り装置はプロセス開始時に初めて運転され、その際に引出し装置と巻取り装置との共働状態を検査することができるからである。これによって、紡糸部における引出し装置及び巻取り装置の運転開始には時間がかかることになる。
【0004】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた、溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を引き出しかつ巻き取る装置を改良して、紡糸部毎に使用される引出し装置及び巻取り装置を、可能な限り迅速にかつ確実に運転できるようにすることである。
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、紡糸部毎に、別個の供給ステーションが設けられており、紡糸部の引出し装置と巻取り装置とは、電気的なエネルギ供給のために、複数の供給ラインによって並列的に、前記供給ステーションに接続されている。
【0006】
本発明の別の有利な態様は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、紡糸部に配置された引出し装置及び巻取り装置が、設備全体とは無関係に独立して運転することができる自立したユニットを形成していることによって、傑出している。紡糸部毎に設けられた引出し装置及び巻取り装置は、最初の運転開始前に駆動装置及びアクチュエータを検査することができる、自立した機械ユニットを形成している。
【0008】
機能障害や保守期間の際にプロセス中断を短くできるようにするために、本発明の特に好適な態様では、引出し装置と巻取り装置とは、紡糸部内において互いに無関係に独立して交換可能に形成されており、供給ラインは、供給ステーションに解離可能に接続されている。例えば供給ラインをクイックロックによって供給ステーションに接続すると、引出し装置又は巻取り装置の迅速な交換を行うことができ、好適である。これによって個々のゴデットを交換するために、引出し装置において行われる取外し及び取付け作業は、修理工場に移すことができる。紡糸部における1つの引出し装置の完全な交換は、ほんの数分で行われ、長時間にわたるプロセスの中断は回避される。
【0009】
隣接配置された紡糸部の引出し装置及び巻取り装置の特にコンパクトな配置形態を可能にするために、本発明の別の態様では、隣接配置された紡糸部の供給ステーションと引出し装置とは、互いに並んで1つのフレームプラットフォームに配置されていて、該フレームプラットフォームは、巻取り装置の上において延在し、かつ該巻取り装置の間に配置された複数の支持壁によって支持される。これらの支持壁は、好ましくは遮音壁として形成されている。このように構成されていると、一方では、巻取り装置を取り囲むことができ、これにより高められた騒音減衰効果が得られ、かつ他方では引出し装置をフレームプラットフォームに確実に保持することができる。
【0010】
引出し装置はこの場合紡糸部内において交換可能な構成ユニットを形成していて、該構成ユニットはフレームプラットフォームに解離可能に保持されている。
【0011】
そのために本発明の好適な態様では、引出し装置の前記構成ユニットは、運搬手段が係合する複数の運搬用開口を有する。このように構成されていると、引出し装置の交換を、僅かな数の補助手段を用いて、迅速かつ確実に実施することができる。
【0012】
電気的なエネルギ供給の他に、引出し装置と巻取り装置との間における供給ステーションを介した個々の制御機能を交換できるようにすることも可能である。例えば本発明の別の態様では、供給ステーションは電子制御装置を有し、該電子制御装置は、解離可能な制御ラインによって引出し装置及び/又は巻取り装置に接続されている。この場合供給ステーションにおける電子制御装置を、ゴデット周壁を加熱する加熱装置を制御するために利用することが可能である。
【0013】
本発明の別の好適な態様では、供給ステーションは制御分配器を有し、該制御分配器は、解離可能な複数の制御ラインを介して引出し装置及び/又は巻取り装置に接続されている。このように構成されていると、引出し装置と巻取り装置との間における制御機能を、供給ステーションの制御分配器を介して交換することができる。これにより紡糸部内において、引出し装置及び巻取り装置のための制御命令を、1つの共通の操作ステーションから行うことが可能になる。
【0014】
紡糸部毎に、可能な限り多数の糸を同時に製造できるようにするために、本発明の別の好適な態様では、巻取り装置は紡糸部毎に、鏡像的に互いに並んで配置された2つの巻取り機によって形成され、該巻取り機は互いに無関係に独立して、解離可能な供給ラインを介して供給ステーションに接続されていて、かつ紡糸部に交換可能に保持されている。このように構成されていると、同時に多くの糸を、好ましくは16、24又は32本の糸を紡糸部毎に製造することができる。
【0015】
巻取り機はそれぞれ1つの制御兼駆動用電子制御ユニットを有し、該制御兼駆動用電子制御ユニットは、好ましくは引出し装置の駆動装置用の複数の制御装置を内蔵し、解離可能な制御ラインを介して供給ステーションの制御分配器と接続されている。このように構成されていると、ゴデット駆動装置のために汎用の、制御装置のカプセル化を、紡糸部に組み入れることができ、好適である。
【0016】
引出し装置の使用可能性を高めるために、本発明の別の好適な態様では、供給ステーションには紡糸部毎に別のステーションが配設されていて、該別のステーションに、引出し装置及び/又は巻取り装置の圧力空気供給装置及び/又は処理液供給装置が接続可能である。このように構成されていると、例えば交絡ノズルを引出し装置内に組み込むことができ、これらの交絡ノズルへの圧力空気供給は、紡糸部内における圧力空気ステーションを介して行われる。引出し装置はこれにより、交絡ノズルや処理装置のようなその他のユニットによって補われることができる。
【0017】
次に図面を参照しながら、本発明による装置の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による装置の1実施形態を示す横断面図である。
【
図3】
図1に示した実施形態の1つの紡糸部を示す側面図である。
【
図4】
図3に示した実施形態を上から見た平面図である。
【0019】
図1及び
図2には、溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を引き出しかつ巻き取るための本発明による装置の1実施形態が、異なった方向から見て示されている。
図1には、実施形態が横断面図で示され、
図2には側面図で示されている。参照図面に対して特に指定がない場合には、以下の記載は両方の図に対する記載である。
【0020】
図2から分かるように、溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を製造するために、多数の紡糸部が機械長辺側に並んで配置されている。各紡糸部において、糸群が熱可塑性材料から互いに平行に並んだ状態で、押し出され、冷却され、かつ本発明による装置によって引き出されて、パッケージに巻き取られる。
図1及び
図2にはそのために、紡糸部において糸を押し出すために必要なプロセスユニットが略示されており、この場合図面を見易くするために
図2には単に紡糸部1.1,1.2,1.3だけが並んで示されている。各紡糸部1.1〜1.3の構造は同じなので、糸群を押し出すために必要なプロセスユニットは、1つの紡糸部1.1についてだけ、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0021】
紡糸部1.1は紡糸ビーム2を有し、この紡糸ビーム4は下側に複数の紡糸ノズル4を保持している。紡糸ノズル4は図示されていない分配管路を介して紡糸ポンプ3に接続されており、この紡糸ポンプ3は、図示されていない溶融物源、例えば押出し機に接続されている。多重ポンプとして形成された紡糸ポンプ3を介して、各紡糸ノズル4には溶融物流が圧力下で供給される。紡糸ノズル4は穿孔されたノズルプレートを用いて多数のフィラメントストランドを生ぜしめ、これらのフィラメントストランドは冷却後に、各紡糸ノズル4において単数又は複数の糸にまとめられる。
【0022】
押し出されたばかりのフィラメントストランドを冷却するために、紡糸部1.1には紡糸ビームの下に、冷却装置5が設けられており、この冷却装置5は冷却ダクト6を有する。紡糸部1.1において冷却ダクト6には、降下シュート7が接続されており、これにより、紡糸ノズルユニットからの溶融紡糸後に糸群8をまとめることができ、その結果糸群8を、僅かな処理間隔をおいて互いに並べて一緒に案内することができる。そのために降下シュート7の出口には案内手段9が配設されている。この案内手段9は好適には、糸を引き出しかつ巻き取るための本発明による装置に組み込まれている。
【0023】
紡糸されたばかりのマルチフィラメント糸を押し出しかつ準備するために紡糸部において保持されたプロセスユニットは、紡糸装置の上の階における機械フレーム(図示せず)に保持される。
【0024】
紡糸ノズル4からの糸群8を冷却後に引き出し、延伸し、かつパッケージに巻き取るために、本発明による装置が使用される。
図1及び
図2に示された実施形態では、紡糸部1.1〜1.3毎に1つの引出し装置と巻取り装置とが設けられている。例えば引出し装置10.1及び巻取り装置13.1は紡糸部1.1に配設されている。
図2から分かるように、引出し装置10.2及び巻取り装置13.2は紡糸部1.2に配設され、かつ引出し装置10.3及び巻取り装置13.3は紡糸部1.3に配設されている。引出し装置10.1〜10.3及び巻取り装置13.1〜13.3は同一に形成されているので、これらの装置の構成について、以下においては紡糸部1.1を参照して記載する。
【0025】
以下においては
図1と共に
図3及び
図4も参照する。
図3には、1つの紡糸部のための本発明による装置の実施形態が側面図で示され、
図4には、同様に1つの紡糸部のための本発明による装置の実施形態が平面図で示されている。従って以下の記載はすべての図を参照するものである。
【0026】
紡糸部1.1〜1.3毎に、1つのフレームプラットフォーム19に引出し装置10.1と供給ステーション21.1とが配置されている。フレームプラットフォーム19は、巻取り装置13.1,13.2,13.3の上に延在していて、巻取り装置13.1,13.2,13.3の間に配置された各1つの支持壁20を介して支持されている。これらの支持壁20は好適には、巻取り装置13.1,13.2,13.3の騒音を減衰するために働く遮音壁によって形成されている。
【0027】
フレームプラットフォーム19の上側には、機械長辺側を形成する前側40に、引出し装置10.1,10.2,10.3毎にそれぞれ1つのフレーム受容部39が設けられている。引出し装置10.1〜10.3はそれぞれ、フレームプラットフォーム19のフレーム受容部39に交換可能に保持された運搬可能な構成ユニット37として形成されている。
【0028】
図3及び
図4から分かるように、構成ユニット37は、互いに間隔をおいて配置された2つの運搬用開口38を有しており、これらの運搬用開口38内には、運搬手段の構成部材が導入可能である。例えば図示の実施形態では構成ユニット37は、交換のためにフォークリフトによって運搬することができる。
【0029】
図1、
図3及び
図4から分かるように、紡糸部1.1における引出し装置10.1は駆動される複数のゴデット11を有し、これらのゴデット11には複数のゴデット駆動装置12が配設されている。ゴデット駆動装置12への給電は、機械の背側41に配置された供給ステーション21.1を介して行われる。紡糸部1.1における供給ステーション21.1は、複数の供給ライン23.1,23.2が解離可能に接続されている複数の供給接続部22.1,22.2を有する。例えば引出し装置10.1のゴデット駆動装置12は、供給ライン23.1を介して供給ステーション21.1に接続されている。供給ライン23.1は接続分配器36を介してゴデット駆動装置12に接続されている。
【0030】
巻取り装置13.1への給電は、同様に解離可能に供給ステーション21.1の供給接続部22.2に接続された供給ライン23.2を介して行われる。巻取り装置13.1は図示の実施形態では、2つの巻取り機15.1,15.2によって形成されている。巻取り機15.1,15.2は互いに鏡像のように配置されていて、それぞれ複数の巻取り部14.1,14.2を、糸群8をパッケージ42に巻き取るために有する。各巻取り機15.1,15.2は、駆動兼電子制御装置を備えるそれぞれ1つの電子ユニット16.1,16.2を有する。電子ユニット16.1及び電子ユニット16.2は別体の供給ライン23.2を介して供給ステーション21.1に接続されている。各巻取り機15.1,15.2は、スピンドル駆動装置18を介して駆動される複数の巻取りスピンドル17を有する。スピンドル駆動装置18は電子ユニット16.1又は16.2に接続されている。巻取り機15.1,15.2は電子ユニット16.1,16.2と共に、2つの別体のユニットを形成しており、両別体のユニットは、供給ステーション21.1に解離可能に結合されていて、互いに無関係に独立して交換することができる。
【0031】
電気エネルギ供給の他に、データ信号及び制御信号の交換を可能にするために、供給ステーション21.1,21.2は、複数の制御ライン接続部25.1を備える制御分配器24を有する。例えば電子ユニット16.1,16.2は、別体の制御ライン26.1,26.2を介して制御ライン接続部25.2に解離可能に接続されている。引出し装置10.1は好ましくは制御モジュールを具備し、この制御モジュールは同様に制御ライン26.1を介して制御ライン接続部25.1に解離可能に接続されている。
【0032】
さらに引出し装置10.1には操作ステーション27が設けられており、この操作ステーション27を介して引出し装置及び巻取り装置の駆動装置及びアクチュエータが操作される。操作ステーション27は同様に制御ライン26.1を介して、1つの制御ライン接続部25.1に解離可能に接続されている。
【0033】
図示の実施形態では好ましくは、引出し装置10.1の制御装置を巻取り装置13.1の電子ユニット16.1,16.2内に組み込むことができる。例えば一般的には、引出し装置10.1におけるゴデット11の周囲は、糸における揮発性の成分によって、高められたカプセル化が必要とされるので、ゴデット駆動装置12の変換器は中央の電気制御盤キャビネット内に組み込まれている。従って巻取り装置13.1の電子ユニット16.1,16.2は特に、このような制御機器を遮蔽するために適している。そして引出し装置10.1と巻取り装置13.1とは、紡糸部1.1の内部における1つの機械ユニットを形成し、この機械ユニットは、一緒に運転することしかできない。さらに各ユニット10.1,13.1は交換可能であり、かつ紡糸部の外で検査可能である。これによって引出し装置10.1及び巻取り装置13.1の運転開始前に、該装置の駆動装置及びアクチュエータを検査することができる。従って供給ステーション21.1への接続により、迅速な運転開始が可能である。
【0034】
図1に示した引出し装置10.1では、糸群8を巻取りの前に処理するために、延伸の他にさらに別の処理ステップが行われる。例えば引出し装置10.1には、糸を湿潤させかつ交絡させるために、処理装置31と交絡装置28とが組み込まれている。紡糸部1.1内において、圧力空気供給及び液体供給のための接続可能性を保証するために、図示の実施形態ではフレームプラットフォーム19に紡糸部毎に、圧力空気接続部29を備える圧力空気ステーション34と、液体接続部32を備える液体ステーション35とが設けられている。交絡装置28は、圧力空気管路30を介して解離可能に圧力空気接続部29と連結されている。同様に処理装置31は、液体管路33を介して液体接続部32に解離可能に接続されている。これによって紡糸部内における引出し装置10.1の交換は、付加的なプロセスユニットと共に実施することができる。
【0035】
上に述べた引出し装置10.1の構成は一例である。基本的には、ゴデットの数、ゴデットの配置形態及びその他のプロセスユニットの配置形態は、単に一例を示すものであって、任意に変えることができる。同様に、図示の実施形態では巻取り部毎に1つの変向ローラを介して行われる、引出し装置から巻取り装置への糸の供給形態も、一例である。例えば引出し装置の最後のゴデットを、巻取り装置の巻取り部の中央領域に配置することも可能である。
【0036】
図1〜
図4に示された実施形態では、紡糸部内における供給ステーションは、エネルギ供給のためと、制御信号及びデータ信号の接続のために使用される。しかしながらまた基本的には、供給ステーションに紡糸部毎に1つの電子制御装置を補うことも可能であり、この電子制御装置は例えば、不変に所定された制御アルゴリズムを引出し装置及び/又は巻取り装置において実施する。
【0037】
本発明による装置は、溶融物調製及び溶融物供給の形式とは無関係に、糸のための如何なる溶融紡糸プロセスのためにも適している。例えばポリマを直接、重縮合リアクタから紡糸プロセスに供給することが可能である。このようにすると、ポリマの粒状化及び押出し機における新たな溶融は、既に述べたように省かれる。
【符号の説明】
【0038】
1.1,1.2,1.3 紡糸部
2 紡糸ビーム
3 紡糸ポンプ
4 紡糸ノズル
5 冷却装置
6 冷却ダクト
7 降下シュート
8 糸群
9 案内手段
10.1,10.2,10.3 引出し装置
11 ゴデット
12 ゴデット駆動装置
13.1,13.2,13.3 巻取り装置
14.1,14.2 巻取り部
15.1 巻取り機 左
15.2 巻取り機 右
16.1,16.2 駆動兼制御用電子制御ユニット
17 巻取りスピンドル
18 スピンドル駆動装置
19 フレームプラットフォーム
20 支持壁
21.1,21.2,21.3 供給ステーション
22.1,22.2 供給接続部
23.1,23.2 供給ライン
24 制御分配器
25.1,25.2 制御ライン接続部
26.1,26.2 制御ライン
27 操作ステーション
28 交絡装置
29 圧力空気接続部
30 圧力空気管路
31 処理装置
32 液体接続部
33 液体管路
34 圧力空気ステーション
35 液体ステーション
36 接続分配器
37 構成ユニット
38 運搬用開口
39 フレーム受容部
40 前側
41 背側
42 パッケージ