特許第5758005号(P5758005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758005
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】ブラシアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B24B 29/00 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
   B24B29/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-529663(P2013-529663)
(86)(22)【出願日】2011年9月23日
(65)【公表番号】特表2013-538699(P2013-538699A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011066602
(87)【国際公開番号】WO2012038537
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】102010046398.1
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513069983
【氏名又は名称】モンティ−ヴェルクツォイゲ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヤナシュク・フォルカー
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−245334(JP,A)
【文献】 特開平05−038677(JP,A)
【文献】 特開2001−334453(JP,A)
【文献】 特開2005−313317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 29/00
A46B 17/06
B24B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動可能なブラシホルダー(10、11)を有し、外側に向かって突起した剛毛(5)を有する剛毛冠(8)を有するリングブラシ(4、5)を有し、および回転する剛毛冠(8)に潜没する停止手段(14)を有するブラシアッセンブリ(3)において、
停止手段(14)が、同時に剛毛(5)の為の砥体(14)として形成されており、両方の機能(停止機能と研磨機能)の間を、リングブラシ(4、5)の回転方向の要求に応じて、および/または剛毛冠(8)にする停止手段の調節位置の要求に応じて区別されることを特徴とするブラシアッセンブリ(3)。
【請求項2】
リングブラシ(4、5)が時計回りまたは反時計回りに回転し、それぞれの回転方向(R)が、一方では停止機能に、そして他方では停止手段(14)の研磨機能に相当することを特徴とする請求項1に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項3】
停止手段(14)が、剛毛冠(8)にして調整可能に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項4】
停止手段(14)が半径方向および/または接線方向に調整可能に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項5】
停止手段(14)が偏心して調整可能に実施されていることを特徴とする請求項3または4に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項6】
停止手段(14)が、アーム(15)に接続されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項7】
アーム(15)が揺動可能に機械ハウジング(1)に接続されていることを特徴とする請求項に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項8】
アーム(15)が偏心アーム(15)として形成されていることを特徴とする請求項またはに記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項9】
アーム(15)が、一方では停止機能の修得の為、そして他方では研磨機能の修得の為の少なくとも二つのストッパー(23、24)を有することを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載のブラシアッセンブリ(3)。
【請求項10】
機械ハウジング(1)、ブラシアッセンブリ(3)およびブラシアッセンブリ(3)のための駆動ユニット(2)を有する回転ブラシ工具であって、ブラシアッセンブリ(3)が、回転して駆動されるブラシホルダー(10、11)を有し、および外側に突起した剛毛(5)を有する剛毛冠(8)を有し、および回転する剛毛冠(8)に潜没する停止手段(14)を有する回転ブラシ工具において、
停止手段(14)が、同時に剛毛(5)の為の砥体(14)として形成されており、両方の機能(停止機能および研磨機能)の間を、リングブラシ(4、5)の回転方向の要求および/または停止手段(14)の剛毛冠(8)にする調節位置の要求に応じて区別されることを特徴とする回転ブラシ工具。
【請求項11】
回転して駆動されるブラシホルダー(10、11)を有し、および外側向かって突起した剛毛(5)を有する剛毛冠(8)を有するリングブラシ(4、5)を有し、および回転して駆動される剛毛冠(8)に潜没する停止手段(14)を有するブラシアッセンブリ(3)により材料(19)の表面を処理するための方法において、
停止手段(14)が、同時に剛毛(5)の為の砥体として働き、両方の機能(停止機能と研磨機能)の間で、リングブラシ(4、5)の回転方向(R)の要求および/または停止手段(14)の剛毛冠(8)にする調節位置の要求に応じて区別されることを特徴とする方法。
【請求項12】
リングブラシ(4、5)の両方の回転方向(R)が、一方では停止手段(14)の停止機能にそして他方では研磨機能に相当することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
停止機能の修得の為に停止手段(14)が、その全断面でもって剛毛冠(8)内へと潜没し、他方で、研磨機能の修得の為に、その断面でもって部分的にのみ剛毛冠(8)内へと潜没し、これが作業方向から見て剛毛(5)の各背面側の研磨的処理の為であることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
停止手段(14)が、これと反対に移動する剛毛(5)により、リングブラシ(4、5)の各回転方向(R)に応じて停止機能へとまたは研磨機能へと切り替えられることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転して駆動されるブラシホルダーを有し、および外側に向かって突起した剛毛を有する剛毛冠を有するリングブラシを有し、および回転して駆動される剛毛冠に潜没する停止手段を有するブラシアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載した構成のブラシアッセンブリにおいては、特許文献1によって、停止手段を用いて剛毛に所定の期間ブレーキがかけられることが提案される。停止手段の通過による剛毛のリリースの後、これによって、つまり剛毛および/またはブラシバンドにより蓄積された運動エネルギーが利用される。これは、剛毛を使った材料の表面の処理の追加的な打撃のために使用される。これによっていわゆるサンドブラストにおいて観測されるようなものと比較可能な効果が達成される。もちろん上述した教義は、ブラスト手段無しで達成されるので、設備技術上の労力は著しく減少され、環境負荷は減少され、そして特に費用も安価となりおよび効果的に作業が行われることが可能である。これは実証済みである。
【0003】
そのほかに特許文献2により停止手段を有さないブラシアッセンブリが公知となっている。そしてこれは砥体を備えて形成されている。砥体は、リングブラシに対してまたはこの周りにもたらされた剛毛に対して使用され、詳しく言うと、これらの作業方向でみて背面側に使用される。このようにして、剛毛の後研磨が行われ、これによって鈍くなった剛毛の先端が後から研磨されることが可能である。これによって、処理される表面の望まれる荒さ度(Rautiefen)が容易に調整されることが可能であり、およびまた保持されることが可能である。この選考技術も基本的に実証済みである。
【0004】
停止手段を有する特許文献1による回転ブラシ工具において、特許文献2に記載のように追加的に一つの砥体がもうけられ、停止手段のポジティブな効果が剛毛の後研磨の可能性と結びつけられると望ましい。しかしこれによって、比較的出っ張った(ausladender)そして実用的でない構成が生じる。ここに本発明が、起用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1 834 733 B1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 591 037 A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、このようなブラシアッセンブリをさらに開発し、その結果、剛毛の研磨的作業の追加的可能性が達成される、そして詳しく言うと、これが構造的に簡単でかつコスト面で安価な構成のもと達成されるということである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題の解決の為、そのような形式のブラシアッセンブリは、本発明の枠内では、停止手段が同時に剛毛の為の砥体として形成され、その際、両方の機能の間で、つまり停止機能と研磨機能の間で、リングブラシの回転方向の要求に応じて、および/または停止手段に剛毛冠に体する調節位置の要求に応じて、区別されるという点が際立っている。
【0008】
つまり本発明の枠内では、必須としての停止手段のほかに、まず第一に追加的な砥体が使用されず、停止手段が同時に剛毛の為の砥体として形成される。その際、停止手段は基本的に特許文献1に記載されるものと同様の機能を有する。つまり、停止手段を使って剛毛が所定の期間ブレーキをかけられるので、その(停止手段からの)リリースのリリースの後に、これによって蓄積された運動エネルギーが、剛毛による材料の表面の追加的かつ打撃的な処理の為に利用される。
【0009】
このような停止機能に追加的に、停止手段は同時に研磨機能を担う。この研磨機能の枠内で、剛毛は研磨処理を行われる。その際、少なくとも(しかし限定的でなく)提案されるのは、剛毛が、作動方向でみて背面側を砥体により、または停止手段により後からの研磨としての処理を行われるということである。実際に停止手段は、本発明の枠内において有利には、停止手段の異なる表面領域が前述した異なる機能に対して責任を有するよう形成される。
【0010】
つまり停止手段の表面は、主としてストッパー領域と研磨領域を有している。その際、研磨領域は、これが、停止手段上にもたらされる例えばダイアモンド、鋼玉(Korund)または同様の砥体からなる研磨粒子によって、その研磨機能を可能とされるよう設計または形成されている。当然、研磨領域は停止手段において、または停止手段上において、以下のように定義される、つまり、停止手段が研磨領域において特別荒くされている(けば起てられる)か、または特別な表面処理を施されているかされることによって定義される。いずれにせよ研磨領域は、剛毛の研磨処理の為に、そして多くの場合剛毛の先端の処理の為に適しているよう形成されている。その際、本発明は、剛毛、特に剛毛の先端が、一定の処理時間の後「鈍く」なり、そして再び「尖らせ」られなければならないという知識から出発している。
【0011】
このため発明にしたがい、停止手段の研磨領域が提供される。その際、剛毛がその剛毛の先端の領域で、停止手段の研磨領域によって、後研磨的処理を施されるということが意図されている。この後研磨的処理は、剛毛の先端の材料摩耗が最小限に減少され、しかし、望まれる先端部形成が達成可能であるという状況を考慮に入れている。ここで本発明は、各剛毛またはその剛毛の先端は、その前側の側面においては、材料の表面の打撃的な処理によって、後ろ側の側面に比べてより強く使い尽くされるという事実から出発している。後ろ側の側面が、上述した研磨処理を施されるとき、よって本発明はこの状況を特に考慮に入れている。後ろ側の側面の処理は、剛毛を(その剛毛の先端において)その作業方向でみて後方側で、上述した後研磨的処理を停止手段の研磨領域を使って施すということと何ら異なった意味を持たない。
【0012】
上述した停止機能と研磨機能の間で区別することが出来るように、または、剛毛が一方ではストッパー領域とそして他方では停止手段の研磨領域と相互作用するということを達成するために、基本的に二つの異なる方法が考えられ、そして本発明に含まれている。まず第一に、これら両方の機能の間、つまり停止機能と研磨機能が、リングブラシがその回転方向を変更することによってこれら区別される。実際にリングブラシは基本的に時計回りにまたは反時計回りに回転することが可能である。各回転方向は、一方では停止手段の停止機能にそして他方では研磨機能に対応している。例えば、リングブラシの反時計回りの回転は、停止機能に属している。これと反対に、リングブラシの時計回りの回転は、停止手段がその研磨機能を担うことに通じる。この場合、停止手段は基本的に、これが回転する剛毛冠の中に潜没するよう位置づけられる。その際、停止手段は位置固定的に設計される。
【0013】
剛毛冠に対して停止手段が調整される、または調整可能であるよう設計されるということも代替としてまたは追加的に考えられる。調整は、基本的に停止機能の間、および研磨機能の間に行われることが可能である。その他に、停止手段の調整は、両方の機能の間の期間にあるということも当然に考えられ、本発明に含まれる。しかし設計を、剛毛冠に体する停止手段の異なる調節位置を、上述した両方の機能に属するよう行うこともある。
【0014】
停止手段の停止機能は、多くの場合、停止手段がその全断面によって剛毛冠内へと潜没するよう選択される。この結果、停止手段の表面に定義されるストッパー領域は、上述した表面のほぼ半分くらいか、または半分よりも多い。これと反対に、停止手段が研磨機能をとるとき、停止手段は剛毛冠内へとその断面でもって部分的にのみ潜没する。多くの場合、剛毛は、停止手段の研磨機能をとるとき、研磨領域において多かれ少なかれ接線方向に沿って摺動している。これによって研磨領域は、停止手段の表面上で比較的小さく形成されることが可能であり、これは典型的には表面の約10%から50%を占め、これに対してストッパー領域は停止手段の表面の約30%から80%に相当している。
【0015】
もちろん、一方では停止機能と他方では研磨機能の間の区別の為に、両方の措置の組み合わせも行われることが可能である。この場合、例えば停止機能から研磨機能(および逆)の変換の際には、リングブラシの回転方向だけでなく、停止手段の調節位置もまた追加的に変更される。好ましくは、そのように進められる。つまり、停止機能から研磨機能への変換の際に、リングブラシは例えば元来の反時計回りの回転で保持され、そして研磨機能を発揮することができるよう時計回りの逆の回転方向でもって駆動される。
【0016】
同時に、この回転方向の変換は、停止手段が、剛毛冠から十分に浮上するので、すでに記載した通り、引き続いての研磨機能の際に、研磨領域を恰も接線方向に通過するということと結びつけられる。剛毛冠に対して調整可能に形成された停止手段は、通常半径方向および/または接線方向に調節されることが可能である。停止手段の偏心した調節は、特に有利である。
【0017】
これによって、およびこれと関係なく、停止手段を駆動される剛毛によって調節するという可能性も存在する。つまり、停止手段の調節は、外部の追加的な駆動部によってではなく、剛毛自体が、停止手段の調節に作用することによって行われる。多くの場合、設計は、停止機能から研磨機能への変換の場合に、および逆の場合に、リングブラシの回転方向が変更されるよう行われる。回転方向の変換は、同時に、停止手段が調節されることに通じる。この目的の為、停止手段は有利には、一つのアームに接続されており、このアームが機械ハウジングに揺動可能に連結されている。このアームは、多くの場合、偏心アームである。
【0018】
その上、アームは、少なくとも二つのストッパーを有している、またはアームには二つのストッパーが設けられている。その際、一方のストッパーは、停止機能の為、そして他方のストッパーは研磨機能の為に使用される。
【0019】
機能変換に伴うリングブラシの回転方向の変換は、停止手段にぶつかる剛毛が、停止手段を調節するということにも通じる。調節運動は、その際、停止手段がその回転方向に属する機能位置、つまり停止機能か研磨機能をとるまで維持される。一貫して、アームに設けられる両方のストッパーは、一方では停止ストッパーとして、そして他方では研磨ストッパーとして設計される。
本発明の大将は、回転ブラシ工具でもある。この回転ブラシ工具は、機械ハウジングと、上述したブラシアッセンブリの為の駆動ユニットを有している。その上、材料の表面を、上述したブラシアッセンブリによって処理するための方法も含まれる。
【0020】
結果として、ブラシアッセンブリ、付随する回転ブラシ工具、およびブラシアッセンブリによって材料の表面を処理するための方法が記載され、これらによって、簡単かつ耐久性のある表面の処理が達成される。その際、(サンド)ブラストの場合に可能であり、実現されることができるようなものと比較可能な荒さが達成され、そして観察される。もちろん、コストのかかる駆動装置は省略され、そして特にブラスト媒体が、処理される必要が無い。同時に、極めて長い寿命が見られる、というのは剛毛が後から研磨されることが可能であるからである。これらすべては、二つの機能、つまり上述した停止機能と研磨機能が充足する停止手段によって達成される。ここに本質的なメリットを見ることができる。
【0021】
以下に本発明を単に実施例として表された図面をもとに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明にかかる回転ブラシ工具、これによって駆動されるブラシアッセンブリを含む斜視図
図2】ブラシアッセンブリの停止機能を実現する際の、運転中におけるブラシアッセンブリの詳細図
図3】同様に運転中であり、詳しく言うと研磨機能を行う状態の図2の対象の図
図4】停止手段をもたらすためのアームの前面図
図5】停止手段をもたらすためのアームの後面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、回転ブラシ工具が表されている。この回転ブラシ工具は、機械ハウジング1と、単に示唆的に表され、この中に収容された、ブラシアッセンブリ3の為の駆動ユニット2を有している。ブラシアッセンブリ3は、リングブラシ4、5を有しており、これらは制限的ではないが実施例においては、ブラシバンド4とこれに接続される外側に向かって突起した剛毛5とともにまとめられている。
【0024】
剛毛5は、放射方向に、回転中心または回転軸6に向かって延びており、そして基本的にリングぶらし4、5またはブラシバンド4の表面に垂直に起立している。剛毛5は、鋼からなるUの字の形状の剛毛5である。これら剛毛は、ブラシバンド4内の単に示唆的にのみ表された収容穴7内に差し込まれており、そしてこれらを貫通している(図2参照)。これら剛毛5は、中断部9を伴う剛毛冠8を形成している。リングブラシ4、5は、駆動ユニット2によって回転して駆動されるブラシホルダー10、11により担持されている。実際のところブラシホルダー10、11は、二つの正面ディスク10からまとめられており、これら正面ディスクは、一つのスペーサーブッシュ11によって互いに間隔をあけた位置で保持されている。スペーサーブッシュ11は、また省略することも可能である。そうするとリングブラシ4、5のブラシバンド4が、スペーサーブッシュ11の機能を担うこととなる。そのように実施例の枠内では作動する。
【0025】
図1に基づいてさらに、両方の正面ディスク10が、軸方向ウェブ12を有しており、これら軸方向ウェブによりこれらがリングブラシ4、5またはブラシバンド4を中断部9の領域で広がっているのがわかる。両方の正面ディスク10は、その間に存在するスペーサーブッシュによってブラシバンド4、11とこれに接続されている剛毛5に対して、互いに抑えられている。これによってリングブラシ4、5が、回転ブラシ工具の駆動ユニット2の駆動ピボット部13に確実に保持されることが保証される。
【0026】
図1に示される例の枠内で、ブラシバンド4の周囲に三つ同様に分配された中断部9が実現されている。さらに、回転する剛毛冠8内に潜没する停止手段14が実現されている。停止手段14は、限定されないが例えばシリンダー状のピボット部14であり、このピボット部14は、アーム15を介して回転ブラシ工具の機械ハウジング1に接続されている。停止手段14またはピボット部14は、駆動ユニット2の駆動ピボット部13に平行、または回転軸6に平行にアーム15に設けられており、そしてこれに対して例えばねじ接続されている。その際、停止手段14の長さは、基本的にブラシバンド4の幅に相当するように選択される結果、停止手段14は、リングブラシ4、5に対して軸方向に突出しない、またはわずかにしか突出しない。
【0027】
本発明の枠内で、停止手段14は二つの機能を担う。つまり、図2に表されるような停止機能と、図3に示されるような研磨機能である。つまり停止手段14は、同時に剛毛5のための砥体14として形成される。この目的のため、この場合においてはシリンダー側面として実施される停止手段14の外側表面16は、二つの領域を与えられている。実際のところ一方でストッパー領域16aが設けられ、他方で研磨領域16bが設けられる。
【0028】
停止手段4の外側表面16は、よってストッパー領域16aと研磨領域16bから形成されており、これらが多かれ少なかれ補われ、そして多くの場合全体として停止手段14の外側領域14を形成する。実際のところストッパー領域16aは外側表面16の約30%から80%であり、これに対して研磨領域16bは停止手段14の外側表面16の約10%から50%を占める。その際、ストッパー漁期16aと研磨領域16bは、これらがオーバーラップしないでむしろ間隔をあけずにまたは間隔をあけて互いに連続するよう設けられている。この結果として、剛毛5は、ストッパー領域16aとだけ相互作用するか、または研磨領域16bとだけ相互作用する。前者の相互作用には、ブラシアッセンブリ3または回転ブラシ工具全体の停止機能が属し、これと反対に後者の相互作用には研磨機能が相当する。ストッパー領域16aおよび/または研磨領域16bは、停止手段14に統合されて形成されているか、またはこれに追加的に形成されている。例えば、これはキャップによるまたはプレートによるねじ留めによって達成される。これらが、当該ストッパー領域16aおよび/または研磨領域16bを定義する。
【0029】
ブラシアセンブリ3または回転ブラシ工具が、その定期機能を図2にしたがい担う場合、そしてこれに付随する機能位置が存在するとき、停止手段14は基本的に冒頭に特許文献1を参照して詳細に説明された通りに作動する。この場合、停止手段14は、回転する剛毛冠8の中へと、詳しく言うとその全断面でもって潜没する。図2に基づき、停止機能は、回転軸6を中心としたリングブラシ4、5の反時計回り方向の回転に相当している。これによって剛毛5は、停止手段14の領域において所定の期間ブレーキをかける。剛毛5が停止手段14からフリーとなると、剛毛5および/またはブラシバンド4によって蓄積された運動エネギーが、剛毛5によって、材料19の表面の追加的な打撃処理の為に利用される。
【0030】
この例の場合、剛毛5は、図2の矢印によって反時計回りに示唆された回転方向Rに、前に向かって傾斜した剛毛の先端5’を有している。当然であるが、これは必須ではない。停止手段14の剛毛5が実現されている限り、ブラシバンド4は主として変形をうける。したがって、通常垂直にブラシバンド4上に起立している剛毛5は、ブラシバンド4の表面に対して鋭角な位置へと強制される。ある所定の尖った角度から、剛毛の先端5’は、停止手段14によってもはや引き止められないので、剛毛5は元の形状に戻り、そしてこの過程において剛毛の先端5’は、図2に示唆される円弧20を描き、この円弧は、剛毛冠8の外側表面17又は付随する円弧から逸脱している。当該図面には、更にまた全アッセンブリー3のための保護カバー18が見て取れる。
【0031】
図2のこの停止機能の他に、停止手段14は、図3に従い表されるような研磨機能もまた満たしている。研磨機能は、図2の停止機能と反対に、リングブラシ4,5が時計回りに回転することに対応している。このことを、矢印が回転方向Rによって明らかにしている。停止機能から研磨機能への変換は、そして逆の変換は、よって回転するリングブラシ4,5の回転方向の変換に相当する。図2と3の比較が明らかにするように、このような回転方向の変換の他に、停止手段14は調節を行う。実際のところ、図2において停止機能に必要とされる停止手段14の調節位置は実線で表され、一方、研磨機能に必要とされる調節位置は破線による再現を行われている。
【0032】
別の表現をすると、両機能の間は、つまり停止手段14の停止機能と研磨機能の間は、リングブラシ4,5の回転方向Rの要求に応じて、および追加的に、剛毛冠8に対する停止手段14の調節位置の要求に応じて区別される。停止機能の獲得するために、停止手段14は、その全断面でもって、またはその全外側表面16でもって剛毛冠8内へと潜没する(図2参照)。これと反対に、図3に従う研磨機能は、停止手段14がその断面でもって、または外側表面16でもって部分的にのみ剛毛冠8内へと潜没することに対応している。
【0033】
実際のところ停止手段14は、研磨機能中においてその研磨領域16bでもってのみ剛毛冠8内へと潜没する。これによって剛毛5またはその剛毛の先端5’多かれ少なかれ研磨機能中にある停止手段14の接線方向に通過移動を行う。このようにして剛毛5は、剛毛の先端5’の辺りにおいて、作業方向でみて背面側を研磨処理される。これは例示的にのみ理解されるということは当然であり、その際、剛毛5は基本的に長い長さで研磨処理を行われることが可能である。
【0034】
図2および3とこれに伴う機能表現の比較は、停止手段14が半径方向及び/又は接線方向で調整されるということを明らかにしている。実際のところ、停止手段14は偏心的調節を行われる。この目的の為、停止手段14はアーム15に接続されており、このアームが、自身の側で揺動可能に機械ハウジング1に連結されている。アーム15は、図4および5の表現から証明されるように偏心アーム15である。この偏心アーム15は、ベアリングアイ21を有しており、このベアリングアイは、ベアリングボルト又はベアリングプレート22を中心外にて差し込まれている。ベアリングプレートまたはベアリングボルト22は、機械ハウジング1に接続されている。これに対して、実線で表された停止機能を破線で表された研磨機能と比較すると、アームまたは偏心アーム15は、図2に示唆されているような偏心的な搖動動作を行う。対応する描写は図5に示されている。ここでは、停止手段またはピボット部の搖動動作が同時に矢印によって表されている。その際、実線で表された停止手段またはピボット部14の位置は停止機能に相当し、これと反対に破線で表された停止手段14は、研磨機能とこれに属する停止手段14の機能位置を図解している。
【0035】
両方の機能または機能位置には、各一つのストッパー23,24が設けられており、これは図5のアーム15の背面図にもっともよく見て取れる。ストッパー23は、停止ストッパー23として形成されており、これに対してストッパー24は、研磨ストッパー24として表されている。停止ストッパー23は、アーム又は偏心アーム15が、停止機能をとる又はこれに属する機能位置をとることに従事する。研磨ストッパー24は、これと反対に、停止手段14が研磨機能又はこれに属する機能位置を定義することに従事する。
【0036】
停止機能から研磨機能への変換は、およびその逆は、その都度、駆動される剛毛5によって行われる。つまり停止手段14は、駆動される剛毛5によって又は駆動されるリングブラシ4,5によって調整される。このような回転するリングブラシ4,5又は停止手段14に対して反対に走行する剛毛5による調整は、付随する調整動作が停止ストッパー23または研磨ストッパー24によって制限されるまで行われる。
【0037】
つまり停止手段14は、これと反対に走る剛毛5によって、リングブラシ4,5の回転方向に応じて、停止機能又は研磨機能へと移行される。停止機能から研磨機能への変換およびその逆は、まずリングブラシ4,5の回転方向が変更されるよう行われる。つまりリングブラシ4,5は、回転方向の変換を行う。リングブラシ4,5の回転方向Rの変更によって、停止手段14もまた調整される。したがって剛毛5が、停止手段14に対して走行し、およびこれを機械ハウジング1に対して揺動させる。この過程は、相当するストッパー23,24が停止手段14のさらなる揺動動作をブロックするまで行われる。
【0038】
具体的な例の場合に転用すると、これは、図2に従う停止機能の枠内において、ブラシアッセンブリは、リングブラシ4,5を矢印方向Rに相当する反時計回りに回転させることを意味する。この過程において、剛毛は停止手段14に対して向かい、そして停止手段14はアーム15および付随する停止ストッパー23を介して実線であらわされる位置で固定される。停止手段14は、よって、すでに記載したとおり、上述した停止機能を担いそして果たす。
【0039】
よって、図2の停止機能から図3に表される研磨機能へと切り替えられるべきとき、リングブラシ4,5を、回転方向の変換を考慮して反時計回りに駆動するのではなく、むしろ時計回りに駆動することのみが必要とされる。図3がこれを示す。この結果として、停止手段14は、ある力で時計回りに付勢されそして機械ハウジング1に対して揺動される。この過程は、図2に示唆される位置が達成されるまで行われる。実線で表された位置は、図5にも記載されている。図2および5に破線であらわされた位置は、研磨機能に相当し、図3に実線で表されている。図3の調節位置を越えての停止手段15の更なる揺動動作は不可能である、というのはアーム15は、今、研磨ストッパー24に当接しているからである。この位置において剛毛5は「とがらせ」られる。
【0040】
というのは、研磨機能中において剛毛5または剛毛の先端5’が多かれ少なかれ停止手段14の外側表面16の研磨領域を接線方向にそって滑るからである。このことは補足的に図3の拡大図中に示されている。この研磨領域16bは、研磨コーティングを有してることが可能であるか、又は、剛毛の先端5’がその作業方向においてまたは例示の場合において時計回りの方向において見て背面側で、後研磨的処理を行われるよう処理されている。研磨作業の終了後、問題なく再び停止機能へと移行されることが可能である。この為に、リングブラシ4,5が再度回転方向の変換をおこなわれる必要があるのみである。
【0041】
この結果として、リングブラシ4,5は、再び反時計まわりに回転する。これは図2に表されている。この回転方向の変換は、ストッパー手段14に対向して向かう剛毛5が、ストッパー手段14を反時計回りのある力でもって付勢するという結果を有する。その結果、ストッパー手段14は図3の実線であらわされている位置、又は図2の破線であらわされている位置から、図2の実線であらわされている位置へと移行する。これはアーム15が停止ストッパー23に達するまで行われる。停止ストッパー23は、アーム15の同じ方向におけるさらなる動作を阻止する。
【0042】
明記されていないが、保護カバー18及び/又は停止手段14を有するアーム15を調整可能に機械ハウジング1に接続するという可能性がある。実際のところ、保護カバー18及び/又はアーム15は固定部材を有している可能性がある。これら固定部材は、様々な固定、および解除可能な固定を機械ハウジング1に対して可能とする。これに関して、保護カバー18及び/又はアーム15及び/又はリングブラシ4,5は差込み可能に設計されることが可能であり、様々な差込み位置に固定されることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5