特許第5758007号(P5758007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758007
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 11/00 20060101AFI20150716BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   F03D11/00 Z
   F03D7/04 H
【請求項の数】26
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-537153(P2013-537153)
(86)(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公表番号】特表2013-545017(P2013-545017A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011069459
(87)【国際公開番号】WO2012059591
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】102010043435.3
(32)【優先日】2010年11月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】フリーケ、ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ザルトリウス、フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】バウムゲルテル、クリスツィアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント、アルノ
(72)【発明者】
【氏名】グーデヴェル、ヴィルコ
(72)【発明者】
【氏名】ガイケン、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】レール、ヨッヒェン
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−502227(JP,A)
【文献】 特開2001−099045(JP,A)
【文献】 特表2008−513665(JP,A)
【文献】 特開2009−019625(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102009008437(DE,A1)
【文献】 特表2004−522892(JP,A)
【文献】 特表2003−510492(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1837519(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 11/00
F03D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置の1つまたは複数のピッチ駆動部を制御するために設けられた電気モジュールを前記風力発電装置のロータハブに固定し、かつ前記電気モジュールを支持するための本体を備えるモジュール支持体であって、
前記ロータハブは、水平のロータ軸を中心に回転するように構成されており、
前記本体は、前記ロータ軸の軸方向で前記ロータハブの前方に固定されるよう構成されている、モジュール支持体。
【請求項2】
前記本体は、リングディスクとして構成されており、前記ロータ軸に対して直角に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール支持体。
【請求項3】
前記本体は、スピナ外装に適合した外周を有し、前記スピナ外装とエラスティックに接続するための固定手段を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のモジュール支持体。
【請求項4】
前記風力発電装置は1つまたは複数のロータブレードを有し、
前記電気モジュールは以下のエレメントの少なくとも1つを含む:
・前記ピッチ駆動部に電気エネルギーを供給するトランスモジュール;
・デジタル情報を各ピッチ駆動部に直接または間接的に分配する分配モジュール;
・各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部を制御するブレード制御モジュール;
・各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部のための電気切り替えを実施するブレードリレーモジュール;および/または
・各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部のために電気エネルギーを蓄積し、提供する蓄電器モジュール;
請求項1または2に記載のモジュール支持体。
【請求項5】
前記モジュール支持体は、保持装置によってロータハブの風を受ける側に剛性に配置されている、請求項に記載のモジュール支持体を有する風力発電装置のロータハブ。
【請求項6】
前記モジュール支持体の本体は、前記回転軸に対して直角に配置されており、前記モジュール支持体は、スピナ外装とエラスティックに接続されている、請求項5に記載のロータハブ。
【請求項7】
ステータと電気的ロータないしは回転子とを有するギヤレス型風力発電装置の発電機を支持する発電機支持構造物であって、
械支持体と、
ステータ支持体を前記機械支持体に固定し、支持するための取り付けアタッチメント(短筒部)と、
前記ステータを前記取り付けアタッチメントに固定し、支持するためのステータ支持体と、
電気的ロータないしは回転子と、空気力学的ロータを有するロータハブを前記取り付けアタッチメントに固定し、支持するための軸ジャーナルと、
を有し、
請求項1に記載のモジュール支持体が、ロータ軸の軸方向で前記ロータハブの前方に固定されている、発電機支持構造物。
【請求項8】
前記取り付けアタッチメントおよび軸ジャーナルは、冷却空気を前記ロータハブに案内するために中空に構成されており、および/または
前記取り付けアタッチメントまたは軸ジャーナルは、当該取り付けアタッチメントおよび/または軸ジャーナルを通る空気流を形成するために送風機を有する、請求項7に記載の発電機支持構造物。
【請求項9】
前記機械支持体は、風力発電装置の空気力学的ロータと接続された発電機をタワーに支持するための、ギヤレス型風力発電装置の機械支持体であり、
前記空気力学的ロータは水平のロータ軸を有し、
前記タワーは垂直のタワー軸を有し、
前記機械支持体は、第1と第2の筒状部分を有し、
前記2つの部分は互いに直角に配置されており、
第1の筒状部分は、第2の筒状部分を少なくとも部分的に貫通し、または第2の筒状部分は第1の筒状部分を少なくとも部分的に貫通する、請求項7または8に記載の発電機支持構造物
【請求項10】
前記第1の筒状部分は、前記垂直のタワー軸と一致する中央軸を有し、
前記第2の筒状部分は、前記ロータ軸と一致する中央軸を有し、
前記第1の筒状部分は、前記第2の筒状部分よりも大きな平均直径を有する、請求項7または8に記載の発電機支持構造物。
【請求項11】
前記第1もしくは第2の筒状部分は円錐形に構成されているか、または前記第1および第2の筒状部分は円錐形に構成されている、請求項10に記載の発電機支持構造物。
【請求項12】
前記機械支持体には、ヒトがタワー内部から前記第1の筒状部分を通って前記第2の筒状部分の外側を通過し、前記風力発電装置のナセルに達するように側方の貫通開口部が設けられている、請求項またはに記載の発電機支持構造物
【請求項13】
前記機械支持体は鋳造部材として構成されており、複数のアジマス駆動部のための格納部を有する、請求項7または8に記載の発電機支持構造物
【請求項14】
ステータ支持体を機械支持体に固定し、格納し、支持し、および軸ジャーナルを格納し、支持するための、風力発電装置の取り付けアタッチメントであって、
前記軸ジャーナルは、電気的ロータないし回転子と、空気力学的ロータを有するロータハブとを支持するためのものであり、
請求項1に記載のモジュール支持体が、ロータ軸の軸方向で前記ロータハブの前方に固定されている、取り付けアタッチメント。
【請求項15】
ナセル外装の少なくとも一部を支持し、技術的装置をナセル内に支持し、および/またはヒトをナセル内に支持する、風力発電装置のナセルのナセル構造体であって、
機械支持体にリジッドに固定されたベースプラットフォーム部分と、
前記機械支持体または前記ベースプラットフォーム部分に懸架して固定された吊りプラットフォーム部分と、
請求項1に記載のモジュール支持体と、を有するナセル構造体。
【請求項16】
請求項15に記載のナセル構造体であって、
前記ベースプラットフォーム部分上に支持構造物が配置されかつ固定されており、
前記支持構造物は突き出た支持体部分を有し、当該支持体部分は、荷物を持ち上げるためのクレーン装置および/または前記吊りプラットフォーム部分に接続されており、かつ前記支持体部分で前記吊りプラットフォーム部分を部分的に保持するための引張支持体(Zugtraeger)を備え、
前記支持構造物は、上側プラットフォームを、記機械支持体の上方に支持し、前記上側プラットフォームの下方かつ前記ベースプラットフォーム部分の上方に中間プラットフォームを、前記機械支持体に配置されたアジマス駆動部の上方に支持し、
前記中間プラットフォームは、当該中間プラットフォームを通って前記アジマス駆動部にアクセスするために少なくとも1つの可動の床プレートを有する、ナセル構造体。
【請求項17】
前記機械支持体および/または前記支持構造物に、ナセル外装またはその一部を支持および/または補強するためのフレームリングが固定されている、請求項16に記載のナセル構造体。
【請求項18】
風力発電装置の運転に必要な技術的装置を格納するための風力発電装置のナセルであって、請求項15に記載のナセル構造体を含む、ナセル。
【請求項19】
前記ナセル外装は、前記技術的装置を天候から保護するためのものであり
前記ナセル外装内にあって、外気を導入し、前記ナセルに通気し、または前記風力発電装置またはその一部を冷却するための通気開口部と、
を有し、
前記通気開口部は、流入する空気の湿気を除去するために水滴分離器を有する、請求項18に記載のナセル。
【請求項20】
セル構造体と、
前記ナセル外装またはその一部を支持および/または補強するためのフレームリングと、
ジュール支持体と、
ータハブと、
械支持体と、
請求項に記載の発電機支持構造物または請求項1に記載の取り付けアタッチメントと、
を有する請求項1に記載のナセル。
【請求項21】
セルと、
セル構造体と
求項1に記載のモジュール支持体と、
ータハブと、
械支持体と、
電機構造体まは取り付けアタッチメントと、
を有する風力発電装置。
【請求項22】
前記ナセル外装とタワーとの移行領域に外気の空気浸入に対する密閉部が設けられており、および/またはタワーは内部でタワー内部からの空気の空気浸入に対して密閉されている、請求項21に記載の風力発電装置。
【請求項23】
風力発電装置の1つまたは複数のピッチ駆動部を制御するために設けられた電気モジュールを備える、請求項1に記載のモジュール支持体をあらかじめ作製し、モジュールを装着し、前記風力発電装置のロータハブに固定し、これにより前記モジュールを一の作業工程で前記ロータハブに固定する、風力発電装置の設置方法。
【請求項24】
以下のうちの少なくとも1つを備えるモジュール支持体をあらかじめ作製する、請求項23に記載の設置方法:
前記ピッチ駆動部に電気エネルギーを供給するトランスモジュール、
デジタル情報を各ピッチ駆動部に直接または間接的に分配する分配モジュール、
各ロータブレードごとにそれぞれのピッチ駆動部を制御するブレード制御モジュール、
各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部に対する電気切り替えを実施するブレードリレーモジュール、および
各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部のために電気エネルギーを蓄積し、供給する蓄電器モジュール。
【請求項25】
請求項21に記載の風力発電装置が設置される、請求項23または24に記載の設置方法。
【請求項26】
送風機が冷却空気を、ナセルの第1の部分から取り付けアタッチメントおよび軸ジャーナルを通してナセルの第2の部分、すなわちロータハブまたはロータキャップの領域へ吹き込み、
冷却空気の全体または一部が、ナセル外装にある少なくとも1つの水滴分離器を通って前記ナセルの前記第1の部分に達し、
冷却空気の全体または一部が、スピナ外装とナセル外装との間の移行領域にあるロータハブの領域でナセルから流出する、請求項21に記載の風力発電装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置(風力エネルギー装置)に関する。さらに本発明は、モジュール支持体、ロータハブ、機械支持体、発電機構造体、取り付けアタッチメント、ナセル構造体、および風力発電装置のナセルに関する。さらに本発明は、風力発電装置の設置方法および風力発電装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置は一般的に公知であり、実質的にタワーと、ロータブレードを備える空気力学的ロータを有するナセルと、発電機とを有する。図1は、風力発電装置のこのような基本構造を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2011/061016A1
【特許文献2】DE102009008437A1
【特許文献3】EP1319830A1
【特許文献4】WO2009/125121A2
【特許文献5】EP2194269A1
【特許文献6】EP1837519A2
【特許文献7】US2010/164228A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力発電装置は、風から電気エネルギーを発生するために使用される。一次エネルギー、すなわち風のための風力発電装置ではコストが発生しないから、電気エネルギーの発電コストは風力発電装置の調達と運転に依存する。風からのエネルギー収量を高めるために、大型の風力発電装置を建築することができる。しかしこのような大型の風力発電装置は通常、大きな調達コストおよび運転コストの増大を引き起こし、これらのコストは通常、風からのエネルギー収量が所期のように高められるにつれ大きくなる。しばしばこのような大型風力発電装置のコストはさらに大きく上昇する。したがって比較的に大型の風力発電装置により設置場所では比較的大きな風からのエネルギー収量が達成されるが、最終的には電気エネルギーのコスト的に有利な発電は達成されない。
【0005】
本発明の課題は、前記問題に取り組み、とりわけ風からのエネルギー収量を改善することである。少なくとも択一的な解決手段を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の第1の視点によれば、風力発電装置の1つまたは複数のピッチ駆動部を制御するために設けられた電気モジュールを前記風力発電装置のロータハブに固定し、かつ前記電気モジュールを支持するための本体を備えるモジュール支持体であって、前記ロータハブは、実質的に水平のロータ軸を中心に回転するように構成されており、前記本体は、前記ロータ軸の軸方向で前記ロータハブの前方に固定されるよう構成されている、モジュール支持体が提供される。(形態1)
本発明の第2の視点によれば、前記モジュール支持体は、保持装置によってロータハブの風を受ける側に剛性に配置されている、請求項に記載のモジュール支持体を有する風力発電装置のロータハブが提供される。(形態
本発明の第の視点によれば、ステータと電気的ロータないしは回転子とを有するギヤレス型風力発電装置の発電機を支持する発電機支持構造物であって、械支持体と、ステータ支持体を前記機械支持体に固定し、支持するための取り付けアタッチメント(短筒部)と、前記ステータを前記取り付けアタッチメントに固定し、支持するためのステータ支持体と、電気的ロータないしは回転子と、空気力学的ロータを有するロータハブを前記取り付けアタッチメントに固定し、支持するための軸ジャーナルと、を有し、請求項1に記載のモジュール支持体が、ロータ軸の軸方向で前記ロータハブの前方に固定されている、発電機支持構造物が提供される。(形態
本発明の第の視点によれば、ステータ支持体を機械支持体に固定し、格納し、支持し、および軸ジャーナルを格納し、支持するための、風力発電装置の取り付けアタッチメントであって、前記軸ジャーナルは、電気的ロータないし回転子と、空気力学的ロータを有するロータハブとを支持するためのものであり、請求項1に記載のモジュール支持体が、ロータ軸の軸方向で前記ロータハブの前方に固定されている、取り付けアタッチメントが提供される。(形態14
本発明の第の視点によれば、ナセル外装の少なくとも一部を支持し、技術的装置をナセル内に支持し、および/またはヒトをナセル内に支持する、風力発電装置のナセルのナセル構造体であって、機械支持体にリジッドに固定されたベースプラットフォーム部分と、前記機械支持体または前記ベースプラットフォーム部分に懸架して固定された吊りプラットフォーム部分と、請求項1に記載のモジュール支持体と、を有するナセル構造体が提供される。(形態15
本発明の第の視点によれば、風力発電装置の運転に必要な技術的装置を格納するための風力発電装置のナセルであって、請求項15に記載のナセル構造体を含む、ナセルが提供される。(形態18
本発明の第の視点によれば、セルと、セル構造体と、請求項1に記載のモジュール支持体と、ータハブと、械支持体と、電機構造体まは取り付けアタッチメントと、を有する風力発電装置が提供される。(形態21
本発明の第の視点によれば、風力発電装置の1つまたは複数のピッチ駆動部を制御するために設けられた電気モジュールを備える、請求項1に記載のモジュール支持体をあらかじめ作製し、モジュールを装着し、前記風力発電装置のロータハブに固定し、これにより前記モジュールを一の作業工程で前記ロータハブに固定する、風力発電装置の設置方法が提供される。(形態23
本発明の第の視点によれば、送風機が冷却空気を、ナセルの第1の部分から取り付けアタッチメントおよび軸ジャーナルを通してナセルの第2の部分、すなわちロータハブまたはロータキャップの領域へ吹き込み、冷却空気の全体または一部が、ナセル外装にある少なくとも1つの水滴分離器を通って前記ナセルの前記第1の部分に達し、冷却空気の全体または一部が、スピナ外装とナセル外装との間の移行領域にあるロータハブの領域でナセルから流出する、請求項21に記載の風力発電装置の運転方法が提供される。(形態26
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
したがってこのようなモジュール支持体は、電気モジュールを風力発電装置のロータハブに固定するために設けられている。
本発明において、以下の展開形態が可能である。
形態2)モジュール支持体において、前記支持体は、実質的にリングディスクとして構成されており、および/または前記ロータ軸に対して直角に配置されていることが好ましい。
(形態3)モジュール支持体において、前記支持体は、スピナ外装に適合した外周を有し、および/または前記スピナ外装とエラスティックに接続するための固定手段を有することが好ましい。
(形態4)モジュール支持体において、前記風力発電装置は1つまたは複数のロータブレードを有し、前記電気モジュールは以下のエレメントの少なくとも1つを含むことが好ましい:
・前記ピッチ駆動部に電気エネルギーを供給するトランスモジュール;
・デジタル情報を各ピッチ駆動部に直接または間接的に分配する分配モジュール;
・各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部を制御するブレード制御モジュール;
・各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部のための電気切り替えを実施するブレードリレーモジュール;および/または
・各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部のために、とりわけ非常遮断のために電気エネルギーを蓄積し、提供する蓄電器モジュール、とりわけコンデンサモジュール。
(形態7)機械支持体において、前記第1の筒状部分は、前記垂直のタワー軸と一致する中央軸を有し、前記第2の筒状部分は、前記ロータ軸と一致する中央軸を有し、前記第1の筒状部分は、前記第2の筒状部分よりも大きな平均直径を有し、前記第1および/または第2の筒状部分は円錐形に構成されていることが好ましい。
(形態11)発電機支持構造物において、前記取り付けアタッチメントおよび/または軸ジャーナルは、冷却空気を前記ロータハブに案内するために中空に構成されており、および/または前記取り付けアタッチメントおよび/または軸ジャーナルは、当該取り付けアタッチメントおよび/または軸ジャーナルを通る空気流を形成するために送風機を有することが好ましい。
(形態14)ナセル構造体において、前記ベースプラットフォーム部分上に支持構造物が配置されかつ固定されており、 前記支持構造物は突き出た支持体部分を有し、当該支持体部分は、荷物を持ち上げるためのクレーン装置および/または前記吊りプラットフォーム部分に接続されており、かつ前記支持体部分で前記吊りプラットフォーム部分を部分的に保持、とりわけ部分的に懸架するための引張支持体(Zugtraeger)を備え、前記支持構造物は、上側プラットフォームを、とりわけ前記機械支持体の上方に支持し、前記上側プラットフォームの下方かつ前記ベースプラットフォーム部分の上方に中間プラットフォームを、とりわけ前記機械支持体に配置されたアジマス駆動部の上方に支持し、前記中間プラットフォームは、当該中間プラットフォームを通って前記アジマス駆動部にアクセスするために少なくとも1つの可動の床プレートを有し、および/または前記機械支持体および/または前記支持構造物に、ナセル外装またはその一部を支持および/または補強するためのフレームリングが固定されていることが好ましい。
(形態16)ナセルにおいて、請求項13または14に記載のナセル構造体と、前記ナセル外装またはその一部を支持および/または補強するためのフレームリングと、請求項1から4までのいずれか一項に記載のモジュール支持体と、請求項5に記載のロータハブと、請求項6から9までのいずれか一項に記載の機械支持体と、請求項10または11に記載の発電機支持構造物と、および/または請求項12に記載の取り付けアタッチメントと、
を有することが好ましい。
(形態19)風力発電装置の設置方法において、以下のうちの少なくとも1つを備えるモジュール支持体をあらかじめ作製することが好ましい:
前記ピッチ駆動部に電気エネルギーを供給するトランスモジュール、
デジタル情報を各ピッチ駆動部に直接または間接的に分配する分配モジュール、
各ロータブレードごとにそれぞれのピッチ駆動部を制御するブレード制御モジュール、
各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部に対する電気切り替えを実施するブレードリレーモジュール、および/または
各ロータブレードに対してそれぞれのピッチ駆動部のために、とりわけ非常遮断のために電気エネルギーを蓄積し、供給する蓄電器モジュール、とりわけコンデンサモジュール。
(形態20)風力発電装置の設置方法において、請求項17に記載の風力発電装置が設置されることが好ましい。
【0008】
このような電気モジュールは、風力発電装置の1つまたは複数のピッチ駆動部を制御するために使用される。とりわけ複数のロータブレードを有する風力発電装置では、対応して複数のピッチ駆動部が設けられている。ピッチ駆動部とは、風に対してロータブレードの仰角(Anstellwinkel)を調整する駆動部であり、これはピッチとも称される。少なくとも1つのピッチ駆動部がロータブレードごとに設けられている。したがって3つのロータブレードを有する風力発電装置では、少なくとも3つのピッチ駆動部が設けられている。1つのロータブレードに2つまたはそれ以上のピッチ駆動部を使用する場合、このことは信頼性を高めるため冗長性の理由から提案されるが、対応してより多くのピッチ駆動部を設けることができる。
【0009】
ピッチ駆動部は相応に制御すべきであり、そのために以下の電気モジュールを設けることができる。
【0010】
ピッチ駆動部に電気エネルギーを供給するために、すなわち外部の給電網から供給される電気エネルギーを変換するために、とりわけピッチ駆動部の制御に適する電圧に降圧するためにトランスモジュールが設けられる。すべてのピッチ駆動部に対して1つのトランスモジュールを設ければ十分であり、したがって1つのトランスが必要なだけである。もちろん複数のトランスモジュールを設けることもできる。
【0011】
さらに分配モジュールを設けることができ、この分配モジュールはとりわけデジタル情報を各ピッチ駆動部に分配する。とりわけ中央の制御値または設定値、例えばすべてのロータブレードに適用することのできる調整すべきロータブレード角は中央制御ユニットによって設定することができ、分配モジュールによってピッチ駆動部にさらに送出される。このさらなる送出はピッチ駆動部に対して直接行うこともできるが、ピッチ駆動部にそれぞれ割り当てられた制御ユニットに対して行うこともできる。このような制御ユニットはブレード調整モジュールに格納することができる。したがってこのようなブレード調整モジュールは各ピッチ駆動部に対してそれぞれ設けられるが、少なくとも各ロータブレードに対して設けるべきである。
【0012】
さらにブレードリレーモジュールを各ロータブレードに対して設けることができる。このようなブレードリレーモジュールは電気的切り替えを行うことができる。この切り替えには、外部の給電網に基づく従来の制御から、非常蓄電器に基づく制御への切り替えも含まれる。ブレードリレーモジュールも通常、各ロータブレードに対してそれぞれ設けられている。
【0013】
前記非常蓄電ユニットは蓄電器モジュールとして、すなわち電気エネルギーを蓄積するための蓄電器モジュールとして設けることができる。好ましい展開形態ではコンデンサモジュールが使用され、このコンデンサモジュールにピッチモータ、すなわちピッチ駆動部を制御するための電気エネルギーが蓄積される。このような蓄電器、すなわちこのような蓄電器モジュールも好ましくは各ロータブレードに対しても同様に設けられている。
【0014】
したがって3つのロータブレードを有する1つの風力発電装置に対しては、1つのトランスモジュール、1つの分配モジュール、3つのブレード調整モジュール、3つのブレードリレーモジュール、そして3つの蓄電器モジュールが必要である。したがってピッチ駆動部をすべて制御するのに必要なモジュールとして11のモジュールが必要となる。ピッチ駆動部は機能的な理由からロータブレードに、すなわち風力発電装置のロータハブに配置されている。ロータハブは必然的に、風力発電装置のその他の部分に対して、とりわけ風力発電装置のナセルのその他の部分に対して相対的に回転する。したがって前記モジュールは回転するロータハブにも設け、固定しなければならない。したがって11のモジュールを固定するための煩わしさを低減するために、モジュール支持体が提案される。このモジュール支持体、とりわけ本体上には上述のすべてのモジュールが固定され、この本体、すなわちモジュール支持体は、ロータ軸の軸方向でロータハブの前方に固定されるように構成される。本発明は、実質的に水平のロータ軸を有する風力発電装置から出発する。ロータ軸の軸方向でロータハブの前方とは、風力発電装置が所定のように使用される際に風に向かうロータハブの位置を基準にする。
【0015】
これには、風力発電装置、とりわけそのナセルを実質的に完成して建造することができ、風力発電装置の建造の終了時に全部のモジュールを備えたモジュール支持体を、上に記載したようにロータハブの前方に固定するだけで良いという利点がある。個々のモジュール、上の例では11のモジュールをモジュール支持体に取り付けることは、製造工場で容易に予め行うことができる。風力発電装置の設置場所では、このあらかじめ完成されたモジュール支持体、すなわちモジュールがすでに装着されたモジュール支持体をロータハブに固定すれば良いだけである。ピッチ駆動部に接続するための端子、および場合によりナセルへの接続は、例えば差込みプラグコネクタにより、および/またはスリップリング装置を介して行うことができる。これにより煩わしさとさらに前記モジュールを配置する際のエラー脆弱性も低減することができる。これにはコストの低減も伴う。風力発電装置の運転時には常時回転するロータハブに複数のモジュールを固定することには、ロータハブが回転するため特別の要求が課せられることに注意すべきである。モジュール支持体にモジュールを工場ホールであらかじめ装着することにより、個々のモジュールの場合による固定問題を低減することができ、それどころか排除することができる。さらにロータハブに常時の回転運動の他に振動が発生することも同様に特別の要求を課し、ロータハブにあるいずれかのエレメントの負荷につながる。
【0016】
支持本体および結果としてモジュール支持体も、好ましくはリングディスクとして構成されている。このようなリングディスクは基本的に円形に配置されたモジュール全体を格納し、ロータハブに固定することができる。これによりモジュールを回転軸の中心に実質的に対称に配置することができる。このことはスペースを有効に活用し、かつモジュールによる偏心性を回避する。ここでは、前記モジュールを有するそのようなモジュール支持体は、3MWの風力発電装置の場合、例えば1.5tの重量を有することがあることに注意すべきである。したがって好ましくは、モジュール支持体およびとりわけ支持本体がロータ軸に対して基本的に直角に配置されているモジュール支持体の構成が提案される。このことはとりわけ、実質的にリングディスクとして構成されたモジュール支持体ないしは支持本体の前記使用に対しても当てはまる。
【0017】
とりわけこれらのモジュールおよび場合によりロータハブの他のエレメントを保護するために、外装がロータハブに設けられ、この外装は一般的にスピナ外装と称される。したがってこのスピナ外装はとりわけモジュール支持体を直接覆い、これを天候から保護する。このためにモジュール支持体はスピナ外装の輪郭および大きさに適合することができる。例えばスピナ外装への適合は、前記のリングディスク状の構成を使用する場合でも行うことができる。
【0018】
スピナ外装は、とりわけロータハブの前方領域のために、すなわちモジュール支持体が存在することになる領域のためにスピナキャップを有することができる。このスピナキャップは、風力発電装置の設置の際に、残りのスピナ外装と接続される。搬送のために、このようなスピナキャップとモジュール支持体との間に弾性的(エラスティック)な接続部を設けることができる。モジュール支持体がロータハブに固定されても、スピナキャプを支持体モジュールに固定させることができる。弾性接続体を使用することにより、発生する応力を回避できる。
【0019】
さらに前記のようなモジュール支持体を有する風力発電装置のロータハブが提案される。このモジュール支持体は、保持装置によってロータハブの風を受ける側にリジッドに配置され、固定される。ここで固定は好ましくは、モジュール支持体がその本体とともに、すなわちモジュール支持体がロータ軸に対して実質的に直角に配置されるように行われる。さらに前記のように弾性的接続体を、モジュール支持体とスピナ外装との間、とりわけスピナキャップとの間に設けることができる。
【0020】
さらにギヤレス型(getriebelos)風力発電装置の機械支持体が、風力発電装置の空気力学的ロータと接続された発電機を支持するために提案される。ギヤレス型風力発電装置では、発電機が構造技術的寸法のほとんどすべてを占める。このような発電機は、大凡の値を明確化のために述べれば、5mの直径、1mの奥行き、50tを大きく超える重量を有することがある。このような発電機を最終的には機械支持体により支持しなければならない。さらにこれに空気力学的ロータ、すなわちとりわけロータブレードによる重量と風力負荷が加わる。これらの力はすべて最終的に機械支持体を介して風力発電装置タワー(支柱)に伝達しなければならない。したがって機械支持体は、発電機およびロータからタワーへの伝達エレメントであり、機械支持体はアジマスベアリング上に固定されている。空気力学的ロータおよび電気的ロータも実質的に水平のロータ軸を有するが、これに対してタワーは実質的に垂直のタワー軸を有する。実質的に水平のロータ軸とは、これが垂直にはまたは近似的に垂直には起立していないと理解すべきである。水平のロータ軸は風力発電装置の本形式にも関わるものであり、すなわちこの形式はいわゆる水平軸型風力発電装置である。ロータ軸が軽く傾斜した位置も、実質的に水平ロータ軸に入る。
【0021】
提案された機械支持体は、それぞれ略筒状の第1と第2の部分を有する。これら2つの筒状部分は部分的に貫通している。とりわけ第1の筒状部分は、これが第2の筒状部分を受け入れるように構成されている。したがって第2の筒状部分は、一部が第1の筒状部分を貫通する。さらに第1の筒状部分の部分は第2の筒状部分の内部にも存在し、したがって第1の筒状部分も第2の筒状部分を貫通する。2つの筒状部分の少なくとも一方が、他方を少なくとも部分的に貫通することになる。
【0022】
ここで筒状部分とは、円錐形でもありうる筒から打ち抜かれた形状を有するそれぞれの部分であると理解すべきである。少なくとも円形(リング状)の部分が存在する。
【0023】
好ましくは第1の筒状部分は、垂直(鉛直)のタワー軸に一致する中央軸を有する。このような中央軸は、前記円形リング部分を垂直に通る軸にも相当する。垂直のタワー軸が第1の筒状部分の前記中央軸に絶対的に正確に一致するかどうかは重要ではない。それにもかかわらず好ましい形態では、第1の筒状部分を、同様に筒状のタワーの継続部と実質的に見なすことができる。
【0024】
同様に好ましくは、第2の筒状部分がロータ軸に一致する中央軸を有することが提案される。発電機および/またはロータハブを支持するために、軸ジャーナルおよび/または取り付けアタッチメントを設けることができ、これら自身もロータ軸、すなわちロータの回転軸に一致する中央軸を有する。この軸ジャーナルおよび/または取り付けアタッチメントは、機械支持体の第2の筒状部分の継続部とすることができる。
【0025】
提案された機械支持体のこの実施形態について分かりやすく言えば、タワーと軸ジャーナルないしは取り付けアタッチメント(Aufnahmezapfen、短筒部)とが接続される。ここでそれらの軸は好ましくは機械支持体内で一致する。
【0026】
好ましくは第1の筒状部分は、第2の筒状部分よりも大きな平均直径を有する。この実施形態は、通常の場合、タワーも軸ジャーナルないしは取り付けアタッチメントも軸方向にそれぞれ一定の直径を有していないにもかかわらず、一方でタワー直径と他方で軸ジャーナルまたは取り付けアタッチメントの直径との最大比を反映することができる。それにもかかわらず一実施形態では、機械支持体内にある両方のエレメントの継続部を見ることができる。好ましくは2つの筒状部分の少なくとも一方、とりわけ両方が円錐形に構成されている。これも、一方ではタワーの形状の前記継続部に、他方では軸ジャーナルないしは取り付けアタッチメントの形状の前記継続部に適合する。したがって提案された機械支持体は、発電機およびロータハブとタワーとの間で適切で安定した力伝達を行う。
【0027】
好ましくは機械支持体は、側方貫通(通り抜け)開口部(Durchgangsoeffnung)が設けられるように構成されている。この側方貫通開口部は、これがヒトに対してタワーの内部からナセルへの経路を形成するように構成されており、この経路は、第1の筒状部分の内部領域を通って延在し、第2の筒状部分の側方を通過する。とりわけ第1の筒状部分の直径が比較的大きく、第2の筒状部分の直径が比較的小さく、第2の筒状部分が第1の筒状部分により基本的に受け入れられている構成では、ヒトが通り抜けるための前記構成に利用することのできるサイズの関係が得られる。
【0028】
機械支持体が鋳造部材として、すなわちスチール鋳造部材として設けられていると有利である。これにより中実で安定したエレメントが機械支持体として得られる。したがい、第1と第2の2つの筒状部分の前記筒状の構成は、最終的にただ1つの鋳造部材に設けられることを強調する。すなわち見た目では2つの筒状部分の間を少なくとも一部が貫通するが、この貫通は2つの筒状部分が組み立てられていることを意味するものではない。そうではなく前記構成は、風力発電装置の状況を勘案するために、とりわけ負荷伝達を所期のように達成するために意図的に選択されたものである。とりわけ分かりやすく言えば、実質的に水平のロータ軸から実質的に垂直のタワー軸へ負荷が偏向される。
【0029】
好ましくは機械支持体は、アジマス駆動部を格納するために1つまたは複数の格納部分を有する。具体的な装置に応じて例えば4から20の、好ましくは12のアジマス駆動部を設けることができる。したがってこのアジマス駆動部は、このそれぞれの格納部内で機械支持体に直接固定される。したがって機械支持体をタワーに対して相対的に回転することができ、ひいては風力発電装置のナセルを、とりわけそのロータも含めて風に向けて回転することができる。
【0030】
とりわけ本発明によれば、ギヤレス型風力発電装置の発電機を支持するための発電機支持構造物が提案される。発電機はステータとロータを有する。ロータは電気的ロータと称され、ロータブレードを有する空気力学的ロータとの混同を回避する。この理由から、概念「電気的ロータ」の代わりに概念「回転子」を使用することができる。
【0031】
発電機支持構造物は、機械支持体、とりわけ前記実施形態の1つの機械支持体を有することができる。さらにステータ支持体を機械支持体に固定し、支持するための取り付けアタッチメントを設けることができる。したがってこの取り付けアタッチメントは機械支持体に固定され、機械支持体にステータ支持体が固定される。ステータ支持体は好ましくは釣り鐘形ステータとして構成することができる。したがってステータ支持体は、その縁部でステータを支持するために略釣り鐘形の形状を有し、中央領域で取り付けアタッチメントに固定するために設けられている。この場合、ステータは通常の使用では取り付けアタッチメントに同心に配置され、したがってロータ軸に同心に配置される。
【0032】
対応してステータ支持体を発電機支持構造物の一部として設けることもできる。さらに電気的ロータないしは回転子を取り付けアタッチメントに固定し、支持するために軸ジャーナルを設けることができる。同時に軸ジャーナルは、空気力学的ロータを備えるロータハブを支持することができる。ここで軸ジャーナルは取り付けアタッチメントに強固に固定され、電気的ロータと空気力学的ロータの支持は、電気的ロータと空気力学的ロータとを軸ジャーナル上に回転可能に支承するために少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのベアリングによって行われる。2つのベアリングが使用される場合には、これらのベアリングは好ましくは、軸ジャーナルの軸を基準にして軸ジャーナルの2つの外端部に設けられる。これにより高い傾斜安定性が達成される。
【0033】
とりわけ発電機支持構造物は、機械支持体、取り付けアタッチメント(ないし短筒部、Aufnahmezapfen)ステータ支持体および軸ジャーナルをセットで含む。ここで取り付けアタッチメントは、機械支持体、ステータ支持体、および軸ジャーナルの間の接続部材である。したがって取り付けアタッチメントは、機械支持体と軸ジャーナルとの間に配置され、ステータ支持体は実質的に取り付けアタッチメントの周囲に配置される。この構成により、取り付けアタッチメントとステータ支持体とを別個のエレメントとして設けることができ、とりわけ別個のエレメントとしてその製造工場から風力発電装置の設置場所に搬送することができる。取り付けアタッチメントもステータ支持体も、それぞれが10t超、例えば13tまたは14tの重量を有することがあり、これらの重量を別個に搬送することができる。
【0034】
好ましくは取り付けアタッチメントおよび/または軸ジャーナルは、そこを通して冷却空気を導くために、すなわち軸方向に導くために中空に構成されている。これにより冷却空気をナセルの定置部分からナセルの回転部分へ、すなわちいわゆるスピナへ、つまりロータハブの領域へ導くことができる。このためには、冷却空気を案内するために中空空間が対応して大きく構成されていると有利である。とりわけこの空間は、軸ジャーナルおよび/または取り付けアタッチメントを通して電気線路を敷設するために必要とされるよりも大きく構成される。好ましくは軸ジャーナルないしは取り付けアタッチメントの中空空間の容積は、軸ジャーナルないしは取り付けアタッチメントの壁を形成する材料の体積よりも大きい。好ましくは中空空間の半径は、壁厚よりも大きい。したがってそれぞれの外径は、対応する内径の2倍未満である。好ましくは外径は、内径よりも20から50%だけ大きい。
【0035】
別の実施形態によれば、取り付けアタッチメントないしは軸ジャーナルを通る空気流を形成するために、取り付けアタッチメントおよび/または軸ジャーナル内に送風機を配置することが提案される。このような送風機は、軸方向に空気を取り付けアタッチメントないしは軸ジャーナルに吹き込むことができる。このために軸ジャーナルまたは取り付けアタッチメント内にシールドのための横壁を設けることができ、この横壁内に送風機が配置される。
【0036】
さらに本発明によれば、上に記載したように取り付けアタッチメントを設けることが提案される。発電機支持構造物および取り付けアタッチメントも、ギヤレス型風力発電装置のために設けられる。ここでは、空気力学的ロータが電気的ロータと、すなわち回転子と直接機械的に、すなわち強固に結合されている構造であると理解すべきである。このような風力発電装置形式は、対応して大型の電気ロータを備える対応して大型の発電機を前提としており、とりわけ極数の多い発電機を前提とする。このために通常、いわゆるリング式発電機が使用され、リング式発電機ではロータとステータの電気力学的コンポーネントが実質的に1つのリング上に配置されている。このような発電機を支持するために発電機支持構造物および対応する取り付けアタッチメントが使用される。
【0037】
加えて本発明によれば、風力発電装置のナセルのナセル構造体が提案される。このナセル構造体も、とりわけギヤレス型(getriebelos)風力発電装置のために提案される。このようなナセル構造体は、ナセル外装の少なくとも一部、ナセル内の技術的装置、および/またはナセル内でヒトを支持するために設けられる。提案されたナセル構造体は、機械支持体にリジッド(剛)に固定された少なくとも1つのベースプラットフォーム部分を含む。したがってこのベースプラットフォーム部分は、ヒト、とりわけ保守要員も踏み入れる固定部分である。このベースプラットフォーム部分は、好ましくは下方領域で機械支持体の周囲に配置されている。したがってこのベースプラットフォーム部分上では、機械支持体のすぐ横に人間が立つこと、ないし技術的機具を配置すること、ができる。
【0038】
さらに、機械支持体および/またはベースプラットフォーム部分に実質的に懸架形式で配置された吊りプラットフォーム部分が提案される。このような吊りプラットフォーム部分は、とりわけ機械支持体の後方の後方領域に配置することができ、これにより技術的装置および/またはヒトが赴くための空間を形成する。実質的に懸架形式の構造により、この吊りプラットフォーム部分は簡単に設けることができる。
【0039】
好ましくはベースプラットフォーム部分の上には支持構造物が配置され、固定される。この支持構造物は突き出た支持体部分、とりわけダブルT字形支持体のようなスチール支持体を有する。この支持体部分は、とりわけ機械支持体の上方の領域に配置されており、荷物を持ち上げるためのクレーン装置を有することができる。支持体部分は好ましくは後方に向かって、すなわち機械支持体の後方の領域へ、すなわちハブ側とは反対の領域へ伸張している。さらにまたは択一的に支持体部分は、吊りプラットフォーム部分に接続された少なくとも1つの引張支持体(Zugtraeger、張力で支える支持体)と接続することができ、これにより吊りプラットフォーム部分を部分的に保持する。この保持は、とりわけ懸架形式で行われる。それにもかかわらず引張支持体は引張バーとして構成することもできる。
【0040】
したがってこの支持構造は、二重機能を果たすことのできる支持体部分を提供する。すなわちクレーンとして使用することができ、吊りプラットフォーム部分を支持することのできる支持体部分である。これにより、吊りプラットフォーム部分を機械支持体またはベースプラットフォーム部分にリジッドに固定しなければならない場合よりも、吊りプラットフォーム部分をさほど大規模に構成する必要がない。
【0041】
さらにまたは択一的に支持構造物は上側プラットフォーム、すなわちベースプラットフォームまたはベースプラットフォーム部分に対してより高い位置に配置されたプラットフォームを有する。とりわけこの上側プラットフォームは、機械支持体の上方かつその上に亘って(ueber)配置されている。この上側プラットフォームは、例えば整流器のような電気装置を格納することができる。さらに支持構造物は、ベースプラットフォーム部分と上側プラットフォームとの(高さ方向での)間に配置された中間プラットフォームを支持する。とりわけこの中間プラットフォームは、機械支持体の横に、または機械支持体の半分の高さに配置されている。とりわけベースプラットフォーム部分は、アジマス駆動部の上方に配置されている。したがってこの空間は、そこに保守要員として立ち入ることができようにし、また簡単にアジマス駆動部にアクセスできるようにするためアジマス駆動部の直接上方で使用することができる。アジマス駆動部をそこで保守し、または場合により交換するため、中間プラットフォームの一部、とりわけ可動の床プレートを設けることができるが、この床プレートは上記目的のために除去することができる。
【0042】
さらにまたは択一的に機械支持体には、および補充的にまたは択一的に支持構造物にはフレームリング(ないし肋材リング、Spantring)が配置されており、このフレームリングはナセル外装またはその一部を支持し、または少なくとも補強することができる。これにより比較的に大型のナセル、および大型のナセル外装も可能であり、このナセル外装はこのようなフレームリングにより付加的な安定性、およびとりわけ補強を得ることができる。
【0043】
加えて本発明によれば、風力発電装置、とりわけギヤレス型風力発電装置のナセルが提案される。このようなナセルは、風力発電装置の運転に必要な技術的装置を格納する。これにはとりわけ発電機並びにその電気端子も入る。機械支持体と他の構造的エレメントもナセル内に格納されており、ナセルは技術的装置を天候から保護するためにナセル外装を含む。言い替えると、ナセル外装によって実質的に閉鎖された運転空間が形成される。
【0044】
ナセル外装には、ナセルの通気のために外気を導入し、および/または風力発電装置またはその一部を冷却するために通気開口部が設けられている。少なくとも1つの通気開口部が設けられている。通気開口部は、流入する空気の湿気を遮断するために水滴分離器を有している。この水滴分離器を備える開口部は、好ましくはナセルの側面領域、すなわちナセル外装に設けられている。
【0045】
これまでは必要な場合には、雨に対して保護された開口部を通って空気がナセルに流入できるのが一般的であった。このような保護された開口部は、例えばナセルの下部にあるタワーへの移行領域に設けることができる。ナセルがアジマス調整の際にタワーに対して運動するから、この個所には開口リングスリットが通常設けられている。例えば霧が存在したり、または豪雨のような天候条件の際には、そのような雨に対して保護された開口部を通って空気とともに湿気が取り込まれる危険性があった。水滴除去器を使用することにより、これに関しての解決手段が提案される。乾燥した空気を取り入れる別の展開形態は、空気をタワー内部からナセルに流入させることである。しかしタワー空気は一部では暖かすぎることが分かっている。なぜなら空気が装置により、とりわけタワー脚部ですでに加熱されているからである。対応してタワー空気は冷却に非常に良く適したものではない。提案された解決手段は、過度に暖かい空気をタワーから取り込むことを回避する。したがって好ましくは実質的に気密な密閉部がナセル外装とタワーとは移行領域にも、タワー内部への移行領域にも存在し、これにより冷却空気の取り込みは、前記水滴除去器を通過した外気に所期のように限定される。
【0046】
したがってナセル内には少なくとも1つの送風機が冷却のために設けられている。この送風機は、第1のナセル領域から冷却を必要とする領域に空気を送る。これによりこの第1のナセル領域に負圧が発生し、この負圧により水滴除去器を備える開口部を介して外気がこの第1の領域に吸入される。例えば外気は外部から水滴除去器を通ってナセルの第1の領域に流入することができ、そこでさらに送風機によって取り付けアタッチメント(短筒部)にある中空空間を通り、さらに軸ジャーナルにある中空空間を通りスピナ領域へ、すなわちハブ領域へ流入することができ、そこで例えばピッチ駆動部およびそれらのモジュールのような電気装置を冷却する。次に空気は、スピナ領域ないしはハブ領域からスピナ外装とナセル外装との間の移行領域で、すなわち定置の外装と回転する外装との間の領域でナセルから再び流出する。
【0047】
したがって好ましいナセルおよび好ましい風力発電装置は、少なくとも1つの本発明によるナセル構造体、ナセル外装またはその一部を支持および/または補強するフレームリング(ないし肋材リング、Spantring)、本発明のモジュール支持体、本発明のロータハブ、本発明の機械支持体、本発明の発電機支持構造物および/または本発明の取り付けアタッチメントを含む。
【0048】
本発明の風力発電装置は、とりわけ本発明のナセルを有する。したがって好ましくはナセル外装とタワーとの移行領域は外気の空気浸入に対する密閉部が設けられており、および/またはタワーはその内部でタワー内部からの空気の空気浸入に対して密閉されている。このために例えばタワーの上部領域に、対応して気密に構成された中間プラットフォームを設けることができる。ここでの空気気密はまったく小さな開口部を有することができることを強調しておく。密閉は、密閉領域を通ってナセルへ空気が達しないか、または少量の空気しか達しないように行うべきである。とりわけ強い空気流は阻止されるべきであるが、小さな空気流は許容することができる。このような中間面にある開口部が、例えば保守要員が通過できるようにするためタワー内で開放されることも無害であり得る。エアロックは必ずしも必要ではないが、設けることができる。
【0049】
本発明では、風力発電装置を設置する方法が提案される。ここでは、風力発電装置の1つまたは複数のピッチ駆動部を制御するために設けられた電気モジュールを備える予め組み立てられたモジュール支持体ないしあらかじめ装着されたモジュール支持体、とりわけ本発明のモジュール支持体が使用される。風力発電装置は、少なくともナセルおよびとりわけハブに関しては可能な限り一緒に組み立てられる。ここではすでにロータブレードが設けられているか、またはロータブレードは後で初めて配置される予め組み立てられたハブにモジュール支持体が装備される。したがってモジュール支持体はロータハブに固定され、したがってピッチ駆動部の運転に必要なモジュール全体が所定の位置にある。必要な電気接続は、対応するプラグコネクタを介して簡単に行うことができる。ナセルの定置部から電気エネルギーまたは電気信号を供給するために、スリップリング装置を設けることができ、このスリップリング装置はとりわけ軸ジャーナルの前方に配置することができる。実質的に円形ディスクまたはリングディスクとして構成されたモジュール支持体を使用する場合、スリップリング装置がロータハブへのモジュール支持体の固定を邪魔することはなく、モジュール支持体の中央の切欠領域内に存在する。最後に、スリップリング装置の対応の線路との電気接続も、モジュール支持体ないしその上に配置されたモジュールとのプラグコネクタによって簡単に行うことができる。とりわけスリップリング装置とトランスモジュールおよび/または分配モジュールとの接続が行われる。
【0050】
以下、本発明を実施例に基づき添付図面を参照して例として説明する。
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。

【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】一風力発電装置の斜視図である。
図2】本発明のナセルの部分断面側面図である。
図3】機械支持体の斜視図である。
図4図3の機械支持体300の前方断面図である。
図5図3の機械支持体の側面図である。
図6】取り付けアタッチメント(短筒部)の側面から見た断面図である。
図7図6の取り付けアタッチメント(短筒部)の内室に嵌め込むための送風機を備える取り付け部を示す図である。
図8】電子モジュールのためのモジュール支持体を有するロータハブの斜視図である。
図9】モジュール支持体を有する図8のロータハブの側面図である。
図10図8図9のモジュール支持体を、取り付けられておらず装着されていない状態で示す斜視図である。
図11図10のモジュール支持体の正面図である。
図12】機械支持体を有するナセル構造の側面図である。
図13図12のナセル構造を正面から見た断面図である。
図14】ナセルの概略的斜視図である。
【実施例】
【0052】
図1は、タワーと、このタワーに配置されたナセルとを有する風力発電装置の斜視図であり、前記ナセルは3つのロータブレードを備えるハブを有する。ナセルには後方のナセル外装102が示されており、このナセル外装はナセルの非回転部分を支持し、基本的にナセルの後方部分である。さらにスピナ外装104がロータブレードの付け根領域に示されている。最後に、所期のように風に向いたスピナキャップ106が示されている。スピナキャップ106の領域はとりわけナセルの前方領域である。
【0053】
図2は、本発明のナセルを原則的に側面から見た断面(縦方向断面)図で示す。このナセルは実質的に以下のエレメントを有する。
【0054】
すなわち、ロータブレード1、ブレードフランジベアリング2、ブレード調整駆動部3、ブレード調整モータ4、スリップリング体5、軸カバー6、前方ベアリングカバー7、2列の円錐転がり軸受け8、ロータハブ9、軸ジャーナル(短軸)10、取り付けアタッチメント(短筒部)11、円筒転がり軸受け12、後方ベアリングカバー13、機械支持体14、アジマスモータ15、アジマス伝動装置16、アジマスベアリング17、ヘッドフランジを有するタワー18、ステータ支持リング19、ステータパケット20、ディスクロータ21、ポールパケット22、電磁的ブレーキキャリパ23、釣り鐘形ステータ24、ロータロック部25、中央潤滑装置26、航空障害灯27、ハイブリッド型風センサ28、例えば250kgの積み荷に対して設計された電気式チェーンクレーン29、ナセルファン30および受動型リアクーラ31である。
【0055】
図3の機械支持体300は、第1の筒状部分301と第2の筒状部分302とを有する。第1の筒状部分301は実質的に垂直の中央軸を有する。第1の筒状部分には第1の筒フランジ部分303が配置されており、この第1の筒フランジ部分によって機械支持体がタワー上のアジマスベアリングに固定される。第1の筒フランジ303の領域には取り付けアタッチメント306が、アジマス駆動部、すなわちアジマスモータを格納するために配置されている。各格納部分306はそれぞれ6つのモータ開口部308を、それぞれ1つのアジマスモータを格納するために有する。
【0056】
第2の筒状部分は実質的に水平の中央軸を有し、この中央軸は水平方向からやや傾斜している。第2の筒状部分302には第2の筒フランジ304が配置されており、この第2の筒フランジの周囲に取り付けアタッチメントが固定される。
【0057】
したがって第1と第2の筒状部分301と302は、それらの中央軸を基準にして実質的に互いに直交する方向に配置されている。第1の筒状部分301は、第2の筒状部分302よりも格段に大きな直径を有する。第2の筒状部分302は、実質的にこれが第1の筒状部分301によって格納されるように構成されている。第1の筒状部分301はとりわけ内部支持部分310を含み、この内部支持部分は第2の筒状部分302内に形成されている。この内部支持部分310は第2の筒フランジ304の開口部を通して見ることができ、機械支持体300の頸部領域312、すなわち第1と第2の筒状部分301、302の間の移行部を補強するために必要である。この機械支持体300を使用する際にはメイン負荷がこの頸部領域312で予想される。内部支持部分310の中抜き部314は、保守要員のためのハッチ開口部として設けられている。
【0058】
第2の筒状部分302の第2の筒フランジとは反対側では第1と第2の筒状部分301、302の間の接続領域に、周回する支持パッド316が配置されている。これにより第2の筒状部分302のこの裏側位置には、前記内部支持部分310に対応する支持部分を設ける必要がない。
【0059】
図4には、機械支持体300を前方から見た断面図が示されており、図5は機械支持体300の側面図を示す。図5には第2の筒状部分302の中央軸318が示されており、水平の補助線320に対して軽く傾斜していることが分かる。水平軸式風力発電装置と比較して、中央軸318は実質的に水平であると見なすことができる。
【0060】
図6の取り付けアタッチメント(短筒部)600は、機械支持体側のフランジ602、軸ジャーナル側のフランジ604および中央固定フランジ606を有する。フランジ602、604および606は、基本的に取り付けアタッチメント600全体と同じように、取り付けアタッチメントの中央軸608を中心に回転対称である。中央軸608は、所期のように配置された場合にはロータハブの回転軸に相当する。
【0061】
機械支持体側のフランジ602によって、取り付けアタッチメント600は図3の機械支持体300の第2の筒フランジ304に配置され、固定される。固定のために複数の貫通孔部610並びにネジ固定される複数の有底孔部612が設けられている。
【0062】
軸ジャーナルを軸ジャーナル側のフランジ604に固定するためにも同様に、複数の孔部614と616が設けられている。
【0063】
ステータ支持体、すなわちとりわけ釣り鐘形ステータを取り付けアタッチメント600に固定するために、中央固定フランジ606、並びに機械支持体側のフランジ602が設けられている。機械支持体側のフランジ602は、そのために複数の貫通孔部618を有する。さらに中央固定フランジ606には、ネジの設けられた有底孔部620が装備されている。したがって機械支持体は、軸方向にずらされた2つのフランジ602と606に傾斜しないよう配置することができる。
【0064】
取り付けアタッチメント600と、機械支持体300、ステータ支持体および軸ジャーナルとの前記組み立てが図2にも示されている。そこでは取り付けアタッチメントが参照符号11を、機械支持体が参照符号14を、軸ジャーナルが参照符号10を、そして釣り鐘形ステータが参照符号24を有する。
【0065】
とりわけ2つの筒状部分301と302は円錐形に構成されていることが分かる。2つの筒状部分301、302は、その第1ないしは第2の筒フランジ303、304の領域においては、これに対向する領域におけるよりも大きな直径を有する。
【0066】
図7は、図6の取り付けアタッチメント600ないしは図2の取り付けアタッチメント11に嵌め込むための、送風機702を備えた取り付け部700を示す。送風機702を備えるこの取り付け部700は、図2にも装填された状態で図示されている。したがって送風機702は、空気を取り付けアタッチメント600の内室622に吹き込むことができる。
【0067】
取り付け部700は通常、取り付けアタッチメント600の内室622が閉鎖されるように構成されており、したがって送風機702によってのみ空気を内室622に吹き込むことができる。これにより、吹き込まれた空気が再び逆方向に向けられて内室622から流出することが回避される。したがって取り付け部700は、送風機702を支持し、同時に取り付けアタッチメント600の内室622を通常は閉鎖する役目を有する。
【0068】
ロータハブ800は、それぞれのロータブレードを固定するためのブレード格納部802を有する。ロータブレードはピッチ駆動部によってその仰角を調整することができる。このために各ブレード格納部には、ピッチ駆動部を格納するためのピッチモータ格納部804が設けられている。さらにロータハブ800は2つのロータ固定フランジ806を、発電機の電気的ロータ、すなわち回転子と傾斜不能に結合するために有する。ロータハブ800は、所期のように軸ジャーナル上に回転可能に支承される。これによりロータハブ800と固定された電気的ロータも同様に回転可能に支承される。このために図9は、ロータハブ800の中央軸808、すなわち空気力学的ロータの回転軸でありかつ同時に電気的ロータの回転軸を示す。軸ジャーナル上でのロータハブ800の配置は図2の側面図に示されている。そこではロータハブ9が2列の円錐転がり軸受け8と円筒転がり軸受け12によって軸ジャーナル10上に回転可能に支承されている。ディスクロータのロータハブ9での固定も断面図に示されている。とりわけ軸100が図2に示されており、この軸は種々のエレメントに対する回転軸と中央軸を形成する。
【0069】
ピッチモータ格納部804内に配置されているピッチ駆動部用の種々の電気モジュールを設けるために、モジュール支持体810が設けられている。モジュール支持体810は取り付け支柱812によってロータハブ800に固定されている。モジュール支持体810も中央軸808に実質的に同心に配置されている。モジュール支持体810上には種々の電気モジュール814が固定されている。ここで電気モジュール814はモジュール支持体810からロータハブ800の方向を指向している。
【0070】
ロータハブ800が図2の軸ジャーナル10のように軸ジャーナル上に所期のように配置される場合、スリップリング体、すなわち図2のスリップリング体5はモジュール支持体810の中央を通って自由領域へ突き出る。このスリップリング体5を取り付けまたは取り外すために補助プレート816が設けられており、この補助プレート上には保守要員が立ち、作業をすることができる。2つの補助プレート816の間には切欠部818が示されている。この切欠部は、保守要員が通り抜けて昇るために、そしてスリップリング体5を取り付けおよび取り外しする際には作業空間として使用することができる。とりわけスリップリング体は、取り外しの際にこの切欠部に降下させることができる。
【0071】
モジュール支持体810を、図2にスピナキャップ40として図示されたステータキャップに弾性的に固定するために、エラスティックな接続手段820がペアでモジュール支持体810上に分散配置されている。
【0072】
スリップリング体5、モジュール支持体810およびスピナキャップ40の配置は図2に示されている。
【0073】
モジュール支持体810を使用することにより、ピッチ駆動部を設けるためのモジュールを簡単に設けることができる。ディスクロータ上でのこのような電気モータのこれまで公知の位置決めがこれにより改善される。
【0074】
図12は、タワー110の上方に配置された機械支持体300を示す。機械支持体300に固定されており、実質的にその周囲に形成されているのはナセル構造体200である。ナセル構造体200は、ベースプラットフォーム部分ないしはベースプラットフォーム202を有し、ベースプラットフォームは機械支持体に、とりわけそこの格納部分306にリジッドに固定されている。ベースプラットフォームないしはベースプラットフォーム部分202上には支持構造物204が配置されており、この支持構造物は複数の鉛直の支持支柱206および水平の支持支柱208を有する。これにより、基本的に機械支持体300を改装する支持構造物204が得られる。さらに、機械支持体300の上方にこの支持支柱は上側作業プラットフォームを形成し、この作業プラットフォームの上に保守要員が立ち作業をすることができる。またこの作業プラットフォームの上には電気モジュール212、例えば整流器または他の制御キャビネットを配置することができる。
【0075】
ベースプラットフォーム202ないしはベースプラットフォーム部分202と上側作業プラットフォーム210との間の約半分の高さに中間プラットフォーム214が設けられている。図13から分かるように、機械支持体300の各側にはそのような中間プラットフォームが設けられている。この中間プラットフォーム214の下方には、アジマスモータ216ないしはアジマス駆動部216が配置されている。したがって中間プラットフォーム214から脱着可能な床プレートを通して、アジマス駆動部216にアクセスすることができる。
【0076】
さらに支持構造物204には、突き出た支持部分218が実質的にスチール支持体の形態で配置されている。この突き出た支持部分218は第1および第2の保持ロッド220と222を介して付加的に支持構造物204に保持されている。
【0077】
この突き出た支持部分218は少なくとも2つの役目を果たす。すなわち荷物を操作するためと、場合により荷物を外部からナセルに持ち上げるためにクレーン装置224が設けられている。対応して図2でも、そこでは参照符号29の付されたクレーンの下方に荷物開口部125が設けられている。
【0078】
さらに突き出た支持部分218は、吊りプラットフォーム部分226を2つの第3の保持ロッド228によって支持するために用いられる。さらに吊りプラットフォーム部分226は、接続領域230でベースプラットフォーム部分202に固定される。しかし接続領域230での固定はリジッドではない。接続領域230での固定と、3つの保持ロッド228による保持によって、この吊りプラットフォーム部分226が簡単に形成される。好ましくは場合により電気線路を吊り部分ないしは吊りプラットフォーム部分226内に敷設することができる。
【0079】
さらに図13は、タワーからナセルに達する入口梯子232を示す。したがってこの入口梯子232はタワーからナセルへの入口開口部234を通る経路であり、したがって入口経路は第1の筒状部分301を通り、第2の筒状部分302の外側を通過する。
【0080】
有利には前記中間プラットフォーム214はアジマスモータの上方に設けられている。この構成は、機械支持体の上方に上側プラットフォームが省略された場合でも有利である。
【0081】
図14のナセルは、定置のナセル外装112と、スピナ外装116を備えるスピナ114と、スピナキャップ118とを有する。簡単にするためロータブレードは図示されておらず、それらの格納部120と固定のロータブレード突起122だけが図示されている。さらに冷却体124が図示されている。図14はさらに障害灯126、測定マスト128および同様に概略的に受動型リアクーラー31を示す。
【0082】
さらに2つの通気開口部130が固定のナセル外装112に示されている。これら通気開口部130は水滴除去器を有し、したがってこの通気開口部130を通って空気がナセルに流入することができ、場合により水滴として存在する湿気は除去される。好ましくは通気開口部130の少なくとも1つの水滴除去器は加熱可能であり、これにより外気温が冷えているときには水滴除去器の凍結および通気開口部130の閉塞が阻止される。外気温が低い場合には冷却の必要性がさほどないから、通気開口部130の一部だけにこのような加熱装置を設けるだけで十分である。
【0083】
この通気開口部130を通ってナセルに流入し、図2に示すように例えば取り付けアタッチメント11および軸ジャーナル10を通ってスピナに達する空気は、スピナ外装116と固定のナセル外装112との間の接続領域132を通って再び流出することができる。
【0084】
加えて図2には、発電機の直径、とりわけステータリング19とステータパケット20の直径が、この領域でのナセルのナセル外装の直径よりも格段に小さいことが示されている。
【符号の説明】
【0085】
1 ロータブレード
5 スリップリング体
9、800 ロータハブ
10 軸ジャーナル
11、306、600 取り付けアタッチメント
14、300 機械支持体
100 風力発電装置
102 ナセル外装
104 スピナ外装
106 スピナキャップ
130 通気開口部
204 支持構造物
301 第1の筒状部分
302 第2の筒状部分
318 中央軸
622 内室
702 送風機
810 モジュール支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14