特許第5758049号(P5758049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5758049光子エネルギーを電気エネルギーに変換する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758049
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】光子エネルギーを電気エネルギーに変換する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/108 20060101AFI20150716BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20150716BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20150716BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20150716BHJP
【FI】
   H01L31/10 C
   G01J1/02 A
   B82Y40/00
   B82Y20/00
【請求項の数】16
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-517854(P2014-517854)
(86)(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公表番号】特表2014-527708(P2014-527708A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】FI2012050567
(87)【国際公開番号】WO2013001153
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2014年1月7日
(31)【優先権主張番号】13/172,097
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】398012616
【氏名又は名称】ノキア コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】コッリ アラン
【審査官】 濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 G.Fan,"Graphene/Silicon Nanowire Schottky Junction for Enhanced Light Harvesting",Applied Material and Interfaces,Vol.3 No.3 (March 23, 2011),p.721-725
【文献】 T.V.Cuong,"Solution-processed semitransparent p-n graphene oxide:CNT/ZnO heterojunction diodes for visible-blind UV sensors",physica status solidi (a),Vol.208, No.4 (13 January 2011),pp.943-946
【文献】 J.M.Lee,"Vertical Pillar-Superlattice Array and Graphene Hybrid Light Emitting Diodes",Nano Letters,Vol.10 (07/07/20108),pp.2783-2788
【文献】 C.Xie,"Monolayer graphene film/silicon nanowire array Schottky junction solar cells", Applied Physics Letters,Vol.99, No.1 (28 September 2011),133113
【文献】 T.Feng,"Graphene based Schottky junction solar cells on patterned silicon-pillar-array substrate", Applied Physics Letters,Vol.99, No.23 (7 December 2011),233505
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノピラーとグラフェンフィルムを備える装置であって、前記グラフェンフィルムは前記ナノピラーの第1の端部との接点に接触していて、前記ナノピラーは金属を備え、前記接点は前記グラフェンフィルム内に固有場領域を形成するように構成され、前記装置は前記固有場領域で光生成した荷電キャリアからの光電流を発生させるように構成される、装置。
【請求項2】
前記金属は金,白金,パラジウムおよびニッケルのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ナノピラーはナノワイヤ,単層ナノチューブまたは多層ナノチューブの何れかである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記グラフェンフィルムは少なくとも1層のグラフェンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は実質的に並列のナノピラー配列を備え、前記グラフェンフィルム内に複数の固有場領域を形成するために、前記グラフェンフィルムは複数のナノピラーと物理的に同時に接触している、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ナノピラーは20nmから500nmの間の直径を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ナノピラーは100nmから400nmの間の平均間隔を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は第1および第2の電気接点を備え、前記グラフェンフィルムは前記第1電気接点に接触している、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置を備える、光検出器。
【請求項10】
金属を備えるナノピラーを提供することと;
前記ナノピラーの第1の端部と接点で接触するグラフェンフィルムを提供することであって、前記接点はグラフェンフィルム内に固有場領域を形成するように構成される、前記提供すること;
前記固有場領域内で光生成された電荷キャリアによる光電流を発生させる装置を構成することと;
を含む、方法。
【請求項11】
前記ナノピラーを提供することは、ナノピラー配列の一部を形成するナノピラーを提供することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記配列は、自己マスクエッチングプロセスを用いて基板をエッチングすることによって製造される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記自己マスクエッチングプロセスは、深掘り反応性イオンエッチングプロセスである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノピラーは、前記エッチング基板上に金属を堆積させて更に提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記金属は、スパッタリングプロセスを用いて堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1および第2の電気接点を提供することであって、前記グラフェンフィルムが前記第1の電気接点に物理的に接触するように、前記提供することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は概して、光子エネルギーを電気エネルギーに変換する方法および装置に関する。
【背景】
【0002】
光検出器は、吸収した光子エネルギーを通常電流として、電気エネルギーに変換することによって光子束または光出力を測定する。これらは遠隔制御やテレビ受像機,DVDプレーヤ,カメラ等の一般装置で幅広く利用されている。
【摘要】
【0003】
本発明の種々の例示的態様は特許請求の範囲に提示されている。
【0004】
本発明の第1態様に従って、ナノピラー(Nanopillar)とグラフェンフィルム(Graphene Film)を備える装置が提供される。前記グラフェンフィルムは前記ナノピラーの第1の端部との接点に接触していて、前記ナノピラーは金属を備え、前記接点は前記グラフェンフィルム内に固有場領域(Intrinsic Field Region)を形成するように構成され、前記装置は前記固有場領域で光生成した荷電キャリアからの光電流を発生させるように構成される。
【0005】
本発明の第2態様に従って、装置を製造する方法が提供される。前記方法は、ナノピラーを提供することと;前記ナノピラーの第1の端部と接点で接触するグラフェンフィルムを提供することであって、前記接点はグラフェンフィルム内に固有場領域を形成するように構成される、前記提供すること;前記装置が前記固有場領域内で光生成された電荷キャリアによる光電流を発生させるように構成することと;を含む。
【0006】
本発明の第3態様に従って、光エネルギーを電気エネルギーに変換する方法が提供される。前記方法は、装置を使用することであって、前記装置はナノピラーとグラフェンフィルムを備え、前記グラフェンフィルムは前記ナノピラーの第1の端部との接点に接触していて、前記ナノピラーは金属を備え、前記接点は前記グラフェンフィルム内に固有場領域を形成するように構成され、前記装置は前記固有場領域で光生成した荷電キャリアからの光電流を発生させるように構成される、前記装置を使用することと;光電流を発生させるために、前記固有場領域に光子を照射することと;を含む。
【0007】
本発明の第4態様に従って、担体に記録されるコンピュータプログラムが提供される。前記コンピュータプログラムはコンピュータコードを備え、前記コンピュータコードは、本明細書に記載されるあらゆる方法を実行,制御または有効にするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の例示的実施形態をより完全に理解するために、添付図面と合わせて参照する詳細な説明について記述する。
図1】本発明の一態様に従う装置の概略図である。
図2】本発明の一態様に従う装置の要素の概略図である。
図3a】本発明の一態様に従う装置を製造するステップを示すフロー図である。
図3b】本発明の一態様に従う装置を製造するステップを示すフロー図である。
【図面の詳細な説明】
【0009】
既存の光検出器は大抵、内部の光電効果を利用し、光子の吸収によって電荷キャリアを価電子帯から伝導帯へ励起し、電流を発生させる。スペクトルバンド幅は通常、物質の吸収によって制限される。例えばIV族およびIII-V族半導体では、半導体バンドギャップよりも小さいエネルギーを持つ照射を伝達するため、これらの物質をベースとした光検出器は長波長を吸収しない。グラフェン(graphene)は紫外領域からテラヘルツ領域の電磁波を吸収する。その結果、グラフェンベースの光検出器は非常に広い波長領域に亘って動作できる。応答時間は移動度によって決まり、グラフェンは高い移動度を有する。そのため、グラフェン光検出器は超高速動作が可能である。
【0010】
グラフェンの光電効果応答は理論と実験の両面で研究されている。波長が0.514,0.633,1.5および2.4μmでの応答について報告されている。グラフェンの超広域吸収によって、非常に広い領域でのスペクトル検出が期待され、40GHzまでの光応答も報告されている。光検出器の最大動作バンド幅は通常、検出器のトランジット時間や光電電流の有限な持続時間によって制限される。グラフェン光検出器のバンド幅で制限されたトランジット時間は、1500GHzを超え、既知の光検出器のそれを上回ることもできる。本発明のある例示的実施形態とその潜在的利点は、添付の図1から図3を参照して理解されよう。
【0011】
図1は、ナノピラー配列36,グラフェンフィルム15,第1金電極33a,第2金電極33b,基板31,検流器Aおよび絶縁酸化膜32を備える装置11の概略図を示す。
【0012】
図2は、図1に示された単体ナノピラー36の第1の端部21の概略図を示し、グラフェンフィルム15が第1の端部21と接点22で接触している。
【0013】
ナノピラー配列16の各ナノピラーは金属を含み、接点22はグラフェンフィルム15内に固有場領域26を形成するように構成される。接点22では、グラフェンバンド端25はショットキー障壁24として実質的に同一のエネルギーを有する。ショットキー障壁24はグラフェンと金属との間の仕事関数の差によって生じる。固有場領域26では、電荷の再配置の結果、固有電場が形成される。固有場領域26はグラフェン層15とナノピラー配列との間の境界を横断して広がる。固有場領域26は接点22からグラフェン層15内に100から200nmに亘って広がっている。
【0014】
装置11は、固有場領域における光生成電荷キャリアによる光電流を発生させるように構成される。光子Pによって光生成され、グラフェンフィルム15等で吸収された電子・ホールペアは、固有場領域26で別れて自由電子および自由ホールを形成できる。固有場領域の影響下における自由電子および自由ホールの移動は、固有場領域26を横断して第1および第2金電極33a,33b間を流れる光電流Iとなる。光電流Iは検流器Aで検出される。ゆえに、装置11は光検出器として、光電流Iを測定して光子Pを検出するために使用されてもよい。
【0015】
装置11を高効率の光検出器にする現象として、主に二つのものがある。グラフェン層15は、それ自体で装置11に作用する照射を僅かに吸収しうる。一方、ナノピラー配列36は光を効率よく補足する構造を提供できる。局所場増強と関連するプラズモン効果のために、ナノピラー配列36とグラフェン層15の接触の結果として、グラフェン層での光子吸収が増強される。本実施例では第1電極33aが金を含むが、空気中で実質的に酸化しない他の金属を用いてグラフェンとの接点を形成してもよい。こうした金属は白金やパラジウム,ニッケルのうちの一つ以上を含んでもよい。固有場領域の影響下における自由電子および自由ホールの移動は、固有場領域26を横断して流れる光電流Iとなり、接点22からグラフェン層15内に100から200nmに亘って広がっている。多数の接点22を形成する構成を利用し、それに応じて光電流を増大させることもできる。
【0016】
装置11は図3aおよび3bで概略的に示されたプロセスで製造される。基板31の表面は、本実施例では高濃度にドープされたシリコンウエハであって、熱酸化されて100nm厚の酸化シリコン絶縁層32を生成する。絶縁層32に接触する第1金電極33aと、シリコンウエハ31に接触する第2金電極33bが堆積される。フォトリソグラフィーによって犠牲フォトレジスト層35が堆積され、図3aのステップ1で、局所エッチングで酸化シリコン層32に開口部34が形成される。局所エッチングは、下層シリコンウエハ31を露出するためにバッファードHFエッチング剤を用いるウェットプロセスで行われる。
【0017】
図3aのステップ2で、誘導結合プラズマチャンバ内のシリコンエッチングプロセスによってシリコンナノピラー36が形成される。チャンバは、そこに導入されるガスからプラズマを発生させる誘導結合コイルを備える。このプロセスは15から40分間持続し、シリコンウエハ表面のパッシベーションとエッチングを含む。エッチングには2段階ある。最初はパッシベーションによって形成されたパッシベーション層のエッチングで、次はパッシベーション層のエッチングによって露出したシリコン面のエッチングである。全シリコンエッチングプロセスの間、チャンバの温度は摂氏40度であり、シリコンウエハの温度は摂氏20から30度である。パッシベーション中では、チャンバに流入するC4F8ガスの流量は85 sccm、サイクル時間は10から16秒、コイル電力は500から600W、そしてチャンバ圧力は18mTorrである。エッチングサイクル中では、SF6ガス流量は130 sccm、O2ガス流量は13 sccm、サイクル時間は9秒、コイル電力は500から600W、基板電力は10から20W、そしてチャンバ圧力は38mTorrである。シリコンナノピラー36は直径が50から100nmの範囲にあり、本プロセスによって100から800nmの平均間隔が得られる。
【0018】
次にナノピラー配列36上にニッケルをスパッタリングして金属化Siナノピラーを形成し、犠牲フォトレジスト層35が除去される。ステップ3で、ナノピラー配列上にグラフェンフレーク37が堆積されて、ナノピラー36と第1金電極33a間の電気接点を形成する。図3bのステップ3で、固有場領域内で光生成された荷電キャリアによる光電流を発生される装置が構成される。光電流は電気的に接続する電極33aおよび33bによって検流器Aに流れる。代替的実施例では、ナノピラー配列36が多層カーボンナノチューブ等の金属性カーボンナノチューブを含んでもよい。
【0019】
本願で開示される一つ以上の例示的実施形態における技術的効果は、以降に記載する特許請求の範囲やその解釈または適用を制限する如何なる方法も用いることなく、光検出器への照射を高速検出できることである。本願で開示される一つ以上の例示的実施形態における別の技術的効果は、幅広い波長スペクトルに亘って光照射が検出可能であることである。
【0020】
必要に応じて、本出願で開示した様々な機能が異なる順序および/または同時に実行されてもよい。さらに必要に応じて、前述の機能の一つ以上が任意選択できたり、統合されたりしてもよい。
【0021】
本発明の様々な態様が独立請求項に記載されているが、前述の実施形態からの特定事項の他の組合せ、および/または独立請求項の特定事項を備える従属請求項を、請求項に明記された単なる組合せとは別に、本発明の他の態様が備えてもよい。
【0022】
前述の通り、本発明の例示的実施形態が説明されてきたが、これらの記述を限定的な意味で見るべきでないことにも留意されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲を逸脱せず、様々な変形や修正が行われてもよい。
図1
図2
図3a
図3b