特許第5758210号(P5758210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5758210-リリーフ弁 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758210
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】リリーフ弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/02 20060101AFI20150716BHJP
   F16K 17/06 20060101ALI20150716BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   F16K17/02 Z
   F16K17/06 Z
   F16K27/02
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-134235(P2011-134235)
(22)【出願日】2011年6月16日
(65)【公開番号】特開2013-2553(P2013-2553A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】隈元 匡章
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−048816(JP,A)
【文献】 実開平04−073674(JP,U)
【文献】 米国特許第04557136(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00133797(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/00−17/168;37/00;27/00;15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と流出口を有する弁ケーシング内に流入口と流出口が連通する弁室を形成し、流入口と弁室の間に弁口を有する環状弁座を設け、環状弁座に離着座して弁口を開閉する弁体を弁室内に配置し、弁体と一体に弁棒を形成し、弁ケーシングに形成したガイド孔により弁棒の外周を摺動自在に案内し、常時は弁体が環状弁座に着座して弁口を閉弁し流入口の圧力が流出口の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると弁体が環状弁座から離座して弁口を開弁するものにおいて、ガイド孔の外部側に弁体及び弁棒の重量を測定する重量測定手段の計測部が挿入される開口を設け、リリーフ弁の運転時は開口が閉塞部材で閉塞され弁体及び弁棒の重量測定時に閉塞部材が取外されて開口から重量測定手段の計測部が挿入されることを特徴とするリリーフ弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体配管や流体機器等の流体配管系に接続して流入口の圧力が流出口の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると開弁するリリーフ弁に関し、特に弁体及び弁棒の重量を測定できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリリーフ弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、流入口と流出口を有する弁ケーシング内に流入口と流出口が連通する弁室を形成し、流入口と弁室の間に弁口を有する環状弁座を設け、環状弁座に離着座して弁口を開閉する弁体を弁室内に配置し、弁体と一体に弁棒を形成し、弁ケーシングに形成したガイド孔により弁棒の外周を摺動自在に案内し、常時は弁体が環状弁座に着座して弁口を閉弁し流入口の圧力が流出口の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると弁体が環状弁座から離座して弁口を開弁するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−121611
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のリリーフ弁は、流体中のゴミやスケール等の異物を弁体と環状弁座の間や弁棒とガイド孔の間に噛み込むと弁体及び弁棒の変位抵抗が大きくなるために所定の設定圧力値で開閉弁動作を行えなくなるという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、弁体及び弁棒の変位抵抗が大きくなっているか否かを簡単な構造により確認できるリリーフ弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のリリーフ弁は、流入口と流出口を有する弁ケーシング内に流入口と流出口が連通する弁室を形成し、流入口と弁室の間に弁口を有する環状弁座を設け、環状弁座に離着座して弁口を開閉する弁体を弁室内に配置し、弁体と一体に弁棒を形成し、弁ケーシングに形成したガイド孔により弁棒の外周を摺動自在に案内し、常時は弁体が環状弁座に着座して弁口を閉弁し流入口の圧力が流出口の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると弁体が環状弁座から離座して弁口を開弁するものにおいて、ガイド孔の外部側に弁体及び弁棒の重量を測定する重量測定手段の計測部が挿入される開口を設け、リリーフ弁の運転時は開口が閉塞部材で閉塞され弁体及び弁棒の重量測定時に閉塞部材が取外されて開口から重量測定手段の計測部が挿入されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ガイド孔の外部側に弁体及び弁棒の重量を測定する重量測定手段の計測部が挿入される開口を設け、リリーフ弁の運転時は開口が閉塞部材で閉塞され弁体及び弁棒の重量測定時に閉塞部材が取外されて開口から重量測定手段の計測部が挿入されるものである。そのため、閉塞部材を取外して開口から重量測定手段を挿入し、重量測定手段により弁体及び弁棒の重量を測定することにより、測定された弁体及び弁棒の重量が初期の弁体及び弁棒の重量よりも増加していれば、弁体及び弁棒の変位抵抗が大きくなっていると確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わるリリーフ弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本体1と蓋部材2から弁ケーシングを構成し、弁ケーシング内に弁室3を形成する。弁室3に連通する流入口4と流出口5を本体1に形成し、流入口4の弁室3側開口端に弁口6を有する環状弁座7を設ける。環状弁座7と一体にシリンダ8を形成する。環状弁座7とシリンダ8は本体1と蓋部材2の間に挟んで固定する。環状弁座7に離着座して弁口6を開閉する円板状の弁体9を環状弁座5に対向して弁室3内に配置する。弁体9はその下面から突出させて設けた下部弁棒10と上面から突出させて設けた上部弁棒11を一体に有する。下部弁棒10の外周を本体1に一体に形成した下部ガイド孔12により摺動自在に案内し、上部弁棒11の外周を蓋部材2に一体に形成した上部ガイド孔13により摺動自在に案内する。下部ガイド孔12の外部側に弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量を測定する重量測定手段(図示せず)の計測部が挿入される下部開口16を設ける。下部開口16はリリーフ弁の運転時に閉塞部材としての下部プラグ17で閉塞され、弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量測定時に下部プラグ17が取外されて重量測定手段の計測部が挿入される。重量測定手段により下部弁棒10を押し上げることにより弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量を測定する。上部ガイド孔13の外部側に弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量を測定する重量測定手段(図示せず)の計測部が挿入される上部開口18を設ける。上部開口18はリリーフ弁の運転時に閉塞部材としての上部プラグ19で閉塞され、弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量測定時に上部プラグ19が取外されて重量測定手段の計測部が挿入される。重量測定手段の計測部をねじやフックにより上部弁棒11に連結して重量測定手段により上部弁棒11を吊り上げることにより弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量を測定する。本実施の形態においては、下部開口16,下部プラグ17と上部開口18,上部プラグ19の両方を設けたものを例示したが、下部開口16,下部プラグ17あるいは上部開口18,上部プラグ19のいずれか一方のみを設けることも可能である。
【0010】
シリンダ8は弁体9の外周を弁口6の軸方向に摺動案内し、弁体9が環状弁座7から離座して所定量開弁方向に変位したときに開口される複数個の例えば4個の流出窓14を有する。流出窓14の幅は弁体の開弁方向への変位が大きくなるにしたがって広くなるように下方程狭く上方程広く形成する。シリンダの上端部に内外を連通する常開窓15を複数個例えば4個形成する。常開窓15により弁体9の上方のシリンダ8内の圧力をシリンダ8外に逃がすことができ、弁体9の上方のシリンダ8内が圧力溜まりとなることを防止する。常時は弁体9が環状弁座7に着座して弁口6を閉弁し流入口4の圧力が流出口5の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると弁体9が環状弁座7から離座して弁口6を開弁すると共に弁体9が所定量開弁方向に変位して流出窓14を開口する。
【0011】
図示の状態は流入口4の圧力が流出口5の圧力に比べて設定圧力値よりも低い常時であり、弁体9が環状弁座7に着座して弁口6を閉弁している。流入口4の圧力が流出口5の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると弁体9が環状弁座7から離座して弁口6を開弁すると共に弁体9が所定量開弁方向に変位して流出窓14を開口する。これにより、流体が流入口4から弁口6、流出窓14を通して流出口5へ流れる。流体が流入口4から流出口5へ流れると流入口4と流出口5の圧力差が設定圧力値よりも低くなり弁体9が閉弁方向に変位して流出窓14を閉口し、弁体9が流出窓14を閉口すると流出口5の圧力が低下して流入口4の圧力が流出口5の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなり再び弁体9が開弁方向に変位して流出窓14を開口し、流出窓14の開閉を繰り返す。そのため、弁体9が環状弁座7に着座することを繰り返さないので騒音を低減できる。また、流出窓14の幅を弁体9の開弁方向への変位が大きくなるにしたがって広くなるように形成しているので、弁体9の開弁方向への変位が小さいときは流入口4から流出口5へ流れる流体をより少なくすることができ、弁体9が環状弁座7に繰り返し着座することを確実に防止することができる。また、シリンダ8の上部に内外を連通する常開窓15を形成しているので、弁体9の上方のシリンダ8内の圧力をシリンダ8外に逃がすことができ、弁体9の上方のシリンダ8内が圧力溜まりとなることを防止することができる。
【0012】
弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の変位抵抗が大きくなっているか否かを確認するときは、下部プラグ17あるいは上部プラグ19を取外し、下部開口16あるいは上部開口18から重量測定手段の計測部が挿入し、重量測定手段により下部弁棒10を押し上げるあるいは上部弁棒11を吊り上げることにより弁体9及び下部弁棒10、上部弁棒11の重量を測定する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、流体配管や流体機器等の流体配管系に接続して流入口の圧力が流出口の圧力に比べて設定圧力値よりも高くなると開弁するリリーフ弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋部材
3 弁室
4 流入口
5 流出口
6 弁口
7 環状弁座
8 シリンダ
9 弁体
10 下部弁棒
11 上部弁棒
12 下部ガイド孔
13 上部ガイド孔
14 流出窓
15 常開窓
16 下部開口
17 下部プラグ
18 上部開口
19 上部プラグ
図1