(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の詰め替え容器では、基筒部材の注出口を開封した後、基筒部材に本容器の口部を螺着し、その後、詰め替え容器と本容器とを上下反転させる必要があるので、詰め替え作業が煩雑である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、詰め替え作業を容易化することができる詰め替え容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の詰め替え容器は、
有底筒状をなし、本容器に詰め替える内容物が収容される
とともに、口部と底部とを有する容器本体と、前
記口部に装着される基筒部材と、前記基筒部材に対して容器軸方向に沿った
前記底部側に向けてスライド移動可能に装着される注出筒部材と、を備え、前記注出筒部材は、容器軸方向に沿って延在するとともに、前記本容器の注入口に差し込まれ、かつ、その先端部に注出口が形成された注出筒と、前記注出口より容器軸方向に沿った
前記底部側に配置され、前記本容器の注入口の開口周縁部に当接可能な規制部と、前記規制部より容器軸方向に沿った
前記底部側に配置され、前記基筒部材が有する第1シール部に当接し、容器本体の内部と外部との連通を遮断する第2シール部と、を有し、前記注出筒部材が、前記基筒部材に対して容器軸方向に沿った
前記底部側に移動することにより、前記第1シール部と前記第2シール部とのシールが解除されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る詰め替え容器から本容器に内容物を詰め替える際は、まず、詰め替え容器の注出筒部材と本容器の注入口とを連結する。すなわち、注出筒部材の注出口が本容器内に位置するように、本容器の注入口に注出筒を差し込み、かつ、注出筒部材の規制部を本容器の注入口の開口周縁部に当接させることにより、注出筒部材を本容器の注入口に連結する。
【0008】
次いで、詰め替え容器の容器本体と本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させると、注出筒部材は、規制部によりそれ以上の容器軸方向に沿う本容器側への移動が規制されているため、基筒部材に対して、容器軸方向に沿った
底部側に向けてスライド移動する。このように注出筒部材と基筒部材とが容器軸方向に相対移動することにより、第1シール部と第2シール部とのシールが解除されて、これら第1、第2シール部の間を通して容器本体の内部と外部とが連通する。
【0009】
これにより、シールが解除された第1、第2シール部の間を通して、外気が容器本体内に流入する。この外気と入れ替えに、容器本体内の内容物は、注出口を通して本容器内へと注出されて、本容器内に詰め替えられる。
【0010】
以上のように、本発明によれば、詰め替え容器の注出筒部材と本容器の注入口とを簡単に連結でき、この連結後に、容器本体と本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させるという簡便な操作によって内容物を詰め替えることが可能であり、詰め替え作業を容易化することができる。
【0011】
また、本発明の詰め替え容器において、前記基筒部材には、前記注出筒を径方向の外側から囲い、前記本容器において前記注入口を有する注入口筒部が内挿されるガイド筒が形成されていることとしてもよい。
【0012】
この場合、基筒部材のガイド筒に本容器の注入口筒部が内挿されるので、詰め替え容器の容器本体と本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させる際、これら容器本体及び本容器の姿勢が安定するとともに、詰め替え作業が安定して行える。
【0013】
また、本発明の詰め替え容器において、前記基筒部材には、該基筒部材の前記本容器に対する容器軸方向の前進端位置で該本容器に当接したときに、前記第1シール部と前記第2シール部との間を通した前記容器本体の内部と外部との連通を維持する規制凸部が形成されていることとしてもよい。
【0014】
この場合、基筒部材に規制凸部が形成されているので、容器本体と本容器とを、規制凸部が本容器に当接するまで接近移動させても、第1シール部と第2シール部との間を通した容器本体の内部と外部との連通が維持されるため、詰め替えに際し、詰め替え容器及び本容器の容器軸方向の位置を調整する必要がなく、詰め替え作業が容易である。
【0015】
また、本発明の詰め替え容器において、前記注出口は、容器軸方向に開口し、かつ、前記注出筒の先端部のうち周方向の一部が切り欠かれるように形成された切り欠き部を有することとしてもよい。
【0016】
この場合、注出口から内容物が注出しやすくなり、詰め替え作業時間が短縮される。
【0017】
また、本発明の詰め替え容器において、前記注出筒部材は、前記注出筒より容器軸方向に沿った
前記底部側に配置されて、前記注出筒内と前記容器本体内との連通を規制するように形成された連通規制部を有し、前記注出筒部材が、前記基筒部材に対して容器軸方向に沿った
前記底部側に移動することにより、前記注出筒内と前記容器本体内との連通の規制が解除されることとしてもよい。
【0018】
この場合、詰め替え容器の注出筒部材と本容器の注入口とを連結する際、該詰め替え容器を、注出口を下側へ向けた倒立姿勢にして本容器に連結するまでの間に、容器本体の内容物がこの注出口を通って外部に漏れ出るようなことが抑制される。従って、詰め替え作業による汚損等が防止され、作業が正確に行える。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る詰め替え容器によれば、詰め替え作業を容易化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る詰め替え容器1について、
図1〜
図4を参照して説明する。
本実施形態の詰め替え容器1は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2を備えており、この容器本体2から、別体の本容器30に内容物を詰め替えるものである。内容物は、例えば所定以上の粘度を有する液体である。以下、この容器本体2の横断面の中央を通る直線を容器軸Oといい、この容器軸O方向に沿って容器本体2の口部2a側を上側、容器本体2の底部側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0022】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態の詰め替え容器1は、前記容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着される基筒部材3と、基筒部材3に対して容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に向けてスライド移動可能に装着される注出筒部材4と、を備えている。
【0023】
図1において、容器本体2の口部2aは、上側に位置する上筒部5と、下側に位置し上筒部5より大径の下筒部6と、を備える二段筒状に形成されている。上筒部5の外周面における容器軸O方向の中央部には、この外周面から突出するとともに周方向に沿って延びる環状の係合凸部5aが形成されている。
【0024】
基筒部材3は、容器本体2の口部2aに外嵌される有頂筒状の外筒7と、外筒7より小径の有頂筒状をなし、該外筒7の天壁部7aを容器軸O方向に貫通するように形成され、容器本体2の口部2aの内側に嵌合される内筒8と、内筒8より小径とされ、該内筒8の天壁部8aの径方向中央に位置する孔の開口周縁部から垂下されるように形成された第1シール筒9と、外筒7の天壁部7aから上側に向けて延び、内筒8の上端部(天壁部7aより上側に位置する部分)及び注出筒部材4の後述する注出筒18を径方向の外側から囲い、本容器30において注入口31を有する注入口筒部32(
図3、
図4を参照)が内挿されるガイド筒10と、ガイド筒10内に形成され、基筒部材3の本容器30に対する容器軸O方向の前進端位置で該本容器30に当接する規制凸部13と、ガイド筒10の上端開口部に着脱自在に装着されるとともに、注出筒部材4の後述する注出口17を開閉自在に閉塞するオーバーキャップ11と、を備えている。
【0025】
図1において、外筒7は、容器本体2の口部2aにおける上筒部5に嵌合されている。外筒7の内周面における容器軸O方向の中央部には、この内周面から窪むとともに周方向に沿って延びる環状をなし、口部2aの係合凸部5aに係合する係合凹部7bが形成されている。外筒7の内周面における係合凹部7bより下側部分は、係合凹部7bより上側部分に対して、僅かに大径に形成されている。外筒7の外径は、下筒部6の上側部分の外径と略同一となっている。外筒7の天壁部7aは、容器本体2の口部2aに上側から当接している。
【0026】
内筒8のうち、外筒7の天壁部7aより下側に位置する部分は、天壁部7aより上側に位置する部分に対して、僅かに厚肉に形成されている。内筒8において天壁部7aより下側に位置する部分のうち、上端部は、最も大径とされているとともに容器本体2の口部2aの上筒部5に径方向の内側から当接している。内筒8において天壁部7aより下側に位置する部分のうち、上端部以外の部分は、該上端部より僅かに小径となっている。内筒8の下端開口部は、容器軸O方向に沿う下筒部6の下端部に対応する位置に配置されている。内筒8の天壁部8aは、円環板状をなしており、外筒7の天壁部7aより上側に位置している。
【0027】
第1シール筒9の下端開口部は、容器軸O方向に沿う外筒7の天壁部7aに対応する位置に配置されており、第1シール筒9の下端面が前記天壁部7aに当接している。第1シール筒9の内周面は、第1シール部12となっている。
【0028】
ガイド筒10の外径は、外筒7の外径より小径となっている。尚、ガイド筒10の外径は、外筒7の外径に対して、同一又は大径となっていてもよい。ガイド筒10の内周面における下端部には、径方向の内側に向けて突出するとともに、容器軸O方向に沿って延びる板状の規制凸部13が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
図2に示される例では、規制凸部13は、周方向に等間隔をあけて3つ形成されている。
【0029】
図1において、規制凸部13は、外筒7の天壁部7aから上側に向けて延びているとともに、ガイド筒10の内周面における下端部と、内筒8の外周面における上端部との間に形成されて、外筒7の上面、ガイド筒10の内周面及び内筒8の外周面とを繋いでいる。
【0030】
規制凸部13の上端部は、内筒8の天壁部8aより上側に突出している。また、規制凸部13の上端部における径方向内側の端部は、内筒8の天壁部8a上に位置している。規制凸部13は、基筒部材3の本容器30に対する容器軸O方向の前進端位置で該本容器30に当接したときに、第1シール部12と注出筒部材4の後述する第2シール部26との間を通した容器本体2の内部と外部との連通を維持するように形成されている。
【0031】
オーバーキャップ11は、円板状の天壁部11aと、天壁部11aの径方向中央から下側に向けて延びる栓部11bと、栓部11bの径方向外側を囲むように天壁部11aから垂下された筒部11cと、を備えている。
【0032】
天壁部11aの外径は、ガイド筒10の外径と略同一となっている。天壁部11aの外周縁部は、ガイド筒10の上端開口縁に上側から当接している。天壁部11aの外周縁部における一部は、ヒンジ14を介してガイド筒10の上端開口部に連結されている。天壁部11aの外周縁部において、ヒンジ14とは容器軸Oを挟んだ反対側に位置する部分には、該外周縁部から径方向外側に向けて突出する開閉操作片15が形成されている。栓部11bは、上側部分が柱状をなし、下側部分が筒状に形成されている。筒部11cは、ガイド筒10の上端開口部の内側に嵌合される。
【0033】
注出筒部材4は、有頂筒状の本体筒16と、本体筒16の天壁部16aから上側に向けて容器軸O方向に沿って延在するとともに、本容器30の注入口31に差し込まれ(
図3、
図4を参照)、かつ、その先端部(上端部)に注出口17が形成された注出筒18と、注出口17より容器軸O方向に沿った容器本体2の内側(下側)に配置され、本容器30の注入口31の開口周縁部に当接可能な規制部19と、天壁部16aから上側に向けて延びるとともに、注出筒18を径方向の外側から囲うように形成された第2シール筒20と、を備えている。
【0034】
図1において、本体筒16の周壁部16bの外周面には、この外周面から突出するとともに周方向に沿って延びる環状のガイド部16cが形成されている。ガイド部16cは、内筒8に径方向の内側から摺動可能に当接している。
【0035】
本体筒16内には、天壁部16aから垂下されるとともに、周壁部16bの内周面のうち周方向に沿う一部を含み、容器軸Oに平行に延びつつも容器軸O上から偏倚した位置に中心軸を有するパイプ支持筒21が形成されている。
図1に示される縦断面において、パイプ支持筒21の外周面のうち、径方向の内側(容器軸O側)を向く部分は、注出筒18の内周面における下端部に面一となっている。また、パイプ支持筒21内における径方向の内側(容器軸O側)部分には、天壁部16aから下側に向けて突出する突起16dが形成されている。
【0036】
パイプ支持筒21には、容器軸O方向に沿って延びるパイプ22が下側から嵌合している。パイプ22の上端部は、突起16dに下側から当接しており、パイプ22の上端開口部と天壁部16aとの間には、隙間が形成されている。パイプ22の下端部は、容器本体2内の下端部に位置しているとともに、該パイプ22の下端部と容器本体2の底部との間には、隙間が形成されている。パイプ22の下端部は、容器本体2が倒立姿勢とされた際に、内容物の液面から突出するようになっている。
【0037】
また、本体筒16の天壁部16a及び周壁部16bにおいて、パイプ22の上側に対応する部位には、通気孔23が形成されている。通気孔23は、天壁部16aにおける第2シール筒20より径方向の外側部分、及び、周壁部16bにおける容器軸O方向に沿うパイプ22の上端開口部より上側部分に開口している。
【0038】
注出筒18は、上側に位置し注出口17が形成された上側筒部18aと、下側に位置し上側筒部18aより大径の下側筒部18bと、を備える二段筒状に形成されている。上側筒部18aの上端部に形成された注出口17は、容器軸O方向に開口し、かつ、注出筒18の先端部(上端部)のうち周方向の一部が切り欠かれるように形成された切り欠き部17aを有している。切り欠き部17aは、上側筒部18aの上端部における容器軸Oを挟んだヒンジ14とは反対側に向けて開口している。注出筒18の注出口17には、オーバーキャップ11の栓部11bが着脱自在に嵌合するようになっている。
【0039】
上側筒部18aと下側筒部18bとを繋ぐ段部24は、上側を向く第1端面部分24aと、第1端面部分24aより上側に位置して上側を向く第2端面部分24bと、を有している。第1端面部分24aは、注出筒18の外周面のうち容器軸O方向に沿う中央部において、周方向に沿う切り欠き部17aに対応する部位に形成されている。第2端面部分24bは、注出筒18の外周面のうち容器軸O方向に沿う中央部において、容器軸Oを挟んだ第1端面部分24aとは反対側に位置する部位に形成されている。前記第1端面部分24aおよび第2端面部分24bは、天壁部16aと平行(水平)に設けられており、両端面部分間は前記注出筒18の外周面に段差状に形成された傾斜面で接続されている。また、上側筒部18aの外周面には、第2端面部分24bから上側へ向けて容器軸O方向に沿って延びるリブ25が形成されている。
【0040】
注出筒18の外周面における上端部以外の部分には、径方向の外側に向けて突出するとともに、容器軸O方向に沿って延びる板状の規制部19が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
図2に示される例では、規制部19は、周方向に等間隔をあけて2つ形成されている。
【0041】
図1において、規制部19は、本体筒16の天壁部16aから上側に向けて延びているとともに、注出筒18の外周面における上端部以外の部分と、第2シール筒20の内周面との間に形成されて、本体筒16の上面、注出筒18の外周面及び第2シール筒20の内周面とを繋いでいる。
【0042】
規制部19の上端部は、注出筒18の段部24における第1端面部分24aより上側に突出しているとともに、第2端面部分24bに対応する高さ位置に配置されている。また、規制部19の上端部における径方向外側の端部は、第2シール筒20の上端開口縁上に位置している。
【0043】
第2シール筒20の外周面は、第2シール部26となっている。第2シール部26は、基筒部材3が有する第1シール部12に摺動可能に当接し、通気孔23を通した容器本体2の内部と外部との連通を遮断している。
【0044】
そして、
図3及び
図4に示すように、この詰め替え容器1は、注出筒部材4が、基筒部材3に対して容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に移動することにより、第1シール部12と第2シール部26とのシールが解除されるように構成されている。
【0045】
本実施形態に係る詰め替え容器1から本容器30に内容物を詰め替える際は、まず、開閉操作片15を操作してオーバーキャップ11を開け、注出口17を露出させた状態で、詰め替え容器1の注出筒部材4と本容器30の注入口31とを連結する。すなわち、
図3に示すように、倒立姿勢とされた詰め替え容器1の注出筒部材4の注出口17が本容器30内に位置するように、本容器30の注入口31に注出筒18を差し込み、かつ、注出筒部材4の規制部19を本容器30の注入口31の開口周縁部に当接させることにより、注出筒部材4を本容器30の注入口31に連結する。
この際、注出筒18を注入口31に差し込む構成となっているため、例えば中栓の注出ノズルなど、比較的小径の注入口31にも対応することができる。
【0046】
次いで、
図4に示すように、詰め替え容器1の容器本体2と本容器30とを容器軸O方向に沿って相対的に接近移動させると、注出筒部材4は、規制部19によりそれ以上の容器軸O方向に沿う本容器30側への移動が規制されているため、基筒部材3に対して、容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に向けてスライド移動する。このように注出筒部材4と基筒部材3とが容器軸O方向に相対移動することにより、第1シール部12と第2シール部26とのシールが解除されて、これら第1、第2シール部12、26の間を通して容器本体2の内部と外部とが連通する。
【0047】
これにより、シールが解除された第1、第2シール部12、26の間及び通気孔23を通して、外気が容器本体2内に流入する。この外気と入れ替えに、容器本体2内の内容物は、注出口17を通して本容器30内へと注出されて、本容器30内に詰め替えられる。本容器30に内容物が流入する際、この内容物と入れ替えに、本容器30内の空気は、例えば注入口31と注出筒18との間、注入口31の開口周縁部と第1シール筒9との間、及び、注入口31の開口周縁部と内筒8の天壁部8aとの間を通って、外部へ流出する。
図4において、破線矢印は空気の流れを示しており、実線矢印は内容物の流れを示している。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、詰め替え容器1の注出筒部材4と本容器30の注入口31とを簡単に連結でき、この連結後に、容器本体2と本容器30とを容器軸O方向に沿って相対的に接近移動させるという簡便な操作によって内容物を詰め替えることが可能であり、詰め替え作業を容易化することができる。
【0049】
また、基筒部材3のガイド筒10に、本容器30において注入口31を有する注入口筒部32が内挿されるので、詰め替え容器1の容器本体2と本容器30とを容器軸O方向に沿って相対的に接近移動させる際、これら容器本体2及び本容器30の姿勢が安定するとともに、詰め替え作業が安定して行える。
【0050】
また、基筒部材3に規制凸部13が形成されているので、容器本体2と本容器30とを、規制凸部13が本容器30に当接するまで接近移動させても、内筒8の天壁部8aと本容器30との間、及び、第1シール筒9と本容器30との間に隙間が確保され、第1シール部12と第2シール部26との間を通した容器本体2の内部と外部との連通が維持されるため、詰め替えに際し、詰め替え容器1及び本容器30の容器軸O方向の位置を調整する必要がなく、詰め替え作業が容易である。
【0051】
また、注出口17が切り欠き部17aを有しているので、該注出口17から内容物が注出しやすくなり、詰め替え作業時間が短縮される。また、オーバーキャップ11の開閉の際、注出口17に対して栓部11bがスムースに着脱される。
【0052】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
前述の実施形態では、規制凸部13が板状をなし、外筒7の天壁部7aから上側に向けて延びているとしたが、規制凸部13の形状は前述したものに限定されない。すなわち、規制凸部13は、内筒8の天壁部8aより上側に配置されているとともに、基筒部材3の本容器30に対する容器軸O方向の前進端位置で該本容器30に当接可能とされていればよい。
【0054】
また、規制部19が板状をなし、本体筒16の天壁部16aから上側に向けて延びているとしたが、規制部19の形状は前述したものに限定されない。すなわち、規制部19は、第2シール部26より上側に配置されているとともに、本容器30の注入口31の開口周縁部に当接可能とされていればよい。
【0055】
また、前述の実施形態で説明したオーバーキャップ11は、ガイド筒10にヒンジ14を介して一体に形成され、該ヒンジ14を中心に回動してガイド筒10の上端開口部に着脱自在とされたヒンジ式キャップであるが、これに限定されるものではなく、例えばそれ以外の、螺合によりガイド筒10に着脱自在に装着されるねじ式キャップ等であってもよい。また、オーバーキャップ11が設けられていなくても構わない。
【0056】
また、
図5〜
図8は、前述の実施形態で説明した詰め替え容器1の変形例を示している。尚、前述の実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この変形例では、
図5に示されるように、容器本体2の口部2aに対して、基筒部材3の外筒7が螺合により装着されている。また、基筒部材3の内筒8は、外筒7の天壁部7aの径方向中央に位置する孔の開口周縁部から垂下されるように形成されている。また、内筒8の下端開口部は、口部2aの下端部より僅かに上側に位置している。
【0057】
また、内筒8の上側部分には、径方向内側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ40が形成されている。
図5に示される縦断面において、フランジ40は、径方向内側に向かうに従い漸次上側へ向かって傾斜して形成されている。
【0058】
第1シール筒9は、フランジ40の径方向内側の開口周縁部に立設されている。第1シール筒9の上端開口部は、外筒7の天壁部7aより僅かに上側に位置している。第1シール筒9の上端開口部において、周方向に沿うヒンジ14に対応する部位には、径方向内側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる円弧板状のガイド部41が形成されている。そして、第1シール筒9の内周面のうち、ガイド部41以外の部位が、第1シール部12となっている。
【0059】
ガイド筒10の外径は、外筒7の外径と同一とされており、ガイド筒10の肉厚は、外筒7の肉厚より僅かに薄くなっている。ガイド筒10には、径方向内側に向けて突出するとともに容器軸O方向に沿って延びるリブ42が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
図6に示される例では、これらリブ42は、周方向に等間隔をあけて4つ配置されている。
【0060】
図5において、リブ42の下端部は、該下端部以外の部分より径方向内側に向けて突出して形成されており、この突出した部分が規制凸部13となっている。規制凸部13の上端面は、第1シール筒9の上端面より上側に位置している。また、規制凸部13の径方向内側を向く端面は、内筒8の内周面に面一となっている。
【0061】
図8に示されるように、ガイド筒10において、容器軸Oを挟んで対向配置されるリブ42の規制凸部13同士の間の距離は、内容物が詰め替えられる本容器30の注入口筒部32の外径より小さくなっている。また、容器軸Oを挟んで対向配置されるリブ42の規制凸部13以外の部分同士の間の距離は、本容器30の注入口筒部32の外径と同等か僅かに大きくなっている。
【0062】
図5に示されるように、ガイド筒10の上端開口部において、ヒンジ14に対応する部位には、切り欠き部43が形成されている。
図6に示されるように、ヒンジ14は、切り欠き部43の下端部に周方向に間隔をあけて一対形成されている。また、ガイド筒10において、ヒンジ14同士の間に位置する部分は、切り欠き部43より下側に切り欠かれて形成されたオーバーキャップ係合部44となっている。
【0063】
また、ガイド筒10の上端開口部において、ヒンジ14とは容器軸Oを挟んだ反対側に位置する部位には、詰め替え操作をする者の指先等が挿入される切り欠き部45が形成されている。切り欠き部45の周方向に沿う長さは、切り欠き部43の周方向に沿う長さより長くなっている。
【0064】
オーバーキャップ11の天壁部11aにおいて、ガイド筒10の切り欠き部45に対応する周縁部分には、下側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる円弧状の操作突起46が形成されている。操作突起46の周方向に沿う長さは、切り欠き部45の周方向に沿う長さより僅かに短くなっており、オーバーキャップ11が閉じられた状態で、操作突起46は切り欠き部45内に配置される。
【0065】
また、オーバーキャップ11の天壁部11aにおいて、ガイド筒10の切り欠き部43に対応する周縁部分には、下側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる断面円弧状の連結部47が形成されている。連結部47の周方向に沿う長さは、切り欠き部43の周方向に沿う長さと同等か僅かに短くなっており、オーバーキャップ11が閉じられた状態で、連結部47は切り欠き部43内に配置される。
【0066】
また、オーバーキャップ11の天壁部11aの外周縁部のうち、操作突起46と連結部47との間に位置する部位には、ガイド筒10の上端開口部の内側に嵌合可能な円弧板状の嵌合部48が一対形成されている。
図5において、嵌合部48の外周面、及び、ガイド筒10の内周面の上端開口部には、オーバーキャップ11が閉じられることで互いに係合可能な係合部がそれぞれ設けられている。
【0067】
図6に示されるように、オーバーキャップ11の天壁部11aにおいて、周方向に沿う一対のヒンジ14同士の間に位置する部位には、径方向外側に向けて突出する係合突起49が形成されている。オーバーキャップ11が開かれた状態で、係合突起49は、ガイド筒10のオーバーキャップ係合部44に係合可能とされている(
図8を参照)。
【0068】
図5において、注出筒部材4の本体筒16の周壁部16bのうち、上端部以外の部位は、内筒8におけるフランジ40の下側部分に径方向の内側から摺動可能に当接している。
図5に示される縦断面において、本体筒16の天壁部16aのうち第2シール筒20の径方向外側に位置する部位は、径方向外側に向かうに従い漸次下側へ向かって傾斜して形成されているとともに、フランジ40に下側から当接している。
本体筒16のパイプ支持筒21内には、後述する連通規制部50のパイプ連結筒52が下側から嵌合している。
【0069】
注出筒18の上側筒部18aと下側筒部18bとを繋ぐ段部24は、下側に向かうに従い漸次拡径するように形成されている。また、注出筒18の切り欠き部17aは、上側筒部18aの上端部におけるヒンジ14側に向けて開口している。
【0070】
第2シール筒20の下側部分は、筒状をなしている。第2シール筒20の下側部分における外周面は、第2シール部26となっている。第2シール筒20の上側部分は、周方向に間隔をあけて配置された円弧板状の規制部19を複数有している。
図6において、第2シール筒20の規制部19は、周方向に間隔をあけて一対形成されており、これら規制部19の周方向に隣り合う端面同士の間のうち、ヒンジ14側に位置する部位には、第1シール筒9のガイド部41が配置されている。また、第2シール筒20の下側部分において、規制部19に対応する部位以外の部位に形成された上端面のうち、ガイド部41に対応する部分は、それ以外の部分より下側に僅かに窪むように形成されている。
規制部19の上端部は、規制凸部13の上端面及び注出筒18の段部24より上側に突出している。
【0071】
そして、この変形例では、注出筒部材4は、注出筒18より容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に配置されて、注出筒18内と容器本体2内との連通を規制するように形成された連通規制部50を有している。
連通規制部50は、内筒8の下端開口縁を下側から覆うように形成された円板状の遮蔽板51と、該遮蔽板51を容器軸O方向に貫通して設けられ、パイプ支持筒21に連結されたパイプ連結筒52と、を備えている。
尚、遮蔽板51は、板状であっても有底筒状であってもよい。
【0072】
遮蔽板51の外径は、内筒8の外径と同等か僅かに小さくなっている。遮蔽板51の外周縁部は、内筒8の下端開口縁に下側から当接している。尚、遮蔽板51の外周縁部は、内筒8の下端開口縁の下側に接近配置されていてもよい。遮蔽板51における外周縁部以外の部位は、該外周縁部より下側に向けて膨出するように形成されている。
図5に示される縦断面において、遮蔽板51の外周縁部以外の部位は、外周縁部から径方向に沿ってパイプ連結筒52に近づくに従い漸次下側へ向けて傾斜して形成されている。
【0073】
また、遮蔽板51の上面には、周方向に間隔をあけてガイド板53が複数立設されている。ガイド板53の上側部分は、容器軸Oに垂直な断面が円弧状をなしている。ガイド板53の下側部分には、径方向内側へ向けて突出するとともに容器軸O方向に沿って延びる補強リブが形成されている。ガイド板53の下側部分は、容器軸Oに垂直な断面がT字状をなしている。
【0074】
図7に示される横断面において、ガイド板53の径方向外側を向く外面53aは、凸曲線状をなしている。ガイド板53は、内筒8に径方向の内側から摺動可能に当接している。
図5において、ガイド板53の上端面は、本体筒16の下端開口縁に対向配置されている。
【0075】
パイプ連結筒52は、上側に位置しパイプ支持筒21の径方向の内側に嵌合する上側筒部52aと、下側に位置し上側筒部52aより大径の下側筒部52bと、を備える二段筒状に形成されている。上側筒部52aの上端部には、周方向の一部が切り欠かれて切り欠き部54が形成されており、該切り欠き部54は突起16dに係合されている。
【0076】
下側筒部52bの外径は、パイプ支持筒21の外径と略同一となっている。下側筒部52bの外周面には、遮蔽板51が連結されている。下側筒部52bには、下側からパイプ22の上端部が挿入されている。パイプ22は、下側筒部52bの径方向の内側に嵌合している。
【0077】
そして、
図8に示すように、この詰め替え容器1は、注出筒部材4が、基筒部材3に対して容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に移動することにより、注出筒18内と容器本体2内との連通の規制が解除されるように構成されている。具体的に、注出筒部材4が基筒部材3に対して容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に移動すると、該注出筒部材4の連通規制部50が、基筒部材3の内筒8から離間される。すなわち、連通規制部50の遮蔽板51が、内筒8の下端開口縁から離間されることにより、ガイド板53同士の間を通して、容器本体2内と注出筒18内とが連通する。
【0078】
以上説明した変形例によれば、前述の実施形態で説明した効果と同様の効果が得られるとともに、下記の効果を奏する。
すなわち、連通規制部50が、注出筒18内と容器本体2内との連通を規制するように配設されているので、詰め替え容器1の注出筒部材4と本容器30の注入口31とを連結する際、該詰め替え容器1を、注出口17を下側へ向けた倒立姿勢にして本容器30に連結するまでの間に、容器本体2の内容物がこの注出口17を通って容器外部に漏れ出るようなことが抑制される。従って、詰め替え作業による汚損等が防止され、作業が正確に行える。
【0079】
また、本容器30の注入口筒部32をガイド筒10内に挿入する際、該注入口筒部32はリブ42に案内されつつガイド筒10内に挿入されていき、規制凸部13に当接する。注入口筒部32は、径方向の外側から複数のリブ42に支持されているから、詰め替え時の容器同士の連結状態が安定する。また、注入口筒部32の外周面とガイド筒10の内周面との間には、リブ42の径方向に沿う長さ程度の隙間が形成されているから、該隙間を空気が流通しやすくなり、詰め替え効率が向上する。
【0080】
また、オーバーキャップ11は、ガイド筒10の切り欠き部43の下端部に配置されたヒンジ14を中心に回動するから、
図8に示されるようにオーバーキャップ11が開かれた状態で、該オーバーキャップ11と本容器30との距離が確保されて、ガイド筒10内の空気の流通の妨げになりにくい。さらに、オーバーキャップ係合部44と係合突起49とが係合されることで、オーバーキャップ11が確実に本容器30から離間される。
【0081】
尚、この変形例で説明したガイド板53の代わりに、下記構成を用いてもよい。すなわち、遮蔽板51上に、ガイド板53を設ける代わりに、ガイド板53の下側部分の容器軸O方向に沿う長さ程度の筒部を立設してもよい。この場合、前記筒部は、内筒8に径方向の内側から摺動可能に当接される。また、注出筒部材4が、基筒部材3に対して容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に移動することにより、前記筒部は、内筒8から容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に離間される。これにより、前記筒部の上端開口縁と内筒8の下端開口縁との間を通して、容器本体2内と注出筒18内とが連通する。
【0082】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。