(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転側部材と、前記バックプレートの両側面のうちで前記両ブレーキシューを設置した側と反対側の面である裏面に設置された駆動源とを、前記バックプレートに形成した通孔を通じて、直接又は他の部材を介して回転力を伝達可能な状態に連結している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したドラムブレーキ装置。
【背景技術】
【0002】
車両の制動を行う為に、ドラムブレーキが広く使用されている。ドラムブレーキには、各種型式のものが知られている。このうちで、リーディング・トレーリング式のドラムブレーキが、前進時にも後退時にも安定した制動力を得られる事から、広く使用されている。
図6〜8は、特許文献1に記載された、リーディング・トレーリング式のドラムブレーキの1例を示している。このドラムブレーキは、バックプレート1と、アンカ2と、ホイールシリンダ3と、一対のブレーキシュー4a、4bと、ドラム5とを備える。
【0003】
このうちのバックプレート1は、ナックル、アクスルハウジング等の懸架装置の構成部材に支持固定される。又、前記アンカ2は、前記バックプレート1の円周方向1箇所の径方向外寄り部分に支持固定されている。又、前記ホイールシリンダ3は、前記バックプレート1の外径寄り部分で、このバックプレート1の径方向に関して前記アンカ2と反対側位置に固定されている。前記ホイールシリンダ3は、シリンダ筒6の両端部に一対のピストンを油密に内嵌したもので、このシリンダ筒6の中央部内側に油圧を導入する事により、このシリンダ筒6の両端部からの前記両ピストンの突出量を増大させる(これら両ピストン同士の間隔を拡げる)様にしている。又、前記両ブレーキシュー4a、4bは、前記バックプレート1の径方向反対側2箇所位置で前記アンカ2と前記ホイールシリンダ3との間部分に、このバックプレート1の径方向に関する変位を可能に支持している。
【0004】
前記両ブレーキシュー4a、4bはそれぞれ、大略円弧形のウェブ7a、7bと、このウェブ7a、7bの外周縁部にそれぞれの幅方向中央部を溶接等により固定した裏板8a、8bと、この裏板8a、8bの外周面に添着固定したライニング9a、9bとから成る。そして、それぞれのウェブ7a、7bの周方向一端縁を前記アンカ2に突き当てると共に、周方向他端縁を前記両ピストンの先端部に形成した係合溝の底面に突き当てている。更に、前記ドラム5は、鋳鉄等によりシャーレ状に形成されており、前記両ブレーキシュー4a、4bを覆う状態で設けられて車輪と共に回転する。
【0005】
上述の様に構成するドラムブレーキにより制動を行う際には、ブレーキペダルの踏み込みによって前記ホイールシリンダ3内に油圧を導入し、前記シリンダ筒6からの前記両ピストンの突出量を増大させる。すると、これら両ピストンの先端部にそれぞれの周方向他端縁を突き当てた、前記両ウェブ7a、7b同士の間隔が拡がり、前記両ブレーキシュー4a、4bが、前記アンカ2を中心として径方向外方に揺動変位する。この結果、これら両ブレーキシュー4a、4bのライニング9a、9bの外周面が前記ドラム5の内周面に押し付けられて、制動が行われる。制動解除に伴って前記ホイールシリンダ3内の油圧を除くと、前記両ブレーキシュー4a、4bが、リターンスプリング10a、10bの弾力により、前記両ピストンを前記シリンダ筒6内に押し込みつつ、径方向内方に変位する。
【0006】
尚、
図6〜8に示した従来構造の第1例の場合、自動間隙調整用のストラット11を設けて、前記ライニング9a、9bの摩耗に拘らず、非制動状態での、これら両ライニング9a、9bの外周面と前記ドラム5の内周面との間の隙間(間隙)を適正値に保てる様にしている。前記ストラット11は、主板部12と副板部13とを枢軸14により連結して成る。又、この枢軸14は、この副板部13に固定されると共に、前記主板部12に形成した長孔15に、この長孔15の長さ方向の変位を可能に係合している。制動に伴って前記両ウェブ7a、7b同士の間隔が拡がると、前記副板部13が前記枢軸14を中心として、
図7の時計方向に揺動する。
【0007】
前記副板部13の端縁のうちで前記主板部12の端縁と突き当たる部分は、この揺動方向に関して後方(
図7の下方)に向かう程前記枢軸14の中心からの距離が長くなっている。この為、この枢軸14を中心とする前記副板部13の揺動変位に伴って、この副板部13の端縁と前記主板部12の端縁とが係合する(突き当たる)。そして、制動解除に伴って前記両ウェブ7a、7b同士の間隔が、前記両リターンスプリング10a、10bの弾力に基づいて収縮した場合でも、その収縮量は、制動の為の拡張量に比べて、前記副板部13の揺動変位に見合う分だけ縮まる。この為、前記両ライニング9a、9bの摩耗に拘らず、これら両ライニング9a、9bの外周面と前記ドラム5の内周面との間の隙間の大きさを適正値に保てる。
【0008】
走行中の車両を減速乃至は停止させる、所謂サービスブレーキの使用時の作用、並びに、自動間隙調整装置の作用は上述の通りであるが、ブレーキペダルを踏み込まずに車両を停止状態に維持する駐車ブレーキ装置を、上述の様なドラムブレーキに組み込む事も、広く行われている。又、サービスブレーキを油圧式に行い、駐車ブレーキを電動モータを駆動源とするリンク機構により機械的に行う事も、特許文献2〜3に記載される等により従来から知られており、一部の車両で実施されている。更に、油圧機構を省略し、電動モータを駆動源とする機械式の増力機構のみで、サービスブレーキと駐車ブレーキとの両方の機能を発揮させる電動式のブレーキ装置も、特許文献4〜6等に記載されて、従来から知られている。
【0009】
図9〜10は、このうちの特許文献3に記載された、サービスブレーキを油圧式に、駐車ブレーキを電動モータを駆動源として機械式に、それぞれ行う、ドラムブレーキの1例を示している。ドラムブレーキの基本的構造に関しては、前述の
図6に記載した一般的な構造と同様であるから同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、機械式の駐車ブレーキ装置部分の構成及び作用を中心に説明する。
【0010】
一方のブレーキシュー4aを構成するウェブ7aのうちでホイールシリンダ3寄りの端部にパーキングレバー16の基端部を枢支し、このパーキングレバー16の中間部基端寄り部分と他方のブレーキシュー4bを構成するウェブ7bのホイールシリンダ3寄り部分との間に、押圧ロッド17を掛け渡している。又、前記パーキングレバー16の先端部に、引っ張りロッド18の先端部を結合している。更に、この引っ張りロッド18の基端部を、電動モータ19と、減速機20と、送りねじ装置21とを備えた電動式のアクチュエータ22により引っ張り可能としている。
【0011】
駐車ブレーキ装置の作動時には、このアクチュエータ22により前記引っ張りロッド18を介して前記パーキングレバー16を
図9の時計方向に揺動させる。そして、前記押圧ロッド17を介して前記他方のブレーキシュー4bを径方向外方に押圧すると共に、この反作用として、前記一方のブレーキシュー4aを径方向外方に変位させる。この結果、これら両ブレーキシュー4a、4bのライニング9a、9bの外周面がドラムの内周面に押し付けられて、制動が行われる。
【0012】
上述の
図9〜10に示した様な従来構造の場合、前記両ライニング9a、9bの外周面をドラムの内周面に押し付ける事により発生させる制動力の反力が、パーキングレバー16及び引っ張りロッド18を介して、前記アクチュエータ22に加わる。この為、このアクチュエータ22をバックプレート1に支持固定している部分の剛性を十分に高くする必要があり、ドラムブレーキ装置の小型・軽量化を図る上で不利になる。この点は、特許文献4、6に記載された構造の場合も同様である。
【0013】
特許文献2には、
図11に示す様に、一対のブレーキシュー4a、4b同士の間に、送りねじ装置21aにより伸縮するストラット11aを設けた構造が記載されている。この様な従来構造によれば上述の様な小型・軽量化の問題をなくせるが、
図9〜10に示した構造とは異なり、アクチュエータ(送りねじ装置21a)をバックプレート1の裏面側に配置する事はできない。この為、このバックプレート1の裏面側の空間を有効利用する事により、減速機の減速比を確保して、アクチュエータの出力を大きくし、制動力の確保を図る構造を実現する面からは不利になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、制動に伴う反力が拡縮装置、或は駆動装置を支持しているバックプレート等の部材に加わる事がなく、小型・軽量化を図れる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のドラムブレーキ装置は、前述した従来から知られているドラムブレーキ装置と同様に、バックプレートと、一対のブレーキシューと、ドラムと、拡縮装置と、この拡縮装置を駆動する為の駆動装置とを備える。
このうちのバックプレートは、ナックル、アクスルハウジング等の懸架装置の構成部材に支持固定される。
又、前記両ブレーキシューは、前記バックプレートの径方向反対側2箇所位置に、このバックプレートの径方向に関する変位を可能に支持している。
又、前記ドラムは、前記両ブレーキシューを覆う状態で設けられて、車輪と共に回転する。
又、前記拡縮装置は、前記両ブレーキシュー同士の間隔を拡縮する為、これら両ブレーキシューを構成するウェブ同士の間に設けられている。
【0017】
特に、本発明のドラムブレーキ装置に於いては、前記拡縮装置は、ストラットと、第一、第二の拡張レバーとを備える。
このうちの第一の拡張レバーは、その先端部を、前記両ブレーキシューのうちの一方のブレーキシューのウェブに、このウェブを径方向外方に押圧可能に係合させている。
又、前記第二の拡張レバーは、その先端部を、前記ストラットの基端部に、このストラットを径方向外方に押圧可能に係合させている。
又、前記ストラットの先端部は、前記両ブレーキシューのうちの他方のブレーキシューのウェブに、このウェブを径方向外方に押圧可能に係合させている。
【0018】
又、前記駆動装置は、送りねじ機構と、この送りねじ機構を駆動する為の駆動源とを備えている。
このうちの送りねじ機構は、雄ねじ部材と、雌ねじ部材とから成る。
このうちの雄ねじ部材は、外周面の少なくとも一部に雄ねじ部を有し、その中間部を、前記一方のブレーキシューのウェブに形成された通孔に挿通した状態で、その先端部をこのウェブの厚さ方向に関して一方の側に、その基端部をこのウェブの厚さ方向に関して他方の側に、それぞれ配置させている。
又、前記雌ねじ部材は、雌ねじ部を有し、この雌ねじ部を、前記雄ねじ部材の雄ねじ部に螺合させている。
又、前記雄ねじ部材と雌ねじ部材とのうちの、一方の部材を前記駆動源により回転駆動される回転側部材とし、他方の部材を、この回転側部材の回転運動に伴い軸方向に変位する変位側部材とする。
又、この変位側部材の一部に、前記第一、第二の拡張レバーの基端部を、この変位側部材の軸方向への変位に伴う揺動変位が可能な状態で係合させる。
更に、前記回転側部材と、前記一方のブレーキシューのウェブとを、直接又は他の部材を介して係合する事により、制動時に加わる反力のうち、前記回転側部材の軸方向成分の作用方向へのこの回転側部材の変位を阻止する。
【0019】
上述の様な本発明のドラムブレーキ装置を実施する場合に具体的には、請求項2に記載した発明の様に、前記回転側部材を、前記雄ねじ部材とする。一方、前記変位側部材を、前記雌ねじ部材とする。そして、この雌ねじ部材を、前記雄ねじ部材の先端部に、回転が阻止された状態で(但し、この雄ねじ部材に対する回転を許容する状態で)、且つ、軸方向変位が可能な状態で螺合させる。
【0020】
又、上述の様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、より具体的には、請求項3に記載した発明の様に、前記雄ねじ部材を、軸部と、この軸部の基端側に設けた大径部とで構成する。
又、この大径部と前記一方のブレーキシューのウェブの厚さ方向に関して他方の側面との間に、係合部材と、軸受部材とを設ける。
このうちの係合部材を、その内周面に前記雄ねじ部材の軸部を、隙間を設けた状態で挿通可能な円筒状とする。又、前記係合部材の一端面を前記一方のブレーキシューのウェブに係合させる。そして、この係合部材の他端面に球状凹面部を形成する。
又、前記軸受部材を、その内周面に前記雄ねじ部材の軸部を、隙間を設けた状態で挿通可能な円環状とする。又、前記軸受部材の一端面に、前記係合部材の球状凹面部と球面係合可能な、球状凸面部を形成する。又、前記軸受部材の他端面を前記雄ねじ部材の大径部と当接させる。そして、前記雄ねじ部材を、前記一方のブレーキシューのウェブに対して揺動可能な状態に支持する。
【0021】
又、上述の様な本発明のドラムブレーキ装置を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、前記回転側部材と、前記バックプレートの両側面のうちで前記両ブレーキシューを設置した側と反対側の面である裏面に設置された駆動源とを、前記バックプレートに形成した通孔を通じて、直接又は他の部材を介して回転力を伝達可能な状態に連結する。
【0022】
又、上述の様な本発明のドラムブレーキ装置を実施する場合に具体的には、請求項5に記載した発明の様に、前記送りねじ機構を、不可逆性を有するものとする。
【発明の効果】
【0023】
上述した様に構成する本発明のドラムブレーキ装置は、次の様に作用して、制動力を発揮する。制動時には、駆動源により駆動された送りねじ機構を構成する変位側部材の軸方向に関する所定方向への変位に伴って、拡縮装置を構成する第一、第二の拡張レバーの基端部が、互いに反対方向に揺動する。そして、これら第一、第二の拡張レバーの先端部(第一の拡張レバーと一方のブレーキシューのウェブとの係合部、及び、第二の拡張レバーとストラットとの係合部)同士の間隔を拡げる。そして、前記第一の拡張レバーの先端部が一方のブレーキシューのウェブを直接又は他の部材を介して、前記第二の拡張レバーの先端部が他方のブレーキシューのウェブをストラットを介して、それぞれ径方向外方に変位させる。その結果、これら両ブレーキシューのライニングをドラムの内周面に押し付けて、制動を行わせる。
【0024】
この制動に伴って、前記第一、第二の拡張レバーの先端部に、互いに近づく方向の反力が加わる。この反力は、これら第一、第二の拡張レバーの基端部を介して、前記送りねじ機構を構成する変位側部材に伝わる。この反力うちの、前記ストラットの配設方向に関する成分、及び、前記第一、第二の拡張レバーを前述した制動の為の揺動方向と反対方向へ揺動させようとする成分は、それぞれが前記変位側部材に反対方向の力として加わる。その結果、前記反力のうちの多くの部分を占める、これら各方向の成分は、この変位側部材の内部で打ち消しあう。一方、前記反力のうちの、前記変位側部材の軸方向に関する成分は、前記第一、第二の拡張レバーを介してこの変位側部材に、この軸方向に作用する力(前記所定方向と反対方向の力)として加わり、更に、回転側部材に伝達される。但し、この回転側部材は、前記軸方向に関する成分の作用方向への変位を、この変位側部材と前記一方のブレーキシューのウェブとの係合により阻止されている。この為、前記軸方向に関する成分は、このウェブにより支持される。その結果、バックプレート等、前記拡縮装置、或は駆動装置を支持している部分に、制動に伴って大きな力が加わる事はない。
【0025】
前述の様な構成、及び作用を有する本発明のドラムブレーキ装置によれば、拡縮装置を構成する第一、第二の拡張レバー、及び駆動装置を構成する変位側部材から成る、伝達ロスの少ないリンク式の増力装置(トグル機構)を採用する事により、比較的出力の小さな電動モータを使用して、小型・軽量化を図る事ができる。しかも、前述した様に、制動に伴う反力のうちの多くの部分を前記拡縮装置及び駆動装置内で相殺すると共に、残りの少しの成分をこの駆動装置を構成する回転側部材と前記一方のブレーキシューのウェブとの係合部で支持できる。従って、バックプレート等、前記駆動装置を支持している部分に、制動に伴って大きな力が加わる事のない構造を実現できる。この為、前記拡縮装置を構成する各部材(第一、第二の拡張レバー等)、及び前記駆動装置を構成する各部材(変位側部材、回転側部材等)、及びこの回転側部材と前記一方のブレーキシューのウェブとの係合部に、十分な剛性及び強度を持たせておけば、前記バックプレート等、前記拡縮装置、或は駆動装置を支持している部分の剛性及び強度を特に大きくする必要がない。これらにより、ドラムブレーキ装置の軽量化を図り易い。
【0026】
更に、前記駆動装置を構成する送りねじ機構を、前記一方のブレーキシューのウェブの周囲の空間を利用して配置している。この為、従来のドラムブレーキ装置では使用されていない空間を有効に利用し、このドラムブレーキ装置の小型、軽量化を図ると共に、ドラムブレーキ装置を構成する他の部材に関する配置、構造等の設計の自由度の向上を図る事ができる。
【0027】
又、請求項4に記載した発明の場合、前記回転側部材を回転駆動する駆動源を、前記バックプレートの両側面のうちで前記両ブレーキシューを設置した側と反対側の面である裏面に設置している。この為、前記バックプレートの裏面側の空間を有効利用する事により、減速機の減速比を確保して、前記送りねじ機構等のアクチュエータの出力を大きくし、制動力の確保を図る事ができる。
【0028】
又、請求項5に記載した発明の場合、前記送りねじ機構を、不可逆性を有するものとしている。この為、電動モータ等の駆動源への通電を停止した場合でも、減速機等に別途のロック構造を設ける事なく、制動力を発揮した状態を維持する事ができる。その結果、ドラムブレーキ装置の低コスト化を図る事ができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜5は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例は、本発明のドラムブレーキ装置の構造を、駐車ブレーキ装置に適用したものである。尚、駐車ブレーキ装置以外の構造及び作用に就いては、前述の
図6〜11に示した従来構造を含めて、従来から広く知られているリーディング・トレーリング式のドラムブレーキ装置と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。又、サービスブレーキの構造は、前述した従来構造と同様に、油圧機構により構成している。但し、本発明のドラムブレーキ装置の構造は、サービスブレーキ装置に適用する事もできる。
【0031】
本例のドラムブレーキ装置を構成する駐車ブレーキ装置は、前述した従来から知られているドラムブレーキ式駐車ブレーキ装置と同様に、バックプレート1と、一対のブレーキシュー4a、4bと、ドラム5(
図6参照)と、拡縮装置23と、この拡縮装置23を駆動する為の駆動装置24とを備える。
【0032】
特に、本例のドラムブレーキ装置を構成する駐車ブレーキ装置の場合、前記拡縮装置23は、ストラット25と、第一、第二の拡張レバー26、27とを備える。
このうちのストラット25は、前述した
図6〜8に示した従来構造の第1例の自動間隙調整用のストラット11とほぼ同様の構造である。尚、自動間隙調整装置の構造は、本例の構造の他、特許文献7等に記載されて従来から知られている各種構造を適用する事ができる。何れの構造を適用するにしても、この様な自動間隙調整装置の構造及び作用に就いては、前記特許文献6〜7等に記載される等により従来から広く知られており、本発明の特徴部分でもない為、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0033】
前記第一の拡張レバー26は、全体形状を略く字形状としている。又、この第一の拡張レバー26の先端部(
図4の下側端部)には、この先端部から略L字形状に、前記両ブレーキシュー4a、4bのうちの他方のブレーキシュー4b側(
図4の左側)に突出した先端側係止爪部28を形成している。
又、前記第一の拡張レバー26の基端面には、後述するナット39の外周面(第一の球状凸面部50)と球面係合可能な第一の球状凹面部31を形成している。
更に、前記第一の拡張レバー26の前記両ブレーキシュー4a、4bのうちの一方のブレーキシュー4a側(
図4の右側)の端縁の中間部に、この端縁から略く字形状に突出した中間係止爪部30を形成している。又、この端縁のうちの、この中間係止爪部30よりも先端(
図4の下方端)寄り部分に、部分円弧部29を形成している。この部分円弧部29は、先端方向(
図4の下方)に向かう程、前記第一の球状凹面部31からの距離が長くなっている。
【0034】
又、前記第一の拡張レバー26は、前記部分円弧部29を、前記ウェブ7aの押圧用通孔32の内面のうちで裏板8a寄りの部分に当接させた状態で挿通している。この状態で、前記第一の球状凹面部31を、前記ナット39の外周面に、揺動変位可能な状態に球面係合させている。更に、前記中間係止爪部30の先端部をこのウェブ7aの厚さ方向に関して一方の側面(
図4〜5の上面)に、前記先端側係止爪部28の先端部を前記ウェブ7aの厚さ方向に関して他方の側面(
図4〜5の下面)に、それぞれ当接させている。この様にして、
図4〜5に示す、非制動時に於ける、前記第一の拡張レバー26の位置決めを図っている。
【0035】
一方、前記第二の拡張レバー27は、略L字状のレバー本体33と、このレバー本体33の前記他方のブレーキシュー4b側(
図4〜5の左側)の端縁から、互いに離隔し且つ平行な状態で突出した一対の板部34、34とを備える。
このうちのレバー本体33の基端面には、前記ナット39の外周面(後述する第二の球状凸面部51)と球面係合可能な、第二の球状凹面部35を形成している。又、前記レバー本体33の前記他方のブレーキシュー4b側の端縁の先端寄り部分で、前記両板部34、34に挟まれた部分に、前記ストラット25の基端部と係合可能な係合凹部36を形成している。
この様な第二の拡張レバー27は、前記第二の球状凹面部35を前記ナット39の外周面に、揺動変位可能な状態に球面係合させると共に、前記両板部34、34の間に前記ストラット25の基端部を挟んだ状態で、前記係合凹部36とこのストラット25の基端部とを係合して組み付けている。この様にして、前記
図4〜5に示す、非制動時に於ける、前記第二の拡張レバー27の位置決めを図っている。
【0036】
本例の場合、
図5に示す様に、前記ナット39の中心点Aと、前記第一の拡張レバー26の部分円弧部29と前記ウェブ7aの押圧用通孔32の内周面との当接点Bと、前記第二の拡張レバー27の係合凹部36と前記ストラット25の基端部との係合点Cとにより、力の作用方向を直角方向に変換しつつ、この力を増大させる、トグル機構を構成している。
【0037】
即ち、本例の場合、後述する様に、前記ナット39の軸方向他方(
図4〜5の下方)への変位に伴い、このナット39の中心点Aが、中心点A´に移動する。又、このナット39の軸方向他方への変位に伴い、前記第一の拡張レバー26が
図4〜5で反時計方向に揺動して、前記当接点Bが、当接点B´に移動する。又、同じく、前記第二の拡張レバー27が、
図4〜5で時計方向に揺動して、前記係合点Cが係合点C´に移動する。
【0038】
この様な各点の移動に伴い、前記中心点Aと前記当接点Bとを結んだ仮想線と、この当接点Bと前記係合点Cとを結んだ仮想線とが成す角度θ
1は、前記中心点A´と前記当接点B´とを結んだ仮想線と、この当接点B´と前記係合点C´とを結んだ仮想線とが成す角度θ´
1に、連続的に小さくなる。一方、前記中心点Aと前記係合点Cとを結んだ仮想線と、この係合点Cと前記当接点Bとを結んだ仮想線とが成す角度θ
2も、前記中心点A´と前記係合点C´とを結んだ仮想線と、この係合点C´と前記当接点B´とを結んだ仮想線とが成す角度θ´
2に、連続的に小さくなる。その結果、前記第一、第二の拡張レバー26、27の増力比(レバー比)が連続的に大きくなる。この様にこれら第一、第二の拡張レバー26、27の増力比が、前記ナット39の軸方向他方への変位に伴って連続的に増える方向に変化する為、後述するスクリュ38を回転駆動する為の前記駆動源の出力を、この増力比の変化と共に小さくできる。逆に言えば、出力を同じとした場合に、前記拡縮装置23の拡張方向の力を大きくして、大きな制動力を発揮できる。
【0039】
又、前記駆動装置24は、送りねじ機構37と、この送りねじ機構37を駆動する駆動源(図示省略)とを備える。
このうちの送りねじ機構37は、特許請求の範囲の回転側部材及び雄ねじ部材に相当するスクリュ38と、同じく変位側部材及び雌ねじ部材に相当するナット39と、このナットの回転を阻止する為のナットホルダ40とを備える。
【0040】
このうちのスクリュ38は、軸部41と、この軸部41よりも大径な大径部42とから成る。
このうちの軸部41は、外周面の中間部から先端部(
図4〜5の上端部)に亙る部分に、雄ねじ部43が形成されている。
又、前記大径部42は、前記スクリュ38の基端側(
図4〜5の下端側)に、前記軸部41の他端(
図4〜5の下端)と段差部44を介して連続した状態で設けられている。又、前記大径部42の中心部に、軸方向他方(
図4の下方)に開口した六角孔45を形成している。
【0041】
この様な前記スクリュ38は、その中間部を、前記ウェブ7aに形成した、前記ストラット25の配設方向(
図4〜5の左右方向)に長い長孔47に挿通した状態で、その先端部をこのウェブ7aの厚さ方向に関して一方(
図4〜5の上方)の側に、その基端部をこのウェブ7aの厚さ方向に関して他方(
図4〜5の下方)の側に、それぞれ配置している。この様な状態で前記スクリュ38は、前記長孔47内で、前記ストラット25の配設方向に揺動変位が可能である。尚、この長孔47の、前記ストラット25の配設方向に関する寸法は、制動時に前記一方のブレーキシュー4aが、径方向外方に変位する最大変位量よりも大きくしている。
【0042】
又、前記スクリュ38の六角孔45には、前記電動モータの出力を伝達可能な連結部材46の先端部を係合している。この様な組み付け状態に於いて、この連結部材46は前記スクリュ38に対して、軸方向に関する相対変位、及びこのスクリュ38に対する揺動変位が可能である一方、このスクリュ38に対する、相対回転を阻止され(このスクリュ38と同期して回転可能とし)ている。この為に前記連結部材46の両端部の軸方向から見た形状を、六角形としている。
【0043】
又、本例の場合、前記連結部材46の基端部を、前記バックプレート1に形成した、通孔48(
図1参照)を通じて、このバックプレート1の両側面のうちで前記両ブレーキシュー4a、4bを設置した側と反対側の面である裏面から突出させている。
そして、前記連結部材46の基端部(
図4〜5の下端部)と、前記バックプレート1の裏面に配置した電動モータとを、減速機(図示省略)を介して連結している。尚、この連結部材46の基端部は、前記減速機の出力軸に対しても、軸方向変位及び揺動変位可能な状態で係合させる。この様な電動モータ及び減速機により、前記連結部材46を回転駆動する構造に関しては、種々容易に設計できる為、図示並びに詳しい説明は省略する。
【0044】
又、前記ナット39は、内周面に雌ねじ部49が形成された円筒状である。又、外周面の円周方向に関する反対側位置に、互いに平行な1対のナット側平面部(図示省略)を形成している。更に、前記外周面のうちの、円周方向に関するこれら両ナット側平面部同士の間部分に、それぞれ前記第一、第二の拡張レバー26、27の第一、第二の球状凹面部31、35と球面係合可能な、第一、第二の球状凸面部50、51を形成している。
この様なナット39は、前記雌ねじ部49と、前記スクリュ38の雄ねじ部43とを螺合した状態で、このスクリュ38の先端寄り部分に結合している。
【0045】
又、前記ナットホルダ40は、板状素材を曲げ形成する等により造ったもので、矩形状のホルダ基部52と、このホルダ基部52から、略直角に折れ曲がった一対のホルダ側板部53、53とから成る。このうちのホルダ基部52の中央部に、前記スクリュ38の先端部と干渉しない直径を有する、ホルダ側通孔54を形成している。又、前記両ホルダ側板部53、53の内側面同士の距離は、前記ナット39の両ナット側平面部同士の幅とほぼ同じか、僅かに小さい。
【0046】
この様なナットホルダ40は、前記ホルダ側通孔54に、前記スクリュ38の先端部を挿通し、前記両ホルダ側板部53、53の内側面同士の間部分に、前記ナット39の両ナット側平面部を挟んだ状態で配置している。この様にして、このナット39の回り止めを図っている。
【0047】
又、前記両ホルダ側板部53、53の内側面同士の間部分のうちの前記一方のブレーキシュー4a側(
図4〜5の右側)に、前記第一の拡張レバー26の基端部を配置している。一方、前記両ホルダ側板部53、53の内側面同士の間部分のうちの前記他方のブレーキシュー4b側(
図4〜5の左側)に、前記第二の拡張レバー27の基端部を配置している。この様にして制動時に、前記両拡張レバー26、27を、
図4〜5の表裏方向に傾斜させるモーメントが発生しても、これら両拡張レバー26、27が傾斜しない様にしている。この為、これら両拡張レバー26、27の姿勢が安定し、これら両拡張レバー26、27が、前記両ウェブ7a、7bに対して安定した押圧力を付与する事ができる。
【0048】
この様な送りねじ機構37は、不可逆性(セルフロック機能)を有する通常の送りねじ機構としている。この為、前記電動モータへの通電を停止した場合に、何れの部分にも通電する事なく、制動力を発揮した状態を維持する事ができる。尚、前記伝達機構37を、ボールナット式の送りねじ機構等、可逆性を有するものにする事もできる。但し、この場合には、前記電動モータへの通電を停止した後も前記制動力を確保する為のロック構造を、例えば、この電動モータ又は前記減速機部分等に別途設ける。
【0049】
又、本例の場合、前記スクリュ38の段差部44と、前記ウェブ7aの厚さ方向に関して他方の側面との間に、このウェブ7aの側から順に、係合筒部材55と、軸受部材56とを設けている。
このうちの係合筒部材55は、その内側に前記スクリュ38の軸部41を、隙間を設けた状態で挿通可能な円筒状である。又、先端面(
図4〜5の上端面)の円周方向複数個所(例えば3〜4箇所)に設けた係合部57を、前記ウェブ7aに設けた切り欠き或は凹溝等の係合部に係合して、このウェブ7aに対する回り止めを図っている。一方、基端面(
図4〜5の下端面)に球状凹面部58を形成している。
【0050】
又、前記軸受部材56は、その内側に前記スクリュ38の軸部41を、隙間を設けた状態で挿通可能な円環状である。又、前記ウェブ7a側の軸方向一端面(
図4〜5の上端面)に、前記係合筒部材55の球状凹面部58に対し揺動可能に球面係合可能な、球状凸面部59を形成している。一方、軸方向他端面(
図4〜5の下端面)を平坦面としている。
【0051】
前述した様な係合筒部材55は、前記スクリュ38の軸部41の中間部を、内側に挿通した状態で、この係合筒部材55の係合部57を前記ウェブ7aの係合部に係合させている。一方、前記軸受部材56は、前記スクリュ38の軸部41の基端寄り部分を内側に挿通した状態で、この軸受部材56の球状凸面部59を、前記係合筒部材55の球状凹面部58に球面係合すると共に、他端面を前記スクリュ38の段差部44に当接させている。この様にして、このスクリュ38の、軸方向一方(
図4〜5の上方)への変位を規制すると共に、前記ウェブ7aに対する揺動変位を可能としている。
【0052】
前述の様に構成する本例のドラムブレーキ装置を構成する駐車ブレーキ装置は、次の様に作用して、制動力を発揮する。制動時には、前記電動モータの出力を、前記減速機、及び前記連結部材46を介して、前記スクリュ38に伝達し、このスクリュ38を所定の方向に回転させる。すると、このスクリュ38の雄ねじ部43と、前述した様なトグル機構を構成する前記ナット39の雌ねじ部49との螺合に基づき、このナット39が、軸方向他方(
図4〜5の下側)へと変位する。すると、このナット39の第一の球状凸面部50と、前記第一の拡張レバー26の第一の球状凹面部31とが摺動すると共に、前記第一の拡張レバー26の基端部が、
図4〜5で反時計方向に揺動する。その結果、前記第一の拡張レバー26の部分円弧部29と、前記ウェブ7aの押圧用通孔32との当接点B(
図5参照)が、当接点B’へと、このウェブ7aを径方向外方に押圧しながら移動する。
【0053】
一方、前記ナット39の軸方向他方(
図4〜5の下側)への変位に伴い、このナット39の第二の球状凸面部51と、前記第二の拡張レバー27の第二の球状凹面部35とが摺動すると共に、前記第二の拡張レバー27の基端部が、
図4〜5で時計方向に揺動する。その結果、前記第二の拡張レバー27の係合凹部36と、前記ストラット25の基端部との係合部C(
図5参照)が、係合部C´へと、このストラット25を介して前記他方のブレーキシュー4bのウェブ7bを径方向外方に押圧しながら移動する。
【0054】
この様にして互いに逆方向に揺動変位した前記第一、第二の拡張レバー26、27の先端部(前記当接点B、係合点C)は、互いに離れる方向に揺動し、これら先端部同士の間隔が拡がる。本例の場合には、前述した様に、前記第一の拡張レバー26の部分円弧部29が前記一方のブレーキシュー4aのウェブ7aを直接、前記第二の拡張レバー27の係合凹部36が前記他方のブレーキシュー4bのウェブ7bを前記ストラット25を介して、それぞれ径方向外方に変位させる。そして、前記両ブレーキシュー4a、4bのライニング9a、9bを前記ドラム5(
図6参照)の内周面に押し付けて、制動を行わせる。この様な前記第一、第二の拡張レバー26、27及び前記ナット39から成る増力機構(トグル機構)は、摩擦損失が少なく、優れた伝達効率を有する。本例の構造で使用する歯車式の前記減速機は、或る程度の摩擦損失を生じる事は避けられないが、前記第一、第二の拡張レバー26、27部分で増力する分、前記減速機部分での増力比を小さく抑えられ、その分、この減速機部分での摩擦損失も低く抑えられる。この為、比較的出力の小さな電動モータを使用して、小型・軽量化を図る事ができる。
【0055】
本例のドラムブレーキ装置によれば、前記バックプレート1や基板等、前記駆動装置24を支持している部分の剛性及び強度を特に大きくする必要がなく、ドラムブレーキ装置の軽量化を図り易い。
即ち、本例のドラムブレーキ装置を構成する駐車ブレーキ装置の場合、前述の様にして行う制動に伴って、前記第一、第二の拡張レバー26、27の先端部に、互いに近づく方向の反力が加わる。この反力うちの、前記ストラット25の配設方向の成分、及び、前記第一、第二の拡張レバー26、27を前述した揺動の方向と反対方向へ揺動させる成分は、それぞれが前記ナット39に反対方向の反力として加わる。その結果、これら各反力は、このナット39内で打ち消し合う。一方、前記ナット39の軸方向の成分は、前記第一、第二の拡張レバー26、27を介して、このナット39に同方向(
図4〜5の上方)の力として加わり、更に、前記スクリュ38に伝達する。但し、このスクリュ38は、前記軸方向成分の作用方向(
図4〜5の上方)への変位を、前述した様に、前記スクリュ38の段差部44と前記ウェブ7aの他方の側面とを、前記係合筒部材55及び軸受部材56を介して係合する事により阻止されている。しかも、制動力を発生させた状態で生じる、前記軸方向成分の大きさは限られている(小さい)。又、前記ウェブ7aは、元々厚肉金属製で、大きな強度及び剛性を有する。従って、前記軸方向成分は、前記ウェブ7aにより十分に支持する事ができて、このウェブ7aを支持した、前記バックプレート1等、前記駆動装置24を支持している部分に、制動に伴って大きな力が加わる事はない。この為、前記反力を相殺、或は支持する部分を構成する部材(第一、第二の拡張レバー26、27、スクリュ38、ナット39、ウェブ7a、係合筒部材55、軸受部材56)に十分な剛性及び強度を持たせる事により、前記バックプレート1や基板等、前記駆動装置24を支持している部分の剛性及び強度を特に大きくする必要がなく、ドラムブレーキ装置の軽量化を図り易い。
【0056】
又、前記送りねじ機構37を、前記一方のブレーキシュー4aのウェブ7aの周囲の空間を利用して配置している。この為、従来のドラムブレーキ装置では使用されていない空間を有効に利用し、このドラムブレーキ装置の小型、軽量化を図ると共に、ドラムブレーキ装置を構成する他の部材に関する配置、構造等の設計の自由度の向上を図る事ができる。
【0057】
又、前記送りねじ機構37を構成するスクリュ38を、前記一方のブレーキシュー4aのウェブ7aに対して揺動可能な状態に支持している。又、前記スクリュ38と前記連結部材46とが、互いに揺動可能な状態に連結されている。この為、前述した様な制動に伴う反力が、前記スクリュ38を揺動させる様な力として加わった場合でも、このスクリュ38及び前記連結部材46が互いに揺動変位する事により追従できる。その結果、前記電動モータからの回転力を、前記連結部材46を介して、前記スクリュ38に円滑に伝達する事ができる。
【0058】
又、前記第一の拡張レバー26の基端部、及び前記第二の拡張レバー27の基端部を、前記ナットホルダ40の両ホルダ側板部53、53同士の間部分に配置している。この為、制動時に、前記第一、第二の拡張レバー26、27を傾斜させる方向のモーメントが発生しても、これら第一、第二の拡張レバー26、27の姿勢が安定し、これら第一、第二の拡張レバー26、27が、前記両ウェブ7a、7bに対して安定した押圧力を付与する事ができる。