特許第5758412号(P5758412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5758412消費者製品組成物で使用するジアミドゲル化剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758412
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】消費者製品組成物で使用するジアミドゲル化剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20150716BHJP
   C07C 271/22 20060101ALI20150716BHJP
   C11D 3/32 20060101ALI20150716BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   C09K3/00 103M
   C07C271/22
   C11D3/32
   C11D17/08
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-557268(P2012-557268)
(86)(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公表番号】特表2013-521402(P2013-521402A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】US2011028021
(87)【国際公開番号】WO2011112887
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2012年9月6日
(31)【優先権主張番号】10156371.6
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】スサナ、フェルナンデス、プリエト
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン、スメッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベアトリウ、エスクデル、ヒル
(72)【発明者】
【氏名】フアン、フェリペ、ミラベト、セラデス
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント、ホセプ、ネボト、カルダ
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−088049(JP,A)
【文献】 特開2003−301164(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0089416(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0120910(US,A1)
【文献】 特表2001−507068(JP,A)
【文献】 特開2000−034463(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第01352536(GB,A)
【文献】 特開2006−016481(JP,A)
【文献】 SUZUKI M.,NEW L-VALINE-BASED HYDROGELATORS: FORMATION OF SUPRAMOLECULAR HYDROGELS,TETRAHEDRON LETTERS,NL,ELSEVIER,2004年 7月 5日,V45 N28,P5399-5402
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C11D 1/00−17/08
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ブタン−1,4−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ペンタン−1,5−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ヘプタン−1,7−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(オクタン−1,8−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ノナン−1,9−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(デカン−1,10−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ウンデカン−1,11−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ドデカン−1,12−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(トリデカン−1,13−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(ヘキサデカン−1,16−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(オクトデカン−1,18−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(テトラデカン−1,14−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマート;及びこれらの混合物からなる群から選択されるジアミドゲル化剤であって、
前記ジアミドゲル化剤がタンパク質でない、ジアミドゲル化剤。
【請求項2】
前記ジアミドゲル化剤が、150〜1500g/モルの分子量を有する、請求項1に記載のジアミドゲル化剤。
【請求項3】
前記ジアミドゲル化剤が、0.1〜100mg/mLの最小ゲル化濃度(MGC)を有する、請求項1に記載のジアミドゲル化剤。
【請求項4】
消費者製品組成物を構造化するための、請求項1〜のいずれか一項に記載のジアミドゲル化剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤組成物などの多様な消費者製品と適合性があり、かつ製品の透明度に影響を与えない構造化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
単一ベースの洗剤組成物から、固有の利益を提供する多様な変形を作り出すことが長い間望まれてきた。そのようなベースに特定の有益剤を加えることにより、ある特定のユーザーグループに合わせた組成物を、簡単かつコスト効率よく提供することができる。しかしながら、大きな難問は、かかる組成物の粘度を高めるための、多様な潜在的洗剤成分と適合性がある構造化剤を見つけることである。
【0003】
消費者製品組成物にレオロジー利益をもたらす外部構造化剤は既知である。そのような構造化剤の望ましい利益の例としては、粒子懸濁、ずり減粘特性、棚に並べられたときの高粘度な見掛け、並びに組成物中に組み込まれることが望ましい他の材料の安定性が挙げられる。既知の外部構造化剤としては、ヒマシ油、脂肪酸、脂肪酸エステル、又は脂肪石鹸非水溶性ワックス由来のものが挙げられる。しかしながら、洗剤用途でのそれらの適用性は、改善された低温洗浄にとって望ましい、例えばプロテアーゼ及びリパーゼといった酵素などの従来の洗剤成分による劣化反応が原因で限定される(リパーゼ加水分解エステル結合がヒマシ油誘導体中に存在する)。この種類の構造化剤はまた、低pHの過酸化物漂白剤と不適合である。このような外部構造化剤は、更なる白濁を付与し、したがって組成物の透明性を低減することから、洗剤組成物の審美的な魅力を損なわせる。このような理由で、配合者はポリマー構造化剤を用いる場合が多かった。しかしながら、ポリマー構造化剤は、糸のように流れ落ちる特性(stringy pour profile)をもたらす可能性があり、このことは、特に「ゲル様」粘度が望ましい場合には、消費者にとって望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、多様な洗剤組成物と適合性があり、製品の透明度に影響を与えず、更に洗剤成分の良好な構造化をもたらし、かつ注ぐのが簡単な構造化剤が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次式[I]:
【化1】
(式中、R及びRは、同じか又は異なっていてもよいアミノ官能性末端基であり、Lは、14〜500g/モルの分子量の連結部分であり、ジアミドゲル化剤がタンパク質でないことを除く)を有するジアミドゲル化剤に関する。
【0006】
本発明の別の態様は、消費者製品組成物、好ましくは流体洗剤組成物を構造化するためのかかるジアミドゲル化剤の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】線形粘弾性領域内のG’及びG”、並びにG’とG”とがクロスオーバーする点におけるゲル強度の測定値としての振動応力を詳述。
図2】構造回復の動力学の測定値としてのG’とG”とのクロスオーバーを詳述。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用するとき、「消費者製品」は、販売される形態での使用又は消費を意図し、後続する商業的製造又は変性を意図しない、ベビーケア、ビューティケア、衣類及びホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、ヘルスケア、スナック及び/又は飲料製品あるいは装置を意味する。このような製品には:おむつ、よだれ掛け、拭き取り用品;脱色、カラーリング、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングなどの、毛髪処理(人、犬、及び/又は猫)用商品及び/又は毛髪処理に関する方法;脱臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;クリーム、ローション、及び消費者が使用するためのその他の局所的に適用される製品の適用を含むスキンケア;並びにシェービング製品;布、硬表面、及び布及びホームケアの分野における任意のその他の表面を処理するための製品及び/又は処理に関する方法、例えば、空気ケア、自動車の手入れ、食器洗い、布地コンディショニング(軟化など)、洗濯洗浄力、洗濯及びすすぎ添加剤及び/又はケア、硬表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者用又は業務用のその他の洗浄;トイレットペーパー、化粧紙、鼻紙、及び/又はペーパータオルに関する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;練り歯磨き、歯用ゲル、歯のリンス、義歯接着剤、歯のホワイトニングなどの口腔ケアに関する商品及び/又は方法;咳止め薬及び風邪治療薬、痛み止め、RX医薬、ペットの健康及び栄養、並びに浄水などの市販のヘルスケア;主に通常の食事の合間に消費される又は食事の添え物(meal accompaniment)として消費されることが意図されている加工食品(非限定例には、ポテトチップ、トルティーヤチップス、ポップコーン、プリッツェル、コーンチップス、シリアルバー、野菜チップス又はクリスプス、スナックミックス、パーティーミックス、マルチグレインチップス、スナッククラッカー、チーズスナック、ポークラインズ、コーンスナック、ペレットスナック、押出スナック、及びベーグルチップスが挙げられる);並びにコーヒーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
ジアミドゲル化剤は、流体形態、特に液体及びゲル形態を有する消費者製品組成物にとって特に有用である。そのような流体形態は、流体洗剤組成物も包含する。本明細書に記載される流体洗剤組成物としては、例えば、シャンプー;皮膚洗浄剤及び剥離剤;シェービングリキッド、フォーム及びジェル;布、硬表面、並びに布地及びホームケア領域内の任意の他の表面の処理に関する製品、例えば、食器洗浄剤、洗濯洗浄剤、洗濯及びすすぎ添加剤、床及びトイレ用洗剤などの硬質表面洗浄剤;歯磨き用ペースト及びゲル並びに白色剤などの口腔ケア関連製品といった消費者製品が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい流体洗剤組成物は「流体洗濯洗剤組成物」である。本明細書で使用するとき、「流体洗濯洗剤組成物」は、家庭用洗濯機で、例えば、衣類などの繊維を濡らして洗浄することができる流体を含む、任意の洗濯処理組成物を指す。
【0010】
消費者製品組成物は、固体又は気体を適宜分割された形態で含み得るものであるが、組成物全体としては、錠剤又は顆粒などの、全体として非流動性の製品形態は除外する。消費者製品組成物には、任意の固形の添加物は除外されるが、存在する場合、任意の泡は含まれ、好ましくは1立方センチメートルあたり0.9〜1.3グラム、より好ましくは1立方センチメートルあたり1.00〜1.10グラムの範囲の密度を有する。
【0011】
消費者製品組成物は、不透明、半透明、又は更には透明であってもよい。消費者製品組成物の透明度が望ましい場合、消費者製品組成物は、5NTUから3000NTU未満、好ましくは1000NTU未満、より好ましくは500NTU未満、及び最も好ましくは100NTU未満の濁度を有する。
【0012】
本明細書で用いられる全ての百分率、比率、及び割合は、特に指定しない限り、組成物の重量百分率による。全ての平均値は、特に明確に指示がない限り、組成物又はその構成成分の「重量により」計算される。
【0013】
外部構造化剤:
外部構造化剤は、好ましくは、組成物の洗浄性界面活性剤のあらゆる構造化効果とは別個に、つまりは無関係に、消費者製品組成物にずり減粘性プロファイルを付与する。好ましい外部構造化剤には、50cps〜20,000cps、より好ましくは200cps〜10,000cps、最も好ましくは500cps〜7,000cpsの流動粘度(pouring viscosity)をもたらすものが含まれる。消費者製品組成物は、少なくとも1,500cps、好ましくは少なくとも10,000cps、より好ましくは少なくとも50,000cpsの静止粘度(resting viscosity)を有するのが好ましい。この静止(低応力)粘度は、パーッケージ内における軽い振盪下での、及び輸送中の、消費者製品組成物の粘度を表す。あるいは、消費者製品組成物は揺変性ゲルであってもよい。そのような組成物は、10,000cps〜500,000cps、好ましくは100,000cps〜400,000cps、より好ましくは200,000cps〜300,000cpsの静止粘度を有してもよい。消費者製品の好ましいずり減粘特性は、少なくとも2、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも100、最大2000である、低応力粘度と流動粘度との比として定義される。
【0014】
流動粘度は、消費者製品組成物が注入中に典型的に暴露されるせん断速度である、20秒−1のせん断速度で測定される。静止(低応力)粘度は、5分間隔にわたる粘度クリープ実験中に、0.1Paの一定応力下で決定される。5分間隔にわたるレオロジー測定は、レオメーターへのサンプルの装填と、試験の実施との間に、組成物がゼロせん断速度で少なくとも10分間静止された後に行われる。最後の3分間にわたるデータを使用して、直線を当てはめ、この直線の勾配から低応力粘度を計算する。粘度は、500マイクロメートルの間隙を有する40mmのステンレス鋼板を備えたTA AR 2000(即ち、AR G2)を使用して、21℃で測定される。
【0015】
1.ジアミドゲル化剤
消費者製品組成物は、ジアミドゲル化剤を外部構造化剤として、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜2重量%、最も好ましくは0.4重量%〜1重量%の濃度で含む。代替実施形態において、消費者製品組成物は、0.1重量%〜0.5重量%のジアミドゲル化剤(gallant)を含む。
【0016】
ジアミドゲル化剤は、少なくとも2個の窒素原子を含み、その場合、この少なくとも2個の窒素原子は、アミド官能性置換基を形成する。一実施形態において、アミド基は異なっている。好ましい実施形態において、アミド官能性基は同じである。ジアミドゲル化剤は次式[I]:
【化2】
(式中、R1及びR2は、同じか又は異なっていてもよいアミノ官能性末端基であり、Lは、14〜500g/モルの分子量の連結部分である)を有する。
【0017】
好ましい実施形態において、Rは、R又は
【化3】
であり、及びRは、R又は
【化4】
である
(式中、AAは、
【化5】
からなる群から選択され、
及びRは、独立して、次式[II]:
[II](L’)−(L”)−R(式中、(m+q)は1〜10であり、
それにより、R及びRはアミノ官能性末端基である)を有する。
【0018】
好ましくは、Lは次式[III]:
[III]A−B−C−D(式中、(a+b+c+d)は1〜20である)を有する。
【0019】
式[II]のL’、L”及び式[III]のA、B、C、Dは、独立して、
【化6】
からなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、式[II]のL’、L”及び式[III]のA、B、C、Dは、独立して、
【化7】
からなる群から選択される。
【0021】
矢印は、示された位置における最大4つの置換を示し、Xはアニオンであり、R、R’及びR”は、独立して、
【化8】
【化9】
からなる群から選択される。
【0022】
好ましくは、R、R’及びR”は、独立して、
【化10】
からなる群から選択される。
【0023】
矢印は、示された位置における最大4つの置換を示し、rは1〜20の整数であり、Yはカチオンである。
【0024】
より好ましい実施形態において、ジアミドゲル化剤は、以下を特徴とする。
【0025】
Lは、2〜20個の炭素原子の主鎖を有する脂肪族連結基、好ましくは−(CH−(式中、nは2〜20から選択される)であり、R及びRは共に構造:
【化11】
を有する
(式中、AAは、
【化12】
からなる群、又は
【化13】
からなる群から選択され、
Rは、
【化14】
からなる群、又は
【化15】
からなる群から選択される。
【0026】
別の実施形態において、R、R’、及びR”は、独立して、1〜15のエトキシ又はエポキシ単位を有するエトキシ基、エポキシ基からなる群から選択され得る。別の実施形態において、R、R’及びR”は、芳香族、脂環式、複素芳香族、複素環基、例えば単、二、及びオリゴ、多糖からなる群から選択される官能性末端基を含んでもよい。
【0027】
好ましくは、Lは、C2〜C20ヒドロカルビル鎖、好ましくはC6〜C12、より好ましくはC8〜C10から選択される。好ましくは、ジアミドゲル化剤は、150〜1500g/モル、より好ましくは300g/モル〜900g/モル、最も好ましくは400g/モル〜700g/モルの分子量を有する。
【0028】
別の実施形態において、L、L’、及びL”の2つ以上は同一基である。ジアミドゲル化剤分子は、当該Lエンティティに対して対称であり得、又は非対称であり得る。理論に制限されるものではないが、対称なジアミドゲル化剤分子は、より規則的な構造のネットワークの形成を可能にするが、1つ以上の非対称なジアミドゲル化剤分子を含む組成物は、不規則なネットワークを形成する可能性があると考えられている。ジアミドゲル化剤分子間の相互作用の種類は、以下により詳細に記載される。
【0029】
一実施形態において、AAは、アラニン、β−アラニン、及び置換アラニン、直鎖アミノアルキルカルボン酸、環状アミノアルキルカルボン酸、アミノ安息香酸誘導体、アミノ酪酸誘導体、アルギニン及び同族体、アスパラギン、アスパラギン酸、p−ベンゾイル−フェニルアラニン、ビフェニルアラニン、シトルリン、シクロプロピルアラニン、シクロペンチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、システイン、シスチン及び誘導体、ジアミノ酪酸誘導体、ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸誘導体、グルタミン、グリシン、置換グリシン、ヒスチジン、ホモセリン、インドール誘導体、イソロイシン、ロイシン及び誘導体、リジン、メチオニン、ナフチルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、環置換フェニルアラニン、フェニルグリシン、ピペコリン酸、ニペコチン酸及びイソニペコチン酸、プロリン、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン、ピリジルアラニン、セリン、スタチン及び類似体、トレオニン、テトラヒドロノルハルマン−3−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、トリプトファン、チロシン、バリン、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0030】
この分子はまた、保護基、好ましくは1〜2個の保護基、好ましくは2個の保護基を含んでもよい。好適な保護基の例は、「Protecting Groups」,P.J.Kocienski,ISBN 313 135601 4,Georg Thieme Verlag,Stutgart、及び「Protective Groups in Organic Chemistry」,T.W.Greene,P.G.M.Wuts,ISBN 0−471−62301−6,John Wiley & Sons,Inc,New Yorkに提供されている。好適な保護基の非限定的な例は、9−フルオレニルメトキシカルボニル、N−ベンジルオキシカルボニル、N−t−ブチルオキシカルボニルである。
【0031】
一実施形態において、ジアミドゲル化剤は、米国特許第7,332,529号に記載されているような熱可逆性ゲル化剤である。この分子の例は次に示されている:
【化16】
(式中、Xは、C6〜C12アリーレンであり、各Rは、C9〜C12アルキルであり、XがC6アルキレンの場合には、各RはC10アルキルでなければならない)。好ましい実施形態において、各RはC10アルキルである。より好ましい実施形態において、各RはC10アルキルであり、XはC6又はC12アルキレンである。別の実施形態において、各RはC12アルキルである。別の好ましい実施形態において、各RはC12アルキルであり、XはC12アルキレンである。
【0032】
ジアミドゲル化剤は、最小ゲル化濃度試験方法に従って、消費者製品組成物中に0.1〜100mg/mL、好ましくは0.1〜25mg/mL、より好ましくは0.5〜10mg/mLの最小ゲル化濃度(MGC)を有するのが好ましい。本明細書で用いられるMGCは、mg/mLとして、又は重量%として表わされることができ、その場合、重量%は、mg/mLのMGCを10で割ることによって計算される。一実施形態では、消費者製品組成物中で測定する場合、MGCは、0.1〜100mg/mL、好ましくは0.1〜25mg/mLの上記ジアミドゲル化剤、より好ましくは0.5〜10mg/mL、又は少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.3mg/mL、少なくとも0.5mg/mL、少なくとも1.0mg/mL、少なくとも2.0mg/mL、少なくとも5.0mg/mLのジアミドゲル化剤である。消費者製品組成物は、MGC超過又は未満のいずれかの濃度でジアミドゲル化剤構造化剤を含んでもよいが、本発明のジアミドゲル化剤は、MGC未満で特に有用なレオロジーをもたらす。
【0033】
好適なジアミドゲル化剤は、表2、表3、表4、及びこれらの混合物から選択され得る。より好ましくは、ジアミドゲル化剤は、表3、及びこれらの混合物から選択される。あるいは、ジアミドゲル化剤は、表4及びこれらの混合物から選択される。
【0034】
より堅固な構造とするために、消費者製品は、2種以上のジアミドゲル化剤構造化剤の混合物を含んでもよい。そのような混合物は、水及び/又は非アミノ官能性溶剤に対する高い溶解度を有するジアミドゲル化剤構造化剤と、水及び/又は非アミノ官能性溶剤に対する溶解度が低いジアミドゲル化剤とを含んでもよい。理論に制限されるものではないが、より水溶性であるジアミドゲル化剤は、低濃度で洗浄組成物中にゲルを形成するのが困難であり得、あまり水溶性でないジアミドゲル化剤は、可溶化するのが困難であるため、ゲルを形成するのが困難であり得ると考えられている。異なる濃度のこれら2種のジアミドゲル化剤の混合物は、より可溶性である一方が他方を可溶化するのを助けて、両方が組成物の構造化を助けることを可能にするという相乗効果を示す。例えば、ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートは、より水溶性のN,N’−(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジイソニコチンアミドと組み合わされて組み込まれた場合に、改善された溶解度を有する。
【0035】
本発明に使用されるジアミドゲル化剤の例:
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【0036】
水及び/又は非アミノ官能性有機溶媒:
消費者製品組成物は、希釈又は濃縮水性液体であってもよい。あるいは、消費者製品組成物は、ほぼ全体的に非水性であってもよく、非アミノ官能性有機溶媒を含んでいてもよい。そのような消費者製品組成物は、例えば、他の原料物質と共に導入され得る水をほとんど含有していなくてもよい。好ましくは、消費者製品組成物は、1重量%〜95重量%の水及び/又は非アミノ官能性有機溶媒を含む。濃縮洗剤に関しては、この組成物は、好ましくは5重量%〜70重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%、最も好ましくは15重量%〜45重量%の水及び/又は非アミノ官能性有機溶媒を含む。
【0037】
本明細書で使用するとき、「非アミノ官能性有機溶媒」は、アミノ官能基を含まない任意の有機溶媒を指す。好ましい非アミノ官能性有機溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、グリコール、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。極めて好ましいものは、溶媒の混合物、特に、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールなどのジオール、及びグリセロールのうちの2つ以上の混合物である。同様に好ましいのは、プロパンジオール、及びジエチレングリコールとプロパンジオールとの混合物であり、その場合、この混合物はメタノール又はエタノールを含有しない。したがって、消費者製品組成物は、プロパンジオールを使用するが、メタノール及びエタノールを使用しない実施形態を包含し得る。
【0038】
好ましい非アミノ官能性有機溶媒は、周囲温度及び圧力(即ち、21℃及び0.1MPa(1気圧))で液体であり、炭素と、水素と、酸素とを含む。非アミノ官能性有機溶媒は、外部構造化系のプレミックスの調製時に、あるいは最終消費者製品組成物中に存在し得る。
【0039】
ジアミドゲル化剤の製造方法:
材料は、Iris Biotech GmbH,Waldershofer Str.49−51,95615 Marktredwitz,Germany;Bachem Holding AG,Hauptstrasse 144,4416 Bubendorf,Switzerland;Sigma Aldrich NV/SA,Kardinaal Cardijnplein 8,2880 Bornem,Belgiumから購入することができる。
【0040】
例示的方法1:ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートの合成
【化17】
【0041】
第1の溶液は、N−α−ベンジルオキシカルボニル−L−バリン(17.60グラム、70ミリモル)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(8.79g、77ミリモル)を乾燥THFの中に0℃で溶解することによって調製される。透明な溶液が得られたら、無水THF中の17.45グラムのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(Dicyclohhexylcarbodiimide)(84.6ミリモル)を第1の溶液に徐々に加え、得られた混合物を氷浴の中で24時間0〜5℃で撹拌する。中間体(白色固体、90%収率)を濾し取り(濾板n°3)、濾液を乾燥状態に濃縮した。粗生成物を2−プロパノールから再結晶して純粋生成物を得た。
【0042】
次に、11.74グラムの中間体(33.7ミリモル)を150MLの無水ジメチルエーテルに溶解し、氷浴の中で冷却して第2の溶液を調製することによって、ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートを得る。20mLの乾燥ジメチルエーテルに溶解された1.11グラムの1,3−ジアミノプロパン(15.0ミリモル)を徐々に加える。反応混合物を20℃で18時間撹拌した後、45℃で6時間温める。ジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートを白色固体として濾過し、冷水及び冷メタノールで洗浄する。得られた収率は85%である。
【0043】
例示的方法2:{1−[7−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−メチル−ペンタノイルアミノ)−ヘプチルカルバモイル]−2−メチル−ブチル}−カルバミン酸ベンジルエステル
【化18】
【0044】
第1の溶液は、N−α−ベンジルオキシカルボニル−L−イソロイシン(18.57グラム、70ミリモル)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(8.79g、77ミリモル)を乾燥THFに0℃で溶解することによって調製される。透明な溶液が得られたら、無水THF中の17.45グラムのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(Dicyclohhexylcarbodiimide)(84.6ミリモル)を第1の溶液に徐々に加え、得られた混合物を氷浴の中で24時間0〜5℃で撹拌する。中間体(白色固体、84%収率)を濾し取り(濾板n°3)、濾液を乾燥状態に濃縮した。粗生成物を2−プロパノールから再結晶して純粋生成物を得た。
【0045】
次に、11.74グラム中間体(33.7ミリモル)を150MLの無水ジメチルエーテルに溶解し、氷浴の中で冷却して第2の溶液を調製することによって、{1−[7−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−メチル−ペンタノイルアミノ)−ヘプチルカルバモイル]−2−メチル−ブチル}−カルバミン酸ベンジルエステルを得る。20mLの乾燥ジメチルエーテルに溶解された1.95グラムの1,7−ジアミノヘプタン(15.0ミリモル)を徐々に加える。反応混合物を20℃で18時間撹拌した後、45℃で6時間温める。{1−[7−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−メチル−ペンタノイルアミノ)−ヘプチルカルバモイル]−2−メチル−ブチル}−カルバミン酸ベンジルエステルを白色固体として濾過し、冷水及び冷メタノールで洗浄する。得られた収率は69%である。{1−[7−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−メチル−ペンタノイルアミノ)−ヘプチルカルバモイル]−2−メチル−ブチル}−カルバミン酸ベンジルエステルは以下によって特徴付けられる。
【0046】
IR(KBr):3299,3094,3067,3033,2963,2929,2875,2856,1690,1645,1538cm−1
【0047】
H NMR(300MHz、[D6]DMSO、30℃):δ=0.78(dd,J=6.8,4.4Hz,6H),1.08(m,1H),1.21(s,3H),1.38(m,2H),1.67(d,J=5.2Hz,1H),2.94(m,1H),3.08(dd,J=12.9,6.2Hz,1H),3.80(t,J=8.3Hz,1H),5.00(s,2H),7.17(d,J=8.8Hz,1H),7.34(m,5H),7.84(m,1H)ppm。
【0048】
13CNMR(126MHz,[D6]DMSO,30℃):δ=171.35,156.39,137.56,128.72,128.15,128.03,65.75,59.67,38.81,36.82,29.35,28.83,26.76,24.86,15.82,11.34。
【0049】
HRMS(ESI−TOF+):calcd.forC3552Na[M+Na]=647.3785;found=647.3787(Δ=0.3ppm)。
【0050】
試験方法:
1.濁度(NTU):
製造業者から提供された手順に従って調整されたHach 2100P濁度計を使用して、濁度(NTU:Nephelometric Turbidity Units(比濁度計濁度単位)で測定)を測定した。取扱説明書に従ってサンプルバイアルに15mLの代表サンプルを充填し、蓋をし、洗浄する。必要な場合、真空を適用するか又は超音波浴を使用することによって、サンプルを脱気してあらゆる気泡を除去する(手順に関する説明書を参照のこと)。自動範囲選択により濁度を測定する。
【0051】
2.最小ゲル化濃度(MGC)
R.G.Weiss,P.Terech;「Molecular Gels:Materials with self−assembled fibrillar structures」2006 springer,p 243に基づいた管反転法(tube inversion method)によって、MGCを計算する。MGCを判定するために、スクリーニングを3回行う。
【0052】
a)1回目のスクリーニング:ジアミドゲル化剤濃度を0.5重量%から5.0重量%まで0.5重量%ずつ段階的に増加させて、数個のバイアルを準備する。
【0053】
b)どの区間でゲルが形成されるか判定する(ある転化したサンプルは依然として流動しており、次のサンプルは既に硬いゲルである)。5%でゲルが形成されない場合は、より高濃度を用いる。
【0054】
c)2回目のスクリーニング:1回目のスクリーニングで判定された間隔内でジアミドゲル化剤濃度を0.1重量%ずつ段階的に増加させて、数個のバイアルを準備する。
【0055】
d)どの区間でゲルが形成されるか判定する(ある転化したサンプルは依然として流動しており、次のサンプルは既に硬いゲルである)。
【0056】
e)3回目のスクリーニング:非常に正確なパーセンテージのMGCを得るために、2回目のスクリーニングで判定された間隔内で0.025重量%ずつ段階的に増加させて3回目のスクリーニングを実施する。
【0057】
f)最小ゲル化濃度(MGC)は、3回目のスクリーニングでゲルを形成する(転化サンプルの流動がない)最も低い濃度である。
【0058】
スクリーニングのそれぞれに関して、サンプルは次の通りに調製され処理された。8mLバイアル(テフロンキャップを有するホウケイ酸ガラス、B7857D,Fisher Scientific Bioblock参照)に、MGCを判定したい流体(消費者製品組成物とジアミドゲル化剤とを含む)2.0000±0.0005g(±0.1mg精度のKERN ALJ 120−4化学てんびん)を充填する。バイアルをスクリューキャップで密封し、固形分を液体に分散させるために超音波槽(Elma Transsonic T 710 DH、40kHz、9.5L、25℃、100%の出力で動作される)の中に10分間置く。次に、バイアルをヒートガン(Bosch PHG−2)を使用して加熱し、ゆっくりと機械的に撹拌することによって、完全溶解を達成する。完全に透明な溶液を観察することが重要である。バイアルを注意深く取り扱う。バイアルは高温に耐えるように製造されているが、高圧溶媒はバイアルを破裂させる可能性がある。バイアルを恒温槽(コントローラCC2を備えた適合性のある制御用サーモスタット、D77656、Huber)の中で10分間、25℃まで冷却する。バイアルを反転させ、1分間反転させたまま放置した後、どのサンプルが流動していないかを観察する。3回目のスクリーニング後、この時間の後に流動していないサンプルの濃度がMGCである。当業者にとって、加熱中に溶媒蒸気が形成され、サンプルを冷却する際にこれらの蒸気がゲルの上部に凝縮する可能性があることは明白である。バイアルを反転させるとき、この凝縮した蒸気が流れることになる。観察期間中、これを考慮に入れない。濃度間隔の間にゲルが得られない場合は、より高い濃度を評価する必要がある。
【0059】
3.レオロジー
TA InstrumentsのAR−G2レオメーターをレオロジー的測定に使用する。
【0060】
プレート:40mmの標準鋼平行プレート、300μm間隙。
【0061】
1.ゲル強度:10進当たり10の測定点を選んで、20℃及び周波数1Hzで振動応力を0.001Paから10Paまで増大させる応力掃引試験を用いて、ゲル強度を測定する。図1に示されるように、線形粘弾性領域内のG’及びG”、並びにG’とG”とがクロスオーバーする点における振動応力をゲル強度の測定値として使用する。
【0062】
2.構造回復:最初に30s−1の前せん断(pre-shear)を20℃で60秒間加えた後、0.02Paの振動応力及び1Hzの単一周波数の時間掃引試験を20℃で10分間適用して、構造がどのように回復するかを追跡する。図2に示されるように、構造回復の動力学の1つの指標として、G’とG”とのクロスオーバーを用いる。
【実施例】
【0063】
実施例1:液体洗濯洗剤組成物を次の通りに調製する。
【0064】
工程1:構造化剤プレミックスA1は、0.20gのジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートを、9.8gの溶媒(1,2−プロパンジオール)に溶解させることによって調製される。
【0065】
工程2:温度非感受性の成分を含み、かつ表5に示される組成物を有する洗剤原材料B1を調整する。
【表5】
−NH当たり24個のエトキシレート基と−NH当たり16個のプロポキシレート基とを有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。
PEG−PVAグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖及び多種のポリ酢酸ビニル側鎖を有するポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は6000であり、ポリエチレンオキシドとポリ酢酸ビニルとの重量比は40対60であり、50個のエチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。
−NH当たり20個のエトキシレート基を有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。
【0066】
工程3:100℃まで加熱した10グラムの構造化剤プレミックスA1を、60℃まで加熱した66グラムの洗剤原材料B1と、400rpmで2分間混合し、得られた混合物を冷却する。
【0067】
工程4:温度が45℃未満まで下がったら、感熱成分(1.5gのプロテアーゼ、0.7gのアミラーゼ、0.1gのマンナナーゼ、0.1gのキシログルカナーゼ、0.4gのペクチン酸リアーゼ、及び1.7gの香料)並びに19.5gの脱イオン水を、300〜400rpmで5分間ゆっくり撹拌しながら添加し、更に攪拌せずに、洗剤組成物を室温まで冷却するために放置する。
【表6】
【0068】
実施例2−単位用量洗濯洗剤
液体洗濯洗剤組成物を次の通りに調製する。
【0069】
工程1:構造化剤プレミックスA2は、0.53gのジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートを、39.47gの1,2プロパンジオールに加え、完全に溶解するまでこの混合物を撹拌下で110℃まで加熱することによって調製される。
【0070】
工程2:表7に記載の組成物を有する洗剤原材料B2を調製する。
【表7】
【0071】
工程3:3gの構造化剤プレミックスA2を100℃まで加熱し、洗剤原材料B2を60℃まで加熱する。3gの構造化剤プレミックスA2を37gの洗剤原材料B2に加える。
【0072】
工程4:400rpmで2分間混合した後、得られた混合物を室温まで冷却させて消費者製品組成物を形成する。
【0073】
次に、標準的な方法である水平動成形充填法を用いて、消費者製品組成物をポリビニルアルコール製パウチの中に詰める。水溶性フィルム材料はMonosol M−8630であった。
【0074】
実施例3A〜3D。液体洗濯洗剤組成物を次の通りに調製する。
【0075】
工程1:ジアミドゲル化剤プレミックスは、必要量のジベンジル(2S,2’S)−1,1’−(プロパン−1,3−ジイルビス(アザンジイル))ビス(3−メチル−1−オキソブタン−2,1−ジイル)ジカルバマートを必要量のエタノールに加え、完全に溶解するまでこの混合物を77℃まで加熱することによって調製される。
【0076】
工程2:洗剤原材料を、実施例1の工程2と同様の手段で残余成分から作製する。
【0077】
工程3:必要量のジアミドゲル化剤プレミックスを77℃まで加熱し、60℃の必要量の洗剤プレミックスと混合する(400rpmで2分間混合する)。得られた混合物を冷却する。
【表8】
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩
ジアミドゲル化剤プレミックスを介して添加
Millikenより供給される高分子色素
4、5 布地色相染料
非織物直接染料
ジアミドゲル化剤プレミックスを介して添加
gNaOH/製品100g
【0078】
実施例4A〜4E:本発明のアミドゲル化剤を含む流体洗剤布地ケア組成物:
流体洗剤布地ケア組成物は、列挙された成分を記載の比率で混合することにより調製することができる。
【表9】
Genencor International(South San Francisco,CA)から入手可能。
Novozymes,Denmarkより入手可能。
−NH当たり20個のエトキシレート基を有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
国際公開第01/05874号に記載され、BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
−NH当たり24個のエトキシレート基と−NH当たり16個のプロポキシレート基とを有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
PEG−PVAグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリビニルアセテート側鎖とを有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートとの重量比は約40:60であり、50個のエチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
【0079】
実施例5A〜5T:アミドゲル化剤を含む食器手洗い用流体洗剤組成物:
食器手洗い用液体洗剤組成物は、列挙された成分を記載の比率で混合することにより調製することができる。
【表10】
微量成分及び残部水で100%まで
【表11】
微量成分及び残部水で100%まで
【表12】
微量成分及び残部水で100%まで
【表13】
微量成分及び残部水で100%まで
【0080】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
図1
図2