(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された、流動性が低く半固形で粘性を有する食品材料を押え付ける複数の押えローラーと、前記押えローラーと連結したパンタグラフ型リンク機構とを備えた、押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を上下1対有する、袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された食品材料をフィルムと食品材料が密着した状態で、複数の棒状の塊に寄せる、棒状の食品材料の連続体を製造するための装置であって、
前記複数の押えローラーは、前記のパンタグラフ型リンク機構が伸縮することにより、複数の総ての押えローラーが同時に等間隔で往復運動を行い、隣り合う押えローラーどうしが接近又は離隔するように前記パンタグラフ型リンク機構によりリンクしており、上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラーどうしが向かい合い、袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された食品材料を挟んで押え付け、上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を縮めることにより、隣り合う押えローラー間の間隔が狭まり、袋状のフィルムに充填された平板状の食品材料が押えローラーにより押しやられ、連続した棒状の塊となって寄せられる、棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
同期機構が、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構に連結された同期用ローラー押えガイドであり、上下の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構が接近したときに、前記の同期用ローラー押えガイドが下押えローラー付きパンタグラク型リンク機構に連結し、上のパンタグラフ型リンク機構と下のパンタグラフ型リンク機構が連結される、請求項1又は2に記載の棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラーを接近又は接触させるための作動機構、及びパンタグラフ型リンク機構を伸縮するための作動機構を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
パンタグラフ型リンク機構は、2つの板状のリンクアームA及びリンクアームBをX字状に交差させ、その交差部を第1枢軸ピンで回動可能に連結したリンク部材単位により構成され、リンク部材単位同士は、リンクアームA及びリンクアームBの端部同士を第2枢軸ピンA及び第2枢軸ピンBで回動可能に連結されており、複数のリンク部材単位が連結されて、1つのパンタグラフ型リンク機構を構成し、2つのリンク部材単位が円筒状の押えローラーを挟むように、押えローラーと連結している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された、流動性が低く半固形で粘性を有する食品材料をフィルムと食品材料が密着した状態で、複数の棒状の塊に寄せ、棒状の食品材料の連続体を製造する方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の棒状の食品材料の連続体を製造するための装置を用いて製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
凍結した食品材料を丸ノコ刃で切り出す工程を含む従来の食品材料を成形加工する方法においては、食品材料を切り出す際に人の手と接触したり、外気に接触したりすることがあった。また、常温下で作業を行なう為に製品の品温が上昇するなど、衛生的に問題があり、そのために衛生管理を厳格に行なう必要があった。粘性のあるペースト状食品は、飛散して設備類の隙間に入り込むこともあり、付着したまま乾燥して固化した場合、継続的な設備の汚染源となることもある。さらに固着した食品の洗浄には手間がかかることも多く、お湯や薬品が必要となる場合もある。
【0006】
また、丸ノコ刃で切り出す際に食品材料を削りながら切るため、切りカスが発生し、発生した切りカスは廃棄せざるを得なかった。このため、製品の歩留が悪くなるのと同時に廃棄物が発生するという問題があった。
【0007】
さらに、従来の成形加工方法で製造した製品は、最終的に棒状にカットされたものをトレーに整列した後に包装を行なっていた。そのため、製品とトレーの間に空気が残存しており、菌的な汚染や品位の劣化が進行してしまうことがあった。また、包装内に残存した気泡部が輸送時に衝撃を受けた場合、破損の原因となる場合もある。
【0008】
特に、菌的な汚染という観点では、食品が汚染を受けることだけが問題なわけではなく、食品によって施設が菌的な汚染を受けることもまた重要な問題となる。たとえば、その食品自体が混入する可能性はなくても、大気中に飛散した菌が設備や他の原材料などに付着することで、二次的な菌汚染が起こる可能性がある。また、飛散した菌が原因となり、衛生管理の一環で行う設備の細菌検査で陽性反応がでた場合、製造の詳細検査や徹底洗浄が必要となる。
【0009】
食品工場において設備の菌汚染の可能性は重要な問題であるため、たとえそれが擬陽性である可能性が高いと考えられても、製造を中止し、製造中の商品は廃棄することを余儀なくされる。このため、発酵食品類は製造する工場が限定されることも多く、それら食品を原材料として使用すること自体を避けることもある。
【0010】
本発明は、上記問題を効果的に解決し、大規模生産にも適用できる自動化可能な生産性の高い、密封包装状態で棒状の食品材料の連続体を連続的に加工成型し、食品材料の連続体を製造する方法、及び該方法に用いる製造装置、並びに前記方法で製造された製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、食品材料を棒状に成型を行う方法において、外部と接触せずに衛生的に成型を行い、かつ切りカスの発生を抑え歩留りを向上させる工程について鋭意検討を行った。その結果、食品材料を袋状のフィルムに充填し、脱気・密封した上で、充填された食品材料を均一に広げ、食品材料を押え付け、食品材料を所定の位置に寄せることができるパンタグラフ型のリンク機構等を有する装置を用いることにより、食品材料を袋状のフィルムに充填したまま、食品材料を充填したフィルムを破いたり、しわを寄せたり、包装体内に気泡を生じさせることなく、所定の位置に、均一、かつ、複数の棒状物となるように、一つの工程で成型できることを見出した。また、前述の工程で製造された、包装体内に成型された複数の棒状物が整然と配された状態となった食品包装物を、各々の棒状物の最終製品の形状となるように模られた成型用型を用いて、成型物を袋状フィルムごと上下からプレスすることで、各々の棒状物の形状や棒状物の表面をより詳細に加工することもできる。さらに成型用型に冷却、及び/又は加熱装置を取り付けることで、プレスした状態のままで凍結、又は加熱処理まで一度に行うこともできる。
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された、流動性が低く半固形で粘性を有する食品材料を押え付ける複数の押えローラーと、前記押えローラーと連結したパンタグラフ型リンク機構とを備えた、押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を上下1対有する、袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された食品材料を、フィルムと食品材料が密着した状態で、複数の連続した棒状の塊に寄せる、棒状の食品材料の連続体を製造するための装置又は食品材料を寄せるための装置。
[2] 袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された、流動性が低く半固形で粘性を有する食品材料を押え付ける複数の押えローラーと、前記押えローラーと連結したパンタグラフ型リンク機構とを備えた、押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を上下1対有する、袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された食品材料をフィルムと食品材料が密着した状態で、複数の棒状の塊に寄せる、[1]の棒状の食品材料の連続体を製造するための装置であって、
前記複数の押えローラーは、前記のパンタグラフ型リンク機構が伸縮することにより、複数の総ての押えローラーが同時に等間隔で往復運動を行い、隣り合う押えローラーどうしが接近又は離隔するように前記パンタグラフ型リンク機構によりリンクしており、上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラーどうしが向かい合い、袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された食品材料を挟んで押え付け、上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を縮めることにより、隣り合う押えローラー間の間隔が狭まり、袋状のフィルムに充填された平板状の食品材料が押えローラーにより押しやられ、連続した棒状の塊となって寄せられる、棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
【0013】
[3] 上下1対のパンタグラフ型リンク機構の複数の押えローラーの動きを同期させる同期機構を有する[1]又は[2]の棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
[4] 同期機構が、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構に連結された同期用ローラー押えガイドであり、上下の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構が接近したときに、前記の同期用ローラー押えガイドが下押えローラー付きパンタグラク型リンク機構に連結し、上のパンタグラフ型リンク機構と下のパンタグラフ型リンク機構が連結される、[1]〜[3]のいずれかの棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
[5] 上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラーを接近又は接触させるための作動機構、及びパンタグラフ型リンク機構を伸縮するための作動機構を有する、[1]〜[4]のいずれかの棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
[6] パンタグラフ型リンク機構は、2つの板状のリンクアームA及びリンクアームBをX字状に交差させ、その交差部を第1枢軸ピンで回動可能に連結したリンク部材単位により構成され、リンク部材単位同士は、リンクアームA及びリンクアームBの端部同士を第2枢軸ピンA及び第2枢軸ピンBで回動可能に連結されており、複数のリンク部材単位が連結されて、1つのパンタグラフ型リンク機構を構成し、2つのリンク部材単位が円筒状の押えローラーを挟むように、押えローラーと連結している、[1]〜[5]のいずれかの棒状の食品材料の連続体を製造するための装置。
【0014】
[7] 袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された、流動性が低く半固形で粘性を有する食品材料をフィルムと食品材料が密着した状態で、複数の棒状の塊に寄せ、棒状の食品材料の連続体を製造する方法であって、[1]〜[6]のいずれかの棒状の食品材料の連続体を製造するための装置を用いて製造する方法。
[8] 流動性が低く半固形で粘性を有する食品材料を棒状の連続的な食品材料に成型加工し、棒状の食品材料の連続体を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i) 成型加工しようとする食品材料を袋状のフィルムに、フィルムと食品材料が密着した状態になるように充填する工程;
(ii) 袋状のフィルムに充填した食品材料を圧延し平板状にする工程;
(iii) 袋状のフィルムに充填され平板状に圧延された食品材料をフィルムと食品材料が密着した状態で、複数の棒状の塊に寄せる工程;及び
(iv) 波型に加工された成型用型の上に、寄せた食品材料を充填した袋を食品材料が寄って棒状になった部分が型部分にはまるように載せ、さらに上から波型に加工された成型用型をかぶせてプレスするプレス成型工程。
[9] (iii)の工程を、[1]〜[6]のいずれかの棒状の食品材料の連続体を製造するための装置を用いて行う、[8]の食品材料を棒状の連続的な食品材料に成型加工し、棒状の食品材料の連続体を製造する方法。
[10] [7]の方法で作製された、袋状のフィルムに充填された棒状の連続的な食品材料。
[11] [8]又は[9]の方法で作製された、袋状のフィルムに充填された棒状の連続的な食品材料。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法により、食品材料を成型するとき、食品材料を脱気し袋状のフィルムに密封後に加工を行なうので食品材料が外部と接触しない。そのため、外部からの細菌の接触・混入が無く、さらに食品自体からの菌の飛散なども生じない。このため、食品、及び、製造設備の衛生管理が容易になると共に、菌的な衛生管理の厳しい工場でも、発酵食品のような有用菌を含んだ食品素材を1つの建物内でとり扱うことができるようになる。加えて、製品と空気との接触が大幅に減少することにより酸化も防止でき、品質を向上させることが可能となる。また、丸ノコ刃等によるカット工程が無くなり切りカスの発生が無くなるため、食品材料のロスや廃棄物の発生が無くなるので、食品材料を無駄にせず有効活用することが可能となる。さらに、食品材料に起因する製造装置の汚染や、その防止のために必要となる洗浄工程等を省くことができ、加工成型したものをそのまま出荷できるため、大幅に製造工程を簡略化し、製造時間を短縮することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、食品材料を棒状食品材料の連続体に、連続的に成形加工する方法である。また、本発明は棒状食品材料の連続体を製造する方法である。さらに、本発明は食品材料を棒状食品材料の連続体に、連続的に成形加工するための装置、又は棒状食品材料の連続体を製造する装置である。
【0018】
本発明の食品の連続成型方法は、食品材料を棒状の塊に成型することを目的とする。本発明の食品の連続成型方法は、以下の工程を含む。
(1)成型加工しようとする食品材料を袋状のフィルムに充填する工程
この工程は、成型加工しようとする食品材料を袋状のフィルムに充填し、袋状のフィルム内の空気を抜く工程である。食品材料を袋状のフィルムに充填し、空気を抜く工程(1)に用いる装置を
図9に示す。
【0019】
本発明の連続成型方法により成型する食品材料として、流動性が低く、半固形で、粘性を有している食品材料が挙げられる。また、該食品材料は、流動性が低く、成型用の型にそのままでは流し込めない、または均一に効率よく流し込むことが困難な食品材料である。すなわち、本発明の連続成型方法により成型する食品材料は、単に型にはめただけでは、成型することができない食品材料である。このような食品材料として、魚肉や魚肉と野菜や調味料との混合物が挙げられる。魚肉としては、崩れた魚肉を板状に加工したものや、魚肉のすり身等が挙げられる、崩れた魚肉を板状に加工したものとしては、マグロの鉄芯がある。また、魚肉と野菜や調味料との混合物としては、マグロ肉とマヨネーズを和えた混合物であるツナマヨやマグロ肉に刻んだネギを混ぜた混合物であるネギトロ鉄芯等が挙げられる。さらに、弱い加熱や粘性の高い調味料類を添加することで流動性が低く半固形状となった液状卵やねり納豆等も挙げられる。
【0020】
食品材料を充填する袋状のフィルムは、下記のように食品材料を寄せる工程における圧力や凍結工程における低温に耐え得るものならいかなるものを用いてもよく、袋状のフィルムの材質としては、ナイロン、ポリエチレン、塩化ビニル等が挙げられる。また、袋の形状は下記の食品材料を寄せる工程において、袋に充填した食品材料を板状にし、食品材料を寄せるため、平たい形状の平袋が好ましく、例えば、合掌袋(裏側に背貼り部分が存在する袋)、ガゼット袋(合掌袋の両側にマチをつけた袋)、三方袋(底面、両側面の三方がシールされている平袋)等が挙げられる。上記のフィルム材料をこのような袋状に製袋して用いればよい。袋の大きさは、連続成型しようとする食品材料の量に応じて適宜設定できるが、例えば、縦90〜260mm、横80〜1000mm程度の袋を用いればよい。
【0021】
食品材料の袋状のフィルムへの充填は手作業で行ってもよいし、ポンプを利用した充填機を用いて行ってもよい。充填機は、原料となる食品材料を入れる充填タンク、ポンプ、配管及び袋中に食品材料を充填する充填ノズル等を含む。
【0022】
袋に食品材料を充填した後に袋内の空気を抜いて脱気し、袋内面のフィルムと食品材料とを密着させる。脱気は脱気装置等を用いて行えばよい。脱気後、袋を密封する。密封は例えば袋の開口部を熱シール装置等によりシールすることにより行うことができる。
【0023】
なお、用いる食品材料、装置、及び工程は、菌的な汚染が生じないように、滅菌、減菌、又は、食品製造において一般的に行われる菌管理のために採用される手法を併用することができる。本発明の工程により、食品材料包装体又は食品材料包装物ができる。
【0024】
本工程で密封された食品材料は、以下の工程においても、棒状の食品材料を製造するまで密封状態を維持する。また、製造された棒状の食品材料を密封した状態のまま流通させることもできる。食品材料を加工する工場等の現場では、衛生上の観点から、滅菌され、密封された食品材料しか持ち込めないことがあり、本発明の方法は、製造工程における要求に合致する。
【0025】
(2)袋状のフィルムに充填した食品材料の圧延(伸ばし)工程
袋状のフィルムに充填した食品材料を袋に入れたまま均等に広げ、厚みのある板状にする。伸ばしは圧延ともいい、圧力をかけて均等に圧延すればよい。圧延は、例えばロールを平板上、又はもう一方のロールと対にして転がし、その間で食品材料を薄く延ばすことにより行うことができる。この工程には圧延装置25を用いればよい。圧延後、食品材料は袋状のフィルムのフィルムと密着している。圧延後の、食品材料が充填された状態の袋の厚さは、最終的に製造しようとする製品の大きさに応じて適宜設定すればよいが、例えば、3〜20mm、好ましくは5〜10mmである。また、食品材料を充填した状態の袋の大きさは、縦90〜260mm、横80〜1000mm程度である。
【0026】
(3)食品材料を寄せる工程
食品材料を寄せる工程においては、袋内の食品材料が次のプレス成型工程で用いる成型用型に収まるように、平らに圧延された袋内の食品材料を袋内に充填した包装体のままの状態で所定の位置に棒状の形状になるように寄せ、袋内において偏在させる。この際、食品材料を充填した袋を構成するフィルムが破れたり、フィルムにしわが発生しないようにする。本工程により、袋内に食品材料の棒状の塊が平行に並んで存在する状態になる。各々の棒状の塊どうしの間隔はこの後の工程で用いる成型用型の型部分の間隔と略同一になる。本工程により寄せた食品材料の棒状の塊同士は部分的に連結していてもよい。この際、隣り合う棒状の塊同士の連結部分には幅があってもよい。袋内で棒状の塊が平行に並んだ状態の食品材料の断面は略数珠状をしている。食品材料が肉の場合、本工程を肉寄せ工程と呼ぶ。
【0027】
食品材料を寄せる工程においては、本発明の方法に適した食品材料を寄せるための装置を用いて食品材料を寄せる。
【0028】
食品材料を寄せるための装置は、上下から食品材料を挟んで押し付けることができる複数の筒状のローラーを含む。筒の形状は円筒状の他、必要に応じて四角柱のような多角柱状のものも使用できる。該ローラーを押えローラーと呼ぶ。複数の押えローラーは一定間隔で並列に配置されており、複数の押えローラーが互いに等間隔で接近又は離隔することができ、押えローラー同士の間隔を変えながらすべての押えローラーを同時に一定の幅を往復運動させることができる。この際、隣り合う押えローラー同士の間隔はすべての押えローラー間で同じになるように、往復運動させることができる。ただし、隣り合う押えローラー同士が接触することはなく、隣り合う押えローラー同士の間隔が最も狭くなった場合でも、押えローラー同士は一定の間隔を維持する。隣り合う押えローラー同士の間隔が最も狭くなったときの押えローラーと押えローラーの間の部分に食品材料は寄せられる。
【0029】
すなわち、袋に充填して圧延した食品材料を多数の押えローラーで上下から挟み押え付けることにより、押えローラーと接触している部分の食品材料は押えローラーと接触していない部分に向かって押しやられ移動する。複数の押えローラーを同時に水平方向に移動させることにより、圧延されていた食品材料は押えローラーと押えローラーの間に寄せられる。このとき、袋状のフィルム内の食品材料のみが寄せられると、フィルムが不均一に延ばされ、しわが寄ったり、破れたりしてしまう。本発明の食品材料を寄せるための装置を用いた場合、総ての押えローラーが同時に動き、同時に総ての押えローラー間の間隔が狭まるので、食品材料に袋を構成するフィルムが密着した状態で食品材料が寄せられるので、フィルムにしわが寄ったり、フィルムが破れることがない。また、しわが寄らないため、しわの発生による押えローラーによるフィルムの噛み込みが発生しない。また、しわがよるとしわの分だけ食品材料の用量が変化し最終製品の棒状の食品材料の重量にばらつきが生じてしまうが、本発明の方法においてはしわが寄らないので、重量のばらつきが少ない均一な棒状食品材料を製造することができる。また、最終製品の棒状食品材料の凹凸も少なくなり見た目もよくなる。
【0030】
本発明の食品材料を寄せるための装置は、上記の複数の押えローラーと該押えローラーと連結したパンタグラフ型リンク機構を有する。押えローラー同士はパンタグラフ型リンク機構によりリンクしており、該パンタグラフ型リンク機構が伸縮することにより、複数の総ての押えローラーが同時に等間隔で往復運動を行い、隣り合う押えローラーどうしが接近又は離隔する。
【0031】
食品材料を寄せるための装置の上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の例を
図1及び
図2に示す。
図1は、押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1の正面図であり、
図2は側面図である。
図1Aが押えローラー間隔が開いた状態を示し、
図1Bが押えローラー間隔が狭まった状態を示す。また、
図3に
図1に示す押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の一部を斜めから見た図を示す。以下、
図1、
図2及び
図3に基づいて、本発明の食品材料を寄せるための装置について説明する。
【0032】
パンタグラフ型リンク機構は、2つの板状のリンクアームA 2a、リンクアームB 2bをX字状に交差させ、その交差部を第1枢軸ピン3で回動可能に連結したリンク部材単位4により構成されている。すなわち、1つのリンク部材単位4は2つのリンクアームがX字状に交差した構造を有する。2つのリンクアームは同じサイズである。また、リンク部材単位4のリンクアームA 2aは各リンク部材同士の間で互いに平行であり、リンク部材単位4のリンクアームB 2bは各リンク部材同士の間で互いに平行である。本発明の装置は複数のリンク部材単位4で構成されており、リンク部材単位4同士は、リンクアームA 2a、リンクアームB 2bの端部同士を第2枢軸ピンA 5a、第2枢軸ピンB 5bで回動可能に連結されており、複数のリンク部材単位4が連結されて、1つのパンタグラフ型リンク機構1となる。さらに、2つのリンク部材単位4が円筒状の押えローラー6を挟むように、押えローラー6と連結している。すなわち、パンタグラフ型リンク機構の一方の端部の第2枢軸ピンB 5bに円筒状の押えローラー6の端部が連結される。この場合、第2枢軸ピンB 5bは押えローラー6を連結する軸となる。総ての円筒状の押えローラー6の端部のそれぞれにパンタグラフ型リンク機構が連結される。押えローラー6は、リンク部材単位4をリンクアームA 2a、リンクアームB 2bの端部で連結させる第2枢軸ピンB 5bに回動可能に軸着されている。本発明の食品材料を寄せるための装置は、複数の押えローラー6及び2つのパンタグラフ型リンク機構1からなる構造物の1対からなり、それぞれは寄せようとする食品材料の上部及び下部に配置される。本発明において、複数の押えローラー6及びパンタグラフ型リンク機構からなる構造物を押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1と呼び、本発明の食品材料を寄せるための装置は、上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1を含む。上に位置する押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構と呼び、下に位置する押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構と呼ぶことがある。また、第1枢軸ピン3には支持ロッド7が回動可能に連結されていてもよい。この場合、第1枢軸ピン3は支持ロッド7を連結する軸となる。
図3の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の一部を斜めから見た図には支持ロッド7が示されている。支持ロッド7は、押さえローラー6を挟んで連結されている2つのパンタグラフ型リンク機構の両方の第1枢軸ピン3に連結している。支持ロッド7は、パンタグラフ型リンク機構の構造を安定させるために連結される。支持ロッド7はすべての第1枢軸ピン3に連結されていてもよいが、パンタグラフ型リンク機構の構造を安定にさせることでできる限り、部分的に支持ロッド7が連結されていてもよく、例えば、連結した複数のリンク部材4の2つに1つ、3つに1つ、4つに1つ、あるいは5つに1つの支持ロッド7が連結されていてもよい。
【0033】
また、上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構は、上のパンタグラフ機構と下のパンタグラフ型リンク機構を連結し、上のパンタグラフ型リンク機構と下のパンタグラフ型リンク機構の動きを同期させるための機構を備えていることが望ましい。このような同期機構により、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構と下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構は同時に同じ速度で動き、押えローラーは常に食品材料を挟んで対向した状態に維持される。このような機構として、例えば、
図4A、
図4B及び
図4Cの同期用ローラー押えガイド8が挙げられる。該同期用ローラー押えガイド8は、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の第2枢軸ピンB 5bに連結されており、上下の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構が接近した場合に、下押えローラー付きパンタグラク型リンク機構の第2枢軸ピンB 5bに嵌り連結する。この結果、上のパンタグラフ型リンク機構と下のパンタグラフ型リンク機構は同期用ローラー押えガイド8により連結されるので、上のパンタグラフ型リンク機構と下のパンタグラフ型リンク機構は同期して動くことができる。同期用ローラー押えガイド8は下押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構の第2枢軸ピンB 5bに連結されていてもよい。
図4B及び4Cは上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の同期用ローラー押えガイド8が下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の第2枢軸ピンB 5bに嵌った状態を示し、
図4Bは押えローラー6間の間隔が広まった状態を示し、
図4Cが押えローラー6間の間隔が狭まった状態を示す。
図4A、
図4B及び
図4Cの同期用ローラー押えガイド8は、同期機構の一例であり、上のパンタグラフ型リンク機構と下のパンタグラフ型リンク機構を同期させ得るものならどのような機構であってもよい。
【0034】
図5に、食品材料を寄せるための装置の上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1の動きを示す。
図5には、食品材料は示されていないが、食品材料を寄せる場合には、上部の上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押さえローラー6と下部の下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押さえローラー6の間に袋状のフィルムに充填され圧延された食品材料が置かれる。上下1対の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構が伸縮すると、リンク機構に連結された押えローラー6間の間隔が変化する。
図5Aが押えローラー間の間隔が開いた状態を示し、
図5Bが押えローラー6間の間隔が狭まった状態を示す。白抜きの小さい矢印は押えローラー6の動く方向を示す。
【0035】
押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1のサイズは、製造しようとする棒状食品材料の大きさにより適宜定めることができるが、通常は棒状食品材料の1つの棒状の塊の大きさは縦18〜20cm、径は円柱状であれば直径2cm、四角柱であれは一片が1.2cm程度であり、このサイズの棒状食品材料を製造するために用いる押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1のサイズは、押えローラー6の長さが20〜26cm、押えローラー6の直径が10〜20mm、リンクアームA 2a、リンクアームB 2bの長さが50〜150mm、幅が12〜20cmである。また、
図5において、押さえローラー6間の間隔は、押えローラー6の中心から隣接する押えローラーの中心間の距離で、間隔が広くなったときは35〜138mm(
図5AのL1)、間隔が狭まったときは13〜98mm(
図5BのL2)である。1つの押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構に連結している複数の押さえローラー6の数は、製造しようとする棒状食品材料の袋状フィルムに充填したときの大きさや数によるが、5〜25本、好ましくは10〜15本である。また、リンクアームA 2a、リンクアームB 2bがX字状に交差してできるリンク部材単位4の数は、1つの押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1について、押えローラー6の数より1つ少ない。
【0036】
さらに、本発明の食品材料を寄せるための装置は、1対の上下の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1を、互いの押えローラー6が向い合い接触可能なように、支持し得るフレーム構造を有する。フレームの構造は、1対の上下の押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構1を、互いの押えローラー6が向い合い接触可能なように、支持し得る限りどのような構造であってもよい。
【0037】
図6にフレームに支持された状態の1対の上下の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の例を示す。
図6Aは側面図を示し、
図6Bは正面図を示す。
図6に示す押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構は、支持ロッド7及び同期用ローラー押えガイド8を備えている。下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構は、下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構押えガイド9bに摺動可能に取り付けられており、該下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構押さえガイド9bは下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構支柱11により下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構支持フレーム10に支えられている。また、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構は、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構押さえガイド9aに摺動可能に取り付けられており、該上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構押さえガイド9aは上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構支柱13により上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構支持フレーム12に支えられている。
【0038】
本発明の食品材料を寄せるための装置は、押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構の作動機構も有する。
図6に該作動機構の一例を示す。縦に往復運動するシリンダー14は上押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構を上下に動かし、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラーを下押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラーと接近又は接触させるための機構であり、該機構により上押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構を下方に動かすことができる。縦に往復運動するシリンダー14は、
図6中の矢印X1の方向に動く。また、横に往復運動するシリンダー15により、上押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構を伸縮させることができる。横に往復運動するシリンダー15は、
図6中の矢印X2の方向に動く。この際、縦に往復運動するシリンダー14により上押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構を下方に動かし、同期用ローラー押えガイド8により下押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構と連結することにより、上押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構の伸縮に同期して下押さえローラー付きパンタグラフ型リンク機構も伸縮する。
【0039】
次いで、本発明の食品材料を寄せるための装置を用いて、食品材料を寄せるときの、袋状のフィルムに充填された食品材料の形状の変化について
図7及び8に基づいて説明する。
【0040】
図7は、本発明の食品材料を寄せるための装置を用いて、食品材料を寄せる方法を説明する図であり、該装置の押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1の押えローラー6と袋状フィルムに充填された食品材料16の位置関係を示す。
図7Aが押えローラー間隔が開いた状態、すなわち食品材料を寄せる前の状態を示し、
図7Bが押えローラー間隔が狭まった状態、すなわち食品材料を寄せた状態を示す。食品材料16は、最初は
図7Aに示すように、圧延された平板状である。この状態の食品材料16に、
図7Aに示すように押えローラー6を上下から接触させ押え付ける。この際、上部の押えローラー6と下部の押えローラー6は袋状のフィルムに充填された食品材料16を挟んで押え付け、相対する状態になる。
【0041】
押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1を縮めることにより、隣り合う押えローラー6間の間隔が狭まり、食品材料16が押えローラー6により押しやられ、所定の位置に棒状の塊となって寄せられる。
図7Bは押えローラー間隔が狭まり、食品材料が所定の位置に寄せられ塊となっている状態を示す。
【0042】
さらに、
図8−1には、本発明の食品材料16を寄せるための装置を用いて食品材料を寄せる前後の袋状フィルムに充填された食品材料16の形態を示す。
図8−1Aが食品材料16を寄せる前の平板状の状態を示し、
図8−1Bが食品材料16を寄せた後の棒状の状態を示す。
図8−1は側面から見た図であり、寄せられた食品材料の断面は数珠状である。なお。
図8−2に示すように、食品材料16が寄せられることにより、折りたたまれて、立体的なひだ状構造が繰り返される連続体となる。フィルムで作られた袋の内容積は変化しないため、Y軸方向には変わらず、Z軸方向に容積が増すことで、X軸方向、つまり食品包装物自体の幅は小さくなる。このことは、食品材料が寄せられるときに、袋状のフィルムと該フィルムに充填された食品材料が密着した状態で、食品材料とフィルムが同時に寄せられることを意味する。本発明の装置を用いた方法とは異なり、圧延して平板状になった食品材料の全長にわたって同時に寄せる作業を行わない場合は、充填した食品材料のみが袋状のフィルムとは遊離した状態で寄せられ、食品材料の長さが短くなるだけで、袋状のフィルムの長さが短くならない。このとき、フィルムにしわが寄ったり、フィルムが破れてしまう。
【0043】
押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構1の伸縮は上記のようにシリンダー等の作動機構を用いて行うことができる。この際、押えローラー6の往復運動の幅を最初は小さくし、徐々に大きくしていけばよい。このように動かすことにより、食品材料が徐々に所定の位置に寄せられるので、食品材料に無駄が出ることなく寄せることができる。
【0044】
また、押えローラー6は食品材料を寄せる工程の間、一定の強い圧力で上下から食品材料を加圧した状態で挟んで押え付ける必要がある。押えローラーにより食品材料にかける圧力は0.001〜15kg/cm
2である。
【0045】
本発明は、上記の食品材料を寄せるための装置をも包含する。該装置は、棒状食品の連続体を製造するための装置でもある。
【0046】
(4)プレス成型工程
(3)の食品材料を寄せる工程により寄せた食品材料を充填した袋を、最終製品の形状に合わせてプレス成型する。この際、波型に加工し作製された成型用型の上に、寄せた食品材料を充填した袋を食品材料が寄って棒状になった部分が型部分にはまるように載せる。その後、さらに上から波型に加工し作製された成型用型をかぶせる。次いでプレス機にて上面から圧力をかければよい。この際、袋を構成するフィルム表面が破れたり、しわが寄らないようにする。この工程により、(3)の食品材料を寄せる工程で棒状に寄った部分の食品材料が最終製品の形状に成型される。最終製品の形状は、棒状形状であり、棒状形状は柱状形状ともいい、円柱形状も角柱形状も含む。
【0047】
上記の(1)から(4)の工程により、食品材料が袋に充填された状態で、平行に連結した棒状食品材料の連続体として成型される。
【0048】
本発明は、上記の(1)から(4)の工程により得られる棒状食品材料の連続体をも包含する。該棒状食品材料の連続体は、フィルムが密着した状態の食品材料の連続体である。
【0049】
次いで、連続成型され、個々の棒状成型品が連結した食品材料を以下の工程で個々に分離する。
【0050】
仮凍結又は仮凝固工程
最初に、型に挟み込んで成型した食品材料の型が変形して崩れないように、仮凍結又は仮凝固させる。ここで、凝固は加熱により凝固させることをいう。
【0051】
仮凍結は、食品材料を型に挟み込んだ状態で、凍結温度以下に冷却すればよい。この際、冷却方法は限定されないが、例えばブライン冷却により冷却すればよい。ブライン冷却は、不凍液を冷却し、その中に食品材料を浸漬することにより行う。ブライン冷却には例えばアルコールを含むアルコールブライン液を凍結温度以下に冷却し、該ブライン液に成型した食品材料を浸漬することにより凍結させる。アルコールとしてはエチルアルコール若しくはメチルアルコール又はそれらの混合液を用いることができ、エチルアルコールを30〜100%、好ましくは約50%含むブライン液を用いればよい。浸漬時間は、数分間、例えば、1〜5分間、好ましくは約2分間である。ブライン冷却により、形状の大きな材料も急速凍結することができる。
【0052】
凍結は、トンネルフリーザーやスパイラルフリーザー等のエアブライン凍結装置を用いて行ってもよい。
【0053】
加熱により凝固を行う場合は、例えば、食品原料を温水の入った湯槽に浸漬させたり、連続蒸し器を用いて加熱することにより凝固させればよい。
【0054】
分離工程
仮凍結し連続成型した食品原料を分離する。ここで、分離とは寄せて連続して成型され、連結した状態にある複数の棒状の食品材料部分を個々の棒状の部分に分けることをいう。食品材料が肉の場合、分肉工程と呼ぶことができる。分離はプレス成型に用いた上下の型のうちの上の型を外して行う。分離は隣接する棒状の食品材料部分の間の部分で棒状部分同士を分離すればよい。この際、分離には、一定の厚みを有する分離用ローラーを用いる。該分離用ローラーを回転させながら、隣接する棒状の食品材料と食品材料の間を押さえることにより分離する。この際、分離用ローラーの食品材料と接触する部分には、鋭利なくさび形の刃が付いている必要はない。分離用ローラーの食品材料と接触する部分は、数mm、好ましくは1〜3mm、さらに好ましくは2mm程度の幅を有していればよい。さらに、食品材料と接触する部分には、弾力性を有するゴム等が備えられていてもよい。さらに、分離する食品材料が凍結品であるときは、好ましくは分離用ローラーで分離する部分を加熱し、溶解することにより軟らかくすることにより容易に食品材料を分離することができる。加熱は、例えば、分離用ローラーを加熱することにより行うことができる。
【0055】
このように、一定の厚みのあるローラーで加熱した部分を押さえることにより分離した場合、棒状の食品材料同士の分離時に棒状の食品材料の間の部分は押さえ付けの際、両側に寄り、棒状の食品材料部分に付着するので、この部分の食品材料がカット時の切りかすとして無駄になることはない。なお、食品材料の分離は袋に充填された状態で行えばよい。
【0056】
食品材料の取り出し工程
次いで、分離された個々の棒状の食品材料を取り出す。取り出しは手作業により、袋を構成するフィルムが密着して棒状の食品材料からフィルムを剥がすことにより行えばよい。
【0057】
本凍結工程
取り出した棒状の食品材料は、最後に本凍結してもよい。製造した棒状の食品材料は、凍結した状態で流通させればよい。
また、分離していない棒状食品材料の連続体の状態で流通させてもよい。
【0058】
図9及び10に本発明の一連の方法の工程図を示す。本発明の食品材料を寄せる方法を、
図9及び10により説明する。
図9は、成型加工しようとする食品材料を袋状のフィルムに充填する工程及び袋状のフィルムに充填した食品材料の圧延(伸ばし)工程を示し、
図10は食品材料を寄せる工程、プレス成型工程及び仮凍結若しくは仮凝固工程を示す。
【0059】
食品材料の充填タンク17から食品材料をポンプ18により配管19を通して充填ノズル20から、合掌袋に製袋されたナイロンフィルム21(例えば30g製品で320mm×180mm)に一定量(例えば30g製品で360g)充填し、袋状のフィルムに充填された食品材料16を製造する。脱気装置22にて脱気を行なった後、ヒートシール23でシールして密封する。コンベアー24で搬送し、圧延装置25で袋に充填された食材を均等に広げる(
図9)。
【0060】
袋状のフィルムに充填された食品材料16を食品材料を寄せるための装置の指定された位置に設置して、押えローラー付きパンタグラフ型リンク機構の押えローラー6により食品材料を寄せる。平板状の食品材料16の状態から製品の形状に模られた型の幅(例えば30g製品で312mm幅)に寄せられた袋状のフィルムに充填された食品材料16の状態に、フィルム表面にシワが発生しないように均一に寄せる。
【0061】
寄せられた袋状のフィルムに充填された食品材料16を製品の形状に模られた下の型26に移動させ、製品の形状に模られた上の型27を上から被せた後、型ごとプレス装置28でプレスを行い、袋に充填されたままの食品材料を成型する。
【0062】
成型された袋状のフィルムに充填された食品材料16をプレス装置28から製品の形状に模られた型26、27に挟まれた状態のまま取り出し、凍結する製品であれば、ブライン液槽29に入った冷却されたブライン液30(例えばマイナス35℃のエタノール溶液)に浸漬させ、成型された袋状のフィルムに充填された食品材料16の形状が製品の形状に模られた型26、27を取り外しても型崩れしない程度に凍結を行なう。また、トンネルフリーザーやスパイラルフリーザーなどのエアブライン凍結装置を用いて凍結させても良い。
【0063】
加熱させ食品材料を凝固させる製品であれば、湯槽31に入った温水32に浸漬させ凝固させる。また、湯槽の代わりに連続蒸し装置を用いて凝固させても良い。
【0064】
凍結または加熱が終わった成型された袋状のフィルムに充填された食品材料16を製品の形状に模られた型26、27から取外し、凍結であればさらに凍結庫などで凍結を行なうか、そのまま箱詰めを行い製品化する。加熱であれば冷却を行い、凍結製品であれば凍結、チルド品であれば冷却を行い製品化する。
【0065】
最終製品である棒状食品材料の連続体を
図8−2に示す。使用するローラーの形状や寄せ幅の条件を変更することで、棒状食品材料の形状を変更することができる。