特許第5758450号(P5758450)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5758450磁気センサの駆動回路、磁気センサ、電流センサ及び磁気センサの駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758450
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】磁気センサの駆動回路、磁気センサ、電流センサ及び磁気センサの駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/04 20060101AFI20150716BHJP
   G01R 15/00 20060101ALI20150716BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20150716BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   G01R33/04
   G01R15/00 100E
   G01R15/18 C
   G01R19/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-149453(P2013-149453)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-21822(P2015-21822A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2014年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】合原 美矢子
(72)【発明者】
【氏名】大森 賢一
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−150485(JP,A)
【文献】 特開2001−121974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00
G01R 15/00
G01R 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を所定のコイルに通電して磁界を測定する磁気センサの駆動回路であって、
前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、
電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記回路ブロック1へ供給する電源ライン1と、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する電源ライン2と、
前記電源ライン1に挿入されたローパスフィルタ1と、
前記電源ライン2に挿入されたローパスフィルタ2と
を備えることを特徴とする磁気センサの駆動回路。
【請求項2】
前記ローパスフィルタ1及びローパスフィルタ2が、チップインダクタとチップコンデンサとを用いたLCフィルタである
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気センサの駆動回路。
【請求項3】
前記出力調整回路が、前記電源ライン2から供給された電源を電圧源として作動する増幅回路を用いて前記電源電圧に比例した信号を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサの駆動回路。
【請求項4】
磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれた複数のコイルとを有するセンサ部と、
前記センサ部に作用する測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を前記複数のコイルの中の所定のコイルに通電して磁界を測定する駆動回路であって、
前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、
電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記回路ブロック1へ供給する電源ライン1と、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する電源ライン2と、
前記電源ライン1に挿入されたローパスフィルタ1と、
前記電源ライン2に挿入されたローパスフィルタ2と
を有するものと
を備えることを特徴とする磁気センサ。
【請求項5】
磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれた複数のコイルとを有するセンサ部と、
前記センサ部に測定電流に応じた磁界を生じさせる電流路部と、
前記センサ部に作用する測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を前記複数のコイルの中の所定のコイルに通電して磁界を測定する駆動回路であって、
前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、
電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記回路ブロック1へ供給する電源ライン1と、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する電源ライン2と、
前記電源ライン1に挿入されたローパスフィルタ1と、
前記電源ライン2に挿入されたローパスフィルタ2と
を有するものと
を備えることを特徴とする電流センサ。
【請求項6】
測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を所定のコイルに通電して磁界を測定する磁気センサの駆動方法であって、
前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、
電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と
を用いて、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を、ローパスフィルタ1が挿入された電源ライン1によって前記回路ブロック1へ供給するとともに、
前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を、ローパスフィルタ2が挿入された電源ライン2によって、前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する
ことを特徴とする磁気センサの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサの駆動回路、磁気センサ、電流センサ及び磁気センサの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサには、電源電圧の変動に比例させてセンサの出力信号の電圧を変化させるものがある。一般にこのような出力はレシオメトリック出力と呼ばれている。レシオメトリック出力を用いた場合、センサの電源電圧と同じ電源電圧を計測部(すなわちA/D変換器(アナログ/デジタル変換器))における基準電圧として使用することで、センサと計測部間で発生する基準電圧のエラーが自動的に補正される。このようなレシオメトリック出力を有する電流センサの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている電流センサによれば、同じ電源電圧を用いるA/Dコンバータとの組み合わせによって、電源電圧の変動によらずに電流値を精度よく計測することができる。
【0003】
また、特許文献1に記載されている電流センサは、ホール素子を用いた磁気センサを使って電流を検知する。すなわち測定電流が発生する磁界をホール素子を用いて検知することで測定電流の値を検知する。一方、ホール素子を用いない磁気センサの一つに、周知の技術であるフラックスゲート方式の磁気センサがある。フラックスゲート方式の磁気センサでは、磁性体コアに巻いた励磁コイルに交番電流を流し、磁性体コアを周期的に飽和させる。そして、磁性体コアに対して測定する外部磁界(以下では測定磁界とも呼ぶ)を印加する。この外部磁界を印加すると磁気飽和の時間間隔が変化する。この時間間隔が変化する現象を用いて外部磁界を計測する。このフラックスゲート方式の磁気センサには、磁気飽和が生じる時間間隔を直接測定することで外部磁界を計測するものと、磁性体コアに巻いたコイルにその時間間隔が所定の値となるようにフィードバック電流を流すことで外部磁界を計測するものとがある。後者のセンサは、クローズドループ型磁気センサと呼ばれ、外部磁界を打ち消すようフィードバック制御を行い、外部磁界に応じた電流を所定のコイルに通電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−121974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなクローズドループ型磁気センサでは、外部磁界の増加に伴い、消費電流(主にフィードバック電流)が増加する。一方、センサには、電源電圧ラインの短周期の変動(ノイズ)対策として、ローパスフィルタを挿入する場合がある。クローズドループ型磁気センサの電源ラインにローパスフィルタを挿入すると、消費電流の増加に伴い、ローパスフィルタのインダクタの直流抵抗成分による電圧降下の影響が大きくなる。すなわち、ローパスフィルタに入力される直流電圧が一定であったとしても、ローパスフィルタから出力される直流電圧は消費電流の増加に伴って低下する。この場合にクローズドループ型磁気センサの出力をレシオメトリック出力とすると、消費電流の増加に伴って生じる電源電圧の低下(すなわちローパスフィルタの出力電圧の低下)によって、計測部の電源電圧が一定であったとしても、センサの出力信号電圧には電圧の低下が発生することになる。この場合の電圧の低下は消費電流の大きさに応じて変化するため、消費電流が小さい範囲では小さく、消費電流が大きい範囲では大きくなる。すなわち、消費電流の大きさに依存して誤差の大きさが変化するので、出力リニアリティ誤差が悪くなるという問題が生じる。
【0006】
出力リニアリティ誤差は、直流抵抗成分Rdcの小さいインダクタを使用することで小さくすることはできる。ただし、直流抵抗成分Rdcの小さいインダクタは、直流抵抗成分が比較的大きいチップインダクタと比べて巨大であり、高価である。つまり、サイズ・コストともに問題となる。
【0007】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、センサの消費電流が被測定物理量によって変化する場合に、レシオメトリック出力の出力リニアリティ誤差を低減することができる磁気センサの駆動回路、磁気センサ、電流センサ及び磁気センサの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の磁気センサの駆動回路は、測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を所定のコイルに通電して磁界を測定する磁気センサの駆動回路であって、前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記回路ブロック1へ供給する電源ライン1と、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する電源ライン2と、前記電源ライン1に挿入されたローパスフィルタ1と、前記電源ライン2に挿入されたローパスフィルタ2とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の磁気センサの駆動回路は、前記ローパスフィルタ1及びローパスフィルタ2が、チップインダクタとチップコンデンサとを用いたLCフィルタであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の磁気センサの駆動回路は、前記出力調整回路が、前記電源ライン2から供給された電源を電圧源として作動する増幅回路を用いて前記電源電圧に比例した信号を出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の磁気センサは、磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれた複数のコイルとを有するセンサ部と、前記センサ部に作用する測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を前記複数のコイルの中の所定のコイルに通電して磁界を測定する駆動回路であって、前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記回路ブロック1へ供給する電源ライン1と、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する電源ライン2と、前記電源ライン1に挿入されたローパスフィルタ1と、前記電源ライン2に挿入されたローパスフィルタ2とを有するものとを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電流センサは、磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれた複数のコイルとを有するセンサ部と、前記センサ部に測定電流に応じた磁界を生じさせる電流路部と、前記センサ部に作用する測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を前記複数のコイルの中の所定のコイルに通電して磁界を測定する駆動回路であって、前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と、電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2と、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記回路ブロック1へ供給する電源ライン1と、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給する電源ライン2と、前記電源ライン1に挿入されたローパスフィルタ1と、前記電源ライン2に挿入されたローパスフィルタ2とを有するものとを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の磁気センサの駆動方法は、測定磁界による磁束密度の変化を打ち消すフィードバック電流を所定のコイルに通電して磁界を測定する磁気センサの駆動方法であって、前記所定のコイルに通電するフィードバック電流を制御するとともに、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を出力するフィードバック電流制御回路を有し、外部電源入力端子から入力した外部電源を電源として前記フィードバック電流を通電する回路ブロック1と電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路と、前記フィードバック電流の強度に応じた信号を、前記電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2とを用いて、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を、ローパスフィルタ1が挿入された電源ライン1によって前記回路ブロック1へ供給するとともに、前記外部電源入力端子から入力した前記外部電源を、ローパスフィルタ2が挿入された電源ライン2によって、前記電源ライン1と並列に前記回路ブロック2へ供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、フィードバック電流を通電する回路ブロック1に対して外部電源入力端子から入力した外部電源を供給する電源ライン1と、電源電圧を監視するレシオメトリックコントロール回路とフィードバック電流の強度に応じた信号を電源電圧に比例した信号に調整して出力する出力調整回路とを有する回路ブロック2に対して、外部電源入力端子から入力した外部電源を回路ブロック2へ供給する電源ライン2とを設けている。また、電源ライン1及び電源ライン2には、ローパスフィルタ1及びローパスフィルタ2をそれぞれ挿入している。したがって、フィードバック電流を通電する回路ブロック1側のローパスフィルタ1の直流抵抗成分が回路ブロック2側に及ぼす影響を低減し、レシオメトリック出力の出力リニアリティを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態である磁気センサ1及び磁気センサ1の駆動回路2の構成を説明する概略ブロック図である。
図2図1のセンサ部3の動作を説明するための波形図である。
図3図1のセンサ部3の動作を説明するための他の波形図である。
図4図1の磁気センサ1の効果を検証する際に比較として用いた磁気センサ100の構成を説明する概略ブロック図である。
図5図1の磁気センサ1と図4の磁気センサ100の出力特性を示すグラフである。
図6】本発明の他の実施形態である磁気センサ1a及び磁気センサ1aの駆動回路2aの構成を説明する概略ブロック図である。
図7図6のセンサ部3aの動作を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態である磁気センサ1の構成例を示すブロック図である。図1において、磁気センサ1は、フラックスゲート方式のクローズドループ型磁気センサであり、駆動回路2と、センサ部3とを備えている。駆動回路2は、外部電源入力端子4と、電源ライン(1)5と、電源ライン(2)6と、ローパスフィルタ(1)7と、ローパスフィルタ(2)8と、回路ブロック(1)9と、回路ブロック(2)10とを備えている。センサ部3は、磁性体コア31と、励磁コイル32と、ピックアップコイル33と、フィードバックコイル34とを備えている。図1に示した磁気センサ1は、外部電源20から供給された直流電圧Vccを電源として動作し、センサ部3に印加された測定磁界Hexに応じたフィードバック電流Ifbをフィードバックコイル34に通電することで磁界Hexを測定し、磁界Hexに応じたセンサ出力信号をレシオメトリック出力にて出力する。
【0017】
センサ部3において、磁性体コア31は、高透磁率材からなる例えば円柱状やリング状、額縁状の形状を有する部材である。磁性体コア31の外周面には、励磁コイル32と、ピックアップコイル33と、フィードバックコイル34とが巻かれている。測定磁界Hexは、励磁コイル32と、ピックアップコイル33と、フィードバックコイル34とが作る円筒空間を貫通する磁界である。測定磁界Hexは、例えば地磁気による磁界であったり、図示していない磁性体コア31の近傍に配置された金属板や導電ケーブルからなる電流路(電流路部)を流れる電流が発生した磁界であったりする。この電流路部を例えばリング状や額縁状の形状を有する磁性体コア31の中空部に貫通するように設け、電流路部に測定電流を流し、センサ部3に測定電流に応じた測定磁界Hexを生じさせ、測定磁界Hexを検知することで、磁気センサ1を電流センサとして動作させることができる。
【0018】
駆動回路2において、外部電源入力端子4は、外部電源20の直流電源出力を入力する端子(すなわち外部電源20の定電圧源に接続される端子)である。電源ライン(1)5は、外部電源入力端子4から入力した外部電源20の直流電源出力を回路ブロック(1)9へ供給する配線である。電源ライン(2)6は、外部電源入力端子4から入力した外部電源20の直流電源出力を電源ライン(1)5と並列に回路ブロック(2)10へ供給する配線である。電源ライン(1)5には、ローパスフィルタ(1)7が挿入されている。また、電源ライン(2)6には、ローパスフィルタ(2)8が挿入されている。
【0019】
ローパスフィルタ(1)7は、インダクタ71と、コンデンサ72とを有し、LCフィルタを構成している。ローパスフィルタ(2)8は、インダクタ81と、コンデンサ82とを有し、LCフィルタを構成している。ローパスフィルタの遮断周波数は、外部電源20から入力される直流電源に重畳する高周波ノイズが所望の値に減衰するように計算や実験結果に応じて設定する。なお、インダクタ71のインダクタンスと、インダクタ82のインダクタンスとは同一であっても異なっていてもよい。コンデンサ81の静電容量と、コンデンサ82の静電容量とは同一であっても、異なっていてもよい。また、インダクタ71及びインダクタ81やコンデンサ72及びコンデンサ82は、表面実装部品であるチップインダクタやチップコンデンサとすることができる。この場合、実装面積や体積を容易に小さくすることができる。また、ローパスフィルタ(1)7やローパスフィルタ(2)8の構成は、1次のLCフィルタに限らず、多次のフィルタとしてもよいし、さらに抵抗を直列に接続したLRCフィルタとしたり、インダクタを抵抗に代えたRCフィルタとしたりすることができる。また、ローパスフィルタ(1)7とローパスフィルタ(2)8のフィルタの構成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
なお、図1では、外部電源20の出力直流電圧をVcc、インダクタ71の直流抵抗成分をRdc1、インダクタ71に流れる直流電流をIcc1、ローパスフィルタ(1)7の出力直流電圧をVcc1としている。また、インダクタ81の直流抵抗成分をRdc2、インダクタ81に流れる直流電流をIcc2、ローパスフィルタ(2)8の出力直流電圧をVcc2としている。電流Icc1は、回路ブロック(1)9の消費電流である。そして、電流Icc2は、回路ブロック(2)10の消費電流である。
【0021】
回路ブロック(1)9は、レギュレータ91と、三角波発生部92と、アンプ93と、ヒステリシスコンパレータ94と、ローパスフィルタ95と、積分器96と、フィードバック電流制御回路97とを有している。回路ブロック(1)9は、外部電源入力端子4から入力した外部電源20の直流出力を電源としてフィードバックコイル34にフィードバック電流Ifbを通電する回路であり、消費電流Icc1が測定磁界(あるいは測定電流)に依存する回路ブロックである。
【0022】
レギュレータ91は、ローパスフィルタ(1)7を介して外部電源20の直流出力を入力し、1又は複数の所定の定電圧に変換して出力する。レギュレータ91の出力は、回路ブロック(1)9内の各部において電源電圧や基準電圧として使用される。
【0023】
三角波発生部92は、図2に示した一定の励磁周期Tで交番する三角波状の励磁電流Idを励磁コイル32に通電する。図2は、センサ部3内の各部の動作波形を示す波形図である。横軸は時間であり、各波形は、上から順に、励磁コイル32に流れる励磁電流Id、磁性体コア31に印加された測定磁界Hex、フィードバックコイル34に流れるフィードバック電流Ifb、磁性体コア31内の磁束密度B、そして、ピックアップコイル33に発生したピックアップ電圧Vpである。三角波発生部92は、磁性体コア31が磁気飽和するように励磁電流Idを制御する。図2は、測定磁界Hexが、0より大きい場合(鎖線で示す波形)、0と等しい場合(実線で示す波形)、及び、0より小さい場合(破線で示す波形)の磁束密度Bとピックアップ電圧Vpをそれぞれ鎖線、実線及び破線で示している。ただし、図2は、説明のため、フィードバック電流Ifbを通電せずに、値0で一定とした場合の波形を示している。
【0024】
測定磁界Hex=0の場合、磁束密度Bは実線で示すように正負に対象な波形となる。ピックアップ電圧Vpは、磁束密度Bの符号が切り替わる時刻t1と時刻t2にそれぞれ実線で示した負のパルス状の波形と正のパルス状の波形として発生する。時刻t1と時刻t2との時間Tw(Hex=0)は励磁周期Tの2分の1の値となる。
【0025】
測定磁界Hex>0の場合、磁束密度Bは鎖線で示すように、Hex=0のときの波形と比較して正側に上昇した波形となる。ピックアップ電圧Vpは、磁束密度Bの符号が切り替わる時刻tp1と時刻tp2にそれぞれ鎖線で示した負のパルス状の波形と正のパルス状の波形として発生する。時刻tp1と時刻tp2との時間Tw(Hex>0)は励磁周期Tの2分の1より小さい値となる。
【0026】
そして、測定磁界Hex<0の場合、磁束密度Bは破線で示すように、Hex=0のときの波形と比較して負側に下降した波形となる。ピックアップ電圧Vpは、磁束密度Bの符号が切り替わる時刻tm1と時刻tm2にそれぞれ破線で示した負のパルス状の波形と正のパルス状の波形として発生する。時刻tm1と時刻tm2との時間Tw(Hex<0)は励磁周期Tの2分の1より大きい値となる。
【0027】
アンプ93は、ピックアップコイル33に発生したピックアップ電圧Vpを増幅する。
【0028】
ヒステリシスコンパレータ94は、アンプ93の出力信号を矩形波の信号に変換する。ヒステリシスコンパレータ94は、例えば、図2に示したピックアップ電圧Vpが負のパルスから正のパルスまでの時間Twをローレベル(Lレベル)、それ以外の時間をハイレベル(Hレベル)とし、1周期が励磁周期Tである矩形波信号を出力する。この場合、ヒステリシスコンパレータ94が出力する矩形波信号のデューティ比(つまり一周期当たりのHレベルの時間の割合)が測定磁界Hexの値に対応したものとなる。
【0029】
ローパスフィルタ95は、ヒステリシスコンパレータ94を通して得られた矩形波のデューティ比に応じた電圧の平滑波形を出力する。
【0030】
積分器96は、フィードバック制御における積分要素として作用する回路であり、現在のローパスフィルタ95の出力電圧と、矩形波のデューティ比が50%(すなわち測定磁界Hex=0の場合に対応するデューティ比)ローパスフィルタ95の出力電圧との偏差を積分することで、フィードバック電流Ifbの指令値に当たる信号を出力する。つまり、積分器96は、ヒステリシスコンパレータ94を通して得られた矩形波のデューティ比が50%となるように、フィードバック電流Ifbの指令値に当たる信号を出力する。この場合、積分器96は、測定磁界Hexの印加によって発生した磁性体コア31内の磁束密度Bの変化を打ち消すようなフィードバック電流Ifbの指令値を発生することになる。
【0031】
フィードバック電流制御回路97は、積分器96の出力信号に応じてフィードバックコイル34に通電するフィードバック電流Ifbを制御するとともに、フィードバック電流Ifbの強度に応じた信号を回路ブロック(2)10の出力調整回路102に対して出力する。図3は、フィードバック電流Ifbを通電した場合のセンサ部3内の各部の動作波形を示す波形図である。波形図の形式は図2と同一である。測定磁界Hexが鎖線で示したHex>0の場合は、フィードバック電流Ifbは鎖線で示したIfb<0に制御される。他方、測定磁界Hexが破線で示したHex<0の場合は、フィードバック電流Ifbは破線で示したIfb>0に制御される。このようにすることで磁性体コア31内の磁束密度Bは、測定磁界Hex=0の場合と同様となるように制御される。よって、ピックアップ電圧Vpの負のパルス状の波形が発生する時刻t1と正のパルス状の波形が発生する時刻t2との時間Twはほぼ励磁周期Tの2分の1の値となる。この時間Twがほぼ励磁周期Tの2分の1の値となった状態では、フィードバック電流Ifbが測定磁界Hexに応じた値となる。
【0032】
一方、図1において、回路ブロック(2)10は、レシオメトリックコントロール回路101と、出力調整回路102とを有している。回路ブロック(2)10は、消費電流Icc2がほとんど測定磁界(あるいは測定電流)に依存しない回路ブロックである。
【0033】
レシオメトリックコントロール回路101は、ローパスフィルタ(2)8から出力された電源電圧Vcc2をモニタ(監視)し、電源電圧Vcc2に対して予め設定した係数を乗じた信号を出力する。レシオメトリックコントロール回路101は、例えば、A/D変換器と乗算処理を行うデジタル処理回路とを用いて構成することができる。レシオメトリックコントロール回路101は、例えば係数を0.5として0.5×Vcc2に相当するデジタル信号を出力する。
【0034】
出力調整回路102は、レシオメトリックコントロール回路101の出力信号に基づいて、フィードバック電流制御回路97の出力信号の値を電源電圧Vcc2に比例した値に調整し、センサ出力信号として出力する。出力調整回路102は、例えばA/D変換器やD/A変換器(デジタル/アナログ変換器)と、乗算処理や加算処理を行うデジタル処理回路と、出力段の増幅回路とを用いて構成することができる。ただし、フィードバック電流制御回路97がフィードバック電流Ifbの強度に応じた信号をデジタル信号として出力するものとした場合にはA/D変換器は省略することができる。また、出力段の演算増幅回路(すなわち電源電圧Vcc2に比例したセンサ出力信号を出力するバッファアンプあるいはオペアンプ)は、電源ライン(2)6から供給された電源電圧Vcc2を電圧源として作動するいわゆるレール・ツー・レール出力特性を持つ増幅回路とすることができる。この場合、センサ出力信号の電圧範囲は、0Vからほぼ電源電圧Vcc2までの範囲とすることができ、電源ライン(1)5から供給された電源電圧Vcc1を電源とする場合よりも容易に電圧範囲を広げることができる。
【0035】
出力調整回路102は、例えば電源電圧Vcc2が5Vの場合、フィードバック電流Ifbの最小値(負の値)から最大値(正の値)に対応した値を0〜5Vに調整した出力信号を出力する。この場合、出力調整回路102は、例えば電源電圧Vcc2が4.8Vに変化したとき、フィードバック電流Ifbの最小値(負の値)から最大値(正の値)に対応した値を0〜4.8Vに調整した出力信号を出力する。また、この場合、出力調整回路102は、例えば電源電圧Vcc2が5.2Vに変化したとき、フィードバック電流Ifbの最小値(負の値)から最大値(正の値)に対応した値を0〜5.2Vに調整した出力信号を出力する。
【0036】
また、出力調整回路102は、出力電圧の上限と下限を一定の値に制限することもできる。すなわち、出力調整回路102は、例えば電源電圧Vcc2が5Vの場合、フィードバック電流Ifbの最小値(負の値)から最大値(正の値)に対応した値を例えば0.5(=Vcc2×0.1)〜4.5V(=Vcc2−Vcc2×0.1)に調整した出力信号を出力することができる。この場合、出力調整回路102は、例えば電源電圧Vcc2が4.8Vに変化したとき、フィードバック電流Ifbの最小値(負の値)から最大値(正の値)に対応した値を0.48(=Vcc2×0.1)〜4.32V(=Vcc2−Vcc2×0.1)に調整した出力信号を出力することができる。また、この場合、出力調整回路102は、例えば電源電圧Vcc2が5.2Vに変化したとき、フィードバック電流Ifbの最小値(負の値)から最大値(正の値)に対応した値を0.52(=Vcc2×0.1)〜4.68V(=Vcc2−Vcc2×0.1)に調整した出力信号を出力することができる。
【0037】
上記の構成では、回路ブロック(1)9の消費電流Icc1がフィードバック電流Ifbを含むため、フィードバック電流Ifbが測定磁界Hexの変化に伴って変化する際に、消費電流Icc1の大きさも変化する。回路ブロック(1)9の電源電圧Vcc1はVcc1=Vcc−Icc1×Rdc1であり、Icc1の増大に伴い低下する。一方、回路ブロック(2)10の電源電圧Vcc2はVcc2=Vcc−Icc2×Rdc2であり、Icc2とRdc2とによる電圧降下は発生する。しかし、回路ブロック(2)10の消費電流Icc2は、フィードバック電流Ifbを含んでいない。そのため、回路ブロック(2)10の電源電圧Vcc2は、フィードバック電流Ifbが測定磁界Hexの変化に伴って変化した場合でも、容易にほとんど変化しないものとすることができる。また、消費電流Icc2の大きさも、フィードバック電流Ifbを含んでいないことから容易に小さくすることができ、外部電源20の電源電圧Vccと、回路ブロック(2)10の電源電圧Vcc2との差(すなわち直流抵抗分Rdc2による電圧降下)も容易に小さくすることができる。したがって、電源電圧Vcc2に応じてセンサ出力信号を調整する場合に、レシオメトリック出力特性の直線性を容易に改善することができる。
【0038】
ここで、図4及び図5を参照して本実施形態による出力リニアリティ誤差の低減効果について説明する。図4は、比較のために用いた磁気センサ100の回路構成を示したブロック図である。磁気センサ100は、図1に示した磁気センサ1からローパスフィルタ(2)8を除き、ローパスフィルタ(1)7の出力をレシオメトリックコントロール回路101に供給するようにした駆動回路200を備えている。なお、他の構成は、図1に示した磁気センサ1と同一であり、同一の構成には同一の符号を付けている。
【0039】
図5は、図1に示した磁気センサ1のリニアリティ誤差と、図4に示した磁気センサ100のリニアリティ誤差とを示したグラフである。図1に示した磁気センサ1のリニアリティ誤差は本実施形態として白の矩形で示し、図4に示した磁気センサ100のリニアリティ誤差は比較回路として黒の矩形で示した。横軸にとった測定磁界の変化に応じて、比較回路のリニアリティ誤差が大きく変化しているのに対して、本実施形態のリニアリティ誤差はほとんど変化していないことがわかる。
【0040】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。図6及び図7において、図1及び図3と同一の構成には同一の符号を用いている。図6は、本発明の他の実施形態である磁気センサ1aの構成例を示すブロック図である。図6に示した磁気センサ1aは、図1に示した磁気センサ1と比較して、図1に示したフィードバックコイル34を省略し、フィードバック電流Ifbを励磁電流Idとともに励磁コイル32に通電するようにしたことが異なっている。すなわち、図1に示したセンサ部3に対応する構成であるセンサ部3aは、磁性体コア31と、励磁コイル32と、ピックアップコイル33とを備えている。そして、磁性体コア31の外周面には、励磁コイル32と、ピックアップコイル33とが巻かれている。
【0041】
図1に示した駆動回路2に対応する駆動回路2aは、図1に示した回路ブロック(1)9に代えて回路ブロック(1)9aを備えている。回路ブロック(1)9aは、図1に示した三角波発生部92及びフィードバック電流制御回路97に代えて三角波発生部92a及びフィードバック電流制御回路97aを備えている。
【0042】
三角波発生部92aは、図7に示した一定の励磁周期Tで交番する三角波状の励磁電流Idに、フィードバック電流制御回路97aから入力したフィードバック電流Ifbの指令値に対応するフィードバック電流Ifbを加算した電流を励磁コイル32に通電する。図3は、センサ部3a内の各部の動作波形を示す波形図である。横軸は時間であり、各波形は、上から順に、励磁コイル32に流れる電流(=励磁電流Id+フィードバック電流Ifb)、磁性体コア31に印加された測定磁界Hex、磁性体コア31内の磁束密度B、そして、ピックアップコイル33に発生したピックアップ電圧Vpである。三角波発生部92aは、磁性体コア31が磁気飽和するように励磁電流Idを制御するとともに、フィードバック電流制御回路97aから入力したフィードバック電流Ifbの指令値に対応するフィードバック電流Ifbを加算した電流を励磁コイル32に通電する。
【0043】
なお、図7は、図2と同様に、測定磁界Hexが、0より大きい場合(鎖線で示す波形)、0と等しい場合(実線で示す波形)、及び、0より小さい場合(破線で示す波形)の磁束密度Bと、励磁電流Id+フィードバック電流Ifbとをそれぞれ鎖線、実線及び破線で示している。
【0044】
フィードバック電流制御回路97aは、フィードバック電流Ifbの指令値を三角波発生部92aに対して出力することで、積分器96の出力信号に応じて励磁コイル32に励磁電流Idに加算して通電するフィードバック電流Ifbを制御するとともに、フィードバック電流Ifbの強度に応じた信号を回路ブロック(2)10の出力調整回路102に対して出力する。図7に示したように、測定磁界Hexによる磁束密度Bの変化を打ち消すように励磁コイル32に通電する励磁電流Idにフィードバック電流Ifbを加算することで、ピックアップ電圧Vpの負のパルス状の波形が発生する時刻t1と正のパルス状の波形が発生する時刻t2との時間Twはほぼ励磁周期Tの2分の1の値となる。この時間Twがほぼ励磁周期Tの2分の1の値となった状態では、出力調整回路102に入力されるフィードバック電流Ifbの強度に応じた信号が測定磁界Hexに応じた値となる。
【0045】
図6に示した磁気センサ1aにおいても、図1に示した磁気センサ1と同様に、回路ブロック(2)10の消費電流Icc2は、フィードバック電流Ifbを含んでいない。そのため、回路ブロック(2)10の電源電圧Vcc2は、フィードバック電流Ifbが測定磁界Hexの変化に伴って変化した場合でも、容易にほとんど変化しないものとすることができる。また、消費電流Icc2の大きさも容易に小さくすることができるので、外部電源20の電源電圧Vccと、回路ブロック(2)10の電源電圧Vcc2との差も容易に小さくすることができる。したがって、電源電圧Vcc2に応じてセンサ出力信号を調整する場合でも、レシオメトリック出力特性の直線性を容易に改善することができる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態は上記のものに限定されず、例えば、回路ブロック(2)10内にも回路ブロック(1)9あるいは回路ブロック(1)9a内のレギュレータ91と同様のレギュレータを設けたり、レシオメトリックコントロール回路101と出力調整回路102を一体として構成したり、回路ブロック(1)9あるいは回路ブロック(1)9aの構成の一部をコンピュータを用いて構成したり、といった変更を適宜行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
1、1a 磁気センサ 2、2a 駆動回路 3、3a センサ部 5 電源ライン(1)6 電源ライン(2) 7 ローパスフィルタ(1) 8 ローパスフィルタ(2) 9、9a 回路ブロック(1) 10 回路ブロック(2) 71、81 インダクタ 72、82 コンデンサ 97、97a フィードバック電流制御回路 101 レシオメトリックコントロール回路 102 出力調整回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7