【実施例】
【0067】
〔実施例1〕
ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼ及びホモセリンО−アセチルトランスフェラーゼを含むプラスミドの作製
米国生物資源センター(American Type Culture Collection)から購買した大腸菌W3110菌株(寄託番号ATCC9637)の染色体を鋳型とし、配列番号1及び配列番号2のプライマーを用いてPCRを行うことにより、ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼをコードするmetA遺伝子を増幅した。
【0068】
PCRに用いたプライマーは、米国立衛生研究所ジーンバンク(NIH Gene Bank)に登録されているNC_000913の大腸菌の染色体の塩基番号に基づいて作製したので、配列番号1及び配列番号2のプライマーは、それぞれ制限酵素EcoRV部位及びHindIII部位を有している。
【0069】
<配列番号1>
5’ AATTGATATCATGCCGATTCGTGTGCCGG 3’
<配列番号2>
5’ AATTAAGCTTTTAATCCAGCGTTGGATTCATGTG 3’
デイノコッカスラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)の染色体を鋳型とし、配列番号3及び配列番号4のプライマーを用いてPCRを行うことにより、ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼをコードするmetA遺伝子(配列番号44)を増幅した。配列番号3及び配列番号4のプライマーは、それぞれ制限酵素EcoRV部位及びHindIII部位を有している。
【0070】
<配列番号3>
5’ AATTGATATCATGACCGCCGTGCTCGC 3’
<配列番号4>
5’ AATTAAGCTTTCAACTCCTGAGAAACGCCCC 3’
PCR条件は、94℃で3分間変性後、94℃で30秒間変性、56℃で30秒間アニーリング、72℃で5分間重合を25回繰り返した後、72℃で7分間重合反応を行った。
このように得られたPCR産物及びcj1プロモーター(特許文献5)が入っているpCL1920プラスミドに、それぞれEcoRV及びHindIIIの制限酵素を処理してクローニングした。クローニングされたプラスミドを用いて大腸菌のDH5αを形質転換した後、スペクチノマイシン50μg/mlを含むLBプレートにおいて形質転換された大腸菌のDH5αを選別してプラスミドを得た。得られたプラスミドをそれぞれpCL_Pcj1_metA及びpCL_Pcj1_metXdrと命名した。
【0071】
〔実施例2〕
ホモセリンО−アセチルトランスフェラーゼ活性を有する変異型ポリペプチドの作製
site directed mutagenesis kit(Stratagene、米国)を用いて、前記実施例1において作製したpCL_Pcj1_metAのプラスミドを鋳型とし、О−スクシニルトランスフェラーゼの111番のアミノ酸であるグリシン(Gly)をグルタミン酸(Glu)に置換した。使用したプライマー配列は、以下のとおりである。
【0072】
<配列番号5>
5’ ttgtaactggtgcgccgctggaactggtggggtttaatgatgtc 3’
<配列番号6>
5’ gacatcattaaaccccaccagttccagcggcgcaccagttacaa 3’
作製された変異のG111E metAの遺伝子を含むプラスミドをpCL_Pcj1_metA(EL)と命名した。
【0073】
また、前記О−スクシニルトランスフェラーゼの111番のアミノ酸をグリシンからグルタミン酸に置換し、さらに112番のアミノ酸をロイシンからスレオニン(L112T)またはヒスチジン(L112H)に置換した。このとき、使用したプライマー配列は、以下のとおりである。
【0074】
ロイシンをスレオニンに置換
<配列番号7>
5’ tgtaactggtgcgccgctggaaaccgtggggtttaatgatgtcg 3’
<配列番号8>
5’ cgacatcattaaaccccacggtttccagcggcgcaccagttaca 3’
ロイシンをヒスチジンに置換
<配列番号9>
5’ tgtaactggtgcgccgctggaacatgtggggtttaatgatgtcg 3’
<配列番号10>
5’ cgacatcattaaaccccacatgttccagcggcgcaccagttaca 3’
作製されたプラスミドのうち、111番のアミノ酸がグリシンからグルタミン酸に、112番のアミノ酸がロイシンからスレオニンに置換されたmetA遺伝子を含むプラスミドをpCL_Pcj1_metA(ET)と命名した。同様に、111番のアミノ酸がグリシンからグルタミン酸に、112番のアミノ酸がロイシンからヒスチジンに置換されたmetA遺伝子を含むプラスミドをpCL_Pcj1_metA(EH)と命名した。
【0075】
〔実施例3〕
フィードバック調節解除(feedback-resistance)されたホモセリンアセチルトランスフェラーゼ活性を有する変異型ポリペプチドの作製
前記実施例1において作製されたpCL_Pcj1_metAのプラスミドを鋳型とし、前記実施例2と同様の方法を用いてメチオニンに対するフィードバック調節が解除された特性を有するmetA遺伝子(metA ♯11)を作製した。具体的に、特許文献3に開示された内容によって、О−スクシニルトランスフェラーゼの29番のアミノ酸をセリンからフロリンに(S29P)、114番のアミノ酸をグルタミン酸からグリシンに(E114G)、140番のアミノ酸をフェニルアラニンからセリンに置換(F140S)した。このとき、使用したプライマー配列は、以下のとおりである。
【0076】
セリンをプロリンに置換
<配列番号11>
5’ ATGACAACTTCTCGTGCGCCTGGTCAGGAAATTCG 3’
<配列番号12>
5’ CGAATTTCCTGACCAGGCGCACGAGAAGTTGTCAT 3’
グルタミン酸をグリシンに置換
<配列番号75>
5’ CGCCGCTGGGCCTGGTGGGGTTTAATGATGTCGCT 3’
<配列番号14>
5’ AGCGACATCATTAAACCCCACCAGGCCCAGCGGCG 3’
フェニルアラニンをセリンに置換
<配列番号15>
5’ CACGTCACCTCGACGCTGAGTGTCTGCTGGGCGGT 3’
<配列番号16>
5’ ACCGCCCAGCAGACACTCAGCGTCGAGGTGACGTG 3’
それぞれの前記変異を順次導入し、3種の変異を全て導入したmetA(#11)遺伝子を含有したプラスミドを製造した後、pCL_Pcj1_metA#11と命名した。
以降、前記作製されたpCL_Pcj1_metA#11のプラスミドを鋳型とし、前記実施例2のホモセリンО−アセチルトランスフェラーゼ活性を有する変異型ポリペプチドの変異を同様に有するポリペプチドを発現させるためのプラスミドを作製した。
作製されたプラスミドのうち、111番のアミノ酸がグリシンからグルタミン酸に置換されたmetA #11遺伝子を含んだプラスミドをpCL_Pcj1_metA#11(EL)に、111番のアミノ酸がグリシンからグルタミン酸に、112番のアミノ酸がロイシンからスレオニンに置換されたmetA #11遺伝子を含んだプラスミドをpCL_Pcj1_metA#11(ET)に、111番のアミノ酸がグリシンからグルタミン酸に、112番のアミノ酸がロイシンからヒスチジンに置換されたmetA #11遺伝子を含むプラスミドをpCL_Pcj1_metA#11(EH)と命名した。
【0077】
実験例1:大腸菌のホモセリンスクシニルトランスフェラーゼ及びフィードバック調節解除された大腸菌のホモセリンスクシニルトランスフェラーゼの相同性の比較
大腸菌の変異体(variants)E. coli O9:H4(strain HS)、E. coli O139:H28(strain E24377A)、及びE. coli O157:H7、E. coli(strain ATCC8739)において示されるホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼのアミノ酸の一次配列[順に、配列番号41、配列番号42、配列番号43]をCLC Main Workbench(CLC bio、デンマーク)プログラムを用いて比較してみた。
【0078】
比較の結果、
図2に示すように、大腸菌の変異体において示されるホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼのアミノ酸の一次配列は5%未満の変異が現れることが分かった(
図2)。
【0079】
また、メチオニンに対するフィードバック調節が解除された変異ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼのアミノ酸の一次配列も、前記プログラムを用いて比較してみた。比較した一次配列は、野生型ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼ、特許文献3に開示されたフィードバック調節解除された変異ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼmet10A、met11A、及び特許文献4に開示されたフィードバック調節解除された変異ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼである。
比較の結果、
図3及び
図4に示すように、メチオニンに対するフィードバック調節が解除された変異ホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼのアミノ酸の一次配列は5%未満の変異が存在することが分かった(
図3及び
図4)。
このような結果は、大腸菌に存在するホモセリンО−スクシニルトランスフェラーゼのポリペプチドは、相互間に95%以上の相同性を有しており、5%未満の配列差にもかかわらず、ホモセリンスクシニルトランスフェラーゼの活性には、大きな差がないことが示される。
【0080】
実験例2:ホモセリンアセチルトランスフェラーゼ活性を有する変異型ポリペプチドの基質特異性及び活性比較試験
2−1:実験菌株の作製
2−1−1)metA及びmetA遺伝子の欠損
О−アセチルホモセリンを過量生産する変異型ポリペプチドの活性を比較するために、ホモセリンを蓄積し、生産されたО−アセチルホモセリンの利用性が欠損した菌株を作製した。前記菌株の作製は、特許文献7に明記されたスレオニン生産菌株であるFTR2533(KCCM 10541)菌株に基づいて、特許文献8に開示された実施例1−1乃至1−4の方法で、metA及びmetA遺伝子が欠損した菌株を作製し、CJM2と命名した。CJM2は、菌株内にホモセリンが過量蓄積され、導入される遺伝子により、О−アセチルホモセリンまたはО−スクシニルホモセリンを生産可能な菌株である。
【0081】
2−1−2)acs promoterの交替
О−アセチルホモセリンを過量生産するために、大腸菌内にホモセリンとアセチルCoAの生成が円滑でなければならない。第一に、アセチルCoAの供給を円滑にするために、acs(acetyl−coA synthetase)遺伝子のプロモータを配列番号30の構成的発現プロモータ(constitutive promoter)であるproに置換し、目的遺伝子の常時過剰発現を誘導した。前記プロモータの交替のために、FRT−one−step PCRの変形された方法を用いた(非特許文献5)。
図5に示すようなカセットを作製するために、配列番号31と配列番号33を用いて、pKD3(PNAS (2000) vol.97: 6640-6645)由来のクロラムフェニコール耐性遺伝子FRTカセットをPCRし、配列番号32と配列番号34を用いたproプロモーター領域をPCRし、両PCRの結果物をOverlapping PCR法を用いて、一つのカセット(acsプロモータ欠損−proプロモータ交替カセット)として作製した(非特許文献6)。変性段階は94℃で30秒、アニーリング段階は55℃で30秒、延長段階は72℃で1分間実施し、これを30回行った。
【0082】
<配列番号31>
5’ AGGGGCTTCATCCGAATTGCGCCATTGTTGCAATGGCGGTGCTGGAGCTGCTTCGAAGTTC 3’
<配列番号32>
5’ GATATTCATATGGACCATGGCTCGAGCATAGCATTTTTATCC 3’
<配列番号33>
5’ GGATAAAAATGCTATGCTCGAGCCATGGTCCATATGAATATC 3’
<配列番号34>
5’ CGATGTTGGCAGGAATGGTGTGTTTGTGAATTTGGCTCATATGTACCTTTCTCCTCTTTA 3’
その結果、得られたPCR産物を1.0%アガロースゲルにおいて電気泳動した後、約1.2kbpサイズのバンドからDNAを精製した。回収されたDNA切片は、pKD46ベクター(非特許文献5)に予め形質転換させたCJM2菌株にエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションのために、pKD46に形質転換されたCJM2菌株は、100μg/Lのアンピシリンと5mMのアラビノース(l−arabinose)が含まれたLB培地を用いて、30℃でОD600=0.6まで培養させた後、滅菌蒸留水で1回、10%グリセロールで2回洗浄して使用した。エレクトロポレーションは、2500Vで加えた。回収された菌株を25μg/Lのクロラムフェニコールを含んだLB平板培地に塗抹し、37℃で一晩培養した後、耐性を示す菌株を選別した。
【0083】
選別された菌株を鋳型とし、同一のプライマーを用いて同じ条件でPCRした後、1.0%アガロースゲル上において、遺伝子のサイズが1.2Kbであることを確認し、これにより、acsプロモーターの欠損及びproプロモーターへの交替を確認した。確認された菌株は、さらにpCP20ベクター( 非特許文献5)に形質転換させ、LB培地で培養し、さらに同様の条件のPCRによって、1.0%アガロースゲル上において、遺伝子のサイズが150bpと小さくなった最終のacsプロモーターの欠損及びproプロモーターへの交替菌株を作製し、クロラムフェニコールマーカーが除去されたことが確認された。作製された菌株をCJM2−APと命名した。
【0084】
2−1−3)フィードバック抵抗性coaA代替
前記CJM2−AP菌株において、feedback resistant coaA形質を有するようにするために、w3110 gDNAを鋳型とし、制限酵素EcoRIが含まれた配列番号35及び配列番号36のプライマーを用いたPCRを行い、パントテン酸キナーゼをコードするcoaA遺伝子を確保した。重合酵素は、PfuUltraTMの信頼性の高いDNAポリマラーゼ(Stratagene)を使用し、PCR条件は、変性96℃、30秒;アニーリング50℃、30秒;及び重合反応72℃、2分を30回繰り返した。
【0085】
前記の方法で得られたcoaA遺伝子及びpSG76Cプラスミド(JOURNAL OF BACTERIOLOGY, July 1997, 4426-4428)にそれぞれEcoRI制限酵素を処理した後、連結した。前記方法で作製されたプラスミドを用いて、大腸菌のDH5αに形質転換した後、クロラムフェニコール25μg/mlを含むLBプレートにおいて、形質転換された大腸菌のDH5αを選別し、pSG−76C−coaAを得た。
【0086】
<配列番号35>
5’ ATGAGTATAAAAGAGCAAAC 3’
<配列番号36>
5’ TTATTTGCGTAGTCTGACC 3’
前記で得られたpSG−76C−coaAを用いてsite directed mutagenesis (Stratagene、米国)法で、配列番号37及び配列番号38のプライマーを用いてpSG−76C−coaA(R106A)を作製した。
【0087】
<配列番号37>
5’GGAAAAGTACAACCGCCgccGTATTGCAGGCGCTATT 3’
<配列番号38>
5’AATAGCGCCTGCAATACggcGGCGGTTGTACTTTTCC 3’
CJM2−AP菌株に前記pSG76C−coaA(R106A)プラスミドを形質転換し、LB−Cm(Yeast extract 10g/L、NaCl 5g/L、Tryptone 10g/L、クロラムフェニコール 25μg/L)培地において培養した後、クロラムフェニコール耐性を有するコロニーを選抜した。選抜された形質転換体は、pSG76c−coaA(R106A)が遺伝体内のcoaA部分に1次で挿入された菌株である。
【0088】
確保されたcoaA(R106A)遺伝子が挿入された菌株をpSG76c内に存在するI−SceI部分を切断する制限酵素I−SceIを発現するベクターであるpASceP(非特許文献3)に形質転換し、LB−Ap(Yeast extract 10g/L、NaCl 5g/L、Tryptone 10g/L、Ampicilline 100μg/L)において生長する菌株を選別した。選別された菌株において配列番号35及び配列番号36のプライマーを用いてcoaA遺伝子を増幅し、増幅された遺伝子は、マクロジェン(韓国)シークエンスサービスを通じて、coaA(R106)に交替されたことが確認された(非特許文献4)。このように作製された菌株は、CJM2−AP/COと命名した。CJM2−AP/CO菌株は、ホモセリンだけでなく、Acetyl−coA poolが過量増加されている特性を示す菌株である。
【0089】
2−1−4)ホモセリン生合成経路のkey遺伝子コピー数
CJM2またはCJM2−AP/CO菌株は、ホモセリンが過量生産される菌株であるが、ホモセリンの生産性をより向上させるために、ppc、aspC、asdの三つの遺伝子のコピー数の増幅を試みた。特許文献6の実施例<1−1>乃至<1−3>に開示された方法であり、pSG76c−2ppc、pSG76c−2aspC、pSG76c−2asdのプラスミドを作製し、CJM2−AP/CO菌株に前記プラスミドを作製し、実施例<1−5>の方法で、前記三つの遺伝子を順次に2コピー増幅された菌株を作製した。このように作製された菌株は、CJM3と命名した。CJM3は、菌株内にホモセリンがCJM2菌株に比べてさらに過量蓄積され、導入されるプラスミドにより、О−アセチルホモセリンまたはО−スクシニルホモセリンを生産することができる菌株である。
【0090】
2−2:実験方法及び実験結果
CJM2とCJM3の2種の菌株をコンピテント細胞で作製し、コンピテント細胞に電気穿孔法(electroporation)で、pCL_Pcj1_metX、pCL_Pcj1_metA、pCL_Pcj1_metA(EL)、pCL_Pcj1_metA(EH)、pCL_Pcj1_metA(ET)、pCL_Pcj1_metA#11、pCL_Pcj1_metA#11(EL)、pCL_Pcj1_metA#11(EH)、 pCL_Pcj1_metA#11(ET)の9種のプラスミドをそれぞれ導入した。
【0091】
このうち、pCL_Pcj1_metA#11(EL)、pCL_Pcj1_metA#11(EH)、及びpCL_Pcj1_metA#11(ET)が導入されたCJM2菌株を、それぞれCA05−0546、CA05−0547及びCA05−0548と命名し、2010年12月14日に韓国微生物保存センターに寄託し、それぞれ寄託番号KCCM11145P、KCCM11146P、及びKCCM11147Pを付与された。
【0092】
また、pCL_Pcj1_metA#11(EL)、pCL_Pcj1_metA#11(EH)、及びpCL_Pcj1_metA#11(ET)が導入されたCJM3菌株を、それぞれCA05−0578、CA05−0579及びCA05−0580と命名し、2011年12月12日に韓国微生物保存センターに寄託し、それぞれ寄託番号KCCM11228P、KCCM11229P、及びKCCM11230Pを付与された。
【0093】
以降、9種のプラスミドが導入されたそれぞれの菌株が生産するメチオニン前駆体の種類と生産量を比較するために、フラスコテストを行った。フラスコテストは、それぞれの菌株をLBプレートにおいて線条接種(streaking)し、31℃の培養器に16時間の間培養してから、単一コロニーをLB培地の3mlに接種した後、200rpm/31℃ま培養器において16時間の間培養することにより行った。
【0094】
250mlフラスコに、表1のメチオニン前駆体の生産培地25mlを入れ、予め培養した培養液を500μlずつ投入した。以降、フラスコを200rpm/31℃の培養器において40時間の間培養した後、HPLCを用いて、それぞれのプラスミドが導入された菌株から得られるメチオニン前駆体の種類及び量を比較し、その結果を表2(CJM2系菌株についての結果)及び表3(CJM3系菌株についての結果)に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
その結果、表2及び表3に示すように、野生型metA遺伝子を含むpCL_Pcj1_metA(wt)によっては、О−スクシニルホモセリンのみが生産されたが、本発明による3種の変異metA遺伝子を含む菌株によっては、О−アセチルホモセリンのみが蓄積されることが確認された。すなわち、ホモセリンスクシニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸を置換することにより、ポリペプチドの活性がホモセリンアセチルトランスフェラーゼに変更されたことが確認された。
【0099】
また、CJM3系菌株において、前記3種の変異のうち、アミノ酸配列111番がグルタミン酸に置換された場合(EL)は、О−アセチルホモセリンの生産量が2.1g/Lであったが、さらに、112番のアミノ酸がヒスチジンに置換された場合(EH)は、3.2g/LのО−アセチルホモセリンが生産され、最も多量のО−アセチルホモセリンが生産されたことが確認された。
【0100】
メチオニンに対するフィードバック調節が解除されたホモセリンアセチルトランスフェラーゼ活性を有する変異型ポリペプチドを発現する菌株でも、同一の傾向性を示した。具体的に、メチオニンに対するフィードバック調節が解除され、111番及び112番のアミノ酸がそれぞれグルタミン酸及びヒスチジンに置換されたmetA ♯11(EH)遺伝子を導入した菌株において、24.8g/Lの最も多量のО−アセチルホモセリンが生産されており、これにより、外来遺伝子としてホモセリンアセチルトランスフェラーゼを導入した場合(CJM3 pCL_Pcj1_metX、23.7g/L)に類似した水準にО−アセチルホモセリンが蓄積されることを確認することができた。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】