特許第5758507号(P5758507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5758507コーティング組成物およびそれから作製された物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758507
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】コーティング組成物およびそれから作製された物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20150716BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20150716BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150716BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20150716BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20150716BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20150716BHJP
   C08J 3/03 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   C08L67/00
   C09D167/00
   C09D7/12
   C09D5/02
   B32B27/36
   C08L101/00
   C08J3/03CFD
【請求項の数】9
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-556595(P2013-556595)
(86)(22)【出願日】2011年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-514370(P2014-514370A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2011026878
(87)【国際公開番号】WO2012118500
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ディール,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】カインツ,ベルンハード
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ティモスィー
(72)【発明者】
【氏名】マロトキー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リンデンマス,デニス
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−295791(JP,A)
【文献】 特開平04−366164(JP,A)
【文献】 特開2003−096281(JP,A)
【文献】 特開平10−046036(JP,A)
【文献】 特開2004−107413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00−67/03
101/00−101/14
B32B 27/00−27/42
C08J 3/00−3/28
C09D 5/00−5/46
7/00−7/14
167/00−167/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分散体の総固体含量に対して75から95重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステル(ここで、1種または複数種の第1のポリエステルは、1種または複数種の第1のポリエステルの総固体含量に対して3から10mgKOH/g未満の範囲の酸価を有する熱硬化性ポリエステルであり、そして、1種または複数種の第1のポリエステルは少なくとも50℃のガラス転移温度(Tg)を有する);
(b)分散体の総固体含量に対して5から25重量パーセントの、少なくとも1種の第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤(ここで、第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、第2のポリエステルの固体含量に対して20から80mgKOH/gの範囲の酸価を有する、水分散性、親水性のポリエステルである);
(c)1種または複数種の中和剤;および
(d)分散体の総重量に対して40から75重量パーセントの水
の溶融ブレンド生成物を含む水性分散体であって、
前記分散体が、分散体の総重量に対して35から65パーセントの固体含量を有し、分散体の体積平均粒径が0.5から5ミクロン未満の範囲である、水性分散体。
【請求項2】
分散体の総固体含量に対して75から95重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステル(ここで、1種または複数種の第1のポリエステルは、1種または複数種の第1のポリエステルの総固体含量に対して3から10mgKOH/g未満の範囲の酸価を有する熱硬化性ポリエステルであり、そして、1種または複数種の第1のポリエステルは少なくとも50℃のガラス転移温度(Tg)を有する)を選択するステップと;
少なくとも1種の第2のポリエステルを含む、分散体の総固体含量に対して5から25重量パーセントの1種または複数種の安定剤(ここで、第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、第2のポリエステルの固体含量に対して20から80mgKOH/gの範囲の酸価を有する、水分散性、親水性のポリエステルである)を選択するステップと;
1種または複数種の中和剤を選択するステップと;
水および1種または複数種の中和剤の存在下、1種または複数種の第1のポリエステル、1種または複数種の安定剤を溶融ブレンドするステップと;
それによって、分散体の総重量に対して35から65パーセントの固体含量と40から75重量パーセントの範囲の含水量とを有し、分散体の体積平均粒径が0.5から5ミクロン未満の範囲である水性分散体を製造するステップとを含む、水性分散体を製造する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の水性分散体;ならびに
ポリオレフィン分散体、アクリルラテックス、エポキシ樹脂分散体、ポリウレタン分散体、アルキド分散体、酢酸ビニル分散体およびエチレン酢酸ビニル分散体からなる群から選択される1種または複数種を含む、コーティング組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の分散体または請求項3に記載のコーティング組成物から誘導される少なくとも1つまたは複数のフィルム層を含む、コーティング。
【請求項5】
1つまたは複数の基体;
請求項1に記載の分散体または請求項3に記載のコーティング組成物から誘導される少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含む、コートされた物品。
【請求項6】
基体を選択するステップと;
請求項3に記載のコーティング組成物を選択するステップと;
コーティング組成物を、基体の少なくとも1つの表面に塗布するステップと;
コーティング組成物から、少なくとも一部の水を除去するステップと;
それによって、基体に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成するステップと;
それによって、コートされた基体を、コートされた物品に成形するステップとを含む、コートされた物品を作製する方法。
【請求項7】
基体を選択するステップと;
基体を物品に成形するステップと;
請求項3に記載のコーティング組成物を選択するステップと;
コーティング組成物を、物品の少なくとも1つの表面に塗布するステップと;
コーティング組成物から、少なくとも一部の水を除去するステップと;
それによって、物品の少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成するステップと;
それによって、コートされた物品を形成するステップとを含む、コートされた物品を作製する方法。
【請求項8】
基体が予備コートされた基体である、請求項5に記載のコートされた物品
【請求項9】
請求項3に記載のコーティング組成物を含むまたはコイル用コーティング組成物であって、分散体が5ミクロン未満の体積平均粒径を有し、分散体は、50℃を超える範囲のガラス転移温度(T)、3mgKOH/gを超えるOH価、および5mgKOH/g未満の酸価、および5,000を超える分子量(M)を有する直鎖状飽和芳香族ポリエステルである第1のポリエステル、ならびに、第1のポリエステルと相溶性がある第2のポリエステルを含む安定剤を含む、缶またはコイル用コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物およびそれから作製された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
腐食を遅延または抑制するために、金属に様々な処理および前処理溶液を塗布することが十分に定着している。このことは、非食品金属容器の分野のみならず、金属の食品および飲料缶の分野にも特に当てはまる。内容物が容器の金属部分に接触することを防止するために、このような容器の内面にコーティングが塗布される。金属と非食品物質との間のみならず、金属と食品または飲料との間の接触は、金属容器の腐食をもたらすことがあり、これが次いで、このような金属容器の食品もしくは飲料または非食品内容物を汚染することがある。食品および飲料製品が、高酸性であり、および/またはルバーブベース製品もしくはアイソトニック飲料等の高い塩含量を有する場合、腐食は特に問題である。また、毛髪染料等の非食品物質の強アルカリ性内容物は、容器の金属(例えばアルミニウム)部分と反応し得る。例えば食品および飲料缶の内面に塗布されたコーティングはまた、缶のヘッドスペース(食品の充填境界線と缶の蓋との間の領域)における腐食を防止するのに役立つ。外部環境に対する保護を提供し、または充填剤および/もしくは顔料を含む装飾層を提供するために、コーティングを金属容器の外面に塗布してもよい。腐食からの保護に加えて、食品および飲料缶に対するコーティングは、非毒性および不活性であるべきであり、内側表面に塗布される場合、缶中の食品もしくは飲料の食味もしくは外観、例えば色に悪影響を及ぼす、または缶の内容物の汚染の一因となるべきでない。「ポッピング(popping)」、「白化」および/または「ふくれ」に対する耐性も望まれる。ある種のコーティングは、缶の端面(end)がそれから作製されるコイル状金属材等のコイル状金属材、「缶端面材」、およびバルブカップ(例えばエアロゾル缶の頂部端面)上に塗布するのに特に適切である。缶端面材上に使用するために設計されたコーティングは、端面がコイル状金属材から切断され打ち抜かれる前に塗布されるので、これらも通常、柔軟および/または伸張性である。例えば、缶端面材は通常、両面にコートされる。その後、コートされた金属材は、打ち抜かれ、ビード加工されまたは曲げられても良い。コートされた金属材は、「ポップ・トップ(pop-top)」開口部のために印を付けられ、次いで、ポップ・トップ環が、別に製造されたピンで取り付けてもよい。次いで、端面がエッジ圧延法(edge rolling process)によって缶胴に取り付けられる。したがって、缶端面材に塗布されたコーティングは通常、上記で述べた他の所望の特徴の一部またはすべてに加えて、広範な製造方法に耐性があるように、ある程度の靭性および可とう性を有する。エポキシベースおよびポリ塩化ビニルベース、例えばオルガノゾルタイプのコーティング等の様々なコーティングが、腐食を防止するために金属缶の内面にコートするのにこれまで使用されてきた。しかし、適切なレベルの可とう性のみならず腐食性媒体中での劣化に対する耐性も有する等の改良特性を提供する、非食品容器ライナーのみならず食品および飲料缶ライナーも求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、およびそれらから作製されたコートされた物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、(a)分散体の総固体含量に対して50から99重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステル(ここで、1種または複数種の第1のポリエステルは、第1のポリエステルの総固体含量に対して15未満、例えば10未満、または別法では5未満の範囲の酸価を有する);(b)分散体の総固体含量に対して1から50重量パーセントの、少なくとも1種の第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤(ここで、第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、第2のポリエステルの固体含量に対して15を超える、例えば20を超える酸価を有する);(c)1種または複数種の中和剤;および(d)分散体の総重量に対して15から90重量パーセントの水の溶融ブレンド生成物を含む水性分散体(ここで、前記分散体は、分散体の総重量に対して10から85パーセントの固体含量を有する)を提供する。
【0005】
代替の実施形態において、本発明は、(1)第1のポリエステルの総固体含量に対して15未満、例えば10未満、または別法では5未満の範囲の酸価を有する1種または複数種の第1のポリエステルを選択するステップと;(2)第2のポリエステルの総固体含量に対して15を超える、例えば20を超える酸価を有する少なくとも1種の第2のポリエステルを含む、1種または複数種の安定剤を選択するステップと;(3)1種または複数種の中和剤を選択するステップと;(4)水および1種または複数種の中和剤の存在下、1種または複数種の第1のポリエステル、1種または複数種の安定剤を溶融ブレンドするステップと;(4)それによって、分散体の総重量に対して10から85パーセントの固体含量を有する水性分散体を製造するステップとを含む、水性分散体を製造する方法をさらに提供する。
【0006】
別の代替の実施形態において、本発明は、(a)上述した本発明の水性分散体;(b)1種または複数種の架橋剤;(c)場合によって、ポリオレフィン分散体、アクリルラテックス、エポキシ樹脂分散体、ポリウレタン分散体、アルキド分散体、酢酸ビニル分散体およびエチレン酢酸ビニル分散体からなる群から選択される1種または複数種を含む、コーティング組成物をさらに提供する。
【0007】
別の代替の実施形態において、本発明は、上述した本発明のコーティング組成物から誘導される少なくとも1つまたは複数のフィルム層を含む、コーティング層をさらに提供する。
【0008】
別の代替の実施形態において、本発明は、(1)1つまたは複数の基体;(2)上述した本発明のコーティング組成物から誘導される少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含む、コートされた物品をさらに提供する。
【0009】
別の代替の実施形態において、本発明は、(1)基体を選択するステップと;(2)上述した本発明のコーティング組成物を選択するステップと;(3)コーティング組成物を、基体の少なくとも1つの表面に塗布するステップと;(4)コーティング組成物から、少なくとも一部の水を除去するステップと;(5)それによって、基体に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成するステップと;(6)それによって、コートされた基体を、コートされた物品に成形するステップとを含む、コートされた物品を作製する方法をさらに提供する。
【0010】
別の代替の実施形態において、本発明は、(1)基体を選択するステップと;(2)基体を物品に成形するステップと;(3)上述したコーティング組成物を選択するステップと;(4)コーティング組成物を、物品の少なくとも1つの表面に塗布するステップと;(5)コーティング組成物から、少なくとも一部の水を除去するステップと;(6)それによって、物品の少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成するステップと;(7)それによって、コートされた物品を形成するステップとを含む、コートされた物品を作製する方法をさらに提供する。
【0011】
代替の実施形態において、本発明は、第1のポリエステルが、少なくとも30℃、例えば少なくとも40℃、または別法では少なくとも50℃、または別法では少なくとも60℃、または別法では少なくとも70℃のガラス転移温度(T)を有すること以外は任意の先行実施形態に従った、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、コートされた物品、それらを製造する方法を提供する。
【0012】
代替の実施形態において、本発明は、基体が予備コートされた基体であること以外は任意の先行実施形態に従った、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、コートされた物品、それらを製造する方法を提供する。
【0013】
代替の実施形態において、本発明は、基体が、金属、木材、紙、プラスチック、ガラス、皮革および/またはコンクリートであること以外は任意の先行実施形態に従った、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、コートされた物品、それらを製造する方法を提供する。
【0014】
代替の実施形態において、本発明は、分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物が触媒をさらに含むこと以外は任意の先行実施形態に従った、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、コートされた物品、それらを製造する方法を提供する。
【0015】
代替の実施形態において、本発明は、第1のポリエステルが、50℃を超えるガラス転移温度および5mgKOH/g未満の酸価を有する直鎖状飽和芳香族ポリエステルであり、第2のポリエステルが、第1のポリエステルと相溶性があり、そうすることによって、5ミクロン未満の体積平均粒径を有する分散体が生成されること以外は任意の先行実施形態に従った、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、コートされた物品、それらを製造する方法を提供する。
【0016】
代替の実施形態において、本発明は、水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物が、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、酢酸ビニルエチレンラテックス、ポリウレタン分散体、アルキド分散体、エポキシ分散体、ポリオレフィン分散体、およびこれらの組合せ等の1種または複数種のバインダー組成物;場合によって1種または複数種の充填剤;場合によって、触媒、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫化汚染隠蔽剤(additives to mask sulfur staining)、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤等の1種または複数種の添加剤;場合によって、脂肪酸エステルワックス、ケイ素ベースのワックス、フッ素ベースのワックス、ポリエチレンまたは任意の他の類似のポリオレフィンワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス等の1種または複数種の潤滑剤;場合によって、アルミニウム、および亜鉛等の1種または複数種の腐食抑制剤;場合によって、1種または複数種の顔料、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、雲母、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよび粘土等;場合によって、1種または複数種の共溶媒、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、アルコール、ミネラルスピリット、芳香族溶媒および安息香酸エステル等;場合によって、1種または複数種の分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボン酸塩;場合によって、1種または複数種の界面活性剤;場合によって、1種または複数種の保存剤、例えば、殺生物剤、防カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、およびこれらの組合せ;場合によって、1種または複数種の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースベースの増粘剤、疎水性に修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン(UCAR POLYPHOBE TR−116等のHASE増粘剤)および疎水性に修飾されたエトキシ化ウレタン増粘剤(HEUR);あるいは、場合によって1種または複数種のさらなる中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニアおよび炭酸塩;場合によって1種もしくは複数種の溶媒またはコアレッシング剤(coalescing agents)をさらに含むこと以外は、任意の先行する実施形態に従った、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、コートされた物品、それらを製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、水性分散体、コーティング組成物、コーティング層、およびそれらから作製されたコートされた物品を提供する。
【0018】
本発明のコーティング組成物は、(1)(a)分散体の総固体含量に対して50から99重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステル(ここで、1種または複数種の第1のポリエステルは、第1のポリエステルの総固体含量に対して15未満、例えば10未満、または別法では5未満の範囲の酸価を有する);(b)分散体の総固体含量に対して1から50重量パーセントの、少なくとも1種の第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤(ここで、第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、第2のポリエステルの固体含量に対して15以上、例えば20を超える酸価を有する);(c)1種または複数種の中和剤;および(d)分散体の総重量に対して15から90重量パーセントの水の溶融ブレンド生成物を含む本発明の水性分散体(ここで、前記分散体は、分散体の総重量に対して10から85パーセントの固体含量を有する);ならびに(2)1種または複数種の架橋剤を含む。
【0019】
水性分散体
本発明の水性分散体は、(a)分散体の総固体含量に対して50から99重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステル(ここで、1種または複数種の第1のポリエステルは、第1のポリエステルの総固体含量に対して15未満、例えば10未満、または別法では5未満の範囲の酸価を有する);(b)分散体の総固体含量に対して1から50重量パーセントの、少なくとも1種の第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤(ここで、第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、第2のポリエステルの固体含量に対して15以上、例えば20を超える酸価を有する);(c)1種または複数種の中和剤;および(d)分散体の総重量に対して15から90重量パーセントの水の溶融ブレンド生成物を含み、ここで、前記分散体は、分散体の総重量に対して10から85パーセントの固体含量を有する。
【0020】
第1のポリエステル
水性分散体は、水性分散体の固体含量の総重量に対して50から99重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステルを含む。50から99重量パーセントまでのすべての個々の値および部分的な範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示されている;例えば、重量パーセントは、50、55、60、65または70重量パーセントの下限から、60、65、70、75、80、85、90、95または99重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散体は、水性分散体の固体含量の総重量に対して55から95重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステルを含んでいてもよい;または別法では、水性分散体は、水性分散体の固体含量の総重量に対して60から90重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステルを含んでいてもよい;または別法では、水性分散体は、水性分散体の固体含量の総重量に対して65から90重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステルを含んでいてもよい;または別法では、水性分散体は、水性分散体の固体含量の総重量に対して75から95重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステルを含んでいてもよい。水性分散体は、少なくとも、1種または複数種の第1のポリエステルを含む。第1のポリエステルは熱硬化性ポリエステルである。本発明で使用するのに適した熱硬化性ポリエステル(疎水性ポリエステル)には、限定されるものではないが、中〜高分子量(Mが5000g/モルを超え、好ましくはMが10,000g/モルを超え、最も好ましくはMが20,000g/モルを超える)ポリエステルを伴う、ヒドロキシル官能基化ポリエステルが含まれる。通常、熱硬化性ポリエステルの水酸基価は、(樹脂固体に対して)少なくとも3mgKOH/g、好ましくは少なくとも5mgKOH/gである。熱硬化性ポリエステルは通常、(樹脂固体に対して)15mgKOH/g未満、好ましくは10mgKOH/g未満、最も好ましくは5mgKOH/g未満の酸価を有する。好ましいポリエステル熱硬化性樹脂は、少なくとも約30℃、好ましくは50℃を超える、最も好ましくは70℃を超えるガラス転移温度(T)を有する。
【0021】
ヒドロキシル官能基化熱硬化性ポリエステルは、例えば、Zeno W.Wicks,Jr,Frank N.Jones,S.Peter.Pappas,"Organic Coatings, Science and Technology,"pp 246-257(John Wiley & Sons,1999,second edition)およびその中の参考文献、またはHouben-Weyl,"Methoden der Organischen Chemie,Band E20,Makromolekulare Soffe,Polyester,"pp 1405-1429.(Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1987)およびその中の参考文献に記載されているもの等の従来の重縮合技術によって形成されてもよい。一実施形態では、ジオールまたはポリオールおよびジカルボン酸またはポリカルボン酸を従来の重合容器中に投入し、約150℃から280℃の間で数時間反応させる。場合によって、反応時間を短縮させるためにエステル化触媒を使用してもよい。一般に、ヒドロキシル基を末端とするポリエステルの形成を確実にするために、わずかに過剰のジオールを使用してもよい。ポリカルボン酸のジメチルエステルまたは無水物等の、エステル化可能なポリカルボン酸誘導体を、ポリエステルを調製するのに使用することができることも理解される。
【0022】
本発明の一実施形態では、熱硬化性ポリエステルは、直鎖状飽和ポリエステルである。しかし、時にはポリエステル上にいくつかの分岐点を導入することが望ましいことがある。分岐ポリエステルを供給するために、トリオールまたはポリオールまたは多価酸を使用することができる。
【0023】
熱硬化性ポリエステルを形成するために使用することができる、適したおよび典型的なジカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはこれらに対応するアルキルエステルには、限定するものではないが、例えば、イソフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチル−1,6−ヘキサン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、フタル酸、無水フタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、テトラクロロフタル酸無水物、クロレンド酸、イソフタル酸、トリメリト酸無水物、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、二量体脂肪酸、もしくは任意のこれらの酸の無水物、またはこれらの混合物等の飽和および不飽和ジカルボン酸が含まれる。
【0024】
熱硬化性ポリエステルを形成するために使用することができる、適したジオールおよびポリオールには、限定するものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび高級ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよび高級ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよびその他のブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよびその他のペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、およびドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、シクロヘキサンジメタノール、ジペンタエリストリトール、1,2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ベンジルジメタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、イソプロピリデンビス(p−フェニレン−オキシプロパノール−2)、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(もしくは1,3および1,4シクロヘキサンジメタノールの混合物、cisもしくはtransであってもよい)、ソルビトール、またはこれらの混合物が含まれる。
【0025】
適した熱硬化性ポリエステルは、例えば、EVONIKから商品名DYNAPOL(登録商標)で入手可能である。
【0026】
一実施形態では、ヒドロキシル官能基化ポリエステル−カルバマートポリマーを生成するために、先ず、ヒドロキシル官能基化の第1のポリエステルを、例えば、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート(H12MDI)、および1,3もしくは1,4−ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン、またはこれらの混合物等の多官能基を含む1種または複数種のイソシアナートと反応させてもよい。
【0027】
別の実施形態では、ヒドロキシル官能基を含む熱硬化性ポリエステルを、先ず、1種または複数種の部分的にブロックされたイソシアナートまたはポリイソシアナートと反応させてもよい。好ましい実施形態では、部分的にブロックされたイソシアナートは、少なくとも1個の遊離のイソシアナート基を有する三量体等のポリイソシアヌラート化合物である。より好ましくは、ブロックイソシアナートは、少なくとも2個の非ブロックイソシアナート基を有する。少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアナートのブロックイソシアナート基は、脱ブロックが可能なおよび/または脱ブロックが不可能なイソシアナート基の任意の組合せであることができる。脱ブロックが可能なイソシアナート基を形成するのに好ましいブロッキング剤には、限定するものではないが、ε−カプロラクタム、ジイソプロピルアミン(DIPA)、メチルエチルケトキシム(MEKO)、および/またはこれらの混合物が含まれる。脱ブロックが不可能なイソシアナート基を形成するのに好ましいブロッキング剤には、限定するものではないが、グリシドール、ヒドロキシエチルアクリラート、アルコール、およびグリコールが含まれる。好ましい一実施形態において、脱ブロックが可能なイソシアナート基は、50℃未満の温度で、認め得るほどに脱ブロックしない。より好ましくは、イソシアナート基は、100℃未満の温度で、認め得るほどに脱ブロックしない。
【0028】
第2のポリエステルを含む安定剤
水性分散体は、安定な分散体の形成を促進するために、1種または複数種の第2のポリエステルを含む、少なくとも、1種または複数種の安定剤をさらに含む。第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、15以上、例えば20を超える酸価を有する。水性分散体は、分散体の固体含量の総重量に対して1から50重量パーセントの、1種または複数種の安定剤を含む。1から50重量パーセントまでのすべての個々の値および部分的な範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示されている;例えば、重量パーセントは、1、3、5、10重量パーセントの下限から、15、25、35、45または50重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散体は、分散体の固体含量の総重量に対して、1から25;または別法では、1から35;または別法では、1から40;または別法では、1から45重量パーセントの1種または複数種の安定剤を含んでいてもよい。
【0029】
第2のポリエステルは、高酸性、水分散性、親水性のポリエステルであり、これは、第1のポリエステル樹脂を分散させるための主たる安定剤として使用される。第2のポリエステルは、典型的には15mgKOH/g(樹脂固体に対して)以上、例えば20から80mgKOH/g(樹脂固体に対して)の範囲の酸価を有する。第2のポリエステルのカルボン酸官能基は、本発明に対して重大な意味を持つ。水性分散体の製造において、第2のポリエステルの酸官能基は、適した無機または有機塩基で中和されて、コロイド安定性を提供する。高酸性安定化ポリエステルは、ヒドロキシル官能基も有するが、これは必須ではない。好ましくは、高酸性安定化ポリエステルは、少なくとも2mgKOH/g(樹脂固体に対して)、好ましくは5mgKOH/g以上、最も好ましくは20mgKOH/g以上のOH価を有する。高酸性安定化ポリエステルは、例えば、Zeno W.Wicks,Jr,Frank N.Jones,S.Peter.Pappas"Organic Coatings, Science and Technology,"pp 246-257(John Wiley & Sons, 1999, second edition)およびその中の参考文献、またはHouben-Weyl,"Methoden der Organischen Chemie,Band E20, Makromolekulare Soffe,Polyester"pp 1405-1429,(Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1987)およびその中の参考文献に記載されたもの等の従来の重縮合技術で製造してもよい。一実施形態では、ジオールまたはポリオールおよびジカルボン酸またはポリカルボン酸を、従来の重合容器中に投入し、約150℃から280℃の間で数時間反応させる。場合によって、反応時間を短縮させるために、エステル化触媒を使用してもよい。カルボキシル官能基を含むポリエステルを提供するために2ステップ法を使用することが好ましいことがある。一実施形態では、OH官能基を含むポリエステルは、先ず、もし存在するとしても少量の遊離のカルボン酸および/またはカルボキシラート官能基が存在するように調製され、次いでこれが、後続のステップで環状ジカルボン酸無水物と開環およびモノエステル形成反応において反応して、遊離のカルボン酸および/またはカルボキシラート基が次いで形成される。第1のステップの樹脂中のOH官能基の過剰量は、多酸官能基を含む分子との反応後の最終樹脂が、通常、酸価15mgKOH/g(樹脂固体に対して)以上、例えば20から80mgKOH/g(樹脂固体に対して)の範囲である、カルボキシルを末端とするポリエステル樹脂を提供するような方法で設計される。
【0030】
高酸性安定化ポリエステルのカルボン酸成分は、1種または複数種の、少なくとも2個のCOOH官能基を有する脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族および/または芳香族カルボン酸またはその無水物を含んでいてもよい。高酸性安定化ポリエステルを形成するのに使用することができる、適したおよび典型的なジカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはそれらに対応するアルキルエステルには、限定するものではないが、飽和および不飽和ジカルボン酸、例えば、限定するものではないが、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチル−1,6−ヘキサン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、フタル酸、無水フタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、アゼライン酸、フマル酸、セバシン酸、テトラクロロフタル酸無水物、クロレンド酸、イソフタル酸、トリメリト酸無水物、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン−ジカルボン酸等、およびこれらの混合物が含まれる。
【0031】
高酸性安定化ポリエステルのグリコール成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび/または高級ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよび/または高級ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよびその他のブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび/またはその他のペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、および/またはドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、シクロヘキサンジメタノール、約500以下の分子量を有するポリエチレンまたはポリプロピレングリコール、ジペンタエリトリトール、1,3−ブチルエエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ベンジルジメタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、イソプロピリデンビス(p−フェニレン−オキシプロパノール−2)、およびこれらの混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、脂肪族グリコールは、2から8個の炭素原子の1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(もしくは、1,3および1,4シクロヘキサンジメタノールの混合物、cisもしくはtransであってもよい)、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(cis、trans、もしくはこれらの混合物であってもよい)、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0032】
高酸性安定化ポリエステル(第2のポリエステル)の組成物は、第1のポリエステルとの優れた相溶性を示すように選択されなければならない。相溶性が不十分な場合は、小粒径(典型的には約5ミクロン未満の体積平均粒径)および優れた安定性を有する優れた水性分散体が生成されないこともある。さらに、このような分散体から得られるコーティングは、相溶性の欠如のために、劣った外観を有することがあり、コーティングの評価試験において低い性能を示すことがある。例えば、脂肪族高酸性ポリエステル(第2のポリエステル)が、芳香族疎水性の第1のポリエステルを分散させるのに使用された場合、通常、大粒径(典型的には5ミクロンを超える体積平均粒径)を有する不十分な分散体が生じる結果になる。相溶性を評価する1つの方法は、第1のポリエステルと第2のポリエステルとを、それぞれの融点を超える温度で溶融混合することである。優れた相溶性を有するブレンドは、通常、比較的透明または半透明のブレンドになり、一方、非相溶性のブレンドは、通常、不透明または濁った、白色の溶融ブレンドになる。ブレンドの光学顕微鏡または透過型電子顕微鏡による形態学的測定等の、相溶性を決定する他の方法であってもよい。
【0033】
選択された実施形態において、安定剤は、場合によって界面活性剤を含んでいてもよい。使用することができる他の安定剤には、限定するものではないが、12から60個の炭素原子を有する、長鎖の脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸アルキルエステルが含まれる。他の実施形態では、長鎖の脂肪酸または脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有していてもよい。
【0034】
本発明の実施において有用であり得るさらなる安定剤には、限定するものではないが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤が含まれる。アニオン性界面活性剤の例には、限定するものではないが、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が含まれる。カチオン性界面活性剤の例には、限定するものではないが、第四級アミンが含まれる。非イオン性界面活性剤の例には、限定するものではないが、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマーおよびシリコーン界面活性剤が含まれる。本発明の実施において有用である安定剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤のいずれであってもよい。外部界面活性剤は、分散体調製の間に化学的に反応して基材ポリマー中に入りこまない界面活性剤である。本明細書で有用な外部界面活性剤の例には、限定するものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸塩およびラウリルスルホン酸塩が含まれる。内部界面活性剤は、分散体調製の間に化学的に反応して基材ポリマー中に入りこむ界面活性剤である。本明細書で有用な内部界面活性剤の例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸およびその塩が含まれる。本発明の実施において有用であり得るさらなる界面活性剤には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはこれらの組合せが含まれる。本明細書に開示された実施形態において、OP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−1000(ステアリン酸カリウム)、およびOPK−181(オレイン酸カリウム)(それぞれRTD Hallstarから入手可能である);UNICID 350(Baker Petroliteから入手可能である);DISPONIL FES 77−IS、DISPONIL TA−430、Disponil FES−32、およびDiponil FES−993(それぞれCognisから入手可能である);RHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33、および796/P、RHODACAL BX−78およびLDS−22、RHODAFAC RE−610、およびRM−710、およびSUPRAGIL MNS/90(それぞれRhodiaから入手可能である);およびTRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、およびTRITON CG−110(それぞれDow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能である);ならびにESPERSE グレードE−100、E−506、E−328、E−355、およびE−600(それぞれEthox Chemicals,LLCから入手可能である)を含めた様々な市販の界面活性剤を使用してもよい。
【0035】
使用し得るさらなる安定剤は、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸、ならびにこれらの(C〜C30)エステルまたはアミド;アクリルアミド/メタクリルアミドおよびこれらのN置換誘導体;アクリロニトリル;スチレンおよび置換スチレン誘導体等のエチレン性不飽和モノマーから構成される溶液または懸濁液ポリマーである。
【0036】
例示的なポリマー安定剤には、限定するものではないが、コポリマーが、(i)5から95重量%の1種または複数種の親水性モノマーと(ii)5から95重量%の1種または複数種の共重合性のエチレン性不飽和疎水性モノマーとの反応生成物を含む、両親媒性コポリマー組成物が含まれる。これらの材料は、水溶性であり、または特に中和すると乳化可能であり、コロイド状安定剤として作用することができる。例示的な安定剤には、例えば、限定するものではないが、ブチルアクリラートおよびラウリルメタクリラートが含まれる。
【0037】
両親媒性コポリマー組成物を製造するのに適している代表的な非イオン性、水溶性モノマーには、限定するものではないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、t−ブチルアクリルアミド、Nメチロールアクリルアミド、メチル(メタ)アクリラート、ブチルアクリラートおよびエチルアクリラート等のアルキル(メタ)アクリラート、エチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジイソブチルエチレン、酢酸ビニルおよびN−ビニルピロリドン等のビニルモノマー、ならびにアリル(メタ)アクリラート等のアリルモノマーが含まれる。
【0038】
両親媒性コポリマー組成物を製造するのに適している代表的なカチオン性、水溶性モノマーには、限定するものではないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、t−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリブチルアンモニウムエチル(メタ)アクリラートTBAEMA、DMAEMA、DMAPMAM、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、メチルアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ポリクオタニウム−11およびポリクオタニウム−4等のアミン官能化モノマーの第四級アンモニウム塩が含まれる。
【0039】
両親媒性コポリマー組成物を製造するのに適している「アニオン性」または「酸含有モノマー」には、限定するものではないが、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、スルフィン酸基およびスルホン酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーが含まれる。適した例には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸およびビニルスルホン酸が含まれる。
【0040】
代替の実施形態において、1種または複数種の安定剤は、アクリル酸樹脂またはアクリル酸モノマーと反応して、ポリエステルアクリラート、ポリアミドアクリラートエポキシ樹脂アクリラートを形成し得る、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂を基材としてもよい。
【0041】
安定剤としてのポリエステルアクリラートは、ポリエステルの存在下、共重合性のエチレン性不飽和モノマーのin−situ重合によって形成してもよい。例には、反応流体の存在下または非存在下、ポリエステルを伴った、ビニルモノマーおよびビニルエステルのみならず、エチレン性不飽和単または多官能酸、エチレン性不飽和単または多官能酸のエステル、アミド、ニトリルが含まれる。溶媒中のポリエステルアクリラートは、当業者に知られている適切な方法により乾燥させることができる。
【0042】
安定剤を製造するのに適したエポキシ樹脂は、ポリエポキシドを適当な多価求核試薬と反応させることにより、当業者に周知の従来の手順に従って得てもよい。適したエポキシドには、限定するものではないが、グリシジルエーテル、およびその他のエポキシ基を含有する分子が含まれる。適した多価求核試薬には、限定するものではないが、多価フェノール、およびポリフェノール、ポリチオール、脂肪族多価アルコールまたは多塩基酸またはポリアミンが含まれる。例示的な適したエポキシには、例えば、限定するものではないが、従来の触媒の存在下、高温で、溶媒が存在するまたは存在せずに、ポリグリシジルエーテル分子当たり少なくとも2個のグリシジルエーテル基を含むグリシジルエーテル(例えば、少なくともジグリシジルエーテル)と、多価ポリフェノール中に少なくとも2個のヒドロキシル基を含む多価フェノール(例えば、少なくとも二価フェノールまたはジフェノール)とが含まれる。別の種類のエポキシ樹脂は、例えば、従来の触媒の存在下、高温で、溶媒が存在するまたは存在せずに、ポリグリシジルエーテル分子当たり少なくとも2個のグリシジルエーテル基を含むポリグリシジルエーテル(例えば、少なくともジグリシジルエーテル)と、多塩基酸分子当たり少なくとも2個のカルボキシル基を含む多塩基酸(例えば、少なくとも二塩基ポリカルボン酸)とを反応させることによって当業者に周知の従来の手順に従って得てもよい。
【0043】
安定剤を製造するためのエポキシアクリラートは、エポキシ樹脂の存在下、共重合性のエチレン性不飽和モノマーのin−situ重合によって形成してもよい。例には、限定するものではないが、反応流体の存在下または非存在下、エポキシ樹脂を伴った、ビニルモノマーおよびビニルエステルのみならず、エチレン性不飽和単または多官能酸、エチレン性不飽和単または多官能酸のエステル、アミド、ニトリルが含まれる。あるいは、エポキシアクリラートを形成するために、適当な触媒の存在下、ポリマーの酸官能基を含むアクリル酸樹脂をエポキシ樹脂と反応させることができる。溶媒中のエポキシアクリラートは、当業者に知られている適切な方法に従って乾燥させることができる。一実施形態では、酸官能化ポリエステルを使用してもよく、この場合、エポキシは、例えば過剰の酸官能基を含むポリエステルと反応される。
【0044】
中和剤
安定剤は、中和剤で部分的または完全に中和することができる。ある特定の実施形態では、安定剤(第2のポリエステル)の中和は、モルベースで50から250パーセントであってもよく;または別法では、モルベースで50から200パーセントであってもよく;または別法では、モルベースで50から150パーセントであってもよく;または別法では、モルベースで50から120パーセントであってもよい。例えば、中和剤は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の塩基であってもよい。他の中和剤には、例えば水酸化リチウムを含むことができる。別の代替では、中和剤は、例えば炭酸塩であってもよい。別の代替では、中和剤は、例えば、モノエタノールアミンまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)等の任意のアミンであってもよい。本明細書に開示された実施形態で有用なアミンは、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびTRIS AMINO(商標)(それぞれAngusから入手可能)、NEUTROL(商標)TE(BASFから入手可能)、ならびにトリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびN,N−ジメチルエタノールアミン(それぞれDow Chemical Company、Midland、MIから入手可能)を含んでいてもよい。その他の有用なアミンは、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1,2−ジアミノプロパン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エチレンジアミンN,N,N’N’−テトラキス(2−ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’テトラメチルプロパンジアミン、3−メトキシプロピルアミン、イミノビス−プロピルアミン等を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アミンの混合物またはアミンとその他の界面活性剤との混合物を使用してもよい。一実施形態では、中和剤はポリマーのアミン、例えばジエチレントリアミンであってもよい。当業者であれば、適した中和剤の選択は、配合する特定の組成物により決まり、このような選択は当業者の知識の範囲内であることを理解している。一実施形態では、中和剤として250℃未満の沸点を有するアミンを使用してもよい。
【0045】
液体媒体
水性分散体は、さらに液体媒体を含む。液体媒体は任意の媒体であってもよく、例えば、液体媒体は水であってもよい。水性分散体は、分散体の重量に対して15から90重量パーセントの水を含む;例えば、分散体は、分散体の重量に対して20から85重量パーセントの水;または別法では、分散体の重量に対して30から75重量パーセントの水;または別法では、分散体の重量に対して40から75重量パーセントの水;または別法では、分散体の重量に対して40から65重量パーセントの水を含む。分散体の含水量は、好ましくは、固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和)が、分散体の重量に対して10から85重量パーセントの範囲であるように、制御されていてもよい。例えば、分散体は、分散体の重量に対して20から70重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して25から70重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して35から70重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して35から65重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して40から70重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して40から65重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して45から65重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和);または別法では、分散体の重量に対して50から70重量パーセントの固体含量(1種または複数種の第1のポリエステルと、第2のポリエステルを含む安定剤との和)を含む。
【0046】
液体媒体は、場合によって1種または複数種の適した溶媒を含んでいてもよい。例えば、1種または複数種の任意選択の溶媒には、限定するものではないが、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、アルコール、ケトン、グリコールエーテルエステル、ミネラルスピリット、芳香族溶媒および/またはエステル等が含まれ;場合によって1種または複数種の分散剤、例えば、アミノアルコールおよび/またはポリカルボン酸塩が含まれる。
【0047】
追加の成分
本発明の水性分散体は、場合によって1種または複数種のバインダー組成物、例えば、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、酢酸ビニルエチレンラテックス、エポキシ分散体、ポリウレタン分散体、アルキド分散体、ポリオレフィン分散体、およびこれらの組合せ;場合によって1種または複数種の充填剤;場合によって1種または複数種の添加剤、例えば、触媒、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫化汚染隠蔽剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤;場合によって、1種または複数種の潤滑剤、例えば、脂肪酸エステルワックス、ケイ素ベースのワックス、フッ素ベースのワックス、ポリエチレンまたは任意のその他類似のポリオレフィンワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス等;場合によって、1種または複数種の腐食抑制剤、例えば、アルミニウムおよび亜鉛;場合によって、1種または複数種の顔料、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、雲母、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよび粘土等;場合によって、1種または複数種の共溶媒、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、アルコール、ミネラルスピリット、芳香族溶媒およびベンゾアートエステル等;場合によって、1種または複数種の分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボン酸塩;場合によって1種または複数種の界面活性剤;場合によって、1種または複数種の保存剤、例えば、殺生物剤、防カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、およびこれらの組合せ;場合によって、1種または複数種の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースベースの増粘剤、疎水性に修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン(UCAR POLYPHOBE TR−116等のHASE増粘剤)および疎水性に修飾されたエトキシ化ウレタン増粘剤(HEUR);または、場合によって1種または複数種の追加の中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニアおよび炭酸塩;場合によって1種または複数種の溶媒またはコアレッシング剤とブレンドされ得る。
【0048】
さらに、水性分散体は、1種または複数種の分散体、エマルジョン、懸濁液、コロイド状懸濁液等とブレンドされ得る。例えば、本発明の水性分散体は、ポリウレタン分散体、アルキド分散体、エポキシ分散体、酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸エマルジョン、ポリオレフィン分散体、酢酸ビニルエチレンエマルジョン等とブレンドされ得る。本明細書に記載された追加の成分の添加は、分散体を作製する工程の一部として達成され得る、即ち、追加の成分は、水性分散体を製造する間に添加され;または別法では、追加の成分は、水性分散体の製造後に添加し得る、即ち、追加の成分は、分散体が製造された後で水性分散体中に添加される;あるいは別法では、これらの組合せ、即ち、追加の成分は、分散体を作製する工程の間に添加され得て、さらに、このような追加の成分は、分散体製造後にまた添加される。
【0049】
架橋剤
水性分散体は、場合によって、架橋を促進させるために、少なくとも、1種または複数種の架橋剤、およびまたは架橋速度を増加させるために1種または複数種の触媒をさらに含んでいてもよい。このような触媒は一般に知られており、適した触媒の選択は、通常、架橋剤の選択およびこのような架橋のための条件等のその他の要因により決まる。このような触媒には、限定するものではないが、架橋剤の種類(強酸、弱酸または金属を含有する化合物)に応じて、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、あるいは弱酸、例えば、アンモニウムもしくはホスホニウム塩またはスズ、ビスマス、ジルコニウムもしくはアルミニウムのキレート化合物が含まれる。例示的な触媒には、限定するものではないが、NACURE(商標)、K−Kure(商標)およびK−Kat(商標)(King Industriesから入手可能)、CYCAT(商標)(Cytec Industries製)、および/またはFASCAT(商標)(Arkema Inc.製)が含まれる。本発明の水性分散体は、分散体の固体含量の総重量に対して0.5から50重量パーセントの1種または複数種の架橋剤を含む。0.5から50重量パーセントのすべての個々の値および部分的な範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示されており;例えば、重量パーセントは、0.5、1、3、5、10.15または20重量パーセントの下限から、10、12、15、18、20、25、30、35、40、45または50重量パーセントの上限までであることができる。例えば、分散体は、分散体の固体含量の総重量に対して、1から18;または別法では1から15;または別法では1から12;または別法では1から10;または別法では1から20;または別法では1から30;または別法では1から40;または別法では1から45;または別法では1から50重量パーセントの1種または複数種の架橋剤を含んでいてもよい。選択された実施形態では、架橋剤は、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、限定するものではないが尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂を含めたアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ基を含有するポリエステルまたはアクリル樹脂等のエポキシ基を含有する樹脂、およびブロックまたは非ブロックイソシアナート樹脂、ならびに、これらの2種以上の組合せ(ただし、このような架橋剤の組合せは、相溶性であることを条件とする)であってもよい。
【0050】
架橋剤は、分散体配合物中に含まれている反応性官能基と反応する化合物であることができ、それによってこれらの架橋を促進する。このような官能基は、第1のポリエステル、および第2のポリエステルを含む安定剤の両方の中に存在することができる。
【0051】
例えば、反応性官能基には、限定するものではないが、遊離のまたは中和された形態のカルボン酸基等の酸基、または、アルコール基、アミノ基、エポキシ基等の別の成分による別の活性水素を有する任意の官能基が含まれる。
【0052】
架橋剤中の架橋性官能基は、第1のポリエステルまたは第2のポリエステルを含む安定剤の反応性官能基と反応することが可能な基である。例えば、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアナート基、エポキシ基、メチロール基、アルデヒド基、酸無水物基、ヒドロキシ基、アジリジニル基またはシラン基を架橋剤中で使用することができる。
【0053】
架橋性酸官能基の別の可能性は、前述の酸基と酸化亜鉛等の多価金属イオンを含有する物質との反応による多価金属イオンを使用することによる。
【0054】
カルボン酸はまた、強酸の触媒作用下、多官能基を含むオレフィン性不飽和物質と反応して架橋し得る。多官能基を含むカルボナートも、カルボン酸と反応して、二酸化炭素を遊離して、エステル結合を生じさせ得る。
【0055】
別法では、架橋は、ペルオキシドの添加、または放射線、例えば電子ビームによって開始される、フリーラジカル架橋によって実施されてもよい。
【0056】
架橋性官能基に関しては、架橋剤中に1種または複数種が存在してもよい。別法では、2種以上の架橋性官能基が単一分子中に存在してもよい。
【0057】
上述した架橋性官能基を有する架橋剤は、水に分散したまたは水分散性のまたは水溶性の物質であってもよい。一実施形態では、例示的な架橋剤には、限定するものではないが、水性モノマーまたはポリマー物質が含まれ、これらは、1分子当たり2個以上のオキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、イソシアナート基、メチロール基等、またはこれらのいくつかを含む。
【0058】
例示的なオキサゾリン架橋剤は、その分子中に2個以上オキサゾリン基を有する水性ポリマーであり、物質は、オキサゾリン基含有モノマー、および必要に応じてエチレン性不飽和モノマーを重合させることによって得ることができる。あるいは、オキサゾリン架橋剤は、ニトリル基とアミノエタノール基との間の反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水等によって得ることもできる。
【0059】
2個以上のカルボジイミド基を有する架橋剤は、ジイソシアナート化合物の脱炭酸反応に伴って起こる縮合反応によって、ジイソシアナート化合物から生成することができる。ジイソシアナート化合物の例には、限定するものではないが、1,5−ナフチレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ヘキサンメチレンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアナート等が含まれる。これらの化合物は混合物としても使用し得る。
【0060】
樹脂分子の鎖長を制御するために、単官能性イソシアナートを含めてもよく、例えば、フェニルイソシアナート、トリルイソシアナート、シクロヘキシルイソシアナート、ジメチルフェニルイソシアナート、ブチルイソシアナートおよびナフチルイソシアナートが有用である。
【0061】
ジイソシアナート物質は、ヒドロキシル基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基等を有する脂肪族化合物、脂環式化合物または芳香族化合物と部分的に反応されてもよい。
【0062】
ジイソシアナート化合物の脱炭酸に伴って起こる縮合反応において、カルボジイミド化触媒を使用することができる。そのような触媒として使用に適したものは、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、およびこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドである。
【0063】
カルボジイミド基含有ポリマーを水性ポリマーに変換するために、カルボジイミド基含有ポリマーの分子構造中に親水性部分が供給される。例えば、イソシアナート基との反応性を有する官能基を持つ親水性部分を供給することによって、カルボジイミド基を含有する水性ポリマーを得ることができる。親水性部分として使用に適したものは、ジアルキルアミノアルキルアミンの第四級アンモニウム塩(例えば、2−ジメチルアミノエタノールの第四級アンモニウム塩);ジアルキルアミノアルキルアミンの第四級塩(例えば、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン);少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基を有するアルキルスルホン酸塩(例えば、ナトリウムヒドロキシプロパンスルフォナート);ポリエチレンオキシドまたはその末端がアルコキシ基でキャッピングされているポリエチレンオキシドと、ポリプロピレンオキシド(例えば、末端位がメトキシ基またはエトキシ基でキャッピングされているポリエチレンオキシド)との混合物である。
【0064】
エポキシ基を含有する水性架橋剤として、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、フェノールエチレンオキシドグリシジルエーテル、およびラウリルアルコールエチレンオキシドグリシジルエーテル等が例示される。上記に加えて、例として挙げることができるものには、カルボキシ化合物(ポリオキシエチレンポリオール化合物と酸無水物化合物の間の反応によって得られる)をその分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と反応させることによって得られる水溶性エポキシ樹脂;および、水溶性エポキシ樹脂を、その分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と混合することによって得られる自己乳化型エポキシ樹脂組成物がある。このような樹脂は、例えば、XZ 92533.00、XZ 92598.00およびXZ 92446.00の商品名でDow Chemical Company,Midland,MIから得ることができる。無水物化合物の例には、特に限定するものではないが、好ましくは、無水フタル酸、トリメリト酸無水物およびピロメリト酸無水物等の芳香族無水物;および無水マレイン酸、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびメチルヘキサヒドロフタル酸無水物等の環式脂肪族無水物が含まれる。その分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂に関して制限はなく、2個以上のエポキシ官能基を有するすべての既知のエポキシ樹脂を使用することができる。例には、エピクロロヒドリンと、多価水酸基化合物、例えば、フェノールノボラック、およびクレゾールノボラックビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レソルシノール、ヒドロキノンまたはカテコール;アルキレンオキシドを添加したビスフェノールA;ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコールとから得られたポリグリシジルエーテル;ならびにアジピン酸、フタル酸、ダイマー酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよびポリグリシジルアミンがある。
【0065】
イソシアナート基を含有する水性架橋剤には、例えば、イソシアヌラート基含有ポリイソシアナート、ウレトジオン基含有ポリイソシアナート、ウレトジオン基/イソシアヌラート基含有ポリイソシアナート、ウレタン基含有ポリイソシアナート、アロファナート基含有ポリイソシアナート、ビウレット基含有ポリイソシアナート、カルボジイミド基含有ポリイソシアナート、およびウレトジオン基含有ポリイソシアナート(これらのそれぞれは、原材料として1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートおよび/またはイソホロンジイソシアナートを含む)からなる群から選択される少なくとも1つの要素を主として含むポリイソシアナート;ならびに、少なくとも1個の活性水素基(これは、イソシアナート基と反応することができる)を有する親水性界面活性剤、または少なくとも3個のポリエチレンオキシド単位を含むポリエチレンエーテルアルコールを、脂肪酸エステル(これは、原材料としての脂肪酸およびヒドロキシル含有化合物の炭素の数の和が8以上であり、イソシアナート基と反応することができる少なくとも1個の活性水素基を有する)と反応させることによって得られる自己乳化型ポリイソシアナートがある。上記に加えて、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートおよび/またはイソホロンジイソシアナートと活性水素基含有化合物との間の反応によって得られるウレタン基含有ポリイソシアナート、またはこれらのジイソシアナート化合物のアロファナート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化反応およびビウレット化反応によって得られるポリイソシアナートを挙げることができる。
【0066】
アルデヒドを含む適した架橋剤の例には、水に分散したまたは水分散性のまたは水溶性のフェノールホルムアルデヒド樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂またはこれらの組合せがある。
【0067】
フェノールホルムアルデヒド架橋剤には、限定するものではないが、アルデヒドとフェノールとの反応生成物が含まれる。好ましいアルデヒドイドには、限定するものではないが、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドがある。限定的するものではないが、フェノール、クレゾール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、シクロペンチルフェノール、クレゾール酸、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F等およびこれらの組合せ等の様々なフェノールを使用することができる。酸官能基を含むフェノールも、フェノールホルムアルデヒド樹脂を作製するのに使用し得る。架橋剤は、脱エーテル化されるまたはアルコールもしくはポリオールでエーテル化されることがある。これらのフェノールホルムアルデヒド樹脂は、水に可溶性または自己乳化性であってもよく、またはポリビニルアルコール等のコロイド安定剤の使用によって安定化することができる。
【0068】
アミノホルムアルデヒド架橋剤には、限定するものではないが、アルデヒドのアミノまたはアミド基含有分子との反応生成物が含まれる。例示的なアルデヒドには、限定するものではないが、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが含まれる。様々なアミノまたはアミド基含有分子、限定的するものではないが、例えば、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、グリコールウリル等を使用することができる。適したアミノ架橋樹脂には、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、アセトグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂が含まれる。アミノホルムアルデヒド樹脂のメチロール基は、メタノールおよび/またはn−ブタノール等の一価の脂肪族アルコールの群の少なくとも1つで、部分的または完全にエーテル化することもできる。これらのアミノホルムアルデヒド樹脂は、水に可溶性または自己乳化性であってもよく、またはアミノホルムアルデヒド分散体を安定化するために、ポリビニルアルコール等のコロイド安定剤の使用によって安定化してもよい。
【0069】
水溶性または水分散性であり、本目的に対して有用である市販のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂には、Cymel(商標)301、Cymel(商標)303、Cymel(商標)370、およびCymel(商標)373(すべてCytec Surface Specialties,Brussels,Belgiumの製品である)が含まれる。樹脂材料を形成するために、アミノ化合物と反応するのに使用されるその他のアルデヒドには、クロトン酸アルデヒド、アクロレイン、またはヘキサメチレン−テトラアミン、パラアルデヒド等のアルデヒドを生成する化合物がある。
【0070】
カルボン酸基に対する別の種類の架橋剤は、ビス(N,N’−ジヒドロキシエチル)アジプアミド等の水溶性ヒドロキシアルキルアミド架橋剤である。このような化合物は、商品名PRIMID(商標)架橋剤樹脂、例えば、PRIMID(商標)XL−522、PRIMID(商標)SF−4510およびPRIMID(商標)QM−1260として、EMS−PRIMID(Switzerland)から市販されている。
【0071】
1種または複数種の架橋剤を、水性分散体配合工程の一環として水性分散体に添加してもよく;または別法では、1種または複数種の架橋剤を、分散体配合工程後に水性分散体に添加してもよい。
【0072】
一実施形態では、コートされた容器に収納される食品または飲料の種類、および所要のコーティングの特性に応じて、いくつかの架橋剤を組み合わせることが有益となる可能性があり、または、ある架橋剤が他のものより適している可能性がある。一部の架橋剤は、すべての用途には適していないこともある。一部の架橋剤は、適切な硬化のために触媒の添加を必要とすることもある。
【0073】
架橋剤は、熱硬化性網状組織を形成するのに役立ち、これは、架橋剤を含有していない同じ配合物に比較してMEK往復摩擦試験のより高い値によって示される。
【0074】
分散体の形成
水性分散体は、当業者によって認知されているいくつかの方法によって形成されてもよい。分散装置は、バッチ式、セミバッチ式または連続式で操作することができる。ミキサーの例には、ローター/ステイター、マイクロフルイダイザー、高圧ホモジナイザー、超音波式、衝突噴流、Cowles(商標)ブレード、プラネタリーミキサー、および押出機等の溶融混練デバイスが含まれる。
【0075】
一実施形態では、分散体を形成するために、1種または複数種の第1のポリエステル、第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤を、水および場合によって1種または複数種の中和剤、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、アミン、もしくは2種以上の組合せと共に、押出機中で溶融混練する。別の実施形態では、1種または複数種の第1のポリエステル、第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤を混合し、次いで、水、および場合によって1種または複数種の中和剤の存在下、押出機中で溶融混練し、それによって分散体を形成する。いくつかの実施形態では、分散体を先ず、分散体の重量に対して1から20重量パーセント、例えば、1から5重量パーセントまたは1から3重量パーセントの水を含むように希釈し、引き続いて、15から90重量パーセントの水を含むようにさらに希釈する。一実施形態では、さらなる希釈は、溶媒によって実施してもよい。一実施形態では、分散体は溶媒をまったく含まない。
【0076】
当技術分野で公知の任意の溶融混練手段を使用してもよい。いくつかの実施形態では、ニーダ、BANBURY(登録商標)ミキサー、単軸スクリュー押出機、または多軸スクリュー押出機、例えば二軸スクリュー押出機、ローター/ステイターと連結したメルトポンプが使用される。本発明の分散体を製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、押出機、ある特定の実施形態では、例えば、二軸スクリュー押出機は、背圧制御器、メルトポンプまたはギヤポンプと結合される。例示的な実施形態は、塩基貯蔵器および初期水貯蔵器も備えており、そのそれぞれにポンプが含まれる。所望の量の塩基および初期水が、それぞれ塩基貯蔵器および初期水貯蔵器から供給される。任意の適したポンプを使用してもよいが、いくつかの実施形態では、押出機に塩基および初期水を供給するのに、例えば、240バールの圧力で約150cc/分のフローを提供するポンプが使用される。他の実施形態では、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分のフローを提供する。いくつかの実施形態では、塩基および初期水は、予熱器中で予熱される。
【0077】
例えば、ペレット、粉末または薄片の形態の1種または複数種の第1のポリエステルは、フィーダーから押出機の注入口に供給され、ここで樹脂は溶融され、または混合される。1種または複数種の追加の成分を、場合によって1種または複数種の第1のポリエステルと同時に、フィーダーによって押出機中に供給してもよく;または別法では、1種または複数種の追加の成分を、1種または複数種の第1のポリエステル中に混合し、次いでフィーダーによって押出機中に供給してもよい。別法では、さらなる1種または複数種の追加の成分を、場合によって、乳化ゾーンの先の注入口を経由して1種または複数種の第1のポリエステルを含む溶融された混合物中にさらに計量供給してもよい。いくつかの実施形態では、第2のポリエステルを含む安定剤は、第1のポリエステルを通して第1のポリエステルと共に、1種または複数種の第1のポリエステルに添加され、ならびに他の実施形態では、第2のポリエステルを含む安定剤を、別に二軸スクリュー押出機に供給する。次いで、樹脂溶融物を、混合および搬送ゾーンから押出機の乳化ゾーンへ供給し、ここで、初期の量の水および塩基が、水および塩基貯蔵器から注入口を通して添加される。いくつかの実施形態では、第2のポリエステルを含む安定剤を、水ストリームに追加的にまたは排他的に添加してもよい。いくつかの実施形態では、さらなる希釈水を、水貯蔵器から水注入口を経由して押出機の希釈および冷却ゾーンに添加してもよい。通常、分散体は、冷却ゾーン中で少なくとも水30重量パーセントまで希釈される。さらに、希釈された混合物は、所望の希釈レベルが得られるまで何度も希釈してもよい。いくつかの実施形態では、分散体は、押出機から排出した後、適切な熱交換器の使用によってさらに冷却される。他の実施形態では、水を二軸スクリュー押出機中には添加せず、むしろ、溶融物が押出機から排出された後、樹脂溶融物を含むストリームに添加する。このようにして、押出機中の水蒸気圧の上昇をなくし、分散体は、ローター/ステイター型ミキサー等の補助の混合デバイス中で形成される。
【0078】
別の実施形態では、水性分散体は、溶融混練押出機を使用せずに、連続式高せん断ミキサー中で形成することができる。この実施形態では、1種または複数種の液体のまたは溶融された第1のポリエステルを含む第1のストリームは、適切な液体用ポンプ、例えば、シリンジポンプ、ギヤポンプまたは一軸ネジポンプ(progressive cavity pump)から、連続式高せん断ミキサーに供給される。第1のストリームは第1の導管を通して流され、第2の導管を通して流される、連続的な水相を含む第2のストリームと連続的に合流される。第1および第2のストリームは、任意選択の中和剤と共に、第2のポリエステルを含む安定剤の存在下で、分散機中で合流される。作用剤は、第1または第2のストリームあるいは別個のストリームのいずれかに添加することができる。水を含む第3のストリームを、分散機から下流に添加することがある。ストリームの流量は、所望の量のポリマー相および固体パーセントを有する分散体を得るように調整される。分散機は、多くの連続式インラインミキサー、例えば、IKA高せん断ミキサー、Oakesローター/ステイター型ミキサー、Rossミキサー、Silversonミキサーまたは遠心ポンプの任意の1つであることができる。分散機のrpm設定値は、分散体中の分散された疎水相の粒径を制御するのを補助するために使用することができる。系は、ポンプ給送に適した粘度でポリマーおよび中和剤成分を提供するために加熱することができる。水蒸気の生成は、工程の出口近傍で背圧制御器、ギヤポンプ、計量供給ポンプ、またはその他の適したデバイスの使用によって、圧力を制御することによって低減される。いくつかの実施形態では、分散体は、分散機から排出した後、適切な熱交換器の使用によってさらに冷却される。
【0079】
別の実施形態では、水性分散体は、バッチ式またはセミバッチ式高せん断ミキサー(この場合、ミキサーを、例えば水蒸気の生成を低減するために、例えば加圧タンク内に配置してもよい)中で形成することができる。分散体のすべてまたは少なくとも一部をプロセシングの間にタンクから取り出し、場合によって適切な熱交換器の使用によって冷却する。
【0080】
水性分散体の調製の間に、場合によって1種または複数種の充填剤;場合によって、触媒、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫化汚染隠蔽剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤等の1種または複数種の添加剤;場合によって、脂肪酸エステルワックス、ケイ素ベースのワックス、フッ素ベースのワックス、ポリエチレンまたは任意のその他の類似のポリオレフィンワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス等の1種または複数種の潤滑剤;場合によって、アルミニウムおよび亜鉛等の1種または複数種の腐食抑制剤;場合によって、1種または複数種の顔料、例えば、二酸化チタン、雲母、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよび粘土等;場合によって1種または複数種の染料;場合によって1種または複数種の共溶媒、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、アルコール、ミネラルスピリットおよびベンゾアートエステル等;場合によって1種または複数種の分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボン酸塩;場合によって1種または複数種の界面活性剤;場合によって1種または複数種の消泡剤;場合によって1種または複数種の保存剤、例えば、殺生物剤、防カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、およびこれらの組合せ;場合によって1種または複数種の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースベースの増粘剤、疎水性に修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン(UCAR POLYPHOBE TR−116等のHASE増粘剤)および疎水性に修飾されたエトキシ化ウレタン増粘剤(HEUR);または場合によって、1種または複数種の追加の中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニアおよび炭酸塩を水性分散体配合物に添加してもよく;または別法では、分散体配合工程の後、分散体に添加してもよい。
【0081】
水性分散体の調製の間に、1種または複数種の架橋剤を水性分散体配合物に添加してもよく;または別法では、分散体配合工程の後、分散体に添加してもよい。
【0082】
場合によって、1種または複数種の第1のポリエステルの分散の間に、分散体の水相の一部として、別のポリマー分散体またはエマルジョンを使用してもよい。例には、限定するものではないが、アクリル酸、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、アルキド等を含有する分散体、エマルジョン、懸濁液、コロイド状懸濁液が含まれる。
【0083】
一実施形態では、本発明の水性分散体を製造する方法は、(1)15未満、例えば10未満、または別法では5未満の範囲の酸価を有する1種または複数種の第1のポリエステルを選択するステップと;(2)15以上、例えば20を超える酸価を有する少なくとも1種の第2のポリエステルを含む、1種または複数種の安定剤を選択するステップと;(3)1種または複数種の中和剤を選択するステップと;(4)水および1種または複数種の中和剤の存在下、1種または複数種の第1のポリエステル、1種または複数種の安定剤を溶融ブレンドするステップと;(4)それによって、分散体の総重量に対して10から74パーセントの固体含量を有する水性分散体を製造するステップとを含む。
【0084】
コーティングの塗布、およびコートされた容器または密閉デバイスの成形
水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物を、限定するものではないが、金属、木材、紙、プラスチック、皮革、ガラス、コンクリート等を含めた任意の適した基体上に使用してもよい。一実施形態では、水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティングは、例えば、容器、例えば缶のコーティング用途または密閉デバイスのコーティング用途に使用することができる。こうしたコートされた容器デバイスには、限定するものではないが、飲料缶、食品缶等の缶;非食品用のもの、例えば、毛髪スプレー、毛髪染料または着色スプレーラッカー等のエアロゾル剤容器;ドラム;ケグ;ペール;装飾スズ類;ふたなしトレイ;チューブ、びん、モノブロック等が含まれる。密閉デバイス等のコートされた物品には、限定するものではないが、キャップ、ヨーグルトおよびバター容器用の薄いアルミニウムフォイルベースの蓋等の蓋、または王冠コルク;ロールオン式クロージャ等のガラスジャーおよびびん用のクロージャ、真空クロージャ、ピルファープルーフクロージャ、カンのクロージャ用のイージーピールリッド、および缶用の易開封端面または従来の端面が含まれる。缶は、2ピース缶または3ピース缶であってもよい。飲料缶には、限定するものではないが、ビール缶、炭酸清涼飲料缶、エネルギー飲料缶、アイソトニック飲料缶、ウォーター缶、ジュース缶、茶缶、コーヒー缶、ミルク缶等が含まれる。食品缶には、限定するものではないが、野菜缶、果実缶、食肉缶、スープ缶、レディミール缶、魚缶、食用油缶、ソース缶等が含まれる。このような缶は、任意の形状を有していてもよい;例えば、このような缶は、円筒形、立方体、球状、半球状、びんの形状、細長い立方体の形状、浅いもしくは背の高い形状、円形もしくは直方体の形状、または任意のその他の適した形状を有していてもよい。容器デバイス等の本発明のコートされた物品は、任意の従来の方法によって成形され得る。例えば、コートされた容器デバイスは、スタンピング、引き抜き加工、再絞り加工、壁しごき加工、曲げ加工、ビーディング、エンボシング、デボシング、フランジング、ネッキング、ストレッチング、ブローストレッチング、および任意のその他の適した従来の方法によって成形されてもよい。このような方法は、一般に当業者には知られている。水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、例えば、金属シートまたは金属箔等の基体に塗布してもよく、次いで、コートされた基体は、コートされた容器デバイスまたはコートされた密閉デバイスに成形されてもよい。別法では、基体を容器デバイスまたは密閉デバイスに成形してもよく、次いで、容器デバイスまたは密閉デバイスを、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物でコートして、コートされた容器デバイスまたはコートされた密閉デバイスを形成する。コーティングは、任意の方法によって、例えば、ローラーコーティング、スプレーコーティング、粉体塗装、ディップコーティング、電着コーティング、印刷、ウォッシュコーティング、流し塗り、カーテンコーティングによって塗布してもよい。
【0085】
基体は、限定するものではないが、アルミニウムおよびアルミニウム合金、電解スズめっき冷間圧延低炭素軟鋼(「ETP」)、電解クロム/酸化クロムめっき冷間圧延低炭素軟鋼(ECCS)、および任意のその他の予備処理鋼を含めた1種または複数種の金属、あるいは1種または複数種のポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン等の1種または複数種のポリマーを含む。前処理は、限定するものではないが、リン酸、リン酸ジルコニウム、リン酸クロム等による処理、ならびに主たる腐食保護および接着性改良等の理由でシランによる処理を含んでもよい。基体は、シート、ストリップまたはコイルを含んでもよい。基体は、1種または複数種の層を含んでもよく、各層は、0.01μmから2mm;例えば、0.01μmから1.5mm;または別法では、0.01μmから1mm;または別法では、0.01μmから0.5mm;または別法では、0.01μmから0.2mm;または別法では、0.01μmから0.1mmまたは別法では、0.01μmから100μm;または別法では、0.01μmから50μm;または別法では、1μmから50μm;または別法では、1μmから15μmの範囲の厚さを有してもよい。基体を1種または複数種の予備コーティング組成物で予備コートしてもよい。このような予備コーティング組成物は、場合によって、限定するものではないが、1種または複数種の樹脂結合剤、1種または複数種の樹脂架橋剤、1種または複数種の溶媒、1種または複数種の添加剤、および1種または複数種の顔料をさらに含んでいてもよい。例示的な樹脂結合剤には、限定するものではないが、エポキシ、ポリエステル、ポリ塩化ビニル含有オルガノゾル/ビニル、フェノール性、アルキド、オレオ樹脂、アクリル酸樹脂等が含まれる。例示的な架橋剤には、限定するものではないが、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂;限定するものではないが、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドを含めたアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;無水物樹脂、ブロックイソシアナート樹脂、および限定するものではないが、エポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリエステルを含めたエポキシ基含有樹脂、アクリル酸樹脂、ビニル樹脂等が含まれる。例示的な溶媒およびシンナーには、限定するものではないが、グリコールエーテル、アルコール、芳香族化合物、例えば、芳香族炭化水素、ホワイトスピリット、分岐ケトンおよびエステルが含まれる。例示的な添加剤には、限定するものではないが、触媒、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫化汚染隠蔽添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤が含まれる。顔料には、限定するものではないが、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、亜鉛およびアルミニウムが含まれる。基体はまた、1種または複数種の予備コートラミネート用組成物で予備コートされ得る。このような組成物には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステル組成物が含まれ、フィルムラミネーション工程または溶融押出コーティング工程のいずれかによって、金属表面上にフィルムとして塗布されてもよい。
【0086】
基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、任意の従来の乾燥方法によって乾燥してもよい。このような従来の乾燥方法には、限定するものではないが、風乾、対流オーブン乾燥、熱風乾燥、および/または赤外線オーブン乾燥が含まれる。乾燥工程の間に、1種または複数種の架橋剤が関与する1種または複数種の基剤ポリマー、安定剤、またはこれらの組合せの架橋が生じてもよい。追加の硬化が放射線照射硬化、例えば電子ビーム硬化によって生じてもよい。基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、任意の温度で乾燥してもよく、例えば、第1のポリエステルの融点温度以上の範囲の温度で乾燥してもよく、または別法では、第2のポリエステルを含む安定剤の融点未満の範囲の温度で乾燥してもよい。基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、約60°F(15.5℃)から約700°F(371℃)の間の範囲の温度で約40分未満、例えば、20分未満、または10分未満、または5分未満、または2分未満、または1分未満、または20秒未満の間乾燥してもよい。約60°F(15.5℃)から約700°F(371℃)までのすべての個々の値および部分的な範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示されており、例えば、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、約60°F(15.5℃)から約500°F(260℃)の範囲の温度で約40分未満、例えば、20分未満、または10分未満、または5分未満、または2分未満、または1分未満の間乾燥してもよく、または別法では、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、約60°F(15.5℃)から約450°F(232.2℃)の範囲の温度で約40分未満、例えば、20分未満、または10分未満、または5分未満、または2分未満、または1分未満の間乾燥してもよい。基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物の温度は、基剤ポリマーの融点温度以上の範囲の温度に約40分未満の間上昇させてもよい。約40分未満のすべての個々の値および部分的な範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示されており、例えば、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度以上の範囲の温度に、約20分未満の間上昇させてもよく、または別法では、塗布される1種または複数種の水性分散体および/またはそれから基体の少なくとも1つの表面に誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度以上の範囲の温度に約5分未満の間上昇させてもよく、または別の代替では、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度以上の範囲の温度に約0.5から300秒の範囲の間上昇させてもよい。別の代替では、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度未満の範囲の温度に40分未満の間上昇させてもよい。約40分未満のすべての個々の値および部分的な範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示されており、例えば、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度未満の範囲の温度に約20分未満の間上昇させてもよく、または別法では、基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度未満の範囲の温度に約5分未満の間上昇させてもよく、または別の代替では、塗布される1種または複数種の水性分散体および/またはそれから基体の少なくとも1つの表面に誘導されたコーティング組成物の温度は、第1のポリエステルの融点温度未満の範囲の温度に約0.5から300秒の範囲の間上昇させてもよい。
【0087】
コートされた基体は、1種または複数種の従来のコーティング組成物でさらにコートされてもよく、または1種または複数種のその他の層にさらに積層されてもよい。このような従来のコーティング組成物は、一般に当業者には知られており、これらには、限定するものではないが、エポキシ樹脂コーティング組成物、アクリラートベースのコーティング組成物、およびポリエステルベースのコーティング組成物が含まれ得る。ラミネーション工程は、一般に知られており、例示的なラミネーション層は、限定するものではないが、ポリエステル積層物、ポリプロピレン積層物等のポリオレフィンベースの積層物を含んでいてもよい。
【0088】
基体、例えば予備コートされた基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、1種または複数種の架橋されたコーティング層として、レトルト処理の前に、ASTM−D 3359−08に従って測定された少なくとも3B;例えば、4Bまたは5Bの評点のクロスカット付着性を有してもよい。基体の少なくとも1つの表面に塗布された、1種または複数種の水性分散体および/またはそれから誘導されたコーティング組成物は、1種または複数種の架橋コーティング層として、Gardner「COVERALL」Bend Tester IG1125によって測定された、少なくとも50パーセント、例えば、少なくとも70パーセント、または別法では、少なくとも80パーセント、または別法では、少なくとも90パーセントの評点のウエッジ折曲げ合格の評点を有してもよい。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例は、金属基体の少なくとも1つの表面に塗布された1種または複数種の水性分散体が、改良されたコーティング層の金属基体への付着性のみならずコーティング層の可とう性も実現することを例示する。
【0090】
配合物成分の説明
Dynapol L952は、約70℃のT、18000g/モルの分子量、2mgKOH/gの酸価、および6mgKOH/gの水酸基価を有する、Evonik Industriesから入手可能な飽和直鎖状芳香族ポリエステルである。
【0091】
Dynapol L912は、約105℃のT、3mgKOH/g未満の酸価、約5mg/gKOH/gのOH価、および15000g/モルの分子量を有する、Evonik Industriesから入手可能な飽和直鎖状芳香族ポリエステルである。
【0092】
Dynapol LS615は、約−50℃のT、4000g/モルの分子量、2mgKOH/g未満の酸価、および26mgKOH/gの水酸基価を有する、Evonik Industriesから入手可能な脂肪族ポリエステルである。
【0093】
Crylcoat 1510は、約58℃のT、200Cで8500ポイズの溶融粘度、71mgKOH/gの酸価、および2mgKOH/g未満の水酸基価を有する、Cytecから入手可能な芳香族ポリエステルである。
【0094】
Finetone T382ESは、21mgKOH/gの酸価、約56℃のTを有する、Reichholdから入手可能なビスフェノール−Aフマラート(芳香族、直鎖状)ポリエステルである。
【0095】
Tego Addbond 1270は、60mgKOH/gの酸価および10mgKOH/gの水酸基価を有する、Evonik Tego Chemie GmbHから入手可能なポリエステルである。
【0096】
Primacor 5980i(CAS NO.9010−77−9)は、約19.5から21.5重量パーセントの範囲のアクリル酸含量および約300g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃/2.16Kg)を有する、Dow Chemical Companyから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
【0097】
CYMEL 303架橋剤は、98%を超える非揮発性の液体の形態で供給される商業用等級のヘキサメトキシメチルメラミンである。これは、2600〜5000センチポイスの粘度を有する、CYTECから入手可能な透明粘性液体である。
【0098】
NACURE 5925は、アミンで中和されたDDBSA触媒であり、ポリエステルおよび架橋剤の間の架橋を触媒する熱開始触媒として使用する。これは、活性物質25%として供給される、透明な淡こはく色液体である。King industriesから利用可能な推奨される使用レベルは、総樹脂固体に対して供給されて0.5から2.0%である。
【0099】
本発明の水性分散体A、B、およびC、ならびに比較分散体Fの調製
本発明の水性分散体実施例A、BおよびCならびに分散体比較例Fを、表1および2に列挙された配合物成分に基づいて以下の手順により調製した。第1のポリエステルおよび安定剤を、別個の制御された流量のフィーダーによって直径25mmの二軸スクリュー押出機に供給した。押出機中で、第1のポリエステルおよび安定剤を溶融し、混合し、移送した。押出機の温度プロファイルを、初期水および中和剤の添加に先立って、最初は150℃に設定した。初期水および中和剤の添加後、温度をバレルにわたって120℃まで低下させた。これらの実施例では、中和剤としてDMEA、2−ジメチルアミノエタノール(100%)(CAS NO.108−01−0)を使用した。押出機速度は約450rpmであった。アミン塩基と初期水を混合し、初期水の添加地点で押出機に供給した。希釈水を第2のポンプによって供給し、押出機の希釈ゾーンに導入した。初期水および希釈水ストリームは、場合によって押出機温度まで予備加熱した。押出機の排出口で、動作温度における水蒸気の生成を防止するために、押出機バレル内部を適した圧力に調整するのに背圧制御器を使用した。得られた分散体を冷却し、200ミクロンフィルターを通してろ過した。本発明の水性分散体実施例A、BおよびCならびに分散体比較例Fをそれらの特性に関して試験し、結果を表3に報告する。
【0100】
本発明の水性分散体実施例Dの調製
本発明の水性分散体実施例Dを、表1および2に列挙された配合物成分に基づき以下の手順により調製した。第1のポリエステルおよび安定剤を、別個の制御された流量のフィーダーによって直径25mmの二軸スクリュー押出機に供給した。Tego Addbond 1270を脱揮して、その市販されている形態からsec−ブタノール溶媒を除去し、100%活性な塊に極低温で粉砕し、これを制御された流量のフィーダーで押出機中に供給した。押出機中で、第1のポリエステルおよび安定剤を溶融し、混合し、移送した。押出機の温度プロファイルを、初期水および中和剤の添加に先立って、最初は150℃に設定した。初期水および中和剤の添加後、温度をバレルにわたって120℃まで低下させた。この実施例では、中和剤としてDMEA、2−ジメチルアミノエタノール(100%)(CAS NO.108−01−0)を使用した。押出機速度は約450rpmであった。アミン塩基と初期水を混合し、初期水の添加地点で押出機に供給した。希釈水を第2のポンプによって供給し、押出機の希釈ゾーンに導入した。初期水および希釈水ストリームは、場合によって押出機温度まで予備加熱した。押出機の排出口で、動作温度における水蒸気の生成を防止するために、押出機バレル内部を適した圧力に調整するのに背圧制御器を使用した。得られた分散体を冷却し、200ミクロンフィルターを通してろ過した。本発明の水性分散体実施例Dをその特性に関して試験し、結果を表3に報告する。
【0101】
分散体比較例Eの調製
分散体比較例Eを、表1および2に列挙された配合物成分に基づいて以下の手順により調製した。液体の第1のポリエステルと溶融した安定剤を組み合わせ、制御された流量のフィーダーによって直径4インチのローター/ステイター型ミキサー(E.T.Oakes Corporation製)に供給した。ミキサー中で、第1のポリエステルおよび安定剤を初期水および中和剤と組み合わせた。この実施例では、中和剤としてDMEA、2−ジメチルアミノエタノール(100%)(CAS NO.108−01−0)を使用した。第1のポリエステル/安定剤の供給原料およびOakesミキサー共に、温度を150℃の設定値に制御した。初期水および中和剤の添加後、プロセスラインを100℃の設定値に温度制御した。ミキサー速度をこの実施例では750rpmに設定した。希釈水を第2のポンプによって供給し、第2のOakesミキサー中の工程に導入した。初期水および希釈水ストリームを、場合によって、工程への供給地点においてライン温度まで予備加熱した。工程排出口において、動作温度における水蒸気の生成を防止するために、工程内部を適した圧力に調整するのに背圧制御器を使用した。得られた分散体を冷却し、200ミクロンフィルターを通してろ過した。水性分散体比較例Eをその特性に関して試験し、結果を表3に報告する。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
5ミクロン未満の粒径を有する安定な分散体を調製するためのその相溶性および適合性を評価するために、第1および第2のポリエステルの溶融ブレンドを、下記に説明するように調製した。
【0106】
第1および第2のポリエステルの溶融ブレンド実施例H、IおよびJ、ならびに比較例Lの調製
本発明の溶融ブレンド実施例H、IおよびJ、ならびにブレンド比較例Lを、表4に列挙された配合物成分に基づいて以下の手順により調製した。第1のポリエステルおよび安定剤を、別個の制御された流量のフィーダーによって直径25mmの二軸スクリュー押出機に供給した。押出機中で、第1のポリエステルおよび安定剤を溶融し、混合し、移送した。押出機の温度プロファイルを150℃に設定した。本発明の溶融ブレンド実施例H、IおよびJ、ならびに溶融ブレンド比較例Lを、押出機排出口で回収し、これらの特性に関して試験した。結果を表4に報告する。
【0107】
ポリエステルの溶融ブレンド比較例Kの調製
分散体比較例Kを以下の手順により調製した。Crylcoat 1510安定剤を、10g/分の流量に制御された流量フィーダーによって直径25mmの二軸スクリュー押出機に供給した。第1のポリエステル、Dynapol LS615を液体として、30g/分の流量で押出機の溶融ゾーンに供給し、ここで、これを安定剤と混合し、移送した。押出機温度プロファイルを最初は130℃に設定し、すべてのフローを初期化した後、80Cに下げた。溶融ブレンド比較例Kを押出機排出口で回収し、その特性に関して試験した。結果を表4に報告する。
【0108】
表4に示すように、本発明のブレンドH、IおよびJは、半透明/こはく色の溶融ブレンドとなり、一方、比較例KおよびLは、不透明、曇ったまたは濁った白色ブレンドとなり、第1および第2のポリエステルの間の不十分な相溶性を示していた。本発明のブレンドH、IおよびJから分散体を引き続いて生成した場合、小粒径を有する優れた安定な分散体がもたらされ、一方、比較例ブレンドLからは、安定な分散体はもたらされず、比較例ブレンドKは、大粒径を有する極めて劣る分散体を生じさせた。
【0109】
【表4】
【0110】
本発明のコーティング組成物1〜10の調製
タンブラーを用い2オンスのガラス広口ビン中で、本発明の水性分散体実施例A、B、CおよびDを、Cymel(商標)303LF(ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂(Cytec Industries)、架橋剤として)、Nacure 5925(アミンで中和したドデシルベンゼンスルホン酸(King Industries)、触媒として)、および固体を減少させるための追加の水と、室温で(約25℃)一晩(18〜24時間)混合して、本発明のコーティング組成物1〜10を得た。本発明のコーティング組成物1〜10のコーティング配合を表5に列挙する。
【0111】
【表5】
【0112】
比較コーティング組成物11および12の調製
トルエンとPMアセタート(1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)との1:1(重量)ブレンド中に、Dynapol L952を70℃で溶解して、固体40重量%の溶液を生成させた。この手順を、ロッド撹拌機による一定の撹拌およびマントルの加熱下、還流凝縮器を装備した5リットル丸底フラスコ中で実施して、約3500gの溶液が生じた。室温(約25℃)まで冷却後、次いで、この溶液を、タンブラーを用い2オンスのガラス広口ビン中で、Cymel(商標)303LF(ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂(Cytec Industries)、架橋剤として)、Nacure 5925(アミンで中和したドデシルベンゼンスルホン酸(King Industries)、触媒として)、および固体を減少させるためのPMアセタートと、室温で(約25℃)一晩(18〜24時間)混合して、比較コーティング組成物11を得た。タンブラーを用い2オンスのガラス広口ビン中で、Dynapol L952溶媒ベースの溶液を、Cymel(商標)303LF、Crylcoat 1510−0、DMEA(アミン中和用)、Nacure 5925、および固体を減少させるためのPMアセタートと、室温で(約25℃)一晩(18〜24時間)混合して、比較コーティング組成物12を得た。比較コーティング組成物11および12のコーティング配合を表6に列挙する。
【0113】
【表6】
【0114】
コーティングの塗布
約10cmから20cmのサイズを有するスズめっきパネル(Rasselsteinから提供され、等級TS−245の標準的仕上げを有する)をアセトンで洗浄し、次いで乾燥させた。約3グラムの様々なコーティング組成物を、35ミクロン(1.4ミル#14)巻線型ドローダウンバーによってスズめっきパネルに個別に塗布し、それによってスズめっきパネルの1つの表面をコートした。引き続いて、パネルを対流オーブン中に収納し、200℃で10分間硬化させた。コートしたスズめっきパネルを、ウエッジ折曲げ、滅菌前のクロスカット付着性、ならびに滅菌後のクロスカット付着性およびブラッシュに関して下記に説明する手順により試験をした。アセトンで洗浄し、乾燥させたアルミニウムパネル(All Foils製.009×4インチ×12インチの寸法の清浄な缶原料アルミニウム)をコーティング厚さおよびMEK DR(メチルエチルケトン往復摩擦)評価に使用した。結果を表7および8に報告する。
【0115】
【表7】
【0116】
【表8】
【0117】
試験方法
試験方法は、以下のものを含む:
【0118】
粒径測定
平均粒径をCoulter LS−230粒径分析器(Beckman Coulter Corporation)で測定した。
【0119】
レトルト処理前のクロスカット付着性
クロスカット付着性を、ASTM−D 3359−02に従い、付着性をテープ試験、方法Bで測定して、ErichsenクロスカットテスタEPT 675Rを用いて測定する。この方法は、フィルム中に作られたカット上にテープ(等級:TESA 4124透明)を貼付し、除去することによって、金属基体へのコーティングフィルムの付着性を評価する手順を提供する。テープ小片の中心を格子を覆って配置し、格子の領域において指で所定の位置に平らに伸ばす。フィルムとの良好な接触を確実にするために、テープを強くこする。貼付して90±30秒以内に、自由端をつかみ、できるだけ180度に近い角度ですばやく(ぐいと引かないように)引き剥がすことによってテープを除去する。基体からまたは先行するコーティングからのコーティングの離脱に対する格子の面積を、照明拡大鏡を用いて検査する。付着性を以下の等級付けにより評価する。
【0120】
【表9】
【0121】
レトルト処理後のクロスカット付着性
水レトルト処理への曝露の前の、乾燥パネル上のクロスカット付着性試験に加えて、オートクレーブから取り出されてから1時間以内にクロスカット付着性試験を実施し、クロスカット付着性の項に記載されたように付着性について評価する。付着性を以下の等級付けにより評価する。
【0122】
【表10】
【0123】
レトルト処理耐性(水)
コートされたパネルを、二次容器トレイに収納された個々の加圧可能なガラスビーカー中で水中に浸漬し、Tuttnauer直径10インチ×深さ18インチのChamber Autoclaveモデル1 Z−TUT−EZ−10中に入れ、そこで、パネルを129℃で30分間レトルト処理した。パネルを取り出し、乾燥した。次いで、コーティングの外観を、以下に示すようにブラッシュ(コーティングの白っぽい外観)によって決定した、1〜5(5−最良、1−最悪)の尺度で評価した。
【0124】
【表11】
【0125】
レトルト処理耐性(乳酸)
コートされたパネルを、二次容器トレイに収納された個々の加圧可能なガラスビーカー中で2%乳酸中に浸漬し、Tuttnauer直径10インチ×深さ18インチのChamber Autoclaveモデル1 Z−TUT−EZ−10中に入れ、そこで、パネルを121℃で30分間レトルト処理した。パネルを取り出し、乾燥した。次いで、コーティングの外観を、以下に示すようにブラッシュ(コーティングの白っぽい外観)によって決定した、1〜5(5−最良、1−最悪)の尺度で評価した。
【0126】
【表12】
【0127】
MEK往復摩擦
コーティングに約1000〜2000gの力をかけることによるMEK往復摩擦試験を実施するために、1.5ポンドボールピーンハンマーの丸い端を使用した。4インチ×4インチ平方のチーズクロスをハンマーの端に縛り付け、メチルエチルケトン(MEK)に浸漬する。ハンマーをコーティングと接触させ、約6インチ×1インチの寸法の区画上を往復移動させ、この場合、全体のコーティング上の1回の往復運動が1往復摩擦とみなされる。1秒当たり約1往復摩擦の速度で往復摩擦を実施した。ハンマーにはさらなる圧力はかけなかった。毎25往復摩擦後に、織物を再浸漬した。コーティングが、擦れて取れる、即ち、少なくとも金属基体の一部が曝露される(試験領域の端の1/2インチの区画を除いて)まで、往復摩擦ステップを反復した。往復摩擦ステップが150往復摩擦に達した場合は、試験を終了し、最終結果として150+往復摩擦が報告された。
【0128】
ウエッジ折曲げ
ウエッジ折曲げをGardner「COVERALL」Bend Tester IG 1125によって測定した。この試験に使用した装置は、これを折曲げ機に変えるための2つの部品から構成されている。鋼鉄製のロッド(マンドレル)を基部の前方に取り付ける。幅100mmのコートされた試験パネルを、3mmのロッドマンドレルの周りに折り曲げた。そこで、コーティングが折曲げの外面に現れてくる。折り曲げられたパネルをウエッジマンドレルに挿入した。衝撃体、即ち金属おもりを高さ40センチメートルまで上昇させ、次いで落下させた。衝撃体を最初のはね返りの際回収し、固定する。パネルにおける円筒形の折り目(cylindrical fold)を円錐形に押しつぶした。コートされたパネルのエッジを硫酸銅の溶液(10グラムの硫酸銅、90グラムの水および3グラムの硫酸の混合物)で擦った。少しでもコーティングに亀裂が入っていると、暗色のスポットが現れて、損傷を示す。ウエッジ折曲げの長さ(これは100mmである)に沿って、非損傷領域の長さをミリメートル単位で測定し、okパーセント(percent ok)として表した。
【0129】
コーティング厚さ
コーティング厚さをASTM−D 1186−93(非鉄基体に塗布された非磁性コーティングの乾燥フィルム厚さの非破壊測定)に従って、Byko−Test 8500コーティング厚さゲージを用いて測定した。何もコートしなかった基準のアルミニウムパネルを較正用に使用した。コートされたパネルのコーティング厚さは、10個の測定値の範囲として報告され、この場合、コートされたパネルのコーティング厚さの各測定を、非鉄材料用プローブを用いて基準パネルのコーティング厚さ、即ちゼロと比較して測定した。測定した厚さをミル単位で報告した。
【0130】
本発明は、その趣旨および本質的な属性から逸脱することなく他の形態で具体化されて
もよく、したがって、本発明の範囲を表すものとして、前述の明細書ではなく、添付の特
許請求の範囲を参照すべきである。
[1]
(a)分散体の総固体含量に対して50から99重量パーセントの1種または複数種の第1のポリエステル(ここで、1種または複数種の第1のポリエステルは、1種または複数種の第1のポリエステルの総固体含量に対して15未満の範囲の酸価を有する);
(b)分散体の総固体含量に対して1から50重量パーセントの、少なくとも1種の第2のポリエステルを含む1種または複数種の安定剤(ここで、第2のポリエステルは、カルボン酸基を有し、第2のポリエステルの固体含量に対して15以上の酸価を有する);
(c)1種または複数種の中和剤;および
(d)分散体の総重量に対して15から90重量パーセントの水
の溶融ブレンド生成物を含む水性分散体であって、
前記分散体が、分散体の総重量に対して10から85パーセントの固体含量を有し、分散体の体積平均粒径が5ミクロン未満である、水性分散体。
[2]
1種または複数種の第1のポリエステルの総固体含量に対して15未満の範囲の酸価を有する1種または複数種の第1のポリエステルを選択するステップと;
第2のポリエステルの固体含量に対して15以上の酸価を有する少なくとも1種の第2のポリエステルを含む、1種または複数種の安定剤を選択するステップと;
1種または複数種の中和剤を選択するステップと;
水および1種または複数種の中和剤の存在下、1種または複数種の第1のポリエステル、1種または複数種の安定剤を溶融ブレンドするステップと;
それによって、分散体の総重量に対して10から85パーセントの固体含量を有し、分散体の体積平均粒径が5ミクロン未満である水性分散体を製造するステップとを含む、水性分散体を製造する方法。
[3]
上記[1]に記載の水性分散体;
場合によって1種または複数種の架橋剤;
場合によって1種または複数種の架橋触媒;
場合によって1種または複数種の溶媒;
場合によって、ポリオレフィン分散体、アクリルラテックス、エポキシ樹脂分散体、ポリウレタン分散体、アルキド分散体、酢酸ビニル分散体およびエチレン酢酸ビニル分散体からなる群から選択される1種または複数種;ならびに
場合によって1種または複数種の添加剤を含む、コーティング組成物。
[4]
上記[1]に記載の分散体または上記[3]に記載のコーティング組成物から誘導される少なくとも1つまたは複数のフィルム層を含む、コーティング。
[5]
1つまたは複数の基体;
上記[1]に記載の分散体または上記[3]に記載のコーティング組成物から誘導される少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含む、コートされた物品。
[6]
基体を選択するステップと;
上記[3]に記載のコーティング組成物を選択するステップと;
コーティング組成物を、基体の少なくとも1つの表面に塗布するステップと;
コーティング組成物から、少なくとも一部の水を除去するステップと;
それによって、基体に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成するステップと;
それによって、コートされた基体を、コートされた物品に成形するステップとを含む、コートされた物品を作製する方法。
[7]
基体を選択するステップと;
基体を物品に成形するステップと;
上記[3]に記載のコーティング組成物を選択するステップと;
コーティング組成物を、物品の少なくとも1つの表面に塗布するステップと;
コーティング組成物から、少なくとも一部の水を除去するステップと;
それによって、物品の少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成するステップと;
それによって、コートされた物品を形成するステップとを含む、コートされた物品を作製する方法。
[8]
第1のポリエステルが、少なくとも30℃のガラス転移温度(T)を有する、上記[1]〜[7]のいずれか。
[9]
基体が予備コートされた基体である、上記[1]〜[8]のいずれか。
[10]
上記[3]に記載のコーティング組成物を含む缶またはコイル用コーティング組成物であって、分散体が5ミクロン未満の体積平均粒径を有し、分散体は、50℃を超える範囲のガラス転移温度(T)、3mgKOH/gを超えるOH価、および5mgKOH/g未満の酸価、および5,000を超える分子量(M)を有する直鎖状飽和芳香族ポリエステルである第1のポリエステル、ならびに、第1のポリエステルと相溶性があり、20mgKOH/gを超える酸価を有する第2のポリエステルを含む安定剤を含む、缶またはコイル用コーティング組成物。