特許第5758511号(P5758511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758511
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】カメラ用のフィルタホルダ
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20060101AFI20150716BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20150716BHJP
   G03B 17/14 20060101ALI20150716BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   G03B17/56 Z
   G03B11/00
   G03B17/14
   H04N5/225 D
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-7370(P2014-7370)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-135442(P2015-135442A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2014年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】502192568
【氏名又は名称】本橋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】本橋 威
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−301628(JP,A)
【文献】 特開昭56−135830(JP,A)
【文献】 特開昭54−130121(JP,A)
【文献】 特開2005−128125(JP,A)
【文献】 実開昭58−091733(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 11/00
G03B 17/14
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する素材からなる環状体の一部に、該環状体の外周面(1F)から内周面(1E)に到達する切り欠き部(1C)を形成してなるホルダ基部(1B)と、
ホルダ基部(1B)上にホルダ基部(1B)の空洞部(1D)を塞がないように重ねられ、切り欠き部(1C)が開閉可能なようにホルダ基部(1B)に接着された環状のフィルタ枠保持部(1A)と、を備え、
切り欠き部(1C)を開いて、カメラ鏡筒(4A)をホルダ基部(1B)の空洞部(1D)に挿通し、ホルダ基部(1B)の内周面(1E)がカメラ鏡筒(4A)の外周面に接触するように、ホルダ基部(1B)をカメラ鏡筒(4A)に装着することを特徴とするカメラ用のフィルタホルダ。
【請求項2】
可撓性を有する素材からなる環状体の一部に、該環状体の外周面(1F)から内周面(1E)に到達する切り欠き部(1C)を形成してなるホルダ基部(1B)と、
ホルダ基部(1B)上にホルダ基部(1B)の空洞部(1D)を塞がないように重ねられ、切り欠き部(1C)が開閉可能なようにホルダ基部(1B)に接着された環状のフィルタ枠保持部(1A)と、
フィルタ枠保持部(1A)に保持されたフィルタ枠(2)を備え、
切り欠き部(1C)を開いて、カメラ鏡筒(4B)をホルダ基部(1B)の空洞部(1D)に挿通し、ホルダ基部(1B)の内周面(1E)がカメラ鏡筒(4A)の外周面に接触するように、ホルダ基部(1B)をカメラ鏡筒(4A)に装着することを特徴とするカメラ用のフィルタホルダ。
【請求項3】
前記切り欠き部(1C)の間に掛け渡され、その一方の端がホルダ基部(1B)の貫通穴を介して外に取り出された引き締め紐(5)を備え、引き締め紐(5)を引くことで切り欠き部(1C)が閉じられるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ用のフィルタホルダ。
【請求項4】
前記切り欠き部(1C)は、ホルダ基部(1B)の内側に形成された第1の切り欠き部()と、第1の切り欠き部()の外側に連続して形成され、第1の切り欠き部(7)より幅が広い第2の切り欠き部()とからなり、
第2の切り欠き部()の間に掛け渡された引き締め紐(5)を備え、引き締め紐(5)の一方の端は、ホルダ基部(1B)の貫通穴を介してホルダ基部(1B)の外に取り出され、引き締め紐(5)を引くことで切り欠き部(1C)が閉じられるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ用のフィルタホルダ。

【請求項5】
ホルダ基部(1B)の両端部に取り付けられた落下防止用の吊るし紐(6)を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカメラ用のフィルタホルダ。
【請求項6】
可撓性を有する素材は、クロロプレンゴムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のカメラ用のフィルタホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ鏡筒に装着されるカメラ用のフィルタホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラのフィルタは、写真や映像を撮影する際、カメラ鏡筒(レンズと、レンズを収納する筒体からなる)の先端に装着して、レンズを通過する光に制限を与えることができる。例えば、光の表面反射、朝の風景や夕景などの逆光の光線状態では、被写体に明るい部分と暗い部分があり、肉眼ではその両方がしっかり見えても、カメラでの撮影ではコントラストの問題が起こることがある。そこで、フィルタを用いることで、被写体の明るい部分の光を制限し、良好なコントラストの写真を得ることができる。
【0003】
フィルタをカメラに取り付けるためにはフィルタホルダが用いられる。従来のフィルタホルダは、フィルタを固定するフィルタ枠と、フィルタ枠をカメラ鏡筒に装着するためのアダプターリング等の接続具と、から構成され、フィルタ枠は、アダプターリング等を介してカメラ鏡筒に形成されたねじに螺着されるようになっている。
特許文献1には、この種のカメラ用のフィルタホルダが開示され、特に、フィルタねじ径の異なるカメラレンズへのフィルタの着脱を容易にしたカメラ用のフィルタホルダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−68040公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフィルタホルダはフィルタ枠を螺着させる方式なので、その着脱には非常に手間がかかり、その間にシャッターチャンスを失うおそれがある。また、例えば広角レンズのように、カメラ鏡筒にフィルタホルダ装着用のねじが形成されていないものでは、フィルタを装着することができないといった問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラ用のフィルタホルダは、可撓性を有する素材からなる環状体の一部に、該環状体の外周面(1F)から内周面(1E)に到達する切り欠き部(1C)を形成してなるホルダ基部(1B)と、ホルダ基部(1B)上にホルダ基部(1B)の空洞部(1D)を塞がないように重ねられ、切り欠き部(1C)が開閉可能なようにホルダ基部(1B)に接着された環状のフィルタ枠保持部(1A)と、を備え、
切り欠き部(1C)を開いて、カメラ鏡筒(4A)をホルダ基部(1B)の空洞部(1D)に挿通し、ホルダ基部(1B)の内周面(1E)がカメラ鏡筒(4A)の外周面に接触するように、ホルダ基部(1B)をカメラ鏡筒(4A)に装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルタホルダによれば、フィルタをカメラに容易に短時間で装着することができる。また、フィルタホルダ装着用のねじが形成されていないカメラ鏡筒であっても、フィルタを容易に装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態におけるカメラ用のフィルタホルダを示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるカメラ用のフィルタホルダを示す他の斜視図である。
図3】本発明の実施形態におけるフィルタホルダをカメラ鏡筒に装着した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態におけるフィルタホルダをカメラ鏡筒に装着する方法を示す図である。
図5】本発明の実施形態におけるフィルタホルダ、特に引き締め紐の他の構成例を示す図である。
図6】本発明の実施形態における落下防止用の吊るし紐を備えたフィルタホルダを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、カメラ用のフィルタホルダ1を示す斜視図、図3は、フィルタホルダ1をカメラ鏡筒4Bに装着した状態を示す斜視図である。
【0010】
カメラ用のフィルタホルダ1は、ホルダ基部1B、及びフィルタ枠保持部1Aを備えている。ホルダ基部1Bは、可撓性を有する素材からなる環状体の一部に、該環状体の外周面1Fから内周面1Eに到達する切り欠き部1Cを形成してなる。ホルダ基部1Bはその略中央に空洞部1Dを有している。環状体は、外周面1F、内周面1E、表面及び裏面を有しているが、外周面1F、内周面1が曲面になっているのに対し、表面及び裏面は平坦になっていることが好ましい。
【0011】
空洞部1は、カメラ鏡筒4Aを挿通するために、平面図で見ると円形とされている。可撓性を有する素材としては、例えば、ゴムのような弾性材、特にクロロプレンゴムが適している。
【0012】
フィルタ枠保持部1Aは、フィルタ枠2がその空洞部に嵌合されるように環状の形状を有している。フィルタ枠2の両側にはストライプ状の溝2Aが形成され、フィルタ3(この例では角型フィルタ)は、この溝2Aに案内され、固定されるようになっている。フィルタ枠保持部1Aは、ホルダ基部1B上にホルダ基部1Bの空洞部1Dを塞がないように重ねられる。これは空洞部1Dにカメラ4のカメラ鏡筒4Aが挿通されるため、フィルタ枠保持部1Aとカメラ鏡筒4Aとが干渉しないようにするためである。
【0013】
そして、フィルタ枠保持部1Aは、切り欠き部1Cが開閉可能なようにホルダ基部1Bの切り欠き部1Cの反対側の端部にだけ接着されている。これは、フィルタ枠保持部1Aの全体を接着面とすると、切り欠き部1Cが開閉可能にならないからである。フィルタ枠保持部1Aも可撓性を有する素材、例えば、ゴムのような弾性材、特にクロロプレンゴムで形成することが好ましい。
【0014】
図4は、フィルタホルダ1をカメラ鏡筒4Aに装着する方法を示す図である。図示のように、ホルダ基部1Bの左右端部を手で掴んで、切り欠き部1Cを開いた状態で、カメラ鏡筒4Aをホルダ基部1Bの空洞部1Dに挿通し、ホルダ基部1Bの内周面1Eがカメラ鏡筒4Aの外周面に接触するように、ホルダ基部1Bをカメラ鏡筒4Aに装着する。この場合、切り欠き部1Cのホルダ基部1Bの両側には外側に広がった広縁部1G,1Hを形成し、この部分を両手で掴むようにすると使い勝手が良い。
【0015】
このように、フィルタホルダ1によれば、カメラ4にフィルタ2を容易に短時間で装着することができる。フィルタ2の交換作業も容易である。また、フィルタホルダ装着用のねじが形成されていないカメラ鏡筒4Aであっても、フィルタ2を容易に装着することが可能になる。なお、上述の説明では、フィルタ枠2は、フィルタ枠保持部1Aに着脱自在の構成となっているが、フィルタ枠2をフィルタ枠保持部1Aに固定して両者を一体化しても良い。
【0016】
また、図4に示すように、フィルタホルダ1をカメラ鏡筒4Aに強固に装着するために、引き締め紐5を設けることが好ましい。引き締め紐5は、切り欠き部1Cの間に掛け渡され、その一方の端がホルダ基部1Bを貫通して外に取り出され、他方の端は、切り欠き部1Cにおけるホルダ基部1Bの端面に固定されており、引き締め紐5を引くことで切り欠き部1Cが閉じられる。これにより、カメラ鏡筒4Aに装着されたホルダ基部1Bが引き締められ、フィルタホルダ1をカメラ鏡筒4Aに強固に装着することができる。引き締め紐5は、ゴム等の弾性体で形成することが好ましい。
【0017】
図5は、引き締め紐5の他の構成例を示す図であり、図5(a)はホルダ基部1Bの平面図、図5(b)はその背面図である。ホルダ基部1Bの切り欠き部1Cは、ホルダ基部1Bの内側に形成された第1の切り欠き部7と、第1の切り欠き部7の外側に連続して形成され、第1の切り欠き部7より幅が広い第2の切り欠き部8とからなる。また、第2の切り欠き部8におけるホルダ基部1Bの一方の端面には、第3の切り欠き部9が形成されている。第3の切り欠き部9には、その幅方向を横断して支持棒10が掛け渡されている。支持棒10の両端部はホルダ基部1Bの中に埋め込まれ、固定されている。
【0018】
引き締め紐5の一端は、第2の切り欠き部8の他方の端面(第3の切り欠き部9が形成されていない面)に固定され、第2の切り欠き部8を横断して支持棒10に掛けられ、平行に折り返され、第2の切り欠き部8の他方の端面からホルダ基部1Bの貫通穴を介して外部に取り出される。そして、図4の例と同様に、引き締め紐5を引くことで切り欠き部1Cが閉じられる。
【0019】
図5の例では、引き締め紐5を支持棒10に掛けて折り返しているので、強い引き締め力が生じ、図4の例に比して、フィルタホルダ1をカメラ鏡筒4Aにより強固に装着することができる。なお、図4の例においても、引き締め紐5は第2の切り欠き部8の間に掛け渡されるが、前述のように、引き締め紐5の一方の端がホルダ基部1Bを貫通して外に取り出され、他方の端はホルダ基部1Bの切り欠き部1Cの端面に固定されている。
【0020】
図6は、落下防止用の吊るし紐6を備えたフィルタホルダ1を示す斜視図である。
ホルダ基部1Bの両端部には、広縁部1G,1Hに隣接して紐取り付け部11,12が形成され、吊るし紐6の両端は、それぞれ紐取り付け部11,12の取り付け穴に挿通されかつ固定されている。吊るし紐6はゴム等の弾性体で形成することが好ましく、取り付け穴に挿入するだけで、吊るし紐6の摩擦力と弾性により固定することができる。フィルタホルダ1の着脱作業中は、この落下防止用の吊るし紐6をカメラ鏡筒4Aに掛けることで、フィルタホルダ1を吊るした状態とし、フィルタホルダ1が地面に落下するのを防止することができる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ホルダ基部1Bの大きさは、カメラ鏡筒4Aの外形に合わせて適宜変更することができ、フィルタ枠保持部1Aの大きさ及び形状は、フィルタ枠2に合わせて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 フィルタホルダ
1A フィルタ枠保持部
1B ホルダ基部
1C 切り欠き部
1D 空洞部
1E 内周面
1F 外周面
1G,1H 広縁部
2 フィルタ枠
3 フィルタ
4 カメラ
5 引き締め紐
6 落下防止用の吊るし紐
7 第1の切り欠き部
8 第2の切り欠き部
9 第3の切り欠き部
10 支持棒
11,12 紐取り付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6