特許第5758542号(P5758542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758542
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】スラグ排出ドアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 3/19 20060101AFI20150716BHJP
   F27B 3/24 20060101ALI20150716BHJP
   F27D 3/15 20060101ALI20150716BHJP
   F27D 1/18 20060101ALI20150716BHJP
   C21C 5/46 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   F27B3/19
   F27B3/24
   F27D3/15 Z
   F27D1/18 J
   C21C5/46 103A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-513460(P2014-513460)
(86)(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公表番号】特表2014-519590(P2014-519590A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】KR2012007636
(87)【国際公開番号】WO2013048067
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0100005
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510307299
【氏名又は名称】ヒュンダイ スチール カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】511205563
【氏名又は名称】ソウル エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】キ、ジュン−ソン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヘ−ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジン−イル
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−541697(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3156596(JP,U)
【文献】 特開平10−317052(JP,A)
【文献】 特開平10−316479(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/081266(WO,A1)
【文献】 特開平09−133475(JP,A)
【文献】 特開2002−062057(JP,A)
【文献】 特表2012−529004(JP,A)
【文献】 特表2014−502334(JP,A)
【文献】 米国特許第08409494(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 3/00 − 3/28
F27D 1/00 − 1/18
F27D 3/15
C21B 13/12
C21C 5/42 − 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼を排出する溶鋼排出口と、前記溶鋼排出口とは別途にスラグを排出するスラグ排出口とを備えた電気炉において、前記スラグ排出口を開閉するスラグ排出ドアを製造するスラグ排出ドアの製造方法であって、
スラグ排出ドアのドアボディを成形するボディ成形ステップと、
前記ボディ成形ステップで成形されたドアボディの内部に、ドリリング作業により、冷却水流路、冷却水流入口、冷却水排出口を形成する冷却水流路形成ステップと、
前記冷却水流路形成ステップで形成された冷却水流路において、前記ドアボディの外側面に開放された部分を塞ぐ流路仕上ステップとを含み、
前記ボディ成形ステップは、上部両側にガイド突起部が突出するようにドアボディを成形し、
前記冷却水流路形成ステップは、
前記ドアボディの側面から、横方向のドリリング作業により、前記ドアボディの下部に横に配置される下部横流入管部と、前記ドアボディの上部に横に配置される上部横排出管部とを形成する第1流路形成過程と、
前記下部横流入管部および前記上部横排出管部において、それぞれ前記ドアボディの一側面に開放された部分に側面栓を挿入することで前記開放された部分を塞ぐ流路遮断過程と、
前記ドアボディのガイド突起部の上部面から、下方のドリリング作業により、縦に配置され、下端部が前記上部排出管部に連結される第1サイド縦排出管部と、前記第1サイド縦排出管部に離隔して前記ガイド突起部内に縦に配置され、前記上部横排出管部の前記側面栓を貫通し、下端部が前記下部横流入管部の位置まで形成される第2サイド縦排出管部とを形成し、前記ガイド突起部の上端で前記第1および第2サイド縦排出管部を連結する第2流路形成過程と、
前記ドアボディ部の下部面から、上方のドリリング作業により、前記第2サイド縦排出管部に連通する冷却水排出口と、前記下部横流入管部に連通する冷却水流入口とを形成する冷却水出入口形成過程と、
前記ドアボディ部の下部面から、上方のドリリング作業により、前記下部横流入管部を貫通し、上端部が前記上部横排出管部に連結される複数の縦分岐管部を離隔して形成する第3流路形成過程と、を含むことを特徴とするスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項2】
前記ボディ成形ステップは、
鍛造でドアボディを成形することを特徴とする請求項1に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項3】
前記冷却水流路形成ステップは、
それぞれ別の冷却水流入口および冷却水排出口を有する一対の冷却水流路を、前記ドアボディを二分した両側にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項4】
前記冷却水流路形成ステップは、
冷却水が流入する冷却水流入配管部と、前記冷却水流入配管部に連結され、前記冷却水流入配管部から冷却水が供給されて冷却水を通過させる、離隔した複数の冷却水分岐配管部と、前記冷却水分岐配管部の出口側に連結される冷却水排出配管部とを含む冷却水流路を形成することを特徴とする請求項1に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項5】
前記第2流路形成過程は、前記第2サイド縦排出管部が前記上部横排出管部の前記側面栓を貫通して形成されることを特徴とする請求項に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項6】
前記ドアボディにおいてスラグが接触するスラグ接触面に高硬度コーティング層を形成する表面処理ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項7】
前記表面処理ステップは、
前記ドアボディのスラグ接触面に溶接で高硬度コーティング層を形成する溶接コーティング過程と、
前記溶接コーティング過程で形成された高硬度コーティング層を研磨する表面研磨過程と、を含むことを特徴とする請求項に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項8】
前記表面処理ステップは、溶射およびめっきのうちのいずれか1つの方法で前記ドアボディのスラグ接触面に高硬度コーティング層を形成することを特徴とする請求項に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【請求項9】
前記ドアボディが結合され、前記ドアボディを補強するドア補強ボディを成形する補強体製造ステップと、
前記補強体製造ステップで製造されたドア補強ボディと前記ドアボディとを組立てるドア組立ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスラグ排出ドアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラグ排出ドアの製造方法に関するものであって、より詳細には、電気炉のスラグ排出口から初期スラグが流出するのを防止するスラグ排出ドアを効率的に製造するスラグ排出ドアの製造方法に関する発明である。
【0002】
本発明は、2011年9月30日付で出願された韓国特許出願第10−2011−0100005号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的に、電気炉とは、電気エネルギーを利用して金属や合金を加熱、溶解する炉をいい、炉内部にスクラップを装入した後、電極とスクラップとの間にアーク状の電流を発生させ、加熱して、スクラップを溶解させるものである。
【0004】
そして、電気炉の製鋼作業中にはスクラップ内の不純物が溶解し、酸化物の形態で溶鋼の上部にスラグが形成される。
【0005】
前記スラグは、溶鋼の表面上に浮上して溶鋼の表面が空気によって酸化されるのを防止し、その表面を保存する役割を果たし、スラグと溶鋼との界面では物質の移動および化学反応が起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スラグとの接触時、冷却性能に優れ、高熱による変形が防止される電気炉のスラグ排出ドアを製造することができるスラグ排出ドアの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
溶鋼を排出する溶鋼排出口と、前記溶鋼排出口とは別途にスラグを排出するスラグ排出口とを備えた電気炉において、前記スラグ排出口を開閉するスラグ排出ドアを製造するスラグ排出ドアの製造方法であって、
スラグ排出ドアのドアボディを成形するボディ成形ステップと、
前記ボディ成形ステップで成形されたドアボディの内部に、ドリリング作業により、冷却水流路、冷却水流入口、冷却水排出口を形成する冷却水流路形成ステップと、
前記冷却水流路形成ステップで形成された冷却水流路において、前記ドアボディの外側面に開放された部分を塞ぐ流路仕上ステップとを含むことを特徴とするスラグ排出ドアの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法は、スラグの流出遮断時、スラグから伝達された熱を効果的に放熱させることで熱による変形および損傷を最小化し、耐久性に優れ、寿命が長く、長期間安定して使用可能なスラグドアを製造する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明により製造された電気炉のスラグ排出ドアが電気炉に装着された例を示した概略図である。
図2】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法を示した図である。
図3】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法を示した図である。
図4】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法を示した図である。
図5】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において、冷却水流路形成ステップを示した図である。
図6】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において、冷却水流路形成ステップを示した図である。
図7】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において、冷却水流路形成ステップを示した図である。
図8】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において、冷却水流路形成ステップを示した図である。
図9】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において、冷却水流路形成ステップを示した図である。
図10】本発明の比較例を示した図である。
図11】本発明の比較例をシミュレーションする時、ドアボディの前面における熱分布状態を解析した図である。
図12】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアにおいてドアボディをシミュレーションする時、ドアボディの前面における熱分布状態を解析した図である。
図13】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において高硬度コーティング層形成ステップを経たドア本体の断面図である。
図14】本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法において補強ドア成形ステップおよび補強ドア組立ステップを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面により詳細に説明する。
【0011】
図1を参照すれば、本発明にかかる電気炉1のスラグ排出ドアの製造方法は、電気炉1のスラグ排出口1aに装着され、スラグ排出口1aを開閉するドア本体5を製造する方法に関するものである。前記電気炉1は、前記スラグ排出口1aとは別途に溶鋼を排出する溶鋼排出口(図示せず)を備える。本発明において、スラグ排出口1aは、電気炉1内で溶解した溶鋼を排出する溶鋼排出口(図示せず)とは別途に形成され、前記溶鋼の表面に形成されるスラグのみを排出する。
【0012】
前記ドア本体5は、電気炉1のスラグ排出口1aの底面から上下方向に移動して、前記スラグ排出口1aを開閉することを一例とする。
【0013】
前記スラグ排出口1aは、電気炉1において溶鋼を排出する溶鋼排出口とは別個に電気炉1の一側に形成されるもので、電気炉1内で製鋼操業中に発生したスラグ2を排出するものである。
【0014】
前記ドア本体5は、スラグ排出口1aに備えられ、スラグ2の排出を案内するスラグ流出案内台座部材3内に挿入され、ドア作動機器4で上下移動して、前記スラグ2の排出を制御する。
【0015】
前記ドア作動機器4は、前記ドア本体5の下部面に連結される、ピストンロッドを備えた油圧シリンダもしくは空圧シリンダを用いたり、電動モータを用いて前記電動モータの回転力を直線運動に変換して作動することを一例とする。
【0016】
前記ドア作動機器4は、1つまたは複数備えられるとよい。
【0017】
前記油圧シリンダもしくは空圧シリンダ、または電動モータは、形態や作動方式が異なるだけで、ドア本体5を作動させる目的であるところ、以下の記載において油圧シリンダとまとめて称する。
【0018】
前記油圧シリンダは、シリンダ内に供給される油圧の制御でピストンロッドを移動させて、前記ドア本体5を上下移動させるものである。
【0019】
前記ドア本体5は、電気炉1の操業中、前記スラグ流出案内台座部材3の上部に突出して位置し、内側面がスラグ2と直接接触してスラグ2の流出を防止し、下降時、上部面が前記スラグ流出案内台座部材3の上部面と一致するように位置しながらスラグ2を排出させる。前記内側面は、電気炉1の内側に配置される前面をいう。
【0020】
前記ドア本体5は、内部に冷却水の通過する冷却水流路30が形成されたドアボディ10を含む。
【0021】
図2を参照すれば、本発明にかかる電気炉1のスラグ排出ドアの製造方法は、鍛造でドアボディ10を成形するボディ成形ステップ100を含む。前記ボディ成形ステップ100は、熱伝導性の高い金属材質からなる成形体を、鍛造で長方形状のボディを有するドアボディ10として成形するものである。
【0022】
前記ドアボディ10は、熱伝導率(kcal/℃)が250以上の金属または合金を使用し、価格が安価で熱伝導率が高い銅または銅を含む合金材質で形成されることが好ましい。
【0023】
前記ボディ成形ステップ100は、鍛造で成形されることが好ましく、鋳造で成形されてもよい。
【0024】
前記ボディ成形ステップ100は、長方形のボディの上部両側にガイド突起部11が突出するようにドアボディ10を成形することが好ましい。前記ドアボディ10は鍛造で成形されるため、組織が緻密になって強くて堅固である。
【0025】
前記ガイド突起部11は、その間に電気炉内のスラグが通過するもので、スラグが前記ドアボディ10の両側端部に流れて流出するのを防止し、スラグがスラグ排出口を介して安定して排出できるようにする。
【0026】
また、前記ガイド突起部11で互いに向き合う面すなわち、前記ガイド突起部11の内側面は、スラグが接触する接触面である。
【0027】
図3を参照すれば、前記ボディ成形ステップ100の後には、前記ドアボディ10の内部に、冷却水流路30、冷却水流入口30a、冷却水排出口30bを形成する冷却水流路形成ステップ200が行われる。
【0028】
前記冷却水流路形成ステップ200は、前記ドアボディ10の内部に、ドリルを用いたドリリング作業により、冷却水が通過する冷却水流路30と、前記冷却水流路30に冷却水を流入できるようにする冷却水流入口30aと、前記冷却水流路30を通過した冷却水を排出する冷却水排出口30bとを形成する。
【0029】
前記冷却水流路30は、前記ドアボディ10を均一に冷却できるように横および縦方向に複数の流路を含み、前記冷却水流路形成ステップ200は、前記横および縦方向への複数の流路をドリリング作業で形成する。そのため、各流路は、前記ドアボディ10の外側に開放されて形成される。
【0030】
前記冷却水流路形成ステップ200は、それぞれ別の冷却水流入口30aおよび冷却水排出口30bを有する一対の冷却水流路30を、前記ドアボディ10を二分した両側にそれぞれ形成し、前記ドアボディ10を独立した冷却水流路30で分割して冷却させることにより、前記ドアボディ10の冷却効率を増大させるものである。
【0031】
図4を参照すれば、前記冷却水流路形成ステップ200で形成された冷却水流路30において、前記冷却水流入口30aおよび前記冷却水排出口30bを除いた前記ドアボディ10の外側に開放された部分は、流路仕上ステップ300で塞がれる。
【0032】
前記流路仕上ステップ300は、前記冷却水流路形成ステップ200で形成された冷却水流路30において、前記ドアボディ10の外側面に開放された部分に流路栓40を挿入し、前記流路栓40を前記ドアボディ10に溶接して固定させることにより、冷却水流路30で前記ドアボディ10の外側面に開放された部分を塞ぐ。
【0033】
前記流路栓40は、前記ドアボディ10と同じ金属材で製造されることが好ましい。
【0034】
前記流路仕上ステップ300は、冷却水流路30において、前記冷却水流入口30aおよび前記冷却水排出口30bを除いた部分を密閉させ、前記冷却水流入口30aから前記冷却水流路30内に流入した冷却水が外部に漏水せず、そのまま前記冷却水排出口30bに排出されて循環できるようにする。
【0035】
一方、図3および図4を参照すれば、前記冷却水流路30は、冷却水が流入する冷却水流入配管部31と、前記冷却水流入配管部31に連結され、前記冷却水流入配管部31から冷却水が供給されて冷却水を通過させる、離隔した複数の冷却水分岐配管部32と、前記冷却水分岐配管部32の出口側に連結される冷却水排出配管部33とを含む。
【0036】
また、前記冷却水流路30の一例を挙げると下記の通りである。前記冷却水流入配管部31は、前記ドアボディ10の下部に横に配置される下部横流入管部31aである。前記冷却水分岐配管部32は、縦に立てられて離隔して配置され、下端部が前記下部横流入管部31aに連結される複数の縦分岐管部32aである。前記冷却水排出配管部33は、前記ドアボディ10の上部に横に配置され、前記縦分岐管部32aの上端部が連結される上部横排出管部33aと、前記上部横排出管部33aに連結され、前記ドアボディ10の一側で縦に立てられて冷却水を上方移動させる第1サイド縦排出管部33bと、前記第1サイド縦排出管部33bに連結され、冷却水を下方排出させる第2サイド縦排出管部33cとを含むこともできる。
【0037】
図5ないし図9を参照すれば、前記冷却水流路形成ステップ200は、前記ドアボディ10の側面から、横方向のドリリング作業により、前記ドアボディ10の下部に横に配置される下部横流入管部31aと、前記ドアボディ10の上部に横に配置される上部横排出管部33aとを形成する第1流路形成過程210と、前記下部横流入管部31aおよび前記上部横排出管部33aにおいて、それぞれ前記ドアボディ10の一側面に開放された部分に側面栓50を挿入することで開放された部分を塞ぐ流路遮断過程220と、前記ガイド突起部11の上部面から、下方のドリリング作業により、縦に配置され、下端部が前記上部横排出管部33aに連結される第1サイド縦排出管部33bと、前記第1サイド縦排出管部33bに離隔して前記ガイド突起部11内に縦に配置され、下端部が前記下部横流入管部31aの位置まで形成される第2サイド縦排出管部33cとを形成し、前記ガイド突起部11の上端で前記第1および第2サイド縦排出管部33b、33cを連結する第2流路形成過程230と、前記ドアボディ10の下部面から、上方のドリリング作業により、前記第2サイド縦排出管部33cに連通する冷却水排出口30bと、前記下部横流入管部31aに連通する冷却水流入口30aとを形成する冷却水出入口形成過程240と、前記ドアボディ10の下部面から、上方のドリリング作業により、前記下部横流入管部31aを貫通し、上端部が前記上部横排出管部33aに連結される複数の縦分岐管部32aを離隔して形成する第3流路形成過程250とを含む。
【0038】
前記第2流路形成過程230は、前記第2サイド縦排出管部33cが前記上部横排出管部33aの前記側面栓50を貫通して形成される。
【0039】
この場合、前記流路仕上ステップ300は、前記第2流路形成過程230で前記第1および第2サイド縦排出管部33b、33cを連結する流路を形成するために、開放された前記ガイド突起部11の上部に流路栓40を挿入して塞ぐ。
【0040】
また、前記流路仕上ステップ300は、複数の前記縦分岐管部32aで縦分岐管部32aの下端部すなわち、前記縦分岐管部32aを形成する時、前記下部横流入管部31aの下部側に位置する穴を、流路栓40を挿入して塞ぐ。
【0041】
前記のように形成された前記冷却水流路30において、冷却水は、前記冷却水流入口30aを介して前記下部横流入管部31aに流入する。
【0042】
前記冷却水は、前記下部横流入管部31aに一次的に流入して前記下部横流入管部31a内に満たされ、前記下部横流入管部31aに満たされた後、ほぼ同時に複数の縦分岐管部32aに供給され、前記縦分岐管部32aを通過して前記上部横排出管部33aに流入する。そして、前記上部横排出管部33aから前記第1および第2サイド縦排出管部33b、33cを介して排出される方式で循環し、前記ドアボディ10を迅速かつ均一に冷却させる。
【0043】
図10を参照すれば、本発明の比較例は、ドアボディ10内にジグザグに配管された2つの冷却水ライン体が備えられたものであり、各冷却水ライン体は1つの管から形成されたものである。
【0044】
図11を参照すれば、前記比較例の冷却水ライン体内に11m/hで冷却水を供給したことを一例とし、前記ドアボディ10の前面が電気炉のスラグと接触したのと同様の条件で、前記比較例のドアボディをシミュレーションする時、ドアボディ10の前面における熱分布状態を解析した結果を示した熱分布状態図である。
【0045】
前記熱分布の解析は、熱分布解析のためのシミュレーションプログラムでシミュレーションしたものであり、図11は、前記シミュレーションプログラムが前記比較例のドアボディの前面に対する熱分布をモニタで出力した図を白黒で示したものである。
【0046】
前記比較例の場合、前記ドアボディの最大温度が273.7℃であることを確認することができ、温度が300℃に近接してドアボディに変形が発生する危険性が大きかった。
【0047】
図12は、図2で例示したドアボディ10を前記比較例と同様の条件でシミュレーションする時、ドアボディ10の前面における熱分布状態を解析した図である。図12は、シミュレーションプログラムが本発明にかかるドアボディの前面に対する熱分布をモニタで出力した図を白黒で示したものである。図12を参照すれば、前記比較例と同様の条件で、図2で例示した本発明にかかるドアボディ10は、最大温度が249.6℃であることを確認することができる。
【0048】
一方、図13を参照すれば、本発明にかかる電気炉のスラグ排出ドアの製造方法は、前記ドアボディ10においてスラグが接触するスラグ接触面に高硬度コーティング層60を形成する表面処理ステップ400をさらに含むことが好ましい。
【0049】
前記スラグ接触面は、電気炉の内部に向かって配置される前記ドアボディ10の前面、および電気炉のスラグがその間に通過する前記ガイド突起部11の内側面を含む。
【0050】
前記高硬度コーティング層60は、Fe−Crコーティングを基本とし、それ以外の高硬度コーティングを形成する他の例に変形実施可能である。前記高硬度コーティング層60は、凝固したスラグ2の分離を容易にし、冷却されたスラグ2が分離されながら前記スラグ接触面で発生する摩耗を最小化させるものである。
【0051】
前記表面処理ステップ400は、前記ドアボディ10のスラグ接触面に溶接で高硬度コーティング層60をコーティングする溶接コーティング過程と、前記溶接コーティング過程で形成された高硬度コーティング層60を研磨する表面研磨過程とを含む。
【0052】
前記表面処理ステップ400は、前記溶接コーティング過程の前に、前記ドアボディ10を予熱する予熱過程をさらに含むことが好ましい。前記予熱過程は、溶接コーティング過程の前に前記ドアボディ10を予熱し、溶接コーティング時、コーティング層がより堅固にドアボディ10の表面に融着できるようにする。
【0053】
前記表面処理ステップ400は、溶接コーティング過程で表面が不規則でデコボコに形成された高硬度コーティング層60を、前記表面研磨過程で研磨して滑らかにする。
【0054】
前記表面処理ステップ400は、溶射およびめっきのうちのいずれか1つの方法で高硬度コーティング層60を形成することもできる。
【0055】
一方、図14を参照すれば、本発明にかかる電気炉1のスラグ排出ドアの製造方法は、前記ドアボディ10が結合され、前記ドアボディ10を補強するドア補強ボディ20を成形する補強体製造ステップ500と、前記補強体製造ステップ500で製造されたドア補強ボディ20と前記ドアボディ10とを組立てるドア組立ステップ600とをさらに含むことが好ましい。
【0056】
前記ドアボディ10は、熱伝導度が高い金属すなわち、銅材質で製造され、上下移動時、外部衝撃によって変形または損傷が発生することがある。
【0057】
前記ドア本体5は、スラグと直接接触してスラグの排出を制御する前記ドアボディ10と、前記ドアボディ10に結合され、前記ドアボディ10を補強するドア補強ボディ20とを含み、スラグの高熱による熱変形が防止されると共に、上下作動のための十分な剛性を確保し、安定した作動が可能である。
【0058】
前記ドア補強ボディ20は、前記ドアボディ10と結合し、前記ドアボディ10の下部面、前記ガイド突起部11の各外側面、および前記ガイド突起部11の各上端部を囲み、前記ドアボディ10の剛性を補強するものである。
【0059】
前記ドア補強ボディ20は、前記ドアボディ10の後面が装着されるベース装着プレート部21と、前記ドアボディ10の下部を支持するように前記ベース装着プレート部21の下部に突出する下部支持突起部22と、前記ベース装着プレート部21の上部に離隔して突出し、前記ガイド突起部11の後面が装着されるガイド装着プレート部23と、前記ガイド装着プレート部23にそれぞれ突出し、前記ガイド突起部11の上部を支持するガイド支持突起部24とを含み、強度が大きい鋼材材質で鋳造により製造されることを一例とする。
【0060】
前記ドアボディ10の後面には、前記ドア補強ボディ20のベース装着プレート部21から露出する段顎部12が突出し、前記段顎部12は、前記ドアボディ10の上部の一部分に形成された第1段顎部12aと、前記第1段顎部12aの両端から前記ガイド突起部11の前面に延びた第2段顎部12bとを含む。
【0061】
前記段顎部12は、スラグ排出口1aを開閉する時、前記ドアボディ10の後面に流れ落ちるスラグ2が接触するスラグ接触面である。
【0062】
前記ボディ成形ステップ100は、前記ドアボディ10の後面に前記段顎部12を形成する。
【0063】
スラグ2は、スラグ排出口1aに排出される時、前記ドアボディ10の後面に流れ落ちて接触することもあるため、前記のように、ドアボディ10の後面において前記ドア補強ボディ20のベース装着プレート部21から露出する前記段顎部12を形成することが好ましい。
【0064】
本発明にかかるスラグ排出ドアの製造方法は、前記ドア補強ボディ20にボルトが貫通するボルト貫通孔20aを形成し、前記ドアボディ10に前記ボルト貫通孔20aに対応する締結溝を形成することで、前記ドアボディ10と前記ドア補強ボディ20とをボルト結合で組立てる。
【0065】
前記ボルト貫通孔20aは前記補強体製造ステップ500で形成され、前記締結溝は前記ボディ成形ステップ100で形成されるとよい。あるいは、前記ボルト貫通孔20aと前記締結溝10aは、前記ドア組立ステップ600で形成されてもよい。
【0066】
前記ドアボディ10は、前記ベース装着プレート部21および前記ガイド装着プレート部23に形成された複数のボルト貫通孔20aを貫通し、前記ドア補強ボディ20に締結される複数のボルトで前記ドア補強ボディ20と一体に結合されることでドア本体5になるのである。
【0067】
本発明にかかるスラグ排出ドアの製造方法で製造されたスラグ排出ドアすなわち、ドア本体5は、スラグの流出遮断時、スラグから伝達された熱を効果的に放熱させることで熱による変形および損傷を最小化し、耐久性に優れ、寿命が長く、長期間安定して使用可能であるという効果がある。
【0068】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で多様に変更して実施することができ、これは本発明の構成に含まれることを明らかにする。
【符号の説明】
【0069】
10:ドアボディ
20:ドア補強ボディ
30:冷却水流路
40:流路栓
50:側面栓
60:高硬度コーティング層
100:ボディ成形ステップ
200:冷却水流路形成ステップ
300:流路仕上ステップ
400:表面処理ステップ
500:補強体製造ステップ
600:ドア組立ステップ
図1
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