(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758577
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】高圧荷電粒子ビーム・システム
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20150716BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20150716BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
H01J37/20 Z
H01J37/20 E
H01J37/244
H01J37/28 B
【請求項の数】26
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2009-549224(P2009-549224)
(86)(22)【出願日】2008年2月6日
(65)【公表番号】特表2010-518583(P2010-518583A)
(43)【公表日】2010年5月27日
(86)【国際出願番号】US2008053223
(87)【国際公開番号】WO2008098084
(87)【国際公開日】20080814
【審査請求日】2011年1月24日
【審判番号】不服2014-4754(P2014-4754/J1)
【審判請求日】2014年3月12日
(31)【優先権主張番号】60/900,028
(32)【優先日】2007年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ウィリアム・ノウレス
(72)【発明者】
【氏名】ミロス・トス
【合議体】
【審判長】
神 悦彦
【審判官】
伊藤 昌哉
【審判官】
土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−65952(JP,U)
【文献】
特開2002−289129(JP,A)
【文献】
特開2003−308801(JP,A)
【文献】
特開2005−268224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J37/00-37/02,37/05,37/09-37/21,37/24-37/244,37/252-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルチャンバと、
荷電粒子源と、
前記荷電粒子源からサンプルに向かって荷電粒子を誘導する荷電粒子ビーム集束カラムと、
前記サンプルチャンバ内にあってサンプルを収容するサンプル小室であり、前記サンプルチャンバ内のガス圧とは異なるガス圧を維持するように十分に囲われたサンプル小室と、
ガスの供給源に前記サンプル小室を接続するガス注入口と、
前記サンプルチャンバ内に含まれ、前記サンプル小室を前記荷電粒子ビームに整列させるための可動小室・ステージと、
前記サンプル小室内に含まれ、前記サンプルの着目領域を前記荷電粒子ビームに整列させるために、前記サンプルを移動するためのサンプルステージと、
前記荷電粒子源と前記サンプルとの間に配置され、前記サンプルにおける圧力より低い圧力を前記荷電粒子ビーム集束カラム内において維持する少なくとも1つの圧力制限開口と、
前記サンプルステージから離して配置され、前記サンプルから放出された電子を検出する検出器と
を備え、前記サンプルから放出された前記電子が電子電流を含み、前記電子電流が、ガスのイオン化カスケードによって増幅されて、前記サンプルの像を形成する増幅された画像化信号を生成する粒子−光学装置。
【請求項2】
前記ガス注入口が、H2O、N2または空気以外の分子の供給源に前記サンプル小室を接続するガス注入口を備える、請求項1に記載の粒子−光学装置。
【請求項3】
ガスの供給源に前記サンプル小室を接続する前記ガス注入口が、有機化合物、金属有機化合物、有機金属化合物、有機ハロゲン化合物、芳香族化合物、アミンまたはオルガノシランを含むガス分子の供給源に前記サンプル小室を接続するガス注入口を含む、請求項1または2に記載の粒子−光学装置。
【請求項4】
ガスの供給源に前記サンプル小室を接続する前記ガス注入口が、ホスフィン、ハロゲン化物、塩化物、フッ化物、金属ハロゲン化物、金属塩化物、金属フッ化物、金属水素化物またはシランを含むガス分子の供給源に前記サンプル小室を接続するガス注入口を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項5】
前記サンプル小室圧力が10ミリトール超である、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項6】
前記サンプルチャンバ圧力が10ミリトール未満である、請求項5に記載の粒子−光学装置。
【請求項7】
前記サンプル小室がガス排出口を含み、前記ガス排出口が前記ガス注入口とは別個であり、前記ガス排出口が、前記圧力制限開口および前記集束カラム以外を通る、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項8】
前記ガス注入口が、前記小室内へガスを導入する複数のガス注入口を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項9】
前記サンプル小室が耐食材料を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項10】
微小構造内の要素を形成するため、ガスの供給源に前記サンプル小室を接続する前記ガス注入口が、荷電粒子ビームによって活性化されたときに、前記サンプル小室内のサンプルから材料をエッチングし、または前記サンプル小室内のサンプルに材料を付着させるガスの供給源に前記サンプル小室を接続するガス注入口を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項11】
前記サンプルを前記サンプル小室内に保持する断熱された前記サンプルステージを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項12】
前記サンプルを加熱する加熱器をさらに備える、請求項1〜11のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項13】
前記小室の壁を加熱するエネルギーの供給源をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項14】
前記サンプル小室が、前記サンプルを見るための光学的に透明な窓を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項15】
前記検出器が、ガス・カスケード内の電荷の流れによって誘起された電気信号を検出する電極を備える、請求項1〜14のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項16】
前記荷電粒子ビーム集束カラムが磁気レンズを含み、追加の衝突を発生させるため、前記磁気レンズが、電子の経路を前記ガス内に延ばす磁場を発生させる、請求項1〜15のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項17】
前記電子電流を増幅するため、前記検出器が、前記サンプルから少なくとも3mmのところに配置された電極を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の粒子−光学装置。
【請求項18】
荷電粒子ビーム集束カラムと、サンプルを収容するとともに少なくとも1つの圧力制限開口によって前記荷電粒子ビーム集束カラムから分離されたサンプル小室を含むサンプルチャンバとを提供することと、
前記サンプル小室を前記荷電粒子ビーム集束カラムに整列させるために前記サンプルチャンバ内で可動小室・ステージを使用することと、
前記サンプルの着目領域を前記荷電粒子ビーム集束カラムに整列させるために前記サンプル小室内でサンプルステージを使用することと、
前記サンプル小室に接続されたガス注入口を通して、第1のガスを、前記サンプル小室内の前記サンプルに搬送することと、
前記サンプル小室を、前記サンプルチャンバの圧力よりも高圧に維持することと、
前記サンプル小室を、前記荷電粒子ビーム集束カラム内の圧力よりも高圧に維持することと、
前記サンプルの前記着目領域を処理するため、前記荷電粒子ビーム集束カラムおよび前記少なくとも1つの圧力制限開口を通して、荷電粒子のビームを前記サンプルに向かって誘導することと、
前記第1のガスを活性化させて、前記荷電粒子のビームの衝突位置の近くの前記サンプルから材料を局所的にエッチング、あるいは前記サンプルに材料を局所的に付着させることにより、所望の微小構造を前記サンプルの前記領域の近傍に製造することと、
を含む、粒子−光学装置を使用してサンプルを処理する方法。
【請求項19】
前記サンプルから放出された2次電子と、前記2次電子とガス分子との衝突によって生成された電子とを含む電子電流を検出することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルから放出された電子を、前記サンプルステージから離して配置された検出器を使用して検出することをさらに含み、
前記サンプルから放出された前記電子が電子電流を含み、前記電子電流が、ガス・イオン化カスケードによって増幅されて、前記サンプルの像を形成する増幅された画像化信号を生成する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルチャンバ内の前記第1のガスが、前記圧力制限開口以外の、前記サンプル小室に接続されたガス排出口を通して、第1のガス排出流量で同時に除去される、請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記サンプル小室から前記第1のガスを除去し、同時に前記サンプル小室に第2のガスを搬送することによって、前記第1のガスから前記第2のガスへ切り替えることをさらに含む、請求項18〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記サンプル小室に接続された第2の注入口を通して前記サンプル小室に第2のガスを搬送すること、
前記第1のガスを前記第2のガスに入れ替えるため、前記サンプルチャンバからガスを同時に除去すること、および
前記第2のガスを使用して前記サンプルを画像化するか、または処理するため、前記荷電粒子ビーム集束カラムおよび前記少なくとも1つの圧力制限開口を通して、荷電粒子のビームを前記サンプルに向かって誘導すること
をさらに含む、請求項18〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記第1のガスが、前記サンプルの表面に材料を付着させるか、または前記サンプルをエッチングする処理ガスであり、前記第2のガスが、前記サンプルを画像化する画像化ガスである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプル小室の表面温度を前記サンプルの表面温度よりも高く維持するため、サンプル小室の表面を加熱することをさらに含む、請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
電子ビームが誘導される領域を越えて延びる領域において前記サンプルから材料をエッチングするか、または前記サンプルに材料を付着させるため、前駆体ガスの存在下で前記サンプルチャンバ内の前記サンプルを加熱することをさらに含む、請求項18〜25のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム・システムに関し、より具体的には、サンプル環境が比較的に高圧である電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:「SEM」)では、調査対象のサンプルのある領域の上で1次電子ビームが走査される。電子とサンプルとの衝突によって放出されたエネルギーは、サンプル中の他の荷電粒子の解放を引き起こす。これらの2次粒子の量およびエネルギーは、サンプルの性質、構造および組成に関する情報を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「2次電子」は、後方散乱した1次電子およびサンプルから生じた電子を含む。2次粒子を検出するため、SEMはしばしば、1つまたは複数の2次電子検出器を備える。用語「サンプル(sample)」は、荷電粒子ビーム・システム内で処理または観察されている任意のワーク・ピース(work piece)を指すために慣用され、本明細書で使用されるとき、この用語は任意のワーク・ピースを含み、より大きな母集団の代表として使用されているサンプルに限定されない。
【0003】
従来のSEMでは、ガス分子による1次電子ビームの散乱を防ぎ、2次電子の捕集を可能にするため、サンプルが高真空に維持される。しかしながら、生体サンプルの湿ったサンプルは高真空での観察には適さない。このようなサンプルは、正確な像が得られる前に、真空中でその液体内容物の蒸発を経験し、蒸発したガスは1次電子ビームを妨害する。ガスを放出する物体、すなわち高真空でガスを放出する固体も特別な考慮を必要とする。
【0004】
比較的に高圧下にあるサンプルを使用して動作する電子顕微鏡が例えば、「Secondary Electron Detector for Use in a Gaseous Atmosphere」という名称のMancuso他の米国特許第4,785,182号に記載されている。このようなデバイスは、高圧(High Pressure)走査型電子顕微鏡(HPSEM)または環境型(Environmental)走査型電子顕微鏡としての方がよく知られている。一例が、FEI Company社のQuanta 600 ESEM(登録商標)高圧SEMである。
【0005】
HPSEMでは、調査対象のサンプルが、一般に0.1トール(0.13ミリバール)から50トール(65ミリバール)、より一般的には1トール(1.3ミリバール)から10トール(13ミリバール)の圧力を有するガス雰囲気中に置かれ、従来のSEMでは、サンプルが、一般に10
-5トール(1.3×10
-5ミリバール)未満のかなり低い圧力の真空中に置かれる。従来のSEMと比較したときのHPSEMの利点は、HPSEMが、生体サンプルなどの湿ったサンプル、および従来のSEMの高真空条件下では画像化することが難しいと思われる他のサンプルの電子−光学像を形成する可能性を提供する点である。HPSEMは、サンプルをその自然状態に維持する可能性を提供し、サンプルは、従来のSEMを使用した研究では通常必要な乾燥、凍結または真空コーティングの不利な要件にさらされない。HPSEMの他の利点は、イオン化された画像化ガスが、プラスチック、セラミック、ガラスなどの絶縁サンプル上に蓄積する傾向がある電荷の中和を容易にする点である。
【0006】
HPSEMでは一般に、「ガス増幅(gas amplification)」として知られるプロセスを使用して2次電子が検出される。ガス増幅では、2次荷電粒子が電場によって加速され、画像化ガス中のガス分子と衝突して追加の荷電粒子を生み出し、生み出された荷電粒子は別のガス分子と衝突して、別の追加の荷電粒子を生成する。このカスケード(cascade)は、検出器の電極において非常に多数の荷電粒子が電流として検出されるまで続く。いくつかの実施形態では、サンプル表面からの2次電子がそれぞれ、ガス圧および電極構成に応じて、例えば20個超、100個超または1,000個超の追加の電子を生成する。
【0007】
HPSEMは、圧力制限開口(pressure−limiting aperture:PLA)を使用して集束カラム(focusing column)内を高真空に維持することにより、高ガス圧の領域をサンプルチャンバに限定する。ガス分子は1次電子ビームを散乱させる。そのため、圧力制限開口は、1次ビームの妨害を低減させるために電子ビームが高圧領域内を移動する距離を最小化し、同時に、2次電子信号の十分なガス増幅が得られる十分な移動距離を提供するように配置される。
【0008】
米国特許第4,785,182号に記載のHPSEMは、圧力制限開口を有する真空エンベロープ(envelope)と、真空エンベロープ内に位置し、電子を放出することができる電子ビーム源と、真空エンベロープ内に位置し、電子ビーム源によって放出された電子ビームを、圧力制限開口を通して誘導することができる集束レンズと、真空エンベロープ内に位置し、電子ビームを走査することができるビーム・デフレクタと、高真空エンベロープの外側に置かれたサンプルプラットホームを含み、ガスに包まれたサンプルを所望の圧力に維持することができるサンプルチャンバとを備える。
【0009】
HPSEMは湿った生体サンプルを観察することができるが、このような観察にまつわる問題が依然として存在する。例えば、水和した材料を室温または体温で観察したときには、サンプルチャンバ内の全ての表面において水が凝縮する傾向がある。このような凝縮はHPSEMの動作を妨害し、腐食および汚染を引き起こす可能性がある。
【0010】
電子ビーム、イオン・ビームなどの荷電粒子ビームを使用して、サンプルをエッチングする、またはサンプルの表面に材料を付着させるための化学反応を誘起させることもできる。このようなプロセスは例えば、「Electron Beam Processing」という名称のMucil他の米国特許第6,753,538号に記載されている。基材(substrate)の存在下で処理ガスと相互作用して化学反応を生成するこの荷電粒子ビームのプロセスは、「ビーム・ケミストリ(beam chemistry)」と呼ばれる。本明細書で使用されるとき用語「処理」は、エッチング、付着などサンプル表面を改変する処理と、画像化の両方を含む。用語「処理ガス」は、画像化のために使用されるガス、または荷電粒子ビームととともに使用されてサンプルを改変するガスを含むために使用される。用語「画像化ガス」は、画像化のために使用されるガスを含むために使用される。これらのガスの種別は相互排除ではなく、一部のガスは、サンプルを改変するためと像を形成するための両方の目的に使用することができる。例えば、水蒸気は、炭素を含むサンプルをエッチングするために使用することができ、他の材料を含むサンプルの像を形成するために使用することができる。
【0011】
従来のHPSEMは、効率的なビーム・ケミストリに対してあまりよく適合されていない。HPSEMシステムをビーム・ケミストリに使用することの1つの問題は、ガスを導入し、サンプルチャンバからガスを排出するのに相当な時間を要することである。従来のHPSEMのサンプルチャンバは、リーク弁(leak valve)によってそこからガスが導入されるガス注入口を含む。ガスは次いでサンプルチャンバ全体に移動する。ガス分子の一部はPLAを通ってカラム内へ漏れ、カラムを低圧に維持する真空ポンプによって除去される。注入口リーク弁は、PLAを通ってカラム内へ漏れるガスがリーク弁を通して導入されるガスとぴったり一致することによって所望の平衡圧が達成されるように調整される。HPSEMは一般に、平衡が達成された後でなければサンプルの処理を開始しない。ガスが平衡圧に達するには相当な時間がかかり、ビーム・ケミストリ前駆体の蒸気圧がサンプルチャンバの所望の動作圧と同様である場合には特にそうである。一般的なデュアル・ビーム・システムにおいて使用されるものなどの30リットルの大容積サンプルチャンバでは、処理ガスの分圧が平衡に達するのに最大30分かかることもある。
【0012】
複数の処理ガスをサンプルチャンバ内へ注入することをプロセスが含むとき、この問題はより大きくなる。一般に、ニードル弁の下流のチャンバ側に圧力計がある。この圧力計はサンプルチャンバ内の全圧を測定し、混合ガス中の複数の処理ガスの分圧を別々に測定することはできない。したがって、それぞれのガスの所望の分圧が達成されたことを知ることは難しい。
【0013】
従来のSEM、FIBまたはデュアル・ビーム・システムでビーム・ケミストリ処理を実行するとき、システム・オペレータは一般に、材料をエッチングしまたは付着させることによって処理する領域に到達するため、サンプルの荷電粒子ビーム像を得る。ビーム処理操作を実行した後、オペレータは一般に、プロセスの結果を評価するため、そのサンプルの別の荷電粒子ビーム像を得る。HPSEMでは一般に処理と画像化に異なるガスが使用されるため、この画像化、処理、画像化のシーケンスでは、チャンバ内のガスを複数回取り替える必要があることになる。一部の処理ガスが画像化中もチャンバ内に留まる場合には、画像化操作中に、ビームによってサンプルが意図せずに改変される可能性がある。1つのガスを完全に排出し、次いで別のガスで平衡圧を得るのに相当な時間がかかるため、このような多ステップ操作はHPSEMでは実用的でない。ビーム・ケミストリに使用される一部のガスの分子は、真空チャンバ壁における吸着時間が非常に長い傾向があり、完全に蒸発するのにより長い時間がかかる傾向があるため、場合によってはこの時間はさらに長くなる。
【0014】
ShahのGB2186737は、走査電子ビーム機器内で使用する試料チャンバを記載している。サンプルは、水分吸収パッドを含む試料台の上に載せられる。サンプルが乾燥しないようにするため、周囲ガス源に接続された注入口ダクトが、パッドからチャンバ内へ水分を運ぶ。試料台で検出された電流から得られた像のコントラストを向上させるため、サンプルの近くに配置された電極が、いずれかの符号の電荷キャリヤをチャンバから除去することを可能にする。
【0015】
ビーム・ケミストリに対して一般にHPSEMが使用されない他の理由は、腐食性の処理ガスがHPSEMの構成要素を劣化させることがあるためである。例えば、ビーム・ケミストリに関連したある種の処理ガスはプラスチック管と自然に反応し得るので、人間の健康にとって非常に危険である。XeF
2のようなガスは、プラスチック・ガス管をもろくし、ついには周囲環境への危険なガスの漏出を引き起こしうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4,785,182号
【特許文献2】米国特許第6,753,538号
【特許文献3】GB2186737
【特許文献4】米国特許第6,972,412号
【特許文献5】米国特許出願第60/787,847号
【特許文献6】米国特許第6,452,315号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Proc.SPIE 第4344巻(2001年)、835ページ
【非特許文献2】http://www.evactron.com
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、高圧荷電粒子ビーム・システム内での荷電粒子ビーム処理を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、高圧荷電粒子ビーム・システム内でサンプルを処理する、すなわちサンプルを改変し、画像化する方法および装置を含む。
【0020】
本発明の実施形態は、高圧荷電粒子ビーム処理の間、サンプルがその中に配置される小室(セル(cell))を含む。この小室は、処理に必要なガスの量を減らし、それにより迅速な導入、排気、ガス間の切替えおよび処理モードと画像化モードとの間の切替えを可能にする。いくつかの実施形態は、迅速な導入、排気および小室内のガス間の切替えをさらに容易にするように接続された、1つまたは複数のガス注入口およびガス排出口を含む。ガス注入口は、複数のガス源間の迅速な選択のために1つまたは複数の弁を含むことができる。いくつかの実施形態では、HPSEMのサンプルチャンバ内に小室が配置される。小室内に処理ガスを保持することは、サンプルチャンバおよびカラムがガスと接触することを防ぐ。いくつかの実施形態では、小室がサンプルチャンバの代わりをする。いくつかの実施形態では、小室壁およびサンプルの温度を制御することができる。
【0021】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をよりいっそう理解できるように、本発明の実施形態の特徴および技術的利点をやや幅広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点が説明される。このような等価の構成は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0022】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関連して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ピンホール・レンズ・カラムとともに使用されるサンプル小室を含む、粒子−光学装置の一実施形態を示す図である。
【
図2】イマージョン・レンズ・カラムとともに使用されるサンプル小室を含む、粒子−光学装置の一実施形態を示す図である。
【
図3】粒子−光学装置内で使用されるサンプル小室の他の実施形態を示す図である。
【
図4A】ガス注入口およびガス排出口を調節することによってサンプルチャンバ内のガス圧を平衡させる方法を示す流れ図である。
【
図4B】ガス注入口およびガス排出口を調節することによってサンプルチャンバ内のガス圧を平衡させる方法を示す流れ図である。
【
図5】非局所的な処理を含む処理を示す流れ図である。
【
図6】付着前駆体ガスとエッチング前駆体ガスの混合物を含む処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
さまざまな実施形態は、画像化およびビーム・ケミストリ用のHPSEMシステムに関連した問題のうちの1つまたは複数の問題を解決することができる。ビーム・ケミストリに対してHPSEMを使用することにはいくつかの利点がある。比較的に低い流束の前駆体分子が基材に到達する速度によって処理速度が限定される高真空SEMビーム・ケミストリ処理とは違い、HSPEM内での高電子流束での処理はそのようには限定されない。さらに、HPSEMは、処理中に電荷の中和を提供する。いくつかの処理ガスでは、1次ビーム電流密度を変化させることによって、サンプルに対する効果を、エッチングから付着に変更することができる。さらに、小室背景圧力を測定することによって、サンプルの圧力を明白に測定することができる。
【0025】
本発明の実施形態は、荷電粒子ビーム処理のためにその中にサンプルが配置された小室を使用する。小室は一般に、荷電粒子ビーム・システムのサンプルチャンバ内に配置されるが、サンプルチャンバ自体を小室として構築することもできる。圧力制限開口が、小室の外側の圧力をより低く維持する。従来の高真空SEMチャンバの内側に小室を配置して、HPSEM処理能力を提供することができ、またはHPSEMサンプルチャンバの内側に小室を配置して、より高い圧力能力および腐食性ガスを使用する能力を提供することができる。
【0026】
小室の容積は一般に、一般的な先行技術のHPSEMサンプルチャンバの容積よりもかなり小さく、それにより、所望の処理圧力を達成するのに必要なガス量を低減させる。小室内のガス量は比較的に小さいため、従来のサンプルチャンバよりも速く、ガスを導入し、排出し、小室内で分配することができる。小室内にガスを含むことは、処理ガスによる腐食などの不利な影響からサンプルチャンバおよび電子集束カラムを保護し、その一方で、ガスによる不利な影響を受けない材料から小室を構築することができる。小室は、サンプルチャンバ内の汚染からサンプルを保護する。小室は使い捨てとすることができ、このことは、極めて反応性の高いガスが使用されるときに有利である。
【0027】
いくつかの実施形態では、小室がガス注入口およびガス排出口を含み、ガス排出口は真空ポンプと直接または間接に連通する。サンプル空間が、PLAを通して集束カラム内へだけ排気される先行技術のHPSEMとは違い、小室内のガス排出口を使用する実施形態は、小室のより迅速な充填および排気を提供する。いくつかの実施形態では、ガス排出口と同じライン上に配置されたリーク弁が、操作中にガスが小室を出ることを可能にする。したがって、ガス排出口は、チャンバを通るガス流量およびチャンバ内の圧力の追加の制御レベルを提供する。先行技術のHPSEMシステムでは、PLAの直径が、他の要因のうちでも特に視野およびガス内のビーム分散によって支配されるため、PLAの直径を制御することによってガス圧および流量を容易に制御することはできない。さらに、先行技術では、ガスの注入速度が前駆体ガスの蒸気圧によって制限され、用途によっては、ガスの費用のために、前駆体ガスの消費を制限することが好ましいため、チャンバ内への流れを制御することによってサンプルチャンバ内の圧力を常に容易に制御できるわけではない。
【0028】
小室内の圧力は、ガス注入口を通した小室内への流量、ガス排出口を通した小室からの流量、およびPLAを通したガス漏れの結果である。真空ポンプに接続されたガス排出口は、ガスを迅速に取り替えることを可能にし、新しく導入されたガスの所望の分圧においてシステムが迅速に平衡に達することを可能にするガス流量を提供することができる。いくつかの実施形態では、ビーム処理の間、ガスが小室の中を流れるように、ビームがサンプルを処理または画像化している間、ガス排出口が部分的に開いていることが好ましい。他の実施形態では、ガス排出口がなく、小室内の圧力が、小室内への流量およびPLAを通した流量によって決定される。
【0029】
小室内の圧力をより高く維持するPLAをビーム軸と整列させることができるように、小室は、可動プラットホーム上に取り付けられることが好ましい。サンプル上の着目領域をビームの下に配置することができるように、サンプルは、小室内の可動ステージ上に配置されることが好ましい。
【0030】
いくつかの実施形態では、ガス注入口に接続された弁アセンブリが、複数のガス源の中から小室に供給される1つまたは複数のガス源を選択することを可能にする。他の実施形態では、ガスが別々に小室に入り、小室内で混ざり合うことができるように、小室内へ入る複数のガス注入口が提供され、これらのガス注入口はそれぞれ1つまたは複数のガス源に接続される。ガスの混合物で小室を満たすため複数のガスを同時に選択することができ、または逐次的にガスを導入することができる。例えば、ガス増幅および電荷中和は提供するが、サンプル表面は実質的に改変しない画像化ガスを選択することができる。荷電粒子ビームによって活性化されたときにエッチングまたは付着によってサンプルを改変する処理ガスを選択することができる。このような処理ガスの一部はさらに画像化のためのガス増幅を提供し、このような処理ガスの他のものは、低圧条件下で、「ブラインド(blind)」ビーム・ケミストリ処理だけを提供する。すなわち、それらの処理ガスは、明瞭な像を生成する十分なガス増幅を提供しない。複数のガス注入口は例えば、電子ビーム誘起付着物の炭化水素含量を最小化するために酸化ガスが使用されるときに有用である。例えば、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金などの白金付着前駆体を1つの注入口を使用して注入し、O
2、H
2OまたはN
2Oなどの炭素エッチング前駆体を第2の注入口を使用して注入することができる。小室を洗浄して粘着性の処理ガスの除去を助けるため、窒素などの洗浄ガスを選択することができる。付着前駆体の例は、タングステンヘキサカルボニル、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金、TEOS、TMOS、スチレンおよびヘキサンを含む。エッチング前駆体は、塩素、臭素、XeF
2、O
2、H
2OおよびN
2Oを含む。全圧を増大させ、画質および電荷制御を向上させるため、N
2などのガスを追加することができる。
【0031】
複数のガスを同時に使用すると有利な用途は数多くある。例えば、ビーム・ケミストリ付着またはエッチングのために1つのガスを使用することができ、その間に、画像化を改善するために第2のガスが追加される。いくつかの用途では、エッチングのために1つのガスを提供することができ、それと同時に、付着のための別のガスが提供される。このような用途の一例を後に説明する。画像化を改善するため、エッチングおよび付着ガスに第3のガスを追加することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、小室壁の温度を制御することができる。いくつかの実施形態では、サンプルの温度を制御することができる。いくつかの実施形態では、小室壁の温度とサンプルの温度の両方を制御することができ、いくつかの実施形態では、小室壁の温度とサンプルの温度を独立に制御することができる。小室壁およびサンプルの温度制御は加熱または冷却を含むことができる。例えば、付着速度を高めるためにサンプルを冷却することができ、付着の純度を上げるためにサンプルを加熱することができる。
【0033】
処理後の粘着性の前駆体ガスの除去を容易にするため、小室壁およびサンプルの温度を変化させることもできる。例えば、いくつかの用途では、エッチング、付着または画像化中に、小室壁が、サンプルよりも高い温度に維持される。小室壁からガス分子を離脱させて、小室の迅速な清浄化を容易にするために、エッチングまたは付着の後、小室からガスが排出されるときに、小室壁の温度をさらに増大させることができる。小室壁およびサンプルを「スクラビング(scrubbing)」することによって清浄化時間をさらに短縮するために、壁および/またはサンプルが加熱されている間に、窒素などのガスで小室を洗浄することもできる。後続の処理のため、次いで、壁の温度をより低い温度に戻すことができる。スクラビングは、低温、例えば50°Cで自然に分解する前駆体分子を除去するのに特に有用である。
【0034】
室温または体温で湿った材料を画像化するとき、または他の処理をするときには、小室壁において水分が凝縮する傾向がある。小室壁を加熱することによって水蒸気の凝縮を防ぐことができる。ガス搬送ラインを加熱することによって、室温蒸気圧が低いため加熱を必要とする前駆体ガスの凝縮によって引き起こされる詰まりを防ぐことができる。したがって、いくつかの実施形態は、抵抗コイルによって加熱されたスリーブ、温または熱流体がその中を流れる外ジャケットなどの機構を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、小室の外側の第2のPLAが、集束カラムと小室の間の領域を画定する。この領域をサンプルチャンバの一部とすることができ、またはこの領域を、この小室PLAを通して漏れる処理ガスの排出を可能にする別個の領域とすることができ、それにより集束カラム内へ漏れるガス量を低減させて、収差および化学的に活性なガスによるカラムの腐食を低減させることができる。
【0036】
図1は、ピンホール磁気対物レンズ102と、ステージ108上のサンプル106を比較的に高い圧力に維持するサンプル小室104をその内部に有するサンプルチャンバ103とを備える粒子−光学装置100の好ましい一実施形態の断面図を示す。粒子源(図示せず)は、上部PLA112およびコーン(cone)116の底の下部PLA114を通過する1次電子ビーム110を供給する。PLA114は、電子集束カラム内へのガス洩れを最小化するため500μm未満の直径を有することが好ましい。コーン116は、小室104内のガス中の電子ビーム110の経路を短くする。サンプルから放出された2次電子120は、小室104内に構築され、小室104内での検出を可能にするように配置された2次電子検出器122によって検出される。
【0037】
前述のGB2186737とは違い、この実施形態は、サンプルステージから離して配置された検出器122を使用し、ステージ電流を使用しない。検出器122とサンプルとの間の距離は、電子とガスとが衝突して、電子電流を相当に増幅する十分な電子経路を提供する。例えば、サンプルを出た電子1個あたり、一般に300個超、500個超または1000個超の電子が検出器122に到達する。検出器122は、このガス・カスケード内の電荷の流れによって誘起された電流を検出して、像を形成する。他の実施形態では、カスケードから放出された光子を検出して像を形成する光子検出器を使用することができる。光子は、励起されたイオン、フラグメント粒子(fragment)または中性粒子(neutral)によって、ガス中で、あるいはサンプル小室またはサンプルチャンバの内側の表面と接触したときに放出される。
【0038】
ガス注入口124およびガス排出口126は、サンプル小室104内の処理ガスまたは画像化ガスの流量および圧力を調節する。ガス排出口126は、リーク弁128を通して粗引きポンプ(図示せず)に接続される。弁128を通した制御された漏れ、およびサンプルチャンバ103の容積に比べて比較的に小さい小室104の容積は、異なる処理ガス間の迅速な切替え、例えばHPSEMビーム・ケミストリ・モードとHPSEM画像化モードとの間の切替えを提供する。粒子−光学装置100は、比較的に高圧で、すなわち20トール(26ミリバール)を超える圧力で機能することができる。粒子−光学装置100は、50トール(65ミリバール)以上の圧力で機能することができることが好ましい。より高い圧力は、より高い最大処理速度、ならびに水和した材料を室温および体温で画像化する能力を提供する。いくつかの実施形態では、小室104の圧力が10ミリトール超、サンプルチャンバ103の圧力が10ミリトール未満である。
【0039】
針の形態を有する2次電子検出器122は、サンプル106と2次電子検出器122との間でガス分子と衝突して、2次電子信号を増幅するイオン化カスケードを生成する2次電子を引きつけるため、好ましくは100V超、より好ましくは300V超、最も好ましくは約500ボルトに電気的にバイアスされる。コーン116と、コーンの外側に配置される2次電子検出器122のこの構成との組合せは、十分な2次電子信号増幅を提供するガス内の十分な2次電子経路を可能にし、同時にガス内を通過する1次電子経路を短く維持する。サンプルから検出器までの2次電子の経路は、好ましくは2mm超、より好ましくは5mm超、よりいっそう好ましくは10mm超である。光学的に透明な窓134は、窓134とサンプル106の間に配置されたレンズ136を使用する光学顕微鏡(図示せず)によって、ユーザがサンプルを観察することを可能にする。光学窓134は、システム100に広い視野を提供し、なおかつ短いガス経路長およびカラム内への低いガス洩れ量を提供することを可能にし、このことは、分解能および像信号対雑音比を向上させ、腐食性ガスからカラムを保護する。
【0040】
ガス注入口124は、1つまたは複数の処理ガス供給装置144、画像化ガス供給装置146などの複数のガス供給装置間の迅速な切替えを可能にする弁装置140を含む。ダクト150は、PLA114を通過したガスの排出を可能にし、それにより上部PLA112よりも上のカラムの圧力をより低く維持するのを助ける。小室104をその内部に載置する従来のHPSEMまたは低圧SEMのステージとすることができるステージ148は、PLA114が電子ビーム110の軸と整列するように小室104の位置を調整することを可能にし、ステージ108は、サンプル106の着目領域を電子ビーム110の下に配置することができるように、小室104内でのサンプル106の移動を可能にする。小室104内のガスがサンプルチャンバ103に入ることを防ぐため、Viton Oリング、Teflonシールなどのシール152が、レンズ102と小室104の間の気密シールを提供することが好ましい。シール152を、サブ・チャンバとサンプルチャンバ103との間のガス流動制限の役目を果たす小さな隙間によって形成された非気密シールとすることもできる。
【0041】
本発明は、小室内でガス・カスケード検出器を使用することに限定されない。ガス・ルミネセンス検出器、PLAの周囲に配置されたスルー・ザ・レンズ(through−the−lens)型検出器など、従来の検出器を使用することもできる。スルー・ザ・レンズ型検出器では、最終レンズを通して2次粒子を引き戻すために電圧が印加され、引き戻された2次粒子を、マルチチャネル・プレート、シンチレータ光電子増倍管などのオン軸(on−axis)またはオフ軸(off−axis)収集システムによって検出することができる。
図1は、2次電子は1次ビームの軸から離して検出器156内へ偏向させ、1次ビーム110は偏向なしに通過させる、ウィーン・フィルタなどの任意選択の2次電子デフレクタ154を示す。
【0042】
図2は、
図1の粒子光学装置100と同様のHPSEMである粒子光学装置200の断面図を示す。システム200は、サンプルチャンバ203内にサンプル小室202を含む。小室202内の圧力をサンプルチャンバ203内の圧力よりも高く維持するため、サンプル小室202とレンズ204の間にシール152が形成される。下部PLA205は、小室202内のガス圧を、レンズ204の内部の圧力よりも高い値に維持する。上部PLA112は、レンズよりも上の集束カラム内の圧力をより低く維持する。粒子光学装置200はイマージョン・レンズ204を使用し、米国特許第6,972,412号または米国特許出願第60/787,847号に記載されているものなどの検出器208を備えた1つまたは複数のプレート206を含む。これらの文献はともに本発明の譲受人に譲渡されており、参照によって本明細書に組み込まれる。このような検出器は高圧においては低い効率を有するため、
図2の実施形態は、
図1に示された実施形態の検出器よりも低い圧力の方がより良好に機能する。検出器208は、電場と磁場の組合せを使用して2次電子経路の長さを大きくし、それにより、サンプル106と検出器208との間の短い距離においてガス信号増幅を増大させることが好ましい。サンプルを光学顕微鏡(図示せず)で観察することができるように、小室202内の光学的に透明な窓210は、検出器プレート206の導電性の透明部分212とともに、観察用の窓を提供する。導電性の透明部分212は例えば、インジウムスズ酸化物などの透明な導電性コーティングでコーティングされたガラスまたは石英を含むことができる。装置200では、装置100と同様に、弁128を通した制御された漏れ、およびサンプルチャンバ203の容積に比べて比較的に小さい小室202の容積は、異なる処理ガス間の迅速な切替え、例えばHPSEMビーム・ケミストリ・モードとHPSEM画像化モードとの間の切替えを提供する。
【0043】
図3は、より大きなサンプルチャンバ304の内側にはまるハウジング302を含む、荷電粒子ビーム・システム300の断面図を示す。ハウジング302は、サンプルチャンバ304に対して開いた内側部分308と、細い方の端に上部PLA314を有するコーン312と、サンプル小室316とを含む。操作中の内側部分308の圧力は一般にサンプルチャンバ304の圧力と同じである。サンプル小室316の内容積および表面積はサンプルチャンバ304に比べて小さい。システム300は、ガス注入口320、注入口リーク弁322、ガス排出口324および排出口リーク弁326を含み、排出口リーク弁326は、示されているようにサンプルチャンバ304へ排気することができ、または粗引きポンプ(図示せず)へ排気することができる。制御された排出口漏れおよび小さなサンプル小室の容積は、HPSEMビーム・ケミストリ・モードとHPSEM画像化モードとの間の迅速な切替えを可能にする。上部PLA314は、内側部分308から集束カラム内へのガスの流入を制限し、コーン312は、内側領域308の高圧内の1次ビームの経路長を短くする。下部PLA330は、1次ビーム110が小室316内のサンプル106に衝突することを可能にする。PLA330とサンプル106とが近接していることは、小室316から、内側部分308、サンプルチャンバ304または他の場所にある1つまたは複数の検出器に、2次粒子332およびX線338を出現させる大きな出口角を、PLA330がサンプル106のところに提供することを意味する。PLA330は500マイクロメートル以下の直径を有することが好ましく、サンプルの低倍率光学画像化を可能にする光学的に透明な膜の中に収容されることが好ましい。
【0044】
2次電子検出器340は、サンプルチャンバ304から内側部分308内へ延び、PLA330の上方のある位置に末端を有する。検出器340は針の形態を有し、比較的に高圧で使用するのに適する。上部PLA314および下部PLA330を電子ビーム110の軸と整列させることができるようにハウジング302を整列させるため、サンプルチャンバ304の内側において、従来のSEMサンプルステージなどのハウジング・ステージ342が使用される。さらに、小室316の内側に、処理のためサンプル106の着目領域を電子ビーム110の軸の下に配置する小室サンプルステージ344が含まれる。小室の温度とは独立にサンプルの温度を制御することができるように、小室サンプルステージはハウジング302から断熱されることが好ましい。このことは例えば体温でサンプルを画像化するのに有利である。
【0045】
小室壁346とサンプル106の温度は独立に制御できることが好ましい。小室内壁346の表面でガスが凝縮することを防ぎ、粘着性の分子をできるだけ速く壁から脱離させるため、小室壁346を、サンプル106よりも高温に維持することができる。壁346は例えば、抵抗加熱コイルによって、無線周波エネルギーによって、あるいは放射に対して透明な小室の窓を通した赤外または紫外放射によって加熱することができる。紫外放射などのある種の放射は、サブ・チャンバの加熱以外の機構によって分子の脱離速度を加速することができる。サンプル106の温度を小室壁346とは独立に制御することができるように、サンプルステージ344を小室316から断熱することができる。操作中の小室316内の圧力は一般に、サンプルチャンバ304内の圧力よりも高い。
【0046】
注入口弁322はニードル弁であることが好ましい。低い蒸気圧を有する前駆体分子の凝縮または付着によって引き起こされる詰まりを防ぐため、注入口弁322およびガス源(図示せず)と小室316の間の配管を加熱することができると好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、ガス源が加熱された水蒸気源であり、水蒸気源と小室316の間の加熱されたパイプおよび弁が、配管および弁内での水の凝縮を防ぐ。小室316は、高処理速度および高品質画像化を容易にする50Pa以上の圧力を維持することが好ましいが、さまざまな用途に対してより低圧が有用なこともある。
【0047】
図を分かりやすくするため、それぞれの実施形態では全ての特徴が図示されているわけではない。
図1〜3に示された実施形態は、加熱された小室壁、断熱されたステージなど異なる特徴を含むが、1つの実施形態の特徴を他の実施形態に組み込むことができる。上記のどの実施形態においても、損傷を防ぎ、環境へ排出される可能性を排除するため、処理ガスと接触する装置の部分が、ステンレス鋼または他の耐食材料から形成されることが好ましい。
【0048】
処理の再現性を保証し、サンプルを処理した後の合理的な時間の間に、追加の改変を引き起こすことなくサンプルを画像化する能力を保証するためには、時定数、すなわち小室からガスを排出するときに圧力が約63.2%低下するのに要する時間が比較的に短くなければならない。好ましい実施形態では、この時定数が、好ましくは約10秒未満、より好ましくは約1から約10秒、最も好ましくは約1秒または1秒未満である。先行技術のHPSEMシステムでは一般にこのような短い時定数を達成することはできない。なぜなら、ガスはPLAを通ってカラム内へ出ていくが、カラム内の圧力を低減させるため集束カラムへ流入する流量が意図的に最小限に抑えられるためである。PLA以外を通るガス排出口を提供することによって、PLAを比較的に小さく、例えば500μm未満にすることができ、排気時定数を比較的に小さくすることができる。
【0049】
図4Aおよび4Bは、システムを操作する本発明の一実施形態に基づく方法を示す。
図4Aのステップ400は、サンプル小室の表面温度をサンプルの温度よりも高く維持するため小室の内壁の表面を加熱すること、および任意選択で、サンプルステージを通してサンプルを加熱することを含む。ステップ402では、第1の処理ガスまたは第1の画像化ガスを、ガス注入口を通して、第1のガス注入口流量でサンプル小室内へ搬送する。ステップ404では、このガスを、サンプルチャンバから、第1のガス排出流量で除去する。このガスは、小室に接続されたガス排出口を通して除去され、ガス排出口は、圧力制限開口以外を通る排出口であることが好ましい。ガスは例えば、リーク弁を通してガス排出口に接続された粗引きポンプによって除去することができる。小室内の平衡圧は、ガス注入口流量、ガス排出流量、および圧力制限開口を通して小室からカラム内へ流入する流量によって決定される。高蒸気圧ガス源については、ステップ404をステップ402と同時に開始することができ、低蒸気圧源については、排出口弁を開く前に、ある時間の間、ガスを小室内へ流入させることができるようにし、それによって小室内の圧力がより急速に増大することを可能にすることができる。
【0050】
ステップ406では、荷電粒子ビーム集束カラム内の圧力よりも高いサンプル小室内の所望の平衡圧を達成するため、第1のガス注入口流量および第1のガス排出流量を変更する。システムの特性付けがなされた後には、特定の平衡圧を達成するために必要な弁の位置を知ることができ、初期設定後の調整を省略することが可能であることもある。あるいは、所望の平衡圧を生み出すように、注入口および排出口弁をコンピュータ制御することもできる。ステップ408では、小室内のサンプルを処理するため、荷電粒子ビーム集束カラムおよび圧力制限開口を通して荷電粒子ビーム、好ましくは電子ビームを誘導する。
【0051】
処理の任意の段階において、ガスは、複数のガスまたは複数のガス分子種を含むことができる。例えば、電子ビーム誘起付着は、3.5Paのスチレン分圧および22.5Paの窒素分圧を使用することができる。これらのガスは試料チャンバに同時に搬送することができる。ニードル弁を使用して流量を制御することができる。最初に、N
2流量制御弁を、使用される基材の帯電を安定させるのに必要は圧力である、およそ22.5Paの定常状態試料チャンバ圧力を達成するように調整する。次いで、スチレン流量制御弁を開いて、全圧をおよそ26Paに増大させる。
【0052】
1つの処理段階が完了した後、別の処理ステップのためにガスを取り替えることができる。ステップ410では、小室内へのガス搬送を終了させ、PLAおよび/またはガス排出口を通してガスを小室から除去し続ける。ステップ412では、小室内側の表面からのガス分子の脱離を助けるため、ガスを除去しているときに、小室内壁の温度またはサンプルの温度あるいはその両方を、任意選択で増大させることができる。
図4Bの任意選択のステップ416では、前のガスの残りを小室から除去するのをさらに助けるため、スクラバ(scrubber)・ガス、例えばN
2をガス注入口を通して供給する。ステップ418では、任意選択で、小室内のプラズマによって小室の内側をクリーニングする。プラズマによるクリーニングは、小室を迅速にクリーニングすることができ、ガスを切り替えるのに要する時間を短縮することができる。プラズマ・クリーニングは当技術分野では知られており、例えば米国特許第6,452,315号、Proc.SPIE 第4344巻(2001年)、835ページ、およびhttp://www.evactron.comに記載されている。
【0053】
ステップ420では、ガス注入口弁内に第2のガスを導入する。ステップ422では、第1のガス排出流量でサンプル小室からガスを除去し続ける。ステップ420で第1のガスから第2のガスへ切り替えた後、ステップ424は、荷電粒子ビーム集束カラム内の圧力よりも高い、サンプル小室内の第2のガスの平衡圧を達成するため、第2のガス注入口流量および第2のガス排出速度を変更することを含む。ステップ426では、サンプルに向かって荷電粒子ビームを誘導する。例えば、ステップ402で小室内へ注入するガスを前駆体ガスとすることができ、ステップ408は、前駆体ガスと電子ビームとの相互作用によってサンプルを付着させまたはエッチングすることを含むことができる。ステップ420は、窒素、水蒸気などの画像化ガスを搬送することを含むことができ、ステップ426は、ビームを使用して、サンプルの像を形成することを含むことができる。
【0054】
前述のさまざまなステップの順序、およびそのステップを含めるかどうかは、使用されるガスによって異なる。例えば、より粘着性の分子は、より長い除去時間、ならびに小室壁の加熱、スクラバ・ガスまたはプラズマ・クリーニング操作を必要とすることがある。一部の画像化ガスなど比較的に不活性なガスは、小室の加熱も、または除去用のガスも必要としないことがある。
【0055】
非局所的な処理、すなわち荷電粒子ビームによって誘起されたものではなく、ビーム衝突位置に隣接する領域に限定されないエッチングまたは付着に対しても、本発明を使用することができる。前駆体の熱分解に必要な温度よりも高いサンプル温度をセットすると、サンプルの付着またはエッチングが起こる。これは例えば、それによって単一の真空チャンバ内のより完全な処理を可能にする多ステップ処理の1つのステップとして有用であることがある。単一の真空チャンバ内での処理は、複数回の通気および排気ステップに固有の非効率性、ならびにサンプルが真空チャンバを出るときに導入される汚染を排除する。
【0056】
例えば、
図5は、第1のガスを小室内へ導入するステップ502を示す。分かりやすくするため、
図5は、
図4に既に示したガスを導入し、切り替える操作の詳細を示さない。ステップ504では、サンプルを処理するため荷電粒子ビームを誘導する。例えば、ステップ502で導入する第1のガスは付着前駆体ガスとすることができ、ステップ504では、前駆体ガスを分解して、荷電粒子ビームが誘導された位置に正確なパターンで材料を付着させるために、電子ビームまたはイオン・ビームをサンプルに誘導することができる。
【0057】
ステップ506では、第1のガスを除去し、第2のガスを導入する。第2のガスは例えば、別の付着前駆体ガスまたはエッチング前駆体ガスとすることができる。ステップ508では、第2のガスを活性化させるのに十分なエネルギーがサンプル表面に提供される温度にサンプルを加熱する。第2のガスは例えば、サンプルの表面にコーティングを付着させるために活性化された付着前駆体ガスとすることができる。このサンプルの表面温度が、前駆体ガスを分解する活性化エネルギーを提供するため、このコーティングはサンプルの表面全面に付着する。第2のガスを、サンプル表面をエッチングするエッチング・ガスとすることもできる。例えば、第2のガスは、ステップ504で付着させた材料をエッチングするよりも速くサンプル表面の材料を選択的にエッチングすることができ、そのため、ステップ504で付着させた材料は、表面を覆うエッチング・マスクの働きをする。サンプルは、ステップ604で材料が付着しなかったところだけがエッチングされる。
【0058】
ステップ510では、チャンバ内のガスを活性化させる十分なエネルギーを表面が提供しない温度まで、サンプルを冷却させる。サンプルは、小室内を流れるガスによる対流によって、任意選択でサンプルを冷却する冷却ユニットを含むことができるサンプルステージを通した伝導によって、または放射によって冷却することができる。ステップ512では、第2のガスを除去し、第3のガスを導入する。サンプルを冷却するのと同時に第2のガスを除去し、第3のガスを導入することができる。ステップ514では、第3のガスとの反応を誘起させるため、サンプル表面に荷電粒子ビームを誘導する。第3のガスは例えば、ステップ508で付着させたカバー層にパターンをエッチングするエッチング前駆体ガスとすることができ、または、荷電粒子ビームと連携して、パターン形成された材料を付着させる付着前駆体ガスとすることができる。
【0059】
本発明は、従来の電子ビーム誘起付着、特にHPSEM電子ビーム誘起付着中に起こる意図的でない非局所的な付着を排除する有用な手段を提供することもできる。例えば、エッチング前駆体ガスと付着前駆体の両方を含むガス混合物を使用し、(i)付着前駆体の解離エネルギーよりも低い解離エネルギーを有し、(ii)電子ビーム誘起付着の付着物の化学エッチングは引き起こすが、基材のエッチングは引き起こさないエッチング前駆体を選択することによって、意図的でない非局所的な付着を低減させまたは排除することができる。
図6は手順の一例を示す。
【0060】
ステップ602では、エッチング前駆体ガスと付着前駆体ガスの混合物を含むガスを小室内へ導入する。好ましいエッチング前駆体ガスは例えば、付着前駆体の解離エネルギーよりも低い解離エネルギーを有し、電子ビーム誘起付着の付着物を選択的にエッチングするが、基材はエッチングしない。前述のとおり、1つまたは複数のガス注入口を通してガスを導入し、1つのまたはガス排出口を通してガスを除去することによって、それぞれのガスの所望の分圧が維持される。排出口の1つは、PLAを通して集束カラム内へ入る排出口以外の排出口であることが好ましい。
【0061】
ステップ604では、このガス混合物環境内のサンプルに荷電粒子ビームを誘導する。ステップ606では、ガス排出口を通して小室からガス混合物を除去する。ステップ608では、小室壁に吸着した前駆体ガスを脱離させるために小室壁を加熱し、ステップ610では、残った前駆体ガスをチャンバから洗浄するのを助ける洗浄ガスを導入する。いくつかの実施形態では、プラズマを使用して、小室壁に吸着した前駆体ガス分子を迅速に除去することができる。
【0062】
荷電粒子ビームの存在下でさまざまな材料を選択的にエッチングしまたは付着させるのに有効な付着およびエッチング前駆体はよく知られている。前駆体ガス分子は、以下のグループのうちの1つまたは複数のグループに含まれる:有機物(organic)、金属有機物(metalorganic)、有機金属(organometalic)、有機ハロゲン化物、芳香族化合物、アミン、ホスフィン、ハロゲン化物、塩化物、フッ化物、金属ハロゲン化物、金属塩化物、金属フッ化物、金属水素化物、シランおよびオルガノシラン。荷電粒子ビームの存在下でのエッチングには例えば、ヨウ素、塩素、二フッ化キセノンなど多くのハロゲンまたはハロゲン化合物が使用される。同様に、多くの付着前駆体が知られており、これらは例えば金属前駆体、例えばタングステンヘキスカルボニル、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金などの金属有機化合物を含む。絶縁前駆体はTEOSおよびTMOSを含むことができる。画像化ガスはN
2、H
2O、N
2OおよびArを含むことができる。
【0063】
本発明の実施形態は、ガス−サンプル反応を比較的に受動的に観察するためにビームが使用される用途にも適する。その例は、化学蒸着(CVD)および金属有機化学蒸着(MOCVD)におけるような付着前駆体の熱分解、および熱によって反応が開始される触媒反応プロセスを含む。
【0064】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換および改変を実施することができることを理解されたい。例えば、いくつかのシステムでは、主サンプルチャンバの内側の小室として環境チャンバを配置するのではなしに、小さな環境チャンバをより大きなサンプルチャンバの代わりに使用することができる。荷電粒子ビームは、イオン・ビームおよび電子ビームとすることができる。フェムト秒レーザなどのレーザを本発明とともに使用することもできる。二フッ化キセノンなどのハロゲン化合物およびタングステンヘキサカルボニルなどの有機金属化合物を含む、荷電粒子ビームまたはレーザとともに使用することができる任意の処理ガスを本発明とともに使用することができる。出願人らは、電子ビーム誘起付着の純度が、先行技術の電子ビーム誘起付着よりも向上することを見出した。
【0065】
さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者は、本発明の開示から、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たし、または実質的に同じ結果を達成する、現存しまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップを、本発明に従って利用することができることを容易に理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図される。