特許第5758718号(P5758718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アスモ株式会社の特許一覧

特許5758718ステータ、モータ、導体の製造方法、ステータの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758718
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】ステータ、モータ、導体の製造方法、ステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20150716BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20150716BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   H02K3/04 E
   H02K15/04 A
   H02K15/04 D
   H02K15/085
   H02K15/04 F
   H02K15/04 E
【請求項の数】9
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2011-140773(P2011-140773)
(22)【出願日】2011年6月24日
(65)【公開番号】特開2013-9523(P2013-9523A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2014年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】金原 良将
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昇泰
(72)【発明者】
【氏名】立岩 照久
(72)【発明者】
【氏名】川上 武進
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−516784(JP,A)
【文献】 特開2007−228756(JP,A)
【文献】 特開2004−357489(JP,A)
【文献】 特開2011−103759(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/020471(WO,A1)
【文献】 特開2001−211588(JP,A)
【文献】 特開2009−106051(JP,A)
【文献】 特開2001−268837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 15/04
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、
2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体と
を有し、
1つのスロットに複数の他の導体の足を挿入し、1つのスロットを、挿入した各足にて内側から第1層足、第2層足、第3層足及び第4層足となる積層構造に配置するとともに、前記コアの軸方向の一端側に前記各導体の連結部が位置し、軸方向の他端側に前記導体の2つの足の先端が位置するように、前記導体を前記コアのスロットに挿入したステータであって、
前記足が同一スロットに挿入される複数の導体は、その連結部が少なくとも周方向から見て互いにラップし
前記異なるスロットには、2つのU字状の導体がそれぞれ挿入され、その2つのU字状の導体の連結部の頂点を同一にしており、
前記2つのU字状の導体は、それぞれの連結部における互いに対向する側面に凹部を設け、各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向する前記U字状の導体の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置された前記U字状の導体の端部から延びる1つの足は、周方向から見て対向する前記U字状の導体の2つの足の間に配置されていることを特徴とするステータ。
【請求項2】
請求項1に記載のステータにおいて、
前記2つのU字状の導体の内、一方のU字状の導体の一対の足は、前記第1層足と第3層足となり、他方のU字状の導体の一対の足は、前記第2層足と第4層足となることを特徴とするステータ。
【請求項3】
回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、
2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体と
を有し、
1つのスロットに複数の他の導体の足を挿入し、1つのスロットを、挿入した各足にて内側から第1層足、第2層足、第3層足及び第4層足となる積層構造に配置するとともに、前記コアの軸方向の一端側に前記各導体の連結部が位置し、軸方向の他端側に前記導体の2つの足の先端が位置するように、前記導体を前記コアのスロットに挿入したステータを備えたモータであって、
前記足が同一スロットに挿入される複数の導体の連結部が少なくとも周方向から見て互いにラップされているステータを備え
前記ステータは、前記異なるスロットに、2つのU字状の導体がそれぞれ挿入され、その2つのU字状の導体の連結部の頂点を同一にしており、
前記2つのU字状の導体は、それぞれの連結部における互いに対向する側面に凹部を設け、各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向する前記U字状の導体の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置された前記U字状の導体の端部から延びる1つの足は、周方向から見て対向する前記U字状の導体の2つの足の間に配置されていることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項に記載のモータにおいて、
前記2つのU字状の導体の内、一方のU字状の導体の一対の足は、前記第1層足と第3層足となり、他方のU字状の導体の一対の足は、前記第2層足と第4層足となることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のモータにおいて、
前記ステータの内側に配置されたロータは、コンシクエントポール型のロータであることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項のいずれか1つに記載のモータにおいて、
前記ステータの内側に配置されたロータがコンシクエントポール型のロータであって、そのロータコアの径方向位置に、ロータコア材より比重及び磁性が小さい小磁性軽量部を形成したことを特徴とするモータ。
【請求項7】
回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、
2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体と
を有し、
前記異なるスロットに、2つのU字状の導体をそれぞれ挿入するようにした導体の製造方法であって、
一定の長さに切断した導線をU字状に折り曲げ、円弧状に折り曲げられた部分を連結部とし、その連結部の両端部に一対の足を形成するU字状折り曲げ工程と、
前記連結部の一側面に凹部を形成する工程と、
前記U字状折り曲げ工程にて形成されるとともに前記凹部の形成されたU字状の導線を2つ用意し、2つのU字状の導線の連結部を、前記一対の足が形成する面に対して直交方向に重ねるとともに、2つのU字状の導線の各足を1列に並べる重ね合わせ工程と、
前記重ね合わせ工程にて重ねられた2つのU字状の導線の両連結部中央を保持し、前記連結部を境にして一側にある2つの足の組と他側にある2つの足の組とを、互いに異なる前記直交方向側に相対移動させて前記連結部をひねるひねり工程と
を有し
前記重ね合わせ工程では、前記2つのU字状の導線を、各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向するU字状の導線の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置されたU字状の導線の端部から延びる1つの足が、周方向から見て対向するU字状の導線の2つの足の間に配置されるように、重ね合わせることを特徴とする導体の製造方法。
【請求項8】
請求項に記載の導体の製造方法において、
前記ひねり工程は、前記各組の2つの足は、挿入されるスロットの径方向に配列されるように、前記連結部をひねり、一側にある2つの足の組と他側にある2つの足の組とを、互いに異なる前記直交方向側に相対移動させたことを特徴とする導体の製造方法。
【請求項9】
回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、
2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体と、を有し、
1つのスロットに複数の他の導体の足を挿入し、1つのスロットを、挿入した各足にて内側から第1層足、第2層足、第3層足及び第4層足となる積層構造に配置するとともに、前記コアの軸方向の一端側に前記各導体の連結部が位置し、軸方向の他端側に前記導体の2つの足の先端が位置するように、前記導体を前記コアのスロットに挿入したステータの製造方法であって、
前記連結部の一側面に凹部の形成されたU字状の導体2つ用意し、2つのU字状の導体の連結部を径方向に重ね、前記連結部を境にして一側にある2つの足の組と他側にある2つの足の組とを、周方向において互いに異なる方向に離間させて1つのセグメントとし、複数のセグメントを一側の組の足の組と他側の2つの足の組をそれぞれ対応するスロットに挿入する挿入工程と、
挿入工程にてスロットに挿入されたセグメントの各組の足において、当該スロットから軸方向に突出する各足の先端を周方向に折り曲げるとともに、径方向に隣接する他のセグメントの足の先端と接合する接合工程と
からなり、
前記挿入工程は、各セグメントを構成する2つの導体の両連結部の頂点が軸方向に一致するように、各セグメントをスロットに挿入されており、
前記挿入工程において前記2つのU字状の導体の連結部を径方向に重ねた状態では、2つのU字状の導体の各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向するU字状の導体の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置されたU字状の導体の端部から延びる1つの足が、周方向から見て対向するU字状の導体の2つの足の間に配置されているステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、モータ、導体の製造方法、ステータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ、例えば、ブラシレスモータにおいて、ステータにロータの磁極当たり多数の周方向スロットが形成され、その多数の周方向スロットにSC巻線を施したモータが種々提案されている(例えば、特許文献1)。このモータは、ロータの磁極当たりのスロット数が多くコギングトルクの低減を図ることができるとともに、スロット内の巻線の占有率が向上し、出力当たりのモータの体格が小さくすることが知られている。
【0003】
この特許文献1で開示されたステータに施したSC巻線は、2つの足と両者を繋げる連結部からなる2種類のU字状導線からなる分割導体(巻線用セグメント)を、ステータコアの各スロットに、軸線方向から挿入し、反対側を後工程において溶接等で接続して周方向連続巻線を形成する巻線である。
【0004】
分割導体(巻線用セグメント)を構成する2種類のU字状導線は、1本の導線を中央部分からU字状に折り曲げ、湾曲状に折り曲げられた部分を連結部とし、その連結部の両端部から延出形成された部分を足としている。そして、分割導体は、一方のU字状導線の連結部の内側面と一対の足の内側面で形成される空間内に、他方のU字状導線を嵌合させることによって形成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−98788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記分割導体(巻線用セグメント)は、一方のU字状導線が他方のU字状導線を内包する構成であるいため、一方のU字状導線の連結部と他方のU字状導線の連結部が、軸線方向において積層された構造になっていた。従って、一方及び他方のU字状導線の連結部が、軸線方向において積層された分だけ、コイルエンドが軸方向に突出する。その結果、ステータの軸線方向の全長が長くなり、ひいては、モータの体格が大きくなる問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、ステータの軸線方向の長さを短くできモータの体格を小さくすることができるステータ、モータ、導体の製造方法、ステータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体とを有し、1つのスロットに複数の他の導体の足を挿入し、1つのスロットを、挿入した各足にて内側から第1層足、第2層足、第3層足及び第4層足となる積層構造に配置するとともに、前記コアの軸方向の一端側に前記各導体の連結部が位置し、軸方向の他端側に前記導体の2つの足の先端が位置するように、前記導体を前記コアのスロットに挿入したステータであって、前記足が同一スロットに挿入される複数の導体は、その連結部が少なくとも周方向から見て互いにラップし、前記異なるスロットには、2つのU字状の導体がそれぞれ挿入され、その2つのU字状の導体の連結部の頂点を同一にしており、前記2つのU字状の導体は、それぞれの連結部における互いに対向する側面に凹部を設け、各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向する前記U字状の導体の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置された前記U字状の導体の端部から延びる1つの足は、周方向から見て対向する前記U字状の導体の2つの足の間に配置されている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、足が同一スロットに挿入される複数の導体の連結部を周方向においてラップさせたので、複数の導体の連結部が軸線方向においてラップ(積層)しない分だけ、軸線方向において短くでき、ステータを軸線方向に短くすることができる。その結果、モータの体格を小さくすることができる。
【0011】
また、2つの導体の連結部の頂点が軸線方向に一致するため、軸線方向において短くでき、ステータを軸線方向に短くすることができる。その結果、モータの体格を小さくすることができる。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のステータにおいて、前記2つのU字状の導体の内、一方のU字状の導体の一対の足は、前記第1層足と第3層足となり、他方のU字状の導体の一対の足は、前記第2層足と第4層足となる。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、ステータを軸線方向に短くすることができ、モータの体格を小さくすることができる。また、2つのU字状の導体は、同一形状にすることができ、部品管理が容易となる。
【0016】
請求項に記載の発明は、回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体とを有し、1つのスロットに複数の他の導体の足を挿入し、1つのスロットを、挿入した各足にて内側から第1層足、第2層足、第3層足及び第4層足となる積層構造に配置するとともに、前記コアの軸方向の一端側に前記各導体の連結部が位置し、軸方向の他端側に前記導体の2つの足の先端が位置するように、前記導体を前記コアのスロットに挿入したステータを備えたモータであって、前記足が同一スロットに挿入される複数の導体の連結部が少なくとも周方向から見て互いにラップされているステータを備え、前記ステータは、前記異なるスロットに、2つのU字状の導体がそれぞれ挿入され、その2つのU字状の導体の連結部の頂点を同一にしており、前記2つのU字状の導体は、それぞれの連結部における互いに対向する側面に凹部を設け、各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向する前記U字状の導体の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置された前記U字状の導体の端部から延びる1つの足は、周方向から見て対向する前記U字状の導体の2つの足の間に配置されている
【0017】
請求項に記載の発明によれば、モータの体格を小さくすることができる
【0018】
また、2つの導体の連結部の頂点が軸線方向に一致するため、軸線方向において短くでき、ステータを軸線方向に短くすることができる。その結果、モータの体格を小さくすることができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のモータにおいて、前記2つのU字状の導体の内、一方のU字状の導体の一対の足は、前記第1層足と第3層足となり、他方のU字状の導体の一対の足は、前記第2層足と第4層足となる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、ステータを軸線方向に短くすることができ、モータの体格を小さくすることができる。また、2つのU字状の導体は、同一形状にすることができ、部品管理が容易となる。
【0023】
請求項に記載の発明は、請求項3又は4に記載のモータにおいて、前記ステータの内側に配置されたロータは、コンシクエントポール型のロータである。
請求項に記載の発明によれば、マグネットの数を半減することができる。
【0024】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか1つに記載のモータにおいて、前記ステータの内側に配置されたロータがコンシクエントポール型のロータであって、そのロータコアの径方向位置に、ロータコア材より比重及び磁性が小さい小磁性軽量部を形成した。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、マグネットの数を半減することができるとともに、モータ全体の重量を軽量化することができる。
請求項に記載の発明は、回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体とを有し、前記異なるスロットに、2つのU字状の導体をそれぞれ挿入するようにした導体の製造方法であって、一定の長さに切断した導線をU字状に折り曲げ、円弧状に折り曲げられた部分を連結部とし、その連結部の両端部に一対の足を形成するU字状折り曲げ工程と、前記連結部の一側面に凹部を形成する工程と、前記U字状折り曲げ工程にて形成されるとともに前記凹部の形成されたU字状の導線を2つ用意し、2つのU字状の導線の連結部を、前記一対の足が形成する面に対して直交方向に重ねるとともに、2つのU字状の導線の各足を1列に並べる重ね合わせ工程と、前記重ね合わせ工程にて重ねられた2つのU字状の導線の両連結部中央を保持し、前記連結部を境にして一側にある2つの足の組と他側にある2つの足の組とを、互いに異なる前記直交方向側に相対移動させて前記連結部をひねるひねり工程とを有し、前記重ね合わせ工程では、前記2つのU字状の導線を、各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向するU字状の導線の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置されたU字状の導線の端部から延びる1つの足が、周方向から見て対向するU字状の導線の2つの足の間に配置されるように、重ね合わせる
【0026】
請求項に記載の発明によれば、2つの導体の連結部をラップさせることができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の導体の製造方法において、前記ひねり工程は、前記各組の2つの足は、挿入されるスロットの径方向に配列されるように、前記連結部をひねり、一側にある2つの足の組と他側にある2つの足の組とを、互いに異なる前記直交方向側に相対移動させた。
【0027】
請求項に記載の発明によれば、それぞれ異なるスロットへの挿入性が優れた導体を作ることができる。
請求項に記載の発明は、回転軸の中心軸に向かって延出形成されたティースが、前記中心軸を中心に周方向に等間隔に複数個配置され、前記ティースとティースとの間に形成される前記回転軸の軸線方向に延びる複数のスロットが形成されたコアと、2つの足とその2つの足を連結する連結部とからなり、前記コアのスロットに対し、予め定めたスロットピッチ及び径方向ピッチで前記2つの足がそれぞれ異なるスロットに挿入されるU字状の導体と、を有し、1つのスロットに複数の他の導体の足を挿入し、1つのスロットを、挿入した各足にて内側から第1層足、第2層足、第3層足及び第4層足となる積層構造に配置するとともに、前記コアの軸方向の一端側に前記各導体の連結部が位置し、軸方向の他端側に前記導体の2つの足の先端が位置するように、前記導体を前記コアのスロットに挿入したステータの製造方法であって、前記連結部の一側面に凹部の形成されたU字状の導体2つ用意し、2つのU字状の導体の連結部を径方向に重ね、前記連結部を境にして一側にある2つの足の組と他側にある2つの足の組とを、周方向において互いに異なる方向に離間させて1つのセグメントとし、複数のセグメントを一側の組の足の組と他側の2つの足の組をそれぞれ対応するスロットに挿入する挿入工程と、挿入工程にてスロットに挿入されたセグメントの各組の足において、当該スロットから軸方向に突出する各足の先端を周方向に折り曲げるとともに、径方向に隣接する他のセグメントの足の先端と接合する接合工程とからなり、前記挿入工程は、各セグメントを構成する2つの導体の両連結部の頂点が軸方向に一致するように、各セグメントをスロットに挿入されており、前記挿入工程において前記2つのU字状の導体の連結部を径方向に重ねた状態では、2つのU字状の導体の各連結部における前記凹部を挟んだ両端部のうち一方の端部が、対向するU字状の導体の前記凹部内に嵌合され、該凹部内に配置されたU字状の導体の端部から延びる1つの足が、周方向から見て対向するU字状の導体の2つの足の間に配置されている。
【0028】
請求項に記載の発明によれば、コアのスロットに巻線を容易に巻回できる
【0029】
また、軸線方向に短いステータを容易にできる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ステータの軸線方向の長さを短くできモータの体格を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態のブラシレスモータの断面図。
図2】第1実施形態のステータの断面図。
図3】第1実施形態の3相巻線の一部展開図。
図4】同じく3相巻線の一部展開図。
図5】(a)は反転用セグメントの斜視図、(b)は給電用セグメントの斜視図。
図6】凹部形成前の内側導体又は外側導体の斜視図。
図7】凹部形成前の内側導体又は外側導体の斜視図。
図8】(a)は内側導体と外側導体を重ね合わせた状態の巻線用セグメントの斜視図、(b)は内側導体と外側導体を重ね合わせた状態を示す正面図、(c)はひねり加工後の内側導体と外側導体の説明図、(d)は巻線用セグメントを構成する内側導体と外側導体を折り曲げた状態を示す斜視図。
図9】内側導体と外側導体を重ね合わせた状態の巻線用セグメントのひねり加工を説明する説明図。
図10】第1系統のU1相の巻線の一部展開図。
図11】同じく第1系統のU1相の巻線の一部展開図。
図12】巻線用セグメントの各導体部がスロットに挿入された状態を示す断面図。
図13】第1系統3相巻線の電気回路図。
図14】第2系統のU2相の巻線の一部展開図。
図15】同じく第2系統のU2相の巻線の一部展開図。
図16】第2系統3相巻線の電気回路図。
図17】コンシクエントポール型のロータを説明するための斜視図。
図18】コンシクエントポール型のロータコアを説明するための斜視図。
図19】ステータとロータを説明するための軸方向からみた正面図。
図20】第2実施形態の巻線用セグメントを構成する第1導体又は第2導体の斜視図。
図21】同じく第1導体又は第2導体の連結部の形状を説明するための斜視図。
図22】第1導体と第2導体を重ね合わせた状態の巻線用セグメントの斜視図。
図23】巻線用セグメントをひねり加工後の第1導体と第2導体の説明図。
図24】巻線用セグメントを構成する第1導と第2導体を折り曲げた状態を示す斜視図。
図25】第2実施形態の3相巻線の一部展開図。
図26】同じく3相巻線の一部展開図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明のモータをブラシレスモータに具体化した第1実施形態を図1図19に従って説明する。
【0033】
図1に示すように、ブラシレスモータ1のモータケース2は、有底筒状に形成された筒状ハウジング3と、該筒状ハウジング3のフロント側の開口部を閉塞するフロントエンドプレート4とを有している。また、筒状ハウジング3のリア側の外側には、収容ボックス5が取着されている。
【0034】
筒状ハウジング3の内周面には電機子としてのステータ6が固定されている。ステータ6は、図2に示すように、ステータコア7を備えている。ステータコア7は、円筒部8と該円筒部8から径方向内側に延びて周方向に複数設けられたティース9とを有する。
【0035】
本実施形態では、ティース9は、60個形成されている。従って、ティース9間に形成されるスロットSは60個形成され、その60個のスロットSは、円筒部8の中心軸線から見て6度の等角度の間隔に配置形成されている。尚、説明の便宜上、個々のスロットSについて個々に特定する必要があるとき、60個のスロットSを周方向に(リア側から見て時計回り方向に)連続した番号であるスロット番号「1」〜「60」を付けて説明する。
【0036】
図3及び図4に示すように、各スロットSには、U相、V相、W相のからなる3相巻線が巻回されている。図3及び図4では、周方向にスロットSのスロット番号「1」〜「60」を付している。
【0037】
各スロットSには、軸線方向の一側(リア側)から他側(フロント側)に向かってセグメントが挿入されて、そのセグメントを予め定めた規則に従って互いに接続することによって、各相の巻線が形成される。スロットSに挿入されるセグメントには、反転用導体RC、給電用導体PC、コモン用導体NC及び巻線用セグメント(分割導体)SGがある。
【0038】
反転用導体RCは、図5(a)に示すように、断面長方形状の1本の導線を円弧状に折り曲げ形成した導体であって、円弧状に折り曲げられた部分が連結部Cとなり、その折り曲げられた連結部Cの両端部から延びる部分がそれぞれ足Fとなる。ここで、連結部Cの両端部から延びる一対の足Fについて、一方の足Fを第2層足F2といい、一方の足Fを第3層足F3という。
【0039】
給電用導体PC及びコモン用導体NCは、図5(b)に示すように、反転用導体RCを連結部Cの中央部分で分断し、その半分である半円弧状の連結部Cと1本の足Fからなる導体である。ここで、給電用導体PCの1本の足Fを第4層足F4といい、コモン用導体NCの足Fを第1層足F1という。
【0040】
巻線用セグメントSGは、図8図9に示すように、内側導体ISと外側導体OSから構成されている。
巻線用セグメントSGを構成する内側導体IS及び外側導体OSは、図6に示すように、共に同一形状のU字状の導体であって、長い銅線よりなる導線を一定の長さに切断した導線を中央部分から円弧状に折り曲げる(U字状折り曲げ工程)ことによって形成される。そして、U字状に折り曲げ形成された内側導体IS及び外側導体OSは、円弧状に折り曲げられた部分が連結部Cとなり、その折り曲げられた連結部Cの両端部から延びる部分がそれぞれ足Fとなる。
【0041】
ちなみに、このように形成された内側導体IS又は外側導体OSは、この時点では、図5(a)に示す反転用導体RCと同一形状であって、その反転用導体RCとして使用することができる。また、このように形成された内側導体IS又は外側導体OSは、この時点で連結部Cの中央部分を分断することで、図5(b)に示す給電用導体PC及びコモン用導体NCとなる。
【0042】
続いて、図6に示すU字状に折り曲げ形成された内側導体IS及び外側導体OSは、図7に示すように、連結部Cの一側面の中央部を周方向に(一対の足Fが形成する面に対して直交する方向に)、プレス機等を使って曲げによって形成された(圧縮あるいは曲げにより形成してもよい)凹部Cdを形成する。凹部Cdの周方向から見た形状は、連結部Cの径方向の半分を嵌合する形状に形成されている。
【0043】
次に、凹部Cdを形成した内側導体IS及び外側導体OSを、互いに凹部Cdが向き合うように対峙させる。そして、内側導体ISの連結部Cに形成した凹部Cdに、外側導体OSの凹部Cdを嵌合させて、スロットSに挿入する前の巻線用セグメントSGが形成される(重ね合わせ工程)。このとき、内側導体IS及び外側導体OSは、図8(a)に示すように、凹部Cdにおいて連結部Cが互いに嵌合しラップした状態となって、内側導体ISの一対の足Fと、外側導体OSの一対の足Fが径方向に一直線上に配列される。
【0044】
しかも、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cが、軸線方向において重ならない構造となるため、図8(b)、図8(c)に示すように、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cの頂点Tは軸線方向において一致するとともに、内側及び外側導体IS,OSの各足Fの先端は一致する。
【0045】
ここで、スロットSに挿入前の巻線用セグメントSGにおいて、内側導体ISの一対の足Fについて、径方向内側の足Fを第1層足F1、径方向外側の足Fを第3層足F3という。また、外側導体OSの一対の足Fについて、径方向内側の足Fを第2層足F2、径方向外側の足Fを第4層足F4という。
【0046】
次に、図8(a)に示す、第1〜第4層足F1〜F4が径方向に一直線上に配列された巻線用セグメントSGを、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが6スロットピッチの間隔をおいてスロットSに挿入する。
【0047】
ここで、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが6スロットピッチの間隔でスロットSに挿入されるために、図8(a)に示す巻線用セグメントSGをひねり加工をする。
【0048】
ひねり加工は、図8(a)に示す巻線用セグメントSGについて、内側導体IS及び外側導体OSの連結部Cの頂点Tを同じ高さとさせた状態で、第1及び第2層足F1,F2、及び、第3及び第4層足F3,F4を互いに異なる前記直交方向に移動することによって行われる。
【0049】
詳しくは、図9に示すように、足Fと直交する直交面を有する規制板PL、及び、第1及び第2層足F1,F2を径方向に挿入する第1スロットS1が形成され外径面の寸法をF2とF3が挿入される間の値にした第1保治具H1、及び、該外径面に摺動する内径面を有するとともに第3及び第4層足F3,F4が径方向に挿入される第2スロットS2を形成した第2保治具H2を用いて行われる。
【0050】
内側導体IS及び外側導体OSの連結部Cは、その頂点Tを規制板PLの直交面に当接させ、かつ、第1及び第2層足F1,F2を第1保治具H1の第1スロットS1に挿入し、また、第3及び第4層足F3,F4を第2保治具H2の第2スロットS2に挿入し、この状態で、第1保治具H1と第2保治具H2を、それぞれ図9において反時計回り方向と時計回り方向に移動させ、ひねり加工が行われる。
【0051】
なお、第1保治具H1を固定し、第2保治具H2のみを時計回り方向に摺動してもよい。
規制板PL、第1及び第2保治具H1,H2等にてひねり加工されることによって、連結部C、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4は変形し、図8(c)に示すように、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが周方向において6スロットピッチの間隔に拡開される。このとき、図8(c)に示すように、第1層足F1と第2層足F2が径方向に一直線上に配列されるとともに、第3層足F3と第4層足F4も径方向に一直線上に配列されるようにひねり形成される。
【0052】
そして、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが6スロットピッチの間隔に拡開された状態で、対応するスロットSに挿入される(挿入工程)。なお、このひねり加工してスロットSに挿入する際、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cの頂点Tを規制板PL(図9参照)で挿入方向側に向かって荷重を加えた状態で挿入される。これによって、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cのコイルエンドの高さは同一となる。
【0053】
このように挿入された巻線用セグメントSGは、第1及び第2層足F1,F2の組が同一のスロットSに挿入され、第3及び第4層足F3,F4の組が前記第1及び第2層足F1,F2の組とは6スロットピッチ離れた隣接する同相のスロットSに挿入される。
【0054】
例えば、内側及び外側導体IS,OSについて、第1及び第2層足F1,F2の組をスロット番号「6」のスロットSに挿入したとき、第3及び第4層足F3,F4の組をスロット番号「12」のスロットSに挿入するようになっている。つまり、1つの巻線用セグメントSGの第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組は、6スロットピッチの間隔をおいて挿入されることになる。
【0055】
そして、第3及び第4層足F3,F4の組を挿入したスロット番号「12」のスロットSには、隣の巻線用セグメントSGの内側及び外側導体IS,OSの第1及び第2層足F1,F2の組が挿入される。さらに、その隣の巻線用セグメントSGは、自身の内側及び外側導体OS,ISの第3及び第4層足F3,F4の組をスロットS番号「18」のスロットSに挿入させる。
【0056】
順次同様な方法で、巻線用セグメントSGをスロットSに挿入することによって、9個目の巻線用セグメントSGの内側及び外側導体IS,OSの第3及び第4層足F3,F4が、スロット番号「60」のスロットSに挿入されて周回する。周回した9個の巻線用セグメントSGを互いに接続することによって1相分の巻線が形成される。
【0057】
従って、スロットSが60個あり6相分の巻線が形成されるため、U相、V相、W相の3相巻線が2つ(第1系統3相巻線と第2系統3相巻線)形成されることになる。ここで、第1系統3相巻線と第2系統3相巻線とをそれぞれ特定して説明するときは、第1系統3相巻線の各相をU1相、V1相、W1相とし、第2系統3相巻線の各相をU2相、V2相、W2相という。なお、スロットSの内周面は、インシュレータ10(図12参照)が形成され、巻線用セグメントSGとステータ6のステータコア7との間を電気的に絶縁している。
【0058】
本実施形態では、第1系統3相巻線と第2系統3相巻線の各相の巻線が使用するスロットSが、表1で示すように割り当てられている。
【0059】
【表1】

表1から明らかなように、第1系統3相巻線のU1相は、スロット番号が「60」、「6」、「12」、「18」、「24」、「30」、「36」、「42」、「48」、「54」のスロットSに、巻線が巻回(巻線用セグメントSGが挿入)されることがわかる。尚、図3に示すように、スロット番号が「60」、「6」のスロットSには、巻線用セグメントSGに代えて、U1相のための反転用導体RCが挿入されるようになっている。また、スロット番号が「6」のスロットSには、給電用導体PCが挿入されるとともに、スロット番号が「60」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入される。
【0060】
そして、第1系統3相巻線のV1相は、第1系統3相巻線のU1相の巻線に対して、2スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(巻線用セグメントSGが挿入)されることがわかる。同様に、図3に示すように、スロット番号が「56」、「2」のスロットSには、巻線用セグメントSGに代えて、V1相のための反転用導体RC、給電用導体PCが挿入されるようになっている。また、スロット番号が「2」のスロットSには、給電用導体PCが挿入されるとともに、スロット番号が「56」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入される。
【0061】
また、第1系統3相巻線のW1相は、第1系統3相巻線のU1相の巻線に対して、4スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(巻線用セグメントSGが挿入)されることがわかる。同様に、図3に示すように、スロット番号が「58」、「52」のスロットSには、巻線用セグメントSGに代えて、W1相のための反転用導体RCが挿入されるようになっている。また、スロット番号が「58」のスロットSには、給電用導体PCが挿入されるとともに、スロット番号が「52」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入される。
【0062】
ちなみに、第2系統3相巻線のU2相は、第1系統3相巻線のU1相の巻線に対して、1スロットピッチずれて、スロット番号が「1」、「7」、「13」、「19」、「25」、「31」、「37」、「43」、「49」、「55」のスロットSに巻線が巻回(巻線用セグメントSGが挿入)されることがわかる。尚、図4に示すように、スロット番号が「25」、「31」のスロットSには、巻線用セグメントSGに代えて、U2相のための反転用導体RCが挿入されるようになっている。また、スロット番号が「31」のスロットSには、給電用導体PCが挿入されるとともに、スロット番号が「25」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入される。
【0063】
また、第2系統3相巻線のV2相は、第2系統3相巻線のU2相の巻線に対して、2スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(巻線用セグメントSGが挿入)されることがわかる。同様に、図4に示すように、スロット番号が「33」、「39」のスロットSには、巻線用セグメントSGに代えて、V2相のための反転用導体RCが挿入されるようになっている。また、スロット番号が「39」のスロットSには、給電用導体PCが挿入されるとともに、スロット番号が「33」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入される。
【0064】
また、第2系統3相巻線のW2相は、第2系統3相巻線のU2相の巻線に対して、4スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(巻線用セグメントSGが挿入)されることがわかる。同様に、図4に示すように、スロット番号が「29」、「35」のスロットSには、巻線用セグメントSGに代えて、V2相のための反転用導体RCが挿入されるようになっている。また、スロット番号が「35」のスロットSには、給電用導体PCが挿入されるとともに、スロット番号が「29」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入される。
【0065】
そして、上記の条件で各スロットSに、巻線用セグメントSG、反転用導体RC、給電用導体PC及びコモン用導体NCが挿通されると、巻線用セグメントSG、反転用導体RC、給電用導体PC及びコモン用導体NCを折り曲げ形成して各相の巻線を形成する。
【0066】
ここで、巻線用セグメントSGの内側導体ISの折り曲げは、図8(d)の如く、スロットSから突出した部分の第1層足F1及び第3層足F3を、周方向において互いに離間する方向に折り曲げる。そして、スロットSから突出し互いに離間する方向に折り曲げられた第1及び第3層足F1,F3の部分を第1及び第3溶接部W1,W3という。
【0067】
一方、巻線用セグメントSGの外側導体OSの折り曲げは、スロットSから突出した部分の第2層足F2及び第4層足F4を、周方向において互いに近づく方向に折り曲げる。そして、スロットSから突出し互いに離間する方向に折り曲げられた第2及び第4層足F2,F4の部分を第2及び第4溶接部W2,W4という。
【0068】
そして、同相の巻線において、周方向に隣り合うセグメントSGの第3溶接部W3と第4溶接部W4とが溶接されるとともに、周方向に隣り合うセグメントSGの第1溶接部W1と第2溶接部W2とが溶接される(接合工程)。
【0069】
また、反転用導体RCの折り曲げは、スロットSから突出した部分の第2層足F2及び第3層足F3を、周方向において互いに同じ方向に折り曲げる。詳述すると、反転用導体RCの第2層足F2を、内側導体ISの第3層足F3と同じ方向に折り曲げる。一方、反転用導体RCの第3層足F3を、外側導体OSの第2層足F2と同じ方向に折り曲げる。
【0070】
ちなみに、スロットSから突出し同方向に折り曲げられた反転用導体RCの第2及び第3層足F2,F3の部分を第2及び第3溶接部W2,W3という。
そして、反転用導体RCの第2層足F2の第2溶接部W2は、同相の巻線において、周方向に隣り合うセグメントSGの内側導体ISの第1層足F1の第1溶接部W1と溶接される。また、反転用導体RCの第3層足F3の第3溶接部W3は、同相の巻線において、第2溶接部W2を溶接したセグメントSGの次に隣接したセグメントSGの内側導体ISの第1層足F1の第1溶接部W1と溶接される。
【0071】
また、給電用導体PCの折り曲げは、スロットSから突出した部分の足Fを、反転用導体RCの第3溶接部W3と離間する方向に折り曲げる。
コモン用導体NCの折り曲げは、スロットSから突出した部分の足Fを、反転用導体RCの第2溶接部W2に対して離間する方向に折り曲げる。
【0072】
(第1系統3相巻線)
次に、第1系統3相巻線について説明する。
ここで、反転用導体RC、給電用導体PC及びコモン用導体NC、9個のセグメントSGを使って、第1系統3相巻線の内のU1相の巻線の巻線方法について、図10及び図11に従って説明する。
【0073】
第1系統のU1相の巻線に使用されるスロットSは、表1に示すスロット番号のスロットSが割り当てられ、反転用導体RC、給電用導体PC及びコモン用導体NCと9個のセグメントSG1〜SG9が使用される。
【0074】
ここで、スロット番号「60」及び「6」のスロットSには、反転用導体RCが挿入される。また、スロット番号「60」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入されるとともに、スロット番号「6」のスロットSには、給電用導体PCが挿入される。
【0075】
スロット番号「6」及び「12」のスロットSには、1個目のセグメントSG1が挿入される。スロット番号「12」及び「18」のスロットSには、2個目のセグメントSG2が挿入される。スロット番号「18」及び「24」のスロットSには、3個目のセグメントSG3が挿入される。スロット番号「24」及び「30」のスロットSには、4個目のセグメントSG4が挿入される。
【0076】
さらに、スロット番号「30」及び「36」のスロットSには、5個目のセグメントSG5が挿入される。スロット番号「36」及び「42」のスロットSには、6個目のセグメントSG6が挿入される。スロット番号「42」及び「48」のスロットSには、7個目のセグメントSG7が挿入される。スロット番号「48」及び「54」のスロットSには、8個目のセグメントSG8が挿入される。スロット番号「54」及び「60」のスロットSには、9個目のセグメントSG9が挿入される。
【0077】
尚、反転用導体RC、各セグメントSG1〜SG9を各スロットSに挿入する際、後続するセグメントが所定のスロットSに挿入し易いように、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cを斜めにひねりながら挿入している。
【0078】
今、スロット番号「60」のスロットSには、9個目のセグメントSG9の第3層足F3と第4層足F4が配置され、反転用導体RCの第2層足F2、コモン用導体NCの第1層足F1が配置される。スロット番号「6」のスロットSには、1個目のセグメントSGの第1層足F1と第2層足F2が配置され、反転用導体RCの第3層足F3、給電用導体PCの第4層足F4が配置される。
【0079】
スロット番号「12」には、U1相用の1個目の巻線用セグメントSG1が挿入されている。これによって、スロット番号「12」のスロットSには、1個目の巻線用セグメントSG1の第3層足F3と第4層足F4が配置されている。このとき、スロット番号「12」のスロットSには、2個目の巻線用セグメントSG2の第1及び第2層足F1,F2が配置される。
【0080】
つまり、図12に示すように、スロットSに、径方向に内側から第1層足F1、第2層足F2、第3層足F3、第4層足F4の順に、4層構造(径方向積層構造)となって配置されている。
【0081】
そして、給電用導体PCの第4溶接部は、9個目の巻線用セグメントSG9の第3層足F3(スロット番号「60」に貫挿した第3層足F3)の第3溶接部W3と溶接される。また、コモン用導体NCの第1溶接部は、8個目の巻線用セグメントSG8の第3層足F3(スロット番号「54」に貫挿した第3層足F3)の第3溶接部W3と溶接される。
【0082】
反転用導体RCの第3溶接部は、1個目の巻線用セグメントSG1の第4層足F4(スロット番号「12」に貫挿した第4層足F4)の第4溶接部W4と溶接される。また、反転用導体RCの第2溶接部は、1個目の巻線用セグメントSG1の第1層足F1(スロット番号「6」に貫挿した第1層足F1)の第1溶接部W1と溶接される。
【0083】
1個目の巻線用セグメントSG1の第2溶接部W2は、2個目の巻線用セグメントSG2の第1層足F1(スロット番号「12」に貫挿した第1層足F1)の第1溶接部W1と溶接される。また、1個目の巻線用セグメントSG1の第3溶接部W3は、2個目の巻線用セグメントSG2の第4層足F4(スロット番号「18」に貫挿した第4層足F4)の第4溶接部W4と溶接される。
【0084】
同様な工程を繰り返すことによって、図10及び図11に示すU1相の巻線が形成される。
第1系統3相巻線の他のV1相,W1相の巻線もU1相の巻線と同様な方法で巻回される。このとき、各相のコモン用導体NCのリア側の連結部Cを中性点端子T0u,T0v,T0wとするとともに、各相の給電用導体PCのリア側の連結部Cを電力受電端子T1u,T1v,T1wとする。
【0085】
そして、これら中性点端子T0u,T0v,T0wは、互いに接続することによって、3相Y結線の中性点N1(図13参照)となる。また、電力受電端子T1u,T1v,T1wは、各相の電力を受電する電力受電端子となる。これによって、図13に示すような電気回路からなる3相Y結線の第1系統3相巻線が形成される。
【0086】
尚、図中、「L1」は、電力受電端子T1u,T1v,T1wからそれぞれの巻線が周回し、それぞれ反転用導体RCまでのインダクタンスを示す。また。「L2」は、それぞれその反転用導体RCから、それぞれの各中性点端子T0u,T0v,T0wまでのインダクタンスを示す。
【0087】
(第2系統3相巻線)
次に、第2系統3相巻線について説明する。
第2系統3相巻線は、第1系統3相巻線と同様に3相Y結線である。そして、第2系統の3相各巻線は、第1系統の対応する3相各巻線と1スロットピッチずれて各スロットSにそれぞれ巻回される。
【0088】
従って、図14図15に示すように、第2系統のU2相巻線は、第1系統のU1相巻線に対して、1スロットピッチずれて各スロットSにそれぞれ巻回される。
第2系統のU2相の巻線に使用されるスロットSは、表1に示すスロット番号のスロットSが割り当てられ、反転用導体RC、給電用導体PC及びコモン用導体NCと9個の巻線用セグメントSG1a〜SG9aが使用される。
【0089】
ここで、スロット番号「25」及び「31」のスロットSには、反転用導体RCが挿入される。また、スロット番号「25」のスロットSには、コモン用導体NCが挿入されるとともに、スロット番号「31」のスロットSには、給電用導体PCが挿入される。
【0090】
スロット番号「31」及び「37」のスロットSには、1個目の巻線用セグメントSG1aが挿入される。スロット番号「37」及び「43」のスロットSには、2個目の巻線用セグメントSG2が挿入される。スロット番号「43」及び「49」のスロットSには、3個目の巻線用セグメントSG3aが挿入される。スロット番号「49」及び「55」のスロットSには、4個目の巻線用セグメントSG4aが挿入される。
【0091】
さらに、スロット番号「55」及び「1」のスロットSには、5個目の巻線用セグメントSG5aが挿入される。スロット番号「1」及び「7」のスロットSには、6個目の巻線用セグメントSG6aが挿入される。スロット番号「7」及び「13」のスロットSには、7個目の巻線用セグメントSG7aが挿入される。スロット番号「13」及び「19」のスロットSには、8個目の巻線用セグメントSG8aが挿入される。スロット番号「19」及び「25」のスロットSには、9個目の巻線用セグメントSG9aが挿入される。
【0092】
そして、第1系統のU1相巻線と同様に、各巻線用セグメントSG1a〜SG10aが結線されて第2系統のU2相の巻線が形成される。また、第2系統3相巻線の他のV2相,W2相の巻線もU2相の巻線と同様な方法で巻回される。このとき、各相のコモン用導体NCのリア側の連結部Cを中性点端子T0ua,T0va,T0waとするとともに、各相の給電用導体PCのリア側の連結部Cを電力受電端子T2u,T2v,T2wとする。
【0093】
そして、これら中性点端子T0ua,T0va,T0waは、互いに接続することによって、3相Y結線の中性点N2(図16参照)となる。また、電力受電端子T2u,T2v,T2wは各相の電力を受電する電力受電端子となる。これによって、図16に示すような電気回路からなる3相Y結線の第1系統3相巻線が形成される。
【0094】
尚、図中、「L1」は、電力受電端子T2u,T2v,T2wからそれぞれの巻線が周回し、それぞれ反転用導体RCまでのインダクタンスを示す。また。「L2」は、それぞれその反転用導体RCから、それぞれの各中性点端子T0ua,T0va,T0waまでのインダクタンスを示す。
【0095】
上記のように第1系統3相巻線と第2系統3相巻線が巻回されたステータ6の内側には、図1に示すように、ロータ11が配設されている。
ロータ11は、回転軸12に貫挿固着されている。回転軸12は、本実施形態では非磁性体の例えばステンレス材の金属シャフト(磁性体の例えば鉄鋼材であってもよい)であって、筒状ハウジング3のリアカバー壁3a及びフロントエンドプレート4に支持された軸受14,15により回転可能に支持されている。
【0096】
回転軸12に固着されたロータ11は、コンシクエントポール型構造のロータである。
ロータ11は、図17及び図18に示すように、鋼板よりなるロータコア片16aが複数積層されて形成されたロータコア16を有し、回転軸12に固着されている。なお、ロータコア片16aは、ステータコア片を打ち抜き形成する際にその内径側で共取りされたものであり、これらを積層してロータコア16を形成する。
【0097】
ロータコア16は、図18に示すように、円筒状に形成され回転軸12に固着される軸固定筒部21と、その軸固定筒部21の外周面を一定の間隔を開けて内包する磁石固定筒部22と、軸固定筒部21と磁石固定筒部22とを一定の間隔に連結保持する橋絡部23を有している。
【0098】
磁石固定筒部22の外周面には、周方向に5個の扇状の凹部22aが等角度に、軸方向に凹設されている。そして、扇状の凹部22aを形成することで、凹部22aと凹部22aの間に5個の突極24が形成される。
【0099】
周方向に形成された5個の凹部22aには、図17に示すように、マグネットMGが固着配置されている。5個のマグネットMGは、ロータコア16に対して、径方向において内側の面がN極に、径方向においてステータ6側の面がS極となるように配置される。
【0100】
その結果、マグネットMGに対し周方向に隣り合う突極24の外側面(ステータ6側)はマグネットMGの外側面と異なる磁極であるN極となる。
なお、本実施形態のロータ11に対するステータ6におけるティース9の個数「Z」は、以下のように設定している。
【0101】
すなわち、ロータ11のマグネットMGの個数(=極数対)を「p」(但し、pは2以上の整数)とし、巻線の相数を「m」とすると、
ティース9の個数「Z」は、「Z=2×p×m×n(個)」(但し、「n」は自然数)となるように構成されている。
【0102】
ちなみに、図19に示すように、本実施形態では、この数式に基づいて、ティース9の個数「Z」は、
Z=2×5(マグネットMGの個数)×3(相数)×2=60個
となる。
【0103】
軸固定筒部21と磁石固定筒部22とを連結保持する橋絡部23は、5個有し、各橋絡部23は軸固定筒部21の外周面から延出形成され、磁石固定筒部22の内周面と連結されている。5個の橋絡部23は、周方向に等間隔に配置され、その等間隔に配置された5個の橋絡部23は軸方向に沿って延出形成されている。
【0104】
また、各橋絡部23の磁石固定筒部22の内周面との連結は、マグネットMGを嵌合固着した凹部22aと対応した位置に連結される。しかも、各橋絡部23は、径方向に延びる橋絡部23の径方向の中心線がマグネットMGの周方向の幅の中心位置を直交するように連結されている。
【0105】
従って、軸固定筒部21の外側面と磁石固定筒部22の内側面との間に形成された空間は、周方向に配置された5個の橋絡部23にて5個に分割され、5個の軸方向に貫通した空隙25が形成される。
【0106】
空隙25は、積層鋼板によりなるロータコア材より比重及び磁性が小さいことから、ロータコア16は、この空隙25が形成されることによって軽量となり、モータ全体の重量を軽量化することができる。
【0107】
回転軸12を回転可能に支持するリア側の軸受14は、筒状ハウジング3のリアカバー壁3aに形成した軸受収容部31に支持されている。軸受収容部31の底面には貫通孔32が形成され、その貫通孔32から回転軸12の後端がリアカバー壁3aから突出するようになっている。
【0108】
一方、回転軸12を回転可能に支持するフロント側の軸受15は、フロントエンドプレート4に形成した軸受収容部33に支持されている。軸受収容部33の底面には貫通孔34が形成され、その貫通孔34から回転軸12の先端がフロントエンドプレート4から突出するようになっている。
【0109】
なお、本実施形態のブラシレスモータ1は、電動パワーステアリング装置等に用いられるものであって、前記ロータ11の回転軸12が、図示しない減速機に連結され、該減速機を介して被駆動部としての図示しないステアリングシャフト等の相手シャフトに連結され、同ステアリングシャフト等の相手シャフトを駆動するものである。
【0110】
筒状ハウジング3のリア側外側に固設した収容ボックス5内には、駆動装置50が収納されている。駆動装置50の回路基板51は、ロータ11の回転制御するための回転センサ52、ECU(電子制御ユニット)53、第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1w及び第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2w等の各種の回路素子が実装されている。
【0111】
回転センサ52は、リアカバー壁3aの軸受収容部31の貫通孔32から軸線方向に突出した回転軸12に相対向するように回路基板51に実装されている。回転センサ52は、本実施形態ではホールICからなり、回転軸12の軸端面に固着した同回転軸12と一体回転する検出用マグネット52aの回転角を検出する。
【0112】
ECU(電子制御ユニット)53は、マイクロコンピュータを有している。ECU53は、回転センサ52からの検出信号に基づいて、その時々のブラシレスモータ1の回転角度、回転速度等を検出する。そして、ECU53は、第1系統3相巻線及び第2系統3相巻線の各相へ電力供給タイミング演算する。
【0113】
第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wは、例えば、パワーMOSトランジスタからなり、ECU53の制御信号に基づいて、オンオフ制御されるようになっている。第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wは、所定のタイミングでオンオフ制御されることによって、第1系統3相巻線の各相に電力をそれぞれ供給制御する。これによって、第1系統3相巻線による回転磁界がステータ6に生成される。
【0114】
回路基板51に実装された第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wは、軸線方向から見て、第1系統3相巻線に形成した各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wと相対向する側に実装されている。そして、その回路基板51の第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wとそれぞれ接続され、軸線方向から見て電力受電端子T1u,T1v,T1wと相対向する前記回路基板51の径方向外周側の位置には、各相に電力を供給する出力端子O1u,O1v,O1wがそれぞれ形成されている。
【0115】
従って、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wから引き出される各引出線L1u,L1v,L1wは、リアカバー壁3aに形成した第1挿通穴35を貫通して各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wと各相に出力端子O1u,O1v,O1wとを軸線方向に最短距離でそれぞれ接続する。
【0116】
第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wは、例えば、パワーMOSトランジスタからなり、ECU53の制御信号に基づいて、オンオフ制御されるようになっている。第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wは、所定のタイミングでオンオフ制御されることによって、第2系統3相巻線の各相に電力をそれぞれ供給制御する。これによって、第2系統3相巻線による回転磁界がステータ6に生成される。
【0117】
回路基板51に実装された第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wは、軸線方向から見て、第2系統3相巻線に形成した各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wと相対向する側に実装されている。そして、その回路基板51の第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wとそれぞれ接続され、軸線方向から見て電力受電端子T2u,T2v,T2wと相対向する位置には、各相に電力を供給する出力端子O2u,O2v,O2wがそれぞれ形成されている。
【0118】
従って、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wから引き出される各引出線L2u,L2v,L2wは、リアカバー壁3aに形成した第2挿通穴36を貫通して各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wと各相に出力端子O2u,O2v,O2wとを軸線方向に最短距離でそれぞれ接続する。
【0119】
次に、上記のように構成した第1実施形態の作用について説明する。
今、同一形状の内側導体ISと外側導体OSを、凹部Cdが向き合うように対峙させ、内側導体ISの凹部Cdと、外側導体OSの凹部Cdを嵌合させて、図8(a)に示すスロットS挿入前の巻線用セグメントSGが形成される。
【0120】
このとき、内側導体ISと外側導体OSは、図8(a)に示すように、連結部Cが互いに嵌合しラップした状態となって、内側導体ISの第1及び第3層足F1,F3と、外側導体OSの第2及び第4層足F2,F4が径方向に一直線上に配列されることになる。しかも、このように形成された巻線用セグメントSGは、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cが、軸線方向において重ならない構造となる。その結果、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cの軸線方向の位置は互いに一致するとともに、内側及び外側導体IS,OSの各足Fの先端は互いに一致する。
【0121】
次に、図8(a)に示す挿入前の巻線用セグメントSGについて、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが6スロットピッチの間隔をおいてスロットSに挿入すべく、図9に示すように、規制板PL、第1及び第2保治具H1,H2等を使ってひねり加工し、連結部C、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4を塑性変形させる。これによって、巻線用セグメントSGは、図8(c)に示すように、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが周方向において6スロットピッチの間隔に拡開される。
【0122】
そして、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが6スロットピッチの間隔に拡開された状態で、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4を対応するスロットSにそれぞれ挿入する。この挿入の際、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cの頂点Tを軸方向に直交する平面を有する軸方向位置決めプレート(例えば、図9に示す規制板PL)の該平面に当接させておく。これによって、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cのステータコア7のフロント側からの突出はバラツキがなく同じ高さとなり、各足Fの先端位置もステータコア7のリア側からの突出もバラツキがなく同じ高さとなる。
【0123】
内側導体ISと外側導体OSからなる巻線用セグメントSGをそれぞれ対応する各スロットSに挿通すると、各巻線用セグメントSGについて、スロットSから突出した内側導体IS及び外側導体OSの部分を折り曲げ形成する。折り曲げによって、それぞれ第1〜第4層足F1〜F4に第1〜第4溶接部W1〜W4が形成される。
【0124】
そして、同相の巻線において、周方向に隣り合う巻線用セグメントSGの第3溶接部W3と第4溶接部W4とを溶接するとともに、周方向に隣り合う巻線用セグメントSGの第1溶接部W1と第2溶接部W2とを溶接する。これによって、各相の巻線が形成される。
【0125】
また、巻線用セグメントSGと合わせて挿入した各相の反転用導体RC、給電用導体PC、コモン用導体NCの第1〜第4溶接部W1〜W4を、それぞれ対応する他の第1〜第4溶接部W1〜W4と溶接することで、3相Y結線で構成される2系統3相巻線のステータ6が形成される。
【0126】
また、ブラシレスモータ1のロータ11はコンシクエントポール型のロータにしたことから、ロータ11に取着するマグネットMGを半減させている。また、ステータ6は巻線用セグメントSGにて2系統3相巻線を施しスロットS内の巻線の占有率が向上させている。しかも、ティース9の個数「Z」は、「Z=2×p×m×n(個)=60個」となるように設け、ロータ11の磁極当たりのスロットS数が多くコギングトルクの低減が図られている。
【0127】
次に、上記第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、巻線用セグメントSGを構成するU字状の内側及び外側導体IS,OSの連結部Cを周方向においてラップさせ、軸線方向においてラップ(積層)しないようにした。従って、連結部Cが軸線方向においてラップ(積層)しない分だけ、巻線用セグメントSGを軸線方向において短くできる。
【0128】
しかも、巻線用セグメントSGをスロットSに挿入した時、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cの頂点Tを、軸線方向において一致させた。従って、軸線方向が短いステータ6は、軸線方向が短くなり、ブラシレスモータ1の体格を小さくすることができる。
【0129】
(2)本実施形態では、巻線用セグメントSGを構成するU字状の内側及び外側導体IS,OSは、共に同一形状であるため、巻線用セグメントSGを構成する部品は1つとなり、線材料の低減ができるとともに部品管理が非常に容易となる。
【0130】
また、凹部Cdを形成する前の内側及び外側導体IS,OSは、反転用導体RCと同一形状となるため、反転用導体RCためだけのセグメントを製作する必要がなく、部品管理が容易となる。同様に、給電用導体PC及びコモン用導体NCは、反転用導体RCを半分に切断した形状であるため、給電用導体PC及びコモン用導体NCためだけのセグメントを製作する必要がなく、部品管理が容易となる。
【0131】
(3)本実施形態では、U字状の内側導体IS及び外側導体OSの連結部Cに凹部Cdを凹設した。従って、内側及び外側導体IS,OSの連結部Cをお互いに相手側の凹部Cdに嵌合させることによって、内側導体ISの第1及び第3層足F1,F3と外側導体OSの第2及び第4層足F2,F4とが径方向に一直線上に配列することができる。
【0132】
(4)本実施形態では、ひねり加工により、所定のスロットSに挿入されるように、事前に、巻線用セグメントSGの第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが6スロットピッチの間隔となるようにした。
【0133】
従って、巻線用セグメントSGの第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4を、スムーズに所望のスロットSに挿入することができ、スロットSへの巻線用セグメントSGの挿入作業が容易となる。
【0134】
また、巻線用セグメントSGをひねる際、内側及び外側導体IS,OSの両連結部Cの頂点Tに規制板PLを当て、同位置でしかも、同規制板PLにてフロント側に向かって平等に荷重が加えられて挿入されることから、第1〜第4層足F1〜F4の軸方向の長さのバラツキはなく同一となる。
【0135】
さらに、以上の如く形成された巻線用セグメントSGをスロットSへの挿入の際、連結部Cの頂点Tに軸方向のプレート(規制板PL等)を当てるので、連結部Cのステータコア7のフロント側から突出したバラツキがなく同じ高さとなり、各足Fの先端位置もステータコア7のリア側からの突出もバラツキがなく同じ高さとなる。
【0136】
(5)本実施形態によれば、ロータ11に空隙25を設けたので、積層鋼板によりなるロータコア材より比重及び磁性を小さくすることができ、ロータコア16を軽量にし、ブラシレスモータ1全体の重量を軽量化することができる。
【0137】
(6)本実施形態では、ロータ11を、コンシクエントポール型構造のロータで構成し、ので、マグネットMGの数を半減することができる。また、ロータ11に1つの磁極に対してステータ6のスロットSに数が多く構成したので、コギングトルクを低減することができる。
【0138】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図20図26に従って説明する。
第1実施形態は、巻線用セグメントSGが同一形状の内側導体ISと外側導体OSから構成されていた。これに対し、本実施形態は、その巻線用セグメントSGを構成する2つの導体の形状が互いに相違し、その相違に基づいてその3相Y結線よりなる巻線の結線方法に特徴を有するものである。
【0139】
そのため、説明の便宜上、巻線用セグメントSGの相違する部分とその巻線用セグメントSG間の結線方法について詳細に説明して共通の部分は省略する。
図20に示すように、本実施形態の巻線用セグメントSGを構成する第1導体DC1及び第2導体DC2は、それぞれ1本の所定の長さの導線を中央部分から折り曲げて形成されたU字状の導体である。第1導体DC1は、径方向において、第2導体DC2より一回りサイズが大きくなっている。
【0140】
詳述すると、第1導体DC1及び第2導体DC2について、円弧状に折り曲げられた部分を連結部Cとし、その連結部Cの両端部から延出形成された部分を足Fとする。このとき、第1導体DC1の連結部Cは、径方向において、第2導体DC2の連結部Cの外側に位置する形状である。また、第1導体DC1の一対の足Fは、径方向において、第2導体DC2の一対の足Fの外側に位置する形状である。さらに、第1導体DC1及び第2導体DC2は、軸線方向の長さはほぼ同じとなっていて、連結部Cの頂点T同士及び一対の足F同士がそれぞれ軸線方向において一致する。
【0141】
次に、第1導体DC1と第2導体DC2とを使って巻線用セグメントSGに製造方法について説明する。
第1導体DC1について、図21に示すように、その連結部Cを周方向に凹部Cdを形成する。詳述すると、第1導体DC1と第2導体DC2を周方向に重ねた時、その周方向から見て、第1導体DC1の連結部Cであって、第2導体DC2の連結部Cが重なる第1導体DC1の連結部Cの部分には、プレス機等を使って曲げによって(圧縮あるいは曲げにより形成してもよい)凹部Cdを形成する。そして、第1導体DC1の連結部Cに形成した凹部Cdの深さは、その凹部Cdの底面が、足Fの周方向の厚さのほぼ半分程度の深さに凹設され、第2導体DC2の連結部Cが嵌合するようになっている。
【0142】
一方、第2導体DC2は、その連結部C全体を一対の足Fに対して周方向に屈曲させる。詳述すると、一対の足Fに対する連結部C全体の屈曲は、図21に示すように、第1導体DC1の連結部Cに形成した凹部Cdの凹設方向と反対の方向に屈曲される。そして、第2導体DC2の連結部Cの屈曲度合いは、その屈曲前の連結部Cの頂点Tが、足Fの周方向の厚さのほぼ半分程度の位置まで達する程度に屈曲形成されている。
【0143】
次に、第1導体DC1と第2導体DC2を、互いに、周方向に向き合うように対峙させる。このとき、第2導体DC2の屈曲した連結部Cの屈曲方向が、第1導体DC1の凹部Cd側となるように、第1導体DC1と第2導体DC2を対峙させる。そして、第1導体DC1の連結部Cに形成した凹部Cdに、第2導体DC2の屈曲形成された連結部Cを嵌合させて、図22に示すスロットSに挿入する前の巻線用セグメントSGが形成される。
【0144】
なお、第1導体DC1と第2導体DC2は、表面が絶縁材で被膜され、第1導体DC1と第2導体DC2が電気的に導通しないようになっている。
これによって、第1導体DC1及び第2導体DC2の連結部Cがラップした状態となって、第1導体DC1の一対の足Fと、第2導体DC2の一対の足Fが径方向に一直線上に配列されることになる。そして、第1導体DC1の一対の足Fについて、径方向内側の足Fが第1層足F1となり、径方向外側の足Fが第4層足F4となる。一方、第2導体DC2の一対の足Fについて、径方向内側の足Fが第2層足F2となり、径方向外側の足Fが第3層足F3となる。
【0145】
しかも、このように嵌合された第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cは、軸線方向において重ならない構造となる。その結果、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cの軸線方向の位置は互いに一致するとともに、第1及び第2導体DC1,DC2の第1〜第4層足F1〜F4の先端は互いに一致する。
【0146】
そして、このように形成した第1及び第2導体DC1,DC2からなる巻線用セグメントSGを、上記した第1実施形態と同様に、上記表1の条件で対応するスロットSに挿通する。また、反転用導体RCa、給電用導体PCa及びコモン用導体NCa(いずれも図25図26参照)を、第1実施形態と同様に、上記表1の条件で対応するスロットSにそれぞれ挿入する。
【0147】
ここで、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが6スロットピッチの間隔でスロットSに挿入されるために、第1実施形態と同様に、図22に示す第1及び第2導体DC1,DC2からなる巻線用セグメントSGをひねり加工をする。
【0148】
ひねり加工は、第1実施形態と同様に、図9に示すように、規制板PL、第1及び第2保治具H1,H2を使ってひねり加工が行われる。
ひねり加工されることによって、連結部C、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4は変形し、図23に示すように、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが周方向において6スロットピッチの間隔に拡開される。このとき、図23に示すように、第1層足F1と第2層足F2が径方向に一直線上に配列されるとともに、第3層足F3と第4層足F4も径方向に一直線上に配列されるようにひねり形成される。
【0149】
そして、第1及び第2層足F1,F2の組と第3及び第4層足F3,F4の組とが6スロットピッチの間隔に拡開された状態で、対応するスロットSに挿入される(挿入工程)。なお、このひねり加工してスロットSに挿入する際、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cの頂点Tを規制板PLで挿入方向側に向かって荷重を加えた状態で挿入される。これによって、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cのコイルエンドの高さは同一となる。
【0150】
反転用導体RCaは、1本の所定の長さの導線を中央部分から円弧状に折り曲げて形成されたU字状の導体であって、円弧状に折り曲げられた部分を連結部とし、その連結部の両端部から延出形成された部分を足とする。この反転用導体RCaの一対の足は、第2層足F2と第4層足F4に対応させている。
【0151】
給電用導体PCaは、U字状の反転用導体RCaを連結部から半分に切断した形状である。この給電用導体PCaの1本の足は、第3層足F3に対応させている。
コモン用導体NCaは、同じくU字状の反転用導体RCaを連結部から半分に切断した形状である。このコモン用導体NCaの1本の足は、第1層足に対応させている。
【0152】
そして、上記の条件で各スロットSに、巻線用セグメントSG、反転用導体RCa、給電用導体PCa及びコモン用導体NCaが挿通される。その結果、各スロットSは、第1実施形態と同様に、図12に示すように、径方向に内側から第1層足F1、第2層足F2、第3層足F3、第4層足F4の順に、4層構造(径方向積層構造)となって配置されている。そして、スロットSに挿入された巻線用セグメントSG、反転用導体RCa、給電用導体PCa及びコモン用導体NCaを折り曲げ形成して各相の巻線を形成する。
【0153】
ここで、巻線用セグメントSGは、図24に示すように、第1導体DC1及び第2導体DC2を折り曲げ形成される。
第1導体DC1の折り曲げは、図24に示すように、スロットSから突出した部分の第1層足F1及び第4層足F4を互いに離間する方向に折り曲げる。そして、第1導体DC1の第1及び第4層足F1,F4について、スロットSから突出し互いに離間する方向に折り曲げられた部分を第1及び第4溶接部W1,W4という。
【0154】
一方、第2導体DC2の折り曲げは、図24に示すように、スロットSから突出した部分の第2層足F2及び第3層足F3を互いに近づく方向に折り曲げる。そして、第2導体DC2の第2及び第3層足F2,F3について、スロットSから突出し互いに近づく方向に折り曲げられた部分を第2及び第3溶接部W2,W3という。
【0155】
そして、同相の巻線において、周方向に隣り合う巻線用セグメントSGの第3溶接部W3と第4溶接部W4とを溶接するとともに、周方向に隣り合う巻線用セグメントSGの第1溶接部W1と第2溶接部W2とを溶接する。
【0156】
尚、反転用導体RCaの第2層足F2に相当する足の溶接部(第2溶接部W2に相当)は、隣接する巻線用セグメントSGの第1溶接部W1と溶接される。反転用導体RCaの第4層足F4に相当する足の溶接部(第4溶接部W4に相当)は、隣接する巻線用セグメントSGの第3溶接部W3と溶接される。
【0157】
そして、各コモン用導体NCaのリア側の連結部が各相の中性点端子T0u〜T0w,T0ua〜T0waとするとともに、各給電用導体PCaのリア側の連結部が各相の電力受電端子T1u〜T1w,T2u〜T2wとなる。これによって、図25図26に示す、3相Y結線で構成される2系統3相巻線からなるステータ6が形成される。
【0158】
次に、上記のように構成した第2実施形態の作用について説明する。
今、第1導体DC1と第2導体DC2を対峙させ、第1導体DC1の凹部Cdに第2導体DC2の連結部Cを嵌合させて、図23に示すスロットS挿入前の巻線用セグメントSGを形成する。
【0159】
このとき、第1導体DC1と第2導体DC2は、図23に示すように、連結部Cが互いに嵌合しラップした状態となって、第1導体DC1の第1及び第4層足F1,F4と、第2導体DC2の第2及び第3層足F2,F3が径方向に一直線上に配列されることになる。しかも、このように形成された巻線用セグメントSGは、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cが、軸線方向において重ならない構造となる。その結果、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cの軸線方向の位置は互いに一致するとともに、第1及び第2導体DC1,DC2の各足Fの先端は互いに一致する。
【0160】
次に、図23に示す挿入前の巻線用セグメントSGについて、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが6スロットピッチの間隔をおいてスロットSに挿入すべく、図9に示すように、規制板PL、第1及び第2保治具H1,H2等を使ってひねり加工し、連結部C、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4を塑性変形させる。これによって、巻線用セグメントSGは、図24に示すように、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが周方向において6スロットピッチの間隔に拡開される。
【0161】
そして、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが6スロットピッチの間隔に拡開された状態で、第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4を対応するスロットSにそれぞれ挿入する。この挿入の際、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cの頂点Tを軸方向に直交する平面を有する軸方向位置決めプレート(例えば、図9に示す規制板PL)の該平面に当接させておく。これによって、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cのステータコア7のフロント側からの突出はバラツキがなく同じ高さとなり、各足Fの先端位置もステータコア7のリア側からの突出もバラツキがなく同じ高さとなる。
【0162】
第1導体DC1と第2導体DC2からなる巻線用セグメントSGをそれぞれ対応する各スロットSに挿通すると、各巻線用セグメントSGについて、スロットSから突出した第1導体DC1及び第2導体DC2の部分を折り曲げ形成する。折り曲げによって、それぞれ第1〜第4層足F1〜F4に第1〜第4溶接部W1〜W4が形成される。
【0163】
そして、同相の巻線において、周方向に隣り合う巻線用セグメントSGの第3溶接部W3と第4溶接部W4とを溶接するとともに、周方向に隣り合う巻線用セグメントSGの第1溶接部W1と第2溶接部W2とを溶接する。これによって、各相の巻線が形成される。
【0164】
また、巻線用セグメントSGと合わせて挿入した各相の反転用導体RCa、給電用導体PCa、コモン用導体NCaの第1〜第4溶接部W1〜W4を、それぞれ対応する他の第1〜第4溶接部W1〜W4と溶接することで、3相Y結線で構成される2系統3相巻線のステータ6が形成される。
【0165】
次に、上記第2実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、巻線用セグメントSGを構成するU字状の第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cを周方向においてラップさせ、軸線方向においてラップ(積層)しないようにした。従って、連結部Cが軸線方向においてラップ(積層)しない分だけ、巻線用セグメントSGを軸線方向において短くできる。
【0166】
しかも、巻線用セグメントSGをスロットSに挿入した時、第1及び第2導体DC1,DC2の連結部Cの頂点Tを、軸線方向において一致させた。従って、軸線方向が短いステータ6は、軸線方向が短くなり、ブラシレスモータ1の体格を小さくすることができる。
【0167】
(2)本実施形態では、ひねり加工により、所定のスロットSに挿入されるように、事前に、巻線用セグメントSGの第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4とが6スロットピッチの間隔となるようにした。
【0168】
従って、巻線用セグメントSGの第1及び第2層足F1,F2と第3及び第4層足F3,F4を、スムーズに所望のスロットSに挿入することができ、スロットSへの巻線用セグメントSGの挿入作業が容易となる。
【0169】
また、巻線用セグメントSGをひねる際、第1及び第2導体DC1,DC2の両連結部Cの頂点Tに規制板PLを当て、同位置でしかも、同規制板PLにてフロント側に向かって平等に荷重が加えられて挿入されることから、第1〜第4層足F1〜F4の軸方向の長さのバラツキはなく同一となる。
【0170】
さらに、以上の如く形成された巻線用セグメントSGをスロットSへの挿入の際、連結部Cの頂点Tに軸方向のプレート(規制板PL等)を当てるので、連結部Cのステータコア7のフロント側から突出したバラツキがなく同じ高さとなり、各足Fの先端位置もステータコア7のリア側からの突出もバラツキがなく同じ高さとなる。
【0171】
(3)本実施形態によれば、第2導体DC2は、第1導体DC1より、一回り小さいので、第2導体DC2を製作するにあたって、その線材料の低減を図ることができる。
(4)本実施形態によれば、ロータ11に空隙25を設けたので、積層鋼板によりなるロータコア材より比重及び磁性を小さくすることができ、ロータコア16を軽量にし、ブラシレスモータ1全体の重量を軽量化することができる。
【0172】
(5)本実施形態では、ロータ11を、コンシクエントポール型構造のロータで構成し、ので、マグネットMGの数を半減することができる。また、ロータ11に1つの磁極に対してステータ6のスロットSに数が多く構成したので、コギングトルクを低減することができる。
【0173】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態では、内側導体IS及び外側導体OSの両連結部Cの頂点T、また、上記第2実施形態では、第1導体DC1及び第2導体DC2の両連結部Cの頂点Tをそれぞれ軸線方向に一致させたが、これに限定されるもではなく、両連結部Cが径方向にラップした状態であれば、両連結部Cの頂点Tがそれぞれ軸線方向に一致しなくてもよい。
【0174】
・上記各実施形態では、スロットSの数を60個にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、スロットSの数を45個にする等、適宜変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、上記実施形態ではロータ11に空隙25を形成したが、空隙25を形成しないロータに応用してもよい。
【0175】
・上記実施の形態では、マグネットMGの数は5個であったが、これに限定されるものではなく、2個、3個、または、それ以上であってもよい。勿論、ステータのスロットSの数を適宜変更して実施してもよい。
【0176】
・上記実施形態では、径方向に4本の第1〜第4層足F1〜F4が挿入されるステータ6としたが、これを第1〜第4層足F1〜F4の組を2組又は3組用いた8本の層足又は12本の層足が径方向に挿入されるステータであってもよい。
【0177】
・上記実施形態では、ステータ6は巻線用セグメントSGを挿入したSC巻線で実施したが、銅線等の巻線を巻回してなるステータに応用してもよい。
・上記実施形態では、モータとしてブラシレスモータ1に具体化したが、これをブラシ付きモータに具体化してもよい。
【0178】
・上記実施形態では、コンシクエントポール型のロータ11は、所謂、SPM(Surface Permanent Magnet Motor)型であったが、これを、IPM(Interior Permanent Magnet Motor)型のロータに応用してもよい。
【符号の説明】
【0179】
1…ブラシレスモータ(モータ)、2…モータケース、3…筒状ハウジング、3a…リアカバー壁(リア側壁面)、4…フロントエンドプレート、5…収容ボックス、6…ステータ、7…ステータコア、8…円筒部、9…ティース、10…インシュレータ、11…ロータ、12…回転軸、14,15…軸受、16…ロータコア、16a…ロータコア片、21…軸固定筒部、22…磁石固定筒部、22a…凹部、23…橋絡部、24…突極、25…空隙(小磁性軽量部)、31,33…軸受収容部、32,34…貫通孔、35…第1挿通穴、36…第2挿通穴、50…駆動装置、51…回路基板、52…回転センサ、52a…検出用マグネット、53…ECU(電子制御ユニット)、S…スロット、H1,H2…第1及び第2保治具、S1,S2…第1及び第2スロット、RC,RCa…反転用導体、PC,RCa…給電用導体、NC,NCa…コモン用導体、SG,SG1〜SG9,SG1a〜SG9a…巻線用セグメント、IS…内側導体、OS…外側導体、DC1…第1導体、DC2…第2導体、SG…巻線用セグメント、C…連結部、Cd…凹部、T…頂点、F…足、F1〜F4…第1〜第4層足、W1〜W4…第1〜第4溶接部、TO…ひねり部材、PL…規制板、MG…マグネット、N1,N2…中性点、L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2w…引出線、O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2w…出力端子、Q1u,Q1v,Q1w…第1スイッチングトランジスタ、Q2u,Q2v,Q2w…第2スイッチングトランジスタ、T0u,T0v,T0w,T0ua,T0va,T0wa…中性点端子、T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2w…電力受電端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26