(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758771
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】媒体上へ画像を定着するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
G03G15/20 565
G03G15/20 510
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-227449(P2011-227449)
(22)【出願日】2011年10月14日
(65)【公開番号】特開2012-93753(P2012-93753A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】12/914,264
(32)【優先日】2010年10月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュー・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エフ・クナップ
【審査官】
目黒 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−027780(JP,A)
【文献】
特開昭57−128374(JP,A)
【文献】
特開平07−210023(JP,A)
【文献】
特開2008−003239(JP,A)
【文献】
特開平04−114185(JP,A)
【文献】
特開平08−272159(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01555583(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の媒体上へ画像を定着するためのシステムであって、前記システムは、
第1のエンクロージャであって、
前記1枚の媒体へ前記画像を形成するための画像形成セクションと、
前記1枚の媒体へ前記画像を定着するための熱エネルギー源を含まない加圧定着セクションとを有し、前記加圧定着セクションは、
熱エネルギー源を含まない第1の回転部材と、
熱エネルギー源を含まない第2の回転部材であって、前記第2の回転部材は前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間に間隙が存在するように前記第1の回転部材に近接して位置づけられ、前記間隙は前記1枚の媒体を受け入れるためのものである第2の回転部材と、
圧力によって前記1枚の媒体へ前記画像が定着されるように、前記1枚の媒体が前記間隙内に位置づけられると前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材のうちの少なくとも一方へ力を加えて前記1枚の媒体へ圧力をかける力印加デバイスとを有し、さらに前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第1の媒体出口と、前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第2の媒体出口とを有する第1のエンクロージャと、
前記第1のエンクロージャから分離されかつ前記第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャとを備え、前記第2のエンクロージャは、前記画像が前記加圧定着セクションによって前記媒体へ定着された後に前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着するための熱エネルギー源を含む定着セクションを有し、熱エネルギー源を含む前記定着セクションは、前記1枚の媒体上の前記媒体へ熱を加えることによって前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着し、
前記加圧定着セクションは前記第1のエンクロージャ内に囲まれた唯一の画像定着デバイスであるシステム。
【請求項2】
1枚の媒体上へ画像を定着するためのシステムであって、前記システムは、
第1のエンクロージャであって、
前記1枚の媒体へ前記画像を形成するための画像形成セクションと、
前記1枚の媒体へ前記画像を定着するための熱エネルギー源を含まない加圧定着セクションとを有し、前記加圧定着セクションは、
熱エネルギー源を含まない第1の回転部材と、
熱エネルギー源を含まない第2の回転部材であって、前記第2の回転部材は前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間に間隙が存在するように前記第1の回転部材に近接して位置づけられ、前記間隙は前記1枚の媒体を受け入れるためのものである第2の回転部材と、
圧力によって前記1枚の媒体へ前記画像が定着されるように、前記1枚の媒体が前記間隙内に位置づけられると前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材のうちの少なくとも一方へ力を加えて前記1枚の媒体へ圧力をかける力印加デバイスとを有し、さらに前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第1の媒体出口と、前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第2の媒体出口とを有する第1のエンクロージャと、
前記第1のエンクロージャから分離されかつ前記第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャとを備え、前記第2のエンクロージャは、前記画像が前記加圧定着セクションによって前記媒体へ定着された後に前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着するための熱エネルギー源を含む定着セクションを有し、熱エネルギー源を含む前記定着セクションは、前記1枚の媒体上の前記媒体へ熱を加えることによって前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着し、
前記第2のエンクロージャはさらに媒体入口を備え、かつ、
前記第1のエンクロージャの前記第2の媒体出口は、前記第2の媒体出口を介して前記第1のエンクロージャを出る媒体が前記第2のエンクロージャの媒体入口を介して前記第2のエンクロージャへとルーティングされるように前記第2のエンクロージャの媒体入口と位置を合わせるシステム。
【請求項3】
前記第1のエンクロージャの前記第1の媒体出口は、前記第1の媒体出口を介して前記第1のエンクロージャを出る媒体が前記第2のエンクロージャの任意の媒体入口から離れてルーティングされるように前記第2のエンクロージャのどの媒体入口とも位置を合わせない、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のエンクロージャはさらに、前記第2のエンクロージャの前記定着セクションへ電力を提供する電源を備える、請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して画像形成デバイスに画像を定着することに関する。より具体的には、本開示は、冷圧定着技術を用いて媒体上へ画像を定着するために有益な装置、方法及びシステムについて記述する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しい「グリーン」実現技術を有するデバイスを構築することは、ますます重要となってきている。グリーンプリンティングの一態様は、電子写真レーザプリンタの電力消費量を低減することにある。これらのプリンタへ供給される電力の大部分は、典型的には熱定着器の使用を介してマーキング材料を媒体上へ定着することによって消費されることから、プリント1枚当たりの熱エネルギー等の定着電力要件を低減する技術を考慮することは重要である場合がある。定着器により使用される熱エネルギーの低減は、瞬時オン及び低融点トナー設計によって改善されてきているが、定着デバイスにより消費される電力の低減はさらに継続していく必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械的圧縮(加圧定着)による定着は、熱式定着に対して幾つかの優位点を提供する。熱エネルギー源を含まない圧力のみ等の定着デバイスを用いるプリンタは、熱式定着に比べて50%を超えるエネルギー低減をもたらすことができる。加圧定着デバイスの他の優位点には、スタンバイ電力の不在、瞬時オン、マシン寿命の間持ちこたえるロバストな定着器ロール、定着デバイスの信頼性向上、定着器サービスコストの低減、高速初回コピー時間、処理速度不感受性、再使用可能な定着器ハードウェア、排出物の減少、ノイズの減少、冷却要件の不在及び定着器のエッジウェア問題の不在が含まれる。しかしながら、加圧定着の場合は、結果的にトナー画像の加熱を含む定着方法ほどは永久的でない画像定着になる可能性がある。加圧定着の場合の他の幾つかの欠点としては、高い画像光沢、高圧下での用紙損傷、定着デバイス重量の増大及び定着永続性の基材のタイプ及び幅への依存性が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る媒体上へ画像を定着するためのシステムは、1枚の媒体上へ画像を定着するためのシステムであって、前記システムは、第1のエンクロージャであって、前記1枚の媒体へ前記画像を形成するための画像形成セクションと、前記1枚の媒体へ前記画像を定着するための熱エネルギー源を含まない加圧定着セクションとを有し、前記加圧定着セクションは、熱エネルギー源を含まない第1の回転部材と、熱エネルギー源を含まない第2の回転部材であって、前記第2の部材は前記第1の部材と前記第2の部材との間に間隙が存在するように前記第1の部材に近接して位置づけられ、前記間隙は前記1枚の媒体を受け入れるためのものである第2の回転部材と、圧力によって前記1枚の媒体へ前記画像が定着されるように、前記1枚の媒体が前記間隙内に位置づけられると前記第1の部材及び前記第2の部材のうちの少なくとも一方へ力を加えて前記1枚の媒体へ圧力をかける力印加デバイスとを有し、さらに前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第1の媒体出口と、前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第2の媒体出口とを有する第1のエンクロージャと、前記第1のエンクロージャから分離されかつ前記第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャとを備え、前記第2のエンクロージャは、前記画像が前記加圧定着セクションによって前記媒体へ定着された後に前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着するための熱エネルギー源を含む定着セクションを有し、熱エネルギー源を含む前記定着セクションは、前記1枚の媒体上の前記媒体へ熱を加えることによって前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着
し、前記加圧定着セクションは前記第1のエンクロージャ内に囲まれた唯一の画像定着デバイスであるシステムである。また、本発明に係る媒体上へ画像を定着するためのシステムは、1枚の媒体上へ画像を定着するためのシステムであって、前記システムは、第1のエンクロージャであって、前記1枚の媒体へ前記画像を形成するための画像形成セクションと
、前記1枚の媒体へ前記画像を定着するための
熱エネルギー源を含まない加圧定着セクションとを有し、前記加圧定着セクションは、
熱エネルギー源を含まない第1の回転部材と、
熱エネルギー源を含まない第2の回転部材であって、前記第2の回転部材は前記第1の回転部材と
前記第2の
回転部材との間に間隙が存在するように前記第1の
回転部材に近接して位置づけられ
、前記間隙は前記1枚の媒体を受け入れるためのものである第2の回転部材と、圧力によって前記1枚の媒体へ前記画像が定着されるように、前記1枚の媒体が前記間隙内に位置づけられると前記第1の
回転部材及び前記第2の
回転部材のうちの少なくとも一方へ力を加えて前記1枚の媒体へ圧力をかける力印加デバイスとを有し、さらに前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第1の媒体出口と、前記媒体が前記第1のエンクロージャを出る第2の媒体出口とを有する第1のエンクロージャと、前記第1のエンクロージャから分離されかつ前記第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャとを備え、前記第2のエンクロージャは、前記画像が前記加圧定着セクションによって前記媒体へ定着された後に前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着するための熱エネルギー源を含む定着セクションを有し、熱エネルギー源を含む前記定着セクションは、前記1枚の媒体上の前記媒体へ熱を加えることによって前記1枚の媒体へ前記画像をさらに定着
し、前記第2のエンクロージャはさらに媒体入口を備え、かつ、前記第1のエンクロージャの前記第2の媒体出口は、前記第2の媒体出口を介して前記第1のエンクロージャを出る媒体が前記第2のエンクロージャの媒体入口を介して前記第2のエンクロージャへとルーティングされるように前記第2のエンクロージャの媒体入口と位置を合わせるシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の諸図は本明細書の一部を構成し、かつ開示される特徴及び機能の所定の態様をさらに実証するために包含されるものであって、開示される特徴及び機能を限定または画定するために使用されるべきではない。従って、添付の図面に関連して行なう以下の説明を参照すれば、本実施形態及びそれらのさらなる特徴及び優位点のより完全な理解を得ることができる。
【
図1】本開示の実施形態による画像化システムを示す例示的な略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、熱エネルギー源を含まない定着セクションを示す例示的な図である。
【
図3】本開示の実施形態による画像化システムを示す例示的な略図である。
【
図4】本開示の実施形態による第2のエンクロージャを示す例示的な略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、例示的な実施形態について説明する。本明細書では、明瞭さの観点から、実際の実装の特徴を全て記述するわけではない。当然ながら、このような実際の任意の実施形態の開発においては、システム関連及びビジネス関連の制約とのコンプライアンス等の開発者独自の目的を達成するために、実装毎に変わる多くの実装固有の決定が下されなければならないことは認識されるであろう。さらに、このような開発努力は複雑であって時間を要するものである可能性もあるが、本開示の利益を享受する一般的な当業者にとっては日常的な取り組みであることも認識されるであろう。
【0007】
開示する実施形態は、1枚の媒体へ画像を定着するための装置を含んでもよい。本装置は、1枚の媒体上へ画像を形成するための画像形成セクションと、1枚の媒体へ画像を定着するための熱エネルギー源を含まない加圧定着セクションとを有する第1のエンクロージャを有する。加圧定着セクションは、熱エネルギー源を含まない第1の回転部材と、熱エネルギー源を含まない第2の回転部材であって、第2の部材は第1の部材と第2の部材との間に間隙が存在するように第1の部材に近接して位置づけられ、間隙は1枚の媒体を受け入れるためのものである第2の回転部材と、1枚の媒体が間隙内に位置づけられると1枚の媒体へ圧力を加えて画像を圧力によって1枚の媒体へ定着するように、第1の部材及び第2の部材の少なくとも一方へ力を加える力印加デバイスとを有する。また本装置は、第1のエンクロージャから分離されかつ第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャも有し、第2のエンクロージャは、加圧定着セクションによって画像が媒体へ定着された後に画像を1枚の媒体へさらに定着するための熱エネルギー源を含む定着セクションを有し、熱エネルギー源を含む定着セクションは、1枚の媒体上の画像へ熱を加えることによって画像を1枚の媒体へさらに定着する。
【0008】
開示する実施形態は、さらに、1枚の媒体上へ画像を定着するための方法を含んでもよい。本方法は、1枚の媒体を第1のエンクロージャへ導入することと、第1のエンクロージャ内に位置づけられる画像形成セクションによって1枚の媒体上へ画像を形成することと、第1のエンクロージャ内に位置づけられる熱エネルギー源を含まない加圧定着セクションによって1枚の媒体へ画像を定着することであって、加圧定着セクションは熱エネルギー源を含まない第1の回転部材と、熱エネルギー源を含まない第2の回転部材とを有し、第2の部材は、第1の部材と第2の部材との間に間隙が存在するように第1の部材に近接して位置づけられ、間隙は1枚の媒体を受け入れるためのものであり、定着は1枚の媒体が間隙内に位置づけられると第1の部材及び第2の部材のうちの少なくとも一方へ力を加えて1枚の媒体へ圧力を加えることにより達成されることと、加圧定着セクションにおいて1枚の媒体へ画像を定着した後、1枚の媒体を第1のエンクロージャから分離されかつ第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャへ導入することと、第2のエンクロージャ内に位置づけられる熱エネルギー源を含む定着セクションによって1枚の媒体へ画像をさらに定着することであって、熱エネルギー源を含む定着セクションは、1枚の媒体上の画像へ熱を加えることによって画像を1枚の媒体へさらに定着することを含む。
【0009】
開示する実施形態は、さらに、1枚の媒体上へ画像を定着するためのシステムを含んでもよい。本システムは、1枚の媒体上へ画像を形成するための画像形成セクションと、適度な室温で動作しながら1枚の媒体へ画像を定着するための加圧定着セクションとを有する第1のエンクロージャを有する。加圧定着セクションは、第1の回転部材と、第1の部材と第2の部材との間に間隙が存在するように第1の部材に近接して位置づけられる第2の回転部材であって、間隙は1枚の媒体を受け入れるためのものである第2の回転部材と、1枚の媒体が間隙内に位置づけられると1枚の媒体へ圧力を加えて画像を圧力によって1枚の媒体へ定着するように、第1の部材及び第2の部材の少なくとも一方へ力を加える力印加デバイスとを有する。また本システムは、第1のエンクロージャから分離されかつ第1のエンクロージャへ取付け可能な第2のエンクロージャも有し、第2のエンクロージャは、加圧定着セクションによって画像が媒体へ定着された後に画像を1枚の媒体へさらに定着するための熱エネルギー源を含む定着セクションを有し、熱エネルギー源を含む定着セクションは、1枚の媒体上の画像へ熱を加えることによって画像を1枚の媒体へさらに定着する。
【0010】
現代のある典型的なオフィス環境においては、印刷される全文書のうちの約1/3は1日または2日以内に投げ捨てられることが推定されている。現代社会では、大部分のデータ及び画像記憶装置は本来電子式であり、用紙によるバックアップは不要である。これは、生成される多くの文書が永久保存用の画像永続性を求めていないことを含意する。
【0011】
本開示は、熱エネルギー源を印刷システムの第1のエンクロージャ内の唯一の常設定着デバイスとしては含まない加圧定着ステーションを用いる実施形態を含んでいる。トナー画像を媒体へ定着するために熱エネルギー源を用いるデバイスは、別個でありかつ取付け可能な第2のエンクロージャ内に存在する。加圧定着デバイスを有する第1のエンクロージャは、日常的用途の印刷物を生成する。これは電力消費量が極めて少なく、環境に優しい。熱エネルギー源を含む定着器の不在もまた、結果的に瞬時オン時間を大幅に短縮させることができる。加圧定着デバイスを有するエンクロージャは、極めてエネルギー効率的である。取付け可能な第2のエンクロージャは、所望されれば画像品質及び永久保存品質の向上を可能にする。熱エネルギー源を用いるデバイスは絶えず使用されるわけではないことから、2つのエンクロージャを合わせた全体としてのエネルギー消費量は、定着に熱エネルギー源を用いるデバイスのみを有する典型的な印刷システムに比べて遙かに少ない。
【0012】
本開示は、適度な室温で動作しながら1枚の媒体へ画像を定着する加圧定着ステーションを用いる実施形態を含む。他の実施形態の場合と同様に、この加圧定着ステーションは、印刷システムの第1のエンクロージャにおける唯一の常設定着デバイスである。本出願の目的において、「適度な室温」という用語は、約50゜Fから約100゜Fまでの温度を含む。加圧定着ステーションは、媒体上のトナーへ約500psiから約5000psiまでの範囲の圧力を印加することができる。この圧力範囲は、新しいトナー及び媒体の開発に伴って変わってもよい。加圧定着では、トナーは、定着プロセスの圧力が加わるにつれて、典型的には相変化を受けない。
【0013】
熱エネルギー源(「熱定着器」と称する場合もある)を用いる典型的なデバイスは、約212゜Fを超える温度、及び約200psi未満の圧力で動作する。この圧力範囲は、新しいトナー及び媒体の開発に伴って変わってもよい。熱定着器では、トナーは典型的には、熱式定着プロセスの熱及び圧力が加わるにつれて相変化を受ける。
【0014】
図1は、ある例示的な印刷装置100を示す。本明細書で使用している「印刷装置」という用語は、任意の目的で印刷出力機能を実行する、デジタルコピー機、製本機械、多機能機械及びこれらに類似するもの等の任意の装置を包含する。印刷装置100は、例えばコート用紙または非コート(プレーン)用紙等の様々なタイプの媒体から異なる速度で印刷物を生成するために使用されることが可能である。媒体は、様々なサイズ及び重さを有することが可能である。実施形態において、印刷装置100は、第1のエンクロージャ200と、第2のエンクロージャ300とを含む。第1のエンクロージャ200及び第2のエンクロージャ300は共に、様々な構造を有することが可能である。図示されているように、第1のエンクロージャ200は、媒体経路220によって画像形成デバイス230へ接続される媒体供給装置210を含む。
【0015】
第1のエンクロージャ200において、媒体供給装置210は、様々なサイズ(幅及び長さ)及び重さを有する媒体を画像形成デバイス230へ供給するように適合化される。ある例示的な画像形成デバイス230では、トナーは、1つまたは複数の現像剤ステーションから帯電された受光体ベルトまたはロールへ現像され、受光体ベルトまたはロール上へトナー画像が形成される。トナー画像は、画像形成デバイス230を介して供給される1枚の媒体10へ転写される。媒体は加圧定着デバイス240へ前進され、媒体上にトナー画像が定着される。
【0016】
図2は、本開示による加圧定着デバイスの一例を示す。本例では、加圧定着デバイス240は第1の回転部材242と、第2の回転部材244とを有する。第1の回転部材242及び第2の回転部材244は、例えばベルトまたはロールであることが可能である。
図2に示されている例では、これらの回転部材は共にロールとして示されている。第1の回転部材242及び第2の回転部材244のうちの一方または双方は、推進デバイスによって他方へと押しつけられることが可能である。
図2は、第2の回転部材244を第1の回転部材242へ向かって押しつける推進デバイス246を示している。推進デバイス246は、例えば、液圧または空圧シリンダ、電気アクチュエータ、ばねまたは一方の回転部材をもう一方へと押しつけることができる他のデバイスであることが可能である。
【0017】
実施形態の中には、第1の回転部材242及び第2の回転部材244を、第1の回転部材242及び第2の回転部材244が互いへと圧力を加え合う位置に絶えず保持するものがある。他の実施形態は、第1の回転部材242及び第2の回転部材244を、第1の回転部材242と第2の回転部材244との間に1枚の媒体が存在するときにのみ、第1の回転部材242及び第2の回転部材244が互いへと圧力を加え合う位置に移動させる。
【0018】
図2は、第1の回転部材242と第2の回転部材244との間の間隙248へ進入する前の、1枚の媒体10上に形成された画像410を示している。画像410は、画像形成デバイス230内で生成され、媒体10へはまだ定着または融着されていない。画像410が間隙248へ進入するにつれて(画像420として示されている)、圧力が画像へ加えられ、媒体10へ画像が定着される。間隙248において第1の回転部材242及び第2の回転部材244によって印加される圧力に曝された後、媒体10上には定着された画像430が存在する。
【0019】
次に、
図1を再度参照すると、第1のエンクロージャ200は、加圧定着デバイス240から延びて第1のエンクロージャ200から出る2つの媒体経路を有する。媒体経路270は、媒体を、その後は媒体がトレーまたは他の収集デバイス内に保持され得る媒体出口280へと導く。媒体経路270は、加圧定着デバイス240のみで十分に定着される画像を有する媒体片用である。さらなる定着を施されるべき媒体片は、媒体経路250に沿って媒体出口260へ方向づけられる。媒体出口260へ方向づけられる媒体片は、媒体経路290に沿って、さらなる画像定着のために第2のエンクロージャ300内へ供給される。
【0020】
第2のエンクロージャ300は、
図1では第1のエンクロージャ200に取り付けられている別個で取り外し可能なユニットである。第2のエンクロージャ300は、本例では、媒体経路290から媒体を受け入れるための媒体入口310と、媒体を熱定着器330へ供給するための媒体経路320とを有する。熱定着器330は、媒体上へ画像を定着するための熱エネルギー源を含む任意の定着器であることが可能である。例えば、熱定着器330は、画像を定着するために熱のみを、または熱を圧力と組み合わせて用いることができる。本例では、熱定着器330は第1の回転部材332と、第2の回転部材334とを有する。熱は、第2のエンクロージャ300へ進入する媒体片上の画像へ、これらの画像を第1の回転部材332と第2の回転部材334との間へ通すことによって加えられる。第2のエンクロージャ300へ進入する媒体片は、第1のエンクロージャ200において加圧定着デバイス240により媒体上へ定着された画像を有している。この画像は、第1のエンクロージャ200を出る画像より永続的かつ/または品質が高い画像を有する最終的印刷物となるように、熱定着器330によって媒体片へさらに定着される。
【0021】
画像は、熱定着器330によってさらに定着された後、媒体経路340に沿って移動して媒体出口350で第2のエンクロージャ300を退出し、この後、媒体はトレーまたは他の収集デバイスに保持されることが可能である。
【0022】
図1は、第1のエンクロージャ200及び第2のエンクロージャ300を媒体経路290において接続された単一のシステムとして示している。
図3及び
図4は、スタンドアロンデバイスとして分離された第1のエンクロージャ200及び第2のエンクロージャ300を示す。2つのエンクロージャを分離することにより、複数の第1のエンクロージャ200を1つの第2のエンクロージャ300と共に使用することができる。複数の印刷デバイスを要求する合計印刷ボリュームを有するオフィスでは、熱定着器で定着される必要のある印刷ボリュームが合計ボリュームの一部でしかない場合がある。この状況では、このオフィスは、第1のエンクロージャ200等の印刷デバイスを複数有し、かつ第2のエンクロージャ300等の定着デバイスを1つだけ有してもよい。印刷物の大部分は、第1のエンクロージャ200のうちの1つから取り出されてオフィスの従業員によって使用される。印刷物のうちの、より高い品質及び/またはさらなる永続性を要求するごく一部は、さらなる画像定着のために第2のエンクロージャ300へと持ち込まれることが可能である。また、印刷物の生成に当たっては、その印刷物に追加の品質及び/または永続性が必要であるかどうかが必ずしも分からないことも留意される。熱定着器を含む別個の第2のエンクロージャを備えることにより、熱式定着が必要であると後になって決定される印刷物はこの別個の第2のエンクロージャへ運ばれ、さらに定着されることが可能である。2つのタイプの定着器用に別個のエンクロージャ/デバイスを装備すれば、(1)追加の出来映え及び/または品質を要求する印刷物に対してのみ熱定着器を用いることによってエネルギーは節約され、かつ(2)全ての印刷デバイスで熱定着器の支払いがあるわけではないことから資本支出は低減されることが可能である。
【0023】
図5は、本開示の実施形態による例示的な一方法を示す。510において、媒体は、例えば媒体供給装置210において第1のエンクロージャへ導入される。520において、画像は、例えば画像形成デバイス230によって媒体上に形成される。530において、画像は、例えば加圧定着デバイス240によって加圧定着により定着される。540において、定着された画像を含む媒体は、例えば第2のエンクロージャ300等の第2の別個のエンクロージャへ導入される。550において、画像は、例えば熱定着器330による熱式定着で媒体へさらに定着される。
【0024】
上述の説明は、電子写真印刷に用いられる定着器装置に関連しているが、本明細書における教示内容及び請求の範囲が媒体上でのマーキング材料の任意の処理に適用可能であることは理解されるであろう。例えば、マーキング材料はトナー、液体インクまたはゲルインク及び/または熱または放射線硬化性インクであることが可能であり、かつ/または媒体は、うまく印刷するために温度等の所定の処理条件を利用することができる。所定の実施形態における熱、圧力及び媒体上のインクの処理にとって望ましい他の条件等の処理条件は、電子写真定着に適する条件とは異なるものであってもよい。
【0025】
本明細書で使用している「印刷装置」という用語は、任意の目的で印刷出力機能を実行する任意の装置を包含する。これらの装置には、例えばデジタルコピー機、製本機械、多機能機械及びこれらに類似するものが包含され得る。印刷装置は、トナー及びインク(例えば、液体インク、ゲルインク、熱硬化性インク及び放射線硬化性インク)及びこれらに類似するものを含む様々なタイプの個体及び液体マーキング材料を用いることが可能である。印刷装置は、マーキング材料を処理しかつ媒体上へ画像を形成するために様々な熱、圧力及び他の条件を用いることができる。
【0026】
これまでに開示した、及び他の特徴及び機能の変形またはこれらの代替物が他の多くの異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わされてもよいことは認識されるであろう。現時点では不測である、または予期されていない本開示の様々な代替物、修正、変形または改良が当業者によって続いて行われ得るが、これらもまた以下の請求の範囲によって包含されるべきものである。