(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をプラグインハイブリッド車に具体化した給電プラグのロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、駆動輪2の駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて使用するハイブリッドシステム3が備えられている。このハイブリッドシステム3には、バッテリ4が接続されている。
【0022】
ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモード、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモード、及びエンジンを使用せずにモータのみで走行するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種走行モードを切り替える。また、ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力によってバッテリ4に充電するモード、駆動輪2の制動力をモータによって電力に変換してバッテリ4に充電するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種充電モードを切り替える。車両1は、ハイブリッドシステム3によって切り替わる各種走行モードに応じて走行したり、各種充電モードに応じてバッテリ4へ充電したりする。
【0023】
バッテリ4には、インレット部5がコンバータ6を介して接続されている。このインレット部5は、車両1の外部電源(交流電源)61と充電装置62を介して接続された給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば、
図4に示すように、車両1の側面に設けられた収容部1aに搭載されている。この収容部1aの側部には、当該収容部1aの開口部1bを閉塞するリッド40が設けられている。
図1に示すように、充電装置62は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された場合に、その旨示す接続信号を車両1へ発信する。コンバータ6は、給電プラグ10からインレット部5を介して送り込まれた交流電圧を直流電圧に変換し、この変換した直流電圧をバッテリ4に送る。こうして、外部電源61からバッテリ4に充電される。
【0024】
車両1には、例えばユーザが実際に車両キーを操作しなくてもドアの施錠及び解錠等の車両制御が実行される電子キーシステム70が搭載されている。この電子キーシステム70では、車両1とユーザに携帯される車両キーとしての電子キー80との間の無線通信を通じて車両制御が実行される。
【0025】
電子キーシステム70を以下に詳細に説明する。車両1に搭載される照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信する車外LF発信機72と、車内床下に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信する車内LF発信機73と、車内後部の車体に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信するUHF受信機74とが接続されている。なお、照合ECU71は、電子キー80に対応する固有のIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
【0026】
一方、電子キー80に搭載される通信制御部81には、LF帯の信号を受信するLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信するUHF発信部83とが接続されている。通信制御部81は、電子キー80固有のIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。
【0027】
照合ECU71は、車外LF発信機72からリクエスト信号Srqを間欠的に発信させて、車両1の周辺に通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81はリクエスト信号Srqに応答する形でUHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車外照合)を行う。そして、照合ECU71は、車外照合が成立すると、図示しないドアロック装置によるドアの解錠を許可又は実行する。
【0028】
照合ECU71は、車外照合が成立してドアが解錠された後に、車内LF発信機73からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの車内通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81は、UHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車内照合)を行う。照合ECU71は、車内照合が成立すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0029】
本実施形態では、車両1に外部電源61から充電する際にも電子キーシステム70によるIDコードの照合が行われる。車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、図示しない車内LAN(Local Area Network)を介して照合ECU71と通信可能であるとともに、この通信を利用して照合ECU71におけるID照合の成立結果を確認することができる。また、充電ECU75は、車両1に設けられた取り外しスイッチ76及びリッドオープンスイッチ77と電気的に接続されている。さらに、充電ECU75は、インレット部5に設けられたロック装置100と電気的に接続されている。ロック装置100は、インレット部5に接続される給電プラグ10の接続する方向(挿入方向)への変位及びインレット部5に接続された給電プラグ10の接続を解除する方向(引き抜き方向)への変位を規制するプラグロック状態とこれらを許容するプラグアンロック状態とを切り替えるプラグロック機構部120を備えている。また、ロック装置100は、インレット部5が収容される収容部1aの開口部1bを閉塞するリッド40が開口部1bを開口する方向へ変位することを規制するリッドロック状態とこれを許容するリッドアンロック状態とを切り替えるリッドロック機構部150を備えている。さらにロック装置100は、これらプラグロック機構部120のプラグロック状態/プラグアンロック状態、及びリッドロック機構部150のリッドロック状態/リッドアンロック状態を切り替えるアクチュエータ機構部160を備えている。
【0030】
充電ECU75は、取り外しスイッチ76が操作されたときの車外照合の成立結果によってプラグロック機構部120のプラグロック状態とプラグアンロック状態とを切り替える。例えば、インレット部5に給電プラグ10が接続されておらず、プラグロック機構部120がプラグロック状態とされている状態で、取り外しスイッチ76が操作されたとき、充電ECU75は、照合ECU71における車外照合が成立したことを確認して、プラグロック機構部120をプラグアンロック状態に切り替える。これにより、インレット部5への給電プラグ10の接続が許容される、すなわち、当該給電プラグ10からバッテリ4への充電が許可される。充電ECU75は、インレット部5に給電プラグ10が接続されて、充電装置62からの接続信号を受信すると、コンバータ6の制御を通じて、外部電源61からバッテリ4への充電を開始するとともに、プラグロック機構部120をプラグロック状態に切り替える。インレット部5と給電プラグ10との接続を解除するには、再度取り外しスイッチ76を操作する。取り外しスイッチ76が操作されると、充電ECU75は、照合ECU71における車外照合が成立したことを確認して、プラグロック機構部120をプラグアンロック状態に切り替える。これにより、インレット部5と給電プラグ10との接続の解除が許容される。電子キー80を携帯しない第3者は、プラグロック機構部120のロック状態/アンロック状態を切り替えることができないので、インレット部5に接続された状態の給電プラグ10から盗電したり、当該給電プラグ10を盗んだりすることはできない。なお、車外通信エリアは、車両周囲の全域に亘り形成されるので、車両1の前部側面に設けられたインレット部5の前にユーザが電子キー80を携帯して立つことにより、車外照合は問題なく実行される。
【0031】
充電ECU75は、リッドオープンスイッチ77が操作されることにより起動するタイマ75aを内蔵する。タイマ75aの起動時間は、リッドロック機構部150をリッドロック状態からリッドアンロック状態に切り替えるのに必要なアクチュエータ機構部160を駆動させる時間である。充電ECU75は、リッドオープンスイッチ77が操作されると、取り外しスイッチ76が操作されたときと同様に照合ECU71におけるID照合の成立結果を確認する。そして、当該ID照合が成立している場合にアクチュエータ機構部160を駆動させ、リッドロック機構部150をリッドアンロック状態に切り替える。なお、ロック装置100の詳細な構成については、後述する。
【0032】
図2に示すように、給電プラグ10のプラグ本体11の基端11aには、外部電源61と接続されるケーブル12が接続されている。プラグ本体11には、ユーザが把持するグリップ部13が形成されている。プラグ本体11の先端11bには、インレット部5に嵌着される円筒状の嵌着部14が形成されている。嵌着部14の内部には、複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。
【0033】
この嵌着部14の上部には、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際に、両者の接続状態を好適に維持するための係止爪16が設けられている。係止爪16は、プラグ本体11の内部に設けられた軸を中心として回動可能に設けられている。係止爪16は、
図2に実線で示す第1の位置と2点鎖線で示す第2の位置との間を変位する。第1の位置は、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際にインレット部5の一部に係合して、両者の接続状態を好適に保持する位置である。また、第2の位置は、インレット部5の一部との係合が解除されて、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる位置である。なお、係止爪16は、通常時において第1の位置に弾性保持されるとともに、プラグ本体11の上部に設けられて、係止爪16に連結された操作部17を押し操作すると第2の位置(傾動状態)へ変位する。操作部17の操作が解除されると、係止爪16は第1の位置へ弾性復帰する。
【0034】
図3に示すように、インレット部5のインレット本体5aには、給電プラグ10をインレット部5に接続する際に、嵌着部14が挿入される円筒部5bが形成されている。そして、円筒部5bの内部には、複数の接続端子29が設けられている。接続端子29は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。嵌着部14が円筒部5bに挿入された際、同円筒部5bのパワー端子には嵌着部14のパワー端子が、円筒部5bの制御端子には嵌着部14の制御端子がそれぞれ接続される。
【0035】
図3に示すように、インレット本体5aの外周面上部には、係止爪16と係合する被係止部としての係合部21が形成されている。係合部21のプラグ挿入側には、斜面5cが形成されている。係合部21は、係止爪16の挿入及び傾動を許容する係合凹部21aを有する。係止爪16は、係合凹部21aのプラグ挿入側の内面21bに係合する。これにより、給電プラグ10のインレット部5に対する引き抜き方向への変位が規制される。
【0036】
図4に示すように、リッド40は、図示しないヒンジを介して開閉し、閉じた状態において開口部1bを閉塞する。開口部1bを閉塞した状態のリッド40の外面は、車両1の意匠面を形成する。インレット部5は、リッド40が開口部1bを閉塞することにより外部環境から保護される。リッド40の内面には、略U字状の湾曲板材41が固着されている。そして、この湾曲板材41とリッド40の内面とにより車両上下方向に貫通するリッドロック孔42が形成されている。なお、リッド40は、図示しない付勢手段により常時開く方向へ付勢されている。
【0037】
次に、ロック装置100について説明する。
図5に示すように、インレット本体5aの上部には、ロック装置100を収容するケース101が一体形成されている。ケース101には、
図6に示すように、当該ケース101の左側の開口部を閉塞するケースカバー102と、
図7に示すように、右側の開口部を閉塞するエンドカバー103とが取り付けられている。
【0038】
<アクチュエータ機構部>
まず、アクチュエータ機構部160について説明する。
図6に示すように、アクチュエータ機構部160は、モータ161、ウォームギア162、及びヘリカルギア163を備えてなる。このアクチュエータ機構部160は、ケース101の左側の開口部に固定されるインナーケース104に収容されている。インナーケース104は、左側が開口している。
【0039】
インナーケース104の上部にはモータ161を収容するモータ収容部105が、下部にはヘリカルギア163を収容するヘリカルギア収容部106がそれぞれ形成されている。
【0040】
モータ161は、モータ軸が下側に向かって延びるようにモータ収容部105に固定されている。ウォームギア162は、モータ軸に固定され、当該モータ軸と一体で回転する。ヘリカルギア163は、その回転軸が左右方向に延びるようにヘリカルギア163と噛合されている。従って、ウォームギア162及びヘリカルギア163は、どちらか一方が回転すると他方も回転する。なお、ここでは、モータ161が正回転したとき、左方向からみたヘリカルギア163は時計方向へ回転するものとする。
【0041】
図7に示すように、ヘリカルギア163には、右方向に向かって延びるヘリカルギア円筒部164が形成されている。ヘリカルギア円筒部164の中心軸は、ヘリカルギア163の回転軸上に形成されている。ヘリカルギア円筒部164の筒内面には、第1のヘリカルギア突部(以下、第1のH突部)165が形成されている。第1のH突部165は、ヘリカルギア円筒部164の内径の半分(1/2)を半径とする45°の扇形からヘリカルギア円筒部164の内径の4分の1(1/4)を半径とする45°の扇形を取り除いた形状とされている。
【0042】
また、ヘリカルギア163には、ヘリカルギア円筒部164と同じく右方向に向かって延びるヘリカルギア半円壁部166が形成されている。ヘリカルギア半円壁部166の中心軸は、ヘリカルギア円筒部164と同軸上、すなわち、ヘリカルギア163の回転軸上に形成されている。ヘリカルギア半円壁部166は、ヘリカルギア円筒部164の外径よりも大きい内径を有する。ヘリカルギア半円壁部166が形成される部分の中心角は210°とされている。ヘリカルギア163の右面からのヘリカルギア円筒部164の突出長は、ヘリカルギア半円壁部166の突出長よりもインナーケース104の左右方向の厚み分だけ長く設定されている。なお、ヘリカルギア円筒部164とヘリカルギア半円壁部166との間には、第1のトーションスプリング169が配設されている。第1のトーションスプリング169の両端部は径方向に折り曲げられており、ヘリカルギア半円壁部166の両端部に係止される。
【0043】
図7に示すように、インナーケース104において、ヘリカルギア収容部106には、ヘリカルギア円筒部164の外径より若干大きい内径を有するインナーケース挿通孔107が形成されている。これにより、ヘリカルギア163がヘリカルギア収容部106に収容されると、ヘリカルギア円筒部164は、インナーケース挿通孔107内に収容される。
【0044】
図6に示すように、ヘリカルギア収容部106には、左方向に向かって延びるインナーケース半円筒壁部108が形成されている。インナーケース半円筒壁部108の中心軸は、インナーケース挿通孔107の中心軸と同軸上とされている。インナーケース半円筒壁部108は、ヘリカルギア半円壁部166の外径より若干大きい内径を有している。インナーケース半円筒壁部108は、
図8に示すように、左側から見たとき12時の位置から9時側の位置を含み5時の位置まで、すなわち、中心角210°に亘って形成されている。
【0045】
図11(c)に示すように、ヘリカルギア163は、ヘリカルギア円筒部164がインナーケース挿通孔107に挿通されるとともに、ヘリカルギア半円壁部166の全体がインナーケース半円筒壁部108の内面に沿う状態でヘリカルギア収容部106に収容される。これにより、第1のトーションスプリング169の両端部は、ヘリカルギア半円壁部166の両端部とともにインナーケース半円筒壁部108の両端部にも係止される。なお、
図11(c)に示す状態において、ヘリカルギア半円壁部166の12時に位置する端部を第1のヘリカルギア半円筒壁端部(以下、第1のH−h端部)166a、5時に位置する端部を第2のヘリカルギア半円筒壁端部(以下、第2のH−h端部)166bとする。また、第1のトーションスプリング169の12時の方向へ延びる端部を第1のトーションスプリング端部(以下、第1のT端部)170、5時の方向へ延びる端部を第2のトーションスプリング端部(以下、第2のT端部)171とする。
【0046】
例えば、ヘリカルギア163に回転力が付加されてヘリカルギア163が第1のトーションスプリング169の弾性力に抗して時計方向に回転した場合、
図12(c)に示すように、第1のH−h端部166aが4時の位置に、第2のH−h端部166bが9時の位置にそれぞれ変位する。このとき、第1のトーションスプリング169は、第1のT端部170が第1のH−h端部166aに、第2のT端部171が第2のH−h端部166bにそれぞれ係止された状態に弾性変形する。この状態で、ヘリカルギア163への回転力の付加が解除されると、第1のトーションスプリング169が弾性復帰する。これにより、ヘリカルギア163は、先とは反対方向、すなわち反時計方向に回転する。
【0047】
図6に示すように、ヘリカルギア163には、左方向に延びるヘリカルギア半円柱部172が形成されている。ヘリカルギア半円柱部172は、ヘリカルギア163の回転軸と同軸上に形成されている。
【0048】
ヘリカルギア163の左面には、第2のヘリカルギア突部(以下、第2のH突部)173が突設されている。
図11(a)に示すように、第2のH突部173は、ヘリカルギア163がヘリカルギア収容部106に収容されると、12時の位置に位置する。
【0049】
<プラグロック機構部>
次に、プラグロック機構部120について説明する。
図6に示すように、プラグロック機構部120は、コントロールピース121、コントロールシャフト122、及び爪ロックバー123を備えてなる。このプラグロック機構部120は、ケース101においてインナーケース104よりも右側に収容されている。
【0050】
ケース101には、インナーケース104の右側にコントロールピース121を収容するコントロールピース収容部109が、更にその右側にはコントロールシャフト122を収容するコントロールシャフト収容部110が、更にその手前側には爪ロックバー123を収容する爪ロックバー収容部111が、それぞれ形成されている。コントロールシャフト収容部110は、コントロールピース収容部109と連続する。また、爪ロックバー収容部111は、コントロールシャフト収容部110と連続する。
【0051】
コントロールピース121は、中心軸が左右方向に延びる円板状のピース本体124を有する。ピース本体124には、左方向に向かって延びる回転軸125が形成されている。回転軸125は、ヘリカルギア円筒部164の内径の4分の1(1/4)よりも若干小さい半径を有する第1の半円柱126と、ヘリカルギア円筒部164の内径の半分(1/2)よりも若干小さい半径を有する第2の半円柱127とを互いが有する曲面が反対側に位置するように平面同士で組み合わせた形状とされている。回転軸125は、ヘリカルギア円筒部164に挿入される。これにより、第2の半円柱127は、第1のH突部165の回転軌跡上に位置する。なお、
図11(b)に示すように、第1の半円柱126が下側、第2の半円柱127が上側に位置するときの第2の半円柱127の手前側の端部を第1の回転軸端部(以下、第1のK端部)127a、奥側の端部を第2の回転軸端部(以下、第2のK端部)127bとする。
【0052】
図7に示すように、ピース本体124の右面中央部には、半円筒状の凹部128が形成されている。また、ピース本体124の右面には、ピース本体124の径方向に突出する半円押部129が形成されている。さらに、ピース本体124には、径方向に突出する半円板部130が形成されている。半円板部130は、凹部128を挟んで半円押部129とは反対側に形成されている。
図6に示すように、半円板部130の左面には、ピース側係止ピン131が突設されている。
【0053】
図15(a)に示すように、ケース101の内面には、半円押部129によって押される第1及び第2のマイクロスイッチ112,113が固着されている。第1のマイクロスイッチ112は、半円押部129が12時の位置に位置したときに押圧される。第2のマイクロスイッチ113は、半円押部129が7時の位置に位置したときに押圧される。なお、第1及び第2のマイクロスイッチ112,113は、充電ECU75と電気的に接続されている。第1及び第2のマイクロスイッチ112,113は、半円押部129によって押されると、押された旨示す電気信号を充電ECU75に出力する。充電ECU75は、第1及び第2のマイクロスイッチ112,113から入力される電気信号を通じて、コントロールピース121の回転状態を認識する。
【0054】
また、
図6に示すように、ケース101の内面には、左側に向かうケース側係止ピン114が突設されている。ケース側係止ピン114及びピース側係止ピン131によって、第2のトーションスプリング115が支持されている。
図15(b)に示すように、第2のトーションスプリング115は、コイル部分がコントロールピース121よりも手前側に位置するように支持されている。同
図15(b)に示すように、半円押部129が7時の位置に位置し第2のマイクロスイッチ113を押している、すなわち、半円板部130(ピース側係止ピン131)が1時の位置に位置しているとき、第2のトーションスプリング115は、平衡状態、すなわち、ケース側係止ピン114及びピース側係止ピン131を付勢しない状態である。この状態からコントロールピース121が時計方向又は反時計方向に回転した場合には、第2のトーションスプリング115は弾性変形し、先の平衡状態に弾性復帰しようとする。これにより。コントロールピース121は、半円押部129が7時の位置に位置するように回転する。なお、
図15(a)に示すように、半円押部129が12時の位置に位置し第1のマイクロスイッチ112を押している、すなわち、半円板部130(ピース側係止ピン131)が6時の位置に位置しているとき、第2のトーションスプリング115は、弾性変形しているので、先の平衡状態に弾性復帰しようとする。しかし、第2のトーションスプリング115によってピース側係止ピン131に付加される力の向きは、コントロールピース121の回転軸を通る。このため、コントロールピース121には、ピース側係止ピン131に付加される力に起因する回転モーメントが生じない。従って、半円押部129が12時の位置に位置し第1のマイクロスイッチ112を押す状態に維持される。
【0055】
図6に示すように、円筒状に形成されたコントロールシャフト収容部110は、コントロールシャフト122を収容する。
図9(a)に示すように、コントロールシャフト122は、第1の軸部122a、爪ロックバー規制部122b、及び第2の軸部122cからなる。
【0056】
図9(b)に示すように、円柱状とされた第1の軸部122aの左側の端部には、半円柱状の接続部135が形成されている。接続部135の外径は、凹部128の内径よりも若干小さく設定されている。これにより、接続部135が凹部128に挿入される。このため、コントロールシャフト122は、コントロールピース121と一体で回転する。なお、第1の軸部122aには、リング状のリップシール136が配設されている。接続部135が凹部128に挿入されると、リップシール136は、コントロールピース収容部109側のコントロールシャフト収容部110の内壁と密着する。これにより、コントロールピース121とコントロールシャフト122との間における液密が確保される。
【0057】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、第1の軸部122aの右側に連続する爪ロックバー規制部122bは、半円柱状とされている。爪ロックバー規制部122bは、第1の軸部122aの中心軸と同軸上に形成されている。
図11(d)に示すように、爪ロックバー規制部122bの外径は、コントロールシャフト収容部110の内径よりも小さい。なお、爪ロックバー規制部122bは、
図13(d)に示すように、12時の位置から3時を含み6時の位置まで位置する爪ロックバーロック位置と、
図11(d)に示すように、4時の位置から7時を含み10時の位置まで位置する爪ロックバーアンロック位置との間で変位する。
【0058】
図9(a)に示すように、爪ロックバー規制部122bの右側に連続する第2の軸部122cは、円柱状とされている。第2の軸部122cは、第1の軸部122aの中心軸と同軸上に形成されている。
【0059】
図7に示すように、コントロールシャフト収容部110の手前側には、爪ロックバー収容部111が連続する。爪ロックバー収容部111は、係合部21の上側において外部に開口している。
【0060】
図10に示すように、爪ロックバー収容部111には、右方向から見るとT字状の爪ロックバー123が収容されている。爪ロックバー123は、奥側から手前側に向かって延びる横棒部材137と、当該横棒部材137の中央部から下側に向かって延びる縦棒部材138とからなる。縦棒部材138の先端部には、左右方向に貫通する貫通孔139が形成されている。貫通孔139には、回転軸140が挿嵌されている。回転軸140は、ケース101と、当該ケース101の右側の開口部を閉塞するエンドカバー103とによって回転可能に軸支されている。すなわち、爪ロックバー123は、回転軸140を中心に回転可能とされている。
【0061】
横棒部材137の奥側の端部は、奥側、すなわちコントロールシャフト122に向かうに従って徐々に上下方向の厚みが薄くなる薄肉部141とされている。薄肉部141は、コントロールシャフト122の爪ロックバー規制部122bと、そのコントロールシャフト収容部110の上底面との間に位置する。
図10において実線で示すように、爪ロックバー123は、薄肉部141の上面がコントロールシャフト収容部110の上底面と接するバー水平状態と、一点鎖線で示すように、薄肉部141の下面がコントロールシャフト収容部110の下底面と接するバー傾動状態との間で変位可能とされている。なお、回転軸140を中心とした薄肉部141の回動軌跡上には、爪ロックバー規制部122bの回動軌跡が含まれる。従って、
図13(d)に示すように、爪ロックバー規制部122bが薄肉部141の回動軌跡上に位置する、すなわち、爪ロックバーロック状態にあるとき、爪ロックバー123は、爪ロックバー規制部122bに当接するため、バー水平状態からバー傾動状態へ変位することができない。
【0062】
なお、回転軸140には、第3のトーションスプリング116が装着されている。第3のトーションスプリング116の両端部は、それぞれ、薄肉部141の下側の面とコントロールシャフト収容部110の下底面とに係合している。薄肉部141は、第3のトーションスプリング116の弾性力により、常時、上方に向かって付勢される。このため、通常、爪ロックバー123は、バー水平状態に維持される。
【0063】
図10に示すように、横棒部材137の手前側の端部は、係合部21の上方に突出する係止爪ロック部142とされている。この係止爪ロック部142の先端部には、手前側に向かうに従って徐々に上方に傾斜する爪案内面143が形成されている。これにより、爪ロックバー規制部122bが爪ロックバーアンロック状態にあるとき、例えば、係止爪16によって爪案内面143が手前から奥側に向かって押圧されれば、爪ロックバー123は、回転軸140を中心として右回転し、バー傾動状態に変位する。
【0064】
<リッドロック機構部>
次にリッドロック機構部150について説明する。
図6に示すように、リッドロック機構部150は、リッド40の開く方向への変位を規制するリッドロックバー151と、当該リッドロックバー151にヘリカルギア163の回転を伝達するリンク152とからなる。
【0065】
図6に示すように、ケース101において、ヘリカルギア収容部106の手前側には、リッドロックバー151を収容するリッドロックバー収容部117が形成されている。リッドロックバー収容部117は、手前側からみたとき、インレット部5の左上方に位置する。なお、リッドロックバー収容部117の内壁には、左方向に向かう円柱ピン118が突設されている。
【0066】
図6に示すように、リンク152は、棒状部材であって、その中央部には円柱ピン118の外径よりも若干大きい内径を有するリンク回転孔153が形成されている。リンク回転孔153には、円柱ピン118が挿通される。これにより、リンク152は、リンク回転孔153を中心に回転可能に軸支される。
【0067】
図6に示すように、リンク152の奥側の端部には、第2のH突部173の回転軌跡上に突出する第1の係合ピン154が形成されている。また、リンク152の手前側の端部には、右方向に向かう第2の係合ピン155が突設されている。このため、
図12aに示すように、ヘリカルギア163が時計方向に回転して、第2のH突部173が第1の係合ピン154を押し下げると、第2の係合ピン155は持ち上がる。
【0068】
図6に示すように、リッドロックバー収容部117の下底部には、円筒状のバー挿通孔119が形成されている。このバー挿通孔119は、リッド40が閉じた状態のリッドロック孔42と対向する。
【0069】
図6に示すように、リッドロックバー151は、直方体である角柱部156とその下側に連続する円柱部157とからなる。角柱部156の下底面における対角線の長さは、バー挿通孔119の内径よりも大きく設定されている。また、円柱部157の外径は、バー挿通孔119の内径よりも小さく設定されている。このため、
図8に示すように、リッドロックバー151は、リッドロックバー収容部117の下底部に角柱部156が係止されるとともに、バー挿通孔119から円柱部157が突出した状態(リッドロック位置)で、リッドロックバー収容部117に収容される。円柱部157の先端部には、奥側に向かうに従って徐々に下方に傾斜するバー案内面158が形成されている。当該バー案内面158は、リッド40の開閉によって変位する湾曲板材41(リッドロック孔42)の回動軌跡上に位置する。これにより、湾曲板材41によってバー案内面158が手前から奥側に向かって押圧されれば、リッドロックバー151は、
図12(a)に示すように、円柱部157の上部がリッドロックバー収容部117に収容されたリッドアンロック位置に変位する。これにより、リッド40の更なる奥側への変位が許容される。
【0070】
図8に示すように、角柱部156の左側の側部には、第2の係合ピン155の外径よりも若干大きい内径を有するバー凹部159が設けられている。バー凹部159には、
図12(a)に示すように、第2の係合ピン155が挿入される。このため、第1の係合ピン154が第2のH突部173に押し下げられることによって、第2の係合ピン155が押し上げられれば、リッドロックバー151は、押し上げられて、リッドアンロック位置に変位する。
【0071】
なお、角柱部156の上面とリッドロックバー収容部117の上底面との間には、コイルばね180が配設されている。コイルばね180は、リッドロックバー151を常時下方に向かって付勢する。従って、コイルばね180の弾性力により、リッドロックバー151がリッドアンロック位置からリッドロック位置に押し下げられるとき、第2の係合ピン155も押し下げられる。第2の係合ピン155が押し下げられれば、第1の係合ピン154が押し上げられる。このとき、第1の係合ピン154と第2のH突部173の下面とが当接していれば、ヘリカルギア163は反時計方向へと回転する。
【0072】
図6に示すように、ケース101の左側の開口部を閉塞するケースカバー102には、ヘリカルギア163のヘリカルギア半円柱部172の外径より若干大きい内径を有するケースカバー挿通孔181が形成されている。このため、ケースカバー102がケース101に取り付けられると、ヘリカルギア半円柱部172が外部に突出する。突出したヘリカルギア半円柱部172には、操作レバー182が固定される。このため、操作レバー182の操作を通じて、ヘリカルギア163を回転させることができる。なお、操作レバー182は、図示しないトランクルーム内に突出する。
【0073】
<ロック装置の動作>
次に、給電プラグ10からバッテリ4に充電を行うときの、ロック装置100の動作について説明する。本実施形態では、車両1の走行用の駆動源が停止している状態を想定して説明する。このとき、
図11(a)に示すように、第2のH突部173は12時の位置、リッドロックバー151はリッドロック位置、
図11(b)に示すように、第1のH突部165は3時の位置、
図11(c)に示すように、第1のH−h端部166aは12時の位置、第2のH−h端部166bは5時の位置に、それぞれ位置するものとする。また、
図11(b)に示すように、第1のK端部127aは2時の位置、第2のK端部127bは8時の位置、
図11(d)に示すように、爪ロックバー規制部122bは爪ロックバーアンロック位置に、それぞれ位置するものとする。すなわち、爪ロックバー123は傾動状態へ変位可能とされている。このロック装置100の状態を状態Aとする。なお、この状態(A)において、第1のH突部165は、第1のK端部127aと接している。ここで、リッド40は、閉じた状態であるものとする。すなわち、リッド40によりインレット部5は外部環境から保護されているので、給電プラグ10をインレット部5へ接続することはできない。なお、このとき、
図15(a)に示すように、半円押部129は12時の位置に位置しており、第1のマイクロスイッチ112を押している。
【0074】
ユーザにより、リッドオープンスイッチ77が押下されると、当該スイッチ77が操作された旨示す信号が充電ECU75に入力される。充電ECU75は、リッドオープンスイッチ77が操作された旨示す信号が入力されると、照合ECU71における車外照合が成立したか否かを確認する。充電ECU75は、車外照合が成立したことを確認すると、タイマ75aを起動させるとともに、当該タイマ75aが起動している間、モータ161が正回転方向に駆動するように駆動信号を出力する。これにより、リッド40のアンロック動作が開始される。
【0075】
モータ161が正回転駆動すると、ヘリカルギア163は時計方向に回転し、ロック装置100は
図12(a)〜
図12(d)に示す状態Bに移行する。
図12(a)に示すように、第2のH突部173は時計方向に変位することにより、第1の係合ピン154を押し下げる。すなわち、第2の係合ピン155がコイルばね180の付勢力に抗してリッドロックバー151を押し上げる。従って、リッドロックバー151は、リッドアンロック位置に位置する。これにより、リッドロックバー151のリッドロック孔42への挿通が解除される。リッド40は、図示しない付勢手段によって開く方向へ付勢されているので、リッドロックバー151のリッドロック孔42への挿通が解除されることにより、開く方向へ変位する。従って、リッド40によるインレット部5の保護が解除される。
【0076】
また、
図12(c)に示すように、このとき、第1のH−h端部166aが4時の位置に、第2のH−h端部166bが9時の位置にそれぞれ変位する。すなわち、第1のトーションスプリング169は、第1のT端部170が第1のH−h端部166aに、第2のT端部171がインナーケース半円筒壁部108の5時の位置の端部にそれぞれ係止された状態に弾性変形する。
【0077】
なお、第1のH突部165は、
図12(b)に示すように、時計方向へ変位するものの、7時の位置で停止する。すなわち、第1のH突部165は、第2のK端部127bを押さない。このため、回転軸125、すなわち、コントロールピース121は回転しない。従って、コントロールシャフト122も回転しない。このため、
図12(d)に示すように、爪ロックバー規制部122bは爪ロックバーアンロック位置に維持される。また、半円押部129は、第1のマイクロスイッチ112を押した状態のままである。
【0078】
図12(a)に示すように、リッドロックバー151がリッドアンロック位置に変位したとき、すなわち、第2のH突部173が第1の係合ピン154を押し下げるまでヘリカルギア163が回転したとき、タイマ75aが停止する。すなわち、充電ECU75からモータ161への駆動信号の出力が停止される。すると、モータ161からヘリカルギア163への時計方向への回転力の付与が停止する。このとき、
図12(c)に示すように、ヘリカルギア163には、第1のトーションスプリング169が弾性復帰する力によって、反時計方向への回転力が付与されている。従って、ヘリカルギア163は、反時計方向へ回転し、ロック装置100の状態は、
図11(a)〜
図11(d)に示す状態Aに戻る。このとき、リッド40は開いている。また、爪ロックバー規制部122bは爪ロックバーアンロック位置に維持されている。すなわち、爪ロックバー123は傾動状態への変位が可能とされている。これらのことから、インレット部5と給電プラグ10との接続が可能である。
【0079】
図5に示すように、嵌着部14と円筒部5b、係止爪16と係合部21の係合凹部21aとの位置を合わせた状態で給電プラグ10をインレット部5側へ動かす。
図16に示すように、係止爪16は、これを第1の位置に保持しようとする弾性力に抗して斜面5cに案内されて上方へ変位する。そして、更に給電プラグ10をインレット部5側へ動かすと、同図にて2点鎖線で示すように、係止爪16は、斜面5cを乗り越えて係合凹部21aに至る。この際、係止爪16の先端部は、爪ロックバー123の爪案内面143を押圧し、爪ロックバー123を傾動状態に変位させる。そして、更に給電プラグ10をインレット部5側へ動かすと、係止爪16はこれを第1の位置に保持しようとする弾性力により下方へ変位して係合凹部21aの内面に係合する(
図16の実線)。このとき、給電プラグ10の接続端子15とインレット部5の接続端子29とが好適に接続された状態となる。これにより、給電プラグ10とインレット部5とが電気的に接続された状態となる。
【0080】
給電プラグ10とインレット部5とが接続されると、充電ECU75は、充電装置62からの接続信号を受信する。接続信号の受信を通じて充電ECU75は、給電プラグ10とインレット部5との接続を認識する。そして、充電ECU75は、外部電源61からバッテリ4への充電を開始するとともに、爪ロックバー規制部122bを爪ロックバーロック状態へ移行させるべくモータ161へ逆回転方向に駆動する旨示す駆動信号を出力する。これにより、給電プラグ10のロック動作が開始される。
【0081】
モータ161が逆回転駆動すると、ヘリカルギア163は反時計方向へ回転し、ロック装置100は、
図13(a)〜
図13(d)に示す状態Cに移行する。
図13(b)に示すように、第1のH突部165は、反時計方向へ変位することにより、第1のK端部127aを反時計方向へ押圧する。すなわち、コントロールピース121及びコントロールシャフト122が反時計方向へ回転する。これにより、
図15(b)に示すように、半円押部129が第2のマイクロスイッチ113を押す。第2のマイクロスイッチ113は、半円押部129に押されることにより、その旨示す電気信号を充電ECU75に出力する。充電ECU75は、第2のマイクロスイッチ113から電気信号が入力されることにより、モータ161への駆動信号の出力を停止する。これにより、ヘリカルギア163の反時計方向への回転が停止する。なお、このとき、第2のトーションスプリング115は、平衡状態とされている。
【0082】
図13(d)に示すように、コントロールシャフト122の回転により、爪ロックバー規制部122bは爪ロックバーロック状態となる。従って、爪ロックバー123の傾動状態への変位が規制される。爪ロックバー123が傾動状態に変位できなければ、係止爪16と係合凹部21aとの係合を解除できないので、インレット部5から給電プラグ10を引き抜くことが規制される。また、このとき、
図13(c)に示すように、第1のH−h端部166aが8時の位置に、第2のH−h端部166bが1時の位置にそれぞれ変位する。すなわち、第1のトーションスプリング169は、第1のT端部170がインナーケース半円筒壁部108の12時の位置の端部に、第2のT端部171が第2のH−h端部166bにそれぞれ係止された状態に弾性変形する。
【0083】
なお、第2のH突部173は、
図13(a)に示すように、反時計方向へ変位するものの、8時の位置で停止する。すなわち、第2のH突部173は、第1の係合ピン154と係合しない。従って、リッドロックバー151は、リッドロック位置に維持される。
【0084】
充電ECU75からモータ161への駆動信号の出力が停止されると、モータ161からヘリカルギア163への反時計方向への回転力の付与が停止する。このとき、
図13(c)に示すように、ヘリカルギア163には、第1のトーションスプリング169が弾性復帰する力によって、時計方向への回転力が付与されている。従って、ヘリカルギア163は、時計方向へ回転する。これにより、ロック装置100は、
図14(a)〜
図14(d)に示す状態Dとなる。
図14(b)に示すように、ヘリカルギア163の時計方向への回転の際、第1のH突部165は、第2のH−h端部166bと当接しないので、コントロールピース121及びコントロールシャフト122は回転しない。従って、
図14(d)に示すように、爪ロックバー規制部122bの爪ロックバーロック状態が維持される。このため、インレット部5から給電プラグ10を引き抜くことが規制された状態が維持される。なお、第1のH突部165と回転軸125との間の摺動抵抗により、ヘリカルギア163の時計方向への回転に伴いコントロールピース121にも回転モーメントが作用することも考えられる。しかし、平衡状態にある第2のトーションスプリング115が、コントロールピース121の位置状態を保持する。
【0085】
次に、インレット部5から給電プラグ10を引き抜くときの、ロック装置100の動作について説明する。
充電ECU75は、取り外しスイッチ76が操作された旨示す信号が入力されると、照合ECU71における車外照合が成立したか否かを確認する。充電ECU75は、車外照合が成立したことを確認すると、モータ161が正回転方向に駆動するように駆動信号を出力する。これにより、リッド40のアンロック動作が開始される。なお、取り外しスイッチ76が操作されても、充電ECU75は、タイマ75aを起動させない。
【0086】
モータ161が正回転駆動すると、ヘリカルギア163は時計方向に回転し、ロック装置100は、
図12(a)〜
図12(d)に示す状態Bに移行する。
図12(b)に示すように、第1のH突部165は、時計方向へ変位することにより、第2のK端部127bを時計方向へ押圧する。すなわち、
図12(d)に示すように、コントロールピース121及びコントロールシャフト122が時計方向へ回転する。
図15(a)に示すように、このコントロールピース121の時計方向への回転により、半円押部129が第1のマイクロスイッチ112を押すと、当該第1のマイクロスイッチ112は押された旨示す電気信号を充電ECU75に出力する。充電ECU75は、第1のマイクロスイッチ112から電気信号が入力されると、モータ161の駆動信号の出力を停止する。これにより、ヘリカルギア163の時計方向への回転が停止する。
【0087】
図12(d)に示すように、コントロールシャフト122の反時計方向への回転により、爪ロックバー規制部122bは爪ロックバーアンロック状態となる。従って、爪ロックバー123の傾動状態への変位が可能となる。このため、インレット部5からの給電プラグ10の取り外しが可能となる。また、このとき、
図12(c)に示すように、第1のH−h端部166aが4時の位置に、第2のH−h端部166bが9時の位置にそれぞれ変位する。すなわち、第1のトーションスプリング169は、第1のT端部170が第1のH−h端部166aに、第2のT端部171がインナーケース半円筒壁部108の5時の位置の端部にそれぞれ係止された状態に弾性変形する。
【0088】
充電ECU75からモータ161への正回転方向に駆動する旨示す駆動信号の出力が停止されると、第1のトーションスプリング169の弾性復帰に伴い、ロック装置100の状態は、
図11(a)〜
図11(d)に示す状態Aに戻る。このとき、
図11(d)に示すように、爪ロックバー規制部122bは爪ロックバーアンロック位置に維持されている。すなわち、爪ロックバー123は傾動状態への変位が可能とされている。これにより、係止爪16と係合凹部21aとの係合を解除できるので、インレット部5から給電プラグ10を引き抜くことができる。
【0089】
なお、リッドロックバー151はリッドロック位置に位置している。インレット部5から給電プラグ10を引き抜かれた後、ユーザがリッド40を閉じ操作すると、リッド40の湾曲板材41がリッドロックバー151のバー案内面158を押圧することにより、リッドロックバー151は、リッドアンロック位置に変位する。そして、リッド40が開口部1bを閉塞した状態、すなわち、リッドロック孔42とバー挿通孔119とが対向した状態となると、リッドロックバー151は、コイルばね180の付勢力により、リッドロック位置に変位する。従って、リッドロックバー151は、リッドロック孔42に挿通される。これにより、リッド40の開く方向への変位が規制される。
【0090】
なお、ロック装置100は、ヘリカルギア163と一体回転する操作レバー182を備えている。この操作レバー182は、外部から操作可能とされている。すなわち、操作レバー182の操作を通じて、ヘリカルギア163を回転させることができる。これにより、例えば、モータ161が何らかの要因により故障し、モータ161の駆動力を通じてヘリカルギア163を回転させることができなくても、操作レバー182の操作を通じて、これを回転させることができる。すなわち、爪ロックバー規制部122bを爪ロック位置と爪アンロック位置との間で、リッドロックバー151をリッドロック位置とリッドアンロック位置との間で変位させることができる。これにより、インレット部5に給電プラグ10を抜き差しできない事態を生じさせないようにすることができる。
【0091】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)リッドロックバー151をリッドロック位置に向けて付勢するコイルばね180を設けた。また、リッドロックバー151の先端部に、リッド40の湾曲板材41が押圧されることにより自身がリッドアンロック位置に変位するバー案内面158を設けた。これにより、リッド40を閉じ操作するのみで、リッドロックバー151がリッドロック位置に変位してリッドロック孔42に挿入されるので、当該リッド40を開口部1bを閉塞した状態に維持することができる。このように、リッド40のアンロック、及び係止爪16のロック/アンロックは、単一のモータ161を利用して行いつつも、リッド40のロック時には、モータ161を動作させる必要がなく、リッド40を閉じるだけでこれをロックすることができるので使い勝手がよい。
【0092】
(2)ヘリカルギア163に当該ヘリカルギア163の回転軸上に中心軸を有するヘリカルギア円筒部164を設けた。そして、このヘリカルギア円筒部164の筒内面にヘリカルギア163の回転軸回りを回転する第1のヘリカルギア突部(第1のH突部)165を設けた。また、コントロールピース121にヘリカルギア円筒部164内に収容される回転軸125を設けた。回転軸125は、第1のH突部165の回転軌跡上に位置する第2の半円柱127を有する。これにより、ヘリカルギア163が時計方向に回転したとき第1のH突部165と第2の半円柱127とが係合しコントロールピース121を回転させることができる。ひいては、コントロールピース121とともにコントロールシャフト122が一体回転して爪ロックバー規制部122bを爪ロックバーロック位置に位置させることができる。
【0093】
(3)ヘリカルギア163に当該ヘリカルギア163の回転軸回りを回転する第2のヘリカルギア突部(第2のH突部)173を設けた。また、ケース101に形成された円柱ピン118にリンク回転孔153を通じて回転支持されるリンク152に、第2のH突部173の回転軌跡上に位置する第1の係合ピン154を設けた。またリンク152には、リンク回転孔153を挟んで第1の係合ピン154と反対側に第2の係合ピン155を設けた。第2の係合ピン155は、リッドロックバー151と係合する。これにより、ヘリカルギア163が反時計方向に回転したときのみ第2のH突部173と第1の係合ピン154とが係合しリンク152を回転させることができる。ひいては、リンク152の回転に伴う第2の係合ピン155の変位により、リッドロックバー151をリッドアンロック位置に位置させることができる。
【0094】
(4)コントロールピース121と一体回転するコントロールシャフト122にC字状とされた爪ロックバー規制部122bを設けた。そして、爪ロックバー123が傾動状態に変位する際の当該爪ロックバー123の移動軌跡上に爪ロックバー規制部122bが、位置するようにした。これにより、コントロールピース121が回転するだけで、爪ロックバー規制部122bは、爪ロックバー123の係動状態への変位を規制することができる。
【0095】
(5)ヘリカルギア163にヘリカルギア半円壁部166を設けた。このヘリカルギア半円壁部166は、インナーケース半円筒壁部108が形成される部分に対応する。そして、これらヘリカルギア半円壁部166及びインナーケース半円筒壁部108に支持される第1のトーションスプリング169を設けた。従って、モータ161の駆動力によりヘリカルギア163が回転すると第1のトーションスプリング169は、その一端がヘリカルギア半円壁部166に他端がインナーケース半円筒壁部108にそれぞれ支持されつつ弾性変形する。これにより、モータ161の駆動力が停止すると第1のトーションスプリング169が弾性復帰することによりヘリカルギア163が基準位置へ復帰する。このように、モータ161を駆動させてヘリカルギア163を回転させずとも当該ヘリカルギア163を基準位置へ復帰させることができるので、モータ161で消費される電力を抑制することができる。
【0096】
(6)ヘリカルギア163と一体回転する操作レバー182を設けた。この操作レバー182は、外部から操作可能とされている。すなわち、操作レバー182の操作を通じて、ヘリカルギア163を回転させることができる。これにより、例えば、モータ161が何らかの要因により故障し、モータ161の駆動力を通じてヘリカルギア163を回転させることができなくても、操作レバー182の操作を通じて、これを回転させることができる。すなわち、爪ロックバー規制部122bを爪ロック位置と爪アンロック位置との間で、リッドロックバー151をリッドロック位置とリッドアンロック位置との間で変位させることができる。これにより、インレット部5に給電プラグ10を抜き差しできない事態を生じさせないようにすることができる。
【0097】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、ヘリカルギア163に第1のH突部165を、コントロールピース121に第2の半円柱127によって形成される第1及び第2のK端部127a,127bを設けたが、これらを逆に設けてもよい。すなわち、
図17に示すように、ヘリカルギア163に第1及び第2のK端部127a,127bに相当する第1の回転係合部材190を、コントロールピース121に第1のH突部165に相当し第1の回転係合部材190の回動軌跡上に位置する第2の回転係合部材191を設ける。このように構成した場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
・上記実施形態において、第1のトーションスプリング169は、インナーケース半円筒壁部108及びヘリカルギア163のヘリカルギア半円壁部166の内側に設けられたが、これとは逆にこれら両者の外側に設けてもよい。このように構成した場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
・上記実施形態において、リンク152を省略してもよい。この場合、例えば、
図18(a)に示すように、ヘリカルギア163に壁部192を設ける。また、リッドロックバー151を壁部192の回動軌跡上に位置させる。このように構成すれば、ヘリカルギア163が回転することにより、リッドロックバー151の位置を
図18(b)に示すリッドロック位置から
図18(c)に示すリッドアンロック位置に変位させることができるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
・上記実施形態において、操作レバー182は、ヘリカルギア163を直接回転するように設けなくてもよい。例えば、
図19に示すように、ラックが形成された操作レバー193をモータ軸に固定されたピニオンと係合させる。このように構成した場合、操作レバー193を操作することでモータ軸が回転する。すると、モータ軸に固定されたウォームギア162が回転するので、これに噛合されたヘリカルギア163が回転する。このように構成した場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
・上記実施形態において、ウォームギア162を省略してもよい。この場合、モータ161のモータ軸にヘリカルギア163を固定する。このように構成した場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、ヘリカルギア163は、ギアである必要はない。
【0102】
・上記実施形態において、第1のトーションスプリング169を省略してもよい。このように構成する場合、ヘリカルギア163が時計方向に回転した後、モータ161の制御を通じて、当該ヘリカルギア163を基準位置に復帰させる。このようにすれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
・上記実施形態において、第2のトーションスプリング115を省略してもよい。
・上記実施形態において、例えば、爪ロックバー123の手前側が奥側よりも重く構成する等して、当該爪ロックバー123が常時水平状態に維持されるようにすれば、第3のトーションスプリング116を省略してもよい。
【0104】
・上記実施形態において、例えば、リッドロックバー151が自重により常時リッドロック位置に付勢されていれば、コイルばね180を省略してもよい。
・上記実施形態において、ヘリカルギア163と操作レバー182との係合、及びコントロールピース121と操作レバー182との係合は、半円状の軸部が半円状の凹部(孔部)に挿入される関係とされていた。この係合関係を、多角形の軸部とその多角形の形状と対応する凹部との関係に変更してもよい。また、軸部と凹部とを別途接着剤等により固定するようにしてもよい。このように構成した場合でも、ヘリカルギア163と操作レバー182、及びコントロールピース121とコントロールシャフト122は、互いに一体回転する。
【0105】
・上記実施形態において、リッド40は、図示しない付勢手段により開口部1bを開口する方向に付勢されていたが、これを省略してもよい。
・上記実施形態において、インレット部5は車両1の側面に設けるようにしたが、側面に限らず、例えば車両前面等に設けてもよい。
【0106】
・上記実施形態において、係止爪16は、給電プラグ10の嵌着部14の上部に設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下等の複数箇所に設けるようにしてもよい。
【0107】
・上記実施形態において、係止爪16は給電プラグ10に、係合部21は、インレット部5にそれぞれ形成されたが、逆であってもよい。
・上記実施形態において、駆動手段としてモータ161を用いたが、ロータリソレノイド等の他の駆動手段を用いてもよい。
【0108】
・上記実施形態において、キーの認証を電子キー80によるID照合により行ったが、メカニカルキーによる機械的な照合で行ってもよい。
・上記実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
【0109】
・上記実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
【0110】
・上記実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。
・上記実施形態において、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット部5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット部等に適用してもよい。
【0111】
・上記実施形態において、本例のロック装置100は、必ずしも車両1のみに適用されることに限らず、充電式バッテリを持つ装置や機器であれば、その採用先は特に限定されない。
【0112】
次に、上記実施形態及び上記別例から想起される技術的思想について追記する。
(イ)前記リッド規制部材は、付勢手段により付勢されている。
同構成によれば、より確実にリッド規制部材をリッドロック位置に向けて付勢することができる。