(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758839
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】床構造及び床構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 5/43 20060101AFI20150716BHJP
E04B 9/22 20060101ALI20150716BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
E04B5/43 H
E04B5/57 R
E04F15/18 602J
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-104360(P2012-104360)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-231315(P2013-231315A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174884
【氏名又は名称】三井ホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129849
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】泉 潤一
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04685259(US,A)
【文献】
実開昭54−127416(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3148345(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/43
E04B 9/22
E04F 15/18
E04B 1/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間をあけて配設された複数の床根太と、
前記床根太の上面に固定された床面材と、
前記床根太に直交し複数の前記床根太の下面に亘って固定された天井下地部材と、
前記床根太に直交し複数の前記床根太の下面に亘って固定された補強部材と、
前記天井下地部材に固定された天井面材と、を有し、
前記天井下地部材は、
固定部材を介して前記床根太に固定された第一固定板部と、
前記第一固定板部に対して略平行に形成され固定部材を介して前記天井面材が固定された第二固定板部と、
弾性変形可能であって、前記第一固定板部と前記第二固定板部の一端側とを連結する連結板部と、
前記第二固定板部の他端側から前記床根太側に立ち上がる立上り部と、を有し、
前記立上り部は、前記固定部材で前記天井面材を留め付けるときの入力によって、当該立上り部が前記床根太に当接する位置まで延設されており、
前記補強部材と前記天井面材との間に隙間が形成されていることを特徴とする床構造。
【請求項2】
前記補強部材は、炭素繊維を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
互いに間をあけて複数の床根太を配設する床根太配設工程と、
前記床根太の上面に床面材を固定する床面材固定工程と、
前記床根太に直交するように複数の前記床根太の下面に亘って補強部材を固定する補強部材固定工程と、
前記床根太の下面に天井下地部材を介して天井面材を固定する天井面材固定工程と、を含み、
前記天井下地部材は、
固定部材を介して前記床根太に固定される第一固定板部と、
前記第一固定板部に対して略平行に形成され固定部材を介して前記天井面材が固定される第二固定板部と、
弾性変形可能であって、前記第一固定板部と前記第二固定板部の一端側とを連結する連結板部と、
前記第二固定板部の他端側から前記床根太側に立ち上がる立上り部と、を有し、
前記天井面材固定工程では、前記補強部材と前記天井面材との間に隙間が形成されるように、前記第一固定板部と前記床根太とを固定するとともに、前記固定部材で前記天井面材を留め付けるときの入力によって、前記立上り部を前記床根太に当接させつつ前記第二固定板部に前記天井面材を固定することを特徴とする床構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物における床構造及び床構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の2階の床構造は、遮音性や施工性等に対応して様々な構成のものが知られている。例えば、従来の床構造は、間をあけて配設された複数の床根太と、床根太の上面に固定された床面材と、床根太の下面に固定された天井面材とで構成されている。この床構造のたわみ強度を向上させる場合、床根太の高さを大きくしたり、床根太の本数を増やしたりすることが考えられる。しかし、床根太の高さを大きくすると、建物階高が高くなり斜線制限に当たったりするという問題がある。また、床根太の本数を増やすと材料費が増大するという問題がある。
【0003】
ここで、
図4は従来の住宅の2階の床構造Aを示す一部破断斜視図である。
図4に示すように、床構造Aは、複数の床根太101と、床根太101の上面に固定された床面材102と、床根太101の下面に固定された天井面材103と、隣り合う床根太101,101の間において、床根太101に対して直交する方向に配設された複数の補強部材104とで構成されている。補強部材104が隣り合う床根太101,101に釘で固定されることにより複数の床根太101が一体化され、強度が高まる。また、床構造Aによれば、階高が高くなることがなく、材料費の増大も抑制される。
【0004】
しかし、床構造Aでは、床根太101の上面に床面材102を直接固定するとともに、下面に天井面材103を直接固定するため、床面材102と天井面材103とが共振し、2階の振動が1階に伝達しやすくなる。
【0005】
一方、
図5は、特許文献1に記載された従来の住宅の2階の床構造Bを示す斜視図である。床構造Bは、間をあけて配設された複数の床根太111と、床根太111の上面に固定された床面材112と、床根太111の間の下部に床根太111と平行に配設された吊り天井根太113と、吊り天井根太113に固定された天井面材114とで構成されている。床構造Bによれば、天井面材114が床根太111に直接固定されておらず、吊り天井根太113で天井面材114を吊り下げる構造になっているため、2階の振動が1階に伝達し難くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−242251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、床構造Aに、床構造Bの遮音構造を採用すれば、強度及び遮音性能を高めることができるとも考えられる。しかし、床構造Aには床根太101に対して直交する方向に補強部材104が配設されるため、床構造Bの吊り天井根太113を採用することができない。つまり、床構造における強度の向上と遮音性能の向上の両立を図ることが困難になっていた。
【0008】
本発明は、前記した問題に鑑みて創案されたものであり、強度及び遮音性能を高めることができる床構造及び床構造の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、互いに間をあけて配設された複数の床根太と、前記床根太の上面に固定された床面材と、前記床根太に直交し複数の前記床根太の下面に亘って固定された天井下地部材と、前記床根太に直交し複数の前記床根太の下面に亘って固定された補強部材と、前記天井下地部材に固定された天井面材と、を有し、前記天井下地部材は、固定部材を介して前記床根太に固定された第一固定板部と、前記第一固定板部に対して略平行に形成され固定部材を介して前記天井面材が固定された第二固定板部と、弾性変形可能であって、前記第一固定板部と前記第二固定板部の
一端側とを連結する連結板部と、
前記第二固定板部の他端側から前記床根太側に立ち上がる立上り部と、を有し、
前記立上り部は、前記固定部材で前記天井面材を留め付けるときの入力によって、当該立上り部が前記床根太に当接する位置まで延設されており、前記補強部材と前記天井面材との間に隙間が形成されていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、複数の床根太の下面に亘って補強部材が固定されることにより、複数の床根太が一体化するため、たわみを抑制することができる。また、天井下地部材の連結板部が弾性変形することにより、床根太に伝達された振動を吸収することができるため、遮音性能を発揮することができる。また、補強部材は床根太の下面において床根太とは直交して固定されるため、補強部材と天井下地部材とを容易に配設することができる。また、補強部材と天井面材とは隙間をあけて配設されているため、床面材の振動が補強部材から天井面材に直接伝達することがない。
【0011】
また、前記補強部材は、炭素繊維を含んで構成されていることが好ましい。炭素繊維は引張強度が高いため、床根太のたわみをより抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、互いに間をあけて複数の床根太を配設する床根太配設工程と、前記床根太の上面に床面材を固定する床面材固定工程と、前記床根太に直交するように複数の前記床根太の下面に亘って補強部材を固定する補強部材固定工程と、前記床根太の下面に天井下地部材を介して天井面材を固定する天井面材固定工程と、を含み、前記天井下地部材は、固定部材を介して前記床根太に固定される第一固定板部と、前記第一固定板部に対して略平行に形成され固定部材を介して前記天井面材が固定される第二固定板部と、弾性変形可能であって、前記第一固定板部と前記第二固定板部の
一端側とを連結する連結板部と、
前記第二固定板部の他端側から前記床根太側に立ち上がる立上り部と、を有し、前記天井面材固定工程では、前記補強部材と前記天井面材との間に隙間が形成されるように、前記第一固定板部と前記床根太とを固定するとともに、
前記固定部材で前記天井面材を留め付けるときの入力によって、前記立上り部を前記床根太に当接させつつ前記第二固定板部
に前記天井面材
を固定することを特徴とする。
【0013】
かかる方法によれば、複数の床根太の下面に亘って補強部材が固定されることにより、複数の床根太が一体化するため、床根太のたわみを抑制することができる。また、天井下地部材の連結板部が弾性変形することにより、床根太に伝達された振動を吸収することができるため、遮音性能を発揮することができる。また、補強部材は床根太の下面において床根太とは直交して固定されるため、補強部材と天井下地部材とを容易に配設することができる。また、補強部材と天井面材とは隙間をあけて配設されているため、床面材の振動が補強部材から天井面材に直接伝達することがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る床構造及び床構造の施工方法によれば、強度及び遮音性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る床構造を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る天井下地部材を示す斜視図である。
【
図4】従来の住宅の2階の床構造Aを示す一部破断斜視図である。
【
図5】特許文献1に記載された従来の住宅の2階の床構造Bを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、床構造1は、本実施形態では、枠組壁工法で構築された木造2階建て住宅の2階の床に用いる場合を例示する。なお、説明における上下左右前後は
図1の矢印に従う。
【0017】
床構造1は、複数の床根太2と、床面材3と、床根太2の下に天井下地部材5を介して固定された天井面材4と、複数の補強部材6とで主に構成されている。
【0018】
床根太2は、図示しない一対の壁組に架設される木製の部材である。床根太2は、一定の間隔をあけて互いに平行となるように複数本配設されている。床根太2の断面形状は、本実施形態では矩形としているが、他の形状であってもよい。
【0019】
床面材3は、2階の床を構成する面材である。床面材3は、本実施形態では合板を用いている。床面材3は、床根太2の上面2aに例えば釘等の固定部材で固定されている。
【0020】
天井面材4は、1階の天井を構成する面材である。天井面材4は、本実施形態では石膏ボードを用いている。天井面材4は、床根太2に天井下地部材5を介して固定されている。天井面材4は、本実施形態では2枚設けているが、何枚設けてもよい。
【0021】
天井下地部材5は、床根太2に直交し、複数の床根太2の下面2bに亘って固定されている。天井下地部材5は、
図2に示すように、第一固定板部11と、第二固定板部12と、連結板部13と、立上り部14とで構成されている。
【0022】
第一固定板部11は、板状を呈し一定の幅で左右方向に水平に延設されている。第一固定板部11は、床根太2の下面2b(
図1参照)に固定される部位である。第一固定板部11には、等間隔で複数のネジ孔11aが形成されている。なお、第一固定板部11にリブを設けたり、端部を折り返したりして剛性を高めてもよい。
【0023】
第二固定板部12は、板状を呈し一定の幅で第一固定板部11と同等の長さで延設されている。また、第二固定板部12は、第一固定板部11と略平行になっている。第二固定板部12は、天井面材4を固定する部位である。第二固定板部12の下面は本実施形態では平坦になっているが、例えば、第二固定板部12の下面に下方に突出する小さな凸を設けて天井面材4に対する滑り止め部を形成してもよい。また、第二固定板部12の前後方向又は左右方向に沿ってリブを設けて剛性を高めてもよい。
【0024】
連結板部13は、板状を呈し、一定の幅で第一固定板部11と同等の長さで延設されている。また、連結板部13は、下に向かうほど第一固定板部11から離間するように傾斜し、第一固定板部11の後端部と第二固定板部12の前端部とを連結している。連結板部13は、弾性変形することにより床根太2の振動を吸収する部位である。
【0025】
連結板部13には、等間隔で複数の長孔13aが形成されている。長孔13aの大きさによって連結板部13の開口率を変えることができ、連結板部13の変形のしやすさを調整することができる。長孔13aは、本実施形態では、連結板部13の上部に設けられているが、他の高さ位置に形成されていてもよい。連結板部13が弾性変形するのであれば、長孔13aは設けなくてもよい。また、連結板部13は、弾性変形可能であれば第一固定板部11及び第二固定板部12に対して垂直になっていてもよい。
【0026】
立上り部14は、第二固定板部12の後端部から立ち上がっている。また、立上り部14は、一定の高さで、かつ、第二固定板部12と同等の長さで左右方向に延設されている。立上り部14は、第一固定板部11の上面に接する仮想水平線に近接する位置まで延設されている。立上り部14は、天井下地部材5に天井面材4を留め付ける際に、第二固定板部12の跳ね上がりを小さくするためのつっかいとして機能する部位である。
【0027】
また、立上り部14は、本実施形態では第一固定板部11から離間する方向に若干傾斜して立ち上がっている。立上り部14をこのように傾斜させることで、保管時に複数の天井下地部材5を上下方向に積み重ねることができ、積み重ねた天井下地部材5の全体の高さを小さくすることができる。
【0028】
また、立上り部14には、基端から先端まで立ち上り方向に沿って切り欠かれた複数のスリット14aが形成されている。スリット14aは、左右方向の隙間が2mm程度になっている。隣り合うスリット14aは、例えば250mm間隔になっている。スリット14aの隙間寸法や間隔は適宜設定すればよい。また、スリット14aは、立上り部14、第二固定板部12及び連結板部13に連続して設けられていてもよい。
【0029】
なお、立上り部14は、第一固定板部11に対して垂直に立ち上がっていてもよい。天井下地部材5は、本実施形態では、一定の板厚の鋼板を曲げ加工や穴あけ加工して形成されているが、他の製造方法で形成してもよい。
【0030】
図1に戻り、補強部材6は、床根太2に直交し複数の床根太2の下面2bに亘って固定されている。補強部材6は、本実施形態では、天井下地部材5と平行に、かつ、隣り合う天井下地部材5の中間に配設されている。補強部材6は、本実施形態では炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からなり、板状に形成されている。補強部材6は、本実施形態では、接着剤を介して床根太2に固定されている。
【0031】
なお、補強部材6は、本実施形態では、配設された全ての床根太2に跨って固定されているが、少なくとも2本以上に跨って固定されていればよい。また、補強部材6は、本実施形態では炭素繊維で構成したが、他の材料を用いてもよい。例えば、補強部材6として、帯状の合板や鋼板を用いてもよい。補強部材6は、引張強度の高い材料であることが好ましい。補強部材6として、合板や鋼板を用いた場合は、接着剤以外にもネジや釘等の固定部材を用いて床根太2に補強部材6を固定する場合もある。
【0032】
次に、本実施形態に係る床構造の施工方法について説明する。本実施形態に係る床構造の施工方法は、床根太配設工程と、床面材固定工程と、補強部材固定工程と、天井面材固定工程とを行う。
【0033】
床根太配設工程では、
図1に示すように、図示しない壁組に床根太2の端部を配置しつつ、互いに平行となるように一定の間隔をあけて複数本配設する。
【0034】
床面材固定工程では、
図1に示すように、床根太2の上面2aに床面材3を釘等の固定部材を用いて固定する。
【0035】
補強部材固定工程では、
図1及び
図2に示すように、床根太2と直交するように床根太2の下面2bに補強部材6を接着剤で固定する。
【0036】
天井面材固定工程では、
図1及び
図2に示すように、天井下地部材5を介して天井面材4,4を固定する。具体的には
図2及び
図3に示すように、第一固定板部11のネジ孔11aと床根太2とが対応する位置にビス等の固定部材を打ち込み、床根太2に対して第一固定板部11を固定する。固定部材を留め付ける留付機具は特に制限されないが、ここではエアーコンプレッサーに接続され圧縮空気を動力源とするインパクトドライバーを用いる。
【0037】
第一固定板部11のみを床根太2に固定したとき、床根太2の下面2bから立上り部14の先端までは隙間が形成されている。この隙間は、適宜設定すればよいが、例えば2〜4mm、より好ましくは3mmになっている。
【0038】
次に、天井面材4の下面側から第二固定板部12に対応する位置にビス等の固定部材を打ち込み、第二固定板部12に対して天井面材4,4を固定する。天井面材4,4が固定された後は、
図3に示すように、天井面材4と補強部材6との間に隙間S1が形成されるようにする。また、床根太2の下面2bと立上り部14の先端との間に隙間S2が形成されるようにする。以上の工程を行うことにより、床構造1が構築される。
【0039】
なお、前記した工程の順番は例示であって各工程が前後してもよい。また、床構造1は、現場で構築してもよいが、工場等で予め構築してプレキャスト化したものを現場で設置してもよい。これにより、品質の向上を図ことができるとともに、現場での作業を省力化することができる。
【0040】
以上説明した床構造1によれば、強度の向上と遮音性能の向上の両立を図ることが可能になる。つまり、複数の床根太2の下面2bに亘って補強部材6が固定されることにより、複数の床根太2が一体化するため、床根太2の強度を高めることができる。これにより、床根太2のたわみを小さくすることができる。また、補強部材6を設けることにより、床根太2の強度が向上するため、床根太2の長さを大きくし、支点間距離を離すことができる。
【0041】
また、天井下地部材5の連結板部13が弾性変形することにより、床根太2に伝達された振動を吸収することができる。仮に、補強部材6と天井面材4とが接触していると、補強部材6を介して1階に振動が伝達する可能性があるが、補強部材6と天井面材4とは隙間S1をあけて配設されているため、補強部材6の設置によって遮音性能を損なうことがない。また、床根太2の下面2bと立上り部14の先端の間にも隙間S2が確保されるため、連結板部13の弾性変形を許容することができる。
【0042】
また、補強部材6は床根太2の下面2bに床根太2とは直交して固定されるため、補強部材6と、天井下地部材5とを容易に配設することができる。また、補強部材6は、炭素繊維で構成されているため、床根太2の強度をより高めることができる。
【0043】
なお、天井下地部材5に立上り部14が形成されていないと、第二固定板部12に天井面材4を固定する作業が困難になる。つまり、立上り部14が形成されていないと、ビス等の固定部材を打ち込む際に、第二固定板部12が上方に跳ね上がってしまい、所望の位置とはズレた位置に天井面材4が固定されてしまう場合がある。
しかし、本実施形態のように天井下地部材5に立上り部14が形成されていると、ビス等の固定部材を打ち込んでいる間は、インパクトドライバーの衝撃によって、天井面材4及び第二固定板部12が上向きの力を受ける。これにより、連結板部13が弾性変形し、立上り部14の先端が床根太2の下面2bに当接する。よって、第二固定板部12の変位を小さくすることができるため、所望の位置に固定部材を打ち込むことができる。
【0044】
また、また、立上り部14にスリット14aを設けることにより、天井下地部材5のねじり剛性が低下するため、天井下地部材5が撓みやすくなる。これにより、連結板部13が弾性変形しやすくなるため、より振動を吸収することで振動の伝達を低減することができる。
【0045】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、天井下地部材5の立上り部14は必要に応じて適宜形成すればよい。
【符号の説明】
【0046】
1 床構造
2 床根太
2a 上面
2b 下面
3 床面材
4 天井面材
5 天井下地部材
6 補強部材
11 第一固定板部
12 第二固定板部
13 連結板部
14 立上り部
S1 隙間
S2 隙間