(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
浴室と前記浴室に隣接する隣接室との間仕切を通じて前記浴室内に導入され、かつ前記浴室内に設けられた浴槽の残り湯を、吸込口を通じて洗濯機に給水する給水ホースの収納構造であって、
前記浴室内に設けられた収納部を備え、
前記収納部は、給水ホースの使用時には、給水ホースの第1の部分を収納し、前記第1の部分よりも先端側にある給水ホースの第2の部分を収納せず、
前記収納部は、給水ホースの収納時には、前記第1および前記第2の部分を収納し、
前記収納部は、前記間仕切を貫通するさや管と接続される連結部と、収納されている状態の給水ホースが使用される際に、前記収納部の内部から前記収納部の外部へ前記第2の部分を通過させるホース引出口とを含み、
給水ホースの収納時に前記給水ホースの先端に設けられた吸込口を収容する吸込口収納ボックスであって、前記ホース引出口に嵌め込まれた状態で前記収納部から突出した吸込口ホース収納ボックスをさらに備えた、給水ホースの収納構造。
前記収納部は、前記隣接室から前記収納部の内部へ前記給水ホースを導入するためのさや管を連結するための連結部を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の給水ホースの収納構造
前記収納部は、前記収納部の内部と前記収納部の外部とを連通する連通孔であって、上部に形成された連通孔を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の給水ホースの収納構造。
【背景技術】
【0002】
水資源を節約するために、浴槽の残り湯を洗濯に再利用することが広く行われている。近年の洗濯機は、給水ポンプを搭載している。洗濯機は、給水ポンプの動力によって、給水ホースを通じて浴槽の残り湯を洗濯機に給水する。
【0003】
残り湯の給水時には、給水ホースは、その根元が洗濯機の給水口に取り付けられ、その先端が浴槽の残り湯の中にセットされる。洗濯機は、通常、浴室とは別の部屋に設けられるので、給水ホースは、洗濯機のある部屋から浴室の出入口を通じて浴室内に導入される。このため、給水ホースの使用時には、浴室の出入口のドアを閉めることができず、残り湯の湯気が浴室外へ漏れていた。
【0004】
給水ホースの収納時には、給水ホースは、丸めた状態で洗濯機の付近などに収納される。給水ホースの使用後には、給水ホースの外部は残り湯で濡れており、給水ホースの内部にも残り湯が残留している。このため、使用者は収納前に浴室内において給水ホースの水切りを行う必要があり、給水ホースの取り扱いが煩雑であった。
【0005】
さらに、給水ホースを使用する度に、使用者は浴室内および浴室外の両方において、給水ホースをセットする作業および給水ホースを収納する作業を行う必要があり、給水ホースの取り扱いが煩雑であった。
【0006】
これらの問題を解決するために、様々な残り湯再利用システムが考案されてきたが、いずれも高価な装置や工事を必要とした。
【0007】
ここで、下記特許文献1は、従来の給水ホースの収納構造に関する技術を開示している。下記特許文献1は、浴室と洗濯機配置室との間仕切にホース挿通孔を設け、ホース挿通孔中に浴槽ポンプ収納部を設けた浴槽ポンプホース挿通構造を開示している。
【0008】
下記特許文献1の技術によれば、給水ホースは、浴室と洗濯機設置室との間仕切に設けられたホース挿通孔を通じて浴室内に導入されるので、給水ホースの使用時に浴室の出入口のドアを閉めることができ、残り湯の湯気が浴室外へ漏れるのを防止することができる。また、給水ホースの収納時には、給水ホースの先端(浴槽ポンプ)をホース挿通孔中の浴槽ポンプ収納部に収納することができ、給水ホースをセットする作業および給水ホースを収納する作業が容易になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の技術では、給水ホースの収納時には、浴室内にある給水ホースの部分が洗濯機設置室側に送られるので、使用者は収納前に浴室内において給水ホースの水切りを行う必要があった。また、使用者は浴室内および浴室外の両方において、給水ホースをセットする作業および給水ホースを収納する作業を行う必要があった。このため、給水ホースの取り扱いが煩雑であるという問題が依然として生じていた。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、給水ホースの取り扱いが容易である給水ホースの収納構造およびこれを備えたユニットバスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の局面に従う給水ホースの収納構造は、浴室と浴室に隣接する隣接室との間仕切を通じて浴室内に導入され、かつ浴室内に設けられた浴槽の残り湯を、吸込口を通じて洗濯機に給水する給水ホースの収納構造であって、浴室内に設けられた収納部を備え、収納部は、給水ホースの使用時には、給水ホースの第1の部分を収納し、第1の部分よりも先端側にある給水ホースの第2の部分を収納せず、収納部は、給水ホースの収納時には、第1および第2の部分を収納
し、収納部は、間仕切を貫通するさや管と接続される連結部と、収納されている状態の給水ホースが使用される際に、収納部の内部から収納部の外部へ第2の部分を通過させるホース引出口とを含み、給水ホースの収納時に給水ホースの先端に設けられた吸込口を収容する吸込口収納ボックスであって、ホース引出口に嵌め込まれた状態で収納部から突出した吸込口ホース収納ボックスをさらに備える。
【0013】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、
吸込口収納ボックスの底面に設けられた軸受部と、吸込口収納ボックスの背面と軸受部との間に延在する回転軸を中心として回転可能な第1のホースガイドローラーと、吸込口収納ボックスの上面と軸受部との間に延在する回転軸を中心として回転可能な第2のホースガイドローラーとをさらに備える。
【0014】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、ホース引出口に設けられ、給水ホースの収納時に吸込口を保持する吸込口保持部をさらに備える。
【0015】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、吸込口保持部は、勾配のある底面を含む。
【0016】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、収納部は、隣接室から収納部の内部へ給水ホースを導入するためのさや管を連結するための連結部を含む。
【0017】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、収納部は、収納部の内部と収納部の外部とを連通する連通孔であって、上部に形成された連通孔を含む。
【0018】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、収納部は、浴室内に設けられた浴室壁と間仕切との間に設けられる。
【0019】
上記給水ホースの収納構造において好ましくは、収納部は、浴槽と間仕切と浴槽のエプロン部とで構成された空間に設けられる。
【0020】
本発明の他の局面に従う給水ホースの収納構造は、浴室と浴室に隣接する隣接室との間仕切を通じて浴室内に導入され、かつ浴室内に設けられた浴槽の残り湯を、吸込口を通じて洗濯機に給水する給水ホースの収納構造であって、浴室内に設けられた収納部を備え、収納部は、給水ホースの使用時には、給水ホースの第1の部分を収納し、第1の部分よりも先端側にある給水ホースの第2の部分を収納せず、収納部は、給水ホースの収納時には、第1および第2の部分を収納し、収納部は、浴室内に設けられた浴室壁の側面から突出したカウンターと、カウンターの下部に設けられ、上部に開口が形成された筐体とを含み、筐体は、筐体の開口がカウンターによって覆われた第1の位置と、筐体の開口がカウンターによって覆われない第2の位置との間で移動可能である。
【0021】
本発明の
さらに他の局面に従うユニットバスは、浴槽と、浴室内に設けられた浴室壁と、上述のいずれかの給水ホースの収納構造とを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、給水ホースの取り扱いが容易である給水ホースの収納構造およびこれを備えたユニットバスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における給水ホースの設置経路を模式的に示す断面図である。
【0026】
図1を参照して、住宅には、浴室11と脱衣室12(隣接室の一例)とが互いに隣接して形成されている。浴室11は
図1中左側に設けられており、脱衣室12は
図1中右側に設けられている。浴室11と脱衣室12とは間仕切14aによって隔たれている。間仕切14aは浴室11を区切っている。間仕切14aは、浴室出入口11a(
図6(a))の部分が途切れており、浴室出入口11aを通じて、人は浴室11と脱衣室12との間を移動可能である。
【0027】
浴室11内にはユニットバス19が設置されている。ユニットバス19は、浴槽3と、給水ホースの収納構造100と、浴室壁13とを主に備えている。浴室壁13は、浴室11の形状に対応する直方体の形状を有しており、浴室11内の側面、上面、および底面の一部を覆っている。浴槽3は浴室壁13で覆われていない底面の部分の上に設けられている。給水ホースの収納構造100は、浴室11内において、浴室11の側面を覆っている浴室壁13と、間仕切14aとの間に設けられている。
【0028】
脱衣室12は洗濯機設置室であり、脱衣室12内には給水ポンプを搭載した洗濯機10が設置されている。洗濯機10には給水ホース1が接続されている。給水ホース1は、浴槽3の残り湯を、吸込口2を通じて洗濯機10に給水するホースである。洗濯機10の上面には給水口(図示無し)が設けられており、給水継ぎ手9によって、給水ホース1の根元が洗濯機10の給水口に取り付けられている。洗濯機10付近の間仕切14bには、洗濯機側ボックス8が設けられている。給水ホース1は、洗濯機10の給水口から洗濯機側ボックス8の内部へ導入されている。
【0029】
洗濯機側ボックス8を設ける位置は、任意であるが、洗濯機10の最寄りの間仕切14b(壁面)や床面であることが好ましい。洗濯機側ボックス8を設ける位置は、取り扱いの容易性や美観などを考慮して決定される。
【0030】
洗濯機側ボックス8の底面にはさや管7が取り付けられている。さや管7は、間仕切14bの内部において洗濯機側ボックス8から下方に向かって延在しており、脱衣室12の床15よりもわずかに下の位置で浴室11側に折れ曲がっている。さや管7は、床15の下において浴室11に向かって延在し、間仕切14aに設けられた貫通孔16を通じて浴室11内に導入され、給水ホースの収納構造100に接続されている。給水ホース1は、脱衣室12から洗濯機側ボックス8およびさや管7内を通って(間仕切14aを通じて)給水ホースの収納構造100へ導入されている。
【0031】
給水ホース1やさや管7は、たとえばユニットバス19を浴室11内に設置する際や、洗濯機10を脱衣室12に設置する際などに、設置業者などによって設置される。
【0032】
なお、洗濯機側ボックス8が設けられる間仕切は、浴室11と脱衣室12とを隔てる間仕切14aであってもよいし、間仕切14aとは異なる間仕切であってもよい。給水ホース1は、少なくとも浴室11と脱衣室12との間仕切14aを貫通していればよく、洗濯機の設置場所や給水ホースの設置経路は任意である。
【0033】
さや管7内に存在する給水ホース1は、さや管7によってその移動が制限される。したがって、使用時に浴室11内(貫通孔16よりも
図1中左側)に存在している給水ホース1の部分は、収納時においても脱衣室12側に引っ張られることはなく、常に浴室11内に存在している。
【0034】
図2は、
図1に示す給水ホースの収納構造100の構造を模式的に示す図である。
図2において、(a)は平面図であり、(b)は背面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は正面図であり、(e)は、浴室壁13に取り付けられた状態の給水ホースの収納構造100の、(d)のY−Y線に沿う断面図であり、(f)は右側面図であり、(g)は底面図である。
【0035】
なお、説明の便宜のため、
図2(a)、(b)、および(d)では、さや管7の一部が示されている。
図2(b)では、吸込口収納ボックス4の存在する位置が点線で示されている。
【0036】
図2を参照して、給水ホースの収納構造100は、ケース本体6(収納部の一例)と、吸込口収納ボックス4とを含んでいる。ケース本体6は、浴室壁13と間仕切14aとの間に設けられている。ケース本体6は、正面から見た場合に、下部が半円状に湾曲した矩形を有している。ケース本体6は給水ホース1が収納できる程度の厚み(
図2(c)中横方向の長さ)を有している。
【0037】
ケース本体6の下部が半円状に湾曲することにより、収納時にホースを円滑に移動させることができ、給水ホース1が絡まりにくくなる。また、給水ホース1を新たに設置する際に、給水ホース1の引き込みのための呼び線の導入が容易になり、施工が易くなる。
【0038】
ケース本体6の両側面(
図2(c)および(f)で見えている面)の各々には、さや管7を連結するための連結部17が設けられている。さや管7は、2つの連結部17のうちいずれか一方(さや管7に近い側の連結部17)に接続される。さや管7内の給水ホース1は、さや管7が取り付けられた側の連結部17を通ってケース本体6内に導入される。なお、連結部17はケース本体6の一方の側面のみに設けられていてもよいし、側面以外の場所に設けられていてもよい。給水ホース1は、移動を防ぐために連結部17付近でクリップなどで固定されてもよい。
【0039】
ケース本体6に連結部17を設けることで、洗濯機10と浴室11とが離れていても、さや管7を用いて洗濯機10からケース本体6内まで給水ホース1を導入することができる。
【0040】
ケース本体6は、正面上部に形成されたホース引出口6c(通過孔の一例)を含んでいる。ホース引出口6cは、ケース本体6の内部と外部とを連通している。ホース引出口6cはたとえば矩形状を有している。ホース引出口6cには、吸込口収納ボックス4(吸込口保持部の一例)が設けられている。吸込口収納ボックス4は、たとえば直方体の形状を有しており、ケース本体6よりも大きい厚みを有している。吸込口収納ボックス4は、
図2(e)に示すように、ホース引出口6cに嵌め込まれた状態で、ケース本体6から前方に突出した突出部分4aを含んでいる。突出部分4aは浴室壁13の取付孔13aと係合しており、それによってケース本体6は浴室壁13に固定されている。
【0041】
ケース本体6は、
図2(a)に示すように、上部に形成された2つの連通孔6bを含んでいる。連通孔6bの各々は、ケース本体6の内部と外部とを連通している。連通孔6bの個数は任意である。
【0042】
連通孔6bを設けることにより、給水ホース1を乾燥させ易くなる。すなわち、浴室11内の換気扇を運転した場合に、連通孔6bからケース本体6内へ空気が流入し、給水ホース1の乾燥が促される。
【0043】
図3は、収納時および使用時の各々における給水ホース1の状態を模式的に示す図である。(a)は、収納時の給水ホース1の状態を示す図であり、(b)は、使用時の給水ホース1の状態を示す図である。ケース本体6の内部にある給水ホース1は点線で示されている。
【0044】
図3(a)を参照して、収納時には、給水ホース1における連結部17の位置よりも先端側の部分1aおよび1bは、ケース本体6内に収納される。部分1bは部分1aよりも給水ホース1の先端側の部分である。給水ホース1の先端の吸込口2は、吸込口収納ボックス4内に配置され、吸込口収納ボックス4によって保持される。なお、吸込口2は、ケース本体6外(たとえば浴室壁13に設けられたフックなど)に保持されてもよい。
【0045】
収納された状態の給水ホース1を使用する際、使用者は、吸込口収納ボックス4の蓋部5を開けて、吸込口収納ボックス4から吸込口2を取出し、浴槽3の残り湯の中にセットする。給水ホース1における部分1bは、ホース引出口6cを通過してケース本体6の内部から外部へ引き出される。
【0046】
図3(b)を参照して、使用時には、給水ホース1における部分1bは、ケース本体6の外部に存在している。一方、給水ホース1における部分1a(
図3(b)中点線部分)は、連結部17とホース引出口6cとの間に存在しており、ケース本体6内に収納されたままである。洗濯機10は、吸込口2から浴槽3の残り湯を吸い込み、給水ホース1を通じて洗濯機10へ給水する。
【0047】
なお、吸込口2と給水ホース1とは、たとえばねじ込み式にて着脱を行うことができる。給水ホース1は、切断することにより長さの調節が可能である。給水ホース1の長さを調節する際には、給水ホース1の根元が洗濯機10に接続され、洗濯機10からさや管7およびケース本体6を経由して浴室11内に導入される。この状態で吸込口2の位置が浴槽3の残り湯の中にセット可能な位置となるように、余分な給水ホース1は切断される。
【0048】
図4は、
図2に示す吸込口収納ボックス4の拡大図である。(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は(c)中のY−Y線に沿った断面図である。なお
図4では、必要に応じて、給水ホース1、ケース本体6、または浴室壁13が点線で示されている。
【0049】
図4を参照して、吸込口収納ボックス4は、ホースガイドローラー21および22と、軸受部23と、蓋部5とを含んでいる。ホースガイドローラー21および22は、吸込口収納ボックス4における正面から見て左側に配置されている。ホースガイドローラー21は、吸込口収納ボックス4の側壁面と軸受部23との間に設けられた回転軸を中心として回転可能である。ホースガイドローラー22は、吸込口収納ボックス4の上壁面と軸受部23との間に設けられた回転軸を中心として回転可能である。
【0050】
ホースガイドローラー21および22を設けることにより、給水ホース1の使用時および収納時に、給水ホース1を円滑に移動させることができる。特に、給水ホース1の下部に設けられるホースガイドローラー21を、吸込口収納ボックス4の側壁面から軸受部23へ向かってその直径を減じるテーパー状の形状とすることにより、給水ホース1を円滑に移動させることができる。
【0051】
吸込口収納ボックス4の底面には勾配が設けられており、この勾配によって脱衣室側(
図4(b)中左側)よりも浴室側(
図4(b)中右側)の方が低くなっている。これにより、吸込口収納ボックス4内の排水が容易になる。
【0052】
蓋部5は、吸込口収納ボックス4の前面に設けられている。蓋部5は回転軸5aを中心として回転可能である。これにより、吸込口収納ボックス4は、ケース本体6の外部に対して吸込口収納ボックス4の内部を露出した状態(蓋部5を開いた状態)と、ケース本体6の外部と吸込口収納ボックス4の内部とを蓋部5で隔てた状態(蓋部5を閉じた状態)との両方をとることができる。蓋部5の下端部の中央には、蓋部5を開きやすくするための手掛り5bが設けられている。
【0053】
収納した状態の給水ホース1を使用時には、給水ホース1は吸込口収納ボックス4を通じてケース本体6の外部に引き出されるため、蓋部5は開いた状態となる。一方、給水ホース1の収納時には、給水ホース1の吸込口2は吸込口収納ボックス4内に収納されるので、蓋部5は閉じた状態となる。
【0054】
吸込口収納ボックス4とケース本体6とを分離する(別体で形成する)ことにより、施工性を高め、給水ホース1の設置や施工を簡単に行うことができる。加えて、劣化したホースの交換の際には、吸込口収納ボックス4をケース本体6から取り外すことで、劣化したホースの交換が容易になる。さらに、吸込口収納ボックス4よりもケース本体6上部の位置が高い場合には、万が一、給水ホース1が劣化して漏水が起きても、漏水は蓋部5から浴室11内に湧出す。その結果、漏水を容易に感知することができる。
【0055】
本実施の形態によれば、浴槽内において給水ホースの出し入れを行うことができるので、脱衣室を濡らすことがなくなり、給水ホースの水切りが不要になる。その結果、給水ホースの取り扱いが容易になる。また、給水ホースの先端部が浴室内に設けられたケース本体に収納されるので、給水ホースを簡単に片付けることができる。さらに、間仕切に設けられた貫通孔を通じて給水ホースが浴室内に導入されるので、給水ホースの使用時にも浴室の出入口のドアを閉めることができ、残り湯の湯気が浴室外へ漏れるのを抑止できる。その結果、洗濯機と浴槽との位置関係に関わらず、残り湯の利用を快適に行うことができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態における給水ホースの収納構造100が設けられた浴室11を模式的に示す断面図である。(a)は、給水ホース1の収納時を示す断面図であり、(b)は、給水ホース1の使用時を示す断面図であって、(a)における矢印Xで示す方向に沿って浴槽を見た場合の断面図である。(b)では、説明の便宜のため、給水ホース1の一部とケース本体6とが点線で示されている。
【0057】
図5を参照して、本実施の形態の給水ホースの収納構造100において、ケース本体6は、浴槽3と間仕切14aと浴槽3のエプロン部18とで構成された空間に設けられている。さや管7は、ケース本体6の内部に挿入されている。吸込口収納ボックス4は、ケース本体6の外面に固定されており、ホース引出口6cと連通している。吸込口収納ボックス4は、浴槽3のエプロン部18に形成された取付孔18aと係合しており、それによってケース本体6はエプロン部18に固定されている。
【0058】
ケース本体6内には、さや管7から延在する給水ホース1を吸込口収納ボックス4まで導くためのガイド車6aが適宜設けられていてもよい。特にガイド車6aが円筒形を有している場合には、給水ホース1における余分な長さの部分をガイド車6aに巻き付けることにより、給水ホース1の長さが調節されてもよい。なお、ケース本体6が設けられず、浴槽3と間仕切14aと浴槽3のエプロン部18とによってケース本体が構成されてもよい。
【0059】
収納時には、(a)に示すように、給水ホース1の部分1aおよび1bは、ケース本体6内に収納される。給水ホース1の先端の吸込口2は、吸込口収納ボックス4内に配置され、吸込口収納ボックス4によって保持される。
【0060】
収納された状態の給水ホース1を使用する際、(b)に示すように、使用者は、吸込口収納ボックス4の蓋部5を開けて、吸込口収納ボックス4から吸込口2を取出し、浴槽3の残り湯の中にセットする。給水ホース1における部分1bは、ホース引出口6cを通ってケース本体6の内部から外部へ引き出され、エプロン部18を跨ぐ。
【0061】
使用時には、給水ホース1における部分1bは、ケース本体6の外部に存在している。一方、給水ホース1における部分1aは、さや管7とホース引出口6cとの間に存在しており、ケース本体6内に収納されたままである。
【0062】
なお、上述以外の給水ホースの収納構造や給水ホースの設置経路などの構成は、第1の実施の形態の場合の構成と同一であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0063】
本実施の形態によれば、ケース本体6が浴槽3と間仕切14aとエプロン部18との間に設けられるので、浴槽3の形状に起因するデットスペースを給水ホースの収納構造100として利用することができる。また、浴槽3に近い位置にケース本体6が設けられるので、使用時に給水ホースの吸込口2を浴槽3の残り湯の中にセットすることが容易になる。
【0064】
[第3の実施の形態]
図6は、本発明の第3の実施の形態における給水ホースの収納構造100が設けられた浴室11を模式的に示す断面図である。(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【0065】
図6を参照して、本実施の形態では、浴室11内に設けられた浴室壁13の側面からカウンター32が突出している。カウンター32の下には筐体31が設けられている。筐体31の上部には開口31aが形成されている。筐体31とカウンター32とによってケース本体が構成されている。
【0066】
間仕切14aの貫通孔16を貫通した給水ホース1は、浴槽3と間仕切14aとエプロン部18とで構成された空間に下方から導入されており、その後、エプロン部18に形成された貫通孔18bから筐体31内へ導入されている。
【0067】
筐体31は、閉じた位置と開いた位置との間で移動可能である。
図6では、筐体31は閉じた位置に存在する。筐体31が閉じた位置に存在する場合、開口31aはカウンター32によって覆われる。収納時には、給水ホース1の先端は、閉じた位置にある筐体31内に収納される。
【0068】
図7は、本発明の第3の実施の形態において、筐体31が開いた位置にある場合の筐体31付近の構造を模式的に示す断面図である。
【0069】
図7を参照して、筐体31が開いた位置に存在する場合、開口31aはカウンター32によって覆われず、ユニットバス19の空間内に露出される。
【0070】
筐体31は、(a)に示すように、カウンター32に対して矢印AR1で示す方向(カウンター32の延在方向)に引き出される(スライドする)ことにより、開いた位置まで移動するものであってもよい。また筐体31は、(b)に示すように、カウンター32に対して回転軸を中心に矢印AR2で示す方向に傾斜する(チルトする)ことにより、開いた位置まで移動するものであってもよい。
【0071】
収納時には、給水ホース1におけるさや管7よりも先端側の部分1aおよび1bは、筐体31内に配置される。給水ホース1の吸込口2は、筐体31によって保持される。
【0072】
収納された状態の給水ホース1を使用する際、
図7(a)または(b)に示すように、使用者は、筐体31を開いた位置まで移動させ、筐体31から吸込口2を取出し、浴槽3の残り湯の中にセットする。
【0073】
図8は、本発明の第3の実施の形態における使用時の給水ホース1の状態を模式的に示す図である。なお
図8は、筐体31の正面(
図7(a)中矢印Zで示す方向に沿った方向)から見た図である。
【0074】
図8を参照して、使用時には、吸込口2が浴槽3の残り湯の中にセットされる。給水ホース1における部分1bは、筐体31の外部に存在している。給水ホース1における部分1bは、筐体31の開口31aを通って筐体31の外部へ引き出され、エプロン部18を跨ぐ。一方、給水ホース1における部分1aは、筐体31内に収納されたままである。
【0075】
なお、上述以外の給水ホースの収納構造や給水ホースの設置経路などの構成は、第1の実施の形態の場合の構成と同一であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0076】
本実施の形態によれば、筐体31と、その開口31aを覆うカウンター32とによりケース本体が構成されるので、カウンター32の形状に起因するデットスペースを給水ホースの収納構造100として利用することができる。
【0077】
給水ホースの収納構造は、上述のようにユニットバスと一体化していてもよいし、新設の浴室(在来工法)を含み、既設の浴室またはユニットバスに対して追設されるものであってもよい。
【0078】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。