【文献】
SCHMULLING,T. et al.,Cytokinin as a Regulatory Factor for Yield and Biomass Distribution in Crop Plants.,Phytohormones in Plant Biotechnology and Agriculture,2003年,pp.97-108
【文献】
BARTRINA,I. et al.,Cytokinin regulates the activity of reproductive meristems, flower organ size, ovule formation, and thus seed yield in Arabidopsis thaliana.,Plant Cell,2011年 1月,Vol.23, No.1,pp.69-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ、2つ以上又は全ての破壊は、構造破壊、アンチセンスポリヌクレオチド遺伝子抑制、二本鎖RNAが誘導する遺伝子サイレンシング、リボザイム技術、ゲノム破壊、ティリング及び/又は相同組換えによって促進される、請求項1若しくは3に記載の単離された植物細胞又は請求項2若しくは3に記載の形質転換植物。
【技術分野】
【0001】
持続的に増加する人口に食品及び他の植物由来産物を供給可能にするために、人々は農業の生産性を向上させることに常に関心を寄せていた。
【0002】
植物の生産性に対しては、様々な種々の方法(例えば植物の成長特性を向上させること、又は葉の老化を遅延させること)によって影響を与えることができる。植物の成長と発育に関係することが公知である多くのメカニズム及び経路が存在する。
【0003】
サイトカイニンは、植物の成長と発育に関する多くの態様に対して正及び負の調節役を担う植物ホルモンである。それが苗条における分裂組織の形成及び活性を刺激して、シンク組織の形成、葉の老化の遅延、根の成長及び分枝の抑制を可能にし、そして種子発芽及びストレス応答の役割を担う(Mok, D. W. S. & Mok, M. C. (2001) Ann. Rev. Plant Physiol. MoI. Bio. 52, 89-1 18)。サイトカイニン欠損植物の分析法からは、サイトカイニンが苗条及び根における分裂組織に対して反対の役割を担うことが示され、ホルモンは器官成長の量的制御に必須の機能であることが示唆されている(Werner T, Motyka V, Laucou V, Smets R, Van Onckelen H, Schmulling T, Plant Cell 2003,15(11):2532-50; Werner T, Motyka V, Strnad M, Schmulling T, Proc Natl Acad Sci U S A 2001, 98(18):10487-92)。
【0004】
サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ(CKX)は、植物ホルモンであるサイトカイニンの恒常性を調節する重要な要素である。シロイヌナズナのゲノムは、7つのCKX遺伝子をコードしており、それらは異なった発現ドメインを有する(Werner et al., 2001; Werner et al., 2003)。CKXタンパク質は、それらの細胞内局在及び生化学特徴が異なる(Werner et al., 2003)。個々のCKX遺伝子の過剰発現がサイトカイニン欠損植物を確立し、サイトカイニンが苗条における分裂組織活性に対する正の調節因子であり、根における分裂組織活性に対する負の調節因子であることが明らかにされた。
【0005】
最近、イネにおける特定のCKX遺伝子(シロイヌナズナのCKX3に対するイネオルソログ)の機能の阻害が上記イネで成る実の数の増加を引き起こすことが示された(US2006/0123507A1を参照)。これらの結果は有望ではあるが、植物の生産性を更に向上させる必要性はある。
【0006】
本発明の目的は、生産性及び/又は生育特性が向上した形質転換植物を生産するのに適する手段及び方法を提供することである。
【0007】
この目的は、以下に詳細に述べられる本発明によって達成される。
【0008】
本発明は、少なくとも2つの異なるサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の破壊によってそれらの遺伝子の発現又は活性が、かかる破壊を欠くコントロール植物細胞又はコントロール植物と比べると阻害されている単離された植物細胞及び形質転換植物であって、第一サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子はCKX3又はそのオルソログをコードする内因性遺伝子であり、第二サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子はサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子であってCKX3又はそのオルソログとは異なる遺伝子である、単離された植物細胞及び形質転換植物を提供する。
【0009】
驚くべきことに、植物におけるCKX3遺伝子と、CKX2、CKX4、CKX5又はCKX6のうちの1つをコードする第二サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子との同時破壊が、かかる破壊を欠く植物、又は1つのサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子だけが破壊されている形質転換植物よりも種収率が高い形質転換植物になることが発見された。CKX3の単一破壊では、US2006/0123507A1において報告されるように種収率がわずかに(しかし、顕著でない)増加する一方で、CKX5の単一破壊では種収率に測定可能な影響を及ぼさなかった。驚くべきことに、CKX2とCKX4、又はCKX2とCKX4とCKX5、又はCKX4とCKX6、又はCKX5とCKX6の同時破壊ではなく、CKX3とCKX2、CKX4、CKX5又はCKX6のうちの1つとの同時破壊は、野生型及びCKX3とCKX5の単一破壊と比較して著しく種収率が増加した。非常に顕著な種収率の増加がCKX3とCKX5との同時破壊に対して観察された。更により驚くべきことに、CKX3と、CKX2、CKX4、CKX5又はCKX6のうちの1つ、特にCKX3とCKX5との同時破壊は、野生型植物及びCKX3又はCKX5が単一破壊された形質転換植物と比較して大幅に草高が改善した形質転換植物になる。従って、少なくともCKX3ともう一つのサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子(好ましくはCKX1、CKX2、CKX4、CKX5、CKX6又はCKX7)との同時破壊は、生産性及び/又は生育特性が向上した形質転換植物になる。
【0010】
第1態様において、本発明は、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログ;
と、
ii)
サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードし且つi)で定義する上記遺伝子とは異なるもう一つの内因性遺伝子;との破壊を含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物細胞と比べて阻害している、単離された植物細胞に関する。
【0011】
第2態様において、本発明は、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログ;
と、
ii)
サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードし且つi)で定義する上記遺伝子とは異なるもう一つの内因性遺伝子;との破壊を含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物と比べると阻害している、形質転換植物を目的とする。本発明のために、「形質転換植物」という用語は、本発明のような破壊を含む植物を含むだけでなく、世代数にかかわりなくその後代のいずれにも関係する、即ち「形質転換植物」という用語は、第一世代の後代とX世代の後代とをカバーするが、その上記後代は依然として親の形質転換植物により含まれる本発明の破壊を含むものと理解される。
【0012】
第3の態様において、本発明は、対応するコントロール植物と比べて植物の種収率を増加させる及び/又は草高を高くさせる及び/又は茎の厚さを増加させる方法であって、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログ;
と、
ii)
サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードし且つi)で定義する上記遺伝子とは異なるもう一つの内因性遺伝子;との破壊を植物に導入することを含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物と比べると阻害している、方法に関する。
【0013】
第4の態様において、本発明は、対応するコントロール植物と比べて種収率が増加した植物及び/又は草高が高い植物を生産する方法であって、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログ;
と、
ii)
サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードし且つi)で定義する上記遺伝子とは異なるもう一つの内因性遺伝子;とを植物において破壊することを含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物と比べると阻害している、方法を目的とする。
【0014】
本発明は、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号13における50アミノ酸、好ましくは配列番号13における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号13の全長にわたって、配列番号13の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号2における50アミノ酸、好ましくは配列番号2における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号2の全長にわたって、配列番号2の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号3における50アミノ酸、好ましくは配列番号3における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号3の全長にわたって、配列番号3の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号5における50アミノ酸、好ましくは配列番号5における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号5の全長にわたって、配列番号5の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号6における50アミノ酸、好ましくは配列番号6における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号6の全長にわたって、配列番号6の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子との破壊を含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物細胞と比べると阻害している、単離された植物細胞にも関する。
【0015】
本発明は、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号13における50アミノ酸、好ましくは配列番号13における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号13の全長にわたって、配列番号13の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号2における50アミノ酸、好ましくは配列番号2における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号2の全長にわたって、配列番号2の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号3における50アミノ酸、好ましくは配列番号3における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号3の全長にわたって、配列番号3の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸であり連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号5における50アミノ酸、好ましくは配列番号5における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号5の全長にわたって、配列番号5の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号6における50アミノ酸、好ましくは配列番号6における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号6の全長にわたって、配列番号6の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子との破壊を含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物と比べると阻害している、形質転換植物にも関する。
【0016】
本発明にかかる単離された植物細胞及び/又は本発明にかかる形質転換植物は、少なくとも、
i)
配列番号7と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含む内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号7における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号7における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号7の全長にわたって、配列番号7と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号14と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号14における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号14における500ヌクレオチドである連続塩基配列わたって、より好ましくは配列番号14の全長わたって、配列番号14と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号8と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号8における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号8における500ヌクレオチドである連続塩基配列わたって、より好ましくは配列番号8の全長わたって、配列番号8と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号9と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号9における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号9における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号9の全長にわたって、配列番号9と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号10と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号10における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号10における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号10の全長にわたって、配列番号10と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号11と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号11における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号11における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号11の全長にわたって、配列番号11と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号12と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号12における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号12における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号12の全長にわたって、配列番号12と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子との破壊を含むことができ、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物細胞又はコントロール植物細胞と比べると阻害している。
【0017】
好ましくは、本発明にかかる単離された植物細胞又は本発明にかかる形質転換植物には、
i)
少なくとも、配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
との破壊が含まれる。
【0018】
好ましくは、本発明にかかる単離された植物細胞又は本発明にかかる形質転換植物には、
i)
配列番号7と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含む内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号7における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号7における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号7の全長にわたって、配列番号7と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
配列番号10と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含む内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号10における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号10における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号10の全長にわたって、配列番号10と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
との破壊が含まれる。
【0019】
本発明にかかる単離された植物細胞及び/又は本発明の形質転換植物において、本発明の1つ、2つ以上又は全ての破壊は、構造破壊、アンチセンスポリヌクレオチド遺伝子抑制、二本鎖RNAが誘導する遺伝子サイレンシング、リボザイム技術、ゲノム破壊、ティリング(tilling)及び/又は相同組み換えによって促進できる。
【0020】
本発明にかかる単離された植物細胞及び/又は本発明の形質転換植物において、本発明の1つ、2つ以上又は全ての破壊は、ホモ破壊であってもよい。
【0021】
本発明の形質転換植物は、好ましくはアブラナ科、より好ましくはアブラナ属又はシロイヌナズナ属から選択される。
【0022】
本発明は、本発明の形質転換植物由来の細胞、器官、組織又は形質転換繁殖物も目的とする。形質転換にかかる繁殖物には、本発明の形質転換植物の部分(例:本発明の形質転換植物由来の種、塊茎、テンサイのような/肥大化した主根又は果実)が含まれる。
【0023】
本発明は、対応するコントロール植物と比べて植物の種収率を増加させる及び/又は草高を高くする方法であって、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号13における50アミノ酸、好ましくは配列番号13における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号13の全長にわたって、配列番号13の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号2における50アミノ酸、好ましくは配列番号2における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号2の全長にわたって、配列番号2の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号3における50アミノ酸、好ましくは配列番号3における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号3の全長にわたって、配列番号3の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号5における50アミノ酸、好ましくは配列番号5における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号5の全長にわたって、配列番号5の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号6における50アミノ酸、好ましくは配列番号6における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号6の全長にわたって、配列番号6の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子との破壊を植物に導入することを含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物と比べると阻害している、方法も目的とする。
【0024】
更なる態様において、本発明は、対応するコントロール植物と比較して種収率が増加した及び/又は草高が高い植物、好ましくは形質転換植物を生産する方法であって、少なくとも、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号13における50アミノ酸、好ましくは配列番号13における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号13の全長にわたって、配列番号13の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号2における50アミノ酸、好ましくは配列番号2における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号2の全長にわたって、配列番号2の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号3における50アミノ酸、好ましくは配列番号3における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号3の全長にわたって、配列番号3の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号5における50アミノ酸、好ましくは配列番号5における100アミノ酸である連続アミノ酸配列わたって、より好ましくは配列番号5の全長にわたって、配列番号5の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号6における50アミノ酸、好ましくは配列番号6における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号6の全長にわたって、配列番号6の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子を植物において破壊することを含み、上記破壊が少なくとも2つの破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物の発現及び/又は活性を、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物と比べると阻害している、方法を目的とする。
【0025】
本発明の方法において、好ましくは、
i)
少なくとも、配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
を好ましくは破壊することができる。
【0026】
本発明の方法において、好ましくは、
i)
配列番号7と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含む内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号7における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号7における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号7の全長にわたって、配列番号7と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号14と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号14における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号14における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号14の全長にわたって、配列番号14と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号8と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号8における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号8における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号8の全長にわたって、配列番号8と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号9と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号9における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号9における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号9の全長にわたって、配列番号9と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号10と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号10における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号10における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号10の全長にわたって、配列番号10と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号11と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号11における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号11における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号11の全長にわたって、配列番号11と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号12と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含むCKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号12における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号12における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号12の全長にわたって、配列番号12と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子が破壊される。
【0027】
本発明の他の好ましい方法において:
i)
配列番号7と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含む内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号7における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号7における500ヌクレオチドである連続塩基配列、より好ましくは配列番号7の全長にわたって、配列番号7と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む遺伝子である上記オルソログ;
と、
ii)
配列番号10と同一又は少なくとも95%の同一性がある塩基配列を含む内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号10における300ヌクレオチド、好ましくは配列番号10における500ヌクレオチドである連続塩基配列にわたって、より好ましくは配列番号10の全長にわたって、配列番号10と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有する塩基配列を含む遺伝子である上記オルソログ;
が破壊される。
【0028】
本発明の方法において、好ましくは1つ、2つ以上又は全ての破壊は、ホモ破壊である。
【0029】
本発明は、本発明の方法のうちの1つによって得ることが可能か又は得られた、単離された植物細胞又は形質転換植物も目的とする。
【0030】
一実施形態として、本発明にかかる単離された植物細胞又は本発明の形質転換植物における、少なくとも1つの破壊は、配列番号14(CKX1)、配列番号7(CKX3)、配列番号8(CKX2)、配列番号9(CKX4)、配列番号10(CKX5)、配列番号11(CKX6)、配列番号12(CKX7)若しくはその部分配列又はその相補体に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約99.5%又はそれより高い配列同一性を有する塩基配列を含む少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を、センス又はアンチセンス配向にてプロモーターに連結するようにして、植物細胞に導入することによって生じる。他の実施形態では、破壊は、RNAサイレンシング又は干渉用に構成される少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を導入することによって本発明の植物細胞又は形質転換植物に導入される。
【0031】
他の実施形態では、上述の内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、2つ以上又は全ての破壊には、1又は複数トランスポゾンの挿入が含まれる。さらに別の実施形態では、1つ、2つ以上又は全ての破壊は、上述の内因性遺伝子の少なくとも1つに1又は複数の点変異を含むことができる。
【0032】
上述の内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、2つ以上又は全ての破壊は、ホモ破壊とすることができる。あるいは、上述の内因性遺伝子の少なくとも1つにおける1つ、2つ以上又は全ての破壊は、ヘテロ破壊とすることができる。ある種の実施形態では、上述の内因性遺伝子の少なくとも1つにおける破壊は、ホモ破壊、ヘテロ破壊又はホモ破壊とヘテロ破壊との組合せを含むことができる。
【0033】
別に定められない限り、本願において用いられる全ての技術的及び科学的な用語は、本発明に関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明を記載し要求することについて、以後の用語は、以下で述べられる定義に従って使われる。
【0034】
この明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられているように、単数形"a"、"an"及び"the"には、別の方法で内容を明確に表さない限り、単数及び複数の指示語が含まれる。従って、例えば、「細胞(a cell)」が参照する対象には、1つの細胞及び2又は3以上の細胞の組合せ等が含まれる。
【0035】
「植物」という用語は、一般的には、植物全体、植物の部分又は器官(例:葉、軸、根等)、苗条栄養器官/構造(例:葉、軸及び塊茎)、根、花及び花器/構造(例:包葉、萼片、花弁、おしべ、心皮、葯及び胚珠)、種(胚、内乳及び種皮を含む)、果実(成熟した子房)、植物組織(例:維管束組織、基本組織等)、組織培養カルス、並びに植物細胞(例:孔辺細胞、卵細胞、毛状突起等)、並びに後代における同上のもののうちのいずれかを意味する。一般に「植物」という用語は、光合成が可能なそれら全ての生物を意味する。植物界の高等及び下等植物における全ての属及び種は、本発明の範囲内の植物として含まれる。成熟植物、実生後の任意の発育時期における植物を意味する。実生は、初期の発育時期における若い未発達の植物を意味する。一年生草、多年生植物、単子葉及び/又は双子葉植物が好ましい。好ましいものは、次の植物科の植物から得られる:アブラナ科、特にアブラナ属及びシロイヌナズナ属の植物。
【0036】
本願で用いられる植物細胞には、限定するわけではないが、植物又はその部分(種、培養組織、懸濁培養組織、胚、分裂組織部位、カルス組織、葉、根、苗条、配偶体、胞子体、花粉及び小胞子)から得られるか又は見つかる細胞が更に含まれる。植物細胞は、上述した組織から得られる改変細胞(例:プロトプラスト)が含まれることも理解できる。
【0037】
本願において使用する「破壊」又は「破壊された」という用語は、ある遺伝子が少なくとも1つの変異又は構造的な変更を含むように構造的に破壊され、破壊された遺伝子は完全長且つ十分に機能的な遺伝子産物の効率的な発現を導くことができないことを意味する。「破壊」又は「破壊された」という用語は、破壊された遺伝子又はその産物の1つを機能的に阻害又は不活性化でき、ある遺伝子は発現しないか完全長及び/又は十分に機能的な遺伝子産物を効率的に発現しないことも意味する、機能的な阻害又は不活性化は、転写又は翻訳レベルでの発現の構造的な破壊及び/又は妨害の結果として生じさせることができる。機能的な阻害又は不活性化は、例えばアンチセンスポリヌクレオチド遺伝子抑制、二本鎖RNAにより誘導される遺伝子サイレンシング、リボザイム技術等のような方法によって達成することもできる。発現又は活性の阻害は、例えばアンチセンス構造物、センス構造物、サイレンシングが構成するRNA、RNA干渉、ゲノム破壊(例:トランスポゾン、ティリング、相同組み換え等)及び/又はそのようなものの結果とすることができる。機能的な阻害による破壊には、化学化合物、好ましくは上記遺伝子又は遺伝子産物と特に相互作用する化学化合物との相互作用によって遺伝子又はその産物の1つの阻害も含まれる。発現又は活性の阻害は、(例えばノーザンブロッティング又はRT-PCR技術によって)転写産物の存在度又は量を決定することによって及び/又は(例えばELISA又はウェスタンブロッティングによって)上記遺伝子がコードする完全長又は切り詰められたポリペプチドの存在度又は量を決定することによって及び/又は破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の産物のサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性の存在度又は量を決定することによって測定できる。本願において使用する「破壊」又は「破壊された」という用語には、植物の一部、特定の細胞型又は組織(例えば再生分裂組織又は茎端のようなもの)だけに効果的な破壊も含まれることが理解される。破壊は、コード領域内、非コード領域内及び/又は制御領域(例えば特定の遺伝子のプロモーター領域のようなもの)と相互作用するかそれらに影響を与えるかによって達成することができる。
【0038】
「形質転換」という用語は、限定するものではないが、遺伝子、ポリヌクレオチド、DNA、RNA等及び/又はその改変物(例えば変異、点変異等)を含む塩基配列が組込まれた植物を指し、上記塩基配列は、非導入植物と比べると、本質的には植物の生産に関する生物学的過程ではない過程によって植物に導入されている。従って、「形質転換植物」という用語は、非内因性核酸を有する植物だけを含むのではなく、内因性遺伝子の変異(例:点変異)がある植物も明確に指すものであり、それらは、非導入植物と比べると、本質的には植物の生産に関する生物学的過程ではない過程によって植物に導入されている。
【0039】
「内因性」という用語は、所定の細胞又は生物(例えば植物のようなもの)において現に存在する任意の遺伝子又は塩基配列に関する。「外因性」という用語は、内因性ではない任意の遺伝子又は塩基配列に関する。
【0040】
「転移因子」(TE)又は「転移性遺伝因子」は、細胞の1つの位置から別の位置へ移動することができるDNA配列である。転移因子は、エピソームからエピソーム、エピソームから染色体、染色体から染色体又は染色体からエピソームに移動可能である。転移因子は、それらの末端の逆位反復配列の存在によって特徴づけられる。移動は、「トランスポサーゼ」によって酵素的にもたらされる。構造的に、転移因子は、因子の移動に必要なそれらのものに加えて、遺伝子配列の存在又は非存在に基づいてそれぞれ「トランスポゾン」(TN)又は「挿入配列領域」(IS領域)と分類される。ミニトランスポゾン又はミニIS領域は、典型的には、トランスポサーゼをコードする配列を欠いている。
【0041】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、一般的には、その技術分野で認識される意味において使用され、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)ポリマー又はその類似体(例:ヌクレオチド修飾又はペプチド核酸等を含むヌクレオチドポリマー)を指す。特定の応用において、核酸は、複合モノマー型(例えば、RNAとDNAの両方のサブユニット)を含むポリマーとすることができる。核酸は、例えば、染色体、又は、染色体部分、ベクター(例えば、発現ベクター)、発現カセット、裸のDNA又はRNAポリマー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物、オリゴヌクレオチド、プローブ等とすることができる。核酸は、例えばで、一本鎖及び/又は二本鎖とすることができる。特に明記しない限り、本発明の特定の塩基配列は、任意に、明確に明示される任意の配列に加えて、相補配列を含むか又はコードする。
【0042】
「ポリヌクレオチド配列」、「塩基配列」、又は「ヌクレオチド配列」という用語は、単一の核酸におけるヌクレオチドの連続配列、又は、それを表したもの(例えば、文字列)を意味する。即ち、「ポリヌクレオチド配列」は、ヌクレオチドのポリマー(オリゴヌクレオチド、DNA、核酸等)、又はその内容に基づくヌクレオチドポリマーを表す文字列である。任意の特定のポリヌクレオチド配列から、所定の核酸又は相補ポリヌクレオチド配列(例えば、相補核酸)のいずれかを決定することができる。
【0043】
「部分配列」又は「断片」という用語は、完全な配列の任意の部分である。
【0044】
「発現カセット」は、転写産物や潜在的にはポリヌクレオチド配列がコードするポリペプチドを生成可能な、例えばベクター(例:プラスミド、ウイルスベクター等)のような核酸構造物である。発現ベクターは、インビボ又はビトロで外因性細胞(例えば菌体)又は植物細胞(例えば培養植物プロトプラスト)の転写産物を生成できる。発現産物は、例えば選択されるプロモーターに依存して構成的か誘導性とすることができる。翻訳されないか又は翻訳できないアンチセンス、センス又はRNA干渉又はサイレンシングの構成は、この定義にはっきりと含まれる。発現ベクターの内容において、プロモーターは、それが付随するポリヌクレオチド配列の発現を調節することができる場合、ポリヌクレオチド配列に「使用可能な状態で連結する」か「機能的に連結する」と言える。上記用語は、代わりの外因性遺伝子構造物(発現又は組み込み導入遺伝子)にもあてはまる。同様に、使用可能な状態又は機能的に連結するなる用語は、ポリヌクレオチド配列を伴う代替又は追加の転写調節配列(例:エンハンサー)に対して同じように当てはまる。
【0045】
ポリヌクレオチド配列、塩基配列又は遺伝子は、ポリヌクレオチド配列がRNA若しくはポリペプチド又はその部分配列に転写(スプライス型又は非スプライス型)及び/又は翻訳される場合、センス若しくはアンチセンスRNA分子、又はRNAサイレンシング若しくは干渉分子又はポリペプチドを「コードする」と言える。当業者は、同じアミノ酸配列又はポリペプチドをコードする多種の塩基配列を可能にする遺伝コードの縮退を十分に理解しており、所定の塩基配列が所定のアミノ酸配列又はポリペプチドをコードするかどうかについて決定することは困難ではない。
【0046】
「遺伝子の発現」又は「核酸の発現」は、RNAへのDNAの転写(任意に、RNAの修飾 (例:スプライシング)を含む)、ポリペプチドへのRNAの翻訳(おそらく、ポリペプチドのその後の修飾(例:翻訳後修飾)を含む)又は転写と翻訳の両方を意味し、それは文脈によって示される。
【0047】
「遺伝子」又は「遺伝子配列」という用語は、広く、生物学的機能を伴う任意の核酸を指すのに用いられる。遺伝子には、典型的に、コード配列及び/又はかかるコード配列の発現のために必要とされる調節配列が含まれる。「遺伝子」という用語は、特異的なゲノム配列と、そのゲノム配列によってコードされるcDNA又はmRNAにあてはまる。遺伝子には、例えば、他のタンパク質のための認識配列を形成する非発現核酸セグメントが含まれる。非発現調節配列には、調節タンパク質(例:転写因子)が結合することで隣接するか近くの配列の転写を引き起こす、プロモーター及びエンハンサーが含まれる。
【0048】
「ポリペプチド」は、2又は3以上のアミノ酸残基(例えばペプチド又はタンパク質)を含むポリマーである。ポリマーには、付加的に非アミノ酸要素(例えばラベル、クエンチャー、保護基等)を含ませることができ、任意に修飾(例:グリコシル化等)を含ませることができる。ポリペプチドのアミノ酸残基は、天然又は非天然とすることができ、そして非置換又は未修飾とすることができるか置換又は修飾することができる。
【0049】
本明細書で使用しているように、「サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子」という用語は、サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を言う。サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼは、化学反応を触媒する酵素である:
N6-ジメチルアリルアデニン+受容基+H
2O⇔アデニン+3-メチル-2-ブテナール+減少した受容基
【0050】
この酵素の3つの基質は、N6-ジメチルアリルアデニン、受容基及びH
2Oであるが、その3つの生成物はアデニン、3-メチル-2-ブテナール及び減少した受容基である。好ましくは、「サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性」という用語は、サイトカイニンのうちの少なくとも1つを基質としてオキシドリダクターゼ反応を触媒する所定のポリペプチドの活性を含む。当業者は、所定のポリペプチドがサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性を有するかどうか測定する手段及び方法と、絶対値で及び/又は他のポリペプチド又はプローブと相対的に特定のポリペプチド又はプローブのサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性のレベルを測定する手段及び方法をよく理解している。所定のポリペプチドについてのかかる活性をどのように試験するかは、文献中に十分なガイダンスがある(例:EC 1.5.99.12)。より好ましくは、「サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ活性」という用語には、サイトカイニンのうちの少なくとも1つを基質として、好ましくはAtCKX3(配列番号1を有するCKX3)の活性の30%以上、好ましくはAtCKX3の活性の50%以上の活性でオキシドリダクターゼ反応を触媒する所定のポリペプチドの活性が含まれる。
【0051】
本明細書で用いられる「オルソログ」という用語は、種であって好ましくはシロイヌナズナ異なる種であり、シロイヌナズナの特定遺伝子に対して最も高い類似性、好ましくは最も高い配列同一性を示す種由来の遺伝子、好ましくはシロイヌナズナとは異なる種由来の遺伝子を指す。これは、両方とも共通の祖先を起源にするためである。好ましくは、「オルソログ」という用語は、サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードし、それぞれのオルソログを指す所定の配列、好ましくは特定の配列長に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列(ポリペプチド又は核酸)を含む内因性遺伝子を意味する。より好ましくは、「オルソログ」という用語は、シロイヌナズナとは異なる種由来であり、サイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードし、それぞれのオルソログが参照するシロイヌナズナの所定の配列と、好ましくは特定の配列長にわたって、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の配列同一性を含む配列を有する、内因性遺伝子を意味する。
【0052】
「組換え」という用語は、材料(例えば細胞、核酸又はタンパク質)がヒトの関与によって人工的に又は合成的(非天然的)に改変されていることを示す。改変は、その自然環境若しくは状態の材料又はそこから除かれた材料に対して実行できる。例えば、「組換え核酸」は、核酸を再結合すること(例えばクローニング、DNAシャッフリング又は他の手法を通じること)によって作られるものであり、「組換えポリペプチド」又は「組換えタンパク質」は、組換え核酸の発現によって生じるポリペプチド又はタンパク質である。組換え細胞の例としては、組換え核酸及び/又は組換えポリペプチドを含む細胞が挙げられる。
【0053】
「ベクター」という用語は、核酸が生物、細胞又は細胞構成要素間で伝播及び/又は転移できる手段を言う。ベクターには、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、プロウィルス、ファージミド、トランスポゾン及び人工染色体等であって、独立して複製するか宿主細胞の染色体にインテグレートできるものが含まれる。ベクターは、裸RNAポリヌクレオチド、裸DNAポリヌクレオチド、同じストランド内においてDNA及びRNAの両方から構成されるポリヌクレオチド、ポリ-リシン共役DNA又はRNA、ペプチド共役DNA又はRNA、リポソーム共役DNA等であって、独立して複製しないものとすることもできる。
【0054】
本発明の文脈において、「単離される」と言う用語は、生物材料(例えば核酸又はポリペプチド)であって、自然環境において通常それと付随するか又は相互作用する構成要素が実質的に含まれていないものを指す。単離された材料には、任意に、その自然環境(例えば細胞)における上記材料では見られない材料が含まれる。例えば、上記材料がその自然環境(例えば細胞)にある場合、その環境で見られる材料の起源ではない細胞内におけるある場所(例えばゲノム又は遺伝因子)に上記材料は位置する。例えば、天然核酸がそれの起源ではないゲノム(例えばベクター(例:プラスミド又はウイルスベクター又はアンプリコン))の座に非天然の手段によって導入される場合、その核酸(例えばコード配列、プロモーター、エンハンサー、その他)は単離されたことになる。単離された植物細胞は、例えば、野生型植物細胞の通常の環境(例えば植物全体)以外の環境(例えば、細胞培養システム又は細胞培養から精製されたもの)であるとすることができる。
【0055】
本明細書で用いられる「プロモーター」には、転写開始位置より上流にあり、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ及び他のタンパク質の認識及び結合に関するDNA領域の基準が含まれる。「植物プロモーター」は、植物細胞において転写を開始することができるプロモーターである。例示的な植物プロモーターとしては、限定するものではないが、植物、植物ウイルス及び細菌あって植物細胞において発現される遺伝子を含むもの(例えばアグロバクテリウム又は根粒菌)が含まれる。発育制御下のプロモーターの例としては、特定の組織(例えば葉、根又は種)又は空間的な領域(例えば内乳、胚又は分裂組織部位)の転写を優先して開始するプロモーターが含まれる。かかるプロモーターは、「組織好適」か「組織特異的」であると称する。時間で調節されるプロモーターは、特定の時間(例えば受粉の後の0-25日間)に発現を駆動する。「細胞型好適」プロモーターは、主に1又は複数の器官の特定の細胞型(例えば、根又は葉の維管束細胞)の発現を駆動する。「誘導性」プロモーターは、環境制御下にあるプロモーターであり誘導性か非抑制性であってもよいプロモーターである。誘導性プロモーターによる転写をもたらすことが可能な環境条件の例としては、嫌気的条件又は光の存在が挙げられる。組織特異、細胞型特異的及び誘導性プロモーターは、「非構成的」プロモーターの種類を構成する。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境条件下及び全て又はほとんど全ての組織において、全て又はほとんど全ての発育の時期で活性化しているプロモーターである。
【0056】
本明細書で用いられる「形質転換」は、外因性DNAが細胞膜の外側に導入された時、かかる外因性DNAによって細胞が「形質転換される」処理である。外因性DNAは、細胞のゲノムを占めている染色体DNAに組み込まれる(共有結合的に結合する)かもしれないしされないかもしれない。原核生物及び酵母においては、例えば、外因性DNAは、エピソーム要素(例えばプラスミド)に維持することができる。高等真核細胞に関しては、安定して形質転換されたかトランスフェクトされた細胞は、染色体複製を通じて娘細胞によって継承されるように外因性DNAが染色体に組み込まれたものである。この安定性は、外因性DNAを有する娘細胞群が含まれる細胞株又はクローンを確立する真核細胞の能力によって示される。
【0057】
本発明のために、配列「同一性」は、数多くの方法のうちのいずれかによって客観的に測定される。当業者は、これらの方法をよく理解しており、過度の負担なく適切な方法を選択することができる。2又は3以上の配列の関係性(例えば同一性、類似性及び/又は相同性)を決定する様々な方法が利用可能であり、これらは公知技術である。例えば、上記方法には、手動アライメント、コンピューター支援配列アライメント及びそれらの組み合わせが含まれる。配列アライメントを実行するための多くのアルゴリズム(一般に、実装されたコンピューター)は、広く利用できるか又は当業者はそれを作成することができる。これらの方法には、例えばSmith and Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2: 482の局所相同性アルゴリズム; Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48 : 443の相同性アライメントアルゴリズム; Pearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 2444の類似性検索法;及び/又はこれらのアルゴリズムをコンピューターに実装したもの(例えば、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Dr. , Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)が含まれる。
【0058】
例えば、BLASTアルゴリズムを用いた配列同一性(そして、配列類似性)分析法を実行するためのソフトウェアは、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410に記載されている。このソフトウェアは、例えば、全米バイオテクノロジー情報センターのworld wide webであるncbi. nlm. nih. govを通じて一般公開されている。このアルゴリズムは、問い合わせ配列において長さWのショートワードを、データベース配列において同じ長さのワードと合わせた時にいくつかの正の値の閾値スコアTに一致又は充足する上記ショートワードを同定することによって高得点配列対(HSP)を同定することを最初に行う。Tは、近傍ワードスコア閾値と呼ばれる。これらの最初の近傍ワードのヒットは、検索を開始するための種として働き、それらを含むより長いHSPを見つける。累積アライメントスコアが増加できる限り、ワードヒットは各々の配列に沿って両方向に延長される。累積的なスコアは、ヌクレオチド配列については、パラメーターM(一致する残基の対に対する報酬スコア;常に>0)及びN(不一致残基に対する罰則スコア;常に<0)を使用して算出される。アミノ酸配列に関しては、スコアマトリックスが累積的なスコアを算出するために用いられる。各方向におけるワードヒットの拡張は、次の場合において停止する:累積的なアライメントスコアは、最も獲得される値から量Xまで減少するか、1又は複数の負のスコアを得る残基アライメントの累積に起因して、累積的なスコアがゼロ又はそれ以下になるか、又は、いずれかの配列が末端に達する。BLASTアルゴリズムのパラメーターW、T、及びXがアライメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関するもの)は、デフォルトとして、ワード長(W)が11、期待値(E)が10、カットオフが100、M=5、N=-4及び両ストランドの比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTP(BLAST プロテイン)プログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)が3、期待値(E)が10及びBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915を参照)を使用する。
【0059】
加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性に関する統計分析を実行する(例えば、Karlin & Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、最少合計確率(p(N))であり、それは2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最少合計確率が約0.1未満又は約0.01未満及び/又は約0.001未満である場合、核酸は対照配列に対して類似すると考えられる(従って、この文脈においては、相同性である)。
【0060】
他の有効な配列アライメントアルゴリズムの他の例は、PILEUPである。PILEUPは、プログレッシブ、ペアワイズアライメントを使用して、一群の関連配列から多重配列アライメントを作成する。それは、アライメントを作成するのに使用されるクラスターの関係性を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle (1987) J. Mol. Evol. 35: 351-360のプログレッシブアライメント法を簡略化したものを使用する。使用する方法は、Higgins & Sharp (1989) CABIOS5 : 151-153に記載されている方法と類似している。プログラムは、例えば最大5,000文字長の300配列までアライメントをとることができる。多重アライメントの手法は、2つの最も類似する配列のペアワイズアライメントから開始し、整列配置した2つの配列のクラスターを作成する。そしてこのクラスターは、次に最も関連した配列又は整列配置された配列のクラスターを整列配置することができる。2つの配列クラスターは、2つの個々の配列に関するペアワイズアライメントの単純な拡張によって整列配置することができる。最終的なアライメントは、一連のプログレッシブ、ペアワイズアライメントによって獲得される。プログラムは、クラスターの関係性に関する系統樹(dendogram)又は木表現をプロットするために用いることもできる。プログラムは、特定の配列を指定することによって動き、それらのアミノ酸又はヌクレオチドは配列を比較した領域間で整列する。
【0061】
多重DNA(又はアミノ酸配列)アライメントに適しているアルゴリズムの更なる例は、CLUSTALWプログラム(Thompson, J. D. et al. (1994) Nucl. Acids. Res. 22: 4673-4680)である。CLUSTALWは、配列のグループ間の多重ペアワイズ比較を実行して、それらを相同性に基づく多重アライメントにアセンブルする。ギャップ開始及びギャップ伸長ペナルティーは、例えば、それぞれ10及び0.05とすることができる。アミノ酸アライメントに関して、BLOSUMアルゴリズムが、タンパク質加重マトリクスとして用いることができる。例えば、Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919を参照。
【0062】
本発明にかかる単離された植物細胞又は形質転換植物は、例えば形質転換のような従来型の手段によって生産することができる。植物細胞及びプロトプラストの形質転換は、本質的には植物分子生物学の当業者にとって公知の様々な方法(本願明細書において記載されている方法を含むがこれらに限定されない)のうちのいずれかで実施することができる。一般に、Methods in Enzymology, Vol. 153 (Recombinant DNA Part D) Wu and Grossman (eds. ) 1987, Academic Pressを参照。本明細書において使用している「形質転換」という用語は、塩基配列(例えば、「異種」、「外因性」又は「外来性」塩基配列)の導入によって、宿主植物又は植物細胞の遺伝子型の改変を意味する。異種塩基配列は、異なる起源から生じるものである必要は必ずしもないが、ある時点では、導入される細胞の外部にあるだろう。Berger, Ausubel and Sambrookに加えて、植物細胞クローニング、培養及び再生に関する役立つ一般的な参考文献には、Jones (ed) (1995) Plant Gene Transfer and Expression Protocols--Methods in Molecular Biology, Volume 49 Humana Press Towata NJ; Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY (Payne);及びGamborg and Phillips (eds) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture; Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York) (Gamborg)が含まれる。様々な細胞培養液は、Atlas and Parks (eds) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, FL (Atlas)に記載されている。植物細胞培養に関する更なる情報は、利用可能な商業的文献(Sigma-Aldrich, Inc (St Louis, MO) (Sigma-LSRCCC)のthe Life Science Research Cell Culture Catalogue (1998)及び、例えばSigma-Aldrich, Inc (St Louis, MO) (Sigma- PCCS)のthe Plant Culture Catalogue and supplement (1997))に見られる。植物細胞培養に関する更なる詳細は、Croy, (ed. ) (1993) Plant Molecular Biology Bios Scientific Publishers, Oxford, U. Kに見られる。
【0063】
前述内因性遺伝子のうちの少なくとも1つにおける1つ、2つ以上又は全ての破壊は、植物細胞又は植物において、(例えば、アンチセンス若しくはセンスの構成又はRNAサイレンシング若しくは干渉の構成等で)形質転換用ポリヌクレオチド配列を導入して発現させることによって促進できるものであって、上記形質転換用ポリヌクレオチド配列は、
a) 配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
b) 配列番号13のポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ
c) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
d) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
e) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
f) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
g) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
又は
h) 配列番号1、2、3、4、5、6又は13のうちの1つの50アミノ酸、好ましくは100アミノ酸である連続アミノ酸配列、より好ましくは全長と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子配列又は部分配列;
である塩基配列又は相補的な塩基配列を含み且つプロモーターを含み、少なくとも破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現及び/又は活性は、かかる破壊を欠く対応するコントロール植物細胞又は植物(例えばその非形質転換親又は同じ種の非形質転換植物)と比べて阻害されている。形質転換用ポリヌクレオチド配列は、例えば、これに限定されないが、エレクトロポレーション、微粒子銃、アグロバクテリウム媒介形質転換又は他の利用可能な方法を含む技術によって導入できる。本発明の特定の態様において、ポリヌクレオチドは、センス配向若しくはアンチセンス配向にてプロモーターに結合するか、RNAサイレンシング若しくは干渉用に構成される。
【0064】
相同性依存的遺伝子サイレンシングの応用を記載している関連文献には、Jorgensen, Trends Biotechnol. 8 (12): 340-344 (1990); Flavell, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 91: 3490-3496 (1994); Finnegan et al., Bio/Technology 12: 883-888 (1994); Neuhuber et al., Mol. Gen. Genet. 244: 230-241 (1994); Flavell et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 3490-3496; Jorgensen et al. (1996) Plant Mol. Biol. 31: 957-973; Johansen and Carrington (2001) Plant Physiol. 126: 930-938 ; Broin et al. (2002) Plant Cell 14: 1417-1432; Stoutjesdijk et al. (2002) Plant Physiol. 129: 1723- 1731; Yu et al. (2003) Phytochemistry 63: 753-763;並びに米国特許番号5,034,323、5,283,184及び5,942,657が含まれる。
【0065】
あるいは、遺伝子サイレンシングの他のアプローチは、アンチセンス技術を用いることである(Rothstein et al. in Plant Mol. Cell. Biol. 6: 221-246 (1989); Liu et al. (2002) Plant Physiol. 129: 1732-1743並びに米国特許番号5,759,829及び5,942,657)。アンチセンス核酸の使用は、公知技術である。アンチセンス核酸は、標的核酸(例えば特定のゲノム遺伝子配列、mRNA又はcDNA)に対して相補的な領域がある。アンチセンス核酸は、RNA、DNA、PNA又は任意の他の適切な分子とすることができる。二体鎖は、アンチセンス配列とその相補的なセンス配列と間で形成し、その結果、遺伝子を不活性化させることができる。アンチセンス核酸は、遺伝子から転写されるRNAと二体鎖を形成すること、二重鎖のDNAと三重鎖を形成すること等によって、遺伝子発現を阻害することができる。アンチセンス核酸は、多くの確立した技術(例えば、アンチセンスRNA又はオリゴヌクレオチドの化学合成(任意に、耐分解性を向上させるか又は細胞内取り込みを向上させる修飾ヌクレオチド及び/又は連結を含む)又はインビトロ転写)によって生成することができる。アンチセンス核酸及びそれらの使用は、例えばHaselton and Alexander (June 5,2001)のUSP 6,242,258(題名: Methods for the selective regulation of DNA and RNA transcription and translation by photoactivation); USP 6,500,615; USP 6,498,035; USP 6,395,544; USP 5,563,050; E. Schuch et al (1991) Symp Soc. Exp Biol 45: 117-127; de Lange et al., (1995) Curr Top Microbiol Immunol 197: 57-75; Hamilton et al. (1995) Curr Top Microbiol Immunol 197: 77-89; Finnegan et al., (1996) Proc Natl Acad Sci USA 93: 8449-8454; Uhlmann and A. Pepan (1990), Chem. Rev. 90: 543; P. D. Cook (1991), Anti-Cancer Drug Design 6: 585; J. Goodchild, Bioconjugate Chem. 1 (1990) 165; そして、S. L. Beaucage and R. P. Iyer (1993), Tetrahedron 49: 6123; そして、F. Eckstein, Ed. (1991), Oligonucleotides and Analogues--A Practical Approach, IRL Pressに記載されている。
【0066】
触媒性RNA分子又はリボザイムは、特定の選択遺伝子の発現を阻害するために用いることもできる。実質的に任意の所望の標的RNAと特に対になって特定の位置でホスホジエステル骨格を切断することによって標的RNAを機能的に不活性化するリボザイムを設計することは可能である。この裂開を実施することにおいて、リボザイムはそれ自体変化しないので再度使用されて他の分子を切断することができる。アンチセンスRNA内にリボザイム配列を含む包含物は、それらにRNA切断活性を与えることによって構造物の活性を増加させる。多くの種類のリボザイムが同定されている。例えば、リボザイムの1つの種類は、植物において自己裂開及び複製ができる多くの小環状RNAから誘導される。上記RNAは、単独(ウイロイドRNA)かヘルパーウィルス(サテライトRNA)と共に複製することができる。RNAの例としては、アボカドサンブロッチウイロイド由来のRNA及びタバコ輪点ウイルス、ルーサン一過性線条ウイルス、ベルベットタバコ斑紋ウイルス、ソラヌムノディフロルム斑紋ウイルス及びサブタレニアンクローバー斑紋ウイルス由来のサテライトRNAが挙げられる。標的RNA特異的リボザイムの設計及び使用は記載されている。例えばHaseloff et al. (1988) Nature, 334: 585-591を参照。
【0067】
発現を阻害することによって特定の選択遺伝子を不活性化する他の方法は、センス抑制によるものである。核酸がプロモーターに対してセンス配向にて構成される発現カセットの導入は、所望の標的遺伝子の転写を遮断する有効な手段であることが示されている。例えば、Napoli et al. (1990), The Plant Cell 2: 279-289並びに米国特許番号5,034,323、5,231,020及び5,283,184を参照。
【0068】
本発明にかかる破壊は、RNAサイレンシング又は干渉(RNAi)を用いて引き起こすこともでき、それは転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)又は共抑制と称することもできる。本発明の文脈において、「RNAサイレンシング」(また、RNAi又はRNA媒介干渉と呼ばれるもの)は、細胞における一本鎖又は、典型的には、二本鎖RNAの存在が、RNAの配列と同一であるかほとんど同一の配列を有する標的遺伝子の発現を阻害する任意のメカニズムを指し、これには、RNA干渉、mRNAの安定性を改変しない、標的遺伝子から転写される標的mRNAの翻訳リプレッション及び転写性サイレンシング(例えば、標的mRNAの転写阻害を導くヒストンアセチル化及びヘテロクロマチン形成)が含まれるが、限定されるものではない。「RNA干渉」において、細胞における一本鎖又は二本鎖RNAの存在が結果としてヌクレオチド鎖を切断して標的mRNAの分解を導く。
【0069】
一実施形態として、導入遺伝子(例えば、関心がある遺伝子又はコード配列の配列及び/又は部分配列)を植物細胞に導入し、RNAサイレンシング又は干渉(RNAi)によって1又は複数の遺伝子を破壊する。例えば、配列又は部分配列(導入遺伝子)には、短い部分配列(例えば長さが約21-25の塩基)、より長い部分配列(例えば長さが約25-100又は約100-2000(又は約200-1500、約250-1000等))の塩基、及び/又は完全なコード配列又は遺伝子であって、
a) 配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
b) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
c) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
d) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
e) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
f) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
g) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子配列若しくは部分配列又はそのオルソログ;
h) 配列番号1、2、3、4、5、6又は13のうちの1つの50アミノ酸、好ましくは100アミノ酸である連続アミノ酸配列、より好ましくは全長と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子配列又は部分配列;
から選択されるかそれらと相補的なものが含まれる。
【0070】
好ましくは、導入遺伝子には、配列番号7、8、9、10、11、12又は14を有する配列のうちの1つの部分配列と少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも99%の同一性を有する長さが約21-25の塩基の領域が配列又は部分配列に含まれる。
【0071】
例えばヘアピン(ステム-ループ)RNAの発現又は干渉RNAの2つのストランドの発現によって、多くの細胞型(例えば植物細胞を含む)及び生物における遺伝子発現を阻害するRNAiの使用は、例えば、所望の遺伝子を標的とする適切な干渉RNA又は複数の干渉RNAを決定するための方法及びかかる干渉RNAを生じさせるための方法として文献によく記載されている。例えば、RNA干渉は、例えば、米国特許出願公報20020173478、20020162126及び20020182223並びにCogoni and Macino (2000), "Post-transcriptional gene silencing across kingdoms" Genes Dev. , 10: 638-643; Guru T. (2000), "A silence that speaks volumes" Nature 404: 804-808; Hammond et al., (2001), "Post-transcriptional Gene Silencing by Double-stranded RNA" Nature Rev. Gen. 2: 110-119; Napoli et al. , (1990) "Introduction of a chalcone synthase gene into Petunia results in reversible co-suppression of homologous genes in trayas." Plant Cell 2: 279-289等に記載されている。
【0072】
RNAiを誘導するために発現される(複数の)ポリヌクレオチド配列又は(複数の)部分配列は、例えば、構成的プロモーター、誘導性プロモーター又は組織特異的プロモーターの制御下で発現できる。組織特異プロモーター由来の発現は、特定の実施形態において有利とすることができる。
【0073】
上述の内因性遺伝子のうちの少なくとも一つにおける1つ、2つ以上又は全ての破壊は、例えばトランスポゾンを基礎とする遺伝子の不活性化によって導入できる。例えば、不活性化するステップは、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;である遺伝子、
及び/又は、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号13における50アミノ酸、好ましくは配列番号13における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号13の全長にわたって、配列番号13の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号2における50アミノ酸、好ましくは配列番号2における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号2の全長にわたって、配列番号2の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号3における50アミノ酸、好ましくは配列番号3における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号3の全長にわたって、配列番号3の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号5における50アミノ酸、好ましくは配列番号5における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号5の全長にわたって、配列番号5の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号6における50アミノ酸、好ましくは配列番号6における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号6の全長にわたって、配列番号6の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう1つの内因性遺伝子に、1又は複数の変異を生じさせることを含み、上記遺伝子配列の1又は複数の変異には、1又は複数のトランスポゾン挿入が含まれ、上記破壊が少なくとも破壊されたサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現又は活性をかかる破壊を欠く対応するコントロール植物細胞又は植物と比べて阻害している。例えば、1若しくは複数の前述の遺伝子におけるホモ破壊を含む1若しくは複数の変異、又は、1若しくは複数の前述の遺伝子におけるヘテロ破壊を含む1若しくは複数の変異、又は、ホモ破壊及びヘテロ破壊の組合せ。
【0074】
トランスポゾンは、1940年代後期にBarbara McClintockによってトウモロコシにおいて最初に同定された。転移因子(例えばロバートソンのミューテーター(mu)転移因子)のミューテーターファミリーは、植物遺伝子の変異に典型的に使われるのは、それらが高いコピー数(10-100)で存在して遺伝子内とその周辺に優先して挿入するためである。
【0075】
転移因子は、それらの転位様式に基づいて2つの大きなクラスに分類できる。これらは、指定クラスI及びクラスIIであり、両方とも変異原及び輸送ベクターとして応用される。クラスI転移因子はRNA中間体として転移して逆転写酵素を使用する。即ち、それらはレトロエレメントである。クラスI転移因子には少なくとも3つのタイプ(例えばレトロトランスポゾン、レトロポゾン、SINE様エレメント)がある。レトロトランスポゾンには、典型的に、LTR、並びにウイルスコートタンパク質(gag)及び逆転写酵素をコードする遺伝子、RnaseH、インテグラーゼ及びRNA依存性DNAポリメラーゼ(pol)遺伝子が含まれる。多数のレトロトランスポゾンが植物種に関して記載されている。かかるレトロトランスポゾンは、トランスポゾンにエンコードされる逆転写酵素及びRNase Hにより触媒される反応にてRNA中間体を介して移動及び転位する。代表的なものは、Tyl-コピア及びTy3-ジプシーグループとSINE様及びLINE様クラスに分かれる。より多くの詳細な論議は、Kumar and Bennetzen (1999) Plant Retrotransposons in Annual Review of Genetics 33: 479にて見つけることができる。
【0076】
加えて、DNA転移因子(例えばAc、Taml及びEn/Spm)は、多種多様な植物種でも見つけることができ、本発明で利用することができる。
【0077】
トランスポゾン(及び、IS因子)は、植物細胞に変異を導入するための共通手段である。これらの可動遺伝因子は、細胞に(例えば性的交差を通じて)運ばれ、例えば関心のある表現型に転移を選択してその結果として生じる挿入変異体をスクリーニングする。破壊された遺伝子は、単離されたか形質転換植物と非破壊植物とで交雑(例えば性的交差)することによって他の植物に導入できる。多くの標準的な繁殖方法のうちのいずれかを使用することができ、それは交雑する種に依存する。単離されたか形質転換植物のゲノム内のTN位置は、公知の方法(例えば本願明細書において記載されているフランキング領域のシーケンス)にて測定することができる。例えば、植物由来のPCR反応は、配列を増幅するために用いることができ、その起源を確認するために診断的に配列を決定することができる。任意に、挿入変異体は、所望の表現型(例えばコントロール植物と比べて関心のある遺伝子の発現又は活性が阻害されているもの)に関してスクリーニングする。
【0078】
TILLINGは、本発明の破壊を確認するために用いることもできる。TILLINGは、
Targeting
Induced
Local
Lesions
In Genomesである。例えば、McCallum et al., (2000), "Targeting Induced Local Lesions In Genomes (TILLING) for Plant Functional Genomics" Plant Physiologv 123: 439-442; McCallum et al., (2000), "Targeted screening for induced mutations" Nature Biotechnologv 18: 455-457;及び、Colbert et al., (2001), "High- Throughput Screening for Induced Point Mutations" Plant Physiology 126: 480-484を参照。
【0079】
TILLINGは、高密度点変異と突然変異に関する迅速な高感度検出とを組み合わせる。典型的には、エチルメタンスルホネート(EMS)が植物種に対して変異を起こさせるのに使用される。EMSはグアニンをアルキル化し、典型的には誤対合を導く。例えば、種を約10〜20時間、約10-20mMのEMS溶液に浸漬し、種を洗浄して蒔く。この世代の植物は、M1として知られている。M1植物は、自家受精する。生殖組織を形成する細胞に存在する変異は、次世代(M2)まで継承される。典型的に、M2植物は、所望の遺伝子の変異及び/又は特異的表現型についてスクリーニングされる。例えば、M2植物由来のDNAはプールされ、関心のある遺伝子における変異はヘテロ2本鎖形成の検出によって検出される。典型的には、DNAは各M2植物から調製されプールされる。所望の遺伝子は、PCRによって増幅される。プールされたサンプルを変性させてアニールすることでヘテロ二本鎖の形成を可能にする。複数ある植物のうちの1つに変異が存在する場合、以下の通りPCR物産は、野生型及び変異体の2つのタイプである。ヘテロ二本鎖を含むプールは、例えば変性高速液体クロマトグラフィー(DPHPLC)によってPCR反応物を分離することで同定される。DPHPLCは、ヘテロ対立DNAの溶融及びアニーリングによって作成されるヘテロ二本鎖の不適当な組合せを検出する。DNAを加熱しながらクロマトグラフィーは実行される。ヘテロ二本鎖は、より低い熱安定性を有して溶融泡(melting bubbles)を形成するのでクロマトグラフィーカラム中をより急速に移動することになる。ヘテロ二本鎖が、予想されるホモ二本鎖に加えて存在する時、二重ピークが観察される。その結果、関心のある遺伝子に変異があるプールが同定される。選択されたプール群を形成する植物由来の個々のDNAを同定して配列を決定できる。任意に、関心のある遺伝子に所望の変異を有する植物は、他の植物と交雑してバックグラウン変異を取り除くことができる。
【0080】
他の変異誘発方法は、本発明にかかる破壊を導入するために使用することもできる。遺伝子変異を植物遺伝子に導入して所望の形質を有する植物を選択する方法は、周知である。例えば、標準的な技術によれば、種又は他の植物材料を変異誘発性化学物質で処理することができる。かかる化学物質としては、限定するわけではないが、以下のものが挙げられる:ジエチル硫酸、エチレンイミン及びN-ニトロソ-N-エチル尿素。あるいは、発生源からの電離放射線(例:X線又はガンマ線)を用いることができる。
【0081】
関心のある遺伝子の変異を検出するための他の検査法は、例えばキャピラリー電気泳動法(例:定変性剤キャピラリー電気泳動法及び一本鎖配座多型)を用いることができる。他の例では、ヘテロ二本鎖は、不一致修復酵素学(例えばセロリ由来のCEL Iエンドヌクレアーゼ)を用いることによって検出できる。CEL Iは、不一致を認識して不一致の3'側で正確に切断する。不一致の厳密な塩基位置は、不一致修復酵素を用いてカットして、その後、例えば変性ゲル電気泳動することによって決定することができる。例えば、Oleykowski et al., (1998), "Mutation detection using a novel plant endonuclease" Nucleic Acid Res. 26: 4597-4602;及び、Colbert et al., (2001), "High-Throughput Screening for Induced Point Mutations" Plant Physiology 126: 480-484を参照。
【0082】
本発明にかかる所望の破壊を含む植物は、他の植物と交雑して破壊を他の植物に導入することができる。これは、標準的な繁殖方法を使用して行うことができる。
【0083】
相同組換えは、本発明の破壊を導入するために用いることもできる。相同組換えは、植物において示される。例えば、Puchta et al. (1994), Experientia 50: 277-284; Swoboda et al. (1994), EMBOJ. 13: 484- 489; Offringa et al. (1993), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 7346-7350; Kempin et al. (1997) Nature 389: 802-803;及びTerada et al., (2002), "Efficient gene targeting by homologous recombination in rice" Nature Biotechnology, 20 (10): 1030-1034を参照。
【0084】
相同組換えは、インビボで関心のある遺伝子を特に標的とすることによって標的遺伝子変更を誘導するのに用いることができる。選択された遺伝子配列の選択された部分における変異(5'上流、3'下流及び遺伝子内領域を含む)、例えば、
i)
配列番号1と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX3遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号1における50アミノ酸、好ましくは配列番号1における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号1の全長にわたって、配列番号1と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
及び/又は、
ii)
少なくとも、
a) 配列番号13と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX1遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号13における50アミノ酸、好ましくは配列番号13における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号13の全長にわたって、配列番号13の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
b) 配列番号2と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX2遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号2における50アミノ酸、好ましくは配列番号2における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号2の全長にわたって、配列番号2の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
c) 配列番号3と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX4遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号3における50アミノ酸、好ましくは配列番号3における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号3の全長にわたって、配列番号3の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
d) 配列番号4と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX5遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号4における50アミノ酸、好ましくは配列番号4における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号4の全長にわたって、配列番号4の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
e) 配列番号5と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX6遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号5における50アミノ酸、好ましくは配列番号5における100アミノ酸であり連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号5の全長にわたって、配列番号5の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
又は、
f) 配列番号6と同一又は少なくとも95%の同一性があるポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性CKX7遺伝子又はそのオルソログであって、好ましくは、配列番号6における50アミノ酸、好ましくは配列番号6における100アミノ酸である連続アミノ酸配列にわたって、より好ましくは配列番号6の全長にわたって、配列番号6の1つと少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%又は少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むサイトカイニンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼをコードする内因性遺伝子である上記オルソログ;
であるもう一つの内因性遺伝子における変異は、インビトロで作成され、標準的な技術を用いて所望の植物に導入される。野生型遺伝子に関する相同組換え及び標的置換が形質転換植物で起こるような方法で、変異遺伝子は標的野生型遺伝子と相互作用するだろう。
【0085】
本発明にかかる単離された植物細胞及び/又は形質転換植物は、ヒト及び動物によって消費できるが、例えば、直接使用するか食品若しくは飼料原料としてそれ自体は公知の調整品とした後に使用することもできる。
【0086】
本発明は、更に、本発明にかかる上記単離された植物細胞及び/又は形質転換植物の使用、並びに食品若しくは飼料原料、医薬又はファインケミカルの製造に関する形質転換植物生物及び形質転換繁殖物(例:それら由来の種、塊茎、テンサイのような/肥大化した主根又は果実)の場合は細胞、細胞培養、部分(例:根、葉等)の使用に関する。
【0087】
以下において、本発明は、実施例として更に記載する。