特許第5758959号(P5758959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5758959ブレスレットを腕時計ケースに接続するための構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758959
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】ブレスレットを腕時計ケースに接続するための構造
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
   A44C5/14 K
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-170978(P2013-170978)
(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-76277(P2014-76277A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2013年8月21日
(31)【優先権主張番号】12188014.0
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598173166
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・マネージメント・サービシイズ・エイ ジー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・チュミ
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−000321(JP,A)
【文献】 特開平11−127921(JP,A)
【文献】 実開昭57−148313(JP,U)
【文献】 実開昭62−139309(JP,U)
【文献】 特開2004−294284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/14
G04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンク(10)を用いてブレスレットを腕時計ケース(18)に接続するための構造であって、
前記腕時計ケース(18)はケースバンド(20)及び裏蓋(26)を備え、
前記リンク(10)は第1の中空要素(12)及び前記第1の中空要素(12)内に部分的に入っている第2の要素(14)を備え、
前記第1の中空要素(12)は前記腕時計ケース(18)に係留する第1の手段(28)を有し、前記第2の要素(14)は隣接するブレスレットのリンク(16)に係留する第2の手段(30)を有し、
前記腕時計ケース(18)は、前記第1の中空要素(12)を回動させて前記第1の中空要素(12)を前記腕時計ケース(18)の前記ケースバンド(20)に対して押圧するように設けられた機械的デバイスを含み、
前記機械的デバイスは、前記腕時計ケース(18)の前記裏蓋(26)の底面(58)に設けられユーザの手首側に位置するねじ孔(56)にねじ込まれる少なくとも1つの調整ねじ(54)を含み、
前記調整ねじ(54)はヘッド(60)を備え、前記ヘッド(60)を介して、前記ねじは前記第1の中空要素(12)の係合面(64)と係合する
ことを特徴とする構造。
【請求項2】
前記第2の要素(14)はプレート(32)を含み、
前記プレート(32)は、前記腕時計ケース(18)側に、係留ピン(36)が貫通することができる中空円筒形ヒンジ(34)を備え、前記ブレスレット側に、隣接するブレスレットのリンク(16)に係留する第2の手段(30)を備えたことを特徴とする、請求項に記載の構造。
【請求項3】
前記プレート(32)を前記隣接するブレスレットのリンク(16)に係留する前記第2の手段(30)は、バーと連携させて使用されるヒンジ部(38)を含むことを特徴とする、請求項に記載の構造。
【請求項4】
前記第1の中空要素(12)は、前面(40)、背面(42)、及び2つの側面(44)によって形成された輪郭を形成すること、
前記第2の要素(14)がその中で摺動するハウジング(46)を、前記第1の中空要素(12)内に設け、前記ハウジング(46)は、前記第1の中空要素(12)を貫通し、その前部は前記第1の中空要素(12)の前記前面(40)側まで及び、その後部は前記第1の中空要素(12)の前記背面(42)側まで続くこと、並びに前記ハウジング(46)は、前記プレート(32)が前記第1の中空要素(12)から突出するようにサイズ決めされていることを特徴とする、請求項又はに記載の構造。
【請求項5】
前記第1の中空要素(12)を前記腕時計ケース(18)に係留する前記第1の手段(28)は、前記第1の中空要素(12)の前記側面(44)に、前記ブレスレットの長手方向に対して横断方向に設けられた、前記ハウジング(46)まで続く穴(48)を含み、前記穴(48)は前記係留ピン(36)を受承するように設けられていることを特徴とする、請求項に記載の構造。
【請求項6】
前記ケースバンド(20)は、角状部(22)によって前記ブレスレットの長手方向に延在し、
前記角状部(22)には孔(24)が設けられ、
前記角状部(22)の間で前記リンク(10)が摺動し、これによって、前記角状部(22)に設けられた前記孔(24)、前記第1の中空要素(12)に機械加工された前記穴(48)、及び前記中空円筒形ヒンジ(34)が整列し、
前記係留ピン(36)は、一方の前記角状部(22)の前記孔(24)、次に前記穴(48)、そして前記中空円筒形ヒンジ(34)に、前記係留ピン(36)が他方の前記角状部(22)の前記孔(24)に現れるまで連続的に貫通させられることを特徴とする、請求項に記載の構造。
【請求項7】
前記係留ピン(36)は、その一端に直径が増大した大径部(50)を有し、他端にねじ留めするためのねじ部(52)を有することを特徴とする、請求項に記載の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレスレット又はストラップをセラミック等の硬質材料製の外部要素を含む腕時計ケースに接続するための構造に関する。より詳細には、本発明はブレスレット又はストラップを腕時計ケースに接続するために配設されるリンクに関し、このリンクは、第1の中空要素及びこの第1の要素内に入っている第2の要素を備え、第1の中空要素はケースに係留する第1の手段を有し、第2の要素はブレスレットの隣接するリンクに係留する第2の手段を有する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、本発明は、セラミック等の硬質材料製であり、硬質材料製の外側要素を含むケースを有する腕時計に組付けられるように形成されている腕時計用ブレスレットの分野に関する。
【0003】
上記のような構造は、正確にはその製造に用いる技術のために、その応用に関してある限界を有する。実際、硬質材料製、例えばセラミック材料製の外側部品は、成形ステップ及びそれに続く焼結ステップを含む方法によって得られる。焼結作業中、これらの部品は収縮する。すなわち、熱及び圧力の作用の組み合わせによる体積の減少が起きる。この収縮は、部品の初期体積の30%を超えることがある。通常使用する方法では、現在、これらの部品を約0.5〜1%の寸法公差で製造することができるが、これは、焼結ステップのために、これ未満の公差を得ることが困難であるからである。このような公差は、使用する原料のバッチに応じて変動することにも留意するべきである。
【0004】
例として、焼結作業に関わる製造公差は、長さ3センチメートルのセラミック製腕時計ケース全体において約0.2mmの寸法誤差を発生させる。このようなセラミック製腕時計を高級腕時計の製作に用いる場合、このような寸法誤差は製造者にとって許容し難いものである。
【0005】
この問題を克服するために、腕時計製作に使用される様々なセラミック要素間の遊びを補償するために最も一般的に用いられる解決法は、焼結ステップの後に手作業による機械加工を行うことになる。しかしながら、セラミック製時計に対する顧客の要求の増大に直面して、処理しなければならない時計の数が多くなると、手作業による機械加工ステップはますます困難になる。更に腕時計ケースの幾何学的形状の複雑さが増大し続けているため、手作業による機械加工ステップはますます困難になる。
【0006】
焼結作業に起因する公差の問題は、製作する外側部品の寸法が大きくなればなるほど不都合となることに留意されたい。特に、このような製造公差は、ブレスレットのリンクより一般に大きな寸法を有する腕時計ケースに悪影響を及ぼす。また、セラミック製腕時計の製造者が、大きな寸法のブレスレットのリンクを製作しようとすればするほど、腕時計ケースとブレスレットとの間又はブレスレットのリンク間に、十分に魅力的な外観をもつ接合箇所を形成することが困難となることも明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、美観を向上した時計を提供することにより、上述の欠点及びその他の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、リンクを用いてブレスレットを腕時計ケースに接続するための構造に関し、腕時計ケースはケースバンド及び裏蓋を備え、リンクは第1の中空要素及びこの第1の要素内に部分的に入っている第2の要素を備え、第1の中空要素は腕時計ケースに係留する第1の手段を有し、第2の要素は隣接するブレスレットのリンクに係留する第2の手段を有し、腕時計ケースは、ブレスレットの長手方向に対して横断方向の軸の周りで第1の中空要素を回動させ、かつ第1の中空要素を腕時計ケースに対して押圧するように設けられている機械的デバイスを含むことを特徴とする。
【0009】
これらの特徴の結果として、本発明は、ブレスレットの位置を腕時計ケースに対して調整することができるリンクを用いて、ブレスレットを腕時計ケースに接続するための構造を提供する。従って、製造公差に関する本質的な問題を克服することができ、また、外側部品に手作業で仕上げを施す必要がなく、ブレスレットと腕時計ケースとの間の連続した接合箇所を得ることができる。これは審美的観点及び経済的観点から有利である。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明によるリンクの1つの実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、より明らかになり、この例は添付の図面を参照して、単なる非限定的な例として挙げられたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、先行技術による腕時計の外観図である。
図2図2は、ブレスレットを腕時計ケースに接続する端部リンクの、ブレスレットの長手方向に沿って断面した断面図である。
図3図3は、ブレスレットを腕時計ケースに接続するために配設されるリンクが、腕時計ケースに近づくように移動することを可能にする、機械的デバイスの展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、リンクを用いてブレスレットを腕時計ケースに接続するための構造を提供することからなる一般的な発明思想に由来し、上記構造は、リンクを腕時計ケースに対して押圧することを可能にする。ブレスレットのリンクを腕時計ケースに近づけることができるため、焼結製作技術によって必然的に発生するブレスレットと腕時計ケースとの間のいかなる遊びも補償することができ、また、ブレスレットと腕時計ケースとの間に連続した接合箇所を得ることができ、これは審美的観点及び経済的観点から有利である。
【0013】
図1は、先行技術による腕時計を示し、全体として参照符号1で表されている。この腕時計1はセラミック製ブレスレット2を含み、これは同じくセラミック製の腕時計ケース4に接続されている。図1では、腕時計ケース4とブレスレット2の第1のリンク6との間の接合箇所において、腕時計4の両側にはd1及びd2で表される遊びが存在する。
【0014】
本特許出願の導入部分において説明したように、これらの遊びd1及びd2は、腕時計ケース4及びブレスレット2のリンク6の製造公差によって発生したものである。実際、製造公差は、様々な外側要素の寸法の変化をもたらし、ブレスレット2と腕時計ケース4との間の接合箇所において目に見える不連続な部分を発生させる。これらの不連続は、外観の魅力を少なからず損なうものであるが、これは特に、これらの不連続によって、ブレスレット2を腕時計ケース4に係留する手段8が露出してしまうことによる。
【0015】
本発明は、ブレスレットと腕時計ケースとの間の遊びのない機械的接続を確立するための特定の構造を有するリンクを提供することにより、この問題を克服したものである。
【0016】
図2は、ブレスレットを腕時計ケースに接続することができる端部リンクの、ブレスレットの長手方向に沿って断面した断面図である。図3は、ブレスレットを腕時計ケースに接続するために配設されるリンクを、腕時計ケースに近づくように移動させるための、機械的デバイスの展開斜視図である。
【0017】
全体として参照符号10で示す本発明によるリンクは、第1の中空要素12及び第1の中空要素12内に部分的に入っている第2の要素14を備えている。リンク10はブレスレットを、少なくとも部分的に腕時計ケース18を画定する外側要素に接続するために設けられ、このブレスレットの第1のリンク16は図中に示されている。腕時計ケース18は、角状部22によってブレスレットの長手方向に延在するケースバンド20を含み、各角状部22には孔24が設けられている。腕時計ケース18は従来通り、その底部を裏蓋26によって閉じられている。
【0018】
本発明によると、第1の中空要素12は、腕時計ケース18に係留する第1の手段28を有し、第2の要素14は隣接するブレスレットのリンク16に係留する第2の手段30を有する。より詳細には、第2の要素14は全体的に矩形状のプレート32の形状であり、これは、腕時計ケース18側に、以下にその役割を説明する係留ピン36が貫通することができる中空円筒形ヒンジ34を備え、ブレスレット側には、通常のタイプのバー(図示せず)と連携させて使用されるヒンジ部38等の隣接するブレスレットのリンク16に係留する通常の手段を備えている。
【0019】
第1の中空要素12は、前面40、背面42、及び2つの側面44によって限定される実質的に台形の断面をもつ輪郭を形成している。ハウジング46は、第1の中空要素12内で、第2の要素14がこの内側で摺動できるように設けられている。ハウジング46は、その前部が第1の中空要素12の前面40において開いており、その後部が第1の中空要素12の背面42側になるように、第1の中空要素12を真っ直ぐに貫通している。ハウジング46は、プレート32のヒンジ部38が第1の中空要素12から突出するようにサイズ決めされている。最後に、第1の中空要素12を腕時計ケース18に係留する第1の要素28は穴48を含み、この穴48は、ハウジング46において開いており、また、第1の中空要素12の側面44に、ブレスレットの長手方向に対して横断方向に形成されている。この穴48は係留ピン36を受承するために設けられている。
【0020】
特に図2に見られるように、第1の中空要素12の前面40の外形は、腕時計ケース18のケースバンド20の輪郭と適合する。リンク10を腕時計ケース18に組付けるために、まず第2の要素14を第1の中空要素12内に挿入し、これにより、プレート32のヒンジ部38が第1の中空要素12から突出する。次に、第1の中空要素12を腕時計ケース18の角状部22の間で摺動させる。この組付けステップが終了すると、角状部22に設けられた孔24、第1の中空要素12に機械加工された穴48、及び中空円筒形ヒンジ34が全て整列する。組付けを完了するためには、係留ピン36を、一方の角状部22の孔24、次に穴48、そして中空円筒形ヒンジ34に係留ピン36が他方の角状部22の孔24に突出するまで連続的に貫通させるだけでよい。リンク10と腕時計ケース18との良好な連結を補償するために、係留ピン36はその一端に直径が増大した大径部50を有し、また他端には係留ピン36をロックするためのねじ孔を有するねじ留め部52を有する。
【0021】
この組付けは、1つの、及び好ましくは2つの調整ねじ54を備えた機械的調整デバイスによって補助される。調整ねじ54は、それぞれ裏蓋26の底面58のユーザの手首側に設けられたねじ孔56にねじ留めされる。調整ねじ54は、腕時計ケース18の裏蓋26の底面58にねじ込まれるねじ部62とヘッド60とからなる。調整ねじ54はそのヘッド60を介して、以下に説明するように第1の中空要素12に設けられた相補的な傾斜した形状をもつ係合面64と係合する。
【0022】
腕時計ケース18に対するリンク10の位置を調整するために、及びこれら2つの要素の間のいかなる遊びも補償するために、以下のステップを実施する。調整ねじ54は、腕時計ケース18の裏蓋26の底面58まで続くねじ孔56を通して使用することができる。調整ねじ54を、矢印Aに沿ってねじ孔56内を底部から上部へと進むようにねじ込む。調整ねじ54は、その頭部60を介して、第1の中空要素12に設けられた対向する係合面64を押圧し、この係合作用(カム作用)により、上記第1の中空要素12は矢印Bに沿って反時計回りに回動する。このように回動する際に、第1の中空要素12は腕時計ケース18に近づくように移動する。第1の中空要素12の前面40が、腕時計ケース18のケースバンド20の面と適合すると、調整ねじ54のねじ込みは停止する。調整ねじ54をねじ込むことにより、腕時計ケース18のケースバンド20に対する第1の中空要素12の位置を極めて正確に調整することができることは明らかである。更に、繊細な調整が得られる。
【0023】
本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、当業者は、本特許出願に添付の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な単純な改変及び変更を考案することができることは言うまでもない。特に、ここでは少なくとも部分的にセラミック製のブレスレットのリンク及び腕時計ケースについて説明したが、本発明は、鋼鉄等の別の硬質材料製のリンク及びケースにも同様の構造で応用することができる。
【符号の説明】
【0024】
10:リンク
12:第1の中空要素
14:第2の要素
18:腕時計ケース
20:ケースバンド
28:第1の手段
30:第2の手段
54:調整ねじ
60:ヘッド
64:係合面
図1
図2
図3