(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758974
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】SOx低減船舶
(51)【国際特許分類】
B63H 21/32 20060101AFI20150716BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20150716BHJP
B63B 25/02 20060101ALI20150716BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
B63H21/32 Z
B63H21/14
B63B25/02 101Z
F01N3/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-251795(P2013-251795)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-133551(P2014-133551A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2013年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-269401(P2012-269401)
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146814
【氏名又は名称】株式会社新来島どっく
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】西島 貞次
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−233991(JP,A)
【文献】
特開2012−200721(JP,A)
【文献】
特開平11−042420(JP,A)
【文献】
特開平05−305216(JP,A)
【文献】
特開2012−240446(JP,A)
【文献】
特表2011−524800(JP,A)
【文献】
特開2007−051555(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1262145(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/02
B63H 21/14
B63H 21/32
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C重油を燃料とする船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路内に石灰石スラリーを供給する石灰石スラリー供給装置と、前記排気通路に配置され、前記供給された石灰石スラリーに反応して生成される石膏を捕集する集塵機を備え、
石灰石スラリー貯蔵タンク、石灰石スラリー供給ポンプ及び石灰石スラリーを噴霧状にして前記排気通路内に供給する、又はグリッド状の充填物の表面に石灰石スラリーを流す、石灰石スラリーに排ガスを吹き込む、さらには、前記排気通路内で石灰石スラリーを噴水状に流して供給するかのいずれかの供給方式により供給するための石灰石スラリータンクからなる前記石灰石スラリー供給装置は、船舶内で比較的大きな広さがあり、かつ、機関室の近辺で大きな装置の設置が容易な舵取機室に配置され、
前記集塵機は、上甲板上のファンネル内に配置され、
前記排気通路は、前記集塵機内で船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路とファンネル排気通路に分割され、かつ、互いにその中心が異なる位置になるように開口して配置され、前記船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路から下方から上昇してきた排気が集塵機内で逆転して、一旦、下方に向いた後、再び上方に向きを変えて屈曲して前記ファンネル排気通路に流れる込むように構成されたことを特徴とするSOx低減船舶。
【請求項2】
前記舵取機室内又は機関室内に、前記船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路が配置されたことを特とする請求項1に記載のSOx低減船舶。
【請求項3】
前記集塵機内の前記ファンネル排気通路の排気が逆転して上方に向きを変える直下には、石灰石スラリー反応石膏を集積し、外部に引き出し可能に設けられる集塵皿及びこれを取り出す集塵扉が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のSOx低減船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOx低減船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶には駆動源としてディーゼルエンジンが装備されており、陸上車両と同様に環境を考慮して排気ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)を除去する排気ガスの浄化が求められている。ところが、船舶用ディーゼルエンジンではコストの面から一般燃料としてC重油が多様されており、C重油は硫黄分の含有量が多く、排気ガス中にSOx(硫黄酸化物)が含まれるので、当該SOxを除去する排気ガス浄化も求められている。
【0003】
船舶におけるSOx低減技術に関するものとしては、例えば、特開2010-069999号公報に開示のものが知られている。特開2010-069999号公報に開示のものは、発明名称「船舶におけるエンジンの排気ガス浄化システム」に係り、「SOx規制が行われている海域に出入りする船舶において、省力化を図りつつ経済性と規制クリアーとの両立を図ること」の目的において(同公報明細書段落番号0006〜0008参照)、「排気ガスの浄化状態を切り換えできるエンジンと、現在地を自動的に特定できる自船位置自動検出手段とが搭載され、前記自船位置自動検出手段に基づいて、排気ガス規制対象海域の境界と自船との位置関係が特定され、前記特定された位置関係情報に基づいて、前記エンジンにおける排気ガスの浄化状態が規制に応じた状態に切り換えられる」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1等参照)、「船排気ガスに関する規制を正確かつ迅速にクリアーできると共に、船員の手間を省いて省力化と負担軽減にも貢献でき、・・・複数種類の切り換えも簡単かつ正確・迅速に行え、・・自船位置自動検出手段を組み込むことにより、信号の伝達系統が単純化するため作動の確実性いがより高くなり、・・還元剤の使用量を抑制して運行コストを抑制できると共に、排気ガスが触媒を通ることに起因した抵抗によって出力のロスが生じることを防止でき、・・規制を確実にクリアーして責任は果たしつつ経済性も確保することをより的確に実現できる」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0014〜0018参照)。
【0004】
図3は、上記特開2010-069999号公報の
図1に開示の発明の実施形態を示す模式的なブロック図であり、
図3において、符号101は、エンジン、102は、発電機、103は、一般燃料タンク、104は、低硫黄燃料タンク、106は、燃料切り換え弁、108は、主排気管、109は、排気処理装置、110は、NOx浄化用のSCR還元触媒、111は、スリップ触媒、112は、消音器、115は、尿素水の噴霧口、116は、パイパス排気管、117は、排気切り換え弁、125は、尿素水製造用の混合タンク、126は、尿素水の濃度調整タンク、141は、制御装置である(なお、符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁に変更して説明した。)。
【0005】
しかしながら、当該特開2010-069999号公報に開示の技術は、燃料油として高価な低硫黄燃料を使用することが前提とされており、一般燃料としてのC重油の使用において排気ガス中のSOx(硫黄酸化物)を本質的に除去する技術ではなく、また、そのため高価なSCR触媒を装備しなければならないという問題は避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-069999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点等に鑑み、一般燃料としてC重油の使用を前提として、C重油使用の際に発生する排ガス中のSOxを本質的に低減することが可能な船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、SOx低減船舶において、C重油を燃料とする船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路内に石灰石スラリーを供給する石灰石スラリー供給装置と、前記排気通路に配置され、前記供給された石灰石スラリーに反応して生成される石膏を捕集する集塵機を備え、石灰石スラリー貯蔵タンク、石灰石スラリー供給ポンプ及び石灰石スラリーを噴霧状にして前記排気通路内に供給する
、又はグリッド状の充填物の表面に石灰石スラリーを流す、石灰石スラリーに排ガスを吹き込
む、さらには、前記排気通路内で石灰石スラリーを噴水状に流して供給するかのいずれかの供給方式により供給するための石灰石スラリータンクからなる前記石灰石スラリー供給装置は、船舶内で比較的大きな広さがあり、かつ、機関室の近辺で大きな装置の設置が容易な舵取機室に配置され、前記集塵機は、上甲板上のファンネル内に配置され、前記排気通路は、前記集塵機内で船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路とファンネル排気通路に分割され、かつ、互いにその中心が異なる位置になるように開口して配置され、前記船舶主機ディーゼルエンジンの排気通路から下方から上昇してきた排気が集塵機内で逆転して、一旦、下方に向いた後、再び上方に向きを変えて屈曲して前記ファンネル排気通路に流れる込むように構成されたことを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載のSOx低減船舶において、前記舵取機室内又は機関室
内に、前記
船舶主機
ディーゼルエンジンの排気通路が配置されたことを特とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1に記載のSOx低減船舶において、前記集塵機内の前記ファンネル排気通路の排気が逆転して上方に向きを変える直下には、石灰石スラリー反応石膏を集積し、外部に引き出し可能に設けられる集塵皿及びこれを取り出す集塵扉が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
(1)船舶の主機の排ガスのSOxを低減することが可能となり、環境に優しい船舶を提供することが可能となるという効果を有する。
(2)SOx排出が規制されるバルト海や米国カリブ海を航行する場合でもC重油を使用することができる。
(3)また、低硫黄燃料油を使用する必要が無いので、低硫黄燃料油用のタンクを装備する必要がない。
(4)石灰石スラリー貯蔵タンク、石灰石スラリー供給ポンプ及び石灰石スラリータンク等の装置類の配置について比較的大きな広さがあり、かつ、機関室の近辺で大きな装置の設置が容易な前記舵取機室に配置するようにしたので、SOx低減装置に船舶内配置が容易となる。
(5)上甲板上に配置される集塵機内の集塵皿にスラリー生成物の石膏が溜まり安くし、上甲板上に設けられる集塵扉を開いて内部の集塵皿を引き出し、取り出し安くしたので、集塵の収集・清掃作業が容易となる。
(6)舵取機室の床面近くに主機関排気通路内に石灰石スラリー逆流防止装置を設け、この近辺に余スラリー除去扉を設けたので、主機関排気通路内に蓄積される余分なスラリーや反応蓄積する石膏等を容易に除去清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係るSOx低減船舶を実施するための一実施例であるSOx低減船舶の実施例1を示す図である。
【
図2】
図2は、SOx低減装置の船内配置に関する好ましい配置例である実施例2に係るSOx低減船舶の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、特開2010-069999号公報に開示の発明の実施形態を示す模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るSOx低減船舶を実施するための形態として一実施例を示す図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明に係るSOx低減船舶を実施するための一実施例であるSOx低減船舶の実施例1を示す図である。
図1において、符号1は、C重油を燃料とする船舶ディーゼルエンジン(主機)であり、2は、同排気通路、3は、上甲板、4は、石灰石スラリー貯蔵タンク、5は、石灰石スラリー供給ポンプ、6は、石灰石スラリータンク、7は、石灰石スラリー供給装置としても石灰石スラリー噴霧装置、8は、石灰石スラリー逆流防止装置、9は、集塵機である。
【0013】
本実施例1に係るSOx低減船舶は、石灰−石膏法によりC重油を燃料とする船舶ディーゼルエンジン1(以下「主機1」ともいう)の排ガスからSOxを除去するというものであり、
図1に示すように、前記主機1の前記排気通路2内に前記石灰石スラリー噴霧装置7により、石灰石スラリーを噴霧状にして供給し、石灰石スラリーと排ガス内のSOxを反応させて、生成される石膏を前記集塵機9により回収すようにしたものである。
【0014】
すなわち、石灰石スラリーは、石灰石(CaCO
3)粉末を水に懸濁させて石灰石スラリーを作り、このスラリーを噴霧状にして前記排気通路2内に供給し、排ガス中の亜硫酸ガス(SO
2)を吸収除去し、さらに、排ガス中の含まれる又は外気からの酸素と反応させて石膏(CaSO
4・2H
2O)とし、これを前記集塵機9で回収するようにしたものである。このため、
図1に示されるように、前記上甲板3上には、石灰石(CaCO
3)粉末を水に懸濁させた石灰石スラリーを貯蔵しておく前記石灰石スラリー貯蔵タンク4を配置し、当該石灰石スラリー貯蔵タンク4から前記石灰石スラリー供給ポンプ5を介して石灰石スラリーを前記石灰石スラリータンク6に移送し、当該石灰石スラリータンク6から前記石灰石スラリー供給ポンプ5の送圧力により、前記石灰石スラリー噴霧装置7から前記排気通路2内に石灰石スラリーを噴霧状に供給するようにしたものである。
【0015】
本実施例1に係るSOx低減船舶では、前記石灰石スラリー貯蔵タンク4、石灰石スラリー供給ポンプ5、石灰石スラリータンク6、石灰石スラリー噴霧装置7を前記上甲板3上に配置するようにし、また、前記上甲板3直下の排気通路2内に前記石灰石スラリー逆流防止装置8を配置した。これは、石灰石スラリーの貯蔵や石灰石スラリーの漏洩の際の処理、あるいは、前記石灰石スラリー逆流防止装置8のメンテナンス性を考慮したものである。しかしながら、他の船内構造物との配置関係において、これらの各種装置は上甲板3上配置ないしは上甲板3近辺配置に限るものではない。
ただ、前記集塵機9から石膏を回収する場合は、集塵機9は、前記上甲板3より上方に位置することが回収・メンテナンス等の面から優れている。
【0016】
本実施例1に係るSOx低減船舶では、噴霧状に前記排気通路2内に供給された石灰石スラリーは、前記主機1の排ガス中の硫黄分と反応して亜硫酸カルシウム(CaSO
3)となり、さらに空気中の酸素で酸化されて石膏(CaSO
4・2H
2O)となる。
この反応は、化学式で示すと次のとおりである。
CaCO
3+SO
2+0.5H
2O→CaSO
3・0.5H
2O+CO
2
CaSO
3・0.5H
2O+0.5O
2+1.5H
2O→CaSO
4・2H
2O
【0017】
なお、本実施例1に係るSOx低減船舶では、石灰石スラリーを噴霧状にして排気通路2内に供給する石灰石スラリー噴霧装置7を使用するようにしたが、これは、噴霧状で供給する装置に限るものではなく、グリッド状の充填物の表面に石灰石スラリーを流すグリッド方式や、石灰石スラリーに排ガスを吹き込むジェットバブリング方式、排気通路2内で石灰石スラリーを噴水状に流す水柱方式など種々の供給方式の石灰石スラリー供給装置であっても良い。
【0018】
また、本実施例1に係るSOx低減船舶では、前記集塵機9として、本来的には、前記主機1の排ガスに含まれる塵埃除去のため通常の多用されるサイクロン構造の集塵機9を使用したが、これは、例えば、次のようなバグフィルタ式集塵機としても良いものである。
【0019】
バグフィルタ式集塵機を用いる場合には、ろ布と称される織布や不織布からなる円筒袋状のバグフィルタを用い、前記主機1からの排ガスに噴霧状に供給された石灰石スラリーが排ガス中の硫黄分と反応して亜硫酸カルシウム(CaSO
3)、さらに酸化された石膏(CaSO
4・2H
2O)をろ過捕集する構造を基本とし、さらに、大型化する場合には、前記集塵機の内部内部は複数の集塵室に区分けされ、それぞれの区分けされた集塵室には、バグフィルタが取り付けられる筒が多数配置され、各集塵室の下部にはこれらのバグフィルタに付着した石膏を落下させこれを集めるためのホッパが配置される構造となる。なお、落下に限らず、吸排気ファンを用い、石膏粉末を含む排ガスを所定の位置に吸引・送出機構を有する集塵機であっても良い。
【0020】
バグフィルタ方式では、一般に排ガスがバグフィルタを通過する速度は0.3〜2m/分程度、圧力損失は1〜2kpa程度とすると、バグフィルタ表面に付着した石膏層が厚くなるとバグフィルタの圧力損失が上昇し、これにより捕集石膏が間欠的に払い落されることが知られている。
【0021】
また、自然落下ではなく、強制的にバグフィルタ裏面からガスを吹きかける、又は、バグフィルタに振動を加えるなどの方法によって付着する石膏を強制的に落下させるようにしても良く、いずれの方式とするか、あるいは、バグフィルタ方式の場合のバグフィルタの選定、集塵室構造等は、前記主機1からの排ガスの温度、湿度等の特性や本来的な排ガス中の集塵目的と兼用することに応じて適宜決定すればよいものである。
【0022】
本実施例1に係るSOx低減船舶では、
図1のように、前記主機1の排ガスの前記排気通路2内に前記ポンプ5により石灰石スラリーを噴霧状にして供給し、石灰石と排ガス内のSOxを反応させて、石膏として摘出し、前記集塵機9によって該石膏を回収することにより、排ガス内のSOxを低減させる構造の船舶としたので、SOx排出が規制される海域、つまり、バルト海や米国カリブ海を航行する場合は、主機1の燃料として、通常使用するC重油では、SOx排出が多いため、使用することができず、SOx排出が少ない低硫黄燃料油を使用しなければならなかったが、本実施例1に係るSOx低減船舶では、通常使用するC重油でもSOx排出が抑えられるので、バルト海や米国カリブ海を航行する場合でもC重油を使用することができる。また、低硫黄燃料油を使用する必要が無いので、低硫黄燃料油用のタンクを装備する必要がないという効果も有する。
【実施例2】
【0023】
本願発明者は、本実施例1に係るSOx低減船舶において、SOx低減装置について最適な舶内配置を工夫するうちに、以下の実施例2に係るSOx低減船舶を案出するに至った。
図2は、SOx低減装置の船内配置に関する好ましい配置例である実施例2に係るSOx低減船舶の概略を示す図である。
図2において、符号10は、船舶、11は、機関室、12は、舵取機室、13aは、主機排気通路、13bは、ファンネル排気通路、14は、ファンネル、15は、集塵皿、16は、集塵扉、17は、余スラリー除去扉、18は、居住区である。その余の符号については、
図1に示した部材と同一の部材は、同一の符号を付して説明した。
【0024】
本実施例2に係るSOx低減船舶のSOx低減装置の配置の詳細について
図2に基づいて説明する。
まず、本実施例2に係るSOx低減船舶が、前述の実施例1に係るSOx低減船舶と最も異なるところは、前記排気通路2を前記主機排気通路13aと前記ファンネル排気通路13bに前記集塵機9内で分割し、互いにその中心が異なる位置になるように配置して、前記主機排気通路13aからの排気が、当該集塵機9内において、屈曲して(下方から上昇してきた排気が、集塵機9内で逆転して、一旦、下方に向いた後、再び上方に向きを変えられ)前記ファンネル排気通路13bに流れ込むようにしたことである。
【0025】
次に、本実施例2に係るSOx低減船舶では、前記石灰石スラリー貯蔵タンク4、前記石灰石スラリー供給ポンプ5及び前記石灰石スラリータンク6の配置について比較的大きな広さがあり、かつ、前記機関室11の近辺で大きな装置の設置が容易な前記舵取機室12に配置するようにした。
また、前記主機排気通路13aを当該舵取機室12内に配置し、同様に、当該主機関排気通路13aに前記石灰石スラリー噴霧装置7から石灰石スラリーが噴霧されるようにしたものである。
【0026】
そして、前記集塵機9内では、上述するように、その内部で排気の流れが逆転するように前記主機排気通路13aと前記ファンネル排気通路13bに分割され、かつ、互いにその中心が異なる位置になるように配置されることに加え、当該集塵室9内の前記ファンネル排気通路13bの開口直下には、外部に引き出し可能な前記集塵皿15が配置され、前記上甲板3上から開平可能な前記集塵扉16を開閉することにより、前記上甲板3上において、前記集塵皿15の上に集積される石灰石と排ガス内のSOxが反応生成物である石膏の取り出しを可能とした。
【0027】
すなわち、本実施例2に係るSOx低減船舶では、前記集塵機9を前記ファンネル14内の前記上甲板3上に一体的に配置し、当該集塵機9の内部において、前記主機排気通路13aと前記ファンネル排気通路13bとを分割し、排ガスが屈曲する流れとなるように構成し、前記集塵皿15にスラリー生成物の石膏が溜まり安くし、その集塵皿15を前記集塵扉を開いて引き出し、取り出し安くしたので、集塵の収集・清掃作業が容易となる。
【0028】
さらに、前記舵取機室12の床面近くには、前記主機関排気通路13aに前記余スラリー除去扉17を設け、前記石灰石スラリー逆流防止装置8上に蓄積される余分なスラリーやここで反応して蓄積する石膏等を容易に除去清掃できるようにしている。
【0029】
なお、本実施例2に係るSOx低減船舶においては、前記主機関排気通路13aを前記舵取機室12内に配置するようにしたが、これは、前記前記石灰石スラリータンク6と前記主機関排気通路13aに設けられる前記石灰石スラリー噴霧装置7の配設距離が短いことが求められるためである。しかしながら、、前記前記石灰石スラリータンク6と前記主機関排気通路13aに設けられる前記石灰石スラリー噴霧装置7の配設距離が短じかければ、前記主機関排気通路13aを必ずしも前記舵取機室12内に設けなくても良いものである。例えば、舵取機室12の壁を隔てた前記機関室11内に配置するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るSOx低減船舶は、C重油を燃料とし、SOx排出が規制される海域に運航される船舶に利用される。
【符号の説明】
【0031】
1 主機
2 排気通路
3 上甲板
4 石灰石スラリー貯蔵タンク
5 石灰石スラリー供給ポンプ
6 石灰石スラリータンク
7 石灰石スラリー噴霧装置
8 石灰石スラリー逆流防止装置
9 集塵機
10 船舶
11 機関室
12 舵取機室
13a 主機排気通路
13b ファンネル排気通路
14 ファンネル
15 集塵皿
16 集塵扉
17 余スラリー除去扉
18 居住区
101 エンジン
102 発電機
103 一般燃料タンク
104 低硫黄燃料タンク
106 燃料切り換え弁
108 主排気管
109 排気処理装置
110 NOx浄化用のSCR還元触媒
111 スリップ触媒
112 消音器
115 尿素水の噴霧口
116 パイパス排気管
117 排気切り換え弁
125 尿素水製造用の混合タンク
126 尿素水の濃度調整タンク
141 制御装置
SOx 硫黄酸化物
SCR(Selective Catalytic Reduction) 選択的触媒還元