(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セメントが、ポルトランドセメント、コンポジットセメント、ポゾランの割合を有するセメント及び高炉セメントの群から選択されている、請求項1又は2記載の混合物。
骨材が、アグリゲート、砂、砂利、砕石、斑岩、石英粉、石灰粉、岩石粉、フライアッシュ、マイクロシリカ及びその他のシリケート添加物又はその混合物の群から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の混合物。
フルオロオルガニル置換ケイ素化合物が、液体モノマー化合物として、又は溶解して、又は水性分散液又はエマルションとして、又はペースト状ないしクリーム状の調製物として、又は2.5〜90質量%のフルオロオルガニル置換シラン及び/又はシロキサンの作用物質含分を有するフルオロオルガニル置換シラン及び/又はシロキサンの水性分散液又はエマルションとして存在している、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【技術分野】
【0001】
本発明は特別な水硬性混合物に関するものであり、該混合物から製造された、固化ないし硬化した加工物は、表面上で汚れをはじく特性を有する。
【0002】
水硬性材料、例えばセメントで固められる材料は、現代の土木建築において、多数の関連する箇所で、例えば車道、歩道又はテラス用のコンクリート舗装用ブロックへの適用に使用されている。特に屋外範囲において、そのようなコンクリート舗装ブロックの表面が、例えば交通排ガス及び工業的な排ガス、特に煤煙、花粉、草染み、油、特にモーター油、飲み残し及び食べ残し、特にコーラ、コーヒー、赤ワイン又はケチャップといった種々の材料によって、並びに、例えば藻類又は菌類といった微生物の成長によって汚染されることは、審美的観点から大きな問題である。従って、そのような適用における水硬性材料に、汚れをはじく特性[以下で、「イージー・トゥ・クリーン」又はETCとも称される]を付与することが望ましい。
【0003】
汚れをはじく特性とは、材料への水性物質及び油性物質の浸透を防ぎ、かつ表面からの該物質の除去を容易にする表面特性であると理解されるべきである。
【0004】
完成した硬化表面を種々の材料で後処理することによって「イージー・トゥ・クリーン」特性が生じることは公知である。例えば、とりわけEP0838467は、表面コーティングのためのフッ素含有シランないしシラン系の使用を教示している。表面後処理のためのそのような系の欠点は、一方では、そのような材料の製造後にさらなるプロセス工程が必要であることであり、また他方では、しばしばそのような被覆の持続性が低すぎることであり、それというのも、屋外曝露及び摩擦によって削剥されてしまうためである。
【0005】
さらに、水硬性材料、特にセメントで固められる材料を、未硬化物変性剤の添加により改良することが公知である。例えばEP0913370は、そのような材料の撥水(疎水)特性を達成するための、水性のシラン含有エマルションの使用を教示している。残念ながら、該教示は所望の「イージー・トゥ・クリーン」表面をもたらすものではない。
【0006】
US5,650,004から、セメントで固められるプラスター混合物が公知であり、該混合物はプールの封止に用いられる。シラン改質粉末及びポゾラン充填材を使用することによって、該プラスター混合物の撥水特性及び改善された持続性が達成される。該プラスター混合物の欠点は、確かに持続的に撥水特性を達成することができ、また水性の汚れをはじくこともできるが、上記の意味での汚れをはじく特性は達成されないことである。
【0007】
DE10346082から、特別な組成によって組織の変化がもたらされるような水硬性混合物が公知である。それにより、条件付きで汚れをはじく表面を有する耐摩耗性の加工物が得られる。
【0008】
EP1445242から、汚れをはじく特性を有する、ファサードのための、セメントで固められないプラスターないし被覆が公知である。汚れ粒子が細孔空間内に進入及び付着できないように微小粗さを低減させることによって、汚れをはじく特性が達成される。その際、カリウム水ガラスベースの、セメントで固められないプラスター混合物自体が改質されてしまうことが不利である。
【0009】
本発明は、さらなる水硬性混合物、特にセメントで固められる混合物であって、該混合物から製造された材料の表面が、結合ないし硬化の後に十分に良好な、汚れをはじく特性を有し、かつこれが可能な限り持続的であるような混合物を提供する、という課題に基づくものであった。
【0010】
該課題は、本発明によれば、特許請求の範囲の特徴部に相応して解決される。
【0011】
意想外にも、少なくとも1のフルオロオルガニル置換ケイ素化合物、特にフルオロオルガニル置換シラン及び/又はフルオロオルガニル置換シロキサンを、水硬性混合物、特にさもなくば従来のコンクリート混合物に添加することによって、該混合物から製造された水硬された、並びに硬化された材料の持続的なETC特性を達成できることが見出された。ここで、そのように使用されるフルオロオルガニル置換シランないしフルオロオルガニル置換シロキサン又はこれをベースとしたフルオロオルガニル置換ケイ素化合物を含有する調製物は、有利には液体の、例えば油状からクリーム状ないしペースト状のコンシステンシーを有する。
【0012】
従って本発明の対象は、以下:
a)セメント 6〜25質量%、有利には10〜20質量%、特に有利には12〜18質量%、
b)少なくとも1の骨材 50〜90質量%、有利には65〜85質量%、特に有利には70〜80質量%、及び
c)少なくとも1のフルオロオルガニル置換ケイ素化合物 0.01〜8質量%、有利には0.02〜5質量%、特に有利には0.05〜2質量%、
を含む、特に「イージー・トゥ・クリーン」特性を有する材料のための水硬性混合物である。
【0013】
ここで、その都度使用される混合物成分ないし構成要素は、合計で100質量%である。
【0014】
それぞれのケースでの混合物成分の具体的な選択によって、a)、b)及びc)で挙げられた一般的な量の限度を維持することが予定されている。
【0015】
本発明により使用されるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物は、有利には、フルオロオルガニル置換シラン及びフルオロオルガニル置換シロキサン又はその混合物の群から選択されている。特に、該化合物は有利には、モノマーフルオロアルキル置換シラン及びフルオロアルキル置換シロキサン又はその混合物の群から選択されている。モノマーフルオロアルキル置換シランの有利な例は、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル−トリメトキシシラン、並びに、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル−トリエトキシシランである。しかしながら有利には、本発明によれば、フルオロオルガニル置換ケイ素化合物として、少なくとも1の上記のモノマーフルオロアルキル置換シラン又はフルオロアルキル置換シロキサン及び場合により少なくとももう1つのオルガノシランないしオルガノシロキサン、特にC
1〜C
16アルキルトリアルコキシシラン、例えば、メチルトリメトキシシランないしメチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシランないしプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシランないしブチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランないしオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシランないしヘキサデシルトリエトキシシラン(これらは若干のものを挙げたものに過ぎない)、又はオリゴマーオルガノアルコキシシランベースの混合物をベースとする調製物を使用することもでき、その際、そのような調製物は、水を含有する、アルコールを含有する、及び/又は炭化水素を含有する溶液又はエマルションの群から選択されている。そのような調製物は、例えばDE19606011、EP0538555、EP0675128、EP0716127、EP0716128、EP0832911、EP0846717、EP0953591、EP0960921、EP1033395、EP1101787、EP1193302、WO2006/010666、WO2006/010388、WO2009/030538から引用できるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明により使用されるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物の付加的な利点は、シランがしばしば調製物に対して液化作用を示すことである。その際、ここで使用されるフルオロオルガノ系は、意想外にも、未硬化状態における安定性に不利な影響を及ぼさない。
【0017】
さらに、本発明による水硬性混合物は、有利には他の成分としてさらに、
d)液化剤 0.01〜2質量%、有利には0.05〜0.5質量%、及び/又は
e)少なくとも1の他の助剤 0.01〜1質量%
を含むことができる。
【0018】
セメントに関して、本発明による混合物において、ポルトランドセメント、コンポジットセメント、ポゾラン、例えばフライアッシュ又はマイクロシリカの割合を有するセメント、及び高炉セメントの群からの全ての慣用のセメントの選択及び使用ないし含有が可能である。本発明による混合物において、セメントは、ポルトランドセメント、コンポジットセメント並びに高炉セメントの群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明による混合物中のいわゆる骨材は、例えばEN 206−1:2000による岩石粒であってよい。特に、骨材は、アグリゲート、砂、砂利、砕石、斑岩、石英粉、石灰粉及び岩石粉又はその混合物、また、フライアッシュ、マイクロシリカ及びその他のシリケート添加物又はその混合物であってもよい。ここで、砂は例えば石英砂又は川砂であってよい。有利なものは、砂利、砕石、砕砂、斑岩、石英粉、石灰粉及び岩石粉又はその混合物である。例えば、DIN 1045−2の規定に従い、本発明による混合物は、有利には8〜63mm、特に有利には8mm、16mm、32mm又は63mmの最大粒を含有する骨材、特に32mmの最大粒を含有する骨材を含有することができる。骨材が32mmの最大粒を有するアグリゲート及び/又は5mmの最大粒を有する砂である場合に特に有利である。
【0020】
本発明による混合物は、通常は容易でかつ経済的な様式で、要求に応じた成分を組み合せ、かつ混合することにより製造することができる。例えば、典型的には、本発明による混合物に水を加え、混合装置内で混合する。一般には、本発明の独立請求項による成分を混合することによって、まず最初に水硬性混合物を調製することができる。該混合物を、その後で適用の際に場合により十分な完全混合下に要求に応じた量の水と組み合わせる場合には、当業者に自体公知の機器ないし容器を用いて、又は該機器ないし容器内で、該混合物にすでに上で挙げた他の成分を添加し、そのようにして得られた混合物ないしそのようにして製造された未硬化物を所望の形にし、かつ水硬ないし硬化させることができる。
【0021】
本発明によるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物は、
(i)一般式I、II、III、IV及び/又はVから誘導されており、かつ、鎖式、環式の、架橋された及び/又は立体架橋された構造を形成する架橋性構造要素を有することができる化合物であってよく、その際、少なくとも1の構造は理想化された形において一般式Iに相当し、
【化1】
その際、式Iにおいて、該構造要素は、一般式II、III、IV及び/又はVのアルコキシシランから誘導されており、かつ、
Aは、一般式IIから誘導された、該構造要素中のアミノアルキル基H
2N(CH
2)
f(NH)
g(CH
2)
h(NH)
m(R
7)
n−に相当し、
【化2】
その際、fは0〜6の整数であるが、但し、f=0である場合にはg=0であり、f>0である場合にはg=1であり、hは0〜6の整数であり、x=0又は1であり、m=0又は1であり、かつn=0又は1であるが、但し、式IIにおいてn+m=0又は2であり、かつ、R
7は、1〜16個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環式の二価のアルキル基であり、
Bは、一般式IIIから誘導された、該構造要素中のフルオロアルキル基R
4−Y−(CH
2)
k−に相当し、
【化3】
その際、R
4は、1〜9個のC原子を有するモノフッ素化、オリゴフッ素化又は過フッ素化アルキル基、又は、モノフッ素化、オリゴフッ素化又は過フッ素アリール基を表し、Yは、CH
2基、O基又はS基を表し、R
3は、1〜8個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環式アルキル基、又は、アリール基を表し、式III及び/又はVIにおいて、k=0、1又は2であり、かつ、y=0又は1であり、有利には、R
4はF
3C(CF
2)
r−であるが、但し、r=0〜18、有利にはr=5であり、Yは、CH
2基又はO基であり、かつ有利には、k=1でかつY=−CH
2−であり、
Cは、一般式IVから誘導された、該構造要素中のアルキル基R
5−に相当し、
【化4】
その際、R
5は、1〜4個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、特にメチルであり、かつ、式IVにおいて、u=0又は1であり、
Dは、一般式Vから誘導された、該構造要素中のアルキル基R
6−に相当し、
【化5】
その際、R
6は、上記式において、1〜8個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環式アルキル基を表し、かつ、
R
1は、式II、III、IV、V及び/又はVIにおいて、相互に無関係に、1〜8個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環式アルキル基、又は、アリール基を表し、有利には、R
1は、無関係に、メチル、エチル又はプロピルであり;R
2、R
3及び/又はR
5は、上記式において無関係に、1〜4個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基に相当し、有利には相互に無関係にメチル又はエチルに相当し、かつ、
式(I)において、HXは酸を表し、その際、Xは無機又は有機酸基であり、その際、x、y及びuは相互に無関係に0又は1であり、かつ、a、b、c、d及びeは、相互に無関係に整数であるが、但し、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、e≧0であり、かつ、(a+b+c+d)≧2、有利には(a+b+c+d)≧4、特に有利には(a+b+c+d)≧10であり、かつ、Xは、例えば塩化物イオン、硝酸イオン、ギ酸イオン又は酢酸イオンを含むか、
又は、
(ii)上記の一般式II、III、IV及びVのアルコキシシランのうち少なくとも2つから誘導された、オルガノシロキサン共縮合物又はブロック共縮合物又はその混合物であって、有利には、式II及びIIIからのモル比1:≦3.5で誘導されているか、又は、a、b、c及びdは式II、III、IV及びVのアルコキシシランのモルにおいて、モル比0.1≦[a/b+c+d]、特に0.25≦[a/b+c+d]≦6000、有利には1≦[a/b+c+d]≦3であるが、但し、a>0、b>0、c≧0及びd≧0であるか、
又は、
(iii)一般式VI
【化6】
のモノマーフルオロオルガニル置換ケイ素化合物、
及び/又は、一般式VIの複数のモノマー化合物の混合物
であってよく、ここで、R
4、Y、R
1、R
3、k及びyは上記の意味を有するものとする。
【0022】
本発明により使用されるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物は、液状形で、又は溶解形で、又は水中に分散した形で、又は乳化した形で、又はペースト状ないしクリーム状の形で存在することができる。その場合には、塊状物を特に良好かつ均一に本発明による混合物に導入できることが判明した。
【0023】
しかしながら有利には、上記のフルオロオルガニル置換ケイ素化合物を水性調製物の形で、例えば水溶液ないし水性分散液又は水性エマルションとして使用することもできる。それによって、水性のセメント含有混合物への導入可能性をさらに単純化することができる。そのような水性調製物は、特に、フルオロオルガニル置換シラン及び/又はシロキサンの水性分散液又は水性エマルションであってよく、該水性分散液又は水性エマルションは、(それぞれ水性エマルションの全質量に対して)合計で2.5質量%〜90質量%、有利には5質量%〜80質量%、特に有利には5質量%〜70質量%、極めて特に有利には10質量%〜60質量%のフルオロオルガニル置換ケイ素化合物の含分を含む。
【0024】
本発明により使用されるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物が水性エマルションの形で存在する場合には、該水性エマルションは少なくとも1の乳化剤を含有することができ、該乳化剤は、有利には、C
8〜C
18アルキルを有するアルキルスルフェート、疎水基中のC
8〜C
18アルキルと、1〜40個のエチレンオキシド(EO)単位又はプロピレンオキシド(PO)単位とを有するアルキルエーテルスルフェート及びアルカリールエーテルスルフェート、C
8〜C
18アルキルを有するアルキルスルホネート、C
8〜C
18アルキルを有するアルカリールスルホネート、スルホコハク酸と5〜15個の炭素原子を有する一価のアルコール又はアルキルフェノールとの半エステル、アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、有機基中に8〜20個の炭素原子を有するアルキルホスフェート及びアルカリールホスフェート、アルキル基ないしアルカリール基中の8〜20個の炭素原子と、1〜40個のEO単位とを有するアルキルエーテルホスフェートないしアルカリールエーテルホスフェート、8〜40個のEO単位と、アルキル基又はアリール基中の8〜20個の炭素原子とを有するアルキルポリグリコールエーテル及びアルカリールポリグリコールエーテル、8〜40個のEO単位ないしPO単位を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、C
8〜C
22アルキル基を有するアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和のC
8〜C
24アルキル基と1〜10個のヘキソース単位又はペントース単位を有するオリゴグリコシド基とを有するアルキルポリグリコシド、ケイ素官能性界面活性剤、又は、前記乳化剤の混合物の群から選択されている。そのようなエマルションにおける乳化剤の含分は、該エマルションの全質量に対して有利には0.01〜5質量%である。
【0025】
さらに、本発明により使用されるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物の水性組成物は、有利にはさらに、無機又は有機酸、バッファー物質、殺真菌剤、殺細菌剤、殺藻剤、殺菌剤、着香剤、防腐剤、保存剤、レオロジー調整剤から選択された慣用の助剤を含有することができる。
【0026】
シリケート系添加物を使用する場合には、該添加物を、有利には、マイクロシリカ、フライアッシュ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、ゼオライト、結晶質シリカ、シリカゾル、カオリン、マイカ、珪藻土、タルク、珪灰石又はクレーの群から、又は、相応するマイクロシリカ、フライアッシュ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、ゼオライト、結晶質シリカ、シリカゾル、カオリン、マイカ、珪藻土、タルク、珪灰石又はクレーからの混合物から、又は、少なくとも1の熱分解法シリカの、又は少なくとも1の沈降シリカの、又は熱分解法シリカと沈降シリカとからの混合物の水性分散液から選択することができる。
【0027】
典型的には、当然のことながら、さらに水が本発明による水硬性混合物中に含まれているか、又は水を添加する。水の量は、この場合有利には1〜20質量%である。
【0028】
本発明により使用するフルオロオルガニル置換ケイ素化合物をその水性調製物の形で使用する場合には、有利には、セメントで固められる混合物の全組成を算出するために、それぞれの水性組成物中の活性物質の含分のみを本発明によるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物として考慮する。有利には、この水性調製物の含水率を、必要な水添加量を算出する際に考慮する。
【0029】
液化剤は、常用のいずれの流動助剤であってもよく、特にポリカルボキシレートエーテル(PCE)及び/又はポリメチルメタクリレート、並びに、リグニンスルホネート又はナフタレンホルムアルデヒドスルホネートであってよい。
【0030】
本発明による水硬性混合物は、他の助剤として、例えば分散助剤及び湿潤助剤、例えばシリコネート又はアルキルホスホネート、消泡剤、例えばトリアルキルホスフェート、空気連行剤、例えば鹸化樹脂酸、遅延剤並びに促進剤、例えばホルメート及び/又は減水剤を含有することができる。
【0031】
有利には、本発明による水硬性混合物をコンクリート工業において使用することができ、その際、該混合物を通常の強制ミキサー内で混合する。
【0032】
その際、セメントと固体の骨材とを予備混合し、場合により、液体の非水性成分を同様にセメントと予備混合し、これに、水性配合物、例えば本発明によるフルオロオルガニル置換ケイ素化合物の溶液又は水性分散液又はエマルションを調合水と一緒に添加することを予定することができる。そのような配合物を、有利には調合水中に予備分散させることができる。さらに導入する水の含分を、有利には所望のw/z値を調整する際に考慮することができる。本発明による混合物の加工性は、未変性の混合物と比較して変わらないことが好ましい。
【0033】
しかしながら、本発明による水硬性混合物の固体混合物を強制ミキサーに供し、一度に、又は少量ずつ、所定量の水を添加し、かつ混合することもできる。
【0034】
そのようにして得られた本発明による水硬性混合物を、次いで当業者に自体公知の成形及び硬化下に置くことができ、その表面は本発明の意味において有利には摩耗しても比較的わずかな汚れ傾向(「イージー・トゥ・クリーン」特性)を示す。
【0035】
従って、本発明による水硬性混合物を使用して得ることができる材料、特に部材、コンクリート物品又は成形体も本発明の対象である。
【0036】
さらに、本発明の対象は、材料、特に部材、コンクリート物品又は成形体を製造するための、本発明による水硬性混合物の使用であり、その際、その表面は摩耗しても比較的わずかな汚れ傾向(「イージー・トゥ・クリーン」特性)を示す。
【0037】
同様に本発明の対象は、水硬性混合物、特に、セメント 6〜25質量%、少なくとも1の骨材 50〜90質量%、並びに場合により水 1〜20質量%及び/又は液化剤 0.01〜2質量%及び/又は少なくとも1の他の助剤 0.01〜1質量%を含む混合物の未硬化物変性のための、特に上で詳細に規定したフルオロオルガニル置換ケイ素化合物の使用である。
【0038】
例えば、本発明による水硬性混合物を、有利には建築分野において、特に加工物の製造に、コンクリート舗装用ブロックのために、またさらには装飾用コンクリートとして、特に舗装用ブロックのための装飾材において使用することができる。
【0039】
セメントで固められる加工物のメーカーにとって、特にコンクリートブロックのメーカーにとって、今日まで、水硬性の、特にセメントで固められる加工物を持続的に変性させ、かつ、摩擦及び屋外曝露の影響を受けても表面上での「イージー・トゥ・クリーン」特性を保障することは非常に重要であった。
【0040】
本発明による混合物の調製及び使用によって、水硬した加工物の、新たに達成された、摩擦や屋外曝露を受けても持続的な「イージー・トゥ・クリーン」特性に基づき、洗浄コスト及びメンテナンスコストを、洗浄サイクルの延長によって明らかに低減させることができる。そのような未硬化物の変性を、有利には特に製造プラントの運転中に行うことができ、かつ加工物をすでに完成した状態で保護して出荷することができる。現場での付加的な費用は省略される。しかしながら、現場で本発明による未硬化物を製造し、かつ有利には使用することもできる。
【0041】
本発明を以下の実施例により詳説するが、しかしながら本発明の対象を制限するものではない。
【実施例】
【0042】
実施例
使用するモルタル試験体を、市販のQuick-Mix社製万能モルタル(DIN V 18580によるモルタル群II、DIN V 18550によるモルタル群 P II)から調製した。そのために、該モルタル各約100gを水 約24mlと緊密に撹拌した。実施例にそれぞれ記載した添加剤を、それぞれ調合水中に予備分散させた。生じた混合物をPE型枠内に充填し、25℃で24時間乾燥させ、次いで型枠を外し、さらに25℃で28日間硬化させた。汚れ特性をDIN EN ISO 10545−14に依拠して測定した。該試験については以下に詳説する。
【0043】
質量%での表記は、それぞれ完全乾燥混合物の質量に関するものである。
【0044】
フルオロアルキルシランベースの添加剤の製造を、DE19955047の実施例1の記載通りに行うことができる:
【0045】
モル比1:3の、DYNASYLAN
(R) TRIAMO(N−[N’−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)及びDYNASYLAN
(R) F 8261(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン)からの、水溶性の縮合物ないし共縮合物の製造
【0046】
装置:
蒸留装置、内部温度計、計量供給装置を備えた加熱可能な撹拌器型反応器
【0047】
【表1】
【0048】
実施:
TRIAMO 26.5g、F8261 153.0g及びエタノール 60gを装入し、還流(約80℃)で2時間撹拌する。引き続き、約50℃で前加水分解用の水を添加する。反応混合物を還流(約78℃)で8時間加水分解させる。その後、ギ酸(85%)16.3gを約50℃で計量供給し、水 860gを添加する。その後、生成物は僅かに混濁している。生じた加水分解アルコール及びエタノール 60gを真空下に留去する。
【0049】
圧力: 160〜130ミリバール
内部温度: 48〜50℃
生成物を29−Si−NMR分析により調べたところ、結果は以下の通りであった:
【0050】
【表2】
【0051】
さらに、中央粒径D
50を求めたところ(レーザー光散乱)、0.0374μmであった。
【0052】
実施例1(比較例)
モルタル試験体を上記の通りに製造した。その際、添加剤を使用しなかった。
【0053】
実施例2
モルタル試験体を上記の通りに製造した。調合水中に、添加前に、上記の通りDE19955047の実施例1に記載に従って製造した水性フルオロアルキルシラン配合物3質量%を分散させた。
【0054】
実施例3
モルタル試験体を上記の通りに製造した。調合水中に、添加前に、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル−トリエトキシシラン 3質量%を分散させた。
【0055】
実施例4(比較例)
モルタル試験体を上記の通りに製造した。調合水中に、添加前に、オクチルトリエトキシシラン50質量%を含有するo/wエマルション2質量%を分散させた。
【0056】
評価
「イージー・トゥ・クリーン」特性:
硬化させたモルタル試験体の表面上(型枠に接していた面(Schalseite)上ではない)に、汚れ物質であるコーヒー(ブラック、加糖、低温)、コーラ、赤ワイン並びにオリーブオイル一滴ずつ(約0.5ml)を施与した。25℃で作用時間1時間が経過した後、表面を軟らかい布で拭き取り、完全脱塩水を3分間当てた。最後に、水を軟らかい布で拭き取り、表面の汚れを乾燥後に目視により評価する。その際、5は汚れが視認不可能であることを表し、4は汚れが薄く視認可能であることを表し、3は汚れが視認可能であることを表し、2は汚れが明らかに視認可能であることを表し、1は汚れが濃く視認可能であることを表す。未処理の比較試験体に対して明らかな改善が達成された場合にのみ、良好な「イージー・トゥ・クリーン」特性と言える。3つの水性の汚れ物質(コーヒー、コーラ、赤ワイン)がそれぞれ4又は5を達成し、かつ同時にオリーブオイルが未処理の比較試験体に対して明らかな改善を達成した場合には、極めて良好な「イージー・トゥ・クリーン」特性と言える。第1表に、汚れ試験の結果を示す。
【0057】
【表3】
【0058】
上記の定義によれば、実施例3からの本発明による混合物において極めて良好な「イージー・トゥ・クリーン」特性が達成され、かつ、実施例2からの本発明による混合物において良好な「イージー・トゥ・クリーン」特性が達成されることが明らかとなった。これに対して、フッ素不含のアルキルシランのみを含有する比較混合物4は、清浄特性の改善を示さない。