(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5758980
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】連続可変調整可能色温度による電子カメラファインダー
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20150716BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20150716BHJP
G03B 13/02 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
H04N5/225 B
H04N5/232 Z
G03B13/02
H04N5/225 F
【請求項の数】12
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-503064(P2013-503064)
(86)(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公表番号】特表2013-527660(P2013-527660A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2011054955
(87)【国際公開番号】WO2011124514
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】10305368.2
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511006720
【氏名又は名称】ジーブイビービー ホールディングス エス.エイ.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ホンメル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル アールト−ヤン
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ヘリク フローラス ベルナルドゥス
【審査官】
藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−316528(JP,A)
【文献】
特開平05−191687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
G03B 17/18 −17/20 ,17/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーディスプレイモニターを含む電子カメラのファインダーであって、前記カメラの画像センサー配列によって捕捉されるシーンを表示するように適応され、前記ファインダーの色温度が最小値と最大値との間で連続的に可変調整可能であり、
前記色温度が、ビデオ信号の1つの原色成分のための利得を一定に維持し、前記ビデオ信号の他の原色成分のための前記利得を変えることによって調整でき、
赤色成分のための前記利得が、式
利得R=((6500−CTemp)*10030)/(65*CTemp)
に従って計算され、CTempが色温度であり、
前記ファインダーの色温度調整が、記録または伝送される、前記カメラにより生成されるビデオ信号の前記色温度に影響を及ぼさない、ファインダー。
【請求項2】
緑色成分のための前記利得が一定に維持される、請求項1に記載のファインダー。
【請求項3】
前記ファインダーの色温度が初め約6500Kに設定される、請求項1に記載のファインダー。
【請求項4】
前記色温度が約3000Kと9000Kの間で連続的に可変である、請求項3に記載のファインダー。
【請求項5】
前記ビデオ信号の他の原色成分のための利得が、異なる色温度を有する白い点の位置に沿って前記色温度を調整するために変更される、請求項1に記載のファインダー。
【請求項6】
カラーディスプレイモニターを含む電子カメラのファインダーであって、前記カメラの画像センサー配列によって捕捉されるシーンを表示するように適応され、前記ファインダーの色温度が最小値と最大値との間で連続的に可変調整可能であり、
前記色温度が、ビデオ信号の1つの原色成分のための利得を一定に維持し、前記ビデオ信号の他の原色成分のための前記利得を変えることによって調整でき、
青色成分のための前記利得が、式
利得B=((CTemp−6500)*30000)/(65*CTemp)
に従って計算され、CTempは色温度であり、
前記ファインダーの色温度調整が、記録または伝送される、前記カメラにより生成されるビデオ信号の前記色温度に影響を及ぼさない、ファインダー。
【請求項7】
緑色成分のための前記利得が一定に維持される、請求項6に記載のファインダー。
【請求項8】
赤色成分のための前記利得が、式
利得R=((6500−CTemp)*10030)/(65*CTemp)
に従って計算され、CTempが色温度である、請求項7に記載のファインダー。
【請求項9】
前記ファインダーの色温度が初め約6500Kに設定される、請求項6に記載のファインダー。
【請求項10】
前記色温度が約3000Kと9000Kの間で連続的に可変である、請求項9に記載のファインダー。
【請求項11】
前記ビデオ信号の他の原色成分のための利得が、異なる色温度を有する白い点の位置に沿って前記色温度を調整するために変更される、請求項6に記載のファインダー。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のファインダーを有するカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラファインダーに関し、特に連続可変調整可能色温度を備えるカラーファインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
色温度は、照明分野、写真撮影分野、ビデオ撮影分野、出版分野、製造分野、天文物理学分野、および他の分野に重要な用途を有する可視光の特性である。光源の色温度は、その光源に相当する色相の光を放射する理想的な黒体放射体の温度である。温度は、従来、絶対温度、つまりケルビン(K)の単位で記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より高い色温度(5,000K以上)が寒色(青みがかった白)と呼ばれ、より低い色温度(2,700から3,000K)が暖色(黄色がかった白から赤)と呼ばれる。
【0004】
アナログフィルムは、人間の視覚が適応するように照明色に適応しないので、ときおり照明の色を誇張するように見える。目に白であるように見える対象物が、写真の中では非常に青色、または橙色に見えることが判明する場合がある。モニター上で中間色レンダリングを達成するために、撮影中又は電子的に走査中に、カラーバランスを補正する必要がある場合がある。また、このステップは、事後処理で、つまりビデオ画像が捕捉され、記憶された後に行われてもよい。同じことは、通常、赤色、緑色、および青色の対応する表現でカラー画像を捕捉する電子ビデオカメラにも当てはまる。画像センサー配列から生じる個々の色は、モニター上でただちに正しい色のレンダリングを生じさせる様にバランスがとれていない場合がある。色補正は、異なる再現装置に対して個別に実行されてよい。しかしながら、いったんビデオ信号に適用された色補正は、必ずしもあらゆる種類の再生装置にとって同程度まで適切ではない場合がある。
【0005】
コンピュータ用のいくつかのカラーモニターは、それぞれの装置にとって不適切なビデオ信号の色補正、またはビデオ信号の伝送、操作、または変換の間に生じる色温度のシフトを補償するために、3200K、5600K、9300Kのような事前設定された色温度の中での選択を可能にする。ある範囲で色温度を任意に選択することを可能にするコンピュータモニターもある。たとえば、Dell(登録商標)Ultrascan P780 Color Monitor等は、9300Kと5000Kの間で任意の色温度を指定すること、つまり所与のステップサイズ適用を可能にする。
【0006】
ただし、大部分のカメラファインダーにとって標準的な色温度は、6500Kに固定設定されており、調整することはできない。
【0007】
記録カメラの選択された色温度に応じて、カメラとファインダーの6500Kというデフォルト値との間の色温度の差はファインダーディスプレイ上で気付くことができる。これは、特に、カメラマンが特定の色または色相を有する対象物に焦点を合わせることを望む場合、その対象物が現実とファインダー上で異なる外観を有する場合があるため、カメラの操作をより困難にする場合がある。捕捉中にそこにいる人だけがその違いを見ることができ、攪乱効果に気付く可能性があるため、これは、カメラマンに固有の状況である。
【0008】
ファインダー上でのカラーレンダリングを現実のシーンと適合させることを可能にする連続可変色彩管理を有するカメラファインダーを提供することが望ましい。
【0009】
本発明に係る電子カメラのファインダーは、カメラの画像センサー配列によって捕捉されるシーンを表示するように適応されたカラーディスプレイモニターを含む。ファインダーの色温度は、最小値と最大値との間で連続的に可変調整可能である。ファインダーの色温度の調整は、記録または伝送される、カメラによって生成されるビデオ信号の色温度に影響を及ぼさない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に従って、カメラマンは、デフォルトによって6500Kに設定されていることがあるファインダーディスプレイの色温度を、伝送または記録のためにカメラによって出力される信号を変更することなく異なる値に連続的に可変変更できる。ファインダーディスプレイの色温度を変更することは、ディスプレイ上で目に見えるシーンの色温度が、記録時に現実のシーンで目に見えるものと実質的にまたは完全に一致するようにも達成されてよい。
【0011】
本発明のファインダーを使用するカメラマンは、同様に最適の焦点の検出を楽にすることがある現実のシーンとファインダーディスプレイ上で目に見えるものとの間の色差または画像合成等によってより気をそらされにくくなる。
【0012】
一実施形態では、カメラによってファインダーに提供されるビデオ信号は、輝度信号Yおよび色差信号CrおよびCbを含む。たとえば3×3以上または3×3以下のマトリックス等のマトリックスによって、これらの信号は、赤、緑、青の対応する原色信号R、G、およびBに変換される。
【0013】
別の実施形態では、ファインダーに提供されるビデオ信号は、それぞれの色のための対応する画像センサーから提供される赤、緑、および青のビデオ信号に相当する。
【0014】
ファインダーと関連付けられたビデオ処理回路では、3つの色信号R、G、およびBの利得が制御され、特に白画像コンテンツに関して、所望される色温度が得られる。
【0015】
CIE1931色図では、異なる色温度を有する、異なる白い点を表す位置が検出できる。さらに上述されたように、色温度は度ケルビンで表される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図2は、Gの固定利得に比較されるRおよびBの可変利得と、それが色温度に与える影響との間の例示的な関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、既知のCIE1931色図を示す。境界線内側の曲線は、白の多様な温度を表す。
【0018】
白画像コンテンツについてファインダーのデフォルトの色温度を較正しているとき、R、G、およびBの利得は、ファインダー上で再生される白画像コンテンツが、6500Kの色温度またはこの値に近い値を有するように、設定され、記憶される。
【0019】
本発明の一実施形態では、カメラマンがファインダー色温度を調整するとき、たとえば緑、つまりG等の1つの色成分の利得は一定に維持され、たとえばそれぞれRおよびB、つまり赤および青等の他の色成分の利得は調整される。
【0020】
図2は、Gの固定利得に比較されるRおよびBの可変利得と、それが色温度に与える影響との間の例示的な関係を示す。分かるように、例示的な実施形態では、色温度は、3000Kと9000Kとの間の値に連続的に可変調整できる。図中、測定された利得値、および以下の式に従って計算された値が示されている。x軸は色温度を表し、y軸はdB単位のそれぞれの利得の変化を表す。
【0021】
RとBの利得は、以下の通り計算される。
利得R=((6500−CTemp)*10030)/(65*CTemp)
利得B=((CTemp−6500)*30000)/(65*CTemp)
【0022】
前記式では、CTempは、色温度に一致する。これらの式は、十分に正確であるが、計算が簡略である近似を表している。
【0023】
結果として、より低い色温度またはより高い色温度への色温度の連続的に可変のシフトが可能である。
【0024】
また、本発明は、同じ結果を提供しつつも、輝度信号および色差信号の対応する制御によって実現され得る。