(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759063
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】部品を加熱する加熱装置の制御方法、制御装置、および、制御装置を備えた自動車
(51)【国際特許分類】
G05D 23/19 20060101AFI20150716BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20150716BHJP
F02D 35/00 20060101ALI20150716BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
G05D23/19 Z
F02D45/00 368F
F02D35/00 368B
H05B3/00 310B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-504359(P2014-504359)
(86)(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公表番号】特表2014-518578(P2014-518578A)
(43)【公表日】2014年7月31日
(86)【国際出願番号】EP2013053665
(87)【国際公開番号】WO2013131769
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】102012203401.3
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Volkswagen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100165940
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 令子
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマン ハーン
【審査官】
川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−206082(JP,A)
【文献】
特開昭58−190651(JP,A)
【文献】
特開2003−240749(JP,A)
【文献】
特開2005−121005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/19
F02D 35/00
F02D 45/00
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を加熱する加熱装置の制御方法であって、
・前記加熱装置を加熱電圧で駆動するステップと、
・前記加熱装置の実際加熱電圧(U_H_a)を求めるステップと、
・直前の予め定められた期間にわたる平均加熱電圧(U_H_m)を求めるステップと、
・前記部品が前記実際加熱電圧(U_H_a)または前記平均加熱電圧(U_H_m)に耐えられる最長の許容限界加熱時間(T_max)を、前記平均加熱電圧(U_H_m)に依存して求めるステップと、
・前記実際加熱電圧(U_H_a)および前記平均加熱電圧(U_H_m)と、前記下方限界電圧(U_H_min)と、を比較するステップと、
・前記実際加熱電圧(U_H_a)および前記平均加熱電圧(U_H_m)の少なくとも一方が前記許容限界加熱時間(T_max)の期間にわたって前記下方限界電圧(U_H_min)を上回った場合、前記加熱装置の前記加熱電圧を前記下方限界電圧(U_H_min)に設定するステップと、
を含み、
上記各ステップを周期的に繰り返す、
ことを特徴とする加熱装置の制御方法。
【請求項2】
前記方法の開始時に、前記加熱装置を部品特有の許容最大加熱電圧(U_H_max)によって駆動する、
請求項1記載の加熱装置の制御方法。
【請求項3】
前記下方限界電圧(U_H_min)を、該電圧を持続的に印加しても、加熱される前記部品の熱損傷が発生しないように予め定める、
請求項1記載の加熱装置の制御方法。
【請求項4】
前記下方限界電圧(U_H_min)を、該電圧を持続的に印加しても、加熱される前記部品の熱損傷が発生しない最大の大きさに予め定める、
請求項3記載の加熱装置の制御方法。
【請求項5】
前記加熱装置の前記実際加熱電圧(U_H_a)として、前記加熱装置を駆動するエネルギ源の実際出力電圧、例えばバッテリの実際出力電圧を用いる、
請求項1記載の加熱装置の制御方法。
【請求項6】
前記加熱装置の加熱電圧を前記下方限界電圧(U_H_min)に設定してから予め定められたリセット時間が経過した後、前記加熱装置を再び前記許容最大加熱電圧(U_H_max)で駆動する、
請求項1記載の加熱装置の制御方法。
【請求項7】
前記加熱装置が前記下方限界電圧(U_H_min)に設定された加熱電圧でリセット時間の期間にわたって駆動された後、前記部品がクリティカルでない温度まで冷却されることが期待できる前記リセット時間を予め定める、
請求項6記載の加熱装置の制御方法。
【請求項8】
前記部品はセンサ、例えば内燃機関用排気ガスセンサ、有利にはラムダセンサである、
請求項1記載の加熱装置の制御方法。
【請求項9】
部品を加熱する加熱装置の制御装置であって、
・前記加熱装置を加熱電圧で駆動する第1の手段と、
・前記加熱装置の実際加熱電圧(U_H_a)を求める第2の手段と、
・直前の予め定められた期間にわたる平均加熱電圧(U_H_m)を求める第3の手段と、
・前記部品が前記実際加熱電圧(U_H_a)または前記平均加熱電圧(U_H_m)に耐えられる最長の許容限界加熱時間(T_max)を、前記平均加熱電圧(U_H_m)に依存して求める第4の手段と、
・前記実際加熱電圧(U_H_a)および前記平均加熱電圧(U_H_m)と、前記下方限界電圧(U_H_min)とを比較する第5の手段と、
・前記実際加熱電圧(U_H_a)および前記平均加熱電圧(U_H_m)の少なくとも一方が前記許容限界加熱時間(T_max)の期間にわたって前記下方限界電圧(U_H_min)を上回った場合、前記加熱装置の前記加熱電圧を前記下方限界電圧(U_H_min)に設定する第6の手段と、
・前記第1の手段から前記第6の手段の動作を周期的に繰り返す第7の手段と、
を含む、
ことを特徴とする加熱装置の制御装置。
【請求項10】
部品を加熱する加熱装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記プログラムは、コンピュータに、下記ステップ、すなわち、
・前記加熱装置を加熱電圧で駆動するステップと、
・前記加熱装置の実際加熱電圧(U_H_a)を求めるステップと、
・直前の予め定められた期間にわたる平均加熱電圧(U_H_m)を求めるステップと、
・前記部品が前記実際加熱電圧(U_H_a)または前記平均加熱電圧(U_H_m)に耐えられる最長の許容限界加熱時間(T_max)を、前記平均加熱電圧(U_H_m)に依存して求めるステップと、
・前記実際加熱電圧(U_H_a)および前記平均加熱電圧(U_H_m)と、前記下方限界電圧(U_H_min)とを比較するステップと、
・前記実際加熱電圧(U_H_a)および前記平均加熱電圧(U_H_m)の少なくとも一方が前記許容限界加熱時間(T_max)の期間にわたって前記下方限界電圧(U_H_min)を上回った場合、前記加熱装置の前記加熱電圧を前記下方限界電圧(U_H_min)に設定するステップと、
・上記各ステップを周期的に繰り返すステップと、
を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
内燃機関と、
自身の加熱のための加熱装置を含む排気ガスセンサを含む、前記内燃機関に接続された排気装置と、
請求項9記載の制御装置(30)と、
を備えることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品、特に排気ガスセンサを加熱する加熱装置の制御方法に関する。本発明はさらに、部品、特に排気ガスセンサを加熱する加熱装置の制御方法を実行するように構成された相応の制御装置、および、この制御装置を備えた自動車に関する。
【0002】
内燃機関を排気ガスの組成に依存して調整もしくは制御することが知られている。ここでは、相応の排気ガス成分が適切な排気ガスセンサによって測定される。特に、機関の駆動に用いられる空燃比は、排気ガスの酸素量を排気管に配置されたラムダセンサで測定することによって、制御される。この場合、ラムダセンサは、排気ガスの酸素量に依存するセンサ信号を形成し、このセンサ信号は通常、センサ電圧である。ただし、排気ガスセンサの動作準備を整えるには例えば300℃から400℃の所定の最低温度を必要とする。
【0003】
今日のラムダセンサには、駆動時にセンサを迅速に動作可能領域まで加熱し、障害物質放出量の最適化のための機関制御を保証できるようにする能力を有する加熱素子が設けられている。ここで、加熱電圧および熱印加の持続時間を正確に制御しなければならないという副次的効果が生じる。そうしないと、高温ないし熱ストレスのためにセンサの損傷が発生するおそれがある。このため、通常、加熱ストラテジにおいて超過してはならない許容最大加熱電圧が定められる。また、センサに最大加熱電圧を印加することのできる許容最大時間を予め定めることも知られている。さらに、最大電圧での加熱の許容時間は、付加的な基準、例えば、加熱開始時のセンサ温度を推定するための外部温度もしくはセンサでの先行の非加熱時間に応じて定められる。なお、許容最大電圧よりも低い加熱電圧であっても、長い時間これを印加していれば損傷は発生しうるので、考慮が必要である。
【0004】
今日のラムダセンサは、例えば、同様に限界時間が予め定められている場合、14Vの最大電圧での加熱が許容される。ただし、こうしたセンサが13Vで持続的に加熱される場合にも、限界時間、すなわち、超過によってセンサの損傷が予測される時間は遵守されなければならない。この場合の限界時間は14Vの加熱電圧に対する限界時間よりも長いが、考慮しなければならないのは同じである。
【0005】
DE102005006760A1からは、種々のフェーズでラムダセンサの加熱を実行することが公知である。すなわち、初期フェーズでは、高電圧、有利には完全な駆動電圧まで加熱電圧を迅速に引き上げ、続くフェーズで段階的ないし傾斜的にこれを低減するのである。このようにすれば、センサは迅速に加熱され、しかも損傷を受けない。付加的に、機関の始動前、例えば運転席ドアの開放時に、きわめて小さい例えば2Vの加熱電圧で予熱を行うこともできる。
【0006】
DE102005020363A1においても、機関始動前、例えばドアコンタクトの作動時にラムダセンサを予熱することが提案されている。この場合、まず、センサを高い初期電圧および大きな温度勾配で、露点温度を上回りかつ熱衝撃温度を下回る所定の温度まで加熱するので、存在するコンデンサ水が蒸発する。第1の温度に達すると、低減された加熱電圧でさらなる加熱が行われ、これによりセンサはオーバーヒートを防止できる緩やかな温度勾配で目標温度まで引き上げられる。さらに、過度の加熱を抑圧するために、加熱時間は制限される。
【0007】
DE10229026A1には、電界効果トランジスタFETの形態の出力段によってラムダセンサを加熱する電気回路装置が記載されている。この場合、加熱抵抗およびFETを介した電圧降下が取り出される。このようにして形成されたフィードバック信号に依存して、出力段すなわちFETのゲート電極が、加熱負荷で降下する電圧が一貫して補償されるように駆動される。結果として、可変の電流制限が達成され、センサヒータが破壊されかねない非制御の高温加熱が回避される。
【0008】
今日のセンサ加熱ストラテジは、許容加熱量(最大電圧、最大加熱での限界時間、特に限度時間)が種々のパラメータに依存するために正確に予設定できないという問題に直面している。その結果、センサが強く加熱されすぎたり、また、センサの動作準備が後から必要とされるほど許容パラメータに対して安全距離が大きく見込まれたりすることがある。
【0009】
したがって、本発明の課題は、上述した従来技術の欠点を克服できる、ラムダセンサないし能動的に加熱すべき他の部品のための加熱装置の制御方法および制御装置を提供することである。加熱すべき要素はできるだけ迅速に、また、安全確実に駆動温度まで加熱されなければならない。
【0010】
この課題は、独立請求項の特徴を有する、部品を加熱する加熱装置の制御方法、相応に構成された制御装置、および、この制御装置を備えた自動車によって解決される。
【0011】
本発明の方法は、
・加熱装置を加熱電圧で駆動するステップと、
・加熱装置の実際加熱電圧を求めるステップと、
・直前の予め定められた期間にわたる平均加熱電圧を求めるステップと、
・実際加熱電圧もしくは平均加熱電圧で部品を加熱することが許容される最長の許容限界加熱時間を平均加熱電圧に依存して求めるステップと、
・実際加熱電圧および平均加熱電圧と、予め定められた下方限界電圧とを比較するステップと、
・実際加熱電圧および/または平均加熱電圧が許容限界加熱時間の期間にわたって予め定められた下方限界電圧を上回った場合、加熱装置の加熱電圧を低減するステップと
を含み、これらの各ステップを周期的に繰り返す。
【0012】
本発明の方法により、従来技術の欠点を克服できる。特に、加熱装置を駆動する加熱電圧を制限して、一方では部品のオーバーヒートを確実に回避し、他方でヒータ能力をフルに活用することが簡単にできるようになる。直前の期間にわたって印加された加熱電圧の平均値を求めることにより、加熱される部品での真の加熱負荷が把握される。部品を実際加熱電圧で加熱しうる最長の許容限界加熱時間が、求められた平均加熱電圧に依存して持続的に更新されることにより、本発明では、加熱ストラテジが高い精度で部品の真の加熱負荷に適合される。実際に印加されている加熱電圧または求められた平均加熱電圧が予め定められている下方限界電圧よりも大きくなると、タイムカウンタが作動される。実際の加熱電圧または平均加熱電圧が下方限界電圧を下回ることなく許容限界加熱時間に達すると、加熱装置の加熱電圧は下方限界電圧へ低減される。
【0013】
ここで、「加熱電圧」なる概念は、加熱電圧から導出される量またはこれに相関する量を含みうるが、見取りやすさないし簡潔さのためにいちいち詳しくは表記しない。例えば、本発明では、加熱力という概念を、加熱電圧に相関する量または加熱電圧から導出された量として用いている。もちろん、「実際加熱電圧」「平均加熱電圧」「下方限界電圧」なる概念も同様である。
【0014】
本発明の方法の有利な実施形態によれば、加熱装置は、加熱の開始時点から、部品特有の許容最大加熱電圧で駆動される。典型的には、許容最大加熱電圧は加熱される部品(特にラムダセンサ)のメーカによって設定される。抵抗加熱方式で加熱されるラムダセンサの許容最大加熱電圧は、典型的には14Vであり、稀に13Vである。許容最大加熱電圧で加熱を開始することにより、最大の温度勾配で部品を加熱することができる。これにより、迅速な加熱、ひいては、ラムダセンサの迅速な駆動温度への到達が保証される。
【0015】
別の有利な実施形態によれば、平均加熱電圧を求めるための「直接に先行する期間」が、部品特有の許容最大加熱電圧での加熱に対する許容限界加熱時間にしたがって定められる。ラムダセンサの場合、許容最大加熱電圧での加熱に対する許容限界加熱時間は典型的には数秒の範囲であり、例えば6sから10s、特には約8sであるので、平均時間範囲もこれに相応に選定される。
【0016】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、下方限界電圧は、比較的長い時間、例えば少なくとも30s、特には少なくとも1minにわたる印加によっても加熱される部品の熱損傷が生じないように定められる。有利には、下方限界電圧は、持続的な印加によっても加熱される部品の熱損傷が発生しないように選定される。この実施形態により、許容限界時間に達したときに加熱装置の加熱電圧を下方限界電圧へ切り替えれば、部品を損傷なく加熱し続けられることが保証されるという有利な効果が得られる。これに関連して、特に有利には、下方限界電圧は、持続的な印加によっても加熱される部品の熱損傷が発生しない最大の大きさに定められる。また、本発明の有利な実施形態では、実際加熱電圧および/または平均加熱電圧が許容限界加熱時間の期間にわたって予め定められた下方限界電圧を上回った場合、加熱装置の加熱電圧が下方限界電圧またはそれよりも低い値まで低減される。下方限界電圧が、部品が熱損傷を受けない最大の大きさに定められていることにより、加熱装置を下方限界電圧へ切り替えるのみで、最大可能な加熱速度が得られ、さらに信頼性も保証される。
【0017】
本発明の方法の別の有利な実施形態によれば、加熱装置の実際加熱電圧として、加熱装置を駆動するエネルギ源の実際の出力電圧(給電電圧)、特にバッテリの実際の出力電圧が当てられる。この量は、たいていのシステム、例えば自動車で既知ではない。また、実際に加熱装置に印加される電圧は、実用上は給電電圧から偏差する。基本的には、加熱装置の実際加熱電圧として、加熱装置に実際に印加される電圧が測定されて用いられる。ただし、この測定には高いコストがかかり、また、特に良好な精度の観点からは給電電圧を利用することは妥当でない。
【0018】
さらに有利には、加熱電圧を低減してから予め定められたリセット時間が経過した後、加熱装置が再び許容最大加熱電圧で加熱される。このようにすれば、予め定められた"冷却時間"後、部品は再び許容最大加熱電圧で加熱される。この実施形態により、部品の最大限迅速な駆動温度への到達が保証される。有利には、リセット時間は、下方限界電圧もしくは低減された加熱電圧で加熱装置をリセット時間の期間にわたって駆動すれば、部品がクリティカルでない温度まで冷却されるように定められる。このようにして、迅速でしかも損傷のない部品加熱が保証される。
【0019】
本発明の方法は能動的に加熱される全ての部品に適用可能であるが、特に有利には、加熱すべき部品はセンサであり、特に内燃機関用排気ガスセンサ、有利にはラムダセンサである。
【0020】
本発明の第2の特徴は、部品を加熱する加熱装置を制御するように構成された制御装置に関する。特に、制御装置は、本発明の制御方法を実行するために、コンピュータ読み出し可能な形式で記憶されたアルゴリズムを含むこともできる。さらに、制御装置は、本発明の方法を実行するのに必要なまたは有利な特性曲線または特性マップを含む。
【0021】
本発明の第3の特徴は、内燃機関と、自身の加熱のための加熱装置を含む排気ガスセンサを含む、内燃機関に接続された排気装置と、加熱装置の制御方法を実行するように構成された制御装置とを備える自動車に関する。
【0022】
本発明の他の有利な実施形態は従属請求項の対象となっている。
【0023】
以下に本発明を図示の実施例に則して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】排気装置とラムダセンサと本発明によるラムダセンサの加熱を制御する制御装置とを含む自動車の内燃機関を示す図である。
【
図2】ラムダセンサの加熱を制御する本発明の方法のロジック図である。
【
図3】本発明の方法によってラムダセンサを加熱する際の実際加熱電圧および平均加熱電圧の時間特性を示すグラフである。
【0025】
図1には、内燃機関12およびこれに接続された排気装置18を備えた自動車10が示されている。
【0026】
内燃機関12には、例えばシリンダ直接噴射方式もしくは吸気管噴射方式の燃料供給管14を介して燃料が供給される。また、燃焼空気は、空気管路、特に吸気管路16を介して供給される。場合により、供給空気量は、吸気管に配置された制御可能な調整素子、例えばスロットルバルブを介して制御することができる。
【0027】
内燃機関12で生じた排気ガスは、排気装置18の排気管路20を介して、車外環境へ放出される。ここで、環境に影響を与える排気ガス成分は1つまたは複数の触媒22および/または別の排気ガス後処理装置によって除去される。
【0028】
排気管路20内の内燃機関に近い位置に排気ガスセンサ24が配置されており、この排気ガスセンサ24はラムダセンサ、例えばジャンププローブ型ラムダセンサもしくはワイドバンドラムダセンサである。場合によっては、特に触媒22の下流に、1つまたは複数の別の排気ガスセンサを設けることもできる。ラムダセンサ24は、典型的にはセンサ電圧U
λの形態の(許容)センサ信号を形成するために、少なくとも1回所定の駆動温度に達する必要がある。センサ信号U
λは排気ガスの酸素含有量の尺度であるので、センサの特性曲線を用いれば、内燃機関12の空燃比λの実際値を求めてこれを制御することができる。内燃機関のコールドスタート後にラムダセンサ24を駆動温度へできるだけ迅速に到達させるには、可変の加熱電圧で駆動可能な加熱装置26をラムダセンサ24に設けるとよい。加熱装置26は典型的には電気加熱抵抗である。
【0029】
排気ガスセンサ24の信号(および場合により別のセンサで測定された内燃機関12の別の駆動パラメータ)が機関制御装置28へ伝送される。機関制御装置28は相応の入力信号に依存して公知の手法で内燃機関12の種々の部品を制御する。特に、内燃機関に近いラムダセンサ24のセンサ信号(センサ電圧)に依存して、内燃機関に供給される燃料空気混合気の制御が行われる。このために機関制御装置28は燃料供給管14を介して供給される燃料量および/または吸気管路16を介して供給される空気量を制御する。機関制御装置28は、本発明の、ラムダセンサ24を加熱する加熱装置26の制御方法を実行するように構成された制御装置30を含む。制御装置30はコンピュータで読み出し可能な形態の相応のアルゴリズムと場合により適切な特性曲線および特性マップとを含む。
【0030】
以下に、本発明の方法を、
図2のロジック図に則して、ラムダセンサ24を加熱する実施例に則して説明する。
【0031】
入力ブロック100で、まず、ラムダセンサ24の加熱装置26に印加される実際加熱電圧U_H_aが読み込まれる。特に実際加熱電圧U_H_aとして自動車バッテリの実際バッテリ電圧が読み込まれる。ただし加熱装置26にこれよりも小さい電圧が印加される場合を除く。また、実際加熱電圧U_H_aに依存して、直接に先行する期間に対する平均加熱電圧U_H_mが求められる。この実施例では平均期間は8sである。平均加熱電圧U_H_mは、周期的反復のたびに求められる加熱装置26の実際加熱電圧U_H_aを設定期間8sにわたって算術平均することにより求められる。
【0032】
ブロック100からの出力値は、比較ブロック106,108に入力値として入力される。ブロック106では、実際加熱電圧U_H_aが、ブロック102で定められた下方限界電圧U_H_minよりも大きいかどうかが問い合わされる。ブロック108では、先行する8sの期間での平均加熱電圧U_H_mが下方限界電圧U_H_minよりも大きいかどうかが問い合わされる。この場合、下方限界電圧U_H_minは、有利には、持続的な印加によってもラムダセンサ24に損傷が発生しない最大の大きさの電圧に相当する。比較ブロック106,108の出力値は問い合わせブロック110に入力され、ここでは、比較106,108の少なくとも一方がイエスであったかどうか、つまり、実際加熱電圧U_H_aおよび/または平均加熱電圧U_H_mが下方限界電圧U_H_minよりも大きかったかどうかが検査される。このように、ブロック110は非排他論理和の問い合わせである。この問い合わせがイエスである場合、ブロック110は出力信号"真"を形成する。対してブロック110での問い合わせがノーである場合、つまり、実際加熱電圧U_H_aおよび平均加熱電圧U_H_mの双方とも下方限界電圧U_H_min以下である場合、ブロック110は出力信号"偽"を形成する。
【0033】
さらに、平均加熱電圧U_H_mに依存して、所定期間8sにわたる先行の加熱を考慮したうえで実際加熱電圧U_H_aでラムダセンサ24を加熱することのできる最長の許容限界加熱時間T_maxが周期的に求められる。すなわち、ブロック112で、制御装置30に記憶されている特性曲線を用いて、求められた平均加熱電圧U_H_mに依存する許容限界加熱時間T_maxが読み出される。この場合、平均加熱電圧U_H_mが大きくなるにつれてラムダセンサ24への先行期間での加熱負荷も大きくなるので、許容限界加熱時間T_maxは小さくなる。
【0034】
ブロック110が信号"真"を出力した場合、つまり、実際加熱電圧U_H_aおよび/または平均加熱電圧U_H_mが下方限界電圧U_H_minよりも大きい場合、タイムカウンタが動作し始める。そして、値"真"が存在する期間がブロック114で積算され、ブロック112で求められた許容限界加熱時間T_maxと比較される。ブロック114で積分器が許容限界加熱時間T_maxへの到達を検出した場合、つまり、2つのパラメータの少なくとも一方、すなわち、実際加熱電圧U_H_aおよび/または平均加熱電圧U_H_mが、許容限界加熱時間T_maxの期間にわたって下方限界電圧U_H_minを上回った場合、ブロック114の出力信号は値"真"を取る。
【0035】
この値はフリップフロップ素子118のブロックへ入力される。フリップフロップ素子118は、入力S(セットアップ入力側)の条件が満足されると値"真"を取り、入力R(リセット入力側)の条件が満足されると値"偽"を取る記憶素子である。フリップフロップ素子118は接続されているスイッチ120を操作する。スイッチ120は、ラムダセンサ24の加熱装置26を、ブロック104で部品特有のパラメータとして設定された許容最大加熱電圧U_H_maxに切り替えるか、または、それより低い、ブロック102の下方限界電圧U_H_minに切り替える。スイッチ120が
図2の上側に示されている切替位置にあるときには、加熱装置26に許容最大加熱電圧U_H_maxが印加される。その後、入力Sの条件の満足によってフリップフロップ素子118がセットされると、つまり、許容限界加熱時間T_maxが達成されると、スイッチ120が操作されて、
図2の下側に示されている切替位置へ移動する。この時点から、加熱装置26には下方限界電圧U_H_minが印加される。
【0036】
加熱装置26が下方限界電圧U_H_minによって駆動される場合、実際加熱電圧U_H_aは相応の値をとり、ブロック106での問い合わせの結果がノーとなる。幾らか遅延して平均加熱電圧U_H_mも下方限界電圧U_H_minまで低下するので、ブロック108での問い合わせの結果もノーとなる。ブロック106,108の双方において出力信号が値"偽"を取る場合、ブロック110の出力信号も値"偽"を取ることになる。このため、タイムカウンタはブロック114でもはや動作せず、インバータによって反転された後(ブロック!を参照)、ブロック116のタイムカウンタが作動される。ブロック116のタイムカウンタは、下方限界電圧U_H_minの加熱装置26への印加時間がこのブロック116で定められるリセット時間T_resetを上回るかどうかを検出する。
【0037】
リセット時間T_resetが達成され、つまり、加熱装置26がリセット時間T_resetにわたって下方限界電圧U_H_minで駆動されたことが検出されると、フリップフロップ素子118のリセット入力側Rの条件が満足され、スイッチ120が再び
図2の上側に示されている切替位置へ切り替えられる。これにより、加熱装置26には再び許容最大加熱電圧U_H_maxが印加される。
【0038】
図3には、
図2の本発明の制御方法の進行に則して、加熱装置26にその時点で印加されている実際加熱電圧U_H_aおよび平均加熱電圧U_H_mの時間特性が示されている。図示されているのはコールドスタートによる加熱過程である。ここで、許容最大加熱電圧U_H_maxは14V、下方限界電圧U_H_minは11.5Vである。14Vの許容最大加熱電圧U_H_maxに対して、8sの許容限界加熱時間T_maxが設定される。よって、平均加熱電圧U_H_mはそのつど直前の8sの期間にわたって計算される。
【0039】
加熱の開始時には、加熱装置26は、自動車バッテリからその時点で実際に送出される14Vの許容最大加熱電圧U_H_maxによって駆動される(特性U_H_aを参照)。平均加熱電圧U_H_mは7s後にようやく11.5Vの下方限界電圧U_H_minを上回る。電圧は持続的に印加され、8s後、平均加熱電圧U_H_mは14Vの許容最大加熱電圧U_H_maxに達する。したがって、許容限界加熱時間T_maxは平均加熱電圧U_H_mのみに依存して求められる(
図2のブロック112を参照)が、加熱電圧が下方限界電圧U_H_minを上回っているかどうかを求めるには、平均加熱電圧U_H_mだけでなく、そのつどの実際加熱電圧U_H_aも問い合わされる。1s後から実際加熱電圧U_H_aは下方限界電圧U_H_minを上回るので、タイムカウンタ(
図2のブロック114)はこの時点から動作し始める。その結果、8sの許容限界加熱時間T_maxが8s後に達成されて、加熱電圧はこの時点で11.5Vの下方限界電圧へ制限される。
【0040】
8sが経過して加熱装置26が11.5Vの下方限界電圧へ切り替えられた後、平均加熱電圧U_H_mもこの値へ向かって低下する。この時点からリセット時間T_resetに対するタイムカウンタ(
図2のブロック116を参照)が作動されるので、当該リセット時間にわたって、実際加熱電圧U_H_aおよび平均加熱電圧U_H_mの双方が下方限界電圧U_H_minにとどまる(
図3には示されていない)。リセット時間が経過した後、スイッチ120が再び切り替わり、完全な加熱電圧U_H_maxが加熱装置26に印加される。
【0041】
結論として、加熱装置26に印加される加熱電圧は許容最大加熱電圧U_H_maxと下方限界値U_H_minとの間で切り替えられる。本発明の方法は、ラムダセンサ24が駆動温度に達したときに終了する。この時点はラムダセンサ24の内部抵抗によって求めることができる。場合により、駆動温度を維持するためにラムダセンサ24をさらに加熱することもあるが、このためには通常低い加熱電圧で充分である。
【0042】
本発明の方法の特に有利な利点は、直接に先行する期間にわたる平均加熱電圧U_H_mに依存して許容加熱期間を設定することにより、真の加熱ヒステリシスが考慮されるということにある。例えば実際に印加される加熱電圧U_H_aが所望の許容最大加熱電圧U_H_maxから下方へ偏差する場合、許容限界加熱時間T_maxが延長される。このようにすれば、供給可能な加熱電圧での加熱を、限界時間T_maxを固定に設定する場合よりも長く続行することができる。また、他方で、ラムダセンサ24の許容熱負荷の超過も確実に回避できる。
【符号の説明】
【0043】
10 自動車、 12 内燃機関、 14 燃料供給管、 16 吸気管路、 18 排気装置、 20 排気管路、 22 排気ガス触媒、 24 部品/ラムダセンサ、 26 加熱装置、 28 機関制御装置、 30 制御装置、 U_H_a 実際加熱電圧、 U_H_m 平均加熱電圧、 U_H_max 許容最大加熱電圧、 U_H_min 下方限界電圧、 T_max 許容限界加熱時間、 T_reset リセット時間