(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貧溶媒と前記分離されたポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶媒溶液とを混合することによって、前記ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを沈殿させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、それぞれ特定の量の2,6−ジメチルフェノールと2−フェニルフェノールとを含むモノマー組成物を酸化共重合することにより、耐熱性、酸化耐性およびコスト間のバランスが良好なポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを調製できることを見出した。酸化耐性の向上は、酸素取り込み速度の低減として明示され、耐熱性の向上は、窒素下での高温暴露後の残存質量の増加で明示される。2,6−ジメチルフェノールと2−フェニルフェノールとの酸化重合では、コモノマー混合物中の2,6−ジメチルフェノールの高含有量にもかかわらず、2,6−ジメチルフェノールのホモポリマーよりはむしろ、2,6−ジメチルフェノールと2−フェニルフェノールとのコポリマーが主に生成される。さらに、高分子量のポリ(フェニレンエーテル)コポリマーが調製され、末端基は、2−フェニルフェノールに富む。
【0010】
該ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位を約5〜40モル%と、2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位を60〜約95モル%と、を含む。2−フェニルフェノールは一部には、芳香環上に1つの未置換オルト位を有することで、2,6−ジメチルフェノールと識別される。フェノール性ヒドロキシル基に加えて、2−フェニルフェノールは、以下の左図の構造に示すように、フェニル環のオルトまたはパラ位のいずれかで別のフェノール性モノマーと反応できる。対照的に、2,6−ジメチルフェノールは未置換のオルト位を有さない。2,6−ジメチルフェノールは、フェノール性ヒドロキシル基に加えて、以下の右図の構造に示すように、パラ位だけにおいて別のフェノール性モノマーと反応できる。
【化1】
従って、2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造
【化2】
あるいはこれらの組み合わせを有し得;2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造を有する繰り返し単位を含む。
【化3】
【0011】
あるコポリマーでは一般に、頭部単位中のいずれかのコモノマーのモル%は、コポリマー中のいずれかのコノモマー繰り返し単位の全体としてのモル%と同じであると予想される。しかしながら、本発明者らは、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの頭部単位は、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中の全体としての2−フェニルフェノール繰り返し単位の量により2−フェニルフェノールに富むことを見出した。従って、一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、2−フェニルフェノール頭部単位と2,6−ジメチルフェノール頭部単位との合計100モル%に対して、あるモル%の2−フェニルフェノール頭部単位と、2−フェニルフェノール繰り返し単位と2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位との合計100モル%に対して、ある合計モル%の2−フェニルフェノール繰り返し単位と、を含み、ここで、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%は、2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%より大きい。
【0012】
該ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーでは、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%と2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%との比は約1.1:1〜約2:1であり得る。この範囲内で、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%と2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%との比は、約1.15:1〜約1.8:1であり得、具体的には約1.2:1〜約1.6:1であり得る。
【0013】
2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%は
1H NMR分光法で決定できる。2−フェニルフェノール頭部単位と2,6−ジメチルフェノール頭部単位との合計100モル%に対する2−フェニルフェノール頭部単位のモル%は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で決定できる。2−フェニルフェノール単位の合計モル%と2−フェニルフェノール末端単位のモル%の測定手順は、後述の実施例で提供される。2,6−ジメチルフェノール末端単位と2−フェニルフェノール末端単位は、以下の構造に定義されるように、頭部単位か尾部単位のいずれかとして存在し得る:
【化4】
FTIR法は、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中のフェノール性ヒドロキシル基の量の測定に基づいている。頭部単位だけがフェノール性ヒドロキシル基を含むので、ここで定義される2−フェニルフェノール末端単位のモル%は、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%であり、2−フェニルフェノール頭部単位と2,6−ジメチルフェノール頭部単位との合計100モル%に対するものである。
【0014】
任意の共重合では、いずれかのコモノマーのホモポリマーがかなりの量生成され得る可能性がある。本発明者らは、約5〜40モル%の2−フェニルフェノールと、約60〜約95モル%の2,6−ジメチルフェノールと、を含むモノマー混合物を、溶媒と分子酸素と重合触媒の存在下で酸化共重合して形成した組成物は、2−フェニルフェノールホモポリマーと2,6−ジメチルフェノールホモポリマーを本質的に含み得ないことを見出した。従って、該組成物中の2−フェニルフェノールホモポリマーと2,6−ジメチルフェノールホモポリマーの合計量は、組成物の合計質量に対して2質量%未満であり得る。この範囲内で、2−フェニルフェノールホモポリマーと2,6−ジメチルフェノールホモポリマーの合計量は、組成物の合計質量に対して、1質量%未満であり得、具体的には0.5質量%未満であり得、より具体的には0.1質量%未満であり得る。
【0015】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの質量平均分子量は、少なくとも8,000原子質量単位であり、具体的には8,000〜約200,000原子質量単位である。この範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの質量平均分子量は、少なくとも約20,000原子質量単位であり得、具体的には少なくとも約40,000原子質量単位であり得、より具体的には少なくとも約60,000原子質量単位であり得、さらにより具体的には少なくとも約80,000原子質量単位であり得る。さらに、この範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの質量平均分子量は、約150,000原子質量単位以下であり得、具体的には約100,000原子質量単位以下であり得る。一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの質量平均分子量は、約20,000〜約200,000原子質量単位である。質量平均分子量は、クロロホルム中のゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によってポリスチレン標準の分子量を求め、以下の式により、ポリスチレンの分子量をポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルの分子量に変換した:M(PPE)=0.3122×(M(PS)
1.073(式中、M(PPE)はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の分子量、M(PS)はポリスチレンの分子量)。
【0016】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、共有結合しているモノアミン基を本質的に含み得ない。ここでの「共有結合しているモノアミン基を本質的に含まない」とは、共有結合しているモノアミン基の量が、2−フェニルフェノールおよび2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位の合計100モル%に対して、0.1モル%以下であることを示す。共有結合しているモノアミン基の量は、プロトン核磁気共鳴分光法(
1H NMR)で決定できる。一般に、モノアミン配位子の存在下、酸化重合で形成されるポリ(フェニレンエーテル)は、モノアミン配位子とポリマー分子上のメチル基との反応で形成されたアミノメチル基を有する末端および内部繰り返し単位を有するポリマー分子を含み得る。末端繰り返し単位中に存在するアミノメチル基は、ヒドロキシ基に対してオルト位に存在する。例えば、モノアミンがジ−n−ブチルアミンの場合、末端繰り返し単位は以下の構造を有し得、
【化5】
内部繰り返し単位は以下の構造を有し得る。
【化6】
【0017】
図2cは、市販のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(比較実施例5)の約3.2〜約3.7ppm領域における
1H NMRスペクトルを示す。約3.63ppmのピークは、末端2,6−ジメチルフェノール単位上のアミノメチル基プロトンに起因し、約3.36ppmのピークは、内部2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位上のアミノメチル基プロトンに起因する。ピーク面積の積分に基づいて、モノマー繰り返し単位の合計100モル%に対して、末端アミノメチル基の量は約0.42モル%であり、内部アミノメチル基の量は約0.14モル%である。それぞれ比較実施例7および6の
1H NMRスペクトルを示す
図2aおよび2bでは、いずれのサンプルにも、約3.63および3.36ppm付近にはピークはない。従って、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中の2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位の量に応じて、共有結合しているモノアミン基の量は、2−フェニルフェノールおよび2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位の合計100モル%に対して、0.1モル%以下であり得、具体的には0.05モル%以下であり得、より具体的には0.01モル%以下であり得、さらにより具体的には0.005モル%以下であり得、さらにより具体的には0.001モル%以下であり得る。
【0018】
本発明のポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、約5〜40モル%の2−フェニルフェノールと、60〜約95モル%の2,6−ジメチルフェノールと、を、溶媒、分子酸素および重合触媒の存在下で酸化共重合することにより調製できる。重合触媒は、フェノールの酸化重合で既知の触媒であってもよい。重合触媒は、例えば、金属イオンと、少なくとも1つのアミン配位子と、を含んでいてもよい。重合触媒は、金属イオン源(例えば、酸化第一銅および臭化水素酸)とアミン配位子とを混合することによってその場で調製できる。芳香族炭化水素溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルムまたはこれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)溶媒はトルエンを含む。分子酸素は、例えば、精製された形態または空気として提供されてもよい。
【0019】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー調製用の金属イオンは、銅、マンガンまたはコバルトなどの少なくとも1つの重金属イオンを含んでいてもよい。触媒金属イオンの供給源となり得る金属塩としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、テトラアミン硫酸第一銅、テトラアミン硫酸第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、プロピオン酸第一銅、酪酸第二銅、ラウリン酸第二銅、パルミチン酸第一銅および安息香酸第一銅;および同様のマンガン塩とコバルト塩が挙げられる。上記金属塩類のいずれかを直接添加する代わりに、金属または金属酸化物と、無機酸、有機酸またはこうした酸の水溶液と、を添加して、対応する金属塩または水和物をその場で形成することも可能である。例えば、酸化第一銅と臭化水素酸を添加して、その場で添加して臭化第一銅を生成してもよい。
【0020】
これに関して本発明者らは、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの質量平均分子量は、2−フェニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの合計モル数と金属イオンモル数との比に反比例する、すなわち、この比が高くなればなるほど、質量平均分子量は低くなることを見出した。具体的には、質量平均分子量が少なくとも8,000原子量単位の、具体的には8,000〜約200,000原子質量単位のポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを調製するためには、2−フェニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの合計モル数と金属イオンのモル数との比は、1,200:1以下でなければならない。
【0021】
一部の実施形態では、触媒金属イオンの濃度は、モノマーの合計モル数(すなわち、2−フェニルフェノールのモル数+2,6−ジメチルフェノールのモル数)と金属イオンのモル数の比が約10:1〜約1,200:1となる濃度であってもよい。この範囲内で、該比は約10:1〜約1,000:1であってもよく、具体的には約20:1〜約800:1であってもよく、より具体的には約25:1〜約600:1であってもよく、さらにより具体的には約30:1〜約400:1であってもよく、さらにより具体的には約40:1〜約200:1であってもよい。一部の実施形態では、モノマーのモル数と金属イオンのモル数との比は約20:1〜約200:1である。
【0022】
好適なアミン配位子としてはモノアミンとジアミンが挙げられる。モノアミンとしては、ジアルキルモノアミン(ジ−n−ブチルアミン(DBA)など)およびトリアルキルモノアミン(N,N−ジメチルブチルアミン(DMBA)など)が挙げられる。ジアミンとしては、アルキレンジアミン(N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン(DBEDA)など)が挙げられる。好適なジアルキルモノアミンとしては、ジメチルアミン、ジ−n‐プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジベンジルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−(p−メチル)フェニルエタノールアミン、N−(2,6−ジメチル)フェニルエタノールアミン、N−(p−クロロ)フェニルエタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好適なトリアルキルモノアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブチルジメチルアミン、フェニルジエチルアミンなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
好適なアルキレンジアミンとしては、下式の構造を有するものが挙げられる。
(R
b)
2N−R
a−N(R
b)
2
式中、R
aは置換または未置換の二価の残基であり;R
bはそれぞれ独立に、水素またはC
1−C
8アルキルである。一部の例では、上式のうち、2個または3個の脂肪族炭素原子は、2つのジアミン窒素原子間に最近接リンクを形成する。特定のアルキレンジアミン配位子としては、R
aがジメチレン(−CH
2CH
2−)あるいはトリメチレン(−CH
2CH
2CH
2−)であるものが挙げられる。R
bは独立に、水素、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチルあるいはC
4−C
8α−tert−アルキル基であってもよい。アルキレンジアミン配位子の例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMED)、N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン(DBEDA)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン(TMPD)、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−エチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−トリメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’−トリメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−l,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、アミン配位子は、ジ−n−ブチルアミン(DBA)、N,N−ジメチルブチルアミン(DMBA)、N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン(DBEDA)およびこれらの組み合わせから選択される。重合触媒は、金属イオン源(例えば、酸化第一銅および臭化水素酸)とアミン配位子とを混合することによってその場で調製できる。
【0024】
アミン配位子の濃度は、アミン基のモル数と金属イオンのモル数との比が約1:10〜約10:1となる濃度であってもよい。この範囲内で、該比は、少なくとも約1:5であってもよく、具体的には少なくとも約1:1であってもよく、より具体的には少なくとも約1.5:1であってもよく、さらにより具体的には少なくとも約2:1であってもよい。また、この範囲内で、該比は、最高約7:1であってもよく、具体的には最高約5:1であってもよく、より具体的には最高約3:1であってもよい。ここでのアミン配位子中のアミン基のモル数は、アミン配位子のモル数をアミン配位子中のアミン窒素原子数倍したモル数を指す。例えば、アルキレンジアミン配位子中のアミン基のモル数は、アルキレンジアミン配位子のモル数をアルキレンジアミン配位子中のアミン窒素原子数倍した、すなわち「2」倍したモル数を指す。
【0025】
酸化共重合終了後、反応混合物をキレート剤で処理して、重合触媒金属イオンを除去できる。従って、一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの調製方法は、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶液をキレート剤水溶液と混合して、コポリマー溶液から金属イオンを抽出するステップと、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶液とキレート剤水溶液とを分離するステップと、をさらに備える。好適なキレート剤としては、アミノポリカルボン酸(ニトリロ三酢酸など)、アルキレンジアミンテトラカルボン酸(エチレンジアミン四酢酸など)、これらの酸のアルカリ金属塩およびこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、反応混合物のキレート剤による処理は、約30〜約120分間行われてもよく、具体的には約40〜約90分間行われてもよく、その温度は、約40〜約80℃であってもよく、具体的には約50〜約70℃であってもよい。反応混合物をキレート剤と接触させた後、キレート化された金属イオンを含む水相を、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー溶液から物理的に分離する。該分離は、例えば、重力分離とデカンテーションによって、あるいは液−液遠心分離によって達成される。
【0026】
酸化共重合終了後、溶媒中にポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを含む溶液を、C
1−C
4アルコールと水を含む洗浄溶媒で洗浄して重合触媒金属イオンを除去し、また、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの色を低減できる。溶媒はトルエンであってもよく、洗浄溶媒はメタノールと水であってもよい。ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶液を洗浄溶媒で洗浄後、得られた水リッチの相を、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー溶媒溶液から物理的に分離する。該分離は、例えば、重力分離とデカンテーションによって、あるいは液−液遠心分離によって達成される。
【0027】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、沈殿または脱揮(devolatizing)押出などの方法で溶液から単離できる。沈殿手順は、貧溶媒(antisolvent)と分離されたポリ(フェニレンエーテル)コポリマー溶液とを混合してポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを沈殿させるステップを備える。好適な貧溶媒としては、C
1−C
6アルカノール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなど)、C
3−C
6ケトン(アセトンおよびメチルエチルケトンなど)およびこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、貧溶媒はメタノールである。
【0028】
本発明は少なくとも以下の実施形態を含む。
【0029】
実施形態1:2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位を約5〜40モル%と、2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位を60〜約95モル%と、を含み、質量平均分子量が少なくとも8,000原子質量単位のポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0030】
実施形態2:2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造
【化7】
またはこれらの組み合わせを有し;2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造を有する繰り返し単位を含む実施形態1に記載のポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【化8】
【0031】
実施形態3:2−フェニルフェノール頭部単位と2,6−ジメチルフェノール頭部単位との合計100モル%に対して、あるモル%の2−フェニルフェノール頭部単位と、2−フェニルフェノール繰り返し単位と2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位との合計100モル%に対して、ある合計モル%の2−フェニルフェノール繰り返し単位と、を含み、2−フェニルフェノール末端単位のモル%は、2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%より大きい実施形態1または実施形態2に記載のポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0032】
実施形態4:2−フェニルフェノール頭部単位のモル%と2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%との比が約1.1:1〜約2:1である実施形態1または実施形態2に記載のポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0033】
実施形態5:質量平均分子量が約20,000〜約200,000原子質量単位である実施形態1または実施形態2に記載のポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0034】
実施形態6:2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位を約5〜40モル%と、2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位を60〜約95モル%と、を含み、2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造
【化9】
またはその組み合わせを有し;2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造を有する繰り返し単位を含むポリ(フェニレンエーテル)コポリマーであって、
【化10】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、2−フェニルフェノール頭部単位および2,6−ジメチルフェノールの100モル%に対して、あるモル%の2−フェニルフェノール頭部単位と、2−フェニルフェノールおよび2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位の100モル%に対して、ある合計モル%の2−フェニルフェノール繰り返し単位と、を含み、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%と2−フェニルフェノールの繰り返し単位の合計モル%との比は約1.1:1〜約2:1であり、質量平均分子量が約20,000〜約200,000原子質量単位であるポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0035】
実施形態6a:2−フェニルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造
【化11】
またはこれらの組み合わせを有し;2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位は、下記の構造を有する繰り返し単位を含むポリ(フェニレンエーテル)コポリマーであって、
【化12】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、2−フェニルフェノール頭部単位および2,6−ジメチルフェノールの100モル%に対して、あるモル%の2−フェニルフェノール頭部単位と、2−フェニルフェノールおよび2,6−ジメチルフェノール繰り返し単位の100モル%に対して、ある合計モル%の2−フェニルフェノール繰り返し単位と、を含み、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%と2−フェニルフェノールの繰り返し単位の合計モル%との比は約1.1:1〜約2:1であり、質量平均分子量が約20,000〜約200,000原子質量単位である実施形態1に記載のポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0036】
実施形態7:2−フェニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールのコポリマーの調製方法であって、約5〜40モル%の2−フェニルフェノールと、約60〜約95モル%の2,6−ジメチルフェノールと、を含むモノマー混合物を、溶媒、分子酸素、および金属イオンと少なくとも1つのアミン配位子とを含む重合触媒の存在下で酸化共重合して、2−フェニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの合計モル数と金属イオンのモル数との比が約10:1〜約1200:1のポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを形成するステップを備える方法。
【0037】
実施形態8:ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶媒溶液をキレート剤の水溶液と混合するステップと、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶液とキレート剤の水溶液とを分離するステップと、をさらに備える実施形態7に記載の方法。
【0038】
実施形態9:貧溶媒と分離されたポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの溶媒溶液とを混合することによって、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーを沈殿させるステップをさらに備える実施形態8に記載の方法。
【0039】
実施形態10:脱揮押出によって溶媒を分離されたポリ(フェニレンエーテル)コポリマー溶液から除去するステップをさらに備える実施形態8に記載の方法。
【0040】
実施形態11:2−フェニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの合計モル数と金属イオンのモル数との比が約20:1〜約200:1であり、アミン配位子中のアミン基のモル数と金属イオンモル数との比が約1:1〜約5:1である実施形態7乃至実施形態10のいずれかに記載の方法。
【0041】
実施形態12:実施形態7に記載の方法で形成されたポリ(フェニレンエーテル)コポリマー。
【0042】
以下の非限定的実施例によって、本発明をさらに例証する。
【0043】
(実施例)
バブリング重合リアクタまたはバブリング重合容器中で重合を行った。バブリング重合リアクタは、Mettler Toledo RC1eリアクタ(タイプ3、1.8L、100バール(bar))であり、撹拌機、温調システム、窒素封入、酸素バブリングチューブおよびコンピュータ制御システム(2つのRD10コントローラーを含む)が装備されている。また、反応物質をリアクタに導入するための2つの別個の供給ポットとポンプを設けられている。バブリング重合リアクタは、酸素を酸化剤とする重合に使用した。バブリング重合容器は、250mLのジャケット形ガラスリアクタであり、空気を酸化剤とする重合に使用した。
【0045】
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)および多分散度D(Mw/Mn)は、ポリスチレン標準を用いたカラムでのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により、以下のように求めた。それぞれが狭小な分子量分布を有し、全体で1,000〜1,000,000g/モルの分子量範囲に及ぶ12のポリスチレン標準を用いて、ゲル透過クロマトグラフを校正した。カラムは、PLゲルカラム(孔ザイズ:1,000Åおよび100,000Å)と5μLのPLゲルガードカラム(孔サイズ:100Å)とした。クロマトグラフィは25℃で行った。溶出液として、100質量ppmのジ−n−ブチルアミンを含むクロロホルムを用いた。溶出流量は1.5mL/minとした。検出器波長は254nmとした。校正点を通る3次多項式関数を適合させた。ホモポリマーまたはコポリマー0.01gを20mLのクロロホルムに溶解して実験サンプルを調製した。得られた溶液の50μLサンプルをクロマトグラフに注入した。数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)値を、ポリスチレン検量線を用いて測定信号から算出した。その後、得られた値を以下の式を用いて、ポリスチレン分子量からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)分子量に変換した:M(PPE)=0.3122×M(PS)
1.073。式中、M(PPE)はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の分子量であり、M(PS)はポリスチレンの分子量である。
【0046】
PERKIN ELMER PYRIS1 THERMOGRAVIMETRIC ANALYZERを用い、周囲温度から800℃まで温度勾配10℃/分にて、熱重量分析(TGA)を行った。分析は、窒素下と空気下で別々に行った。サンプル質量はすべて10.0±5mgの範囲であった。表3で、「T(℃)@95質量%、空気」と「T(℃)@95質量%、窒素」は、それぞれ空気と窒素下における質量5%損失時の温度を指す。「質量% @600℃、空気」と「質量% @600℃、窒素」は、それぞれ空気と窒素下、初期サンプル質量に対する600℃での残存質量(%)を指す。
【0047】
ニトリル官能性を有するWATERS S5カラムとヘキサン/テトラヒドロフラン/クロロホルム溶剤系を用いて、傾斜高分子溶離クロマトグラフィ(GPEC)を行った。カラム温度:35℃、注入量:5μm、サンプル濃度:2mg/mL(クロロホルム)とし、溶離傾斜は、100%ヘキサン→100%テトラヒドロフランを10分とし、その直後、100%テトラヒドロフラン→100%クロロホルムを10分とした。
【0048】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中の2,6−ジメチルフェノール(DMP)と2−フェニルフェノール(OPP)からヒドロキシル末端単位(頭部末端単位)の濃度を測定した。各モノマーについて、特定の周波数におけるヒドロキシル官能基の赤外線吸収(y)と、標準溶液の既知のヒドロキシル濃度(x)と、を回帰推定して、検量線を作成した。二硫化炭素25mLに溶解した正確な量の純粋なモノマー(一般に0〜30mgであり、所望の濃度範囲に依存する)から、標準溶液を調製した。ヒドロキシル石英製で経路長が1cmの溶液セルを用いた。下式により標準溶液濃度を算出した:
【数1】
3660〜3490cm
−1間の二点基線を用い、OPPについては3550cm
−1、DMPについては3608cm
−1それぞれでのヒドロキシル吸光度を測定した。
【0049】
コポリマーのサンプル溶液濃度は、二硫化炭素25mL中1gとした。各モノマーに対応する回帰式をもちい、サンプル質量と測定した吸光度から未知のサンプル中のヒドロキシル濃度を算出した。一般回帰式は以下の式で与えられる。
【数2】
【0050】
(実施例1:酸化剤として空気を用いたDMP−OPPコポリマー(OPP20モル%)の調製)
トルエン(75.63g)、OPP 3.88g、TMED 0.13g、DMBA 0.69g、CuBr 0.16g、無水MgSO
4 3.42gをバブリング重合容器に充填し、空気雰囲気下で撹拌した。DMP(11.12g)とトルエン9.36gを上記反応混合物に添加した。温度を45℃に維持し、反応容器に空気を流し始めた。空気流を240分間維持した時点で停止し、EDTA四ナトリウム塩8.65gと水21.02gを反応混合物に添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した後、層を分離させた。デカントした軽い相をメタノール沈殿・ろ過後、メタノール中で再スラリー化し、再度ろ過した。110℃の真空オーブン内で乾燥させて、乾燥粉末のコポリマーを得た。
【0051】
(比較実施例1:酸化剤として空気を用いたDMPホモポリマーの調製)
トルエン(81.56g)、DBA 0.09g、DMBA 0.89gおよび、30質量%のDBEDA、7.5質量%のQUATおよび62.5質量%のトルエンで構成されるジアミン混合物1.45gをバブリング重合容器に充填し、空気雰囲気下で撹拌した。48質量%のHBr水溶液1.84gとCu
2O 0.15gの混合物を添加した。温度を25℃に維持した。容器への空気流とモノマー混合物の添加を同時に開始した。DMP 8.40gとトルエン9.99gで構成されるモノマー混合物を20分かけて添加した。空気流を120分間維持した時点で停止し、NTA三ナトリウム塩0.97gと水3.91gの溶液を添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した後、層を分離させた。デカントした軽い相をメタノール沈殿・ろ過後、メタノール中で再スラリー化し、再度ろ過した。110℃の真空オーブン内で乾燥させて、乾燥粉末のホモポリマーを得た。
【0052】
(比較実施例2:酸化剤として空気を用いたOPPホモポリマーの調製)
トルエン(85.00g)、OPP 15.00g、TMPD 0.11g、DMBA 0.53g、CuBr 0.12g、無水MgSO
4 2.64gをバブリング重合容器に充填した後、空気雰囲気下で混合した。温度を45℃に維持し、反応容器に空気を流し始めた。空気流を240分間維持した時点で停止し、EDTA四ナトリウム塩3.35gと水25.73gを容器に添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した後、層を分離させた。デカントした軽い相をメタノール沈殿・ろ過後、メタノール中で再スラリー化し、再度ろ過した。110℃の真空オーブン内で乾燥させて、乾燥粉末のホモポリマーを得た。
【0053】
実施例1および比較実施例1、2の分子量データを表2に示す。
【0054】
(比較実施例3:DMP−OPPコポリマー(OPP50モル%)の調製)
トルエン(815.7g)、DBA 0.95g、DMBA 9.18gおよび、30質量%のDBEDA、7.5質量%のQUATおよび残りがトルエンで構成されるジアミン混合物14.8gをバブリング重合リアクタに充填し、窒素雰囲気下で撹拌した。HBr 18.83gとCu
2O 1.57gの混合物を添加した。温度を60℃に維持した。容器への酸素流とモノマー混合物の添加を同時に開始した。DMP 42.6g、OPP 59.4gおよびトルエン101.97gで構成されるモノマー混合物を30分かけて添加した。酸素流を240分間維持した時点で停止し、NTA三ナトリウム塩6.64gと水30.9gを含む容器に、上記反応混合物を直ちに移した。得られた混合物を60℃で2時間撹拌した後、層を分離させた。デカントした軽い相をメタノール沈殿・ろ過後、メタノール中で再スラリー化し、再度ろ過した。110℃の真空オーブン内で乾燥させて、乾燥粉末のコポリマーを得た。
【0055】
(実施例2、3および比較実施例4〜8)
銅:アミン窒素:モノマーのモル比と重合温度を変えた点以外は、比較実施例3の一般的な手順に従った。分子量、熱重量分析および酸素取り込みデータをそれぞれ表2〜4に示す。末端OPP単位のモル%は表4に示す。
【0057】
OPPとDMPの高分子量コポリマーを得るには、ポリ(フェニレンエーテル)ホモポリマーに通常使用されるモノマーと銅の比より、小さい比が必要であることがわかった。表2の実施例2と比較実施例4からわかるように、典型的なモノマーと銅との比がそれぞれ1000:1と900:1であれば、ポリマーが得られない(比較実施例4)か、あるいは低分子量ポリマーが得られる(実施例2ではMw:8200)。しかしながら、実施例1、3および比較実施例1〜2、6〜7のように、モノマーと銅との比が30:1〜100:1に低下すると、Mwは少なくとも35,000になる。
【0058】
Yeagerらの米国特許出願公開第2008/0076884号には、2,6−ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位と非相称2,6−二置換(disusbtituted)フェノールを含むポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの調製方法が開示されている。この方法では、調製実施例4〜7において、2,6−ジメチルフェノールと非相称2,6−二置換フェノールの合計モル数と触媒金属イオンのモル数との比は1,480:1である。この量の触媒金属イオンを用いることによって、質量平均分子量29,480〜89,705が得られている。本発明者らは、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの質量平均分子量は、モノマーの合計モル数と金属イオンのモル数との比に反比例する、すなわち、この比が高くなればなるほど、質量平均分子量は低くなることを見出した。表2を参照して、実施例2、1および3のモノマーの合計モル数と金属イオンのモル数との比は、それぞれ1,000:1、100:1および48:1であり、質量平均分子量は、それぞれ8,200、40,870および92,000原子質量単位である。この傾向に従えば、実施例1のモノマーと金属イオンとの比が、Yeagerらが教示するように1,000:1〜1,480:1に上昇すれば、質量平均分子量は8,000未満になるであろう。このように、Yeagerらは、質量平均分子量が8,000〜200,000原子質量単位の、2−フェニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールとのポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの実行可能な調製方法については提供していない。質量平均分子量が8,000原子質量単位未満のポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、成形用組成物としての使用には適していない。
【0059】
熱および酸化安定性の尺度である熱重量分析(TGA)データを表3に示す。表3からわかるように、窒素中600℃での残存質量は、コポリマー中のOPP含有量の増加と共に上昇する。従って、OPPモノマー単位によって、コポリマーの熱安定性が高められる。実施例3の空気中での低残存質量は、残存銅含有量が高い(40.4ppm)ためであり得、これによって、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーの酸化分解が触媒され得る。
【0061】
驚いたことに、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマーは、同ポリマー中の2−フェニルフェノール繰り返し単位中の合計量から予想される量に対して、2−フェニルフェノール頭部単位が豊富であることがわかった。実施例3および比較実施例6、7における、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中の2−フェニルフェノールの全モル%と、2−フェニルフェノール頭部単位のモル%を上記のフーリエ変換赤外分光法で測定した。その結果を表4に示す。表4からわかるように、実施例3および比較実施例5、6の2−フェニルフェノール頭部単位のモル%は、ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中の全2−フェニルフェノール繰り返し単位の合計モル%より、それぞれ39%、52%および22%高い。
【0063】
コポリマー中へのOPP単位の取り込みとコポリマー中のDMPホモポリマーの欠如は、GPEC(傾斜高分子溶離クロマトグラフィ)によって確認された。実施例1の20/80コポリマー、比較実施例1のDMPホモポリマー、比較実施例2のOPPホモポリマー、および実施例1と比較実施例2の50/50(モル/モル)混合物のクロマトグラムが得られた。
図1は、実施例1および比較実施例2の傾斜分配溶離クロマトグラフィのクロマトグラフ(1a);比較実施例2と市販のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の同グラフ(1b);および実施例1と比較実施例1の混合物の同グラフ(1c)を示す。
図1aは、実施例1の20/80コポリマーに対応する約9分におけるピークと、比較実施例2のOPPホモポリマーに対応する約11分におけるピークと、を示している。
図1bは、比較実施例2のDMPホモポリマーと市販のDMPホモポリマーは本質的に同一であることを示している。
図1cは、実施例1の20/80コポリマーに対応する保持時間約9分におけるピークと、比較実施例1のDMPホモポリマーに対応する保持時間約21分におけるピークと、を示している。
図1aのクロマトグラムでの約21分におけるピークの欠如から、実施例1の20/80コポリマーにはDMPホモポリマーがないことがわかる。
図1cのクロマトグラムでの約11.5分におけるピークの欠如から、実施例1の20/80コポリマーにはOPPホモポリマーがないことがわかる。DMPとOPPの両ホモポリマーのいかなる量も存在しないことは驚くべきことである。DMPホモポリマーの欠如は、OPPに対するDMPの予想される高反応性および重合モノマー混合物中のOPPに対するDMPの4倍の過剰量を考慮すると、特に驚くべきことである。
【0064】
一部のポリ(フェニレンエーテル)コポリマーのポリマー鎖に組み込まれたモノアミン配位子の量は、DMPホモポリマー鎖に組み込まれた量より少ないものであり得る。ポリ(フェニレンエーテル)は、アミノアルキル含有末端単位およびまたは内部単位を有する分子を含み得る。ポリ(フェニレンエーテル)が2,6−ジメチルフェノールのホモポリマーまたはコポリマーである場合、アミノアルキル基は、末端繰り返し単位のフェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位に、さらに、内部繰り返し単位のエーテル基に対してオルト位とメチル基に対してメタ位に、それぞれ存在するアミノメチル基であり、それらは、モノアミン触媒配位子とポリ(フェニレンエーテル)のオルトメチル基との反応で形成される。
図2は、比較実施例7(
図2a)、比較実施例6(
図2b)、実施例3(2c)および比較実施例5(2d)の約3.05〜約4.05ppm(0ppmのテトラメチルシランに対して)領域における
1H NMRスペクトルを示す。比較実施例7は80/20 OPP/DMPコポリマーであり、比較実施例6は50/50 OPP/DMPコポリマーであり、実施例3は20/80 OPP/DMPコポリマーであり、比較実施例5は市販のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。化学シフト3.85ppmのライン1、化学シフト3.63ppmのライン2、化学シフト3.36ppmのライン3はすべて、2,6−ジメチルフェノール単位におけるアミノメチル基プロトンに起因するものである。
【0065】
図2d(DMPホモポリマー)を参照し、3.36、3.63および3.85ppmにおけるピークは、アミノメチル基の存在を示す。ピーク面積の積分に基づいて、アミノメチル基の合計量は、モノマー繰り返し単位の合計100モル%に対して約0.56モル%である。
図2a(80/20 OPP/DMPコポリマー)および2b(50/50 OPP/DMPコポリマー)では、3.36、3.63あるいは3.85ppmにおけるピークはない。従って、これらのコポリマーは、本質的にアミノメチル基を含まない。
図2c(20/80 OPP/DMPコポリマー)では、3.36、3.63および3.85ppmの合計ピーク面積は、
図2dの合計ピーク面積より小さい(
図2cの約3.40ppmにおける広いピークは、
図2cで割り当てられていない)。従って、発明的OPP/DMPコポリマーでは、DMPホモポリマーに比べて、アミノメチル基として組み込まれたアミンは少ない。
【0066】
図3は、実施例1(
図3a)と実施例3(
図3b)の20/80コポリマーの約3.05〜約4.05ppm領域における
1H NMRスペクトルを示す。この領域では、ポリ(フェニレンエーテル)中のアミノメチルプロトンが見出される。
図3aでは、3.36、3.63あるいは3.85ppmにおけるピークはない。従って、実施例1は本質的に含まないアミノメチル基である。
図3bでは、3.36、3.63および3.85ppm(垂直スケールの変化に対して調整済み)における合計ピーク面積は、
図2dの合計ピーク面積より小さい。(
図3bでの約3.40ppmにおける広いピークは割り当てられていない。)従って、発明的OPP/DMPコポリマーは、コポリマーの調製に用いたアミン配位子に応じて、取り込まれたアミンを本質的に含まないか、あるいは、DMPホモポリマーに比べてその量は少ない。
【0067】
(実施例4)
120℃での酸素取り込みによって酸化耐性を測定した。使用した酸素取り込み装置の概略図を
図4に示す。既知の容量(約30mL)のパイレックス(登録商標)バイアル瓶5にサンプル4を入れた。その後、バイアル瓶を酸素で60秒間フラッシングした後、空の基準バイアル瓶6を有する差圧変換器8(OMEGA143PC05D)に取り付けた。バイアル瓶は、TYGONチューブを用いて変圧器に取り付けた。サンプルバイアル瓶5と基準バイアル瓶6を、J−KEM9900温調器で設定温度を120℃±1℃に維持したシリコーンオイル浴7に入れた。8V電源(OMEGA PST−8)で最大16個の変圧器に電力を供給した。データ収集システム9(OMB−PDQ1拡張モジュールを備えたOMEGA OMB DAQ56)を用いて、20分毎に変圧器からの電圧を取得しPC10に送信した。PCにインストールされているOMEGA PERSONAL DAQVIEW PLUSソフトウェアを使用して、MICROSOFT EXCELスプレッドシート上にデータをコピーした。その後、変圧器のpsi/電圧ファクタ、バイアル瓶の正味容積、実験温度がわかっている気体の状態方程式を用いて、生の電圧データを酸素消費データに変換した。
【0068】
固有粘度が異なる(0.4および0.46dL/g)2つのPPEホモポリマーと、固有粘度が0.4dL/gの20/80 OPP/DMPコポリマーと、無水酢酸で末端キャップ化した20/80 OPP/DPPコポリマーに対して、酸素取り込み測定を行った。OPPとDMPのモル量をそれぞれ20および80モル%に変更した点を除いて、比較実施例3と同じ一般的な手順で、20/80 OPP/DMPコポリマーを調製した。結果を
図7に示す。
図5からわかるように、酸素取り込み速度は、PPE骨格内へのわずか20モル%のOPP取り込みで著しく低減した。具体的には、
図5の上から1番目と3番目の酸素取り込みカーブは、固有粘度0.4のPPO(DMPホモポリマー)とB−229(20/80コポリマー)からそれぞれ得られたものであり、同じ固有粘度(0.4dL/g)を有するものである。
【0069】
ポリ(フェニレンエーテル)コポリマー中のこの比較的小量のOPP含有量によって、酸素取り込み速度の好都合な低減がもたらされ、従って酸化安定性が得られることは驚きであった。さらに、わずか20モル%のOPPを有するこの20/80 OPP/DMPコポリマーによって、OPP含有量がより高いコポリマーに対して、大きなコスト優位が得られる。また、20/80 OPP/DMPコポリマーを無水酢酸で末端キャップ化することによって、酸素吸収がさらに低減される(
図5の上から4番目の酸素取り込み曲線)こともわかった。
【0070】
本明細書で開示された範囲はすべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせできる。
【0071】
本発明の記述文脈(特に以下の請求項の文脈)における単数表現は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数および複数を含むものと解釈される。また、本明細書で用いられる、「第1の」「第2の」などの用語は、いかなる順序や量あるいは重要度を表すものではなく、ある成分と他の成分とを区別するために用いられるものである。量に関連して用いた「約」は、記載された数値を含むものであり、文脈上決定される意味(例えば、特定の量の測定に関連した誤差の程度を含む)を有するものである。