特許第5759103号(P5759103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5759103-熱処理炉における金属材の制御方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759103
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】熱処理炉における金属材の制御方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/573 20060101AFI20150716BHJP
   C21D 11/00 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   C21D9/573 101Z
   C21D11/00 104
【請求項の数】8
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2009-512628(P2009-512628)
(86)(22)【出願日】2007年5月29日
(65)【公表番号】特表2009-538987(P2009-538987A)
(43)【公表日】2009年11月12日
(86)【国際出願番号】FI2007000144
(87)【国際公開番号】WO2007138152
(87)【国際公開日】20071206
【審査請求日】2008年12月24日
【審判番号】不服2014-8122(P2014-8122/J1)
【審判請求日】2014年5月2日
(31)【優先権主張番号】20060536
(32)【優先日】2006年6月1日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】591064047
【氏名又は名称】オウトクンプ オサケイティオ ユルキネン
【氏名又は名称原語表記】OUTOKUMPU OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】イリマイネン、 ハンヌ
【合議体】
【審判長】 木村 孔一
【審判官】 鈴木 正紀
【審判官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−73026(JP,A)
【文献】 特開平1−215929(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0154182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/52-9/56,C21D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継続運転される熱処理炉に収容され本質的に水平方向に進行する被熱処理金属材を、冷却の際、該金属材の支持用要素の間に配置された領域の個所で浮遊させる金属材の制御方法において、該方法は、前記金属材の軌道を測定装置によって測定し、該金属材の軌道の測定から得られた結果を、前記測定装置と電気的に接続され冷却剤のノズルとも電気的に接続された自動化装置にて前記軌道の位置の所定の所望値と比較し、前記得られた測定結果に基づいて、制御された冷却剤の噴射に前記金属材をさらして、少なくとも該金属材の支持用要素の間に位置する領域にある該金属材の軌道が、該軌道に沿って設置された前記冷却剤の搬送用装置の間を進むようにし、前記金属材の支持用要素の間における冷却領域は区分壁を用いて前記冷却剤の搬送用装置を隔てることにより少なくとも2つの冷却ブロックに分割され、1つの冷却ブロックにある前記ノズルを通って流れる前記冷却剤が別の冷却ブロックの領域に流れないようにすることを特徴とする金属材の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記金属材の軌道測定はレーザ測定によって行なうことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記金属材の軌道測定は、少なくとも該金属材の長さ方向について行なうことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法において、前記金属材の軌道測定は、少なくとも該金属材の幅方向について行なうことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の方法において、使用される前記冷却剤は空気であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の方法において、使用される前記冷却剤は不活性ガスであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の方法において、使用される前記冷却剤は液体であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の方法において、使用される前記冷却剤は気体および液体の混合物であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、継続運転される熱処理炉に収容された被熱処理金属材の制御方法に関するものである。金属材は、熱処理の際、炉の表面構体と接触することなく金属材の支持用要素間の領域内へ導くことができるようにすべきである。
【0002】
例えばステンレス鋼製材料などの冷延金属材は、冷間圧延後に900〜1500℃の温度範囲内の高温で焼きなましを行ない、これによって材料の微細構造に再結晶が生じ、材料は更なる処理に対して加工しやすくなる。焼きなまし工程では、除去すべき酸化皮膜が材料の表面に形成される。酸化皮膜の除去は有利には、例えば硝酸およびフッ化水素酸からできている水溶液を用いる酸洗いによって実行する。酸洗い工程は、実質的に常温に相当する条件で実行され、それゆえ高温で焼きなました金属材は冷却してから酸洗い処理する必要がある。
【0003】
金属材を冷却するために、熱処理炉の冷却部には、冷却管などの冷却装置が含まれ、これは、炉の冷却部に設けられ、材料の進行方向に対してその両側に、かつ材料と実質的に近接して配置され、十分な冷却力を得るようにする。かかる冷却管に取り付けられたノズルを通り抜けて、空気などの冷却剤が材料の表面に供給される。冷却される金属材が冷却装置と物理的に接触すると、被処理金属材に傷がつき、金属材の品質や生産量に影響を及ぼす損失が生ずることになる。
【0004】
本発明の目的は、従来技術の不利益点を解消し、継続運転される熱処理炉において金属材の支持用要素の間に位置する領域で金属材の熱処理を制御し、とくに金属材の熱処理後の冷却工程に関連して金属材と炉構体との間の物理的接触を排除可能とした新規で改良された方法を実現することにある。本発明の本質的で新規な特徴は添付された特許請求の範囲から明白である。
【0005】
本発明によると、継続運転される熱処理炉にて被熱処理金属材、例えばステンレス鋼製の金属材は、焼きなましなどの熱処理後、本質的に高速度で冷却部に搬送される。冷却工程では、実質的に浮遊状態で水平に進行する金属材は、制御された冷却剤噴射の処理を受けて、金属材の軌道が、少なくとも金属材の支持用要素の間に位置する領域においては、軌道を囲んで取り付けられ冷却剤を搬送する装置の間を進むようにする。制御された冷却剤の噴射を実現するために、金属材の軌道は、少なくとも金属材の長さ方向について、もしくは少なくとも金属材の幅方向について、好ましく実質的に絶え間なく、測定装置によって測定する。
【0006】
継続運転される熱処理炉では、被熱処理金属材は、金属材の支持用要素の間に位置する領域で実質的に懸垂線形状の撓みを形成し、これによって金属材は、金属材支持要素間に設けられた領域の中央部で最も低い位置となる。冷却処理に関連して、懸垂線形状の撓みは、温度差に起因する熱膨張ではなく熱収縮を原因として変化し、金属材の支持用要素の間に位置する領域内では、金属材の最も低い個所の位置が領域の中心から外れてしまう。さらに、多量の冷却剤が金属材の冷却に必要であるので、とくに冷却剤の注入および排出路系での流れ抵抗が変化して金属材の両側におけるノズル圧力が変動し、それは同時に金属材の位置が変化することを意味する。
【0007】
本発明によると、継続運転される熱処理炉において、被熱処理金属材の冷却は、金属材の支持用要素の間に配置された少なくとも1つの冷却領域で実行される。その領域には冷却剤を搬送する装置を含み、搬送装置は、実質的に水平に進行する金属材の下側および上側の両方に実質的に等距離に離間配置されている。冷却剤の搬送用装置は少なくとも1のノズルを備え、ノズルは、放射された冷却剤が、ノズルを通過する金属材表面へ向かうように配向されている。ところで、冷却の影響に加えて、金属材の軌道を必要なときに変更することが可能であり、これによって冷却剤を搬送するために備えられた装置との間で起こり得る物理的接触を避けることができる。金属材の支持用要素の間における冷却領域は、例えば区分壁を用いて冷却剤の運搬用装置を隔てることにより、有利には少なくとも2つの冷却ブロックに分割され、1つのブロックにあるノズルを通って流れる冷却剤が別の冷却ブロックの領域に流れないようにしている。
【0008】
金属材の支持用要素の間に設けられた冷却領域で冷却される金属材の進行は、少なくとも1つの測定装置によって、好ましくは金属材の長さ方向およびその幅方向の両方向とも測定する。測定装置によって測定された測定信号は自動化装置へ電気的に転送され、自動化装置では、測定信号の示す金属材の位置に関する結果を位置の所定の所望値と比較する。必要に応じて自動化装置は、冷却剤の搬送用装置に備えられた作動装置を制御された方法で管理して、金属材の所望の撓みを得る。
【0009】
本発明によると、金属材の軌道の上側および下側の両方に配置された冷却剤搬送用装置への被冷却金属材の偏移は、自動化装置で受け取った測定信号に基づき、ノズルから放射される冷却剤のノズル圧力を変えることで、回避される。つまり、結果として、放射され金属材を支持しあるいは押し付ける冷却剤の力は変わり、冷却剤の搬送用装置に対する金属材の撓みの位置が有利になる。
【0010】
本発明によると、使用される冷却剤は有利には空気である、しかし冷却剤は、窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガス、または酸素含有量が空気中の酸素含有量より少ない気体混合物であってもよい。さらに、使用される冷却剤は、水などの液体、ならびに気体および液体の混合物であってもよい。
【0011】
本発明を添付図面を参照して以下により詳細に述べる。
【0012】
図1によると、ステンレス鋼で作られ焼きなましされた材料1が熱を帯びたまま焼きなまし工程2から冷却領域3へ進入する。この場合、材料1の本質的に水平な進行方向は参照番号4で示す。材料の進行方向4において、焼きなまし領域2の出口5、すなわち冷却領域3の入口5では、材料1を支持するローラ装置6が設置されている。材料1を支持するための対応するローラ装置6が材料の進行方向6における冷却区間3の出口7に設置されている。ローラ装置6の間では、材料1は浮遊した状態にある。
【0013】
冷却領域3において、材料の進行方向4における材料1の上側と材料1の下側には、冷却剤7を材料1の近くに運ぶ冷却剤管8が取り付けられている。この管8の材料1に最も近い側の端部9には、冷却剤7を材料1の表面に送り出す少なくとも1つのノズル10が設けられている。
【0014】
ローラ装置6の間に位置する材料1の位置は、材料1の幅方向および材料1の長さ方向の両方について、少なくとも1つの測定装置11、好ましくはレーザ測定装置によって測定される。測定装置11から得られる測定信号は、測定装置11と電気的に接続14されている自動化装置12に供給される。加えて、自動化装置12は有利には、冷却剤管8に設けられたすべてのノズル10に、別々にまたは一群として、電気的に接続15され、各ノズルを制御して冷却領域3の様々な個所において材料1を所望の値の位置にする。簡単のために、図面では、ノズル10の電気的接続15に関してノズルを2個のみ示す。同図はまた、冷却領域をいくつかの冷却ブロックに分割する区分壁13をも示している。
【0015】
自動化装置12において、得られた測定信号値は、冷却剤管8に対する材料1の位置の所望値と比較される。測定値が材料1の位置の所望値から離れていると、制御信号を自動化装置12から少なくとも1つの冷却剤管ノズル10に送って、本質的にその位置の所望値から離れているという測定信号を発した冷却領域3の個所で材料1の位置の値を修正する。材料1の位置の値を変更する制御信号によって、ノズル10と接続して設けられた調整装置が調整され、調整装置は、材料1に対してノズル10を通って放出される空気の圧力を変える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一部断面を概略的に示す本発明の好ましい実施例の側面図である。
図1