(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記差動伝達機構の伝達体は、前記入力軸と出力軸との間の回転力をベルト又はベルトと歯車の組み合わせを用いて伝達することを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
前記第一の主動部材から第一の従動部材と前記第二の主動部材から第二の従動部材の回転力の伝達をそれぞれベルトとプーリ又はスプロケットを用いて行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
前記第一の主動部材から第一の従動部材と前記第二の主動部材から第二の従動部材の回転力の伝達をそれぞれ歯車を用いて行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施の形態を
図1〜
図13に基づいて説明する。
本実施形態として以下に記載するミシン100は、いわゆる電子サイクルミシンであり、縫製を行う被縫製物である布地を保持する布保持部としての保持枠を有し、その保持枠が縫い針に対し相対的に移動することにより、保持枠に保持される布地に所定の縫製データに基づく縫製パターンを形成する。
図1は本発明にかかるミシン100の斜視図、
図2はミシン100の機構構造を概略的に図示した構成図である。
ここで、後述する縫い針11が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
【0020】
上記ミシン100は、縫い針11をその下端部に保持してZ軸方向に沿って上下動を行う針棒12と、ミシンモータ21を駆動源として縫い針を上下動させる針上下動機構20と、針棒12をZ軸方向に沿ったその中心線回りに回動させる針棒回動機構30と、縫い針11に通された上糸に下糸を絡める釜13と、ミシンモータ21から釜13に動力を伝達する入力軸41及び出力軸42を備えると共にこれら軸間の位相差を変更調節可能とする差動伝達機構40と、ミシンモータ21から差動伝達機構40の入力軸41にトルクを伝達する動力伝達機構70と、布地を保持してX−Y平面に沿って任意に移動位置決めを行う移動機構としての布移動機構80と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としての制御装置90と、ミシン100の各構成を支持するミシンフレーム101とを主に備えている。
【0021】
(ミシンフレーム)
図1に示すように、ミシン100は、外形がX軸方向から見て略コ字状を呈するミシンフレーム101を備えている。このミシンフレーム101は、ミシン100の上部をなしY軸方向に延びるミシンアーム部101aと、ミシン100の下部をなしY軸方向に延びるミシンベッド部101bと、上下に位置するミシンアーム部101a及びミシンベッド部101bとを連結する縦胴部101cとを有している。
【0022】
(針上下動機構)
図1及び
図2に示すように、針上下動機構20は、上記ミシンアーム部101a内においてY軸方向に沿った状態で回転可能に支持された上軸22と、上軸22の一端部から回転力を付与すミシンモータ21と、上軸22の他端部に設けられた針棒クランク23と、針棒クランク23の回転中心に対する偏心位置に一端部が連結されたクランクロッド24と、クランクロッド24から針棒12に上下動を伝達する針棒抱き25とを備えている。
上軸22はミシンモータ21の出力軸に直結されて回転駆動が行われ、上軸22の回転は針棒クランク23とクランクロッド24とにより上下の往復動作に変換されて針棒抱き25を介して針棒12に伝達される。
なお、針棒12は、後述する針棒回動機構30により、その中心線回りに回動動作が付与されるようになっている。このため、クランクロッド24の他端部においてY軸方向の軸線を中心に回動可能に設けられた角駒26を針棒抱き25に形成された凹部に嵌合し、凹部の内面が角駒26を上下に挟むことでクランクロッド24と針棒抱き25との連結を図っている。これにより、針棒12と共に針棒抱き25が回動を行っても、凹部の内側で角駒26が滑動して連結が外れず、針棒12の回動を許容しつつクランクロッド24からの上下動の付与を行うことが可能となっている。
【0023】
(針棒回動機構)
図2に示すように、針棒回動機構30は、ミシンアーム部101aの面部側の端部の内部に装備され、針棒12を上下動可能に支持する針棒回動台31と、針棒12の回動駆動源となる針回動モータ32と、針回動モータ32から針棒回動台31に回動力を伝達する伝達手段とを備えている。
針棒回動台31は、図示しない針棒メタル(金属製軸受け)により針棒12をZ軸方向に沿って滑動可能に支持すると共に、その上下の端部においてミシンフレーム101によりZ軸回りに回動可能に支持されている。また、針棒回動台31には、前述した針棒抱き25からY軸方向に沿って延出された回り止めが挿入されるガイド溝36がZ軸方向に沿って形成されており、針棒12の上下動を許容しつつも針棒12が針棒回動台31と共にZ軸回りに回動を行うよう支持している。また、針棒12の中心線と針棒回動台31の回動中心線とは同一線上となるよう設計されている。
伝達手段は、針回動モータ32の出力軸に装備された主動スプロケット33と、針棒回動台31の回動中心線と同心で針棒回動台31の上端部に固定装備された従動スプロケット34と、これらのスプロケット33,34に掛け渡されたタイミングベルト35とを備えている。これにより、針回動モータ32の駆動によって、針棒回動台31及び針棒12をその中心線回りに任意に角度調節することを可能としている。
【0024】
(動力伝達機構)
図2に示すように、動力伝達機構70は、ミシンベッド部101b内においてY軸方向に沿った状態で回転可能に支持された下軸71と、上軸22から下軸71にトルク伝達を行う第一の伝達機構72と、ミシンベッド部101b内においてZ軸方向に沿った状態で回転可能に支持された伝達軸73と、下軸71から伝達軸73にトルク伝達を行う第二の伝達機構74と、伝達軸73から差動伝達機構40の入力軸41にトルク伝達を行う第三の伝達機構75とを備えている。
【0025】
第一の伝達機構72は、上軸22に装備された主動スプロケット721と、下軸71に装備された従動スプロケット722と、縦胴部101c内においてスプロケット721,722に掛け渡されたタイミングベルト723とを備えている。これにより、下軸71を上軸22に同期回転させることを可能としている。
第二の伝達機構74は、下軸71の一端部に装備されたかさば歯車741と、伝達軸73の上端部に装備されたかさば歯車742とを備えている。これにより、互いに直交する下軸71と伝達軸73を同期回転させることを可能としている。
第三の伝達機構75は、伝達軸73の下端部に装備された主動スプロケット751と、差動伝達機構40の入力軸41に装備された従動スプロケット752と、ミシンベッド部101b内においてスプロケット751,752に掛け渡されたタイミングベルト753と、タイミングベルト753にテンションを付与するテンションプーリ754(
図7参照)とを備えている。これにより、伝達軸73と差動伝達機構40の入力軸41が同期回転する。従って、これらの構成により、動力伝達機構70は、上軸21(針棒12の上下動周期)と釜13の回転との同期を図りつつ、ミシンモータ21から差動伝達機構40までトルク伝達を行うことを可能としている。
【0026】
(布移動機構)
図1に示すように、布移動機構80は、ミシンベッド部101bの上面において被縫製物を保持する保持枠81と、保持枠81を昇降可能に支持する支持アーム82と、支持アーム82を介して保持枠81をX軸方向に移動させるX軸モータ83(
図11参照)と、支持アーム82を介して保持枠81をY軸方向に移動させるY軸モータ84(
図11参照)とを備えている。
布移動機構80は、かかる構成により、保持枠81を介して被縫製物をX−Y平面の任意の位置に移動位置決めすることができ、一針ごとに任意の位置に針落ちを行うことができ、自在な縫い目の形成が可能となっている。
【0027】
(釜及び差動伝達機構)
図3は釜13及び差動伝達機構40の斜視図、
図4は針棒12の中心線C及びY−Z平面に沿った断面図、
図5は正面図、
図6は平面図、
図7は底面図である。
図2乃至
図7に基づいて釜13及び差動伝達機構40について説明する。なお、これ以下の説明において、「針棒12の中心線C」を単に「中心線C」というものとする。
【0028】
釜13は、いわゆる全回転の水平釜であり、針板16の下方に配置されると共に釜13の下部に支軸14を備え、当該支軸14は釜土台15によりZ軸回りに回転可能に支持されている。釜土台15は、差動伝達機構40の回動台43の上部に固定装備され、回動台43と共に中心線C回りに回動することができ、これにより、釜13が中心線C回りに回動して旋回移動を行うことが可能となっている。
また、上記釜13は、その剣先が縫い針11の脇を通過することで上糸を捕捉するので、中心線Cと釜13の支軸14の中心線との間の距離を微調節する必要があり、釜土台15は長穴15aと止めネジ15bとによって回動台43に取り付けられている。これにより、止めネジ15bを緩めることで上記微調節を可能としている。
【0029】
差動伝達機構40は、針棒12の下方であってミシンベッド部101bの一端部に取り付けられてミシンフレーム101と一体をなす支持フレーム102に支持されている。
そして、差動伝達機構40は、動力伝達機構70から伝わるミシンモータ21からの回転力を釜13に伝達して支軸14回りに回転させる機能と、針棒12の中心線C回りに釜13の位置を回動させる機能と、当該釜位置の回動による支軸14回りの位相の変動を補正する機能とを有するものである。
【0030】
即ち、差動伝達機構40は、動力伝達機構70を介してミシンモータ21から回転力が入力される入力軸41と、入力軸41から伝達される回転力を釜13側に出力する出力軸42と、入力軸41及び出力軸42を支持する支持枠441を有すると共にこれらの軸間で回転力を伝達する軸間伝達部44と、出力軸42から釜13の支軸14に回転力を伝達する釜伝達部45と、釜土台15を保持すると共に支持フレーム102により中心線C回りに回動可能に支持された回動台43と、支持枠441と回動台43とに回動動作を付与する回動付与機構46とを備えている。
【0031】
上記回動台43は、支持フレーム102の上面部において中心線Cと同心且つ回動可能に支持されている円形の天板部431と、支持フレーム102の下部において中心線Cを同心且つ回動可能に支持されている円筒部432と、これらを一体的に連結する支柱部433とを備えている。
天板部431は、その中心が円形に開口されており、当該開口部431aには出力軸42の上端部が上方に突出するように遊挿されている。
【0032】
釜伝達部45は、上記天板部431の開口部431aから突出した出力軸42の上端部に固定装備された主動スプロケット451と、当該主動スプロケット451に隣接すると共に釜13の支軸14の下端部に固定装備された従動スプロケット452と、天板部431の上面において主動スプロケット451を挟んで従動スプロケット452の逆側となる位置でZ軸回りに軸支されたアイドラースプロケット453と、天板部431の上面においてZ軸回りに軸支されたテンションプーリ454と、これらスプロケット及びテンションプーリ454に掛け渡された両歯タイミングベルト455とを備えている。
両歯タイミングベルト455は、
図6に示すように、従動スプロケット452と主動スプロケット451とアイドラースプロケット453との間を蛇行するように掛け渡される。両歯タイミングベルト455の内面の歯が、従動スプロケット452及びアイドラースプロケット453の外周面に噛合し、その内面の歯が主動スプロケット451の外周面と噛合する。また、テンションプーリ454は、両歯タイミングベルト455の内側にあって当該ベルト455にテンションを与えている。
かかる構成により、主動スプロケット451が出力軸42と共に回転すると、両歯タイミングベルト455を介して、従動スプロケット452が主動スプロケット451とは逆方向に回転する。
【0033】
軸間伝達部44において支持枠441が回動台43の内側において当該回動台43により中心線C回りに回動可能に支持されると共に、当該支持枠441が入力軸41及び出力軸42を中心線C回りに回転可能に支持している。
そして、軸間伝達部44は、入力軸41の対向端部に固定装備された第一のかさば歯車442と、出力軸42の対向端部に固定装備された第二のかさば歯車443と、互いに対向する第一と第二のかさば歯車442,443の双方に噛合する伝達かさば歯車444を軸支する伝達体445とを備えている。
【0034】
支持枠441は、その上下に円筒部を有し、下側の円筒部441aは回動台43の円筒部432に挿入され、また、上側の円筒部441bは前述した回動台43の天板部431の開口部431aに挿入されている。そして、これにより、支持枠441は、回動台43とは独立して中心線C回りに回動することを可能としている。
また、支持枠441の下側の円筒部441aの内側には同心で入力軸41が軸受けを介して軸支されており、上側の円筒部441bの内側には同心で出力軸42が軸受けを介して軸支されている。
【0035】
さらに、支持枠441の下側円筒部441aと上側円筒部441bとの間は、略四角形の枠状構造となっており、当該枠状部により、入力軸41と出力軸42の対向端部の間に通って中心線Cに直交する軸状の伝達体445が回転可能に支持されている。
そして、伝達体445に装備された伝達かさば歯車444が第一と第二のかさば歯車442,443の双方に噛合する。
かかる構造により、軸間伝達部44はいわゆる差動歯車機構を構成している。
【0036】
回動付与機構46は、支持枠441の下側円筒部441aの下端部に固定装備され、当該支持枠441への回動力が入力される第一の従動部材としての第一の従動スプロケット461と、回動台43の円筒部432の下端部に固定装備され、当該回動台43への回動力が入力される第二の従動部材としての第二の従動スプロケット462と、支持枠441及び回動台43の回動駆動源となる回動モータ463と、回動モータ463から第一の従動スプロケット461に回動力を入力する第一の主動部材としての第一の主動スプロケット464と、回動モータ463から第二の従動スプロケット462に回動力を入力する第二の主動部材としての第二の主動スプロケット465と、第一の主動スプロケット464と第一の従動スプロケット461との間に掛け渡されたタイミングベルト466と、第二の主動スプロケット465と第二の従動スプロケット462との間に掛け渡されたタイミングベルト467と、タイミングベルト467にテンションを付与するテンションプーリ468(
図7参照)とを備えている。
【0037】
そして、第一の従動スプロケット461と第二の従動スプロケット462とは、その有効径の大きさが同一に設定されており、第一の主動スプロケット464と第二の主動スプロケット465とは、その有効径の大きさが1:2に設定されている。即ち、回動モータ463の駆動により、支持枠441に付与される回動角度は回動台43の半分になる。
さらに、第一の主動スプロケット464と第二の主動スプロケット465とはいずれも回動モータ463の出力軸に固定装備されているため、これらのスプロケット464,465は常に連動して同時に回転を行うようになっている。
【0038】
差動伝達機構40は、上記の構成により、釜13の中心線C回りの回動動作を行わずに、単に釜13を回転させる場合には、回動モータ463が制止状態を維持し、動力伝達機構70を通じてミシンモータ21から入力軸41に回転力を入力する。これにより、入力軸41から第一のかさば歯車442,伝達体を構成する伝達かさば歯車444,第二のかさば歯車443を通じて、出力軸42に入力軸41と同じ回転速度で逆方向の回転が伝達される。すなわち、伝達体を構成する伝達かさば歯車444は、入力軸41と出力軸42の間に配置され回転力を反転して伝達する。また、後述する伝達体の本体445は、支持枠441に回動可能に支持されている。なお、伝達かさば歯車444と伝達体の本体445は一体的に形成されても良いし、別部品を結合してもよい。
さらに、出力軸42から釜伝達部45の主動スプロケット451,両歯タイミングベルト455,従動スプロケット452を通じて支軸14及び釜13に出力軸42と同じ回転速度で逆方向の回転が伝達される。これにより、差動伝達機構40は、動力伝達機構70から伝わるミシンモータ21からの回転力を釜13に伝達して支軸14回りに回転させる機能を実現している。
【0039】
また、差動伝達機構40は、ヒッチステッチの発生を回避するために、釜13を中心線C回りに回動させる際には、回動モータ463を駆動して、第二の主動スプロケット465,タイミングベルト467,第二の従動スプロケット462を介して回動台43を回動させて、天板部431の上の釜13を、中心線C回りに周回移動させる。これにより、差動伝達機構40は、針棒12の中心線C回りに釜13の位置を回動させる機能を実現している。
【0040】
また、縫製中、即ち、釜13の回転中に釜13を中心線C回りに回動させると、釜13に回転を伝えている入力軸41及び出力軸42の周囲で釜13が周回移動することから、釜13の支軸14回りの回転における位相に変動が生じてしまう。
即ち、
図8の例に示すように、中心線C回りの回動による釜13の向きの変動と、回動により主動スプロケット451−従動スプロケット452間で回転が生じることによる変動とにより、釜13には、中心線Cに対する回動角度の変化量に対して支軸14を中心として回動角度分の位相変化が発生することとなる。
図8の例では、説明の簡易化のために主動スプロケット451を固定し、釜13が反時計方向に180°回動した場合を例示する。
図8(B)のように、釜13の反時計方向の180°の回動に対して、釜13は、(回動角度180°)+(タイミングベルト455による従動スプロケット452の回転角度180°)=360°の反時計方向の回転を生じることとなる。このとき、釜13の位相は、針位置から見た場合の位相であり、針位置から見た釜13の位相の変動は、反時計方向に、360°−180°=180°となる。
そして、その結果、釜13の剣先は、予め設定された適正なタイミング(上軸角度)で縫い針11から上糸を捕捉することができなくなるという問題を生じてしまう。
【0041】
そこで、差動伝達機構40では、釜13を中心線C回りに回動させるために回動モータ463を駆動すると、第二の主動スプロケット465と共にモータの出力軸に設けられた第一の主動スプロケット464が回転し、タイミングベルト466,第一の従動スプロケット461を介して支持枠441も回動台43と同じ方向に回動する。なお、第一の主動スプロケット464は有効径が第二の主動スプロケット465の二分の一なので、支持枠441は回動台43と同じ方向に半分の角度で回動を行う。
支持枠441が上記角度で回動を行うと、支持枠441に支持されている伝達体445(伝達体の本体とも称する。)は上記回動角度で移動すると共にその伝達かさば歯車444が第一のかさば歯車442に噛合しているため、伝達体445自体が回転する。このため、伝達体445の上記回動角度での移動とそれ自体の回転により、第二のかさば歯車443及び出力軸42は支持枠441の回動角度の二倍の角度で同方向に回転を生じることとなる。
図9にこの例を示す。
図9では、説明の簡易化のために、第一と第二のかさば歯車442,443及び伝達かさば歯車444が全て同じ比率で回転するものとする。第一のかさば歯車442を固定し、支持枠441が上方から見て反時計方向に90°回動した場合を例示する。
図9(B)のように、支持枠441及び伝達かさば歯車444の反時計方向の90°の回動に対して、第二のかさば歯車443は、(回動角度90°)+(伝達かさば歯車444による回転角度90°)=180°の反時計方向の回転を生じることとなる。
【0042】
このように、回動台43が所定角度回動を行うと、支持枠441は同じ方向にその半分の角度で回動を行う。例えば、
図10に示すように、回動台43が180°反時計方向に回動し、支持枠441が90°反時計方向に回動を行うと、出力軸42及び主動スプロケット451は反時計方向に180°回転し、これにより、従動スプロケット452及び釜13の回転角度は360°から180°減じられて、反時計方向に180°回転する。
つまり、
図10の釜13に付した▲のマーキングを剣先位置とした場合、
図10(A)では剣先が中心線C側に位置しており、釜13を中心線C回りに180°回動させた後の
図10(B)の状態でも、剣先が中心線C側に位置する状態が維持される。従って、釜13の中心線C回りの回動時にも、釜13は縫い針11に対して同じ位相でその動作を実行することとなる。
【0043】
これにより、差動伝達機構40は、釜位置の回動による支軸14回りの位相の変動を補正する機能を実現している。
なお、実際の差動伝達機構40は、第一のかさば歯車442と第二のかさば歯車443とは同じ大きさで同じ歯数のものを使用するが、伝達かさば歯車444については、より小型且つ歯数の少ないものを使用することで、差動伝達機構40の小型化を図っているが、第一と第二のかさば歯車442,443の間での伝達量に影響は生じない。
また、
図10の例では、回動台43を反時計方向に180°回動させる場合を例示したが、いずれの方向にいずれの角度で回動させた場合でも、釜13の位相は適正に補正される。また、入力軸41が回転駆動している場合でも同様である。
【0044】
(ミシンの制御系:制御装置)
図11はミシン100の制御系を示したブロック図である。ミシン100は、上述した各部、各部材の動作を制御するための動作制御手段としての制御装置90を備えている。そして、制御装置90は、縫製における動作制御を行うためのプログラムが格納されたROM92と、演算処理の作業領域地となるRAM93と、縫製データを記憶する記憶手段としての不揮発性のデータメモリ94と、ROM92内のプログラムを実行するCPU91とを備えている。
【0045】
また、CPU91は、ミシンモータ駆動回路22a、X軸モータ駆動回路83a、Y軸モータ駆動回路84a、回動モータ駆動回路436a、針回動モータ駆動回路32aを介して、ミシンモータ21、X軸モータ83、Y軸モータ84、回動モータ436、針回動モータ32のそれぞれに接続され、各モータ21,83,84,463,32の駆動を制御する。
また、ミシンモータ21は、図示しないエンコーダを備えており、その検出角度がCPU91に出力される。また、上記各モータ83,84,463,32はステッピングモータであり、これらの図示しない原点検索手段がCPU91に接続され、その出力からCPU91は各モータの原点位置を認識することができる。
【0046】
データメモリ94に格納されている縫製データには、所定の縫製パターンを縫製するための一針ごとのX軸モータ83及びY軸モータ84の動作量が順番に記憶されており、CPU91は、縫製の際には、一針ごとにX軸モータ83及びY軸モータ84の動作量を読み込むと共に当該各動作量に応じてX軸モータ83及びY軸モータ84を駆動する動作制御を行う。
【0047】
また、CPU91は、上記縫製データに基づく縫製制御の実行に伴い、ヒッチステッチ回避制御を実行する。
図12は、X−Y平面上において、針棒の中心線Cの位置から釜13の回転中心線の位置に向かう基準線の方向を基準(0°)とした場合に、ヒッチステッチが発生する縫い方向を斜線のエリアHで示した説明図である。即ち、図示のように、針棒中心線Cの位置から釜13に向かう方向に対してθ1からθ2の角度範囲内に向かって運針を行うと、ヒッチステッチが発生する。かかるヒッチステッチの発生する方向は、釜の種類やその他の諸条件により変動するので、ミシンごとに試し縫い等を行って得られた角度θ1、θ2の数値を特定しても良い。これらθ1、θ2の値は予めデータメモリ94内に登録される。
そして、CPU91は、縫製時に縫製データの一針ごとのX軸モータ83及びY軸モータ84の動作量を読み込むと、当該各動作量から次の運針の縫い方向を算出し、現在の釜13の位置を基準に算出した縫い方向がθ1からθ2の角度範囲内か否かを判定する。そして、範囲内の時には、針落ちが行われる前に、θ1からθ2の角度範囲から外れる角度まで針回動モータ32及び回動モータ463を駆動し、針棒12及び釜13を中心線C回りに回動させる。また、縫い方向がθ1からθ2の角度範囲外の場合には、現在の針棒12及び釜13の回動位置を維持する。
上記ヒッチステッチ回避制御を縫製データの全針について実施することにより、縫製パターン全体においてヒッチステッチの発生を回避することが可能である。
【0048】
図13は上記ヒッチステッチ回避制御のフローチャートである。これに基づいてヒッチステッチ回避制御を具体的に説明する。
まず、縫製時において、CPU91は、縫製データからX軸方向及びY軸方向の移動量の読み込みと現在の釜13の中心線Cを中心とする角度の記憶の読み込みを行う(ステップS1)。
そして、中心線Cの位置と釜13の中心位置とを結ぶ直線に対する縫い方向の角度θ0を算出する(ステップS3)。
さらに、CPU91は、算出した縫い方向の角度θ0がθ1からθ2の角度範囲内か否かを判定する(ステップS5)。
【0049】
そして、角度範囲外の場合にはそのまま処理を終了して針落ちを行い、角度範囲内の時には、正逆いずれの方向に釜13を回動させるべきかを判定する(ステップS7)。
即ち、θ1−θ0の絶対値がθ2−θ0の絶対値よりも小さいか否かを判定し、θ1−θ0の絶対値が小さい場合には、当該値にマージンとなる角度αを加算した角度で釜13及び針棒12の正方向の回動を行う(ステップS9)。
また、θ2−θ0の絶対値が小さい場合には、当該値にマージンとなる角度αを加算した角度で釜13及び針棒12の逆方向の回動を行う(ステップS11)。
なお、マージンとなる角度αは任意に設定可能とすることが望ましく、その設定値はデータメモリ94内に記憶される。
さらに、CPU91は、次回のヒッチステッチ角度領域判定のために、回動を行った後の釜13の中心線回りの角度を記憶する。
そして、ヒッチステッチ回避制御を終了する。なお、かかる制御は、毎針の針落ちの前に実施される。
なお、上記制御にあっては、回動モータ463の原点検索を行った後、制御動作量を逐次記憶することにより中心線C回りの釜13の角度を常に把握することが可能であるが、回動台43或いは針棒回動台31に角度センサを設け、その検出により釜13の角度を取得しても良い。
【0050】
(第一の実施形態の作用効果)
以上の構成により、ミシン100は、中心線C回りに釜13及び針棒12を回動させることにより、ヒッチステッチの発生を効果的に回避することができ、縫い全体に渡ってパーフェクトステッチを実現することで縫い品質を飛躍的に向上することが可能となる。
また、差動伝達機構40により、釜13を中心線C回りに回動させても縫い針11に対する釜13の位相が一定に維持されるので、安定した縫製を行うことが可能となる。
【0051】
また、差動伝達機構40の回動付与機構46の第一の主動スプロケット464と第二のスプロケット465とが同一軸上に連結されているので、これらが常に連動回転を行うようになっている。このため、例えば、ミシン100全体の電源をオフにする等により各モータの軸保持力が生じない状態において、釜13の回動台43に外力が加わるなどにより回動を生じた場合に、第二の従動スプロケット462、タイミングベルト467、第二の主動スプロケット465、第一の主動スプロケット464、タイミングベルト466、第一の従動スプロケット462を通じて、支持枠441が回動台43の二分の一の角度で連動回動を行うこととなる。その結果、釜伝達部45を介して回動台43と出力軸42とが同じ角度で回動を行うと、入力軸41側には回動が生じないこととなり、当該入力軸41から動力伝達機構70及び上軸21を介して針上下動機構20に連動が生じない。従って、回動台43を不慮に回動させても、針棒に上下動が生じる事態を効果的に防止することが可能となる。
【0052】
なお、上記針棒回動機構30と差動伝達機構40の駆動源は共通化を図っても良い。例えば、回動モータ463の動力を、ミシンフレーム101内に配設した軸、歯車機構、ベルト機構又はこれらの組み合わせからなる周知の動力伝達機構で針棒回動台31に伝達し、回動させる構成としても良い。また、逆に、針回動モータ32の動力で差動伝達機構40側に周知の動力伝達機構で伝達する構成としても良い。なお、その場合でも、第一の主動スプロケット464と第二の主動スプロケット465とは動力伝達経路の途中で同一軸上で連結して設けることが望ましい。
【0053】
また、ミシン100は、各部において動力伝達にベルト機構を使用しているので、歯車機構に比べて静音化を図ることが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施の形態を
図14〜
図22に基づいて説明する。
かかる第2の実施形態であるミシン100Aは、前述したミシン100と比べて、釜13Aが垂直釜であって半回転釜である点と、差動伝達機構40Aが差動歯車機構ではなく差動ベルト機構を用いている点が主に異なっており、それら以外の同一機能の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。また、以下のミシン100Aの説明において言及しない構成については、ミシン100と同一の構成を具備しているものとする。
【0055】
(釜及び差動伝達機構)
図14は釜13A及び差動伝達機構40Aの斜視図、
図15は針棒12の中心線C及びY−Z平面に沿った断面図、
図16は釜13A及び差動伝達機構40Aの一部の図示を省略した斜視図、
図17は底面図、
図18は
図15のW−W線に沿った断面図、
図19は軸間伝達部の原理説明図、
図20は釜伝達部の斜視図、
図21は釜伝達部の他の方向からの斜視図である。
図14乃至
図21に基づいて釜13A及び差動伝達機構40Aについて説明する。
【0056】
図20,21に示すように、釜13Aは、いわゆる垂直半回転釜であり、釜13Aの内部に有する往復回動を行うドライバには中心線Cに直交する方向に沿って設けられた支軸14Aが連結され、当該支軸14Aは釜土台15Aにより回動可能に軸支されている。
また、釜土台15Aは、差動伝達機構40Aの回動台43の上面に固定装備され、釜土台15Aと釜13Aとは回動台43と共に中心線C回りに回動を行うことを可能としている。
【0057】
差動伝達機構40Aは、支持フレーム102に支持されており、差動伝達機構40Aと同様に、釜13Aを回転させる機能と、中心線C回りに釜13Aの位置を回動させる機能と、当該釜位置の回動による支軸14回りの位相の変動を補正する機能とを有するものである。
即ち、差動伝達機構40Aは、動力伝達機構70を介してミシンモータ21から回転力が入力されると共に、中心線Cとその軸心が一致するように配置された入力軸41と、入力軸41から伝達される回転力を釜13A側に出力すると共に、中心線Cとその軸心が一致するように配置された出力軸42と、入力軸41及び出力軸42を回動可能に支持する支持枠441を有すると共にこれらの軸間で回転力を伝達する軸間伝達部44Aと、出力軸42から釜13Aの支軸14Aに回転力を伝達する釜伝達部45Aと、釜土台15Aを保持すると共に支持フレーム102により中心線C回りに回動可能に支持された回動台43と、支持枠441と回動台43とに回動動作を付与する回動付与機構46とを備えている。
【0058】
釜伝達部45Aは、
図20,21に示すように、天板部431の開口部431aから突出した出力軸42の上端部に固定装備された主動かさば歯車451Aと、当該主動かさば歯車451Aに噛合すると共に中心線Cに直交する中心線回りに回転可能な従動かさば歯車452Aと、従動かさば歯車452Aが固定装備された第一のクランク軸453Aと、クランク軸453Aの回転中心から偏心位置に一端部が連結されたクランクロッド454Aと、クランクロッド454Aの他端部に連結されて往復回動を行う第二のクランク軸455Aと、第二のクランク軸455Aに固定装備された大歯車456Aと、釜13Aの支軸14Aに固定装備されて大歯車456Aに噛合する小歯車457Aと備えている。
また、釜13Aの支軸14A、第一のクランク軸453A及び第二のクランク軸455Aは、いずれも回転中心線が平行になるように釜土台15Aに支持されている。
かかる構成により、出力軸42の中心線C回りの一回転分の回転動作が、中心線Cに直交する方向を中心とする一回の往復回動動作に変換されて釜13Aのドライバに付与される。
なお、
図20における符号432bは、回動台43(回動モータ463)の原点センサである。
【0059】
軸間伝達部44Aは、支持枠441と、入力軸41の対向端部に固定装備された主動スプロケット442Aと、出力軸42の対向端部に固定装備された従動スプロケット443Aと、タイミングベルト442aを介して主動スプロケット442Aと連動回転を行う第一の伝達スプロケット444Aと、従動スプロケット443Aを挟むように隣接配置された第二の伝達スプロケット445A及びアイドラースプロケット446Aと、第二の伝達スプロケット445A及びアイドラースプロケット446Aがベルト内面に接し、従動スプロケット443Aがベルト外面に接するように掛け渡された両歯タイミングベルト443aと、両歯タイミングベルト443aにテンションを付与するテンションプーリ443bと、タイミングベルト442aにテンションを付与するテンションプーリ442bと、支持枠441によりZ軸回りに回転可能に支持され、第一と第二の伝達スプロケット444A及び445Aが同時回転を行うように連結支持する軸状の伝達体447Aとを備えている。
【0060】
上記各スプロケット442A,443A,444A,445A,446Aは全て有効径が等しく設定されており、またこれらは全て中心線C又は中心線Cと平行な軸回りに回転可能に支持されている。
そして、第一の伝達スプロケット444Aと第二の伝達スプロケット445Aとは、伝達体447Aの下端部と上端部とに固定装備され、当該伝達体447Aを軸として同時回転を行う。
また、第二の伝達スプロケット445Aとアイドラースプロケット446Aとが両歯タイミングベルト443aの内面に接し、従動スプロケット443Aは両歯タイミングベルト443aの外面に接するように掛け渡されているため、第二の伝達スプロケット445Aとアイドラースプロケット446Aとは同じ方向に回転し、従動スプロケット443Aはこれらと逆方向に回転を行う。
【0061】
これらの構成により、支持体441を制止させた状態で入力軸41を所定角度回転させると、各スプロケット442A,444A,445A,443A及び各タイミングベルト442a,443aを介して、出力軸42には、入力軸41と同じ角度だけ逆方向に回転が伝達される。
また、例えば、入力軸41及び主動スプロケット442Aを制止させた状態で、支持体441を中心線C回りに回動させると、タイミングベルト442aに引っ張られて第一の伝達スプロケット444Aは支持体441の回動と逆方向に回動角度と同じ角度で伝達体447Aを中心とする回転を行う。これにより、第二の伝達スプロケット445Aも同じ方向に同じ角度だけ連動回転を行う。その結果、従動スプロケット443Aは、支持体41の回動に伴う回動と第二の伝達スプロケット445Aから両歯タイミングベルト443aを通じて伝達される回転とにより、支持体441の回動方向に支持体41の二倍の角度で回転を行うこととなる。
従って、軸間伝達部44Aは、ベルト機構により軸間伝達部44と全く同じ機能を実現している。
【0062】
かかる構成により、差動伝達機構40Aは、ヒッチステッチ回避のために回動台43を回動させると、支持枠441は回動台43と同じ方向に半分の角度で回動を行うこととなる。その結果、出力軸42は入力軸41に対して、回動台43と同じ方向に同じ角度だけ回転するため、釜13Aが中心線C回りに回動しても、釜13Aは支軸14A回りに位相の変動が生じなくなり、釜13Aによる上糸捕捉等の動作タイミングは適正な状態が保たれる。
【0063】
なお、ミシン100Aは、ミシン100と同じ制御装置90を備え、同じようにヒッチステッチ回避制御を実行する。従って、縫製データに基づく縫製パターンの全体に渡ってパーフェクトステッチで縫いを行うことが可能である。
このように、ミシン100Aは、ミシン100と同一の技術的効果を奏すると共に、差動伝達機構40Aの軸間伝達部44Aにおいて、タイミングベルト442a,443aを用いたベルト機構を採用するため、差動歯車機構を採用するミシン100よりも静音化を図ることが可能となる。
【0064】
なお、ミシン100Aでは、釜13Aとして垂直半回転釜を採用しているが、釜伝達部45Aの従動かさば歯車452Aから支軸14Aに全回転を伝達する構造とすれば、垂直全回転釜を搭載することも可能である。
また、このミシン100Aの軸間伝達部44Aをミシン100に搭載しても良いし、ミシン100の軸間伝達部44をミシン100Aに搭載しても良い。
【0065】
(軸間伝達部の他の例)
図22は歯車機構とベルト機構とを組み合わせて用いた軸間伝達部44Bの例を示す一部構成を省略した斜視図、
図23は軸間伝達部44Bの原理説明図である。なお、この軸間伝達部44Bにおいて前述した軸間伝達部44Aと同一の構成については同じ符号を付して重複する説明は省略するものとする。
即ち、この軸間伝達部44Bは、入力軸41の上端部に固定装備された主動スプロケット442Aと、タイイングベルト442aを介して、主動スプロケット442Aと連結された第一の伝達スプロケット444Aと、その下端部に第一の伝達スプロケット444Aが固定装備されると共に支持枠441に回転可能に支持された軸状の伝達体447Aと、伝達体447Aの上端部に固定装備された伝達平歯車445Bと、出力軸42の下端部に固定装備され、伝達平歯車445Bに噛合する従動平歯車443Bとを備えている。
【0066】
上記構成により、軸間伝達部44Bは、入力軸41と出力軸42との間で互いに逆回転の伝達を可能とする。
また、入力軸41を静止させた状態での支持枠441の中心線C回りの回動により、第一の伝達スプロケット444Aが回動方向と逆方向に回動角度と同じ角度で回転し、伝達平歯車445Bを通じて従動平歯車443B及び出力軸42に、支持枠441の回動角度の二倍の回動を伝達することができる。従って、この軸間伝達部44Bは、前述した軸間伝達部44Aと全く同一の機能を実現する。そして、この軸間伝達部44Bは、構成の一部に平歯車443B、445Bを採用しているので、入力軸41と出力軸42との間での逆回転方向への伝達を容易に実現することができ、ベルト機構で逆回転を伝達する軸間伝達部44Aに比べて部品点数を低減し、構成の簡易化を図ることが可能である。
なお、この軸間伝達部44Bは、入力軸41側にベルト機構を設け、出力軸42側に歯車機構を設ける構成としているが、入力軸41側に歯車機構を設け、出力軸42側にベルト機構を設ける構成としてもよい。
【0067】
(その他)
なお、回動付与機構46は、ベルトとスプロケットの構成により回動モータ463から回動台43及び支持枠441に回動動作を付与しているが、回動付与機構46から歯車機構により回動台43及び支持枠441を回動させる構成としても良い。その場合、回動台43と支持枠441には同方向の回動動作を付与し、回動台43に対する回動角度を支持枠441に対する回動角度の二倍とすることを必須とする。また、同一軸により同時回転を行う二つの歯車を用いて回動台43及び支持枠441に回動動作を付与することも必須とする。