特許第5759183号(P5759183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759183
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】光コネクタ及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/40 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
   G02B6/40
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-5999(P2011-5999)
(22)【出願日】2011年1月14日
(65)【公開番号】特開2012-145885(P2012-145885A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】SEIオプティフロンティア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100108257
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 伊知良
(72)【発明者】
【氏名】舌間 誠二
(72)【発明者】
【氏名】為國 芳享
(72)【発明者】
【氏名】横町 之裕
(72)【発明者】
【氏名】浮田 義生
(72)【発明者】
【氏名】木村 元佳
【審査官】 里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−297243(JP,A)
【文献】 特開昭64−032208(JP,A)
【文献】 特開2009−205100(JP,A)
【文献】 特開2005−189609(JP,A)
【文献】 特開2010−224195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバを有する光ファイバテープ心線が内蔵された光ファイバコードが組み付けられる光コネクタにおいて、
前記各光ファイバと融着接続される複数本の内蔵ファイバを保持したフェルール部材と、
前記各光ファイバと前記各内蔵ファイバとの融着接続部を保護するための融着保護スリーブを前記フェルール部材と共に収容するハウジングと、
前記ハウジングの後側部分に装着され、前記光ファイバコードの外被を前記ハウジングに挟み込んで固定する固定部材とを備え、
前記ハウジングの後端部には、引き裂かれた状態の前記外被を載せるための凹みが設けられており、
前記ハウジングの後端部は、断面略長円形状を有し、
前記凹みは、前記ハウジングの後端部における前記ハウジングの長径方向に沿った部位に前記ハウジングの短径方向に対向するように設けられていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記融着保護スリーブには、前記融着保護スリーブの長手方向に延びる補強用の金属板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記フェルール部材は、ガイドピンが挿入される1対のガイド孔を有するフェルール本体と、前記フェルール本体の後側に配置され、前記各ガイド孔に挿入される1対の突起を有するスペーサとを有することを特徴とする請求項1または2記載の光コネクタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の光コネクタを用意する工程と、
前記光ファイバコードの前記外被を引き裂いて前記光ファイバテープ心線を露出させると共に、前記融着保護スリーブを前記光ファイバコードに取り付ける工程と、
前記光ファイバテープ心線の前記各光ファイバと前記フェルール部材に保持された前記各内蔵ファイバとを融着接続し、前記各光ファイバと前記各内蔵ファイバとの融着接続部を前記融着保護スリーブで保護する工程と、
前記フェルール部材及び前記融着保護スリーブを前記ハウジング内に収容し、前記引き裂かれた状態の外被を前記ハウジングの前記凹みに載せ、その状態で前記固定部材を前記ハウジングの後側部分に装着することで、前記固定部材により前記外被を前記ハウジングに挟み込んで固定する工程とを含むことを特徴とする光コネクタの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバテープ心線が内蔵された光ファイバコードが組み付けられる光コネクタ及びその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光コネクタとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の光コネクタは、フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバと光ファイバコード端末に露出した光ファイバテープ心線との融着接続部を補強スリーブで補強してなる接続補強部を、フェルールと共にハウジング内に設けた構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−224195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、上記従来技術では、光ファイバコードの外被を光コネクタに固定していないため、光ファイバコードを強く引っ張ると、光ファイバコードが光コネクタから外れてしまうことがある。仮に光ファイバコードの外被を固定するための構造を設けると、その分だけ光コネクタの寸法が増大するため、複数の光ファイバコード付き光コネクタを高密度に配置することが困難になる。
【0005】
また、上記従来技術では、補強スリーブに棒状の補強心材が埋め込まれているが、1本の棒状の補強心材だけでは、補強スリーブを加熱収縮したときに補強スリーブが曲がってしまう可能性がある。このとき、複数本の棒状の補強心材を補強スリーブに埋め込むと、補強スリーブの寸法が増大してしまう。
【0006】
さらに、上記従来技術において、ガイドピンを有する雄型の光コネクタでは、フェルール本体の後部にガイドピンの抜け止め用のピンクランプが設けられており、ピンクランプのガイドピンをフェルール本体のガイドピン穴に貫通させるようにしている。一方、ガイドピンを有しない雌型の光コネクタについては、本来ならばピンクランプは不要であるが、雄型の光コネクタの動作特性と合わせるために、ピンクランプに相当するスペーサを設けている場合がある。しかし、そのようなスペーサは微小部品であるため、フェルール本体とスペーサとの位置合わせが困難であり、光コネクタの組み立ての作業性が低下する。
【0007】
本発明の目的は、コネクタ寸法を大きくすること無く、光ファイバコードの外被を固定することができる光コネクタ及びその組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数本の光ファイバを有する光ファイバテープ心線が内蔵された光ファイバコードが組み付けられる光コネクタにおいて、各光ファイバと融着接続される複数本の内蔵ファイバを保持したフェルール部材と、各光ファイバと各内蔵ファイバとの融着接続部を保護するための融着保護スリーブをフェルール部材と共に収容するハウジングと、ハウジングの後側部分に装着され、光ファイバコードの外被をハウジングに挟み込んで固定する固定部材とを備え、ハウジングの後端部には、引き裂かれた状態の外被を載せるための凹みが設けられており、ハウジングの後端部は、断面略長円形状を有し、凹みは、ハウジングの後端部におけるハウジングの長径方向に沿った部位にハウジングの短径方向に対向するように設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
このような本発明の光コネクタに光ファイバコードを組み付ける場合は、光ファイバコードの外被を引き裂いて光ファイバテープ心線を露出させると共に、融着保護スリーブを光ファイバコードに取り付けておく。そして、光ファイバテープ心線の各光ファイバとフェルール部材に保持された各内蔵ファイバとを融着接続し、各光ファイバと各内蔵ファイバとの融着接続部を融着保護スリーブで保護する。そして、融着保護スリーブ及びフェルール部材をハウジング内に収容し、引き裂かれた状態の外被をハウジングの凹みに載せ、その状態で固定部材をハウジングの後側部分に装着することで、固定部材により外被をハウジングに挟み込んで固定する。このようにハウジングの後端部に凹みを設け、引き裂かれた状態の外被を凹みに入れることにより、固定部材の外径を大きくしなくて済む。これにより、光コネクタの寸法を大きくすること無く、光ファイバコードの外被を容易に且つ確実に光コネクタに固定することができる。
【0010】
好ましくは、融着保護スリーブには、融着保護スリーブの長手方向に延びる補強用の金属板が設けられている。
【0011】
このように融着保護スリーブに補強用の金属板を設けることにより、融着保護スリーブを加熱収縮した際に発生する融着保護スリーブの曲がりを十分に抑制することができる。また、例えばガラス系セラミックを融着保護スリーブの補強材として用いる場合には、補強材の強度を確保するために補強材を十分厚くする必要があるが、金属板を補強材として使用することにより、補強材を必要以上に厚くしなくても、補強材の強度が確保される。これにより、融着保護スリーブの寸法を大きくしなくて済む。
【0012】
また、好ましくは、フェルール部材は、ガイドピンが挿入される1対のガイド孔を有するフェルール本体と、フェルール本体の後側に配置され、各ガイド孔に挿入される1対の突起を有するスペーサとを有する。
【0013】
このようにスペーサに1対の突起を設けることにより、フェルール本体の各ガイド孔に1対の突起を挿入するだけで、フェルール本体とスペーサとの位置合わせを容易に行うことができる。その結果、光コネクタの組み立ての作業性を向上させることができる。
【0014】
本発明の光コネクタの組立方法は、上記の光コネクタを用意する工程と、光ファイバコードの外被を引き裂いて光ファイバテープ心線を露出させると共に、融着保護スリーブを光ファイバコードに取り付ける工程と、光ファイバテープ心線の各光ファイバとフェルール部材に保持された各内蔵ファイバとを融着接続し、各光ファイバと各内蔵ファイバとの融着接続部を融着保護スリーブで保護する工程と、フェルール部材及び融着保護スリーブをハウジング内に収容し、引き裂かれた状態の外被をハウジングの凹みに載せ、その状態で固定部材をハウジングの後側部分に装着することで、固定部材により外被をハウジングに挟み込んで固定する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0015】
このように本発明の光コネクタの組立方法においては、上述したように、光コネクタの寸法を大きくすること無く、光ファイバコードの外被を容易に且つ確実に光コネクタに固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光コネクタの寸法を大きくすること無く、光ファイバコードの外被を光コネクタに固定することができる。これにより、複数の光ファイバコード付き光コネクタを高密度に配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係わる光コネクタの一実施形態に光ファイバコードが組み付けられた状態の外観を示す斜視図である。
図2図1(a)に示した光コネクタの分解斜視図である。
図3図1(a)に示した光コネクタの断面図である。
図4図2に示した融着保護スリーブの詳細を示す斜視図である。
図5図2に示したフロントハウジングの外観を示す斜視図である。
図6図2に示したリアハウジングの外観を示す斜視図である。
図7図2に示した固定部材により光ファイバコードの外被をリアハウジングに固定する様子を示す側面図である。
図8図1(b)に示した光コネクタの分解斜視図である。
図9図1(b)に示した光コネクタの断面図である。
図10図8に示したスペーサの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係わる光コネクタ及びその組立方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係わる光コネクタの一実施形態に光ファイバコードが組み付けられた状態(光ファイバコード付き光コネクタ)の外観を示す斜視図である。図1(a)に示す光コネクタ1Aは、雄型のMPOコネクタであり、図1(b)に示す光コネクタ1Bは、雌型のMPOコネクタである。光コネクタ1A,1B同士は、光アダプタ(図示せず)を介してコネクタ接続される。
【0020】
図2は、図1(a)に示した光ファイバコード付き光コネクタの分解斜視図であり、図3は、図1(a)に示した光ファイバコード付き光コネクタの断面図である。なお、図3(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。
【0021】
各図において、光コネクタ1Aに組み付けられる光ファイバコード2は、複数本の光ファイバ3aが配列されてなる光ファイバテープ心線3と、この光ファイバテープ心線3を被覆する外被4と、光ファイバテープ心線3と外被4との間に介在された複数本の抗張力繊維(アラミド繊維)5とを有している。
【0022】
光コネクタ1Aは、フェルール部材6と、フロントハウジング7と、リアハウジング8と、固定部材9と、ブーツ10とを備えている。
【0023】
フェルール部材6は、MT型のフェルール本体11と、このフェルール本体11の後側に配置されるピンキーパー12とからなっている。フェルール本体11は、1対のガイド孔13(図1(b)等参照)と、各ガイド孔13間に配置された複数のファイバ孔とを有している。各ファイバ孔には、光ファイバテープ心線3の各光ファイバ3aと融着接続される複数本の短尺状の内蔵ファイバ14が挿入されている。ピンキーパー12は、各ガイド孔13を貫通する1対のガイドピン15を有している。
【0024】
フロントハウジング7は、フェルール部材6と融着保護スリーブ16の一部とを収容する部材である。融着保護スリーブ16は、フェルール本体6に保持された各内蔵ファイバ14と光ファイバテープ心線3の各光ファイバ3aとの融着接続部Sを補強するものである。融着保護スリーブ16の長さは、例えば27mm程度である。
【0025】
融着保護スリーブ16は、図4に示すように、断面楕円状の熱収縮チューブ17と、この熱収縮チューブ17内に配置された断面楕円状の熱溶融性樹脂チューブ18とを有している。熱収縮チューブ17と熱溶融性樹脂チューブ18との間には、融着保護スリーブ16の長手方向に延びる補強用の金属板19が介在されている。金属板19は、例えばSUS304等で形成された薄型平板である。金属板19の寸法は、例えば厚み0.2〜0.3mm×幅3.7mm×長さ26mm程度である。
【0026】
フロントハウジング7には、光アダプタ(図示せず)から光コネクタ1Aを引き抜くためのカップリング20がフロントハウジング7の前後方向に移動可能に取り付けられている。フロントハウジング7の両側面には、図5に示すように、バネ収容溝21が形成されている。バネ収容溝21には、カップリング20をフロントハウジング7に対して前側に付勢するためのイジェクタバネ22が配置されている。また、フロントハウジング7の後部には、2つの係止窓23が上下に形成されている。
【0027】
フロントハウジング7には、リアハウジング8が連結される。リアハウジング8は、フロントハウジング7と協働して融着保護スリーブ16を収容する部材である。リアハウジング8の上面及び下面の前部には、図6に示すように、フロントハウジング7の各係止窓23と係合する係止突起24がそれぞれ設けられている。
【0028】
また、リアハウジング8の後端側部分は、断面略長円形状をなしている。リアハウジング8の後端部における各係止突起24の配置部位(上面及び下面)に対応する部位には、光ファイバコード2の外被4における引き裂かれた部分(図2参照)を載せるための凹み25がそれぞれ形成されている。このとき、外被4は、二股に引き裂かれた状態で各凹み25に載せられる。凹み25は、リアハウジング8における凹み25の部分の肉厚が全体的に均一になるように切削加工されているのが望ましい。また、リアハウジング8における係止突起24と凹み25との間の領域の外周面には、雄ネジ部26が形成されている。
【0029】
フェルール部材6とリアハウジング8との間には、フェルール部材6をフロントハウジング7に対して前側に付勢するためのフェルールバネ27が配置されている。
【0030】
リアハウジング8には、固定部材9がネジ止めされる。固定部材9は、光ファイバコード2の外被4及び抗張力繊維5をリアハウジング8に挟み込んで固定する円筒状の部材である。固定部材9の前側部分の内周面には、リアハウジング8の雄ネジ部26と螺合する雌ネジ部28が形成されている。
【0031】
固定部材9の後側部分には、ブーツ10が装着されている。ブーツ10は、光ファイバコード2に急激な曲げが作用しないように光ファイバコード2を保護するものである。ブーツ10には、補強チューブ29が予め取り付けられている。
【0032】
固定部材9により光ファイバコード2の外被4及び抗張力繊維5をリアハウジング8に固定するときは、図7(a)に示すように、まず光ファイバコード2の先端部分の外被4を二股となるように引き裂く。そして、図7(b)に示すように、二股状態の外被4をリアハウジング8の各凹み25に載せる。
【0033】
続いて、光ファイバコード2の抗張力繊維5(不図示)を二股状態の外被4の隙間から引き出し、リアハウジング8の雄ネジ部26上に載せた状態で、図7(c)に示すように、リアハウジング8に固定部材9をねじ込む。これにより、外被4及び抗張力繊維5がリアハウジング8と固定部材9とに挟み込まれて固定されることとなる。
【0034】
次に、以上のように構成した光コネクタ1に光ファイバコード2を組み付ける光コネクタ組立方法について説明する。まず光ファイバコード2の先端部分の外被4を除去して、光ファイバテープ心線3及び抗張力繊維5を露出させる。続いて、外被4の先端部分を引き裂いて二股状態とする。
【0035】
続いて、融着保護スリーブ16に光ファイバコード2を通すことで、融着保護スリーブ16を予め光ファイバコード2に取り付けておく。続いて、光ファイバテープ心線3の被覆を除去して各光ファイバ3aを露出させ、その各光ファイバ3aの先端部をカットする。
【0036】
続いて、フェルール部材6に保持された各内蔵ファイバ14と光ファイバテープ心線3の各光ファイバ3aとを融着接続機(図示せず)によって融着接続する。このとき、フェルール本体11に紐付きダストキャップ(図示せず)を被せた状態で、内蔵ファイバ14と光ファイバ3aとの融着接続を行うのが望ましい。
【0037】
続いて、内蔵ファイバ14と光ファイバ3aとの融着接続部Sの位置が融着保護スリーブ16の長手方向の中央部になるように融着保護スリーブ16を移動させ、その状態で融着保護スリーブ16を加熱収縮する。このとき、融着保護スリーブ16内には金属板19が入っているので、融着接続部Sが融着保護スリーブ16により十分に保護されることとなる。
【0038】
続いて、光ファイバコード2が接続された状態のフェルール部材6をフロントハウジング7に組み込む。続いて、リアハウジング8とブーツ10が付いた固定部材9とに融着保護スリーブ16を通した状態で、フロントハウジング7にリアハウジング8を取り付ける。そして、図7に示すように、固定部材9をリアハウジング8に装着することで、光ファイバコード2の外被4及び抗張力繊維5をリアハウジング8及び固定部材9により固定する。以上により、図1(a)に示すような光ファイバコード2付きの光コネクタ1Aが完成する。
【0039】
なお、上記のように光ファイバコード2の外被4及び抗張力繊維5をリアハウジング8及び固定部材9により固定することで、外被4を必ずしも強固に固定できない場合でも、フェルール部材6に対して外被4(光ファイバコード2)が長手方向に沿った軸回りに回転してしまうことを防止できる。
【0040】
図8は、図1(b)に示した光ファイバコード付き光コネクタの分解斜視図であり、図9は、図1(b)に示した光ファイバコード付き光コネクタの断面図である。なお、図9(b)は、図9(a)のB−B線断面図である。
【0041】
各図において、光コネクタ1Bは、フェルール部材30と、フロントハウジング7と、リアハウジング8と、固定部材9と、ブーツ10とを備えている。フェルール部材30は、上記のフェルール本体11と、このフェルール本体11の後側に配置されるスペーサ31とからなっている。
【0042】
スペーサ31は、図10に示すように、フェルール本体11の各ガイド孔13に挿入される1対のピン状突起32を有している。ピン状突起32は、外側に僅かに突出した4つの突出部32aが等間隔で設けられた断面略円形状をなしている。また、ピン状突起32は、根元側部分が先端側部分よりも太くなるように形成されている。具体的には、ピン状突起32は、根元から先端側に向かって0.5度程度の傾斜がつけられている。
【0043】
光コネクタ1Bのその他の構成、光コネクタ1Bに光ファイバコード2を組み付ける手順については、上述した光コネクタ1Aと同様である。
【0044】
以上のように本実施形態にあっては、リアハウジング8の後端部に、光ファイバコード2における二股に引き裂さかれた状態の外被4を載せるための2つの凹み25を形成し、これらの凹み25に二股状態の外被4を位置決め収容した状態で、リアハウジング8に固定部材9をねじ込んで装着するようにしたので、固定部材9の外径寸法を増大させること無しに、現地において外被4を容易に且つ確実に固定することができる。これにより、例えば複数の光ファイバコード2付きの光コネクタ1A,1Bを所定のスペースに並べて配置する場合に、これらの光コネクタ1A,1Bを上下方向に高密度に配置することが可能となる。
【0045】
なお、外被4を載せるためにリアハウジング8に設けられた凹み25は、特に2つでなくても良いが、断面略長円形状を有するリアハウジング8の後端部における少なくとも長径方向の部位(図6の上面及び下面に対応する部位)にあることが好ましい。
【0046】
また、融着保護スリーブ16に金属板19を設けたので、融着保護スリーブ16が加熱収縮された後は、融着接続部Sが融着保護スリーブ16により保護される。ここで、金属板19の代わりにガラス系セラミック板を使用することが考えられるが、強度確保のためにはガラス系セラミック板を厚くせざるを得ず、融着保護スリーブ16の寸法の増大につながり、その結果ハウジングサイズも増大する。
【0047】
本実施形態では、ガラス系セラミック板ではなく金属板19を使用することにより、金属板19を多少薄くしても強度が確保されるため、融着保護スリーブ16、ひいては光コネクタ1A,1B全体の寸法の増大を抑えることができる。なお、このような融着保護スリーブ16は、コード型だけでなく、リボン(テープ)ファイバのみを用いるもの等、他の多心コネクタにも適用可能である。
【0048】
ところで、雌型の光コネクタ1Bにはガイドピンが無いため、上記のピンキーパー12は不要である。しかし、上記のフェルールバネ27は、フェルール部材とリアハウジング8との間で位置合わせされる。このため、ピンキーパー12の有無によってフェルール部材とリアハウジング8との間隔が変わるため、フェルールバネ27によりフェルール本体11に加わる押圧力が雄型の光コネクタ1Aと雌型の光コネクタ1Bとで異なってしまう。
【0049】
従って、雌型の光コネクタ1Bには、フェルールバネ27による押圧力調整用の部品としてのスペーサ31が具備されている。このとき、スペーサ31には1対のピン状突起32が設けられているので、フェルール本体11のガイド孔13にピン状突起32を差し込むことで、フェルール本体11に対するスペーサ31の位置合わせを容易に行うことができる。その結果、現地における光コネクタ1A,1Bの組立作業性を向上させることが可能となる。なお、このようなスペーサ31の構造は、リボン(テープ)ファイバのみを用いるもの等、他の多心コネクタにも適用可能である。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、リアハウジング8の外周面に雄ネジ部26が形成され、固定部材9の内周面に雌ネジ部28が形成されているが、リアハウジング8と固定部材9とで雄雌のネジ部が逆に付いていても良い。また、リアハウジング8への固定部材9の装着手段としては、特にネジ止めでなくても良い。
【0051】
また、上記実施形態の光コネクタ1A,1Bは、現地付け型のMPOコネクタであるが、本発明は、工場付け型のMPOコネクタや他の多心コネクタや単心コネクタ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B…光コネクタ、2…光ファイバコード、3…光ファイバテープ心線、3a…光ファイバ、4…外被、6…フェルール部材、7…フロントハウジング、8…リアハウジング、9…固定部材、11…フェルール本体、13…ガイド孔、14…内蔵ファイバ、15…ガイドピン、16…融着保護スリーブ、19…金属板、25…凹み、30…フェルール部材、31…スペーサ、32…ピン状突起、S…融着接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10