(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤を収容した容器本体の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる芳香剤容器であって、
前記容器本体と、前記容器本体の開口面を覆って当該開口面との間に間隔を保持した状態で配置される正面板を備えるカバー体とからなり、前記正面板を側方に向けて縦置きにした状態で被載置面に載置して用いられるようになっており、
前記容器本体は、前記開口面の開口周縁部から外側に突出して設けられたフランジを備える中空の凹箱部と、該凹箱部に収容される前記多数のビーズ状芳香剤と、前記フランジに接着されて前記開口面を覆って取り付けられる、シート側空気孔が形成された開口面被覆シートとを含んで構成され、且つ前記凹箱部の側周面には、前記開口面の前記シート側空気孔を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔が形成されており、
前記カバー体の前記正面板は、環状に配置された前記容器本体の前記フランジよりも一回り大きな正面形状を備えると共に、載置時に下方に配置される底辺部が、被載置面に当接する載置辺部として機能するようになっており、
前記カバー体は、前記フランジを係止して前記容器本体に着脱可能に装着一体化されることで、前記正面板を、前記開口面との間に間隔を保持した状態で配置させる間隔保持係着部を備えている芳香剤容器。
前記間隔保持係着部は、前記正面板の上部及び下部において裏面側に突出して設けられた、挟込み基台部と、挟込み鉤形部とを有し、前記凹箱部の上辺部及び下辺部の前記フランジを上部及び下部の前記挟込み基台部と前記挟込み鉤形部とによって挟み込んで係着することにより、前記容器本体を、前記カバー体に、前記正面板と前記開口面との間に間隔を保持した状態で装着一体化させる請求項1または2記載の芳香剤容器。
前記間隔保持係着部は、前記正面板の両側の側辺部から裏面側に延設する挟込み羽根部と、前記正面板の裏面側に突出して設けられる挟込み基台部と、前記正面板の裏面側に延設する受板部とを有し、前記フランジの端部が前記受板部に当接するように、当該フランジを両側の前記挟込み羽根部の間に配置し、当該フランジまたは前記開口面被覆シートと前記挟込み基台部とを接触させることにより、前記容器本体を前記カバー体に、前記正面板と前記開口面との間に間隔を保持した状態で装着一体化させる請求項1または2項記載の芳香剤容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビーズ状芳香剤は、多数積み上げて容器に収容された場合でも、内部の粒子間に間隙が保持された状態となるので、これらの間隙を空気が通過するようにすれば、粒子間の間隙に面したビーズ状芳香剤の揮散面を効率良く利用して、さらに効果的に揮散成分を揮散させることができるものと考えられるが、上記従来のビーズ状芳香剤を用いた芳香剤容器では、容器の天面部にしか揮散開口が形成されていないため、粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成することが難しく、ビーズ状芳香剤の特性を利用してさらに効果的に揮散成分を揮散させることが困難である。
【0005】
一方、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成するには、例えば容器の少なくとも2面に空気流通用の開口部を設けて、一方の開口部から容器内に空気を導入すると共に、他方の開口部から空気を導出させるようにすることが考えられるが、単に、空気導入用の開口部と、空気導出用の開口部を設けただけでは、揮散成分の揮散が進みすぎて、例えばビーズ状芳香剤による香りが強くなりすぎたり、香りの持続時間を十分に確保することが困難になる。また、上述のように、ビーズ状芳香剤は、揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであるから、分離した水分が容器の外に漏れ出ないようにする必要がある。
【0006】
本発明は、容器に収容されたビーズ状芳香剤の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成して、ビーズ状芳香剤から効率良く揮散成分を揮散させることができると共に、揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することのできる芳香剤容器を提供することを目的とする。
【0007】
なお本明細書中では、芳香剤には、消臭剤及び消臭芳香剤も含むものとする。また、カバー体には、容器本体の全体を収容する箱状の外容器を含まないものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤を収容した容器本体の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる芳香剤容器であって、前記容器本体と、前記容器本体の開口面を覆って当該開口面との間に間隔を保持した状態で配置される正面板を備えるカバー体とからなり、前記容器本体は、前記開口面の開口周縁部から外側に突出して設けられたフランジを備える中空の凹箱部と、該凹箱部に収容される前記多数のビーズ状芳香剤と、前記フランジに接着されて前記開口面を覆って取り付けられる、シート側空気孔が形成された開口面被覆シートとを含んで構成され、且つ前記凹箱部の側周面には、前記開口面の前記シート側空気孔を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔が形成されており、前記カバー体は、前記フランジを係止して前記容器本体に着脱可能に装着一体化されることで、前記正面板を、前記開口面との間に間隔を保持した状態で配置させる間隔保持係着部を備えている芳香剤容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の芳香剤容器によれば、容器に収容されたビーズ状芳香剤の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成して、ビーズ状芳香剤から効率良く揮散成分を揮散させることができると共に、揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤を収容した容器本体の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる芳香剤容器であって、前記容器本体と、前記容器本体の開口面を覆って当該開口面との間に間隔を保持した状態で配置される正面板を備えるカバー体とからなり、
前記正面板を側方に向けて縦置きにした状態で被載置面に載置して用いられるようになっており、前記容器本体は、前記開口面の開口周縁部から外側に突出して設けられたフランジを備える中空の凹箱部と、該凹箱部に収容される前記多数のビーズ状芳香剤と、前記フランジに接着されて前記開口面を覆って取り付けられる、シート側空気孔が形成された開口面被覆シートとを含んで構成され、且つ前記凹箱部の側周面には、前記開口面の前記シート側空気孔を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔が形成されており、
前記カバー体の前記正面板は、環状に配置された前記容器本体の前記フランジよりも一回り大きな正面形状を備えると共に、載置時に下方に配置される底辺部が、被載置面に当接する載置辺部として機能するようになっており、前記カバー体は、前記フランジを係止して前記容器本体に着脱可能に装着一体化されることで、前記正面板を、前記開口面との間に間隔を保持した状態で配置させる間隔保持係着部を備えている芳香剤容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0012】
すなわち、本第1実施形態の芳香剤容器10は、
図1(a),(b)及び
図2に示すように、揮散成分を揮散しつつ、場合によっては水分を分離しながら収縮する多数のビーズ状芳香剤12(
図3(a)参照)を収容した容器本体11の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる容器であって、容器本体11と、容器本体11の開口面11aの全体を覆って当該開口面11aとの間に間隔を保持した状態で配置される正面板17を備えるカバー体14とからなる。
【0013】
容器本体11は、
図3(a),(b)に示すように、開口面11aの開口周縁部から外側に突出して設けられた帯状のフランジ18を備える中空の凹箱部13と、凹箱部13に収容される多数のビーズ状芳香剤12と、フランジ18に接着されて開口面11aを覆って取り付けられる、多数のシート側空気孔15が形成された開口面被覆シート19とを含んで構成され、且つ凹箱部13の側周面による容器本体11の側周面11bには、開口面11aのシート側空気孔15を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔16が形成されている。
【0014】
カバー体14は、
図1(b)、
図2、及び
図4に示すように、凹箱部13のフランジ18に係止して容器本体11に当該カバー体14が着脱可能に装着一体化されることで、正面板17を、開口面11aとの間に間隔21(
図2参照)を保持した状態で配置させる間隔保持係着部20を備えている。またカバー体14は、被載置面50に当接させ得る載置辺部22を備えている。芳香剤容器10は、この載置辺部22及び凹箱部13の底部周縁部13bに支持させて、正面板17を側方(斜め側方も含む)に向けると共に箱側空気孔16を上部に配置した状態で、例えば、棚、テーブル、床、等の被載置面50に載置して用いることが可能となっており、正面板17の側方及び又は上方に形成された外気連通口23を介して例えば正面板17の裏側に流入した空気を、開口面11aのシート側空気孔15を介して容器本体11の内部に導入可能とするように、前記容器本体の内部と外部とが連通している。
【0015】
以下説明の便宜上、空気の流れ方向を、好ましくは開口面11aのシート側空気孔15から容器本体11の内部に空気を導入し、ビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙を通過させて容器本体11の側周面11bに形成された箱側空気孔16から空気を導出する方向とするが、本発明の芳香剤容器10は、周囲の環境により、空気の流れ方向がシート側空気孔15から箱側空気孔16に向う方向とは逆の方向となる場合もある。
【0016】
また、本第1実施形態では、間隔保持係着部20は、正面板17の上部及び下部において裏面側に突出して設けられた、挟込み基台部24a,24bと、挟込み鉤形部25a,25bとを含んで構成されており、凹箱部13の上辺部及び下辺部のフランジ18を上部及び下部の挟込み基台部24a,24bと挟込み鉤形部25a,25bとによって各々挟み込んで係着することにより、容器本体11を、カバー体14に、正面板17と開口面11aとの間に間隔21を保持した状態で装着一体化させるようになっている。
【0017】
本第1実施形態では、容器本体11の凹箱部13は、
図3(a),(b)に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、角部が弧状に面取りされた略正方形の中空断面形状を備える箱状に形成される。また凹箱部13は、
角部が弧状に面取りされた略正方形の底面部13cと、底部周縁部13bから上方に連続して立設する4方の側面部13aとからなり、これらの4方の側面部13aによって、容器本体11の側周面11bが構成される。これらの側面部13aは、角部が弧状に面取りされた凹箱部13の
角部が弧状に面取りされた略正方形の中空断面形状の、当該弧状の角部に沿って立設する湾曲接続部13dを介して一体として接続する。これらの側面部13aは、湾曲接続部13dと共に上方に向けて外側にやや傾いた状態で立設している。これらの側面部13a及び湾曲接続部13dの上端のフランジ18によって縁取りされた凹箱部13(容器本体11)の上端開口面は、フランジ18に好ましくは多数のシート側空気孔15が形成された開口面被覆シート19が貼着されることにより覆われる。
【0018】
また、本第1実施形態では、容器本体の側周面11bを構成する凹箱部13の4方の側面部13aのうちの、使用時に上部に配置される側面部13aには、好ましくは複数の箱側空気孔16が開口形成されている。箱側空気孔16は、複数設ける必要は必ずしも無く、1箇所にのみ設けることもできる。箱側空気孔16は、芳香剤容器10が使用される前は、例えば当該箱側空気孔16を覆って合成樹脂製の貼着シート(図示せず)を剥離可能に貼り付けておくことで、容易に閉塞しておくことができる。この貼着シートを芳香剤容器10の使用時に引き剥がすことによって、箱側空気孔16を開放することができる。さらに、本第1実施形態では、箱側空気孔16が開口形成された側面部13aと対向する下部の側面部13aにおける、底面部13cとの角部に位置する底部周縁部13bが、正面板17の載置辺部22と共に、芳香剤容器10を被載置面50に安定した状態で載置させるための載置部を構成する。
【0019】
容器本体11の開口面11aを覆って取り付けられる開口面被覆シート19は、
図3(a),(b)に示すように、例えば合成樹脂製の透明なシート材料からなり、ビーズ状芳香剤12の外形よりも相当程度小さな開口幅を有するシート側空気孔15が、好ましくは開口面11aを覆う領域に分散配置されて多数開口形成されている。開口面被覆シート19は、接着剤等を介してまたはヒートシールを施すことによって、周縁部が凹箱部13のフランジ18に強固に接着固定されると共に、芳香剤容器10が使用される前は、例えば当該開口面被覆シート19を覆って合成樹脂製の貼着シート(図示せず)を剥離可能に貼り付けておくことで、容易にシート側空気孔15を閉塞しておくことがでる。この貼着シートを芳香剤容器10の使用時に引き剥がすことによって、シート側空気孔15を開放することができる。
【0020】
本第1実施形態では、カバー体14は、
図1、
図2、及び
図4に示すように、例えば合成樹脂製の成形品であって、
角部が弧状に面取りされた略正方形の環状に配置された容器本体11のフランジ18よりも一回り大きな、平面視して
角部が弧状に面取りされた略正方形の正面形状を備える正面板17と、正面板17の裏面側に一体として設けられた、間隔保持係着部20を構成する挟込み基台部24a,24bと、挟込み鉤形部25a,25bと、液受部26とを含んで構成される。本第1実施形態では、正面板17は、芳香剤容器10の載置時における縦方向の断面が、外側に向けて弧状に凸に湾曲する湾曲板となっており、また載置時に下方に配置される底辺部が、載置辺部22として機能して、凹箱部13の底部周縁部13bと共に、芳香剤容器10を被載置面50に安定した状態で載置させるための載置部を構成する。
【0021】
前述のように、正面板17を外側に向けて弧状に凸に湾曲する湾曲板とすることで、開口面11aと正面板17との間の間隔21を不必要に大きくすることなく、外気連通口23における外気が連通する為に必要な面積を確保することができる。また、芳香剤容器の意匠性も向上させることができる。
【0022】
なお、前記間隔21は芳香剤容器10の仕様によって適宜決めることができるが、本実施形態では、正面板17を湾曲板とすることで間隔21の最大間隔を5mm〜15mm程度としている。
【0023】
本第1実施形態では、上述のように、正面板17の裏面側の上部及び下部に、上部挟込み基台部24a及び上部挟込み鉤形部25aと、下部挟込み基台部24b及び下部挟込み鉤形部25bとが、上下に配置された間隔保持係着部20として設けられている。
【0024】
上部挟込み基台部24aは、例えば略台形形状の凸リブからなり、上部挟込み鉤形部25aを挟んでこれの両側に一対配置される。上部挟込み鉤形部25aは、天板部27aと天板部27aの先端から下方に折れ曲った係止部27bとからなるL字断面形状を備えており、両側の上部挟込み基台部24aの間の部分に配置される。上部挟込み基台部24aと上部挟込み鉤形部25aの係止部27bとの間にフランジ18の上縁部を挟み込んで係止、係着することにより、上部挟込み基台部24aをスペーサーとして機能させて、容器本体11の開口面11aと正面板17との間に間隔21を保持した状態で、カバー体14を容器本体11に装着させることが可能になる。
【0025】
下部挟込み基台部24bは、例えば4半円形状の凸リブからなり、下部挟込み鉤形部25bの両側端部を液溜め壁28で仕切って形成した液受部26の内部に配置されて、一対設けられている。下部挟込み鉤形部25bは、底板部29aと底板部29aの先端から上方に折れ曲った係止部29bとからなるL字断面形状を備えており、フランジ18によって縁取りされた容器本体11の下辺の長さよりも長い領域に亘って、横方向に延設して設けられている。下部挟込み基台部24bと下部挟込み鉤形部25bの係止部29bとの間にフランジ18の下縁部を挟み込んで係止することにより、下部挟込み基台部24bをスペーサーとして機能させて、容器本体11の開口面11aと正面板17との間に間隔21を保持した状態で、カバー体14を容器本体11に装着させることが可能になる。
【0026】
また、本第1実施形態では、下部挟込み鉤形部25bの両側端部を液溜め壁28によって仕切ることにより、正面板17の載置辺部22の裏面側に突出して、液受部26が設けられている。正面板17の載置辺部22の裏面側に液受部26が設けられていることにより、例えばビーズ状芳香剤22から分離した水分が、縦置きされた容器本体11の開口面11aのシート側空気孔15を介して開口面被覆シート19の表面側に漏れ出た場合でも、開口面被覆シート19の表面に沿って流下する水分を液受部26によって、ビーズ状芳香剤22から分離した水分が外部に漏出するのを効果的に回避することが可能になる。
【0027】
本第1実施形態では、例えばカバー体14の正面板17や間隔保持係着部20を弾性変形させつつ、カバー体14の裏面に沿って容器本体11のフランジ18を横方向にスライド移動させたり、或いは下辺部のフランジ18を下部の間隔保持係着部20の下部挟込み基台部24bと下部挟込み鉤形部25bとの間に係止した後に、上辺部のフランジ18を上部の間隔保持係着部20の上部挟込み基台部24aと上部挟込み鉤形部25aとの間に係止する方法によって、カバー体14を着脱可能に容易に容器本体11に装着することができる。
【0028】
そして、本第1実施形態の芳香剤容器10によれば、容器に収容されたビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成して、ビーズ状芳香剤12から効率良く揮散成分を揮散させることが可能になると共に、揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することが可能になる。
【0029】
すなわち、本第1実施形態によれば、芳香剤容器10は、縦置きされた状態で横方向を向いた容器本体11の開口面11aのシート側空気孔15と、上部に配置された容器本体11の側周面11bの箱側空気孔16とによって、容器本体11の内部に空気を容易に通過させることが可能になるので、容器本体11に収容されたビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を容易に形成して、ビーズ状芳香剤12から効率良く揮散成分を揮散させることが可能になる。
【0030】
また、本第1実施形態によれば、容器本体11の開口面11aを覆って当該開口面11aとの間に間隔を保持した状態で、正面板17が配置されている。正面板17は、開口面11aを覆って配置されることで、開口面11aに向かう気流を遮蔽したり、制限したりして前記揮散成分揮散を制御できるものと考えられる。これによって、例えば容器本体11の開口面11aに向う空気の流れを正面板17によって遮断して、シート側空気孔15から直接的に勢い良く空気が容器本体11の内部に導入されるのを回避できると共に、正面板17の側方及び又は上方に形成された外気連通口23を介して正面板17の裏側に回り込むようにして、間接的に流入した勢いの衰えた空気のみを、開口面11aのシート側空気孔15から容器本体11の内部に導入できるようになっているので、例えばビーズ状芳香剤12による香りが強くなりすぎたり、香りの持続時間を十分に確保できなくなるのを効果的に回避することが可能になる。
【0031】
さらに、本第1実施形態によれば、容器本体11の開口面11aを覆う開口面被覆シート19に形成されたシート側空気孔15のうち、縦置きした状態で最も下側に配置されるシート側空気孔15よりも下方の部分が、ビーズ状芳香剤12から分離した水分を液溜めする液溜り部として機能するので、ビーズ状芳香剤12から分離した水分が容器本体11の外に漏れ出るのを効果的に回避することが可能になる。
【0032】
さらにまた、本第1実施形態によれば、カバー体14の正面板17の大きな表面を、デザイン画、広告及び説明書き等を施すための装飾面として有効に利用して、芳香剤容器10の意匠性を向上させることが可能になる。
【0033】
また、本第1実施形態によれば、芳香剤容器10は、容器本体11と、当該容器本体11の開口面11aを覆って当該開口面11aとの間に間隔21を保持した状態で配置される正面板17を備えるカバー体14とを用いて形成されることにより、容器本体11を覆って収容する、空気孔が適宜設けられている箱状の外容器の使用を不要とすることができ、簡易な構成であるにもかかわらず、容器本体11に収容されたビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を容易に形成して、ビーズ状芳香剤12から効率良く揮散成分を揮散させることができると共に、揮散成分の揮散を正面板17によって効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することができる。
【0034】
図5(a),(b)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る芳香剤容器30を示すものである。本第2実施形態の芳香剤容器30は、上記第1実施形態の芳香剤容器10と略同様の構成を備える一方で、カバー体31及び間隔保持係着部20の構成が、上記第1実施形態の芳香剤容器10と相違している。すなわち、本第2実施形態では、カバー体31は、
図6及び
図7にも示すように、正面板32と、凹箱部13のフランジ18を係止して容器本体11に当該カバー体31が着脱可能に装着一体化されることで、正面板32を、開口面11aとの間に間隔を保持した状態で配置させる間隔保持係着部20を備えている。またカバー体31は、被載置面50に当接させ得る載置辺部33を備えている。
【0035】
また、本第2実施形態では、間隔保持係着部20は、正面板32の両側の側辺部から裏面側に延設する挟込み羽根部34と、正面板32の裏面側に突出して設けられる挟込み基台部35と、正面板32の裏面側に延設する受板部36とを有し、フランジ18の端部18aが受板部36に当接するように、フランジ18を両側の挟込み羽根部34の間に配置し、フランジ18または開口面被覆シート19と挟込み基台部35とを接触させることにより、容器本体11をカバー体31に、正面板32と開口面11aとの間に間隔を保持した状態で装着一体化させるようになっている。
【0036】
詳細には、間隔保持係着部20は、正面板32の両側の側辺部から裏面側に鋭角に折れ曲がって延設する挟込み羽根部34と、正面板32の裏面側に突出して縦方向に延設して設けられる縦長の挟込み基台部35と、正面板32の載置辺部33から裏面側に折れ曲がって延設する受板部36とを含んで構成されており、フランジ18を両側の挟込み羽根部34の間に配置して、下部のフランジ18の端部(下端部)18aが受板部36に当接するまで容器本体11を上方から落し込み、フランジ18または開口面被覆シート19と挟込み基台部35とを接触させることにより、容器本体11を、カバー体31に、挟込み基台部35をスペーサとして機能させて正面板32と開口面11aとの間に間隔を保持した状態で、装着一体化させるようになっている。
【0037】
なお、容器本体11をカバー体31に装着一体化させた際に、フランジ18と挟込み羽根部34の一部分または全体とが接触状態となるように、各部分の寸法を設定することにより、安定した装着状態を得ることが可能になる。
【0038】
さらに、本第2実施形態では、挟込み羽根部34の上部には、縦長矩形形状の開口窓37が外気連通口として開口形成されていると共に、受板部36の先端縁部から上方に立設して仕切り壁38を設けることによって、正面板32の載置辺部33の裏面側に液受部39が設けられている。
【0039】
本第2実施形態の芳香剤容器30によっても、容器本体11の開口面11aの全体を覆って当該開口面11aとの間に間隔を保持した状態で、正面板32が配置されているので、容器本体11の開口面11aに向う空気の流れを正面板32によって遮断して、上記第1実施形態の芳香剤容器10と同様の作用効果が奏される。
【0040】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、凹箱部は、
角部が弧状に面取りされた略矩形又は略正方形の中空断面形状を備えている必要は必ずしもなく、正面板は、
角部が弧状に面取りされた略矩形又は略正方形の正面形状を備えている必要は必ずしもない。台形や半円形等のその他の種々の中空断面形状や正面形状を備えていても良い。また、正面板の載置辺部の裏面側に液受部を設ける必要は必ずしも無く、正面板は、外側に凸に湾曲する湾曲板となっている必要は必ずしもない。開口面との間に間隔を保持できれば、正面板は平坦な板部であっても良い。また上記各実施形態では、芳香剤容器は、容器本体11の側周面11bに形成された箱側空気孔16を上方に向けて縦置きにした状態で用いられているが、容器本体11を横置きして開口面11aに形成されたシート側空気孔15を上方に向けて使用しても
良い。