【実施例1】
【0015】
以下に、本発明に係る遮音壁のパネル取付構造を図示した実施例に基づいて説明する。
図1〜4に示した遮音壁1は、上方へ向かい道路側Aへ湾曲した形状の支柱10が、道路の延長方向に約4mの間隔をあけて複数本設置されており、同支柱10の湾曲部間へ平板形状の太陽光発電パネル2が高さ方向に3段設置された構成である。前記太陽光発電パネル2の下方の支柱10、10間には遮音パネル8が設置され、更に前記遮音パネル8の下方の支柱10、10間にはコンクリート製遮音板81が設置されている。図中の符号Bは民地側を示している。
なお、詳細に説明することを省略するが、遮音壁1の道路側面には、
図3及び4に示したように、遮音パネル80が支柱の高さ方向に沿って9段設置されている。
【0016】
上記支柱10はH型鋼で構成されており、
図2及び3に示したように、下端部から上方へ向かい道路側Aへ約半径5m程度に湾曲しており、地面から約4.9m程度の高さを有している。前記支柱10の下端部は、垂直形状に形成され、そのウェブが湾曲部のウェブと比して若干長めに形成されており、地中に埋め込まれて固定された鋼管杭12の内部へ前記下端部が嵌め込まれて前記支柱10が支持されている。
前記支柱10のフランジには、
図5及び8に示したように、後述するパネル受け部材7及び側面板5とを共通のボルト70で接合するためのボルト孔10aが、ウェブを挟んで左右にそれぞれ高さ方向に約50cmの間隔をあけて設けられている。
【0017】
本実施例の遮音壁1は、
図5〜7に示したように、上記支柱10の上下に約1m程度の間隔(太陽光発電パネル2の縦幅と同寸)をあけた位置に横補強材3、3が隣接する支柱10、10間に配置され、該横補強材3、3間に上下の横補強材3を連結するくの字形状の縦補強材4が支柱10、10間の方向に約3.5m程度の間隔をあけて取り付けられている。
【0018】
上記横補強材3は、
図5〜7に示したように、横幅が約3.8m程度のアングル材で構成されており、太陽光発電パネル2の上辺又は下辺をボルトで接合するためのパネル固定用孔3a…が、支柱10、10間の方向に沿って例えば約38cm程度の間隔をあけて複数設けられている。
前記横補強材3の両端部には、ボルト孔30aを3つ有する補強材受け金具30が、上側の横補強材3は下方へ突き出る配置で、下側の横補強材3は上方へ突き出る配置で溶接又はボルトで接合されている。
【0019】
上下の横補強材3、3間には、
図5〜9に示したように、同横補強材3の両端部に側面板5が配置され
ており、同側面板5に設けられた3つのボルト孔5bへ通したボルト50を前記補強材受け金具30のボルト孔30aへ通して締め付けることで、前記横補強材3と側面板5が接合されている。
前記側面板5は、
図10に拡大して示したように、縦横の寸法が約104cm×17cmで成る平板を上下方向に約26cm程度の間隔で4段階に分けて屈曲させて、支柱10の湾曲部に沿った形状に形成されている。前記側面板5の3箇所の各屈曲角度は、約3度程度である。前記側面板5の民地側Bの面には、化粧材である背面板端部材6を支持して固定させるために、横断面が略Z形状の支持部材51が同側面板5の高さ方向に沿って設けられている。
なお、前記側面板5の中間位置には、同側面板5の落下防止用金具55を取り付けるためのボルト孔5dが上下に3つずつ設けられている。
図5に示したように、前記ボルト孔5dへ通したボルトで落下防止用金具55が取り付けられている。
【0020】
前記上下の各横補強材3には、
図5〜9に示したように、同横補強材3に沿った横連結枠材9が取り付けられている。
前記横連結枠材9は、
図6、8及び9に具体的に示したように、断面形状が略コ字形状に形成された接合部90と該接合部90の上側縁辺に沿って上方へ突き出す(下側の横補強材3に取り付ける横連結枠材9は下側縁辺に沿って下方へ突き出す)連結面部91とで構成されており、前記接合部90が横補強材3の水平面へ嵌め込まれた状態で、同接合部90と同横補強材3の水平面とがボルト92で接合されている。なお、
図6に示したように、前記接合部90の下面には、太陽光発電パネル2との隙間を塞ぐシール材13が取り付けられている。
前記上下の各横連結枠材9の連結面部91には、
図9に示したように、上記補強材受け金具30の直上付近(下方の横連結枠材9の場合は直下付近)となる箇所に左右3つのボルト孔9a…が設けられており、上記側面板5の上下の端部に設けられた左右3つのボルト孔5c…へ通したボルト54を前記連結面部91に設けられたボルト孔9aへ通して締め付けることにより、前記横連結枠材9と側面板5とが接合されている。
【0021】
上記側面板5の民地側Bには、
図1及び2に示したように、同側面板5を覆う背面板端部材6が上記太陽光発電パネル2に隣接する配置に取り付けられている。
前記背面板端部材6は、
図9に示したように、縦長の一辺側の壁を備えない箱形形状を成し、前記側面板5に設けられた支持部材51を内部に納める配置に設置され、背面板端部材6の側面に設けられたボルト孔6aへ通したボルト60で、前記支持部材51と接合されている。更に、前記背面板端部材6の上面は、同上面に設けられたボルト孔6bと上記横連結枠材9の接合部90に設けられたボルト孔9bへ共通に通したボルト61で同横連結枠材9の接合部90と接合されている。
なお、詳細に図示することは省略したが、隣接する背面板端部6、6の間には、隙間を塞ぐシール材が取り付けられている。
【0022】
上記上下の横補強材3、3を連結するくの字形状の縦補強材4は、
図11に拡大して示したように、全長が約92cm程度の鋼板で構成されており、上端部から下方へ約3分の1程度に位置する中間部までの上部傾斜面40と、該中間部から下端部までの下部傾斜面41とが約15度程度の角度で民地側Bへ屈曲させて形成されている。また、後述するアングル材で成るパネル受け部材7の一端を接合するための縦長のボルト孔4aが、約50cmの間隔をあけて上下に設けられている。
前記縦補強材4をくの字形状に屈曲させた理由は、
図12に示したように、前記パネル受け部材7を支柱10の湾曲部に沿って上下方向へ2つ配置させたとき、上側のパネル受け部材7’と下側のパネル受け部材7’’とで設置角度が異なるため、その上下のパネル受け部材7’、7’’の設置角度に対応させるためである。前記のように縦補強材4をくの字に屈曲させることで、同縦補強材4の上部傾斜面40と上側のパネル受け部材7’の接合面とが略面接触した状態となり、他方、前記縦補強材4の下部傾斜面41と下側のパネル受け部材7’’の接合面も略面接触した状態となり、縦補強材4と前記支柱10とがパネル受け部材7を介してしっかりと強固にボルトで接合することができる。
なお、前記縦補強材4は前記屈曲角度に限定されず、支柱10の湾曲形状に沿って配置されるパネル受け部材7の設置角度に対応させた角度に適宜変更させた形状に形成される。
【0023】
上記くの字形状の縦補強材4の上下の端部は、
図11に示したように、民地側Bに突き出すように矩形状に屈曲させた連結部42が形成されており、該連結部42には上記横補強材3へボルトで接合するためのボルト孔4bが図示例の場合は2つ設けられている。
即ち、
図8及び9に示したように、前記縦補強材4の連結部42のボルト孔4b、4bへ通したボルト4c、4cを、上記横補強材3の前記補強材受け金具30に隣接する位置に設けられたボルト孔3b、3bへ通して締め付けることにより、前記縦補強材4が上下の横補強材3、3へ接合されている。
【0024】
前記支柱10、10間に横補強材3の長手方向へ並べた3枚の太陽光発電パネル2が、
図5及び6に示したように、その上辺及び下辺をそれぞれ上下の横補強材3のボルト孔3aへ通したボルトで接合されている。
前記支柱10、10間に配置された左右に隣接する太陽光発電パネル2、2の間には、
図5に示したように、中間縦部材4’が上下の横補強材3、3の間に配置され、前記中間縦部材4’の上下端部が前記横補強材3へボルトで接合されている。
上記太陽光発電パネル2は、一例として縦幅×横幅が1m×1.5mの大きさであり、重量が20kg程度で構成されている。つまり、横補強材3に接合された3枚のパネルの総重量は60kgである。
なお、前記太陽光発電パネル2の大きさや設置枚数は、図示した実施例の限りではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
【0025】
上記のように上下の横補強材3、3へ固定された太陽光発電パネル2は、
図1及び2に示したように、支柱10の湾曲部間であって同支柱10の高さ方向に沿って3段配置されており、前記縦補強材4と支柱10とがアングル状のパネル受け部材7を介して連結されている。
具体的には、
図8に示したように、前記縦補強材4の上端部とパネル受け部材7の一端とが、各ボルト孔4a、7bへ共通に通したボルト71で接合されている。このとき、上記したように、縦補強材4をくの字形状に屈曲させているので、同縦補強材4の傾斜面40、41と、パネル受け部材7の接合面とが略面接触した状態となりボルト71で強固に接合することができる。なお、縦補強材4の中間部においても、同様の構成でパネル受け部材7の一端が接合されている(
図5を参照)。
一方、前記パネル受け部材7の他端は、同パネル受け部材7のもう一方のボルト孔7a、上記側面板5のボルト孔5a、及び支柱10のボルト孔10aへ共通に通したボルト70により、前記側面板5及び支柱10へ接合されている。前記背面板5の前記ボルト孔5aの位置には、矩形状の切り欠き52が形成されており、クリップナット53を前記切り欠き52へ嵌め込んで回転を防止させた状態で、前記クリップナット53へ前記ボルト70の先端が締め付けられている。
【0026】
上記支柱10の高さ方向に沿って3段に配置された太陽光発電パネル2…のうち、上下に位置する太陽光発電パネル2は同士は、
図4及び
図5に示すように、上下に隣接する各横連結枠材9の連結面部91を跨ぐ配置に設置されたジョイント板14を前記連結面部91へボルト接合して連結されている。
なお、
図4で示した符号11は支柱10の上下方向へ取り付けられた太陽光発電パネル2、2同士を連結するワイヤを示している。
更に、
図4及び
図5に示した符号15は、道路方向の向って支柱10の上端に取り付ける意匠用の傘木を示している。
【0027】
上記太陽光発電パネル2の下方には、
図1〜3に示したように、上記支柱10、10間に遮音パネル8が配置されており、その両端部が支柱10へボルトで接合されている。
前記遮音パネル8は、高耐候性めっき鋼板で構成されており、縦横幅の寸法が4m×53cm程度、厚さが5cm程度の大きさである。
前記遮音パネル8の高さ方向のちょうど中間部には、道路方向に沿って凹部8aが形成されている。
なお、詳細に図示することは省略したが、隣接する遮音パネル8、8の間には隙間を塞ぐシール材が取り付けられている。
【0028】
したがって、本発明に係る遮音壁のパネル取付構造は、太陽光発電パネル2の上辺及び下辺が横補強材3へ接合されており、同横補強材3に接合した太陽光発電パネル2を支柱10の湾曲部に沿って馴染むように配置し、支柱10の湾曲部へは、くの字形状の縦補強材4をパネル受け部材7を介して連結した構成なので、前記太陽光発電パネル2が支柱10の湾曲部間において道路側Aへ向いて一段落ち込む不具合がなく、同支柱10の湾曲部に沿って馴染む配置でパネル2を設置させることができ、外部から見た意匠性、景観性に優れた遮音壁を構築できる。
【0029】
また、支柱10の湾曲状態が如何に関わらず、パネル受け部材7を介して支柱10へ連結する縦補強材4の屈曲角度を、前記支柱10の湾曲形状に合わせて適宜変更させるだけで、支柱10の湾曲状態に対して柔軟に対応させることができ、太陽光発電パネル2を容易に確実に支柱10の湾曲部間へ設置させることができる。
【0030】
更に、支柱10、10間に沿って配置された太陽光発電パネル2は、それぞれ個別に上下の横補強材3へ接合した構成であるから、損傷した太陽光発電パネル2は、前記接合部分の解除により他の太陽光発電パネル2の取り付け状態を損なうことなく前記横補強材3から単独に取り外して新たな太陽光発電パネル2に取り替えることができる。
【0031】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は実施例の構成に限定されるものではない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含むことを念のため申し添える。