(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
しばしば、所与のプローブ点に対しターゲット点の一部集合内の最も近い点を見いだす必要がある。ボロノイ図とそのより高次の類似物を含む様々な技法が、過去用いられてきた。ボロノイ図は空間を凸領域に分割し、そのそれぞれが他の全てのターゲット点よりもその含有ターゲット点により近い全ての点を含む。独力でボロノイ図を作成することは所与のプローブ点に対し最も近い点の発見を加速せず、凸領域を依然として直線的に(平均して半分)探索し、どれがプローブ点を含むかを判定しなければならない。
【0014】
少数の点集合(例えば、10未満)については、最も効果的な検索は単純な線形探索とすることができる。ターゲット集合の基数が大きくなるにつれ、より複雑なデータ構造がより価値あるものとなる。適度な次元の照会に用いられてきたこの種の2つのデータ構造は、2値空間分割(BSP:binary space partitioning)ツリーと4分岐ツリーとそのより高次の類似物である。これらデータ構造については、終端ノードは表現された領域の一部にとって最も近い点である全ての点のリストを含む。一つの手法は、3次元空間を小立方体からなる3次元空間に分割し、各小立方体内に小立方体の中心の所要距離内の全ての点のリストを保存するものである。色のより高次のビットだけを検討することで、最も近いと思われる点のリストを含む小立方体を素早く見いだせるようになる。
【0015】
ここでは、ターゲットおよびプローブ点として使用する色が若干(小さい)量の誤差をもって計測される応用例に関心がある。ターゲット点は平均色に関し何らかの分布を有するサンプルであり、その全てが同じ名目色に対応する。名目色は一部印刷機用のCMYK等の装置に依存する色説明を用いて特定しえ、ターゲット点はその名目色のパッチ群から計測されたRGB値のサンプルとしうる。色空間内の場所に応じて、分布形状は変化しよう。例えば、分離色が一つだけゼロでない場合、3次元色空間では分布が直線(または曲線)に(ほぼ)限定されると予想される筈である。2つの分離色がゼロでない場合、分布は2次元面に(ほぼ)限定される筈である。さらに、3以上の分離色が存在するときは、3次元の点集合は分布を表わしうる。集合は径方向に対称となりうるが、そうなるであろうことを想定する理由は皆無である。それは適切に選択された色空間内では概ね楕円体と予想される筈であるが、楕円体の軸は他の一部色空間内で湾曲することがある。
【0016】
計測されたデータに代え、知覚された色は類似の方法にて表わしうる。ここでは、計測し特定した色から命名した色への写像に関心を有する筈である。例えば、名目色は「スカイブルー」として与えられると、分布は名称「スカイブルー」をもって一部観測者あるいは観測者群が記述した全ての被計測色を含む筈である。
【0017】
近似(2次元)ボロノイ図を計算する一つの方法は、ラスタ拡大に基づくものである。一言で言えば、距離群の配列(ラスタ)は最大の表現可能な値に初期化される。次に、各点は距離0と共にその対応場所に入力される。初期点の入力とは、アレイへのシード付けを指すものとする。点標識が小さな整数である場合、その高次部分に距離が含まれる単一ワードの低次部分にそれらを詰め込むことができる。一回のパスで、各場所の距離を左上の3箇所の距離と比較し、これらの点に対する距離によって強化する。その隣接箇所に保存された距離に加え一部隣接箇所への距離がその点に既に保存された距離未満である場合、その点に保存された距離とその標識を更新する。距離算出法は、算出領域の形状に影響を及ぼす。
【0018】
ラスタ準拠ボロノイ図は、適度な精度の座標を用いて容易に表わすことのできる任意の点集合について、何らかの最も近い規程を求め、「最も近い」点を見いだす簡単な近似方法を提供する。3次元への類比は、2次元版に対する直接的な拡張である。より高次のものは等しく直接的であるが、次数が増大するにつれメモリ要件は急速に増大する。
【0019】
特定の距離関数は、そのアルゴリズムに対しより無理なく適合するものとなる。本方法は、僅かに変異させたものを適用する。既知の最も近いターゲット点に対するセルのそのときの実際の距離を保存し、領域が既に既知のターゲット点を有するセルを含むときに、新規候補ターゲット点までの実際の距離を算出し、比較に用いる。かくして、距離算出時に任意の(妥当な)色距離測定基準を用いることができる。
【0020】
ラスタ準拠ボロノイ図は、当然のことながら点からオブジェクトへ拡張される(オブジェクトをフレームバッファにラスタ化し、続いてその領域を成長させる)。本願明細書に記載するのは、単一点から点集合へ移行させる若干異なる拡張形態である。集合中の各点は同一の名目色を有しており、色名(人間による観察から特定される)を共有する点から、もしくは同一の着色剤仕様をもって印刷される点から帰結しえ、そこで計測される。ラスタが距離情報を提供するために、それをより限定的な用語「ボロノイ図」から識別すべく、これを「近接アレイ」と呼ぶ。各点はその固有の色座標を有しており、これが近接アレイにシードする箇所を特定し、さらに距離算出に用いられる。加えて、各位置はその名目色に対し一つの基準を有し、通常同じ名目色を有する多くの点が存在する。一旦近接アレイが構築されると、照会は照会点を含むセルを発見することと発見された名目色を戻すこととを含む。
【0021】
図1は、同じ名目色が複数回(6色)登場する近接アレイ10の一例を示す。白黒文書内で6つの色それぞれを識別すべく、各色は
図1に表わされ、残る全ての特徴は平行線やドットあるいは灰色の陰影からなる固有のフォーマットにより表わされる。イエローグループ12は、右下方に傾斜する対角平行線模様により表わされる。マゼンタグループ14は、右上方に傾斜する対角平行線模様により表わされる。シアングループ16は、対角平行線模様により表わされる。オレンジグループ18は、垂直な平行線模様により表わされる。グリーングループ20は、水平な平行線模様により表わされる。最後に、ブルーパッチ22はチェス盤パターンにより表わされる。
【0022】
図1の近接アレイ10は、先に説明したように、拡大することができる。この点で、
図2は2個の拡大パス後の拡大近接アレイ24を示す。イエローグループ32は、右下方に傾斜する対角平行線模様により表わされる。マゼンタグループ34は、右上方に傾斜する対角平行線模様により表わされる。シアングループ36は、対角平行線模様により表わされる。オレンジグループ38は、垂直な平行線模様により表わされる。グリーングループ40は、水平な平行線模様により表わされる。最後にブルーパッチ42はチェス盤パターンにより表わされる。
【0023】
近接アレイは比較的高速で構築され、グリッドの解像度に応じた誤差範囲内で最も近い色を、極めて素早く所与のプローブ色に対し提供する。セルごとに32ビット(名目色のテーブルへのインデックスに8ビット、最も近い名目色までの距離について24ビット)を割り当てることで、色空間を3次元のそれぞれに最大128個の2値に分割するテーブルは、最新の機械では問題のない32メガバイトを必要とする。各次元に64個の2値を用いることで、良好な結果を得ることができ、アレイの構築に4メガバイトしか必要としない。メモリが極めて高価である場合、一旦アレイを算出すると距離を廃棄し、サイズ全体を1メガバイトに低減することができる。
【0024】
パッチコードは一連の色パッチであり、そのそれぞれは較正の有無に拘わらず任意の印刷機に対し互いに容易に識別される色の集合から選択される。パッチコード用の優れた候補は、原色着色剤であるシアン、マゼンタ、イエローと、副次的混合物であるレッド、グリーン、ブルー、フサザキズイセンホワイトや中間調グレーである。ブラックは、ブルーと混同する可能性があるために使用しない。また、優れたブラックの描画にはしばしばシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)とブラック(K)の最適な組み合わせが必要である。これには、較正時には未知と思われる印刷工程の詳細な知識が必要である。8個のパッチコードのこの集合により、各パッチは3ビットのデータ、すなわち8進番号付けシステムにおける単一桁がエンコードできるようになる。
【0025】
例示実施形態は、単一パッチの情報密度を増すことで第867号特許やその他の方法を踏まえた改善を提供するものである。すなわち、より少ない頁面積がパッチコードに費やされる。パリティ検査と、ことによればエラー検出と補正コードとを追加することで、耐性はさらに確実なものとされる。例示実施形態は、較正工程においてより多量のパッチを使用する(このことで耐性を高める)ことで米国特許出願第2008/0104773号を改善し、デコード工程は距離計算を用いることなく達成される(これが速度を高める)。
【0026】
図3は、例示方法を実施するデジタル画像処理装置100を概略的に示すものである。例示実施形態に従い形成されるデジタル画像処理装置100は、デジタル画像処理と他の電子計算処理とを実行する画像処理ユニット(IPU)102を備える。
【0027】
コンピュータは、IPU102にとっての1つの考えられるハードウェア構成である。独立型アーキテクチャを図示したが、任意の適当な計算環境を本実施形態に従い採用できることを理解されたい。例えば、これらに限定はされないが、独立型マルチプロセッサや分散型クライアントサーバやミニコンピュータやメインフレームやスーパーコンピュータやデジタル方式やアナログ方式を含む計算アーキテクチャを、本実施形態に従って採用することができる。
【0028】
図には具体的に示していないが、IPU102は通常、処理ユニットやシステムメモリ、さらにシステムメモリを含む様々なシステム構成要素を処理ユニットに結合するシステムバスを含む。処理ユニットは、様々な市販のプロセッサのいずれかとすることができる。デュアル方式のマイクロプロセッサや他のマルチプロセッサのアーキテクチャもまた、処理ユニットとして用いることができる。
【0029】
システムバスは、メモリバスやメモリコントローラや周辺バス、さらに様々な市販のバスアーキテクチャのいずれかを用いたローカルバスを含む幾つかの種類のバス構造のうちのいずれかとすることができる。コンピュータメモリは、リード・オンリー・メモリ(ROM)とランダム・アクセス・メモリ(RAM)とを含む。起動期間中等にコンピュータ内の要素間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含むベーシック入/出力システム(BIOS)は、ROM内に格納されている。
【0030】
IPU102はさらに、例えば着脱が可能なディスクに対し読み書きするハードディスクドライブや磁気ディスク、さらに例えばCD−ROMディスクを読み出したり、他の光学媒体に読み書きしたりする光学ディスクドライブを含めることができる。IPU102は通常、少なくとも何らかの形のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータがアクセスすることのできるあらゆる入手可能な媒体を含めることができる。
【0031】
幾つかのプログラムモジュールは、オペレーティングシステムや1以上のアプリケーションプログラムや他のプログラムモジュールやプログラム非干渉データを含め、ドライブ群やRAM内に記憶させることができる。IPU102内のオペレーティングシステムは、数ある市販のオペレーティングシステムのうちのいずれともすることができる。
【0032】
IPU102は、当分野では十分理解されている如く、入力として画像を受け取り、その画像を表わすデジタルの画像データを抽出するデジタル画像スキャナ104に作動可能に結合してある。本願明細書に使用する用語「スキャナ」は、画像データを受け取り、そこからデジタル画像データを抽出する全てのデバイスを包含することを意図する。スキャナ例には、入力として印刷された画像を受け取る文書スキャナや入力として光学画像を受け取るデジタルカメラが含まれる。IPU102は、入力としてスキャナ104からデジタル画像データを受け取る。
【0033】
色較正アプリケーションにとって、耐性を最大化するため、オペレータ要員が被印刷画像を操作しなければならない回数を最小化することがしばしば望ましい。それ故、分光測光値(較正データ)を走査するスキャナがジョブ識別情報もまた走査することが好ましい。通常較正に用いられる分光測光式スキャナは、特定の座標に移動し、続いて色値の走査を開始する。この種のスキャナは、Gretag分光測光器(X−Rite社製)とすることができる。この種のスキャナの使用は、このモードで機能するであろうエンコード方式の実装をもたらし、そのモードではジョブ識別データが一つのプロトコルに従い、較正データのフォーマットにほぼ等しいフォーマットにて印刷される。パッチコード方式は、上述の核心を満たすものである。
【0034】
一部用途では、RGBスキャナ等の非分光測光式スキャナを印刷機較正に用いることができる。この種のスキャナはより高い空間解像度を有し、多くの形態の識別のいずれにも使用しうるが、較正頁からのパッチの読み取りに使用するソフトウェアはパッチコードの読み取り用にも容易に適合させることができる。さらに、分光測光器を有する非分光測光式スキャナの特性解明時等にいずれかの装置により読み取って識別することのできるシートを所持することは時として有用である。
【0035】
IPU102はまた、IPU102からデジタル画像データを受け取る1以上の出力デバイス106に作動可能に結合してある。1(または複数)の出力デバイス(106)は、後程の検索用にデジタル画像データを保存するデジタルデータ記憶デバイス(例えば、CD−ROMや磁気媒体や他の記憶媒体)や、デジタル画像データに基づき視覚画像を生成するビデオ表示端末および/またはデジタル画像データに基づき「ハードコピー」印刷画像を生成する印刷機で構成することができる。
【0036】
本願明細書に示す如く、IPU102はコンピュータネットワーク112に随意選択的に接続される。かくして、IPU102は、これを接続した任意の1(または複数)のネットワークとの間でデジタル画像データを送受信することができる。IPU102は、1(または複数)の遠隔コンピュータ等の1以上の遠隔コンピュータに対する論理的および/または物理的接続を用いてネットワーク接続環境内で動作させることができる。1(または複数)の遠隔コンピュータは、ワークステーションやサーバコンピュータやルータやパーソナルコンピュータやマイクロプロセッサ準拠娯楽器具やピアデハイスあるいは他の供用ネットワークノードとすることができ、通常はコンピュータに関し記述される要素の多くあるいは全てを含む。図示の論理接続は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)とワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む。LANネットワーク接続環境に使用すると、コンピュータはネットワークインタフェースあるいはアダプタを介してローカルネットワークに接続される。WANネットワーク接続環境に使用すると、コンピュータは通常モデムを含むか、あるいはLAN上の通信サーバに接続され、あるいはインターネット等のWAN上で通信を確立する他の手段を有する。ネットワーク接続環境にあっては、コンピュータあるいはその一部に関する図示のプログラムモジュールは遠隔記憶装置内に格納することができる。本願明細書に記述するネットワーク接続は例示的であり、コンピュータ間で通信リンクを確立する他の手段を用いることができることを理解されたい。
【0037】
IPU102はまた、デジタル画像処理に関連するデータを記憶するデジタル画像データベース108に作動可能に結合してある。デジタル画像データベース108は、単純な固定式磁気ディスクドライブおよび/または着脱可能な磁気ディスクや、光学式記憶媒体を受け取る光学式媒体読み取り器(例えば、CD−ROM入力デバイス)および/またはデジタル画像記憶媒体を含みかつ/または受け取って読み取る他の任意の適当なデジタル画像データ記憶デバイスとすることができる。
【0038】
図3の装置100には、IPU102に作動可能に結合されるユーザインタフェース(UI)110を随意選択的に含めることができる。任意の適当な入/出力デバイスを備えるUI110をユーザが用い、画像処理ユニットとの間で情報を受け取り、情報を入力する。適当なユーザインタフェース装置には、キーボード/キーパッド、機械式ボタン/スイッチ、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを有するビデオ表示端末、ジョイスティックやマウス等のポインティングデバイス、音声指令入力デバイス、タッチスクリーンおよび/またはそれによってユーザがIPU102との間で情報を受け取り、情報を入力することのできる他の任意の適当な入/出力デバイスが含まれる。
【0039】
UI110と1(または複数)の出力デバイス106に関連し、若干の重複を存在させることが可能である。例えば、出力デバイス106のビデオ表示端末あるいは画面もまたUI110の一部とし、ユーザに対し視覚情報を提供することができる。
【0040】
IPU102を含め
図3に従って形成される装置は、多種多様な周知のシステムにより提供することができる。例えば、
図3の装置100は静電写真式すなわち電子写真式デジタル画像再生装置(すなわち、デジタル複写機)により提供することができる。
【0041】
図4を参照するに、近接アレイの例示使用方法が図示してある。本方法は、
図3に示す装置100を用いることができる。例示方法は、図示のものよりは少数あるいは多数、もしくは異なる工程を含めることができ、必ずしも例示した順で進めるとは限らないことを理解されたい。
図4に示す方法は、コンピュータにより実行することのできるコンピュータプログラム製品内に実装することができる。コンピュータプログラム製品は、そこに制御プログラムを記録する有形のコンピュータ可読記録媒体(ディスクや他の記憶保存デバイス)とすることができ、あるいは制御プログラムがデータ信号として具現される伝送可能な搬送波とすることができる。図示の方法は全体的に自動化でき、あるいは本願明細書に特記する如く何らかのユーザ入力を含めることができる。
図4に示す如く、例示方法は、出力デバイス106を用いてパッチコードを較正し、後程読み取れるよう各パッチコードの一連の写しを印刷する工程(201)と、印刷されたパッチをデジタルスキャナ104を用いて走査する工程(202)と、続いて近接アレイ内の生成値(名目色と実体色)をデータベース108に保存する工程(203)とを含むものである。
【0042】
較正シート内のコードパッチは、デコード工程が印刷機の個体差に起因するエラーを生み出しにくくするよう付加する何らかの無作為抽出された変分を有する。無作為抽出変分は、分離色ごとに適用される。すなわち、パッチすなわち例えば50%シアンが、実際の印刷機と同一モデルの印刷機との間の個体差範囲を網羅すべく想定された或る値sについて、50%±sを用いた較正用に印刷される筈である。その一方で、100%レッドのパッチが、マゼンタとイエローのそれぞれについて(独立して)100%から100%−sまでの範囲を用いた較正用に印刷される筈である。
【0043】
先に説明したように、本出願に使用する近接アレイは、各場所(ボクセル)がパッチの走査値とパッチ内に印刷された名目色とを含む色空間を記述する3次元データ構造をなす。
【0044】
本願明細書に使用する用語「ボクセル」は、3次元空間内の正規グリッド上の所定領域を表わす体積要素である。これは、ビットマップ内の2D画像データを表わすピクセルに類似するものである。ビットマップ内のピクセルについては、ボクセル自体は通常その位置(その座標)をそれらの値と共に明示的にエンコードされてはいない。その代りに、ボクセルの位置は他のボクセルに対するその位置(すなわち、単一の空間画像を作り上げているデータ構造内のその位置)に基づき推測される。
【0045】
全ての較正パッチが近接アレイ内に入力された後、各配列場所が名目色と実体色とを含み、実体色がその配列場所に対応する色に最も近い識別された色となるまで、画像処理ユニット102により拡大工程(204)が反復実行される。
【0046】
拡大工程(204)では、ボクセルは隣接ボクセルに拡大される。すなわち、所与の名目色を有する原ボクセルが識別され、続いて隣接ボクセルが占有されているかどうかについて判定がなされる(205)。隣接ボクセルが未だ占有されていない場合、それは原ボクセルの名目色値を受け取る(206)。隣接ボクセルが占有されている場合、その値は隣接ボクセルの場所がそのボクセル内の既にある色よりも原ボクセルの色に近い場合にのみ置換される(207)。「より近く」は様々な仕方で計測することができ、好ましくはマンハッタン距離(すなわち、軸に沿って直角に計測される2点間の距離)でないことに留意されたい。各パスごとに、最も近い隣接部を検討する。拡大パスは、パス上でのボクセル変化が皆無であるときに停止する。例示方法にはまた、ターゲット色の受け取りや、ターゲット色を用いた近接アレイに対するインデックス付けや、ターゲット色に対応する名目色の特定を含めることができる。名目色が、自然言語における実体色名や自然言語における色名の引用のいずれにもできることに留意されたい。
【0047】
随意選択的には、例示方法にはパッチコードに対応する複数のパッチの1以上の写しの印刷と、続く実体色を被計測色とする印刷パッチの計測とを含めることができる。印刷パッチの計測工程には、スキャナを用いた印刷パッチの走査や、少なくとも1つのパッチの配置や、パッチ内でのピクセル値の平均を含めることができる。
【0048】
この方法を用いても、個別印刷機は較正されず、何故なら上記の較正工程は代表的な印刷機とスキャナしか必要としないからである。
【0049】
より具体的には、ページごとのコード番号は1以上のパッチコードにエンコードされ印刷される。続いて、その頁を走査し、パッチコードのパッチのレッド、グリーン、ブルー(RGB)を近接アレイ内で直接調べ、印刷された名目パッチコード色を取得する。パッチコード色の生成にどの色を重ね刷りするかを知ることで、コード番号のビットを再生してコード番号を生成する。
【0050】
例示実施形態は、任意の下地色の重ね刷りで出来たパッチコードを可能にする。本方法は、シアンとマゼンタとイエローの下地色をテストして8色の重ね刷りを生成し、パッチごとに3ビットの情報を見込み、さらにシアンとハーフシアンとマゼンタとハーフマゼンタとイエローとハーフイエローについて、27個の変異色、すなわちパッチごとに4ビットまたは5ビットの情報を可能にする。デコーダの耐性を低減することなくパッチごとにより多数のビットが見込めるよう、慎重に選択された他の色を用いることが可能である。各分離色ごとの4つのレベル(0と1/3と2/3と1)において、本方法は何らかの曖昧な色、すなわち異なる名目色を有しながら、拡大前に同じ近接配列場所に写像される色に遭遇していた。近接アレイ内に先ず色を挿入した際に衝突が発生すると、各対のうちの一方を除外しうる。試用した印刷機(4レベルでもって開始)では、3レベルだけの使用で考えられる27をずっと上回る考えられる64個のうち61個が残った。あらゆる実体色集合を用い、衝突を最小化するよう選択することができる。実際には、印刷機/スキャナの組み合わせ時に、4レベルについて(0と0.25と0.5と1.0)を用いた。
【0051】
完全な無彩色成分置換(GCR:grey component replacement)の使用が、曖昧さの機会を低減する。第1に、C=M=Y>0を用いて印刷される筈の色は、単純な完全GCR方式を採用する場合に3次元ではなく1次元で変化する。GCRは、ブラックインクをブラック加色と等価なシアンとマゼンタとイエローの組み合わせとして使用する色分離技法である。第2に、2色分離を用いて印刷される筈の色、すなわち同一色および1/3上回る(例えば、1/3,1/3と2/3)色は、2色分離しか用いない色と、可変すべき1つ少ない次元とで置換される。完全GCRの使用は、4レベルシステムの曖昧色の数を11から5へ低減する。一回のテストでの衝突の組み合わせであるために、これは利用可能な色の総計を(64から)60に低減するだけである。
【0052】
エラー検出・訂正コードの使用は、先行技術に対する改善を提示する。最も単純な実施形態では、これはパッチ対ごとに1つのパリティビットで構成される。パッチごとにより多くの数のピットをエンコードするときのその耐性が故に、例示実施形態は例えばより少数のパッチコードが必要とされ、かくしてエラー訂正および検出用により多くのビットを無視できる点で米国特許出願第2008/0104773号明細書を超える利点を提示する。
【0053】
上記の例示的方法におけるスキャナの使用は、限定を意図するものではない。XRITE・DT41等の分光測光器をその代りに用い、被計測出力信号としてL*a*b*等の装置とは無関係の色を提供しうる。これらの値はそこで、スキャナ使用時にパッチ平均RGB値と全く同様に使用しうる。
【0054】
印刷物をその上にスポット色ロゴを用いて作成したとき等に、印刷物の一回の走査から元々印刷された分離色を抽出することは、時に望ましいことである。再印刷前に一回の印刷物走査から分離スポット色を取得することは、有益な筈である。また、情報難読化領域にあっては、重ね置きされた分離色に幾つかの単色画像を印刷し、スクランブル処理された外観を有する画像を生成し、その画像を走査時に原画像に対し再分離することができる。同じ機能性が、色を重ねて配置したバーコードの処理に必要とされる。一般的なスキャナのRGBセンサは、印刷機のCMYトナー群に合致しないという事実が故に、反転RGBスキャナの色分離を直接使用する単純な方法は機能しない。
【0055】
要するに、下記方法は近接アレイを構築するが、それは先の説明では3次元アレイであり、各場所にその場所に対応する実体色に最も近い名目色を含むものである。
【0056】
パッチコードを参照した前記方法は、50ピクセル台に亙る色のパッチに対し良好に機能するが、中間色ドットの大きさのパッチについては全く同様には機能しない。大きなパッチを用いると、パッチ平均化工程においてパッチ領域のエッジが無視されることがある。エッジピクセルは、エッジ両側の色の中間にある色を含んでおり、本方法では誤分類される筈である。ピクセルレベルにおいて中間色ドットを取り扱うときに、平均は全く行なうことができず、エッジピクセルを排除することはできない。
【0057】
下記に説明する代替実施形態は、CMY空間の角部で色のみを用い、続いて考えられる各原色対と重ね刷りの組み合わせとの間の色空間内の線に沿った較正工程に色を付加することでエッジピクセルの問題を解決するものである。ここで、1以下の分離色が印刷される箇所のあらゆる色を平均すべく「原色」が採用される(すなわち、CMY空間では、それはシアンとマゼンタとイエローとホワイトの4色となる筈である)。同様に、少なくとも2つの分離色を印刷する箇所の任意の色を平均すべく「重ね刷り」が採用される(ここでも、CMY空間では、それはレッドとグリーンとブルーとブラックの4色となる筈である)。前述の如く、近接アレイに中間線色が追加されると、印刷と走査において見いだされた個体差を補償すべく無作為に抽出された変分がその色に付加される。実際には、64×64×64の近接アレイを用い、近接アレイ内で著しい衝突を伴うことなく、色対間の線に沿う4つの工程で較正することができる。デコード工程は、上記とまったく同様に進行する。
【0058】
本願明細書に記載する代替実施形態の様々な用途が存在する。この点で、例示方法にはさらに印刷機上で少なくとも2色分離用の較正概念を含めることができる。すなわち、少なくとも2つの原色あるいは重ね刷り色からなる少なくとも2つの写しを印刷し、2つの別個の原色あるいは重ね刷り色の線形組み合わせである少なくとも1つの色からなる少なくとも2つの写しを印刷し、印刷色を計測するが、ここでは実体色が被計測色となる。さらなる特徴を、下記に記載する如く組み込むことができる。
【0059】
1. スポット色分離 印刷機がスポット色分離を有する場合、スポット色を含んで先に作成された印刷物を走査し、再印刷前にスポット色チャネルを再分離できることが望ましい。スポット色分離を用いないと、スポット色を含む印刷物で作成された写しはそのスポット色を処理色内で再生されることになる。この例示方法は、通常のCMY分離にスポット色を加えたものについて較正し、この処理を遂行することができる。デコード工程期間中、画像バッファを維持管理し、スポット色が走査画像内の何処で検出されたかを示す。画像内の各ピクセルごとに、近接アレイ内でピクセル色を調べ、そのピクセルについての名目色を取得する。この名目色を用い、スポット色が走査ピクセルに存在するかどうか判定する。その色が存在する場合、画像バッファ内の対応するピクセルを設定し、そうでない場合は設定から外す。そこで画像バッファを用い、走査画像の写し用にスポット色を適当な場所に印刷することができる。
【0060】
この点で、例示方法はさらに少なくとも2つの別個の原色を用いた少なくとも2つの中間色画像の印刷を含み、ここでは原色は少なくとも2つの別個の中間色画像を印刷した色となる。随意選択的には、2つの別個の原色の少なくとも一方をスポット色とすることができ、原色に少なくとも1つのスポット色を含めることができる。
【0061】
2. 情報の難読化 原色ごとに中間色の単色画像を重ね刷りし、難解な印刷物を生成する。走査デコード時に、原画像を再生することができる。こうして、情報は日常的な観測から難読化することができる。デコード工程期間中、画像バッファは主要分離色ごとに維持管理される。走査画像内の各ピクセルにとって、ピクセル色を近接アレイ内で調べ、そのピクセルについての名目色を取得する。この名目色は、どの原色がそのピクセルに重ね刷りされたのかを判定するのに用いられる。画像バッファ内の対応ピクセルは、どの色を重ね刷りして画像バッファ内で中間色の単色画像を再生したのかに基づき設定されるあるいは設定から外される。
【0062】
3. 着色バーコード Morgana et al.による「Colored Barcode Decoding(着色バーコードのデコード)」と題する米国特許出願第2010/0025472号には、後続の走査用に原色分離過程で多くの単色1次元バーコードを重ね刷りし、個々のバーコードへデコードする方法が記載されている。出願時点での最良の色デコードは、米国特許出願第2008/0104773号に基づくものであり、同出願はパッチ準拠デコーダである。着色バーコードはピクセル単位を基準に処理する必要があるため、デコードされたバーコードから分類誤差を除去すべく多数の除染工程を実行した。本願明細書に記載した例示的実施形態では、はるかに少ない分類誤差が作成され、工程が1つ少ない除染工程が要求される。削除された除染工程は、ピクセル列を列平均で置換する工程である。その工程は、バーコードが処理前に既に歪み解除されていることを要求するものであった。例示実施形態は、歪んだ着色バーコードの色分離を可能にする。
【0063】
加えて、先行技術のカラーバーコードのデコード概念は、列平均工程を行なう考えられる要件が故に1次元バーコードに対する処理に限定される可能性がある。例示実施形態は、2次元カラーバーコードの処理を可能にし、PDF417エンコードを用いて機能することが実証されてきた。PDF417は、様々なアプリケーションや主移送識別カードや在庫管理に使用される積層型直線バーコード記号である。PDFは、ポータブル・データ・フォーマット(Portable Data Format)を表わす。
【0064】
かくして、例示実施形態にはさらに、2つの別個の原色あるいは重ね刷り色を用いたバーコードの印刷を含めることができる。バーコードは2次元バーコードとすることができ、その原色は少なくとも2つの独立したバーコードの色とすることができる。上記のターゲット色を受け取る工程には、少なくとも2つの別個の色あるいは重ね刷りの色を用いて印刷されたバーコードを走査して走査画像を生成する工程と、走査画像のピクセルを選択する工程もまた含めることができることに、留意されたい。