【実施例1】
【0015】
図1にこの発明の実施例を示す。この
図1において、10は、制御機器の1つである押しボタンスイッチの操作部本体である。この押しボタンスイッチの操作部本体10は、配電盤などのパネル20に取付け可能に構成されており、操作用の押しボタン11と、これを支持するフランジ部12と、このフランジ部12に連設された円筒状の胴部13とを備える。
【0016】
胴部13の外周のフランジ部12側に締付けナット15をねじ込むためのねじ14が刻まれている。さらに、ねじ14のフランジ部12に隣接する部分にねじの一部を切り欠いて形成された切欠き凹部14aの中に微小の突起16が設けられている(
図2参照)。
【0017】
この突起16は、
図3に詳細を示すように、円筒状の胴部13の外周にほぼ均等な間隔(90°間隔)で、4個(16a〜16d)設けられている。この突起16は、この実施例では、
図3(b)に示すように、円筒状の胴部13の外周から、これの垂直な直径線Vと並行に突出し、
図5(a)に示すような形状に形成されている。
【0018】
すなわち、突起16は、胴部13の周方向の厚さtが薄く、胴部13の軸方向の幅wおよび高さhは、厚さtより十分大きくされている。そして、突起16のパネル20と対向する前端面Fには傾斜面Sが設けられている。この傾斜面Sは、下端D側から上端U側へ向って前端面F側から後端面B側へ後退し、かつ左側端L側から右側端R側へ向かって前端面F側から後端面B側へ後退する、2方向の傾斜を有する。このように形成された突起16は、周方向の厚さtが薄いため、円周方向に湾曲変形しやすい形状となる。また、前端面Fに傾斜面Sを設けたことにより、押しボタンスイッチの操作部本体の胴部13をパネル20の取付け穴21に挿入した際、傾斜面Sに取付け穴21の内周壁が摺接して突起16に円周方向、すなわち
図5(a)に示す矢印C方向に変形する力を加えるので、突起16が、この方向へ湾曲変形するようになる。
【0019】
この突起の形状は、
図3(b)における突起16aと16cに適用されるものである、突起16bと16dの場合は、突起の前端面Fに設ける傾斜面Sは、前端面Fの上端U側が下端D側へ向う方向の傾斜は突起16aおよび16cと同じであるが、左右両側端方向の傾斜が左側端Lから右側端Rへ向かって後退するようになる。
【0020】
なお、突起16は、胴部13の外周から放射状に突出するようにしても差し支えないが、この場合も、突起の前端面には前記のような傾斜面Sを設けるのがよい。
【0021】
押しボタンスイッチの操作部本体10をパネル20に取付ける場合は、本体の胴部13をパネル20の表面側からこれに設けた取付け穴21に挿入し、このパネル20の裏面側へ突出した胴部13に締付けナット15をねじ込み、この締付けナット15と本体10のフランジ部12とでパネル20を締め付けて固定する(
図4参照)。パネル20に取り付けられた押しボタンスイッチ操作部本体の胴部13の先端側に図示しない着脱自在に構成されたスイッチユニットを結合することにより、パネル取付け押しボタンスイッチが完成する。
【0022】
このように押しボタンスイッチの操作部本体10は、パネル20に取り付けるために、
図3(c)に示すように、胴部13の最大の外径D13は、パネル20の取付け穴21の内径D21より少し小さくして、胴部13がパネル20に設けた取付け穴21に挿通可能に構成する。
【0023】
そして、胴部13に設けた突起16は、押しボタンスイッチ本体10をパネル20に取り付ける際に、パネル20の取付け穴21に挿入した際に、本体10から人手の支えを外したとき、これがパネル20から外れないようにこれを取付け穴21に仮固定するために設けたものである。
【0024】
このため、胴部13の突起16a,16c間および16b,16d間の外径D16は、パネル2の取付け穴21の内径D21より僅かに大きく形成され、突起の先端が取付け穴21の内径より外側に突出するようになる。
【0025】
このように構成された、押しボタンスイッチの操作部本体10を、パネル20に取り付けるには、
図1に示すように、胴部13をパネル20の表面側からこれに設けられた取付け穴21に挿入し、パネル20がフランジ部12に当たるまで押し込む必要があるが、その手前で胴部13に突設した突起16がパネル20の表面に当たり、ここで押し込み抵抗が大きくなる。本体10を完全にパネル20の取付け穴21に押し込むためには、ここからさらに、突起16による抵抗に抗して本体10を押し込むことにより、突起16の上端部分がパネル20の取付け穴21の内周壁により押圧されて弾性変形され、又は、圧潰され塑性変形されることにより、取付け穴21内に圧入されて内周壁面を押圧し、本体10をパネル20の取付け穴21に係止し、仮固定することができる。
【0026】
このように押しボタンスイッチの操作部本体10が、突起16によってパネル20の取付け穴21に仮固定されると、本体10から人手の支えを外しても、本体10がパネル20から外れることがないので、パネル20の裏面からの締付けナット15の本体10の胴部13へのねじ込み作業を、パネルの裏面へ手を回すことができないような大形の配電盤の取付けパネルであっても作業者一人で容易に行うことができる。
【0027】
この発明は、取付けパネル20の取付け穴21に挿入する操作部本体10の円筒状の胴部の外周に取付け穴の内径よりも僅かに大きな外径となる微小の突起16を設け、操作部本体10をパネル20の取付け穴21に挿入してこれに押し込む際に、この突起16の上端部をパネル20の取付け穴21内に変形させて圧入することにより、取付け穴21内に入りこませ、突起16の上端を取付け穴21の内周壁に圧接させることにより、操作部本体10をパネル20に係止させて、仮固定するものであるので、操作部本体10の取付け穴21への押し込みを容易にするために、胴部13の外周に設ける微小突起16は、変形しやすい形状にするのがよい。
【0028】
突起16の形状の変形例を
図5に示す。
図5(a)に示す突起16は、胴部13の軸方向の幅w、および胴部13の半径方向の高さhに対して、胴部13の円周方向Cの厚さtを薄く構成して胴部13の円周方向Cに湾曲変形しやすくしたものである。押しボタンスイッチの操作部本体10の胴部13の外周にこのような形状の突起16を設けた場合は、本体10の胴部13を取付けパネル20の取付け穴21に挿入し、押し込むことにより、突起16の前端が取付け穴21の内周壁により押圧されたとき、胴部10の円周方向Cに湾曲変形して取付け穴21内に入り込みやすくなる。
【0029】
また、この
図5(a)の突起16の場合は、突起16の前端面Fに下端Dから上端Uに向かって後端面側へ後退する傾斜面Sを設けるようにすると、押しボタンスイッチの操作部本体10の胴部13を取付けパネル20の取付け穴21に挿入するとき、この突起16の傾斜面Lが取付け穴21の周壁により案内されることにより、胴部13と取付け穴21との中心位置合わせが自動的に行われるようになる。
【0030】
そして、この突起16の傾斜面Sに設けられたこの傾斜面の左側端L側から右側端Rへ向かって後端面B側へ後退するもう一つの傾斜は、押しボタンスイッチ本体10をパネル20の取付け穴21に挿入し、押し込む際に、取付け穴21の内周壁が突起16に円周方向に変形する力を加え、突起16を、
図3(c)に点線で示す突起16´のように湾曲変形させる作用をする。
【0031】
図5(b)に示す突起16は、胴部13の軸方向の幅wを、胴部13の半径方向の高さh、および胴部13の円周方向Cの厚さtに対して薄く構成して胴部13の軸方向Aに湾曲変形しやすくしたものである。この形状の突起を設けた場合は、本体10の胴部13を取付けパネル20の取付け穴21に挿入し、押し込むことにより、突起16の先端が取付け穴21の周壁により押圧されたとき、胴部10の軸方向Aに湾曲変形して取付け穴21内に入り込みやすくなる。
【0032】
次に、
図5(c)に示す突起16は、半球状の形状にして、突起の上端を細く形成したものである。また、
図5(d)に示す突起16は、角錐状又は円錐状の形状にして突起の上端を細く形成したものである。
【0033】
図5(c)および(d)に示すように突起16の上端部が細くなるように形成すると、突起16の上端部が機械的剛性および強度が弱くなるので、押しボタンスイッチの操作部本体10の胴部13を取付けパネル20の取付け穴21に挿入したとき、突起16の先端部が取付けパネル20の取付け穴21の周壁により押圧されて容易に変形又は圧潰されるため、突起16の上端部を容易に取付けパネル20の取付け穴21内に圧入することができる。
【0034】
前記では、この発明をパネル取付け押しボタンスイッチに適用した実施例について説明したが、パネル取付けの表示器等のその他のパネル取付け制御機器にも適用できる。