(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体装置のリードを、前記半導体装置の実装面側からその反対面に向けて半抜きすることにより、前記リードの前記実装面側に前記リードの先端側を向く段差面を形成する工程と、
前記リードを覆うめっき膜を形成する工程と、
前記リードを前記段差面の延長面に沿って切断することにより、前記リードにおける前記段差面よりも先端側の部位を除去する工程と、
前記リードにおける前記実装面とは反対側の面の前記めっき膜を、前記リードの先端面側へ圧延する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
前記めっき膜を圧延する工程では、前記リードを押圧する押圧面が平坦な押圧部材により、前記リードを押圧することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
前記めっき膜を圧延する工程では、前記リードを押圧する押圧面に、前記リード側に突出する突起が形成された押圧部材により、前記リードを押圧することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0015】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により加工されたリード20の形状を示す模式図であり、このうち
図1(a)は正面断面図、
図1(b)は側面図(リード20の先端面を正面から見た図)である。
図2は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置100を示す模式図であり、このうち(a)は正面図、(b)は側面図である。
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)及び
図5(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す模式的な正面断面図である。
図6はリードカット後のリード20の形状を説明するための模式図であり、このうち
図6(a)は正面図、(b)は(a)の拡大図、(c)は(b)の側面図(リード20の先端面を正面視した図)である。
図7は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示すフローチャートである。
【0016】
本実施形態に係る半導体装置100は、半導体チップ1と、半導体チップ1を封止している封止樹脂10と、半導体チップ1と電気的に接続され、封止樹脂10から突出しているリード20と、を有する。リード20の先端面は、せん断面22を含む第1領域(半抜き領域25)と、第1領域の上端からリード20の先端面の上端まで形成され、破断面23を含む第2領域(リードカット領域26)と、を含む。第1領域は第1めっき膜31により覆われている。リード20は、破断面23の上方を覆う形状でリード20の先端に向けて突出しているオーバーハング部210を、当該リード20の先端側上部に有している。オーバーハング部210の上面は第2めっき膜32により覆われている。
以下、詳細に説明する。
【0017】
本実施形態では、半導体装置100が
図2(a)及び(b)に示すような表面実装パッケージである場合を説明する。この表面実装パッケージは、例えば、SOF(Small Outline Flat−leaded)パッケージである。SOFパッケージにおいては、フラット形状(ストレート形状)のリード20が平面視矩形状の封止樹脂10の2つの側面からそれぞれ突出している。
【0018】
図2に示すように、半導体装置100は、半導体チップ1、封止樹脂10、及びリード20を有する。半導体チップ1は、図示しないダイパッド上に搭載されている。半導体チップ1とリード20とは、ボンディングワイヤ2を介して相互に電気的に接続されている。封止樹脂10は、半導体チップ1と、ボンディングワイヤ2と、リード20の基端側の部分と、を内部に封止している。リード20の先端側の部分は、封止樹脂10より側方に突出している。
【0019】
封止樹脂10の一方の側面から、複数本のリード20が、互いに平行となるように突出している。同様に、封止樹脂10の反対側の側面からも、複数本のリード20が、互いに平行となるように突出している。
図2(b)には、封止樹脂10の2つの側面から、4本ずつのリード20が突出している例を示している。
【0020】
ここで、
図1を参照して、リード20の詳細な構成について説明する。
【0021】
図1(a)に示すように、リード20の上面及び下面の略全面に、めっき膜30が形成されている。また、図示は省略するが、リード20の正面及び背面の略全面にもめっき膜30が形成されている。また、リード20の先端面の一部分にも、めっき膜30(第1めっき膜31)が形成されている。
【0022】
本実施形態の場合、リード20の先端側の部分(リード先端部201)は、リード20の基端側の部分(リード基端部202)よりも低段となっている。リード20の上面において、リード先端部201とリード基端部202との境界部には、段差面29が形成されている。リード20の先端側の部分の厚みは、リード20の基端側の部分の厚みTよりも、段差d(段差面29の高さ)だけ小さい。なお、リード先端部201の上面201a及びリード基端部202の上面202aは、それぞれ平坦に形成されているとともに、それぞれリード20の底面20aに対してほぼ平行となっている。
【0023】
リード20の先端面は、せん断面22を含む半抜き領域25と、半抜き領域25の上端からリード20の先端面の上端まで形成され、破断面23を含むリードカット領域26と、を含んでいる。半抜き領域25はめっき膜30(第1めっき膜31)により覆われている。
【0024】
リード20は、破断面23の上方を覆う形状でリード20の先端に向けて突出しているオーバーハング部210を、リード20の先端側上部に有している。オーバーハング部210は、破断面23の上方を覆うひさし形状に形成されている。オーバーハング部210の先端部の位置(封止樹脂10からのリード20の突出方向における先端位置)は、リード20の先端面と同一平面に含まれるような位置であるか、又は、それよりも先の位置である。オーバーハング部210の上面はめっき膜30(第2めっき膜32)により覆われている。
【0025】
すなわち、リード20は、その先端面の上部の破断面23を除き、めっき膜30によって覆われている。
【0026】
リード20の先端面の上部の破断面23は、リード20の基端側に向けてえぐれた(窪んだ)形状となっている。
【0027】
リード20の長手方向におけるリード先端部201の長さは、リード20の長手寸法の30%以上であることが好ましい。また、段差dの高さは、リード20の厚さTの10%以上30%以下であることが好ましい。
【0028】
次に、
図3乃至
図7を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
この製造方法は、半導体装置100のリード20を、半導体装置100の実装面側(
図2の下側に相当)からその反対面(
図2の上側に相当)に向けて半抜きすることにより、リード20の実装面側にリード20の先端側を向く段差面(半抜き領域25)を形成する工程と、リード20を覆うめっき膜30を形成する工程と、リード20を段差面の延長面に沿って切断することにより、リード20における段差面よりも先端側の部位を除去する工程と、リード20において実装面とは反対側の面のめっき膜30を、リード20の先端面側へ圧延する工程と、を有する。
以下、詳細に説明する。
【0029】
先ず、半導体基板に素子分離膜を形成する。これにより、素子形成領域が分離される。素子分離膜は、例えばSTI法を用いて形成されるが、LOCOS法を用いて形成されても良い。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する。ゲート絶縁膜は酸化シリコン膜であってもよいし、酸化シリコン膜よりも誘電率が高い高誘電率膜(例えばハフニウムシリケート膜)であってもよい。ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、ゲート電極はポリシリコン膜により形成される。またゲート絶縁膜が高誘電率膜である場合、ゲート電極は、金属膜(例えばTiN)とポリシリコン膜の積層膜により形成される。また、ゲート電極がポリシリコンにより形成される場合、ゲート電極を形成する工程において、素子分離膜上にポリシリコン抵抗を形成しても良い。
【0030】
次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインのエクステンション領域を形成する。次にゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインとなる不純物領域を形成する。このようにして、半導体基板上にMOSトランジスタが形成される。
【0031】
次に、素子分離膜上及びMOSトランジスタ上に、多層配線層を形成する。最上層の配線層には、電極パッドが形成される。次に、多層配線層上に、保護絶縁膜(パッシベーション膜)を形成する。保護絶縁膜には、電極パッド上に位置する開口が形成される。
【0032】
その後、上記のようにMOSトランジスタ及び多層配線層が形成されたウェハをダイシングすることにより、個々の半導体チップに個片化する(
図7のステップS1)。こうして、半導体チップ1(
図2)が得られる。
【0033】
一方で、半導体チップ1が搭載されるダイパッド、リード20等のパターンが形成されているリードフレームを準備する。
【0034】
次に、そのリードフレームのダイパッド上に半導体チップ1を搭載する(マウント工程:
図7のステップS2)。次に、ボンディングワイヤ2によって、リードフレームのリード20と半導体チップ1とを電気的に接続する(ワイヤボンディング工程:
図7のステップS3)。次に、半導体チップ1と、ボンディングワイヤ2と、リード20の基端側の部分と、を封止樹脂10によって封止する(封止工程:
図7のステップS4)。続いて、封止樹脂10を熱硬化させる(熱硬化工程:
図7のステップS5)。次に、封止樹脂10の周囲にはみ出した不要な樹脂を除去する(レジンカット工程:
図7のステップS6)。以上の工程により、
図3(a)に示す状態となる。
【0035】
次に、
図3(b)に示すように、リード20に半抜き用ダイ50を当て、半抜き用パンチ51により半導体装置100の実装面側(裏面側)(
図3(b)の上側)から半抜き(ハーフブランキング)を行う(半抜き工程:
図7のステップS7)。ここで、実装面とは、半導体装置100において、実装基板40(後述)に対して接合される側の面を意味する。
【0036】
すなわち、リード20の先端側を実装面側からその反対面(つまり半導体装置100の表面側)に向けて半抜きする。具体的には、リード20の基端部に対し、半導体装置100の表面側から半抜き用ダイ50を当てる。そして、リード20の先端側の部分に対し、半導体装置100の実装面側から半抜き用パンチ51を当て、該半抜き用パンチ51を実装面の反対面へ向けて押し込むことにより、半抜きを行う。半抜きでは、リード20は切断されない。
【0037】
半抜きを行うことにより、リード20において半抜き用パンチ51が突き当てられた部位には、実装面側を向く凹部27が形成される。凹部27の一部分は、リード20の先端側を向く段差面すなわち半抜き領域25である。リード20において半抜き用パンチ51が突き当てられた部位の反対面は、実装面の反対側に突出する凸部28となる。
【0038】
半抜き領域25は、リードカット後のリード20の先端面(完成品の半導体装置100のリード20の先端面)の一部分を構成する(
図1(a)参照)。
つまり、完成品の半導体装置100のリード20の先端位置に半抜き領域25が形成されるように、半抜きの際における半導体装置100に対する半抜き用ダイ50及び半抜き用パンチ51の配置を設定する。
半抜き量は、例えば、リード20の厚さの50%以上〜80%以下とする。すなわち、半抜き領域25の高さ寸法は、リード厚の50〜80%とする。
【0039】
半抜き量の下限を50%とするのは、基板実装時の半田フィレットの高さをリード20の厚さの少なくとも半分以上とするためである。
【0040】
また、半抜き領域25の上端位置をせん断面22内にとどめるために、半抜き量の上限を80%とする。このようにすることにより、半抜き工程後のバリ取り工程中或いはめっき工程中での振動でリード20が切断されてしまう可能性を低減できる。
【0041】
凹部27の開口端におけるリード20の基端側の部位は、略90度に屈折する屈折部Aであり、凹部27の底部におけるリード20の基端側の部位は、略90度に屈折する屈折部Bである。
凸部28の基端におけるリード20の基端側の部位は、略90度に屈折する屈折部Cであり、凸部28の先端におけるリード20の基端側の部位は、略90度に屈折する屈折部Dである。
屈折部A、B、C、Dは、リード20の長さ方向における位置がほぼ一致している。
凹部27において屈折部Aと屈折部Bとの間の部位が半抜き領域25である。
【0042】
このように、実装面側からその反対面に向けてリード20を半抜きすることにより、リード20の実装面側に、リード20の先端側を向く段差面としての半抜き領域25を形成する。
【0043】
次に、リード20のバリを除去する(バリ取り工程:
図7のステップS8)。
【0044】
次に、リード20に外装めっきを施す(めっき工程:
図7のステップS9)。これにより、
図3(c)に示すように、半抜き領域25を含むリード20の表面の全面にめっき膜30が形成される。
【0045】
次に、
図4(a)に示すように、リード20にリードカット用ダイ52を当て、リードカット用パンチ53により半導体装置100の実装面側からリードカット(本抜き)を行う(リードカット工程:
図7のステップS10)。
【0046】
具体的には、リード20における凸部28よりも基端側の部位に対し、半導体装置100の表面側からリードカット用ダイ52を当てる。また、リード20における半抜き領域25よりも先端側の部位(例えば凹部27の底面)に対し、半導体装置100の実装面側からリードカット用パンチ53を当てる。そして、リードカット用パンチ53を半導体装置100の表面側へ押し込むことにより、リードカットを行う。すなわち、リード20を半抜き領域25の延長面(半抜き領域25を半導体装置100の表面側に延長した仮想的な面)に沿って切断する。換言すれば、リード20の屈折部Bから屈折部Cまでを切断する。これにより、半抜き領域25の延長上に、破断面23を含むリードカット領域26が形成されるとともに、リード20における半抜き領域25よりも先端側の部位が除去(リード20における半抜き領域25から基端側の部位から分離)される。
【0047】
このとき、先に形成した半抜き領域25上のめっき膜30(第1めっき膜31)の一部を下から(
図4(a)では上から下に向けて)巻き上げ、リードカット領域26の一部分をめっき膜30でカバーする。これにより、半抜き領域25の下端からリードカット領域26の高さ方向の途中までめっき膜30が形成される(
図6(b)参照)。つまり、リード20の先端面におけるめっき膜30の形成範囲の高さ寸法は、半抜き領域25の高さよりも高くなり、半田濡れ性が向上する。リード20の先端面におけるめっき膜30の形成範囲の高さ寸法は、リード厚の50%以上となる。
【0048】
ここで、リードカット前の状態では、リード20における半抜き領域25よりも基端側の部分と、半抜き領域25よりも先端側の部分とは、半抜き領域25の上側の部分でのみ繋がっている。また、リードカットは、リード20の凹部27及び凸部28に対してある程度の大きさのクリアランスを持つ金型(リードカット用ダイ52及びリードカット用パンチ53)を用いて行う。これらのため、リード20の上部は引きちぎりに近い切断面となるので、リードカット領域26に破断面23が形成される。
【0049】
ここで、
図6を参照して、リードカット後のリード20の形状の例を詳述する。
【0050】
図6(b)に示すように、リード20の先端面には、半導体装置100の実装面側から順に、ダレ面21、せん断面22、破断面23及び切断バリ24が形成される。
【0051】
半抜き領域25は、ダレ面21の下端からせん断面22の高さ方向途中までの領域である。すなわち、半抜き領域25は、ダレ面21とせん断面22(せん断面22の一部分)とを有する。
【0052】
リードカット領域26は、せん断面22の高さ方向途中から切断バリ24上端までの領域である。すなわち、リードカット領域26は、せん断面22(せん断面22の残りの部分)、破断面23及び切断バリ24を有する。
【0053】
また、リード20の先端面において、半抜き領域25の下端からリードカット領域26の高さ方向の途中までの領域に、めっき膜30が形成される。すなわち、ダレ面21の下端からせん断面22の高さ方向途中までの領域に、めっき膜30が形成される。具体的には、めっき膜30(第1めっき膜31)は、半抜き領域25の略全面に形成される。また、めっき膜30は、リードカット領域26の下端部にも形成される。
【0054】
破断面23は、リード20の厚さの20%程度を占める。リードカット用パンチ53によるリードカット中に、破断面23となる領域内に微小なクラックが発生する。このため、その領域ではリードカット用パンチ53による切断ではなく、微小なクラックに沿った破断が発生する。すなわち破断面23は微小なクラックに沿った破断により形成される。
【0055】
図6(a)及び(b)に示すように、リードカット後の破断面23は、リード20の基端側に向けて窪んだ(えぐれた)ような形状である。この破断面23に露出するリード20の母材は、リード20の真上から確認可能である。
【0056】
ここで、比較例について説明する。
図14は比較例に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置を示す模式的な正面断面図である。
この比較例では、リードカット後に(後述するリード圧延工程を行わずに)半導体装置100を実装基板40上に実装する。すなわち、半田41を介して半導体装置100のリード20を実装基板40に対して電気的に接続する。
このように半導体装置100を実装することにより、リード20の先端面の下部を覆うような半田フィレット41aが形成される。
【0057】
比較例の場合、自動外観検査装置などによる半田外観検査にて、半田フィレット41aとリード20の先端面の破断面(母材露出部)23との識別ができない場合がある。すなわち、画像判定の際に、二値化で同等の画像レベルとなる場合があり、識別ができない場合がある。このため、実際には半田フィレット41aが形成されていない場合でも、半田フィレット41aが形成されていると誤判定される場合がある。
【0058】
破断面23は、リード20の先端側に向けて下り傾斜する傾斜面を含むが、この傾斜面の傾斜角度にはバラツキがある。特に、破断面23の傾斜角度と半田フィレット41aの傾斜角度との差が小さい場合には、2つの傾斜面の反射率が同程度となるため、破断面23と半田フィレットとの識別が極めて困難である。
【0059】
そこで、本実施形態では、リードカットにより形成される破断面23を上側から覆い隠すように、めっき膜30をリード20の先端側に圧延することによって、半導体装置100を実装した後の半田外観検査における誤判定の発生を低減する。
【0060】
すなわち、本実施形態では、リードカット工程に続いて、
図4(b)に示すように、半導体装置100を裏返して圧延用ダイ55上に載置し、リード20の先端部を実装面とは反対側から圧延用押圧部材(押圧部材)56により押圧する。これにより、リード20において実装面とは反対側の面のめっき膜30を、リード20の先端面側へ圧延する(リード圧延工程:
図7のステップS11)。めっき膜30の圧延は、リード20の母材の変形を伴う。すなわち、リード20の母材を先端側へ移動させるとともに、めっき膜30をリード20の先端側へ圧延する(めっき膜30をリード20の先端面側へ延伸させる)。
ここで、本実施形態の場合、リード20を押圧する押圧面56aが平坦な圧延用押圧部材56によりリードを押圧して、めっき膜30をリード20の先端側へ圧延する。
【0061】
この結果、リード20が
図5(a)に示すような形状に変形する。このようなリード20の形状については、
図1を参照して上述したとおりである。
【0062】
ここで、上述したような形状のオーバーハング部210を形成するためには、リード20を圧延する工程にて圧延用押圧部材56により押圧する領域の長さ(リード20の長手方向における長さ)を、リード20の長さの30%以上とすることが好ましい。
また、上述したような形状のオーバーハング部210を形成するためには、リード20において押圧される部位の厚みを元の厚みの70%以上90%以下に減少させることが好ましい。すなわち、段差dの高さは、リード20の厚さTの10%以上30%以下とすることが好ましい。
以上の工程により、表面実装パッケージとしての半導体装置100が製造される。
【0063】
次に、
図5(b)に示すように、半導体装置100を実装基板40上に実装する(実装工程:
図7の図ステップS12)。まず、実装基板40のフットパターン上にそれぞれ半田41を塗布する。そして、対応するリード20と半田41を接続する。これにより、半田41を介して、対応するリード20とフットパターンとが接続される。また、このとき、半田41は、めっき膜30に濡れ広がる。本実施形態では、めっき膜30をリード20底面からリード厚の50%以上まで形成する。このため、
図5(b)に示すように、半田フィレット41aの高さは、リード厚の50%以上となる。すなわち、リード20の先端面に濡れ広がった半田フィレット41aの高さをH、リード20の厚さをTとすると、H≧T/2となる。よって、半田濡れ性の検査時に、自動外観検査装置等による判定が容易となる。
【0064】
また、本実施形態では、上述のように、リードカットによる破断面23を覆い隠すようにめっき膜30をリード20の先端側に圧延するので、破断面23がリード20の上方から見えないようになっているとともに、破断面23の上を覆うオーバーハング部210の上面は、半田フィレット41aとの識別性が良好なめっき膜30(第2めっき膜32)により覆われている。このため、半導体装置100を実装した後の半田外観検査における誤判定の発生を低減することができる。
【0065】
なお、リード圧延工程と実装工程との間には、半導体装置100の電気的特性の検査や、半導体装置100の封止樹脂10に対する刻印の形成などを適宜行う。更に、リード圧延工程と実装工程との間で、半導体装置100をテーピングして出荷する工程があっても良い。すなわち、実装工程は、納入先において行われる場合もある。
【0066】
以上のような第1の実施形態によれば、リード20において、半導体装置100の実装面とは反対側の面のめっき膜30を、リード20の先端面側へ圧延するので、リードカット後の段階でリード20の母材が露出していても、その露出した母材をめっき膜30で覆うことができる。すなわち、半田自動外観装置で誤認識が生じるようなリード20の先端のえぐれ形状の破断面23をリード20の上方から見えないようにすることができる。
よって、リード20を実装基板40に半田接合することにより形成される半田フィレット41aにおいてリード20の先端面の一部分を覆う部位と、リード20の先端面における半田フィレット41aの非形成領域(圧延されためっき膜30である第2めっき膜32等)と、の画像による識別が容易になる。
従って、半導体装置100を実装基板上に実装した後の半田外観検査における誤判定の発生を低減できる。
【0067】
なお、特に車載用のHSONパッケージ(Small Outline No lead Package with Heat sink)などでは、デバイスの熱特性を向上させることを目的に、リードの厚みを大きく設定している。この場合、リードの厚みは、例えば0.4mm以上である。このため、リードの先端の切断時の形状が安定せず、自動外観検査装置での半田フィレット形成不良(基板との接続不良)を判定しにくいことが問題となっている。
これに対し、本実施形態では、リードカット後のリード20の先端の形状がばらついていたとしても、リードカット後にリード20の母材(破断面23)が上方から見えないようにリード20を変形させるので、そのような不具合を十分に抑制することができる。
【0068】
〔第2の実施形態〕
図8は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により加工されたリード20の先端部の形状を示す模式的図であり、このうち
図8(a)は正面断面図、
図8(b)は側面図(リード20の先端面を正面から見た図)である。
図9(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す模式的な正面断面図である。
【0069】
上記の第1の実施形態では、めっき膜30を圧延するリード圧延工程(
図7のステップS11)において、リード20を押圧する押圧面56aが平坦な圧延用押圧部材(押圧部材)56によりリード20を押圧する例を説明した。
【0070】
これに対し、第2の実施形態では、めっき膜30を圧延するリード圧延工程(
図7のステップS11)において、
図9(a)に示すように、リード20を押圧する押圧面57aに、リード20側に突出する突起57bが形成された圧延用押圧部材(押圧部材)57によりリード20を押圧する。
【0071】
これにより、
図8に示すように、リード20の先端部の上面に窪み220が形成されるとともに、それまでその窪み220の位置に存在していたリード20の母材がリード20の先端側に押し退けられて、リード20が変形する。また、その変形に伴い、リード20の上面のめっき膜30がリード20の先端側に圧延される。
従って、破断面23の上方を覆う形状でリード20の先端に向けて突出しているオーバーハング部210が、リード20の先端側上部に形成されるとともに、オーバーハング部210の上面はめっき膜30(第2めっき膜32)により覆われた状態となる。
【0072】
ここで、本実施形態におけるリード圧延工程では、圧延用押圧部材57によりリード20の押圧する力を、例えば、リード20の上面に窪み220が形成される程度にとどめる。すなわち、リード20の段差面29(
図1(a))が形成されないようにする。従って、リード20の厚みは、基端側から先端側に向けてほぼ一定となる。
【0073】
圧延用押圧部材57の突起57bは、例えば、丸みを帯びた形状である。より具体的には、突起57bは、例えば、下向きの半円柱状の凸曲面を有する形状に設定されている。これにより、窪み220の形状は、例えば、半円柱状となる。
【0074】
その後、
図9(b)に示すように、半導体装置100を実装基板40上に実装する(実装工程:
図7の図ステップS12)。本実施形態の場合も、リードカットによる破断面23を覆い隠すようにめっき膜30をリード20の先端側に圧延するので、破断面23がリード20の上方から見えないようになっているとともに、破断面23の上を覆うオーバーハング部210の上面は、半田フィレット41aとの識別性が良好なめっき膜30(第2めっき膜31)により覆われている。このため、半導体装置100を実装した後の半田外観検査における誤判定の発生を低減することができる。
【0075】
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、以下のような効果が得られる。
すなわち、第1の実施形態と比べて、リード20を押し込む面積が小さくなるため、必要な力が小さくて済み、より押し込みやすくなる。また、第1の実施形態と比べて、リード20のより先端側の部分のみを加工するだけで良いため、加工のための圧延用押圧部材57が封止樹脂10に接触してダメージを与える可能性がより少なくなるという利点がある。
【0076】
〔第3の実施形態〕
図10は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法により加工されたリード20の先端面の形状を示す模式的な側面図(リード20の先端面を正面から見た図)である。
図11は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す模式図である。このうち
図11(a)、
図11(c)及び
図11(e)は一連の工程の各々の平面図である。また、
図11(b)は
図11(a)の工程のときの正面図、
図11(d)は
図11(c)の工程のときの正面図、
図11(f)は
図11(e)の工程のときの正面図である。
【0077】
本実施形態では、リード20の先端面の幅方向における両端部に、めっき膜が形成されためっき領域を有する。なお、その他の構成等については第1の実施形態又は第2の実施形態と共通するので説明を省略又は簡略化する。なお、
図10には、第1の実施形態と同様のオーバーハング部210を形成した例を示しているが、第2の実施形態と同様のオーバーハング部210を形成しても良い。
【0078】
図10に示すように、リード20の先端面において幅方向の両端部に、略全域にめっき膜30が形成されためっき領域60がそれぞれ形成されている。めっき領域60は、幅方向の両端部の略全域に形成される。すなわち、リード20の先端面にて、幅方向における両端部の下端から上端までめっき膜30が形成されている。また、めっき領域60の幅は、それぞれのめっき領域60で互いにほぼ同一となっている。2つのめっき領域60の幅の合計は、例えば、リード20の先端面の幅の略半分となっている。
【0079】
また、リード20の先端面の幅方向中央部において下端側に半抜き領域25、上端側にリードカット領域26が形成される。すなわち、半抜き領域25及びリードカット領域26は、2つのめっき領域60によって挟まれる。半抜き領域25は、リード20の先端面のパッケージ裏側から50〜80%の領域を占める。そして、リード20の先端面の略中央部では、第1の実施形態と同様に、半抜き領域25下端からリードカット領域26の高さ方向の途中までめっき膜30が形成される。すなわち、リード20の先端面の略中央部において、リード厚の少なくとも50%以上がめっき膜30で覆われている。本実施形態では、さらにめっき領域60が設けられているため、リード20の先端面の75%以上にめっき膜30が形成される。
【0080】
本実施形態によっても、第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、めっき膜30によって略全域が覆われるめっき領域60を有する。このため、リード20先端の半田濡れ性がさらに向上する。
なお、本実施形態では、リード20の先端面において幅方向の両端部にめっき領域60を設けたが、いずれか一方の端部に設けてもよい。
【0081】
次に、
図11を参照して、本実施の形態にかかる表面実装パッケージの製造方法について説明する。
【0082】
まず、リード20の先端側の幅を狭くする。これにより、リード20の基端側に幅広部分61、リード20の先端側に幅狭部分62が形成される。また、幅広部分61の先端面にめっき領域60が形成される。具体的には、リード20の幅方向の両端からそれぞれリード20の幅の25%まで切断する。すなわち、リード20の幅狭部分62の幅は、リード20の幅広部分61の幅の約半分となる。ここでは、完成したリード20の先端に相当する位置より、基端側が幅広部分61、先端側が幅狭部分62となる。第1の実施形態と同様、リードフレーム上に半導体チップを搭載して、封止樹脂10によって封止する。以上の工程により、
図11(a)及び(b)に示す構成となる。
【0083】
次に、パッケージ裏側から半抜きを行う。また、ここでの半抜き量は、第1の実施形態と同様、リード厚の50〜80%とする。具体的には、リード20において、幅広部分61と幅狭部分62の境界近傍をパッケージ表側に半抜きする。なお、幅広部分61の先端にて下端を第1の実施形態における屈折部Aとして半抜きする。これにより、リード20の幅狭部分62のみが折り曲げられる。これにより、リード20の幅方向において略中央部のみに半抜き領域が形成される。また、めっき領域60と半抜き領域25とは、略平面状につながっている。このように、めっき領域60及び半抜き領域25が露出している。すなわち、半抜き後には、完成したリード20の先端面に相当する領域の一部が露出する。具体的には、完成したリード20の先端面のうち、75%以上が露出する。以上の工程により、
図11(c)及び(d)に示される構成となる。
【0084】
次に、バリ取り、外装めっきを実施する。これにより、めっき領域60及び半抜き領域25を含め、リード20の表面にめっき膜30が形成される。その後、半抜き位置からリードカットを行う。これにより、リードカット領域26が形成される。以上の工程により、
図11(e)及び(f)に示される構成となる。
【0085】
次に、図示は省略するが、第1又は第2の実施形態と同様に、リード20の先端部を圧延する。以上により、表面実装パッケージが製造される。なお、
図11においては、めっき膜30の図示を省略している。
【0086】
以上のような第3の実施形態によれば、第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、上記の各実施形態では、封止工程後にリード20の半抜きを行う例を説明したが、封止工程前に半抜きを行っても良い。
【0088】
また、上記の各実施形態では、リード20がフラット状(ストレート状)の形状である例を説明したが、
図12に示すように、半導体装置100は、一部に屈折部を有するガルウィング形状等のリード20を有するSOP(Small Outline Package)であってもよい。この場合の製造フローは、めっき工程(
図7のステップS9)までは上記と同様である。リード20をガルウィング形状等に折り曲げ加工する工程は、例えば、半抜き工程(
図7のステップS7)とリードカット工程(
図7のステップS10)との間に行うか、リードカット工程(
図7のステップS10)とリード圧延工程(
図7のステップS11)との間に行うか、或いは、リード圧延工程(
図7のステップS11)の後で行う。
【0089】
また、半導体装置100は、リード20が封止樹脂10の4つの側面の各々から突出しているQFP(Quad Flat Package)であってもよい。このように、本実施形態は、少なくとも1本以上のリード20が形成された半導体装置であれば適用可能である。
【0090】
また、上記の第1の実施形態では、リード20のリード先端部201の上面201a、すなわち圧延用押圧部材56により押圧される被押圧面が、リード20の底面20aとほぼ平行となるように、リード20を圧延する例(
図1)を説明した。
これに対し、
図13(a)に示すように、リード先端部201の上面201aがリード20の先端側に向けて僅かに上り傾斜するように、リード20を圧延しても良い。或いは、
図13(b)に示すように、リード先端部201の上面201aがリード20の先端側に向けて僅かに下り傾斜するように、リード20を圧延しても良い。