(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯鋸刃が前記被削材の切断を完了した下降端に位置している状態で前記製品搬出バイスを搬出したとき、前記バイスジョーの上端部が前記帯鋸刃に干渉しないように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯鋸盤。
前記帯鋸刃が前記被削材の切断を完了した下降端に位置している状態から前記帯鋸刃を上昇させて前記パスラインから退避させる際に、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを、前記製品の上端部が前記帯鋸刃に干渉しないタイミングで下降させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯鋸盤。
前記搬出工程は、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを、上流側から下流側へと下降するように傾斜した傾斜面に沿って搬出することを特徴とする請求項8記載の帯鋸盤の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一対のホイールに掛け回された帯鋸刃には、そのホイール間での鋸刃を緊張させ、鋸刃がホイール外周曲面に接するために、引張応力と曲げ応力とがかかる。ひねり部を設けた帯鋸刃には、引張応力と曲げ応力とに加えてねじり応力がかかる。ひねり部を設けた帯鋸刃を回転させると、引張応力と曲げ応力とねじり応力との合力が繰り返し作用することになる。すると、帯鋸刃の長時間の使用による金属疲労によって帯鋸刃の胴部が破断する場合がある。胴部の破断は、高速回転が必要なダイヤモンド帯鋸刃や超硬帯鋸刃の場合に特に大きな問題となる。それは、バイメタル帯鋸刃と比較して高価なダイヤモンドや超硬チップである歯先の寿命よりも前に胴部が破断して帯鋸刃を交換しなければならないこともあるからである。
【0006】
そこで、被削材の切断可能長さがホイールの径よりも短くなるという制約を受けるものの、帯鋸刃をひねらず、いわゆる帯鋸刃ひねりゼロの帯鋸盤とすることが考えられる。帯鋸刃をひねらなければ、胴部の破断を大幅に低減させることができ、帯鋸刃の寿命を延ばすことが可能となる。帯鋸刃ひねりゼロの帯鋸盤は、被削材の切断可能長さが短くてよい特定の用途には有用となる。
【0007】
ところが、帯鋸刃ひねりゼロの帯鋸盤においては、被削材を切断後に帯鋸刃を被削材から退避させた後でないと、製品の搬出及び次の切断のために被削材を前進させて位置決めすることができない。従って、被削材を切断して製品を順次製造する製品製造サイクルにおいてタクトタイムロスが生じるという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑み、帯鋸刃のひねりがゼロであっても、製品製造サイクルにおけるタクトタイムロスを少なくすることができる帯鋸盤及び帯鋸盤の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、上流側から下流側へと搬入された被削材(W)をパスライン上で位置決めする送りバイス(11)と、一対のホイール(31a,31b)に掛け回され、ひねられていない状態で回転走行し、前記パスラインの上方から下降して、前記送りバイスによって位置決めされた前記被削材を前記ホイールの径未満の長さで切断する帯鋸刃(32)と、前記被削材をクランプするバイスジョー(21j,51j)を有し、前記帯鋸刃によって前記被削材を切断する切断完了前に前記被削材の切断位置よりも下流側をクランプして切断完了後もクランプを維持し、前記被削材を切断した製品をクランプしたまま下降して前記製品を前記パスラインより下方に搬出する製品搬出バイス(21,51,71)とを備えることを特徴とする帯鋸盤を提供する。
【0010】
上記の帯鋸盤において、上流側から下流側へと下降するように傾斜した傾斜面を有する製品搬出フレーム(20)を備え、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを前記傾斜面に沿って搬出することが好ましい。
【0011】
上記の帯鋸盤において、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを垂直方向に下降させる垂直移動機構と、前記垂直移動機構によって下降させた前記製品搬出バイスを下流側へと水平方向に移動させる水平移動機構とを備えることが好ましい。
【0012】
上記の帯鋸盤において、前記製品搬出バイスは、前記被削材を下方から支持する支持台(21s,51s)を有することが好ましい。
【0013】
上記の帯鋸盤において、前記帯鋸刃が前記被削材の切断を完了した下降端に位置している状態で前記製品搬出バイスを搬出したとき、前記バイスジョーの上端部が前記帯鋸刃に干渉しないように構成されていることが好ましい。
【0014】
上記の帯鋸盤において、前記帯鋸刃が前記被削材の切断を完了した下降端に位置している状態から前記帯鋸刃を上昇させて前記パスラインから退避させる際に、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを、前記製品の上端部が前記帯鋸刃に干渉しないタイミングで下降させることが好ましい。
【0015】
上記の帯鋸盤において、前記製品搬出バイスによって搬出した前記製品を回収する製品回収装置(40,40’,60)を備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、上流側から下流側へと搬入された被削材(W)を送りバイス(11)によってパスライン上で位置決めする位置決め工程と、一対のホイール(31a,31b)に掛け回され、ひねられていない状態で回転走行する帯鋸刃(32)を前記パスラインの上方から下降させて、前記位置決め工程にて位置決めされた前記被削材を前記ホイールの径未満の長さで切断する切断工程と、前記切断工程による切断完了前に、前記被削材をクランプする製品搬出バイス(21,51,71)によって前記被削材の切断位置よりも下流側をクランプするクランプ工程と、前記切断工程にて前記被削材を切断した製品を前記製品搬出バイスによってクランプしたまま下降させて、前記製品を前記パスラインより下方に搬出する搬出工程とを含む帯鋸盤の制御方法を提供する。
【0017】
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記搬出工程は、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを、上流側から下流側へと下降するように傾斜した傾斜面に沿って搬出することが好ましい。
【0018】
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記搬出工程は、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを垂直方向に下降させる垂直移動工程と、前記垂直移動工程にて下降させた前記製品搬出バイスを下流側へと水平方向に移動させる水平移動工程とを含むことが好ましい。
【0019】
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記搬出工程にて搬出した前記製品を回収する製品回収工程をさらに含むことが好ましい。
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記位置決め工程と、前記切断工程と、前記クランプ工程と、前記搬出工程と、前記製品回収工程とを順次繰り返し、次の前記クランプ工程にて前記被削材をクランプするために、前記製品回収工程にて前記製品を回収した後の前記製品搬出バイスを、次の前記切断工程による切断完了前に次の前記位置決め工程によって位置決めされた前記被削材をクランプする位置に戻す戻し工程をさらに含むことが好ましい。
【0020】
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記戻し工程は、前記製品搬出バイスが有する支持台(21s,51s)によって前記被削材を下方から支持することが好ましい。
【0021】
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記切断工程による切断完了後に前記帯鋸刃を前記パスラインの上方へと退避させる退避工程をさらに含み、前記搬出工程は、前記退避工程にて前記帯鋸刃を退避させる際に、前記製品をクランプした前記製品搬出バイスを、前記製品の上端部が前記帯鋸刃に干渉しないタイミングで下降させることが好ましい。
【0022】
上記の帯鋸盤の制御方法において、前記退避工程の前に、前記送りバイスによって前記被削材を上流側に移動させ、前記製品搬出バイスによって前記製品を下流側に移動させる退避準備工程をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の帯鋸盤及び帯鋸盤の制御方法によれば、帯鋸刃のひねりがゼロであっても、製品製造サイクルにおけるタクトタイムロスを少なくすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の帯鋸盤及び帯鋸盤の制御方法の各実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0027】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態の帯鋸盤の全体構成について説明する。
図1において、本体フレーム10は、被削材Wを
図1の左方向(下流方向)に送るための送りバイス11と、被削材Wを固定するための本体バイス12と、フリーローラテーブル13とを備える。送りバイス11は被削材Wをクランプするための送りバイスジョー11jと、ガイド11gとを有する。フリーローラテーブル13は複数のローラ13rを有する。ガイド11gはレール14と係合しており、送りバイス11はレール14に沿って左右方向に移動自在となっている。送りバイスジョー11jによって被削材Wをクランプして送りバイス11を左右方向に移動させると、ローラ13rが回転して被削材Wは左右方向に移動する。
【0028】
本体バイス12は、被削材Wをクランプするための本体バイスジョー12jを有する。本体バイス12は、一点鎖線で示す被削材Wの切断位置よりも被削材Wの送り方向上流側である切断位置の直前の位置に配置されている。
【0029】
本体フレーム10の被削材Wの送り方向下流側には、製品搬出フレーム20が配置されている。製品搬出フレーム20は、被削材Wを切断した製品Pを搬出するための製品搬出バイス21を備える。被削材Wにおける一点鎖線で示す切断位置よりも先端部側が製品Pとなる。製品搬出バイス21は、被削材Wを下方から支持する支持台21sと、被削材W(製品P)をクランプするための製品搬出バイスジョー21jと、ガイド21gと、複数のローラ21rとを有する。ローラ21rはフリーローラもしくは駆動ローラである。被削材Wを切断する前の状態で、製品搬出バイス21は切断位置よりも下流側である切断位置の直後に位置している。
【0030】
図1より分かるように、製品搬出フレーム20の上面は
図1の右方向から左方向へと下降するように傾斜した傾斜面となっている。この傾斜面にはレール22が取り付けられている。ガイド21gはレール22と係合しており、製品搬出バイス21はレール22に沿って左右方向に移動自在となっている。即ち、製品搬出バイス21は、レール22に沿って下降または上昇するようになっている。
【0031】
被削材Wの上方には、鋸刃ハウジング30が配置されている。鋸刃ハウジング30は、
図2に示すように、駆動ホイール31a及び従動ホイール31bと、駆動ホイール31aと従動ホイール31bとに掛け回された帯鋸刃32とを備える。帯鋸刃32は、駆動ホイール31aの駆動によって矢印方向に回転走行する。
図1は、第1実施形態の帯鋸盤を被削材Wの送り方向の側面から見た側面図として描いており、鋸刃ハウジング30等の一部を空想線にて示している。
【0032】
図1に示すように、帯鋸刃32の歯先32tは被削材W側に向かっている。
図1,
図2より分かるように、帯鋸刃32はひねられておらず、ひねりゼロである。ガイド30gはレール33と係合しており、鋸刃ハウジング30はレール33に沿って上下方向に移動自在となっている。帯鋸刃32を回転走行させつつ鋸刃ハウジング30を下降させていくと、被削材Wは
図2の上から下へと走行する側の帯鋸刃32の歯先32tで切断される。
【0033】
図2において、被削材Wの切断可能長さの最大長さLmaxは駆動ホイール31a及び従動ホイール31bの径未満であり、径の長さより若干の余裕を差し引いた長さとなる。被削材Wの切断可能長さの最小長さLminは、例えば自立できる製品Pの厚さとする。勿論、製品Pを回収する方法を工夫すれば、製品Pを自立できない厚さとしてもよく、この場合には最小長さLminを限界まで短くすることが可能である。
【0034】
図2に示すように、送りバイスジョー11j,本体バイスジョー12j,製品搬出バイスジョー21jはそれぞれ、位置が固定されている固定バイスジョー11j1,12j1,21j1と、被削材Wのクランプ時に破線で示す位置から移動して被削材Wを押さえる移動バイスジョー11j2,12j2,21j2とよりなる。
【0035】
製品搬出フレーム20の下流側には、製品回収装置40が配置されている。
図1に示す製品回収装置40は、一例として、フレーム41上に配置された製品回収コンベア42よりなる。製品回収コンベア42は複数のローラ42rを有する。複数のローラ42rはここでは図示していない駆動部によって駆動される。または、製品回収コンベア42を駆動させずに
図1の右方向から左方向へと製品自重で下降するように傾斜させてもよい。
【0036】
図3を用いて、第1実施形態の帯鋸盤における各部を動作させるための機能的な構成について説明する。
図3において、送りバイス11は、本体フレーム10内に設けられた送りバイス駆動部110によって駆動される。送りバイス駆動部110は、送りバイスジョー11jを駆動して被削材Wをクランプまたはアンクランプさせるバイスジョー駆動部110aと、送りバイス11を前進または後退させる前進・後退駆動部110bとを含む。本体バイス12は、本体フレーム10内に設けられた本体バイス駆動部120によって駆動される。本体バイス駆動部120は、被削材Wをクランプまたはアンクランプするよう本体バイスジョー12jを駆動する。
【0037】
製品搬出バイス21は、製品搬出フレーム20内に設けられた製品搬出バイス駆動部210によって駆動される。製品搬出バイス駆動部210は、製品搬出バイスジョー21jを駆動して被削材Wをクランプまたはアンクランプさせるバイスジョー駆動部210aと、製品搬出バイス21を上昇または下降させる昇降駆動部210bとを含む。鋸刃ハウジング30は、鋸刃ハウジング30内に設けられた鋸刃駆動部300によって駆動される。鋸刃駆動部300は、駆動ホイール31aを駆動して帯鋸刃32を回転走行させるホイール駆動部300aと、鋸刃ハウジング30を昇降させる昇降駆動部300bとを含む。
【0038】
製品回収装置40は、製品回収装置40内に設けられた製品回収装置駆動部400によって駆動される。製品回収装置40が製品回収コンベア42を含む場合、製品回収装置駆動部400は製品回収コンベア42のローラ42rを回転駆動させる。
【0039】
これらの送りバイス駆動部110,本体バイス駆動部120,製品搬出バイス駆動部210,鋸刃駆動部300,製品回収装置駆動部400は、制御部100によって制御される。制御部100は任意の場所に設ければよい。制御部100は例えばマイクロコンピュータによって構成することができる。マイクロコンピュータは、各駆動部それぞれの動作を制御するための制御プログラムを格納する記憶部と、この制御プログラムを実行させて各駆動部を制御するマイクロプロセッサとを含む。制御部100を複数のマイクロコンピュータによって構成してもよい。
【0040】
次に、第1実施形態の帯鋸盤で実行される制御方法の手順について説明する。以下説明する手順(各工程)は、制御部100による制御に基づいてそれぞれの駆動部によって実行される。即ち、制御部100が備える制御プログラムは、帯鋸盤に搭載されたコンピュータに以下の各工程を実行させる。
【0041】
(工程A:被削材Wの位置決め工程)
被削材Wが図示していない搬送機構によって本体フレーム10上に上流側から下流側へと搬入されたら、送りバイス11は被削材Wを送りバイスジョー11jによってクランプし、切断後の製品Pの長さに応じた位置まで被削材Wを前進させる。このとき、本体バイスジョー12j及び製品搬出バイスジョー21jはアンクランプの状態である。製品Pの長さに相当する先端部が切断位置より突出したら、本体バイス12は被削材Wを本体バイスジョー12jによってクランプし、引き続き、製品搬出バイス21は被削材Wを製品搬出バイスジョー21jによってクランプする。
【0042】
この際、製品搬出バイス21を
図1の状態よりも少し下降させた位置から上昇させて、支持台21sを被削材Wの下方から当接させ、被削材Wを製品搬出バイスジョー21jによってクランプさせることが好ましい。
図1は、以上のようにして被削材Wを位置決めし、被削材Wを送りバイスジョー11jと本体バイスジョー12jと製品搬出バイスジョー21jによってクランプした状態を示している。
【0043】
(工程B:被削材Wの切断工程)
帯鋸刃32を回転走行させて鋸刃ハウジング30を下降させていく。これによって、帯鋸刃32が、被削材Wが搬送されるパスラインの上方からパスラインに向かって下降していく。帯鋸刃32の歯先32tが被削材Wの下端に達すると、被削材Wの切断(切削)が完了する。
図4は、被削材Wの切断が完了した状態を示している。前述のように、被削材Wは駆動ホイール31a及び従動ホイール31bの径未満の長さで切断される。
【0044】
(工程C:帯鋸刃32の退避準備工程)
被削材Wの切断完了後、本体バイス12は被削材Wをアンクランプする。送りバイス11は被削材Wをわずかに後退させ、製品搬出バイス21は切断された製品Pをわずかに前進させる。後退とは上流側への移動、前進とは下流側への移動である。第1実施形態においては、製品搬出バイス21をわずかに下降させることによって製品Pを前進させる。これによって、帯鋸刃32の歯先32tは切断後の被削材Wの先端面及び製品Pの後端面から離れ、帯鋸刃32を上方に退避させる際に歯先32tが損傷するのを防止することができる。
【0045】
(工程D:帯鋸刃32の退避工程及び製品Pの搬出工程)
次に、鋸刃ハウジング30を上昇させて帯鋸刃32をパスラインの上方に退避させる。製品搬出バイス21は、帯鋸刃32の退避の完了後、製品Pをクランプしたまま下降する。ここでは製品搬出バイス21が帯鋸刃32の退避の完了後に下降するとしたが、第1実施形態では、後述するように、帯鋸刃32の退避を完了する前に、製品搬出バイス21の下降を開始させることができる場合がある。
【0046】
(工程E:製品Pの回収工程)
製品搬出バイス21が傾斜面の下降端まで下降したら、製品搬出バイス21は製品Pをアンクランプする。製品回収装置40は、製品Pを製品回収コンベア42によって搬送して回収する。
【0047】
(工程F:被削材Wの再位置決め工程)
帯鋸刃32が被削材Wのパスラインから上方に退避したら、送りバイス11は上流側に移動して被削材Wをクランプし、次いで本体バイス12がアンクランプしたことを確認してから被削材Wを切断するために被削材Wを前進させる。被削材Wの位置が確定したら、本体バイス12は被削材Wをクランプする。
【0048】
図5は、製品搬出バイス21が傾斜面の下降端まで下降して製品Pが製品回収コンベア42によって搬送され、帯鋸刃32が被削材Wのパスラインから上方に退避して、被削材Wが新たに位置決めされた状態を示している。なお、
図5は、製品Pの搬出及び回収工程と被削材Wの再位置決め工程の互いのタイミングの単なる一例である。製品搬出フレーム20の長さ、製品搬出バイス21の下降速度、送りバイス11による被削材Wの送り速度、製品Pの長さ等の諸条件によって、被削材Wの新たな位置決めが完了する前に製品Pが回収される場合もあるし、位置決めが完了した後に製品Pが回収される場合もある。
【0049】
ここで、
図6を用いて、帯鋸刃32の垂直方向の位置と製品搬出バイス21の下降のタイミングとの関係について説明する。
図6は、製品搬出フレーム20上に移動する製品搬出バイス21、帯鋸刃32、被削材W(製品P)のみを図示している。
図6は製品Pの長さが比較的短い場合を例にしている。
【0050】
まず、
図6(A)に示すように、帯鋸刃32が下降端に位置している状態で製品搬出バイス21を上昇端から下降端まで移動させたとき、製品搬出バイスジョー21jの上端部が帯鋸刃32に干渉しないような傾斜面の傾斜角度θとすることが好ましい。後述する製品搬出バイス21の戻し工程において、製品搬出バイス21は製品Pをクランプしていない状態で下降端から上昇端へと移動して元の位置に戻る。そこで、帯鋸刃32が下降端に位置していたとしても、製品搬出バイスジョー21jの上端部が帯鋸刃32に干渉しないような傾斜角度θとする。
【0051】
さらには、
図6(B)に示すように、帯鋸刃32が下降端に位置している状態で製品搬出バイス21を上昇端から下降端まで移動させたとき、製品Pの上端部が帯鋸刃32に干渉しないような傾斜面の傾斜角度θとすることが好ましい。
図6(B)の場合には、下降端に位置している帯鋸刃32が退避を開始する前であっても、製品搬出バイス21の下降を開始させることができる。従って、第1実施形態においては、製品Pの長さLによっては、帯鋸刃32の退避を開始する前や退避を開始するのと同時に製品搬出バイス21の下降を開始させることができることになる。
【0052】
また、製品Pの上端部が下降端に位置する帯鋸刃32に干渉する場合であっても、帯鋸刃32の退避を開始した後、帯鋸刃32が被削材Wの上端から離れる前に製品Pの上端部が帯鋸刃32に干渉しない状態となる場合には、帯鋸刃32の退避の途中で製品搬出バイス21の下降を開始させることができる。第1実施形態においては、製品Pの長さLが所定の長さより長い特別な場合を除き、帯鋸刃32の退避を開始する前もしくは退避を開始するのと同時に、または、退避を開始した後、退避を完了する前に、製品搬出バイス21の下降を開始させることができることになる。
【0053】
制御部100に、傾斜角度θと、帯鋸刃32が下降端に位置しているときの歯先32tの位置情報、特に、被削材Wを切断する側の歯先32tと対向する被削材Wの送り方向下流側の歯先32tの位置情報を予め与えておく。そして、制御部100に被削材Wの高さhと製品Pの長さLとを入力すれば、制御部100は、帯鋸刃32を退避させる際にどのタイミングで製品搬出バイス21の下降を開始させることができるかを演算して求めることが可能である。被削材Wの高さhと製品Pの長さLとに対応させて下降開始のタイミングを予め設定したテーブルを記憶しておき、テーブルよりタイミングを得るようにしてもよい。
【0054】
帯鋸刃32が完全に退避した後でなければ製品Pの上端部が帯鋸刃32に干渉する場合には、第1実施形態の基本的な動作である帯鋸刃32の退避完了後に製品搬出バイス21を下降させればよい。また、帯鋸刃32の退避完了前に製品搬出バイス21を下降させることができる場合でも、帯鋸刃32の退避完了後に製品搬出バイス21を下降させてもよい。
【0055】
(工程G:製品搬出バイス21の戻し工程)
製品Pが製品回収コンベア42によって搬送されたら、製品搬出バイス21を上昇端まで上昇させる。製品搬出バイス21の支持台21sを被削材Wの下方から当接させて被削材Wを支持する。そして、製品搬出バイス21は被削材Wを製品搬出バイスジョー21jによってクランプする。これによって、製品搬出バイス21は
図1の状態に戻る。
【0056】
この製品搬出バイス21の戻し工程が完了する前に、後述する工程Hである被削材Wの切断工程を開始させることができる。上述した工程Fの被削材Wの再位置決め工程において被削材Wを再位置決めし、送りバイス11及び本体バイス12で被削材Wをクランプしたら、製品搬出バイス21が戻る前であっても帯鋸刃32による被削材Wの切断を開始させる。被削材Wを切断中に支持台21sを被削材Wに当接させることがあるので、切削加工に影響を与えないように、即ち支持台21sの被削材Wへ衝突時に発生する力が小さくなるように支持台21sをフローティング構造とすることが好ましい。
【0057】
また、製品搬出バイスジョー21jは被削材Wを切断中にクランプすることがあるので、製品搬出バイスジョー21jによるクランプ力を本体バイスジョー12jによるクランプ力よりも小さくすることが好ましい。製品搬出バイスジョー21jによるクランプ力を本体バイスジョー12jによるクランプ力よりも小さくすれば、切断中の被削材Wが動いて歯先32tが損傷する可能性をなくすことができる。製品搬出バイス21は、切断後の製品Pを下降端まで下降させて搬出するのに必要な力で被削材Wをクランプすれば十分である。
【0058】
(工程H:被削材Wの切断工程)
帯鋸刃32を回転走行させて鋸刃ハウジング30を下降させていく。
図7は、工程Gの製品搬出バイス21の戻し工程によって製品搬出バイス21を戻して、帯鋸刃32による被削材Wの切断が途中まで進行した状態を示している。帯鋸刃32の歯先32tが被削材Wの下端に達すると、被削材Wの切断が完了する。被削材Wの切断が完了すれば、上述した工程Cから工程Hまでを繰り返し、製品Pを順次製造していく。
【0059】
なお、工程Hによる被削材Wの切断の完了前には、製品搬出バイス21を戻して製品搬出バイスジョー21jによって被削材W(製品P)をクランプすることが必要である。そこで、製品搬出バイス21が戻る前に被削材Wの切断が完了するような場合には、被削材Wの切断(鋸刃ハウジング30の下降)を途中で停止させて、製品搬出バイス21が戻った後に切断を再開させればよい。もしくは、切削中に切削完了までの所要時間と製品搬出バイス21の戻り所要時間とのクリティカルパスを予測判断して切削速度を調整することで、切削完了前までに製品搬出バイス21によって製品Pをクランプさせるようにしてもよい。
【0060】
図8は、製品回収コンベア42を用いた製品回収装置40の代わりに、製品回収アーム43を用いた製品回収装置40’とした変形例を示している。製品回収アーム43はいわゆるアーム型ロボットである。製品回収アーム43は回収バイス44を有する。
図8は製品Pの長さが比較的短い場合を例にしている。回収バイス44は製品Pを厚さ方向にクランプし、製品回収アーム43を動かして所定位置でアンクランプして製品Pを回収する。製品Pの回収の仕方は任意である。
【0061】
ここで、
図9を用いて第1実施形態によるタクトタイムロスを少なくさせる効果について説明する。
図9(A)は、帯鋸刃32の退避完了後に製品搬出バイス21を下降させる場合の、帯鋸刃32による被削材Wの切断・退避と、送りバイス11による被削材Wの位置決めと、製品搬出バイス21による製品の搬出・戻しと、製品回収装置40(40’)による回収それぞれの動作のタイミングを概略的に示している。
【0062】
帯鋸刃32は時刻t1にて下降を開始して、時刻t2にて切断を完了する。即座に退避の準備をして帯鋸刃32は退避を開始し、時刻t3にて退避を完了する。被削材Wの位置決めは退避が完了すれば可能であるから、送りバイス11は即座に被削材Wの位置決め動作を開始して時刻t4にて位置決めが完了する。製品Pをクランプした製品搬出バイス21は、退避を完了した時刻t3にて下降を開始し、時刻t41にて下降端に到達する。時刻t3から時刻t41までが製品Pの搬出動作である。なお、時刻t41は時刻t4よりも前か後、または同時である。製品Pの回収と並行して、製品搬出バイス21は時刻t41にて上昇を開始し、時刻t42にて上昇端に到達して元の位置に戻る。
【0063】
帯鋸刃32は位置決めが完了した時刻t4にて下降を開始して、時刻t5にて切断を完了する。製品搬出バイス21は時刻t5の切断完了前までに被削材Wをクランプする。時刻t42が時刻t4より前または同時の場合もあり、時刻t4から時刻t5までの切断完了の前に製品搬出バイス21が被削材Wをクランプすることもある。帯鋸刃32は時刻t6にて退避を完了し、以降、同様の動作を繰り返す。時刻t6以降、送りバイス11,製品搬出バイス21,製品回収装置40(40’)も同様の動作を繰り返す。
【0064】
図9(A)より分かるように、第1実施形態によれば、製品搬出バイス21の搬出及び戻し動作が、帯鋸刃32による被削材Wの切断・退避と送りバイス11による被削材Wの位置決め動作を並行して行われることになるので、タクトタイムロスを実質的になくすことができる。
【0065】
図9(B)は、帯鋸刃32の退避完了前に製品搬出バイス21を下降させる場合の、帯鋸刃32による被削材Wの切断・退避と、送りバイス11による被削材Wの位置決めと、製品搬出バイス21による製品の搬出・戻しと、製品回収装置40(40’)による回収それぞれの動作のタイミングを概略的に示している。帯鋸刃32による被削材Wの切断・退避と、送りバイス11による被削材Wの位置決め動作は、
図9(A)と同じである。
【0066】
製品搬出バイス21は、時刻t2の切断完了後、下降したときに製品Pの上端部が帯鋸刃32に干渉しない条件を満たした時点で下降を開始することができる。製品搬出バイス21は時刻t21にて下降を開始し、時刻t31にて下降端に到達する。時刻t21から時刻t31までが製品Pの搬出動作である。前述のように、時刻t21は時刻t2と一致する場合がある。製品回収装置40(40’)は時刻t31から所定の時間をかけて製品Pを回収する。製品Pの回収と並行して、製品搬出バイス21は時刻t31にて上昇を開始し、時刻t43にて上昇端に到達して元の位置に戻る。
【0067】
被削材Wの径が細い場合には切断時間は短くなる。従って、場合によっては、前述のように、被削材Wの切断を途中で停止させて、製品搬出バイス21が戻った後に切断を再開させることが必要になる。この場合には若干のタクトタイムロスとなる。
図9(B)の場合には製品搬出バイス21を元の位置に戻すタイミングを早くすることができる。従って、
図9(B)の場合には、切断時間が短いような場合でもタクトタイムロスも少なくすることができ、場合によってはタクトタイムロスをなくすことができる。
【0068】
図9(A),(B)より分かるように、第1実施形態によれば、タクトタイムロスを実質的になくすことができる。
【0069】
比較のため、
図9(C)を用いて、所定の製品搬出装置によって製品Pをパスラインの延長線上に排出する場合について説明する。帯鋸刃32は時刻t11にて下降を開始して時刻t12にて切断を完了し、時刻t13にて退避を完了する。パスラインの延長線上で製品Pを搬出する場合には、帯鋸刃32を退避させた後でないと製品Pを搬出することができない。また、製品Pを搬出させた後でないと次の切断のための被削材Wの位置決めもできない。製品搬出装置は、時刻t13にて製品Pの搬出を開始し、時刻t131にて搬出を完了する。特に図示していないが、時刻t131以降、製品Pは回収される。
【0070】
送りバイス11は時刻t131にて位置決め動作を開始して、時刻t14にて位置決めが完了する。帯鋸刃32は時刻t14にて下降を開始して時刻t15にて切断を完了し、時刻t16にて退避を完了する。以降、同様の動作を繰り返す。時刻t16以降、製品搬出装置及び送りバイス11も同様の動作を繰り返す。
図9(C)の場合はタクトタイムロスがある。第1実施形態によれば、同じ時間であればより多くの製品Pを製造できるという効果も奏することになる。
【0071】
<第2実施形態>
図10〜
図15を用いて第2実施形態について説明する。
図10〜
図15において、
図1〜
図9で説明した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略することとする。第2実施形態は、第1実施形態における製品搬出フレーム20及び製品搬出バイス21の代わりに昇降装置50及び製品搬出バイス51を設け、製品回収装置40の代わりに製品回収装置60を設けたものである。
【0072】
製品搬出バイス51は昇降装置50上に載置されている。昇降装置50の本体フレーム10側の端部にはガイド50gが設けられている。ガイド50gは垂直方向に伸びたレール52と係合しており、昇降装置50はレール52に沿って垂直方向(上下方向)に移動自在となっている。これによって、製品搬出バイス51は垂直方向に移動する。昇降装置50の上面には水平方向に伸びたレール53が取り付けられている。
【0073】
製品搬出バイス51は、被削材Wを下方から支持する支持台51sと、被削材W(製品P)をクランプするための製品搬出バイスジョー51jと、ガイド51gと、複数のローラ51rとを有する。ローラ51rはフリーローラもしくは駆動ローラである。ガイド51gはレール53と係合しており、製品搬出バイス51はレール53に沿って水平方向(左右方向)に移動自在となっている。このように、第2実施形態においては、昇降装置50によって製品搬出バイス51を昇降させる垂直移動機構と、製品搬出バイス51を水平方向に移動させる水平移動機構とを有する。製品搬出バイス51は、垂直方向の移動と水平方向の移動とを互いに独立して行うことが可能である。
【0074】
昇降装置50の下流側には、製品回収装置60が配置されている。製品回収装置60は製品回収装置40と同様の構成であり、フレーム61上に配置された製品回収コンベア62よりなる。製品回収コンベア
62は複数のローラ62rを有する。製品回収装置60を製品回収装置40’と同様、製品回収アームを用いた構成としてもよい。
【0075】
第2実施形態の帯鋸盤における機能的な構成は、
図11に示す通りである。
図11において、製品搬出バイス51は、所定位置に設けられた製品搬出バイス駆動部510によって駆動される。製品搬出バイス駆動部510は、製品搬出バイスジョー51jを駆動して被削材Wをクランプまたはアンクランプさせるバイスジョー駆動部510aと、製品搬出バイス51を昇降装置50によって垂直方向に移動させ、昇降装置50上で製品搬出バイス51を水平方向に移動させる垂直・水平移動駆動部510bとを含む。製品回収装置60は、製品回収装置60内に設けられた製品回収装置駆動部600によって駆動される。
【0076】
送りバイス駆動部110,本体バイス駆動部120,製品搬出バイス駆動部510,鋸刃駆動部300,製品回収装置駆動部600は、制御部100によって制御される。
【0077】
次に、第2実施形態の帯鋸盤で実行される制御方法の手順について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。便宜上、第1実施形態の各工程と同じ符号を付して説明する。工程A,Bは第1実施形態と同じである。
【0078】
(工程C:帯鋸刃32の退避準備工程)
図12に示すように被削材Wの切断完了後、本体バイス12は被削材Wをアンクランプする。送りバイス11は被削材Wをわずかに後退させ、製品搬出バイス51は切断された製品Pをわずかに前進させる。即ち、昇降装置50が上昇端に位置している状態で、製品搬出バイス51を下流側にわずかに移動させる。
【0079】
(工程D:帯鋸刃32の退避工程及び製品Pの搬出工程)
次に、鋸刃ハウジング30を上昇させて帯鋸刃32をパスラインの上方に退避させる。昇降装置50が垂直方向に下降することによって、製品搬出バイス51は製品Pをクランプしたまま下降する。第2実施形態では、製品Pの長さが最大長さLmaxであっても、帯鋸刃32の退避を開始する前または退避を開始するのと同時に製品搬出バイス51の下降を開始させることができる。即ち、第2実施形態においては、帯鋸刃32の退避準備完了後は、製品Pの長さLにかかわらず、帯鋸刃32の位置にかかわらず、製品Pの搬出を開始することができる。
【0080】
製品搬出バイス51が
図13に示すように下降端まで下降したら、
図14に示すように、製品搬出バイス51を昇降装置50の下流側の端部まで水平方向に移動させる。
【0081】
(工程E:製品Pの回収工程)
製品搬出バイス51が端部まで移動したら、製品搬出バイス51は製品Pをアンクランプする。製品回収装置60は、製品Pを製品回収コンベア62によって搬送して回収する。
【0083】
(工程G:製品搬出バイス51の戻し工程)
製品Pが製品回収コンベア62によって搬送されたら、
図15に示すように、製品搬出バイス51を昇降装置50の上流側の端部まで水平方向に移動させ、さらに、昇降装置50を上昇端まで垂直方向に上昇させる。製品搬出バイス51を水平方向に移動させつつ、昇降装置50を上昇させてもよい。製品搬出バイス51の支持台51sを被削材Wの下方から当接させて被削材Wを支持する。そして、製品搬出バイス51は被削材Wを製品搬出バイスジョー51jによってクランプする。これによって、製品搬出バイス51は
図10の状態に戻る。
【0084】
工程Hは第1実施形態と同じである。
図15は、工程Gの製品搬出バイス51の戻し工程によって製品搬出バイス51を戻して、帯鋸刃32による被削材Wの切断が途中まで進行した状態を示している。工程Gである製品搬出バイス51の戻し工程が完了する前に、工程Hである被削材Wの切断工程を開始させることができる。被削材Wの切断が完了すれば、上述した工程Cから工程Hまでを繰り返し、製品Pを順次製造していく。
【0085】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、タクトタイムロスを実質的になくすことができる。第2実施形態では、製品Pをクランプした製品搬出バイス51は、切断完了後、即座に下降を開始することができる。製品搬出バイス51は、製品Pの長さLにかかわらず、
図9の時刻t2にて下降を開始することができる。
【0086】
<第3実施形態>
図16,
図17を用いて第3実施形態について説明する。
図16,
図17において、
図10〜
図15で説明した第2実施形態と実質的に同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略することとする。
【0087】
図16(A)は第3実施形態において被削材Wを切断する前の状態を示しており、
図16(B)は切断を完了した状態を示している。製品搬出装置70は、製品搬出アーム72と垂直方向のガイド板73と水平方向のガイド板76とガイドアーム77とを備える。製品搬出アーム72は、水平方向に伸びる水平部72aと水平部72aから上方斜め方向に伸びる傾斜部72bとを有しており、傾斜部72bの先端部に製品搬出バイス71を有する。
図16(A)において、製品搬出バイス71は位置決めされた被削材Wをクランプしている。
【0088】
ガイド板73はレール74を有し、レール74は垂直方向に並んだ2対のガイド75と係合している。製品搬出アーム72はガイド板73の下端部に取り付けられている。レール74がガイド75によって垂直方向に移動することにより、製品搬出アーム72とガイド板73は
図16(A),(B)より下方に移動するようになっている。即ち、製品搬出装置70は、製品搬出アーム72を垂直方向に移動させる垂直移動機構を有する。
【0089】
図16(B)に示すように被削材Wの切断が完了したら、製品搬出バイス71によって製品Pをクランプしたまま、
図17(A)に示すように製品搬出アーム72を下降させる。ガイドアーム77はレール78を有し、レール78は水平方向に並んでガイド79と係合している。ガイド79はガイド板76に取り付けられている。ガイド79がレール78に沿って移動することにより、製品搬出アーム72とガイド板73は水平方向に移動するようになっている。即ち、製品搬出装置70は、製品搬出アーム72を水平方向に移動させる水平移動機構を有する。製品搬出アーム72を下降させたら、
図17(B)に示すように製品搬出アーム72を下流側に移動させる。
【0090】
製品搬出アーム72を下流側に移動させたら、製品搬出バイス71は製品Pをアンクランプし、図示していない製品回収コンベアによってさらに搬送して回収したり、製品回収ボックス等で回収したりする。その後、製品搬出アーム72を上流側に移動させ、上昇させて、製品搬出バイス71をパスラインに戻す。そして、
図16(A)と同様に、製品搬出バイス71は位置決めされた被削材Wをクランプし、
図16(B)及び
図17(A),(B)の動作を繰り返す。第3実施形態においても、タクトタイムロスを実質的になくすことができる。
【0091】
以上説明した第1〜第3実施形態によれば、帯鋸刃32はひねりゼロであるので、胴部の破断を大幅に低減させることができ、帯鋸刃の寿命を延ばすことができる。ひねりゼロであるにもかかわらず、タクトタイムロスがほとんどない。従って、第1〜第3実施形態の帯鋸盤は、ひねりゼロでない一般的な帯鋸盤と比較して同等以上の性能を有することになる。
【0092】
本発明は以上説明した第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。