(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底面パネルの背面に背面パネルが、前面に正面パネルが、両側面に側面パネルが立設された上面開口の箱状であり、それらいずれかのパネルをベント、支保工、建物構造物等の支持体に取付け可能な足場であり、
前記底面パネル、背面パネル、両側面パネル、正面パネルは、背面パネルを下にしてその上に底面パネル、その上に両側面パネル、その上に正面パネルの順に折り畳んで重ねることができ、
前記折り畳み状態から、正面パネルを引き上げると、その下に折畳まれている両側面パネルが背面パネルの両側前方に展開し、両側面パネルの前面に正面パネルが展開され、背面パネルに重ねてある底面パネルを背面パネルの前方に横倒しに展開することができるように連結され、
前記展開状態で背面パネルと正面パネルと両側面パネルが方形枠状に保持されるように両側面パネルと正面パネルが支持具で連結され、
前記方形枠状に保持された背面パネルと正面パネルと両側面パネルの内側に、底面パネルを倒すことにより、背面パネルと正面パネルと両側面パネルと底面パネルとにより前記上面開口であって、内部に作業者が入って作業することのできる広さの箱状に組み立てることができ、
前記組立て状態で、底面パネルを起立させて背面パネルに重ね、その底面パネルの上に両側面パネルを重ね、その両側面パネルの上に正面パネルを重ねて前記折畳み状態に戻すことができ、
少なくとも前記背面パネルに、ベント、支保工、建物構造物等の支持体に着脱可能な連結板を備えた、
ことを特徴とする折畳み足場。
【背景技術】
【0002】
前記した各種現場では高所作業に足場が使用されている。足場には各種のものがあり、一例として、パイプと床材を作業現場で縦横に組み立てて作った足場(組み立て式足場)、予め、工場で箱形に製造したものを現場に搬送して設置する足場(完成式足場)、車両に搭載されて車両の移動により現場に搬送される足場(車載式足場)等がある。
【0003】
組み立て式足場は施工現場のスペースや周囲の環境に合わせて組み立て可能であるという利点があるが、現場での組立作業が面倒であり時間が掛るといった難点がある。
完成式足場は現場での組み立て作業が不要であり設置が容易であるという利点があるが、嵩張るため保管スペースが広く必要になる。また、現場に運ぶトラックやトレーラーに一度に多くを積載することが難しく運搬効率に難点があった。
車載式足場は組立作業は不要であるが、車が入れない狭い現場では使用できないという難点がある。
【0004】
橋梁の施工方法には各種工法がある。その一つとして、橋脚間に橋桁を架設する場合にベントを積み重ねて組み立てた支保工を使用するベント工法がある。ベント工法は鋼製のベントを上方に積み重ねて連結して橋桁を支持する構台(支保工)を組み立て、その支保工の上に、トラックやトレーラー等で運んできた橋桁を架設する工法である。
【0005】
積み重ねた上下のベントは互いに連結する(組み立てる)必要があり、工事終了後は積み重ねたベントを解体する必要がある。これら組み立て作業や解体作業には足場が必要である。支保工はベントを積み重ねるにつれて高くなるため、高くなるにつれて組み立て作業や解体作業も高所作業となり、危険が伴う。
【0006】
近年は、支保工の外側に階段部材や踊場足場が設けられたベント設備が提案されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1記載のベント設備によれば、作業性や安全性での改善は期待できるが、階段部材や踊場足場が嵩張るため現場までの搬送や現場での設置作業が面倒であった。
【0009】
本発明の解決課題は、保管時や不使用時にはコンパクトに折り畳んで、保管に広いスペースが不要であり、現場への搬送も容易であり、使用時に現場で簡易に拡げて手軽に組立作業ができ、積み重ねたベントの連結、解体作業を容易かつ安全に行うことができる折畳み足場と、その折畳み足場を備えた折畳み足場付きベントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の折畳み足場は、底面パネルの背面に背面パネルが、前面に正面パネルが、両側面に側面パネルが立設された上面開口の箱状であり、それらいずれかのパネルをベントや建物などの構造物(以下「支持体」という。)に取付け可能な足場であり、前記底面パネル、背面パネル、両側面パネル、正面パネルは、背面パネルを下にしてその上に底面パネル、その上に両側面パネル、その上に正面パネルの順に折り畳んで重ねることができ、前記折り畳み状態から、正面パネルを引き上げると、その下に折畳まれている両側面パネルが背面パネルの両側前方に展開し、両側面パネルの前面に正面パネルが展開され、背面パネルに重ねてある底面パネルは背面パネルの前方に横倒しに展開することができるように連結され、前記展開状態で背面パネルと正面パネルと両側面パネルが方形枠状に保持されるように両側面パネルと正面パネルが支持具で連結され、前記方形枠状に保持された背面パネルと正面パネルと両側面パネルの内側に、底面パネルを倒すことにより、背面パネルと正面パネルと両側面パネルと底面パネルとにより前記上面開口
であって、内部に作業者が入って作業することのできる広さの箱状に組み立てることができ、前記組立て状態で、底面パネルを起立させて背面パネルに重ね、その底面パネルの上に両側面パネルを重ね、その両側面パネルの上に正面パネルを重ねて前記折畳み状態に戻すことができ
、少なくとも前記背面パネルに、ベント、支保工、建物構造物等の支持体に着脱可能な連結板を備えたものである。
【0011】
本発明の折畳み足場は、前記折畳み足場において、支持具が細長材であり、その支持具は側面パネルと正面パネルで構成される二つの上コーナー部及び二つの下コーナー部に設けられ、上コーナー部の支持具は側面パネルの上枠と正面パネルの上枠に跨がせて架設され、その一端側が側面パネルの上枠に他端側が正面パネルの上枠に夫々回転可能に取付けられ、下コーナー部の支持具は側面パネルの下枠と正面パネルの下枠に跨がせて架設され、その一端側が側面パネルの下枠に他端側が正面パネルの下枠に夫々回転可能に取付けられて、正面パネルの折畳みに伴って折畳まれ、正面パネルの展開に伴って立ち上がり、両側面パネルが背面パネルの前方に突出するまで展開されて側面パネル側端部が正面パネル側端部と突き合わされると、両側面パネルの前記枠材と正面パネルの前記枠材が支持具により支持されて両側面パネルと正面パネルが展開状態に保持されるようにすることができる。
【0012】
本発明の折畳み足場は、底面パネルの背面に背面パネルが、前面に正面パネルが、両側面に側面パネルが立設された上面開口の箱状であり、それらいずれかのパネルをベント、支保工、建物構造物等の支持体に取付け可能な足場であり、前記底面パネル、背面パネル、両側面パネル、正面パネルは、背面パネルを下にしてその上に底面パネル、その上に両側面パネル、その上に正面パネルの順に折り畳んで重ねることができ、前記折り畳み状態から、正面パネルを引き上げると、その下に折畳まれている両側面パネルが背面パネルの両側前方に展開し、両側面パネルの前面に正面パネルが展開され、背面パネルに重ねてある底面パネルを背面パネルの前方に横倒しに展開することができるように連結され、前記展開状態で背面パネルと正面パネルと両側面パネルが方形枠状に保持されるように両側面パネルと正面パネルが支持具で連結され、前記方形枠状に保持された背面パネルと正面パネルと両側面パネルの内側に、底面パネルを倒すことにより、背面パネルと正面パネルと両側面パネルと底面パネルとにより前記上面開口であって、内部に作業者が入って作業することのできる広さの箱状に組み立てることができ、前記組立て状態で、底面パネルを起立させて背面パネルに重ね、その底面パネルの上に両側面パネルを重ね、その両側面パネルの上に正面パネルを重ねて前記折畳み状態に戻すことができ、前記支持具が細長材であり、その支持具は側面パネルと正面パネルで構成される二つの上コーナー部及び二つの下コーナー部に設けられ、上コーナー部の支持具は側面パネルの上枠と正面パネルの上枠に跨がせて架設され、その一端側が側面パネルの上枠に他端側が正面パネルの上枠に夫々回転可能に取付けられ、下コーナー部の支持具は側面パネルの下枠と正面パネルの下枠に跨がせて架設され、その一端側が側面パネルの下枠に他端側が正面パネルの下枠に夫々回転可能に取付けられて、正面パネルの折畳みに伴って折畳まれ、正面パネルの展開に伴って立ち上がり、両側面パネルが背面パネルの前方に突出するまで展開されて側面パネル側端部が正面パネル側端部と突き合わされると、両側面パネルの前記枠材と正面パネルの前記枠材が支持具により支持されて両側面パネルと正面パネルが展開状態に保持されるようにしてある。この場合、
少なくとも背面パネルに、ベント、支保工、建物構造物等の支持体に着脱可能な連結板を備えることもできる。
【0013】
前記底面パネルは、背面パネルの上に重なる折り畳み状態から、背面パネルの前方に横倒しになる状態まで回転可能に背面パネルの下部に取付けられ、側面パネルは底面パネルの上に重ねられた折り畳み状態から背面パネルの前方に突出する展開状態まで回転可能に背面パネルの側方部に取付けられ、正面パネルは側面パネルの上に重ねて折り畳まれた状態から
、背面パネルの前方に突出した両側面パネルの前方に配置される展開状態まで回転可能に側面パネルに取付けることができる。この場合、前記のように連結された両側面パネルの前記枠材と正面パネルの前記枠材と支持具により不等辺三角形が形成され、その不等辺三角形が確保されて両側面パネルと正面パネルの前記展開状態が保持され、折り畳み時には当該支持具が側面パネルの枠材に沿うように回転して折畳まれるようにすることができる。
【0014】
前記背面パネル、両側面パネル、正面パネルのいずれか一以上のパネルに、タラップを設け、
底面パネルに出入り口を設け、出入り口に開閉可能な蓋を設け、作業者がそのタラップを昇降して
前記出入り口から、箱状に展開されている足場内に出入りするようにでき、足場内への出入りが容易になる。蓋は下方から上方へ押し上げると開いて引き下げると閉じる開閉式(ドア式)でも、横スライドして開閉できるスライド式(引き戸式)のものでもよい。
【0015】
本発明の折畳み足場付きベントは、ベントの装備面に前記折畳み足場が取付けられ、その取付け状態で折り畳み展開自在としたものである。この場合、折畳み足場のタラップが付いている背面パネルをベント側にして取付けると作業者がタラップを上り降りする際に折畳み足場が安定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の折畳み足場は次の効果がある。
(1)折り畳むことができるので保管に広い場所を取らず、嵩張らないのでトラックやトラクター等の搬送車への積み込み数を多くすることができ、多数の折畳み足場を効率良く搬送することができる。
(2)折り畳み状態で最上段に重ねてある正面パネルを拡げて(引き上げて)、底面パネルを起こすと箱状に展開できるため展開が容易であり、足場組立作業に要する時間、体力の無駄が解消される。
(3)底面パネルに出入り口があり、出入り口が蓋で開閉可能であるため、展開した箱状の足場内への作業者の出入りが容易である。
【0017】
本発明の折畳み足場付きベントは次の効果がある。
(1)ベントに足場が付いているため、ベントを積み重ねれば自動的に足場付きの支保工が組み立てられ、単管パイプや床材で足場を組む場合に比して作業性が良い。
(2)折畳み足場がベントに取付けられているため、ベントの運搬に伴って足場も運搬され、トラックやトレーラー等への積み降ろし作業が容易になる。
(3)折畳み足場を地上で箱状に展開してからベントを積み重ねることができるので、高所での足場組立作業が不要であり安全でもある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(折畳み足場の実施形態)
本発明の折畳み足場の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の折畳み足場は、橋梁や高速道路等の施工現場、ビル建築現場といった各種現場で使用可能なものである。本発明の折畳み足場はベントに取付けておくこともできるが、ベントとは別に分離しておき、使用時にベントに取付けて使用することもできる。以下の説明では、
図4(a)のように折畳み可能な折畳み足場1をベント2に取付けておき、ベント2に取付けた状態で
図1、
図4(b)のように箱状に展開可能な折畳み足場付きベント100を一例として説明する。
【0020】
本発明の折畳み足場1は、保管時や不使用時は
図4(a)に示すように折畳むことができ、使用時には
図1、
図4(b)のように拡げて(展開して)上面開口の箱状にすることができ、
図2、
図3のようにその足場内に作業者がのって(入って)、上下に積み重ねたベント2の連結作業、解体作業、その他の必要な作業を行うことができるようにしたものである。
図2は
図1の足場付きベントを上下に重ねた状態の正面図、
図3は
図2の側面図である。
【0021】
[折畳み足場の展開方法]
図4(a)示すように折り畳んである折畳み足場1を、
図1に示す箱型に展開するには、例えば
図5(a)〜(c)に示す手順で行うことができる。
(1)
図4(a)に示すように、折畳み足場付きベント100を、そのベント2を下にして地面に置く。
(2)
図5(a)に示すように、二人の作業者が、折り畳んである最上段の正面パネル6の長手方向(幅方向)両側を手で持って引き上げる。このとき、正面パネル6に支持具7で連結されている両側面パネル5が
図5(b)に実線で示す状態まで引き上げられ(開かれ)、さらに側面パネル5の上端を
図5(b)の破線で示す状態まで引き寄せることによって、ベント2側の背面パネル4とそれと対向する正面パネル6と、背面パネル4と正面パネル6の間の両側面パネル5が方形枠状になる。
(3)
図5(b)のような箱型に展開した後、背面パネル4の上に重ねてある(倒伏している)底面パネル3を
図5(c)に示すように起こして(立ち上げて)、
図1、
図4(b)のように、背面パネル4と両側面パネル5と正面パネル6と底面パネル3で囲まれて上面が開口する箱状の足場にする。
【0022】
[折畳み足場の折畳み方法]
図1、
図4(b)に示すように箱状に展開されている折畳み足場1を、
図4(a)のように折畳むには例えば次のようにする。
(1)
図1、
図4(b)の展開状態の折畳み足場1をベント2に取付けたまま
図4(b)に示すように横に寝かせる。
(2)
図5(c)とは逆に、底面パネル3を背面パネル4側に横倒しにする。
(3)前記(2)の状態で、両側面パネル5を下方に押して支持具7の下端側を内側にスライドさせて、支持具7による正面パネル6の支持を解除する。
(4)前記(3)の状態で正面パネル6を下方に押し下げて
図5(a)に示すように、両側面パネル5を背面パネル4の上に重ねた底面パネル3側に下げて、
図4(a)に示すように、両側面パネル5を底面パネル3の上に重ね、その上に正面パネル6を重ねる。このとき、正面パネル6を背面パネル4の上に殆ど又は全く隙間なく重ねて、折畳みを完了する。
【0023】
[折り畳み足場の構成部材]
前記のように展開、折り畳み可能な本願発明の折畳み足場1は、
図6に示すように、底面パネル3と、底面パネル3の後方に縦向きに取り付けられた背面パネル4と、底面パネル3の前方に縦向きに取り付けられた正面パネル6と、底面パネル3の両側面に縦向きに取り付けられた側面パネル5を備えている。これらパネルは
図4(a)に示すように、背面パネル4を下にして、背面パネル4、底面パネル3、両側面パネル5、正面パネル6の順に重ねて折り畳めるように連結してある。
【0024】
[底面パネル]
前記底面パネル3は展開時に作業足場となる部分であり、
図6及び
図7に示すように横幅方向両側に固定床31が設けられ、両固定床31の間に出入り口31aが設けられ、出入り口31aに開閉床32が設けられている。前記固定床31は固定床フレーム33の内側に床材34が張られている。固定床フレーム33の長手方向両端であって背面パネル4寄りの箇所には、背面パネル4との連結に用いる連結具(ボルト)19を挿し込み可能な止め孔33aが設けられている。床材34としてエキスパンドメタルが使用されている。出入り口31aは作業者が出入りできる広さにしてある。
【0025】
前記開閉床32は
図6及び
図7に示すように、方形の開閉床枠37の内側に床材38が張られている。床材34としてエキスパンドメタルが使用されている。この開閉床32は
図6のように開閉床枠37の両側部37a、37bの手前側に連結ピン39で軸支されて
図6の矢印A−B方向に回転して、出入り口31aを開閉自在としてある。開閉床枠37の両側先方部分には平板状のストッパー40が外側に突出して設けられている。このストッパー40は開閉床32を
図6の矢印A方向に回転させて出入り口31aを閉じると、固定床フレーム33の周枠31aに係止してその位置に停止するようにしてある。
【0026】
[背面パネル]
前記背面パネル4は、
図6に示すように横幅方向両側の背面フレーム4aの間にタラップ8が設けられている。背面フレーム4aは縦方向中央部に補強用の横材10が設けられ、その横材10の下に幅木23が張られている。幅木23としてエキスパンドメタルが使用されている。
【0027】
前記タラップ8は梯子部分11と、その上端から後方に突設された取付け部12を備えている。梯子部分11はステップバー11aを備える。ステップバー11aの本数や間隔は使用し易いように設定することができる。タラップ8の下端は背面パネル4の下端よりも下方まで延びている。タラップ8の位置は背面フレーム4a内であれば他の箇所、例えば、左右いずれか寄りの位置であってもよい。
【0028】
前記背面フレーム4aの左右の縦材9はL字状の細長材であり、平面視外向きL字状となるように配置されている。この縦材9の内側面の下端側には貫通孔9aが設けられ、固定床フレーム33との連結に用いる連結具19を、
図7に示すように縦材9の外側から挿し込み可能としてある。縦材9の上端部外側には上連結プレート14が、下端部外側には下連結プレート15が手前(前方)に突出して設けられている。両連結プレート14、15には上下に貫通した差込み孔14a、15aが開口されている。背面フレーム4aの左右の縦材9の上端部内側にL字状の上連結板21が取付けられ、この縦材9の縦方向中間部(上下二本の横材10aと10bの間)の内側にL字状の下連結板22が取付けられている。上連結板21、下連結板22は
図1のようにベント2に取付けるためのものであり、それらの内側片21a、22aにはベント2に連結するためのボルトを差し込むための止め穴21b、22bが開口されている。前記タラップ8の下部両外側には平板状の連結板24が正面側に向けて取付けられている。この連結板24には横方向(肉厚方向)に貫通する差込み孔25が開口されている。この差込み孔25は底面パネル3を取付けるためのボルトを差し込むための止め孔である。
【0029】
[側面パネル]
前記側面パネル5は、
図6及び8に示すように、縦長方形の側面フレーム5aの内側に2本の横材44と、斜材45が配置されて補強され、下部に幅木46が張られている。幅木46にエキスパンドメタルが張られている。幅木46は背面パネル4側の端部46aが背面パネル4側に突設され、背面パネル4と両側面パネル5の隙間を埋められるようにしてある。
【0030】
側面フレーム5aの上材42の後端部は、側面フレーム5aの後縦材41aよりも後方に突出しており、その突出部42aに上下方向に貫通する差込み孔47が形成されている。この差込み孔47は
図8のように背面パネル4に取付ける場合に止めピン(ボルト)17を差し込むための止め孔である。側面フレーム5aの後縦材41aの下端には薄板状の連結プレート48が後方に突出して設けられている。この連結プレート48にも上下方向(肉厚方向)に貫通した差込み孔49が設けられている。この差込み孔49も
図8のように背面パネル4に取付ける場合にボルト17を差し込むための止め孔である。側面フレーム5aの前縦材41bには2枚の平板材28が上下に間隔をあけて設けられている。2枚の平板材28は外側方に突出して設けられている。
【0031】
[正面パネル]
前記正面パネル6は、
図6及び9(a)(b)に示すように横長方形の正面フレーム6aの内側に補強用の縦材54と横材55が十字状に配置され、正面フレーム6aの内側下部に幅木56としてエキスパンドメタルが張られている。
図7及び9(a)に示すように、フレーム6aの上下方向中央部に設けられた横材55の幅方向両端側には、正面パネル6の引き上げ用の取っ手58が設けられている。取っ手58はL字状としてあるが、これ以外の形状であってもよい。正面フレーム6aの幅方向両端面には、平板状のプレート59が間隔をあけて2枚ずつ設けられている。プレート59は、展開状態において側面パネル5の平板材28とかみ合って(接触して)、正面パネル6にかかる荷重を側面パネル5に伝えられるようにしてある。
図9に示すように下材53の横長方向中央部には平板状の支持体57が下材53の内側に突出して設けられている。この支持体57は
図9(b)のように側面パネル5、正面パネル6の内側下部に配置された底面パネル3を
図10(b)のように下方から支持できるようにしてある。
【0032】
前記した底面パネル3、背面パネル4、側面パネル5、正面パネル6にはエキスパンドメタルが張られているが、エキスパンドメタル以外のもの、例えば板材や他の網材等を用いることもできる。フレーム、タラップ等は強度の面から鋼材製とするのが適する。
【0033】
[折畳み足場の組み立て]
本発明の折畳み足場1は、前記底面パネル3と、背面パネル4と、正面パネル6と、側面パネル5を組み立てて(連結して)
図1のような展開状態に構成されている。
【0034】
[底面パネルと背面パネルの連結]
底面パネル3と背面パネル4の連結は
図7に示すように、横向きの底面パネル3の背面に背面パネル4を縦向きに配置し、背面パネル4の下部に設けてある2枚の連結板24を底面パネル3の2つの固定床31の内側に配置し、両連結板24側から固定床31の周枠31bに向けてボルトその他の止め具26をねじ込むことによって連結してある。底面パネル3は、固定床フレーム33の両止め孔33aが、背面パネル4の両縦材9に設けられた貫通孔9aと連通するように両縦材9間に配置され、両縦材9の外側から貫通孔9aと止め孔33aに挿し込まれた連結具19で連結されている。底面パネル3は止め具26及び連結具19を回転軸として折畳み方向(
図7のX矢印方向)と展開方向(
図7のY矢印方向)に回転するようにしてある。
【0035】
[背面パネルと両側面パネルの連結]
背面パネル4と2枚の側面パネル5は
図8に示すように、背面パネル4のL字状の縦材9の外側に夫々の側面パネル5の側面フレーム5aの後縦材41aを押し当てる。この場合、側面フレーム5aの上材42の突出部42aを背面パネル4の縦材9に設けた上連結プレート14の下に配置してボルト17とナット18で連結し、側面フレーム5aの下端に設けた連結プレート48を背面パネル4の縦材9の下端に設けた両連結プレート15の上に配置してボルト17とナット18で連結して、側面パネル5がボルト17を回転軸として、折畳み方向(
図8のS矢印方向)と展開方向(
図8のT矢印方向)に回転するようにしてある。
【0036】
[両側面パネルと正面パネルとの連結]
2枚の側面パネル5と正面パネル6は
図9(a)(b)に示すように、夫々の側面パネル5の前面に正面パネル6が縦向きに配置され、夫々の側面パネル5の上材42と正面パネル6の上材52のコーナー部分の上に、細長の薄板状の支持具7を斜めに架設して連結し、夫々の側面パネル5の下材43と正面パネル6の下材53のコーナー部分の下に前記支持具7と同じ形状の支持具7を斜めに架設して連結してある。この場合、支持具7はその軸方向両端に開口してある止め孔16に差し込まれたボルト等の連結軸72によって軸支され、その連結軸72を回転軸として回動可能にして、
図5(a)(b)のように折り畳み、展開できるようにしてある。両側面パネル5に設けられた平板材28と正面パネル6に設けられたプレート59は、展開状態において、
図9(a)(b)に示すようにかみ合い、正面パネル6にかかる荷重が両側面パネル5に伝わるようにしてある。
【0037】
前記支持具7と、それで連結された2枚の側面パネル5の側面フレーム5aと、正面パネル6の正面フレーム6aは、
図5(a)(b)のように正面パネル6を持ち上げて
図11(a)に示すように側面パネル5を背面パネル4に対して直角又は略直角に起立させると、
図11(a)のように不等辺三角形が形成されるように設計されている。このとき、支持具7の正面パネル6側から側面パネル5側に働く力Fのうち、分力f1が側面パネル5に作用して、側面パネル5が起立状態に支持される。
【0038】
前記起立状態で展開時とは逆に
図5(b)、
図5(a)の順に正面パネル6を押し下げると当該支持具7が倒れて前記不等辺三角形の形状が崩れ、
図11(b)に示すように両側面パネル5が背面パネル4の上に重なって折畳まれ、正面パネル6の上に両側面パネル5が重なって折畳まれる。この場合、両側面パネル5と正面パネル6は全く又はほとんど隙間なく重なるように支持具7の長さ、両側面パネル5と正面パネル6への支持具7の取付け位置を設計してある。
【0039】
(折畳み足場付きベントの実施形態)
本発明の折畳み足場付きベント100の実施形態の一例について
図1乃至3を参照して説明する。この折畳み足場付きベント100は前記した折畳み足場1を
図1に示すベント2に取付けたものである。ベント2は
図2(正面図)、
図3(側面図)のように上下に所望数多段に重ねて、重ね部分をボルトとナットで締め付けることにより、橋桁の仮受けに用いられる支保工を組み立てることができるものである。
【0040】
[ベント]
図1に示すベント2は2本の縦柱101の間に2本の横材102が配置連結されて方形枠状に組み立てられ、その方形枠内に斜材(ブレース材)103が配置され、縦柱101の上部に上面材ブレース108a、縦柱101の下部に下面材ブレース108bを横にわたして固定してある。前記縦柱101は、支柱部104の上端に平板状の上ベースプレート105aが、下端に下ベースプレート105bが設けられ、夫々の支柱部104には複数本のタラップ106が設けられている。ベースプレート105には貫通孔107が複数設けられ、その貫通孔107にボルトを差し込んでナット締めすることによって、支持台座Bや他のベント2(折畳み足場付きベント100)に固定できるように構成されている。ベントの寸法や構造は図示した以外であってもよい。
【0041】
[ベントへ取付ける折畳み足場]
ベント2に取付ける折畳み足場1は、前記実施形態に示した折畳み足場であり、展開時には
図1乃至3及び
図4(b)に示すようにベント2の外側に突出し、折り畳み時には
図4(a)に示すようにベント2の上に重なるようにしてある。
【0042】
[折畳み足場のベントへの取付け]
折畳み足場1は背面パネル4に設けられた上連結板21(
図6)が
図1のベント2の上面材ブレース108aに宛がわれてボルトとナットでベント2に固定されている。また、背面パネル4に設けられた下連結板22はベント2のタラップ106の前面に宛がわれ、タラップ106に被せられたUボルト(図示しない)の両端が下連結板22の止め穴21b、22bに挿通され、下連結板22の内側片21a、22aの外側(正面側)に突出した両端がナットによって固定されている。夫々の下連結板22には止め穴21b、22bが4つずつ設けられており、ベント2のタラップ106の位置に応じて好ましい止め穴21b、22bを用いることができる。また、タラップ8の取付け部12をベント2の横材102の上に重ね、取付け部12の孔と横材102の孔に差し込んだボルトをナットで締めて固定もしてある。
図1のように折畳み足場1の背面パネル4をベント2側にして取付けることにより、
図4(a)に示すようにベント2を横倒しにすると、折畳み足場1がベント2の上に重なり、その上に、側面パネル5、正面パネル6が順に重なって折畳まれる。
【0043】
[折畳み足場付ベントの展開方法]
本発明の折畳み足場1を展開するには、
図4のようにベント2が横向きになっている状態で、ベント2に折畳んである折畳み足場1の正面パネル6を
図5(a)(b)の順に引き上げ、
図5(c)のように底面パネル3を起こして
図4(b)のようにする。
図5(c)のように底面パネル3を起こしたら、
図10(a)のように底面パネル3の上から外れているボルト60をねじ込んで
図10(b)のように底面パネル3の上まで突出させて底面パネル3が倒れないようにする。
図5(c)のように箱状に展開された折畳み足場1は、
図11(a)のように側面パネル5が背面パネル4に対して直角又は略直角に起立して、側面パネル5の側面フレーム5aと正面パネル6の正面フレーム6aが支持具7で支持され、側面パネル5と正面パネル6が箱状に保持される。
【0044】
前記箱状に展開してからベント2を起立させ(縦柱101を縦向きにし)て、ベント2を
図2、
図3のように上下に積み重ねて支保工を組み立てると、展開されている折畳み足場1がベントの側方(支保工の側方)に突出する。作業者はタラップ8を上って折畳み足場1の底面に到達したら底面パネルの開閉床32(
図6)を押し上げて出入り口31aを開き、その出入り口31aから
図2、
図3のように折畳み足場1内に入ることができる。
【0045】
[折畳み足場付ベントの折畳み方法]
折畳み足場付ベント100は使用後に解体し、縦柱101を横向きにして地上に降ろす。
図10(b)のように底面パネル3の上まで突出しているボルト60を
図10(a)のように引いて抜いて底面パネル3の上から外し、
図5(c)とは逆に底面パネル3を背面パネル側に倒す。
図5(b)、
図5(a)の順に正面パネル6を押し下げて、両側面パネル5を背面パネル4の上に重ね、正面パネル6の上に両側面パネル5を重ねて、
図4(a)のように折畳む。
【0046】
(折畳み足場の使用例1)
本発明の折畳み足場1を使用する場合、
図4のようにベント2が横向きになっている状態で、ベント2に折畳んである折畳み足場1の正面パネル6を
図5(a)(b)の順に引き上げ、
図5(c)のように底面パネル3を起こして
図4(b)のように箱状に展開する。この場合、
図11(a)のように側面パネル5を背面パネル4に対して直角又は略直角に起立させると、側面パネル5の側面フレーム5aと、正面パネル6の正面フレーム6aが支持具7で支持されて、側面パネル5と正面パネル6が箱状に保持される。この状態でベント2を起立させ(縦柱101を縦向きにし)、そのベント2を
図2、
図3のように上下に積み重ねて支保工を組み立てると、展開済みの折畳み足場1がベント2の側方(支保工の側方)に突出する。作業者はタラップ8を上って折畳み足場1の底面に到達したら底面パネル3の開閉床32(
図6)を押し上げて出入り口31aを開き、その出入り口から
図2、
図3のように折畳み足場1内に入り、その中で上下に積み重ねたベント2の連結作業やその他の必要な作業を行うことができる。
【0047】
(折畳み足場の使用例2)
本発明の折畳み足場1はベント2と別体に製作したものを、折畳み足場1の付いていないベント2を上下に積み重ねて連結した支保工に取付けて使用することができる。支保工以外のビルやその他の構造物に取付けることもできる。この場合、折畳み足場1を箱状に展開してから取付けると取付け易い。