【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
【0046】
<フィブリル化したリヨセル繊維の物性値>
下記の例に用いたフィブリル化したリヨセル繊維について、
(1)繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークの繊維長:「最大頻度ピークの繊維長」
(2)1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合:「1.00mm以上の繊維割合」
(3)繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾き:「割合の傾き」
(4)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
(5)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度:「変法濾水度」
として、表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
(細繊維層Aの作製)
繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維50部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)50部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて不織布強度を発現させ、坪量50g/m
2の細繊維層Aを作製した。
【0049】
実施例1
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維50部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0050】
実施例2
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Bを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0051】
実施例3
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Cを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0052】
実施例4
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Dを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0053】
実施例5
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Eを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0054】
実施例6
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Fを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0055】
実施例7
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Gを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0056】
実施例8
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Hを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0057】
実施例9
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Iを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0058】
実施例10
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Jを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0059】
実施例11
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維62部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維F8部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量100g/m
2の濾材を作製した。
【0060】
実施例12
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維60部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維F10部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0061】
実施例13
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)20部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維H40部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量20g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量70g/m
2の濾材を作製した。
【0062】
実施例14
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)20部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維H50部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量20g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量70g/m
2の濾材を作製した。
【0063】
実施例15
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維65部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維F5部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量100g/m
2の濾材を作製した。
【0064】
実施例16
密層として、繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維30部、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)10部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0065】
実施例17
密層として、繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維20部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)60部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0066】
実施例18
密層として、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維10部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)70部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0067】
実施例19
密層として、繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維35部、繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)5部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、作製しておいた細繊維層Aと重ねて130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、細繊維層と密層が一体化した坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0068】
実施例20
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径0.4μmのフィブリル化したアラミド繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0069】
実施例21
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径2.4μm、繊維長2mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0070】
実施例22
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径7.4μm、繊維長2mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0071】
実施例23
細繊維層Aの繊維径3.0μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維の代わりに繊維径8.6μm、繊維長2mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維を配合した以外は、実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0072】
(比較例1)
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Kを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0073】
(比較例2)
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Lを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した。
【0074】
(比較例3)
実施例1のリヨセル繊維Aの代わりにリヨセル繊維Mを配合した以外は実施例1と同様の方法で濾材を作製した
【0075】
(比較例4)
繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維50部、繊度2.2dtex、繊維長5mmの熱融着性バインダー繊維(芯鞘タイプ、ポリエステル系繊維)30部、フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して得られたフィブリル化したリヨセル繊維A20部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって、熱融着性バインダー繊維を接着させて強度を発現させ、坪量30g/m
2の濾材を作製した。
【0076】
(比較例5)
濾過する際の流出側の層として、三菱製紙社製木材パルプ(NBKP)をパルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量50g/m
2になるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、流出側の層を作製した。流入側となる層には、市販のポリプロピレンを主成分とした繊維径2〜8μmで坪量30g/m
2のメルトブロー不織布を用い、両層を重ね合わせて、トータル坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0077】
(比較例6)
フィブリル化していないリヨセル単繊維(繊維径12μm、繊維長6mm、コートルズ社製)を、カナダ標準濾水度が370mlになるようにダブルディスクリファイナーを用いて叩解してフィブリル化リヨセル繊維とした。別途、三菱製紙社製木材パルプ(NBKP)をカナディアン濾水度が600mlになるようにダブルディスクリファイナーを用いて叩解した。これらのフィブリル化リヨセル繊維10質量%、叩解木材パルプ90質量%の比率で、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量80g/m
2になるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、濾材を得た。
【0078】
(比較例7)
粗層:平均直径10〜50μmの断面扁平形状(互いに直交する2方向において、一方が10μm、他方が50μmの断面長方形状)を有する木材パルプ25部と、直径5μmの断面略円形状(略真円形状)を有する配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート繊維75部とを配合して、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量30g/m
2になるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、濾材の粗層を得た。
【0079】
密層:直径13μmの断面略円形状を有するレーヨンを叩解し、カナダ標準濾水度150mlにフィブリル化した叩解繊維80部と、繊維直径13μmの断面略円形状を有する配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート繊維20部とを配合して、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(1%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて坪量40g/m
2になるように抄き上げ、130℃のシリンダードライヤーによって乾燥させ、濾材の密層を得た。粗層と密層を重ねてフェノール樹脂を10g/m
2含浸し、乾燥させて坪量80g/m
2の濾材を作製した。
【0080】
<評価>
実施例1〜23及び比較例1〜7で得られた濾材及び複合濾材について、下記の評価を行い、圧力損失、捕集効率、プリーツ加工性の評価結果を表2に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
[圧力損失](単位:Pa)
JIS B9908に準じて、面風速5.3cm/秒の条件で測定した。圧力損失は低いほど好ましく、150Pa未満であれば「◎」、150Pa以上200Pa未満であれば「○」、200Pa以上250Pa未満であれば「△」、250Pa以上を「×」とした。
【0083】
[捕集効率](単位:%)
JIS B9908に準じて、面風速5.3cm/秒の条件で測定した。測定対象粒子は、大気塵を使用して、粒子径0.3〜0.5μmの粒子についての捕集効率をパーティクルカウンター(商品名「KC−11」、リオン社製)を使用して測定した。捕集効率は高いほど好ましく、90%以上であれば「◎」、70%以上90%未満であれば「○」、50%以上70%未満であれば「△」、50%未満であれば「×」とした。
【0084】
[プリーツ加工性]
濾材及び複合濾材をマシンの流れ方向(MD)30cm、横方向20cmに裁断し、流れ方向を横切るように5cm毎に山折、谷折を繰り返し、畳んだ濾材の上に、直径5cm、長さ30cm、重さ3kgの円柱状金属ロールをゆっくり転がして折り目をつけ蛇腹状とする。折り目が明確で歪みがなく、折り目を押しても変形しなければ良好「○」とし、若干変形したが使用上問題ないレベルのものを「△」とし、それ以外を「×」とした。また、非常に硬く「○」よりも優れているものを「◎」とした。
【0085】
【表3】
【0086】
[マルチパス試験捕集効率]
ISO16889のシートマルチパス試験方法を用いて、濾過面積529cm
2、試験オイルAEROSHELL FLUID41、試験流量20L/分、試験ダストISO12103−A2、試験ダスト濃度3mg/Lにて自動粒子カウンターで粒子径別粒子数を計測し、連続的に濾過効率を算出した。ここでの捕集効率は、試験開始10分後の粒子径5μmの捕集効率(%)を示す。マルチパス試験捕集効率は、実施例1、20〜23で得られた濾材について評価した。
【0087】
[マルチパス試験ライフ]
ISO16889のシートマルチパス試験方法を用いて、濾過面積529cm
2、試験オイルAEROSHELL FLUID41、試験流量20L/分、試験ダストISO12103−A2、試験ダスト濃度3mg/Lにて自動粒子カウンターで粒子径別粒子数を計測し、連続的に濾過効率を算出した。ここでのライフは、圧力が初期圧から98kPa上昇するまでの時間を示す。時間が長いほどライフが長く良好である。マルチパス試験捕集効率は、実施例1、20〜23で得られた濾材について評価した。
【0088】
実施例1〜19と比較例1〜3との比較から、実施例1〜19で得られた濾材は、密層が合成樹脂短繊維とフィブリル化したリヨセル繊維と熱融着性バインダー繊維を含有する不織布からなり、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるため、表面の平滑性が高く、均一性に優れ、捕集効率、圧力損失のバランスが良好な結果が得られた。
【0089】
これに対し、比較例1で得られた濾材では、繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークが0.00〜1.00mmの間から外れているため、捕集効率が低い結果となった。また、比較例2で得られた濾材は、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%より少ないため、強度が低く、圧力損失も実施例より大きい結果となった。さらに、比較例3で得られた濾材は、繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークが0.00〜1.00mmの間から外れているため、捕集効率が低い結果となった。比較例4で得られた濾材は、2層構造の実施例1〜19の濾材と比較して、単層構造でありプリーツ加工性が悪い結果となった。
【0090】
比較例5で得られた濾材は、流入側がメルトブロー不織布であり、流出側が木材繊維からなるセルロースからなる濾材を重ねた2層構造の濾材であるが、メルトブロー不織布の繊維径が太いために、捕集効率が悪い結果となった。また、熱融着性バインダー繊維を配合していないために、層間剥離を起こしやすかった。
【0091】
比較例6で得られた濾材は、叩解したフィブリル化リヨセル繊維と木材繊維からなるセルロースを混合した単層の濾材であるが、フィブリル化リヨセル繊維の叩解度合いが不足しているために、捕集効率が低い結果となった。また、セルロース素材のみで構成しているために、水に浸したところ、すぐに破れてしまった。
【0092】
比較例7で得られた濾材は、粗層と密層からなる2層構造の濾材であり、密層には叩解したフィブリル化したレーヨン繊維が80質量%配合されており捕集効率は良好であった。しかし、フィブリル化したレーヨン繊維が80質量%と非常に多く配合されていると共に、フェノール樹脂を含浸した際に密層の細孔を埋めてしまい、圧力損失が非常に高い結果となった。
【0093】
実施例1〜10の比較から、フィブリル化したリヨセル繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下である場合、圧力損失が低く、捕集効率が高く、強度も高かった。傾きが−3.0より小さい実施例5では、強度が若干低下する傾向が見られた。傾きが−0.5より大きい実施例10では、捕集効率が若干低下する傾向が見られた。
【0094】
実施例1〜19の比較から、フィブリル化したリヨセル繊維の配合比率が50質量%の実施例14の濾材は、圧力損失がやや高めとなり、密層に配合されるフィブリル化したリヨセル繊維の配合比率が5質量%の実施例15の濾材は、捕集効率がやや低めであることから、密層中のフィブリル化したリヨセル繊維の配合比率が5質量%超40質量%以下であれば、良好な捕集効率と圧力損失のバランスが得られ、好ましいことが分かる。
【0095】
実施例1〜19の比較から密層に配合される熱融着性バインダー繊維の配合比率が5質量%の実施例19の濾材は、プリーツ加工性がやや低めであり、熱融着性バインダー繊維の配合比率が70質量%の実施例18の濾材は、捕集効率がやや低めとなることから、密層中の熱融着性バインダー繊維の配合比率が10〜60質量%の場合に、プリーツ加工性と捕集効率のバランスが良いことが分かる。
【0096】
実施例1、20〜23の比較から細繊維層に配合される合成樹脂短繊維の繊維径は、1μm未満の実施例20の濾材では、マルチパス試験のライフが短くなる傾向が確認された。また、8μmを超えた実施例23の濾材では、マルチパス試験捕集効率が低めとなる傾向が見られた。繊維径1〜8μmの場合に、マルチパス捕集効率とライフのバランスが良いことが分かる。