特許第5759446号(P5759446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5759446解剖学的特徴を輪郭抽出するシステム、作動方法及びコンピュータ可読媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759446
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】解剖学的特徴を輪郭抽出するシステム、作動方法及びコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20150716BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   A61B6/03 360J
   A61B6/03 360G
   A61B6/03 377
   A61B5/05 380
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-502834(P2012-502834)
(86)(22)【出願日】2010年3月2日
(65)【公表番号】特表2012-522557(P2012-522557A)
(43)【公表日】2012年9月27日
(86)【国際出願番号】IB2010050893
(87)【国際公開番号】WO2010113050
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2013年2月28日
(31)【優先権主張番号】61/165,923
(32)【優先日】2009年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】ペカール,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ,ダニール
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534500(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016530(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージによりガイドされる治療計画に用いられるイメージにおける解剖学的特徴を輪郭抽出するシステムであって、
イメージング装置から患者の解剖学的構造の初期イメージを受信し、
前記初期イメージにおいて解剖学的ランドマークを検出し、
前記解剖学的構造に対応するリファレンス輪郭におけるリファレンスランドマークと前記検出された解剖学的ランドマークの位置とを比較し、
前記検出された解剖学的ランドマークを前記リファレンスランドマークにマッピングし、
前記マッピングされたランドマークのペアに基づき、前記リファレンス輪郭を前記解剖学的構造に調整し、
前記調整されたリファレンス輪郭を利用して、前記初期イメージより高い解像度を有する前記解剖学的構造の第2イメージにおける前記解剖学的構造の輪郭を調整し、
調整された第2イメージをメモリに格納し、
前記調整された第2イメージを治療計画コンポーネントに提供するプロセッサを有するシステム。
【請求項2】
前記リファレンス輪郭は、薄板スプラインを利用して調整される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記初期イメージは、CTスキャナにより生成される低線量CTイメージであり、
前記検出されたランドマークは、硬組織ランドマークである、請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記初期イメージは、MRI装置により生成される低解像度磁気共鳴イメージであり、
前記検出されたランドマークは、軟組織ランドマークである、請求項1乃至3何れか一項記載のシステム。
【請求項5】
検出されたランドマークの位置情報は、DICOMデータ転送プロトコルを用いて移出される、請求項1乃至4何れか一項記載のシステム。
【請求項6】
前記治療計画コンポーネントは、前記調整された第2イメージに含まれる情報に少なくとも部分的に基づき、放射線治療プラン、超音波治療プラン、粒子線治療プラン、アブレーションプラン及び理学療法プランの少なくとも1つを生成する、請求項1乃至5何れか一項記載のシステム。
【請求項7】
前記初期イメージは、第1イメージングモダリティを利用して生成され、前記第2イメージは、前記第1イメージングモダリティと異なる第2イメージングモダリティを利用して生成される、請求項1乃至6何れか一項記載のシステム。
【請求項8】
前記初期イメージは、CTスキャナとMRI装置との少なくとも1つを用いて生成され、
前記第2イメージは、前記CTスキャナと、前記MRI装置と、核イメージング装置との少なくとも1つを用いて生成される、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
イメージによりガイドされる治療計画に利用されるイメージにおける解剖学的特徴を輪郭抽出するシステムの作動方法であって、
初期イメージにおいて解剖学的ランドマークを検出するステップと、
解剖学的構造に対応するリファレンス輪郭におけるリファレンスランドマークと前記検出された解剖学的ランドマークの位置とを比較するステップと、
前記検出された解剖学的ランドマークを前記リファレンスランドマークにマッピングするステップと、
前記マッピングされたランドマークのペアに基づき、前記リファレンス輪郭を前記解剖学的構造に調整するステップと、
前記調整されたリファレンス輪郭を利用して、前記初期イメージより高い解像度を有する第2イメージにおける前記解剖学的構造の輪郭を調整するステップと、
前記調整された第2イメージに少なくとも部分的に基づき、治療計画を生成するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
前記初期イメージと前記第2イメージとの少なくとも1つをディスプレイ上に表示するステップと
前記初期イメージと前記第2イメージとの少なくとも1つをメモリに格納するステップと、
前記治療計画を前記メモリに格納するステップと、
の少なくとも1つをさらに有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
薄板スプラインを利用して前記リファレンス輪郭を調整するステップをさらに有する、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記初期イメージをCTスキャナにより生成するステップをさらに有し、
前記検出されたランドマークは、硬組織ランドマークである、請求項9乃至11何れか一項記載の方法。
【請求項13】
前記初期イメージをMRI装置により生成するステップをさらに有し、
前記検出されたランドマークは、軟組織ランドマークである、請求項9乃至12何れか一項記載の方法。
【請求項14】
前記調整された第2イメージに含まれる情報に少なくとも部分的に基づき、放射線治療プラン、超音波治療プラン、粒子線治療プラン、アブレーションプラン及び理学療法プランの少なくとも1つを生成するステップをさらに有する、請求項9乃至13何れか一項記載の方法。
【請求項15】
請求項9乃至14何れか一項記載の方法を実行するよう1以上のコンピュータを制御するコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、特に医療イメージングシステムにおいて利用される。しかしながら、開示された技術はまた、他のタイプのイメージングシステム、他の治療計画システム及び/又は他の医療アプリケーションに適用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
生体組織の輪郭抽出(delineation)は、放射線治療計画(RTP)などの治療計画における必須ステップである。RTPにおいて典型的に用いられる主要なイメージングモダリティは、CT(Computed Tomography)である。RTPのための磁気共鳴イメージング(MRI)の利用は、このモダリティがCTと比較して優れた軟組織コントラストを提供するため、最近では注目を受けつつある。
【0003】
自動化されたスキャンプラニングシステムは、現在MR検査のために商業的に利用可能である。このようなシステムの一例は、Philips SmartExamTMであり、これによると、低解像度スカウトイメージが取得され、患者に固有の解剖学的ランドマークが自動的に認識され、診断スキャンのスライスの向きが、特定されたランドマークと以前の取得から記録されているランドマーク及び向き情報とに基づき推定される。
【0004】
自動化された生体組織の輪郭抽出は、CTとMRIの双方において困難な作業である。CTイメージは、一般に良好な軟組織コントラストを提供せず、信頼できる組織の境界の判別を困難にする。MRデータは、CTと比較してはるかに良好な軟組織の判別を示し、これらの利用は、特定の用途におけるターゲットと臨界構造のより正確な輪郭抽出を実現するための治療計画において効果的なものとなりうる。しかしながら、MRIデータの自動的なセグメント化はまた、再生不可なグレイ値の分布をもたらす使用される各種コントラストのため困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題点を解消するため、解剖学的ランドマークを用いて治療計画などに利用される輪郭抽出を転送することによって、イメージによりガイドされる治療計画における解剖学的構造の輪郭抽出を実現するシステム及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によると、イメージによりガイドされる治療計画に用いられるイメージにおける解剖学的構造を輪郭抽出するシステムは、イメージング装置から患者の解剖学的構造の初期イメージを受信し、初期イメージにおいて解剖学的ランドマークを検出するプロセッサを有する。当該プロセッサはさらに、検出された解剖学的ランドマークの位置と解剖学的構造に対応するリファレンス輪郭におけるリファレンスランドマークとを比較し、検出された解剖学的ランドマークをリファレンスランドマークにマッピングし、マッピングされたランドマークのペアに基づきリファレンス輪郭を解剖学的構造に調整する。プロセッサはまた、調整されたリファレンス輪郭を利用して解剖学的構造の高解像度イメージにおける解剖学的構造の輪郭を調整し、調整された高解像度イメージをメモリに格納し、調整された高解像度イメージを治療計画コンポーネントに提供する。
【0007】
他の態様によると、イメージによりガイドされる治療計画に用いられるイメージにおける解剖学的特徴を輪郭抽出する方法は、初期イメージにおいて解剖学的ランドマークを検出し、検出した解剖学的ランドマークの位置と解剖学的構造に対応するリファレンス輪郭におけるリファレンスランドマークとを比較することを含む。本方法はさらに、検出された解剖学的ランドマークをリファレンスランドマークにマッピングし、マッピングされたランドマークのペアに基づきリファレンス輪郭を解剖学的構造に調整することを含む。本方法はさらに、調整されたリファレンス輪郭を用いて高解像度イメージにおける解剖学的構造の輪郭を調整し、調整された高解像度イメージに少なくとも部分的に基づき治療計画を生成することを含む。
【0008】
他の態様によると、患者の放射線治療計画を生成する方法は、MRI装置とCTスキャナとの少なくとも1つを用いて患者の低解像度イメージを生成し、低解像度イメージにおける解剖学的構造のランドマークを検出することを含む。本方法はさらに、検出されたランドマークをメモリに格納されているリファレンス輪郭のリファレンスランドマークにマッピングし、スプライン補間又は近似を利用して、マッピングされたランドマークを用いて解剖学的構造の輪郭に適合するようにリファレンス輪郭を調整することを含む。本方法はさらに、高解像度イメージを調整するため、調整されたリファレンス輪郭を解剖学的構造の高解像度イメージに適用し、調整された高解像度イメージに少なくとも部分的に基づき放射線治療計画を生成することを含む。
【発明の効果】
【0009】
1つの効果は、治療計画のための画質が向上することである。
【0010】
他の効果は、イメージ適応化時間を低減することである。
【0011】
さらなる効果は、以下の詳細な説明を読み理解した当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、医療イメージから治療計画に利用される高解像度イメージの伝播輪郭又は輪郭抽出を実現するシステムを示す。
図2図2は、ディスプレイ上でユーザに表示されるMRI装置を用いて生成される脳イメージの自動化された輪郭抽出のスクリーンショットを示す。
図3図3は、ディスプレイ上でユーザに表示されるMRI装置を用いて生成される脳イメージの自動化された輪郭抽出の他のスクリーンショットを示す。
図4図4は、開示される1以上の態様によるイメージによりガイドされる患者の治療のための患者イメージの輪郭を規定するために患者の解剖学的構造を輪郭抽出する方法を示す。
図5図5は、3D画像表現を生成するため個別の又は共有された再構成プロセッサにより再構成されるイメージングデータを生成するMRI装置、CTスキャナ、核スキャナ(PET又はSPECTなど)などの複数のイメージング装置を有する一例となる病院システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここに提供される各種特徴によると、イメージによりガイドされる治療計画における解剖学的構造の描画を実現するシステム及び方法が開示される。開示されるフレームワークは、スキャンプラニングソフトウェア(Philips SmartExamTM MRスキャンプラニングシステムなど)により自動的に認識される患者に固有のランドマークに基づく。これらのランドマークは、適応的処置計画に関する描画の伝播と共に自動化された解剖学的描画をサポートするのに利用される。
【0014】
同様に、自動化されたCTスキャンプラニングが、低線量スカウトスキャンにおいて再生可能なランドマークを検出することによって実行される。スカウトイメージにおける検出されたランドマークは、精密な初期化をもたらすことによって自動化されたセグメント化アルゴリズムをガイドし、ランドマークベースの非剛体位置合わせによって追跡イメージに輪郭抽出を伝播するのに利用される。
【0015】
ここに開示されるシステム及び方法は、治療計画のための再生可能な解剖学的ポイントランドマークを提供する問題を解決する。例えば、Philips SmartExamTMなどの自動化されたスキャンプラニングアルゴリズムは、典型的には、3Dの規格化された低解像度スカウトイメージに対して実行され、再生可能な解剖学的ポイントランドマークの形式によりターゲットとなる生体構造を確実に認識することができる。従って、スカウトイメージから取得された基礎となる生体組織に関する空間情報は、コントラストに関係なくフル解像度のスキャンに移転され、自動化された輪郭抽出をサポートするのに利用される。
【0016】
図1は、治療計画に利用される医療イメージから高解像度イメージまでの伝播輪郭又は輪郭抽出を実現するシステム10を示す。例えば、システム10は、SmartExamTMに対応するMRスキャナと共に1以上の放射線治療プラニングワークステーションと共に利用可能である。また、伝播輪郭又は処置計画の方法が、3D低線量CTスカウトイメージにおける対応するランドマークを有するCTイメージと共に利用可能である。他の特徴によると、システム10は、マルチモダリティシステム(PET(Positron Emission Tomography)スキャナ、SPECT(Single−Photon Emission Computed Tomography)スキャナなどの核イメージングシステムと組み合わされたMR及び/又はCTと共に、組み合わされたCT−MRなど)を利用する。
【0017】
システム10は、ワークステーション16、プロセッサ18及びメモリ20と結合されたMRI装置12とCTスキャナ14との一方又は双方を有する。プロセッサは、ワークステーション16の一部とすることが可能であり、又は複数のワークステーションにより共有されるリソースとすることが可能である。メモリは、ここに開示される各種方法を実行し、各種タスクを実行するための実行可能な命令を格納し、プロセッサがそれを実行する。
【0018】
一実施例では、CTスキャナ14は、3D低線量スカウトイメージ22を生成し、プロセッサ18は、低線量スカウトイメージにおいて再生可能なランドマーク24のセットを自動検出する。検出されたランドマークは、1以上の輪郭のためメモリに格納されている既知のランドマーク28との比較のため、プロセッサに移出される(例えば、DICOM(Digital Imaging Communication in medicine)データ交換プロトコル26などを用いて)。プロセッサは、検出されたランドマークと既知のランドマークとを比較するための比較アルゴリズム30を実行し、メモリに格納されているアトラス32から1以上の体の輪郭を抽出する。プロセッサは、検出されたランドマークを用いて輪郭を変形し、検出されたランドマークを輪郭のための既知のランドマークにマッピングすることによって、1以上の予め生成された輪郭を調整する。例えば、プロセッサは、パイロットイメージランドマーク24をアトラスランドマーク28を重ね合わせる位置に変換する変換を決定する。この決定された変換の逆が、アトラスの輪郭に適用され、患者のスペースにおける調整された輪郭34に変換可能である。
【0019】
他の実施例では、MRI装置12は、低解像度スカウトイメージ22を生成し、プロセッサ18は、低解像度スカウトイメージにおいて再生可能なランドマーク24のセットを自動検出する。検出されたランドマークは、1以上の輪郭のためにメモリに格納されている既知の軟組織のランドマーク33と比較するため、プロセッサに移出される(例えば、DICOMデータ交換プロトコル26などを用いて)。プロセッサは、検出されたランドマーク24と既知のランドマーク28とを比較するため比較アルゴリズム30を実行し、メモリに格納されているアトラス32から1以上の体の輪郭を抽出する。プロセッサは、検出されたランドマーク24を用いてアトラスの輪郭を変形し、検出されたランドマークを輪郭のための既知のランドマークにマッピングすることによって、1以上の予め生成されたアトラスの輪郭を調整された輪郭に調整する。
【0020】
何れかのシナリオ(CT又はMRIなど)において、アトラスは、低線量スカウトイメージから導出された新たな患者に固有のデータセットに変換される。すなわち、プロセッサは、調整された輪郭34をRTPに用いられる高解像度イメージ36に移すための変換を実行する。調整された輪郭又は輪郭抽出はさらに、治療の進捗をモニタし、適応的な治療計画を実現するため、同じ患者の追跡イメージに利用される。
【0021】
一実施例では、開示されるシステム及び方法がそれに限定されるものでないが、プロセッサ18は、1以上の薄板スプライン38を利用して輪郭を変形する。薄板スプライン技術の一例は、F.L.Bookstein:Principal warps:Thin−plate splines and the decomposition of deformations,IEEE Trans.Patterns.Anal.March Intell.11:567−586,1989に記載されている。
【0022】
他の実施例では、ワークステーション16は、低解像度イメージ22、高解像度イメージ36、検出されたランドマーク24、既知のランドマーク28、アトラス32における輪郭及び/又は調整された輪郭34の1以上が、開示される方法及び処理の各種段階においてユーザに提示されるディスプレイ40を有する。ワークステーションはさらに、ユーザがワークステーションにデータ及び/又は指示を入力し、ランドマークを調整したりする入力装置42(マウス、キーボード、方向パッド、スタイラスなど)を有する。
【0023】
図1を参照しながら、図2及び3は、ディスプレイ40上でユーザに表示可能なMRI装置を用いて生成される脳イメージの自動化された輪郭抽出のスクリーンショット60,70をそれぞれ示す。図2は複数の既知の又はリファレンスランドマーク28を示し、図3は複数の検出されたランドマーク24を示す。図1のシステム10は、例えば、プライマリデータセットからの完全な輪郭抽出を追跡イメージに自動的に伝播すると共に、危険性のある構造の輪郭抽出をサポートするのに利用される。
【0024】
SmartExamTMなどの生体組織認識ソフトウェアが、Young et al.:Automated Planning of MRI Neuro Scan.Proc.of SPIE Medical Imaging,San Diego,CA,USA(2006)61441M−1−61441M−8に記載されるように、多数のタイプのPhilips MRスキャナにおいて脳検査のために利用可能である。生体組織認識ソフトウェアの出力として、再生可能な解剖学的ランドマーク24のセットが特定又は検出される。ランドマークの位置は、標準的なDICOMデータ交換プロトコル26を用いて移出可能であり、放射線治療プラニングワークステーション16の生体組織輪郭抽出モジュール(図示せず)又は何れかスタンドアローンな自動化された輪郭抽出ソフトウェアによって利用可能である。
【0025】
一実施例によると、ユーザは、ランドマーク位置が利用可能なリファレンスデータセットにおいて対象となる構造を手動により輪郭抽出する。これらの既知のランドマーク28は、その後、薄板スプラインなどを利用して、特定の患者データセットにおける検出されたランドマーク24と位置合わせされる。結果として得られる変換は、リファレンスデータセットの解剖学的構造を患者データセット(高解像度患者イメージなどにおける)に移すため、解剖学的構造に適用される。ユーザはさらに、自動化された方法を利用して、精度を向上させ、又は患者イメージに適合するように転送された輪郭抽出を手動により微調整することが可能である。
【0026】
関連する実施例では、輪郭抽出は、適応的な放射線治療計画に関して同一の患者の追跡イメージに伝播される。再び、プライマリデータセットにおける検出されたランドマーク24は、リファレンスデータセットにおいて既知のランドマーク28と位置合わせされ、結果として得られる変換が、プライマリ患者イメージの利用可能な輪郭抽出に適用される。この場合、解剖学的可変性はあまり存在しないため、当該方法は、ランドマークによって関心領域の最適なカバレッジが与えられると、最小限の手動により調整しか必要としない。
【0027】
図4は、ここに開示された1以上の態様によるイメージによりガイドされる患者の治療のための患者イメージにおける輪郭を規定するための患者の解剖学的構造を輪郭抽出する方法を示す。80において、患者又は患者の一部の低解像度イメージが生成される。一実施例では、当該イメージは低線量CTイメージである。他の実施例では、当該イメージは低解像度MRイメージである。82において、患者イメージのランドマークが検出される。84において、検出されたランドマークは移出され(例えば、DICOMデータ転送プロトコル26などを用いて)、解剖学的構造の予め生成されたアトラス32における輪郭のための既知のランドマーク26と比較される。初期的な患者イメージが低線量CTイメージである場合、検出されたランドマークは、既知のハード構造(骨など)のランドマークと比較される。初期的な患者イメージが低解像度MRイメージである場合、検出されたランドマークは、軟組織のリファレンスランドマークと比較される。
【0028】
86において、リファレンスランドマークを含むリファレンス輪郭が、リファレンス輪郭のアトラスから抽出され、リファレンスランドマーク28を検出されたランドマーク24にマッピングすることによって、患者イメージに調整(ワープ、モーフォング、コンフォームなど)される。調整された輪郭は、以降における呼出のためメモリに格納されてもよい。88において、調整された輪郭は、放射線治療プラニング処理などの治療計画処理において利用するのに適した高解像度患者イメージに適合するように変換される(薄板スプラインや他の適切な補間技術などを用いて)。ユーザはさらに、既知の技術を用いて適応された輪郭を微調整する。
【0029】
高解像度イメージがCT、MRI、PET、SPECT、X線、上記の変形などの何れかのイメージングモダリティを用いて生成されてもよいことは理解されるであろう。このようなシナリオでは、プロセッサは、検出されたランドマークにマッピングするため、モダリティに固有のランドマークを輪郭に提供する。アトラス32は、CT、MR、PET、SPECT、X線及び他のイメージ及びランドマークの何れか又はすべてがアトラスの輪郭にマッピング又は位置合わせできるように、硬構造のランドマーク、軟組織ランドマーク、PETランドマーク、SPECTランドマーク、X線ランドマークなどを有する。
【0030】
他の実施例では、リファレンス輪郭のアトラスに加えて又は代わりに、複数の初期的なランドマークが、第1イメージングセッション中に患者に対して取得される。その後、初期的なランドマークは、治療の進捗などを評価するため、以降のイメージングセッションにおける比較のために利用される。
【0031】
図5を参照して、一例となる病院システム150は、3Dイメージ表現を生成するため、個別の又は共有された再構成プロセッサ152により再構成されるイメージングデータを生成する、MRイメージング装置12、CTスキャナ14、核(PET又はSPECTなど)スキャナ151、これらの組み合わせ(マルチモダリティシステムなど)などの複数のイメージング装置を有してもよい。イメージ表現は、ネットワーク154を介し中央メモリ156又はローカルメモリ158に通信される。
【0032】
ネットワークに接続されるワークステーション16において、オペレータは、ユーザインタフェース170を用いて、選択されたアイテム(低解像度3Dイメージ又は輪郭など)を中央メモリ156及びローカルメモリ158に移動させるか、又は中央メモリ156とローカルメモリ158との間で移動させる。ビデオプロセッサ166は、ディスプレイ40の第1ビューポート172において選択されたアイテムを表示する。患者イメージ(MRI装置12、CTスキャナ14及び核スキャナ151の1つにより生成される高解像度イメージなど)は、第2ビューポート172に表示される。第3ビューポート172は、調整された輪郭と高解像度イメージとの重ね合わせを表示可能である。例えば、ユーザは、リファレンス輪郭を患者の生体組織に一致させるため、アトラスから選択されたリファレンス輪郭のリファレンスランドマークと患者の低解像度イメージ(CT又はMRなど)において検出されたランドマークを位置合わせすることが許可可能である。例えば、オペレータは、インタフェース170を介し低解像度イメージの検出されたランドマークに対応するリファレンス輪郭のリファレンスランドマークを選択する(例えば、マウス、スタイラス、又は他の適したユーザ入力装置などを用いて)。あるいは、リファレンスランドマークと検出されたランドマークとが、プロセッサ18により実行され、及び/又はメモリ20に格納されているプログラムによって自動的に揃えることができる。ユーザインタフェース170のプロセッサ18(図1)は、その後、揃えられたランドマークを用いてリファレンス輪郭の形状を患者の生体組織の形状に一致させるためにワーピング又はモーフィングアルゴリズムを実行する。プロセッサ18はさらに、調整又は一致させた輪郭を患者の高解像度イメージにマッピングするための変換を実行する(例えば、薄板スプライン又は他の適切な補間技術などを利用して)。
【0033】
高解像度イメージが調整された輪郭情報を含むと、それは、治療計画(放射線治療プランニング、超音波治療プランニング、理学療法プランニング、近接照射両方プランニング、HIFU(High−Intensity Focused Ultrasound)MRIガイド治療、粒子線プランニング、アブレーションプランニングなど)における利用のため、治療計画コンポーネント180に提供される。治療装置182は、任意的には、生成される1以上の治療計画を実行するため、治療計画装置180に結合される。
【0034】
他の実施例では、ビューポート172に表示される重ね合わせは、高解像度イメージに対して低解像度イメージ及び/又は輪郭を重み付けするよう調整可能であり、又は低解像度イメージ及び/又は輪郭に対して高解像度イメージを重み付けするよう調整可能である。例えば、ディスプレイ168上に表示され、入力装置により操作されるか、又はメカニカルであってもよいスライダバー又はノブ(図示せず)が、ビューポート172,172におけるイメージのウェイトを変更するため調整されてもよい。一例では、オペレータは、高解像度イメージデータと低解像度イメージデータとの複数の及び/又は連続的な組み合わせを介し、純粋な高解像度イメージデータ(ビューポート172に示される)から純粋な低解像度イメージデータ(ビューポート172に示される)までビューポート172のイメージを調整することができる。例えば、低解像度イメージデータに対する高解像度イメージデータのレシオは、0:1から1:0まで離散的又は連続的に調整可能である。他のオプションとして、高解像度イメージデータはグレイスケールにより表示され、低解像度イメージデータはカラー化することも可能であり、またその反対も可能である。
【0035】
ユーザが中央メモリ156にアトラス又は輪郭ライブラリをダウンロード及び/又はインストールすると、アトラスは、ここに開示されるように高解像度イメージなどへの輪郭調整変換を実行するためネットワークを介しアクセス可能である。本例によると、複数のワークステーション又はユーザインタフェースが、各種治療計画処理のため特定の患者又はイメージングセッションに必要とされるような輪郭ライブラリ又はアトラスにアクセス可能である。
図1
図2
図3
図4
図5