(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無機化合物が、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、含水無水晶形酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、及び含水ケイ酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合粒子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。また、添付図面は実施形態の一例を示したものであり、本実施形態はこれに限定して解釈されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0017】
本実施形態の複合粒子は、セルロースと無機化合物とを含有し、複合化されて特定の見掛け比容積を有する粒子である。
【0018】
本実施形態において、セルロースとは、天然物から得られる天然高分子を含む繊維質物質である。本実施形態において、セルロースは、セルロースI型の結晶構造を有していることが好ましい。また、セルロースの平均幅が2〜30μm、平均厚みが0.5〜5μmであることが好ましい。セルロースの平均幅と平均厚みが上記範囲にあると、複合化によって粒子内部の細孔を十分に発達させることができるため好ましい。さらに好ましくは、セルロースの平均幅が2〜25μm、平均厚みが1〜5μmである。
本発明におけるセルロースには、結晶セルロースも含まれ、本発明で使用される結晶セルロースとは、白色の結晶性粉末であり、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを鉱酸で部分的に解重合し、精製したものである。また、結晶セルロースには様々なグレードがあるが、本発明においては、重合度が100〜450を示す結晶セルロースが好ましい。市販品としては「セオラス」PHグレード、KGグレード、UFグレード(いずれも旭化成ケミカルズ(株)製)などが使用でき、最も好ましくはUFグレードである。
【0019】
セルロースの体積平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、10〜40μmである。
【0020】
セルロースの平均重合度は、10〜450が好ましい。さらに好ましくは150〜450である。
【0021】
本実施形態において、無機化合物とは、水に不溶性であり、見掛け比容積が10〜50cm
3/gであれば特に制限されないが、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、含水無水晶形酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウムが好ましい。無機化合物の体積平均粒子径は、セルロースと無機化合物との分散液の濃度を高めることができる点で、10〜50μmであることが好ましい。特に好ましくはケイ酸カルシウムである。ケイ酸カルシウムとは、CaO、SiO
2、H
2Oから構成され、2CaO・3SiO
2・mSiO
2・nH
2O(1<m<2、2<n<3)の化学式で表されるものが好ましい。市販品としては、商品名フローライトR(トクヤマ製)、商品名フローライトRE(CaO
2が50%以上、CaOが22%以上、エーザイフード・ケミカル株式会社販売)などが入手できる。ケイ酸カルシウムは、白色粉体であり、水不溶性である。ケイ酸カルシウムは、高い吸液能力を有し、成形性が良好な物質である。体積平均粒子径は、10〜40μm、さらに好ましくは20〜30μmが好ましい。
【0022】
スティッキング防止の観点では、無機化合物の見掛け比容積、比表面積が大きいほど、優れた特性を発揮できると考えられており、軽質無水ケイ酸がケイ酸カルシウムより上記物性は大きいが、本発明において、セルロースとの複合粒子に用いる無機化合物を種々検討した結果、ケイ酸カルシウムを用いた場合に、最も優れたスティッキング防止効果を発揮することが明らかになった。
【0023】
本発明者らは、無機化合物を、セルロースと複合化し、できるだけ見掛け比容積を大きくすることにより、液体保持率の指標である酢酸トコフェロール保持率を最大化できるものであることを見出した。
【0024】
ケイ酸カルシウム単体の酢酸トコフェロール保持率は、800〜900%と無機化合物の中では高く、セルロースの酢酸トコフェロール保持率は、200〜250%である。そのため、単純に両者を混合すると800%超のものはできないと考えられる。しかし、複合化によって粒子内部の細孔を十分に発達させることにより、単純な算術平均値よりも高い保持率となることを見出した。
【0025】
例として、ケイ酸カルシウムの配合量が約50%であるセルロースとの混合物と複合粒子の酢酸トコフェロール保持率を比較する。混合物の場合、酢酸トコフェロール保持率の理論値は、約550%である。それに対して、同じ配合量としたときの複合粒子では、約740%と極めて高い保持率となる。
【0026】
言い換えれば、セルロースとケイ酸カルシウムが複合化することにより、液体保持率が向上し、さらにセルロースの特性を複合粒子に付与することに成功したものである。これによって、高い液体保持率でありながら、セルロースが有する成形性及び流動性が付与された複合粒子とできるのである。
【0027】
本実施形態の複合粒子は、セルロース10〜60質量部と無機化合物40〜90質量部を含有することが好ましい。さらに好ましくはセルロース15〜45質量部、無機化合物55〜85質量部である。無機化合物が40質量部以上であると、得られるセルロースと無機化合物からなる複合粒子に大きい粒子内細孔容積を与えることができ、十分な液体保持性を付与できる。また、液体保持後の圧縮成形性も向上する。無機化合物が90質量部以下であると、噴流性が抑制され、成型体の重量及び活性成分含量のばらつきや、成形性の低下を抑制できる。
【0028】
本実施形態において、複合粒子とは、単なるセルロースと無機化合物の混合物ではなく、セルロースと無機化合物の個々の粒子がそれぞれ複数個集まって、個々の粒子より大きな一つの集合体を形成したものを含む必要がある。本実施形態の複合粒子をSEMを使用して(倍率200〜500倍)粒子表面を観察すると、セルロースと無機化合物の個々の粒子が観察され、それらが複数個集まった集合体を形成している様子を認めることができる(
図9参照)。比較として、単純混合したものを
図10に示す。この集合体はセルロースと無機化合物の個々の粒子より大きい。一方、セルロースと無機化合物との単なる粉体同士の混合物は、セルロース及び無機化合物の一次粒子が個別に存在し、集合体を形成していない。そのため、単純混合した場合は、本実施形態の複合粒子のような、成形性、流動性に優れたものは得られない。複合粒子が形成されているかどうかは、SEM観察の他、目開き75μmの篩で篩分する時、篩上に残る重量割合によっても判別可能である。75μm篩に残留する粒子の割合が5〜70重量%、好ましくは10〜70重量%である場合、複合粒子が形成されていると判断される。複合粒子は粒子内部に細孔を形成することができ、セルロースと無機化合物の個々の粒子が保持できる量を超える液体成分の担持が可能となる。複合化が進むほど、粒子内部の細孔量が増え、液体成分の担持能力が高まる。例えば、酢酸トコフェロール保持率を比較することで、複合化の程度を測ることができる。セルロースと無機化合物の単純物理混合物では、その酢酸トコフェロール保持率は両者の構成比を元にした算術平均値にとどまるが、複合化が進むほど、粒子内部の細孔が増えるため、その酢酸トコフェロール保持率は高くなる。
【0029】
本実施形態の複合粒子の見掛け比容積は、7〜13cm
3/gであることが必要である。7cm
3/g以上ならば液体保持率が向上し、13cm
3/g以下ならば噴流性の増大を抑制でき、活性成分の含量ばらつきや成形性の低下を抑制できる。より好ましくは、8〜12cm
3/gである。
【0030】
本実施形態の複合粒子の細孔径は、0.003〜1μmであることが好ましい。ここで、細孔径とは、複合粒子の表面の細孔の大きさのことである。より好ましくは、0.05〜0.5μmである。
【0031】
本実施形態の複合粒子は、細孔容積が1.9〜3.9cm
3/gであることが好ましい。ここで、細孔容積とは、複合粒子が持つ微細な空孔の容積のことである。細孔容積が1.9cm
3/g以上ならば液体保持率が向上する。また、3.9cm
3/g以下ならば噴流性の増大を抑制でき、活性成分の含量ばらつきや成形性の低下を抑制できる。より好ましくは、2〜3.5cm
3/gである。
【0032】
細孔容積は、複合粒子の圧縮成形性及び成型体の液体保持性に寄与する。細孔容積が大きいと、圧縮時に複合粒子が潰れやすく、塑性変形性が向上し、成型体の硬度が高くなる。また、細孔容積が大きいと、複合粒子内への液体の浸透が促進されるため、液体保持性が向上する。
【0033】
また、本実施形態の複合粒子は、気孔率が15〜50%であることが好ましい。ここで、気孔率とは、複合粒子の体積に対する細孔容積の割合のことである。気孔率が15%以上であれば、高い液体保持率となるため好ましい。また50%以下であれば、噴流性の増大を抑制でき、成形性の低下を抑制できることから好ましい。より好ましくは、20〜40%である。
【0034】
本実施形態の複合粒子の重量平均粒径は、30〜250μmであることが好ましい。流動性の観点から、重量平均粒径30μm以上、分離編析抑制の観点から、重量平均粒径250μm以下であることが好ましい。より好ましくは、40〜100μmである。ここで、分離偏析とは、活性成分と複合粒子が均一に混ざり合わないこと、また均一に混合された状態が維持されないことである。
【0035】
本実施形態の複合粒子は、酢酸トコフェロール保持率が500〜1000%であることが好ましい。酢酸トコフェロール保持率が高い、つまり液体保持率が高いことによって、成型体中の活性成分の含有量を増加させることができる。500%未満だと液体を担持できる量が少ない。液体保持性の観点からは、高いほど良いが、せいぜい1000%程度である。さらに好ましくは、酢酸トコフェロール保持率が600〜1000%、特に好ましくは700〜1000%である。
【0036】
本実施形態の複合粒子は、流動性の点で安息角が45°以下であることが好ましい。安息角は小さければ小さいほどよく、下限は特に制限されるものではないが、高速連続圧縮時の活性成分との分離編析抑制の観点から、25°が好ましい。より好ましくは、25〜40°である。液体保持後の複合粒子も同様に、流動性の点で安息角が45°以下、好ましくは25〜40°であることが好ましい。
【0037】
本実施形態の複合粒子は、硬度が200〜340Nであることが好ましい。ここで、硬度とは、0.5gを直径1.1cmの円形平面杵にて圧力10MPaで圧縮して得られる円柱状成型体を用いて、シュロインゲル硬度計を使用して行った値である。
【0038】
本実施形態の複合粒子は、さらにでんぷんを含むことが好ましい。でんぷんは、結合性があるためセルロースと無機化合物が複合化された状態を維持するのに寄与し、造粒状態を固定化するため好ましい。でんぷんとしては、例えば、デキストリン、溶性デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化でんぷん、アルファー化デンプンなどを用いることができるが、結合性を有するものが好ましい。外殻が結合性の糊成分であり、内核が崩壊粒子であるため、崩壊性向上にも寄与するでんぷんとして、「SWELSTAR(商標)WB−1(旭化成ケミカルズ製)」が特に好ましい。でんぷんを含む複合粒子を100質量部としたときに、でんぷんを5質量部〜15質量部含むことが好ましい。このとき、結晶セルロースと無機化合物は、85〜95質量部含むことが好ましい。
【0039】
本実施形態の複合粒子は、見掛け比容積が大きく、液体保持率が高く、流動性に優れている。さらに、直接打錠法及び湿式打錠法に好適に使用でき、飛散性が小さく操作性に優れており、スティッキングやキャッピング等の打錠障害を防止する。
【0040】
本実施形態の複合粒子は、特に流動性が低く錠剤硬度が出にくい活性成分に好適であり、その具体例としては、風邪薬等の大衆薬や漢方等のエキス粉末や、打圧・賦形剤との摩擦により失活し易い酵素・蛋白等の薬物が挙げられる。
【0041】
また、錠剤表面の割れ、かけ、内部からの剥離、クラック等の打錠障害を生じやすい錠剤にも好適である。その具体例としては、小型の錠剤、エッジのくびれ等の圧縮圧が均等にかかり難い箇所を有する円形でない変形錠剤、薬物を多種、大量に含む錠剤、コーティング顆粒含有錠剤等が挙げられる。
【0042】
以下で、本実施形態の複合粒子の製造方法について説明する。
【0043】
本実施形態の複合粒子は、セルロースと無機化合物とを媒体に分散させ、その分散液を乾燥することにより得られる。また、別の方法としては、セルロースと無機化合物とを湿式で強攪拌すること(いわゆる複合化、コプロセス化、Coprocessing)によっても得ることができる。
【0044】
セルロースの原料は、セルロースを含有する天然物であり、例えば木材、竹、麦わら、稲わら、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料は、植物性でも、動物性でもよく、2種以上を混合してもよい。また、原料を加水分解してもよい。特に加水分解する場合は、酸加水分解、アルカリ酸化分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0045】
加水分解において、セルロースを含む固形分を分散させる媒体としては、工業的に使用されるものであれば特に制限はなく、水又は有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2−メチルブチルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類が挙げられる。特に、有機溶剤は、医薬品に使用されるものが好ましく「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが挙げられる。媒体として好ましくは、水である。水、有機溶剤は2種以上を併用してもよい。また、1種の媒体で一旦分散させたのち、その媒体を除去し、異なる媒体に分散させてもよい。
【0046】
本発明でいうセルロースは、平均幅が2〜30μm、平均厚みが0.5〜5μmであることが好ましい。セルロースを主として縦方向に引き裂く方法であれば特に限定されないが、木材パルプを高圧ホモジナイザーで処理する等し、必要に応じて磨砕等の機械的処理や分別処理、又は両者を適宜組み合わせる方法等により、セルロースの平均幅、平均厚みを特定範囲に制御することが可能である。また例えば、セルロースの平均幅が2〜30μm、平均厚みが0.5〜5μmであるパルプを選別して使用してもよい。水分散状態でのセルロースの体積平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、10〜40μmである。特許文献3には、複合化するセルロースとして、水分散状態で10〜100μm留分のL/Dが2.0以上であるセルロースが記載されているが、特許文献3の実施例に示されている通り、本願の高い見掛け比容積を達成することはできない。さらに、細孔容積、酢酸トコフェロール保持率の点でも本発明の複合体に劣るものである。特定の平均幅、平均厚みのセルロースが、粒子内部の細孔量を増加させるためには好ましい。
【0047】
水分散状態で体積平均粒子径が10〜100μmであるセルロースを得る方法としては、以下の方法がある。
i)セルロースに、剪断、摩砕、破砕、粉砕を加え粒子径を調整する方法。
ii)セルロースに、爆砕処理等の高圧処理を施し、セルロース粒子を長軸方向に分割し、必要に応じて、剪断力を与え粒子径を調整する方法。
iii)セルロースを、化学処理することにより調整する方法。
【0048】
上記のいずれの方法であってもよく、上記の方法を2種以上を併用してもよい。上記のi)及びii)の方法は、湿式で行っても、乾式でおこなってもよく、それらを併用してもよい。
【0049】
上記のi)及びii)の方法としては、例えば、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する剪断方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌剪断方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する処理方法、ニーダーのような軸回転押し出し式の剪断方法等が挙げられる。
【0050】
特に、粉砕方法としては、スクリーンミル、ハンマーミル等のスクリーン式粉砕方法、フラッシュミル等の翼回転せん断スクリーン式粉砕方法、ジェットミル等の気流式粉砕方法、ボールミル、振動ボールミル等のボール式粉砕方法、翼攪拌式粉砕方法等が挙げられる。上記の方法は、2種以上を併用してもよい。
【0051】
セルロースの体積平均粒子径は、セルロースの加水分解又は分散工程の条件、特に、セルロースを含む溶液の攪拌力を調整することによっても、所望の範囲に制御することができる。一般に、加水分解溶液の酸及びアルカリ濃度や、反応温度を高くすると、セルロースの重合度が低下し、分散液中のセルロースの体積平均粒子径が小さくなる傾向にあり、また、溶液の攪拌力を強めると、セルロース粒子の体積平均粒子径が小さくなる傾向にある。
【0052】
次に、セルロースと無機化合物を含む分散液を製造する方法について説明する。セルロース、無機化合物を媒体に分散させることで製造できる。具体的には、下記の方法が挙げられる。
i)セルロースと無機化合物を混合したものを媒体に添加し分散液とする方法。
ii)セルロース分散液に無機化合物を添加し分散液とする方法。
iii)でんぷん等の第3成分とセルロース粒子を混合した分散液に無機化合物を添加し分散液とする方法。
iv)でんぷん等の第3成分とセルロース分散液を混合したものに無機化合物を添加し分散液とする方法。
v)無機化合物を添加した分散液に、セルロースを添加して分散液とする方法。
【0053】
各成分の添加方法としては、通常行われている方法であれば特に制限はない。具体的には、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いた添加方法が挙げられる。連続的に添加しても、一括投入してもよい。
【0054】
混合方法としては、通常行われている方法であれば特に制限はない。具体的には、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナタック型混合機などの容器回転式混合機、高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機などの撹拌式混合機、高速流動式混合機、ドラム式混合機、流動層式混合機を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する分散方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌分散方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する処理方法、例えばニーダーのような軸回転押し出し式の剪断方法でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記操作により得られた分散液中におけるセルロースと無機化合物、及びでんぷんの濃度は、5〜40質量%とすることが好ましい。分散液を乾燥することで得られる複合粒子の流動性の点で5質量%以上、圧縮成形性の点で40質量%以下が好ましい。より好ましくは、5〜30質量%であり、さらに好ましくは、5〜20質量%である。
【0056】
上記操作により得られた分散液を乾燥することにより、本実施形態の複合粒子が得られる。乾燥方法について、特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚乾燥、気流乾燥、真空乾燥等が挙げられる。2種以上を併用してもよい。噴霧乾燥する際の、噴霧方法は、ディスク式、加圧ノズル、加圧二流体ノズル、加圧四流体ノズル等のいずれの噴霧方法でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
上記の噴霧乾燥する際には、分散液の表面張力を下げる目的で、微量の水溶性高分子、界面活性剤を添加してもよく、媒体の気化速度を促進させる目的で、発泡剤又はガスを発生させる物質を添加してもよく、またガスを分散液に添加してもよい。水溶性高分子、界面活性剤、発泡剤、ガスを発生させる物質、ガスの具体例を下記に示す。なお、前記した水溶性高分子、界面活性剤、ガスを発生する物質は、乾燥前に添加されていればよく、その添加の順序には特に制限はない。また、それぞれ2種以上を併用してもよい。
【0058】
水溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキ
シビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アラビアゴム、でんぷん糊当の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に記載される水溶性高分子類が挙げられる。
【0059】
界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート、ポリソルベート、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリド、モノオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、モノオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられる。
【0060】
発泡剤としては、酒石酸、炭酸水素ナトリウム、バレイショでんぷん、無水クエン酸、薬用石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウマクロゴール等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に記載される発泡剤類が挙げられる。
【0061】
ガスを発生させる物質としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の熱分解しガスを発生する重炭酸塩類、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の酸と反応してガスを発生する炭酸塩類等が挙げられる。ただし、上記の炭酸塩類を使用する際には、酸とともに使用することが好ましい。酸としては、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アジピン酸等の有機酸類、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等のプロトン酸、フッ化ホウ素等のルイス酸等が挙げられる。特に、医薬品・食品として使用されるものが好ましい。
【0062】
ガスとしては、窒素、二酸化炭素、液化石油ガス、ジメチルエーテル等のガス類を分散液に含浸してもよい。
【0063】
本実施形態の複合粒子は、上記のセルロースを含む分散液中に無機化合物が存在した状態で、それらを同時に乾燥することにより形成される。セルロースと無機化合物が均質に会合した状態において、媒体を蒸発させると、毛管凝縮作用が生じ、セルロースと無機化合物が密に凝集すると考えられる。この凝集体構造は、セルロース単独で乾燥、又は無機化合物単独で乾燥したものに、無機化合物又はセルロースを添加及び混合しても、複合化しないため、得られない。また、分散液中のセルロースは、特定の平均幅、平均厚みの場合、乾燥時の毛管凝縮による過度の粒子凝集を抑制する効果が大きく、複合粒子内に大きい細孔容積を形成できる。なお、本実施形態の複合粒子を製造すると、セルロース粒子及び無機化合物粒子も、乾燥した粉体中に残るが、それらを分離することなく、そのまま用いてもかまわない。
【0064】
本実施形態の成型体は、本実施形態の複合粒子と活性成分とを成形したものである。以下で、本実施形態の成型体について説明する。
【0065】
成型体において、活性成分は0.001〜99%の範囲で、複合粒子は1〜99.999%の範囲で使用可能である。治療に有効な量の確保の点で活性成分0.001%以上、実用的な硬度、摩損度、崩壊性の点で99%以下が好ましい。より好ましくは、成型体において複合粒子を1〜90%含むことである。活性成分が液状の場合、スティッキングやキャッピングなどの打錠障害が発生するため、成型体中の含有量が限られてくるが、本発明の複合体は、高い液体保持性と高い成形性を兼ね備えているため、液体成分を20%を超えて配合することが可能である。好ましくは21〜50%、特に好ましくは21〜30%である。現在市販されている成型体中の酢酸トコフェロール含量は最大でも100mg/錠剤全量500mgであり、20%を超えて配合されているものは見当たらない。本発明の複合体を用いることにより、液体成分21〜50%の配合量であれば、成型体を250〜480mgの範囲で小型化が可能で、また錠剤重量500mgであれば、105〜25
0mgの範囲で液体成分を増量することが可能となる。好ましくは120〜200mg、さらに好ましくは120〜150mgである。
【0066】
本実施形態の成型体は、造粒、整粒、打錠等の公知の方法で加工できる。特に、打錠による成形において、本実施形態の複合粒子は好適である。本実施形態の複合粒子と活性成分とを上記範囲で含むことで、直接打錠法において、十分な硬度を有する成型体を製造することができる。また、本実施形態の複合粒子は、直接打錠法以外にも、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法、後末法、予め圧縮成形した錠剤を内核として多核錠を製造する方法、予め圧縮した複数の成型体を重ねて再度圧縮して多層錠を製造する方法等にも好適である。
【0067】
本実施形態において、活性成分とは、医薬品用成分、健康食品用成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、界面活性剤などが挙げられる。医薬品用成分、健康食品用成分が好適な活性成分である。
【0068】
医薬品用成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。具体的には、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、塩酸イソチベンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール、塩酸アロクラミド、塩酸クロペラスチン、クエン酸ペントキシベリン(クエン酸カルベタペンタン)、クエン酸チペピジン、ジブナートナトリウム、臭化水素酸デキストロメトルファン、デキストロメトルファン・フェノールフタリン酸、ヒベンズ酸チペピジン、フェンジゾ酸クロペラスチン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸ノスカピン、ノスカピン、dl−塩酸メチルエフェドリン、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB6及びその誘導体並びにそれらの塩類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル(乾燥水酸化アルミニウムゲルとして)、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、塩酸ラニチジン、シメチジン、ファモチジン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、ピロキシカム、アズレン、インドメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン、塩酸ジフェニドール、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジン、塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート、タンニン酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸フェネタジン、テオクル酸ジフェニルピラリン、フマル酸ジフェンヒドラミン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩、臭化水素酸ス
コポラミン、塩酸オキシフェンサイクリミン、塩酸ジサイクロミン、塩酸メチキセン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルアニソトロピン、臭化メチルス
コポラミン、臭化メチル−1−ヒヨスチアミン、臭化メチルベナクチジウム、ベラドンナエキス、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、塩酸パパベリン、アミノ安息香酸、シュウ酸セシウム、ピペリジルアセチルアミノ安息香酸エチル、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、炭酸水素ナトリウム、フルスルチアミン、硝酸イソソルバイド、エフェドリン、セファレキシン、アンピシリン、スルフィキサゾール、スクラルファート、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キキョウ、シャゼンシ、シャゼンソウ、セネガ、バイモ、ウイキョウ、オウバク、オウレン、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ、ゲンチアナ、ゴオウ、獣胆(ユウタンを含む)、シャジン、ショウキョウ、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ビャクジュツ、地竜、チクセツニンジン、ニンジン、カノコソウ、ボタンピ、サンショウ及びこれらのエキス等、インスリン、バゾプレッシン、インターフェロン、ウロキナーゼ、セラチオペプチターゼ、ソマトスタチン等の「日本薬局方」、「局外規」、「USP」、「NF」、「EP」に記載の医薬品用成分等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0069】
健康食品用成分としては、健康増強を目的のために配合する成分であれば限定されないが、例えば、青汁粉末、アグリコン、アガリクス、アシュワガンダ、アスタキサンチン、アセロラ、アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、シスチン、チロシン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、海藻粉末、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン等)、アルギン酸、いちょう葉エキス、イワシペプチド、ウコン、ウロン酸、エキナセア、エゾウコギ、オリゴ糖、オレイン酸、核タンパク、カツオブシペプチド、カテキン、カリウム、カルシウム、カロチノイド、ガルシニア、L−カルニチン、キトサン、共役リノール酸、キダチアロエ、ギムネマシルベスタエキス、クエン酸、クミスクチン、グリセリド、グリセノール、グルカゴン、クルクミン、グルコサミン、L−グルタミン、クロレラ、クランベリーエキス、キャッツクロー、ゲルマニウム、酵素、高麗人参エキス、コエンザイムQ10、コラーゲン、コラーゲンペプチド、コリウスフォルスコリン、コンドロイチン、サイリウムハスク末、サンザシエキス、サポニン、脂質、L−シスチン、シソエキス、シトリマックス、脂肪酸、植物ステロール、種子エキス、スピルリナ、スクワレン、セイヨウシロヤナギ、セラミド、セレン、セントジョーンズワートエキス、大豆イソフラボン、大豆サポニン、大豆ペプチド、大豆レシチン、単糖、タンパク質、チェストツリーエキス、鉄、銅、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、納豆キナーゼ、納豆菌培養エキス、ナイアシンナトリウム、ニコチン酸、二糖、乳酸菌、ニンニク、ノコギリヤシ、発芽米、ハトムギエキス、ハーブエキス、バレリヤンエキス、パントテン酸、ヒアルロン酸、ビオチン、ピコリン酸クロム、ビタミンA、A2ビタミンB1、B2、B6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ヒドロキシチロソール、ビフィズス菌、ビール酵母、フラクトオリゴ糖、フラボノイド、ブッチャーズブルームエキス、ブラックコホシュ、ブルーベリー、プルーンエキス、プロアントシアニジン、プロテイン、プロポリス、ブロメライン、プロバイオティクス、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、β−カロチン、ペプチド、ベニバナエキス、マイタケエキス、マカエキス、マグネシウム、マリアアザミ、マンガン、ミトコンドリア、ミネラル、ムコ多糖、メラトニン、メシマコブ、メリロートエキス末、モリブデン、野菜粉末、葉酸、ラクトース、リコピン、リノール酸、リポ酸、燐(リン)、ルテイン、レシチン、ロズマリン酸、ローヤルゼリー、DHA、EPA等が挙げられる。
【0070】
また、活性成分は、粉体状、結晶状、液体状、半固形状などいずれの形態でもよく、液体である活性成分が好適である。また溶出制御、苦味低減などの目的でコーティングやカプセル化が施された活性成分でもよい。活性成分は、媒体に溶解、懸濁、乳化したものを用いてもよい。活性成分は複数を併用してもよい。
【0071】
液体の活性成分としては、テプレノン、インドメタシン・ファルネシル、メナテトレノン、フィトナジオン、ビタミンA油、フェニペントール、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、肝油等の高級不飽和脂肪酸類、補酵素Q類、オレンジ油、レモン油、ペパーミント油等の油溶性香味料等の「日本薬局方」、「局外規」、「USP」、「NF」、「EP」に記載の医薬品用成分等が挙げられる。また、ビタミンEには種々の同族体、誘導体があり、例えばdl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール等を挙げることができ、25℃で液状であれば特に限定されないが、粘度が3〜10000mPa・sの範囲にあるものが好ましい。適度な粘度である場合に、液体成分を複合体へ担持後の複合粒子の成形性、流動性のバランスが優れるため好ましい。特に好ましくは酢酸トコフェロールである。
【0072】
半固形状の活性成分としては、地竜、カンゾウ、ケイヒ、シャクヤク、ボタンピ、カノコソウ、サンショウ、ショウキョウ、チンピ、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、キキョウ、シャゼンシ、シャゼンソウ、石蒜、セネカ、バイモ、ウイキョウ、オウバク、オウレン、ガジュツ、カミツレ、ゲンチアナ、ゴオウ、獣胆、シャジン、ショウキョウ、ソウジュツ、チョウジ、チンヒ、ビャクジュツ、チクセツニンジン、ニンジン、葛根湯、桂枝湯、香蘇散、紫胡桂枝湯、小紫胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯等の漢方又は生薬エキス類、カキ肉エキス、プロポリス及びプロポリス抽出物、補酵素Q類等を挙げることができる。
【0073】
なお、成型後の活性成分の結晶の形は、成形前の状態と同じであっても、異なってもよいが、安定性の点で同じであることが好ましい。
【0074】
本実施形態の成型体は、活性成分、複合粒子の他に、必要に応じて賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤などの添加剤を含むことも自由である。添加剤は2種以上を併用してもよい。
【0075】
賦形剤としては、アクリル酸でんぷん、L−アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、アミノ酢酸、あめ(粉)、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化でんぷん、イノシトール、エチルセルロース、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、塩化ナトリウム、オリーブ油、カオリン、カカオ脂、カゼイン、果糖、軽石粒、カルメロース、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥酵母、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥硫酸ナトリウム、乾燥硫酸マグネシウム、カンテン、カンテン末、キシリトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリセリン、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、L−グルタミン、クレー、クレー粒、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質流動パラフィン、ケイヒ末、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、結晶セルロース(粒)、ゲンマイコウジ、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、ゴマ油、小麦粉、コムギでんぷん、小麦胚芽粉、コメコ、コメでんぷん、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸フタル酸セルロース、サフラワー油、サラシミツロウ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、β―シクロデキストリン、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、ジメチルポリシロキサン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム・ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、スクラワン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸マグネシウム、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、精製白糖球状顆粒、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール1000モノセチルエーテル、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、第三リン酸カルシウム、ダイズ油、大豆不ケン化物、大豆レシチン、脱脂粉乳、タルク、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中性無水硫酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、デキストリン、天然ケイ酸アルミニウム、トウモロコシでんぷん、トラガント末、二酸化ケイ素、ニューカルゲン204、乳酸カルシウム、乳糖、パーフィラー101、白色セラック、白色ワセリン、ハクド、白糖、白糖・でんぷん球状顆粒、ハダカムギ緑葉エキス末、裸麦芽葉青汁乾燥粉末、ハチミツ、パラフィン、バレイショでんぷん、半消化体でんぷん、人血清アルブミン、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フィチン酸、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、部分アルファー化でんぷん、プルラン、プロピレングリコール、粉末還元麦芽糖水飴、粉末セルロース、ペクチン、ベントナイト、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(分子量1500〜6000)、マルチトール、マルトース、D−マンニトール、水アメ、ミリスチン酸イソプロピル、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム造粒物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、綿実粉、綿実油、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、薬用炭、ラッカセイ油、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、粒状トウモトコシでんぷん、流動パラフィン、dl−リンゴ酸、リン酸−水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に賦形剤として分類されるものが挙げられる。
【0076】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメでんぷん、コムギでんぷん、トウモロコシでんぷん、バレイショでんぷん、部分アルファー化でんぷん等のでんぷん類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に崩壊剤として分類されるものを挙げられる。
【0077】
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、トウモロコシでんぷん、バレイショでんぷん、アルファー化でんぷん、でんぷん糊等のでんぷん類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に結合剤として分類されるものを挙げられる。
【0078】
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類等やケイ酸ソーダ類の湿式シリカ、ケイ酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム(商品名「PRUV」JRS製)など「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に流動化剤として分類され挙げられる。
【0079】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、フジカリン、フマル酸ステアリルナトリウム(商品名「PRUV」JRS製)等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に滑沢剤として分類されるものを挙げられる。
【0080】
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に矯味剤として分類されるものを挙げられる。
【0081】
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に着香剤、香料として分類されるものを挙げられる。
【0082】
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に着色剤として分類されるものを挙げられる。
【0083】
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に甘味剤として分類されるものを挙げられる。
【0084】
成型体の形態としては、医薬品に用いる場合、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤の固形製剤等が挙げられる。
【0085】
以下で、本実施形態の成型体の好適な具体例である錠剤について説明する。
【0086】
錠剤とは、本実施形態の複合粒子と、活性成分と、必要に応じて他の添加剤を含んだものであって、打錠により得られる成型体をいう。本実施形態の複合粒子は、圧縮成形性に優れるため、比較的低い圧縮圧で、実用的な錠剤が得られる。低い圧縮圧で成形打錠できるため、錠剤内に空隙(導水管)を維持でき、口腔内で迅速に崩壊させるような口腔内崩壊錠に好適である。加えて、本実施形態の複合粒子は、数種の組成の成分を一段階又は他段階で圧縮成型する多層錠や有核錠に対しても好適であり、優れた硬度を成型体に付与し、打錠障害を抑制し、層間の剥離及びクラックを抑制する効果が高い。さらに、本実施形態の複合粒子は、粒子自体の分割性が優れるため、錠剤を均一に分割し易く、割線錠等に対しても好適である。
【0087】
また、本実施形態の複合粒子は、多孔質構造を有し、複合粒子自体が微粒子状薬物、懸濁液状薬物、溶液状成分等の液体成分の保持性に優れるため、本実施形態の複合粒子の成型体も、液体成分の保持性に優れる。そのため、懸濁液状又は溶液状の成分を、錠剤にレイヤリング及びコーティングした際に、コーティング層などの外層の剥離を防止する効果もある。従って、レイヤリングした錠剤やコーティング層を有する錠剤(糖衣錠剤、炭酸カルシウム等の成分を積層させた錠剤等)に対しても、本実施形態の複合粒子は好適である。
【0088】
以下で、活性成分と本実施形態の複合粒子を含む成型体の製造方法について説明する。これは、一例であって、本発明は下記の記載に制限されるものではない。
【0089】
成型体の成形方法としては、活性成分と本実施形態の複合粒子を混合した後、圧縮成型する方法が挙げられる。この際に、活性成分以外に、必要に応じて上記した添加剤を配合してもよい。添加順序には、特に制限がないが、下記の成形方法が挙げられる。
1)活性成分と本実施形態の複合粒子と必要に応じて添加剤を一括混合して圧縮成型する方法。
2)活性成分と、流動化剤又は滑沢剤等の添加剤を混合した後、本発明の複合粒子と必要に応じてさらに添加剤を混合した後、圧縮成型する方法。
3)1)又は2)により得られた圧縮成型用混合末に、さらに滑沢剤を添加して混合した後に、圧縮成型する方法。
【0090】
各成分の添加方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いて連続的に添加しても、一括投入してもよい。
【0091】
混合方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナタック型混合機などの容器回転式混合機、或いは高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機などの撹拌式混合機、高速流動式混合機、ドラム式混合機、流動層式混合機を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機を使用することもできる。
【0092】
圧縮成形方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、臼と杵を使用し所望の形状に圧縮成形する方法、予めシート状に圧縮成形した後所望の形状に割断する方法でもよい。圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、ブリケッティングローラー型プレス機、平滑ローラー型プレス機等のローラー式プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機等の圧縮機を使用できる。
【0093】
水に難溶性の活性成分を使用する場合は、下記の圧縮成形方法が一般的に挙げられる。
A)活性成分に粉砕を施した後、本実施形態の複合粒子と必要に応じてその他の成分とを混合して圧縮成型する方法。
B)活性成分を水、有機溶媒又は溶解補助剤等に、溶解又は分散させた後、本実施形態の複合粒子と必要に応じて他の添加剤と混合して、必要に応じて水又は有機溶媒を留去し、圧縮成型する方法。
【0094】
本実施形態の複合粒子は、上記B)の方法において、好適である。B)の方法は、水に難溶性又は不溶性の活性成分を一旦溶解又は分散させる工程を経るため、複合粒子に活性成分をしっかりと担持させることができる。それによって、圧縮成形の際に活性成分が分離したり、にじみ出てきたりするのを防ぎ、スティッキングを抑制することができる。本実施形態の複合粒子は、圧縮成形性及び流動性が高いため、前記B)の場合でも、圧縮成形により重量ばらつきの小さな錠剤とすることができる。
【0095】
上記B)の方法は、活性成分が医薬品に用いられる薬物であって、分散させる媒体としてポリエチレングリコール等の液状の媒体を併用する場合により好適である。ポリエチレングリコール等を使用するのは、活性成分が体内に吸収されたときに、血中において活性成分がポリエチレングリコールで被覆されることで、肝臓で代謝され易い性質をもつ活性成分の薬効を持続させることを目的としている。
【0096】
上記B)の方法において、溶解を補助するために、溶解補助剤として水溶性高分子や界面活性剤を併用し、媒体に分散させて使用することが効果的である。
【0097】
有機溶剤としては、医薬品に使用されるものであれば、特に制限されるものではないが、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが挙げられ、2種以上を併用することも自由である。
【0098】
上記B)の方法において、溶解補助剤としての水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、でんぷん糊等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に記載される水溶性高分子が挙げられ、2種以上を併用することも自由である。
【0099】
溶解補助剤としての油脂としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ショ糖エステル、流動パラフィン等のパラフィン類、カルナウバロウ,硬化ヒマシ油等の硬化油類、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に記載される油脂が挙げられ、2種以上を併用することも自由である。
【0100】
溶解補助剤における界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート、ポリソルベート、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリド、モノオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、モノオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられ、2種以上を併用することも自由である。
【0101】
上記B)の方法において、溶解又は分散方法としては、通常行われる溶解、分散方法であれば特に制限はないが、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する撹拌混合方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌混合方法、気体吹き込み式の撹拌混合方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する混合方法でも、シェーカーを使用する容器振とう式混合方法等を用いてもよい。
【0102】
また、本実施形態の複合粒子は多孔質構造を有し、複合粒子自体が薬物の保持性に優れるため、薬物を細孔内に担持させた粒子をそのまま細粒として使用しても、造粒して顆粒として使用しても、それらを圧縮成形してもよい。
【0103】
薬物を担持させる方法としては、公知の方法であれば特に制限がなく、以下の方法等が挙げられる。
i)微粒子状薬物と混合することで、本実施形態の複合粒子の細孔内に担持させる方法。
ii)粉末状薬物と高速で混合することで、強制的に担持させる方法。
iii)一旦溶液又は分散液とした薬物と混合し、担持させた後、必要に応じ乾燥する方法。
iv)昇華性の薬物と混合し、加熱及び/又は減圧することで細孔内に昇華吸着させる方法。
v)加熱前又は加熱中に薬物と混合し、溶融させる方法。
【0104】
上記の方法は、2種以上を併用してもよい。
【0105】
上記の如く圧縮成形し、錠剤にして使用する以外に、本実施形態の複合粒子は、固体、液状成分の保持性にも優れるため、特に流動性、耐ブロッキング性、耐凝集性を改善する目的で顆粒剤又は散剤として使用してもよい。なお、上記した細粒、顆粒は、さらにコーティングされてもよい。
【0106】
顆粒剤、散剤の製造方法としては、例えば、乾式造粒、湿式造粒、加熱造粒、噴霧乾燥、マイクロカプセル化のいずれを使用しても同様の効果が得られる。
【0107】
また、本実施形態の複合粒子は、適度に保水性、保油性を有するので賦形剤以外に、レイヤリング、コーティング用の核粒子としても使用でき、レイヤリング、コーティング工程において、粒子間の凝集を抑制する効果がある。レイヤリング、コーティングは乾式の方法であっても、湿式の方法であってもよい。
【0108】
本実施形態の複合粒子は、菓子、健康食品、食感改良剤、食物繊維強化剤等の食品、固形ファンデーション、浴用剤、動物薬、診断薬、農薬、肥料、セラミックス触媒等にも用いられる。
【実施例】
【0109】
本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明の実施様態は、これら実施例の記載に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における各物性の測定方法は以下の通りである。
【0110】
(1)セルロースの平均幅(μm)
天然セルロースからなるセルロースの一次粒子を、必要に応じて乾燥し、カーボンテープを貼った試料台に載せ、白金パラジウムを真空蒸着(この際の蒸着膜の膜厚は20nm以下)し、日本分光(株)製JSM−5510LV(商品名)を使用し、加速電圧6kV、倍率250倍で観察し、セルロース粒子の長径の中央付近の短径を代表的な幅とみなし大きさを測定した。代表的なセルロース一次粒子3個について幅を測定し、その平均値をセルロースの平均幅とした。
【0111】
(2)セルロースの平均厚み(μm)
天然セルロースからなるセルロース一次粒子を、必要に応じて乾燥し、カーボンテープを貼った試料台に載せ、金を真空蒸着した後、集束イオンビーム加工装置(日立製作所(株)製、FB−2100(商品名))を使用し、Gaイオンビームにより、セルロース一次粒子の断面を切り出した後、加速電圧6kV、倍率1500倍で観察し、セルロース粒子断面の短い方の径の値を厚みとして測定した(長い方の径の値が、セルロース粒子の短径に相当するように切り出した)。代表的なセルロース一次粒子3個について厚みを測定し、その平均値をセルロースの厚みとした。
【0112】
(3)セルロースまたは無機化合物の体積平均粒子径(μm)
セルロースまたは無機化合物を水で分散した分散液を、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製、LA−910(商品名))を使用し、測定モードとして攪拌4及び循環5を選択し、透過率85%付近、超音波処理1分、屈折率1.20で測定した累積体積50%粒子として表した。ただし、この測定値は、以下のロータップ式で得られる乾燥粒子の粒度分布と測定原理が全く異なるため、必ずしも相関するものではない。レーザー回折により測定される体積平均粒子径は、繊維状粒子の長径に依存する体積頻度から測定されるものであるのに対し、ロータップ式で得られる重量平均粒子径は、得られた粉末を篩上で振とうさせて分画するため、繊維状粒子の短径に依存するものである。従って、繊維状粒子の長径に依存するレーザー回折式の方が、繊維状粒子の短径に依存するロータップ式に対し、大きい値となる場合がある。
【0113】
(4)複合粒子の重量平均粒径(μm)
粉体試料(乾燥した複合粒子)の重量平均粒径は、ロータップ式篩振盪機(平工作所製、商品名「シーブシェーカーA型」)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、累積重量50%粒径として表した。粒度分布は、篩のサイズとして300μm、212μm、177μm、150μm、106μm、75μm、38μmを用いて求めた。
【0114】
(5)細孔径(μm)、粒子内細孔容積(cm
3/g)、気孔率(%)
島津製作所(株)製、商品名「オートポア9520型」を用い、水銀ポロシメトリーによって、細孔分布を求めた。測定に用いた各試料粉体は、約0.03gから0.05gを標準セルに採取し、初期圧7kPa(約1psia、細孔直径約18μm相当)の条件で2回測定した。得られた細孔分布から、細孔径の特定範囲0.003〜1.0μmにおける容積を細孔容積として計算した。また、気孔率は、初気圧に対して、直径約180μmの細孔まで水銀が圧入された時の試料体積に対する細孔容積の割合である。
【0115】
(6)安息角(°)
杉原式安息角測定器(スリットサイズ奥行10x幅50x高さ140mm、幅50mmの位置に分度器を設置)を使用し、電磁式フィーダー(MF−1型/筒井理化)で試料を少量(目安3g/分)ずつ測定部に連続して堆積することで斜面をつくる。余剰の試料が落ち始め、ほぼ直線状になったら直ちにフィーダーのスイッチを切り、設置してある分度器で測定した斜面の角度を安息角とした。
【0116】
(7)試料の圧縮成型方法
各試料を0.5g計りとり、臼(菊水製作所製、材質SUS2,3を使用)に入れ、直径1.1cmの円形平面杵(菊水製作所製、材質SUS2,3を使用)で圧力が10MPaになるまで圧縮し(アイコーエンジニアリング製、商品名「PCM−1A」、圧縮速度1cm/分)、目標圧で10秒間保持することで、円柱状成型体が作成できる。
【0117】
(8)錠剤硬度(N)
円柱状成型体或いは錠剤をシュロインゲル硬度計(フロイント産業(株)製、商品名「8M型」)を用いて、円柱状成型体或いは錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊した時の荷重を測定した。試料10個の平均値で表した。
【0118】
(9)見掛け比容積(cm
3/g)
25cm
3の容器を、スコットボリュメータ(VWR SCIENTIFIC社製、S64985型)に設置する。次に、電磁式フィーダー(MF−1型/筒井理化)を用いて、各試料を、10〜20g/分の速度で投入する。セットした容器から、試料が溢れたら、容器を取り出し、過量分をすり落とし、試料質量を測定する。容器の体積(25cm
3)を、試料質量で割った値(cm
3/g)が見掛け比容積である。試料2回測定の平均値で表した。
【0119】
(10)酢酸トコフェロール保持率(%)
各試料を2g計りとり、試料を捏ねながら酢酸トコフェロール(25℃の粘度:3300mPa・s)を、少量ずつ滴下し、表面に液が滲み出る量を終点とした。酢酸トコフェノール保持率は、下記の式で表される。
酢酸トコフェロール保持率(%)=滴下した液量g/試料2g×100
測定値は、試料2個の平均値で表した。
【0120】
(11)キャッピング発生個数(個)
打錠後の錠剤50個を任意にサンプリングし、クラックや一部剥離している錠剤の個数を数えた。
【0121】
(12)スティッキング発生率(%)
錠剤50個を目視で検査し、錠剤の表面に剥離等、欠損があるものを数えた。スティッキングが見られた錠剤の個数の割合をスティッキング発生率(%)とした。
【0122】
(13)重量CV値、
打錠後の錠剤10個を任意にサンプリングしたものの重量を測定し、その測定値の平均値及び標準偏差より、重量CV値=(標準偏差/平均値)×100[%]と定義した。重量CV値が大きいと、重量バラツキが大きく、薬物の含量バラツキの増加、製品収率の低下につながる。重量CV値が1.0%よりも大きい場合、実用上問題がある。
【0123】
(14)走査電子顕微鏡写真(以下SEMと略す)
電子顕微鏡(日本電子(株)製、JSM−551OLV型)を用いて、測定を行った。試料を試料移動台に取付け、金蒸着法(AUTO FINE COATER、日本電子(株)製、JFC−1600型)により試料表面に金属粒子を薄く一様に被覆する。その後、試料室に取付け、試料室内を真空にして試料位置に電子線を照射し、観察したい部分の拡大像を出力した。
(15)平均重合度
第14改正日本薬局方、結晶セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により測定した値。
(16)水分散状態のセルロース粒子のL/D
水分散状態のセルロース粒子の平均L/Dは以下のように測定した。セルロースの水分散液をJIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、75μm篩を通過し38μm篩に残留する粒子について、粒子の光学顕微鏡像を画像解析処理し((株)インタークエスト製、装置:Hyper700,ソフトウエア:Imagehyper)、粒子に外接する長方形のうち面積が最小となる長方形の長辺と短辺の比(長辺/短辺)を粒子のL/Dとした。粒子の平均L/Dとしては少なくとも粒子100個の平均値を用いた。
【0124】
(実施例1)
広葉樹を公知のパルプ化処理、漂白処理を施したパルプ(セルロース一次粒子の平均幅は約19μm、平均厚みは約3μm)を細断したものを4.5kgと、0.2%の塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、商品名、30LGL反応器)に入れ攪拌しながら、124℃で1時間加水分解し、酸不溶解性残渣(以降Wetケークと記す)を得た。セルロース粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、商品名「LA−910」)、屈析率1.20で測定した結果、25μmであった。
【0125】
ポリバケツの中に純水を導入し、3−1モーターで攪拌しながら、Wetケークを加え混合し、次にケイ酸カルシウム(トクヤマ(株)製、商品名:フローライトR、体積平均粒子径25μm)を加えて混合した。質量比は、セルロース/ケイ酸カルシウムが28.6/71.4(固形分ベース)で、全固形分濃度は約8.5質量%であった。これを噴霧乾燥(分散液供給速度6kg/hr、入口温度180〜220℃、出口温度70〜95℃、アトマイザー回転数15000rpm)して、複合粒子Aを得た。複合粒子Aの諸物性を表1に示す。
【0126】
(実施例2、3)
広葉樹を公知のパルプ化処理、漂白処理を施したパルプ(セルロース一次粒子の平均幅は約19μm、平均厚みは約3μm)を細断したものを4.5kgと、0.2%の塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、商品名、30LGL反応器)に入れ攪拌しながら、124℃で1時間加水分解し、酸不溶解性残渣(以降Wetケークと記す)を得た。セルロース粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、商品名「LA−910」)、屈析率1.20で測定した結果、25μmであった。
【0127】
ポリバケツの中に純水を導入し、3−1モーターで攪拌しながら、でんぷん(旭化成ケミカルズ製、商品名「SWELSTAR」WB−1)を加え混合し、次にWetケークを加え混合し、次にケイ酸カルシウム(トクヤマ(株)製、商品名:フローライトR、体積平均粒子径25μm)を加えて混合した。質量比は、でんぷん/セルロース/ケイ酸カルシウムが10/20/70(固形分ベース)で、全固形分濃度は約8.5質量%であった(pHは10.2)。これを噴霧乾燥(分散液供給速度6kg/hr、入口温度180〜220℃、出口温度70〜95℃、アトマイザー回転数15000rpm、30000rpm)して、複合粒子B(アトマイザー回転数15000rpm)、C(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子B、Cの諸物性を表1に示す。
【0128】
(実施例4、5)
広葉樹を公知のパルプ化処理、漂白処理を施したパルプ(セルロース一次粒子の平均幅は約19μm、平均厚みは約3μm)を細断したものを4.5kgと、0.2%の塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、商品名、30LGL反応器)に入れ攪拌しながら、124℃で1時間加水分解し、酸不溶解性残渣(以降Wetケークと記す)を得た。セルロース粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、商品名「LA−910」)、屈析率1.20で測定した結果、25μmであった。
【0129】
ポリバケツの中に純水を導入し、3−1モーターで攪拌しながら、Wetケークを加え混合し、次にケイ酸カルシウム(トクヤマ(株)製、商品名:フローライト R、体積平均粒子径25μm)を加えて混合した。質量比は、セルロース/ケイ酸カルシウムが20/80(固形分ベース)で、全固形分濃度は約8.5質量%であった。これを噴霧乾燥(分散液供給速度6kg/hr、入口温度180〜220℃、出口温度70〜95℃、アトマイザー回転数15000rpm、30000rpm)して、複合粒子D(アトマイザー回転数15000rpm)、E(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子D、Eの諸物性を表1に示す。
【0130】
(実施例6、7)
質量比を、でんぷん/セルロース/ケイ酸カルシウム=5/40/55(固形分ベース)、としたこと以外は、実施例2、3と同様にして、複合粒子F(アトマイザー回転数15000rpm)、G(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子F、Gの諸物性を表1に示す。
【0131】
(実施例8、9)
質量比を、でんぷん/セルロース/ケイ酸カルシウム=7/43/50(固形分ベース)、全固形分濃度を9.3質量%としたこと以外は、実施例2、3と同様にして、複合粒子H(アトマイザー回転数15000rpm)、I(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子H、Iの諸物性を表1に示す。
【0132】
(実施例10、11)
質量比を、セルロース/ケイ酸カルシウム=60/40(固形分ベース)、全固形分濃度を11.7質量%としたこと以外は、実施例4、5と同様にして、複合粒子J(アトマイザー回転数15000rpm)、K(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子J、Kの諸物性を表1に示す。
【0133】
(実施例12、13)
質量比を、でんぷん/セルロース/ケイ酸カルシウム=3/60/37(固形分ベース)、全固形分濃度を11.7質量%、アトマイザー回転数を8000rpm、30000rpmとしたこと以外は、実施例2、3と同様にして、複合粒子L(アトマイザー回転数8000rpm)、M(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子L、Mの諸物性を表1に示す。
【0134】
(実施例14)
質量比を、でんぷん/セルロース/ケイ酸カルシウム=2.5/72.5/25(固形分ベース)、全固形分濃度を11.7質量%としたこと以外は、実施例2と同様にして、複合粒子N(アトマイザー回転数15000rpm)を得た。複合粒子Nの諸物性を表1に示す。
【0135】
(実施例15)
質量比を、セルロース/軽質無水ケイ酸=50/50(固形分ベース)、全固形分濃度を4質量%としたこと以外は、実施例5と同様にして、複合粒子O(アトマイザー回転数30000rpm)を得た。複合粒子Oの諸物性を表1に示す。
【0136】
(実施例16)
質量比を、セルロース/メタケイ酸アルミン酸マグネシウム=30/70(固形分ベース)、全固形分濃度を5質量%としたこと以外は、実施例4と同様にして、複合粒子P(アトマイザー回転数15000rpm)を得た。複合粒子Pの諸物性を表1に示す。
【0137】
(実施例17)
質量比を、セルロース/含水ケイ酸マグネシウム=50/50(固形分ベース)、全固形分濃度を5質量%としたこと以外は、実施例4と同様にして、複合粒子Q(アトマイザー回転数15000rpm)を得た。複合粒子Qの諸物性を表1に示す。
【表1】
【0138】
(参考例1)
ステンレスジョッキに純水100gを導入し、3−1モーターで攪拌しながらケイ酸カルシウム(トクヤマ(株)製、商品名:フローライト R、体積平均粒子径25〜30μm)を薬さじにて少量ずつ添加しながら攪拌した。10.7g添加したところで攪拌不能になった。
【0139】
(参考例2)
ステンレスジョッキの中に純水を導入し3−1モーターで攪拌しながら、実施例1で得られたWetケークを加え混合し、次にSiO
2(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)、体積平均粒子径0.016μm)を薬さじにて少量ずつ添加しながら攪拌し混合した。質量比は、セルロース/軽質無水ケイ酸=29.3/70.7(固形分ベース)であり、全固形分濃度は8.5質量%であった(pHは10.2)。のり状となり噴霧乾燥できなかった。
【0140】
(参考例3)
ステンレスジョッキの中に純水を導入し、3−1モーターで攪拌しながら、実施例1で得られたWetケークを加え混合し、次にメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(商品名:ノイシリン、富士化学工業(株)製)を混合した。質量比は、セルロース/メタケイ酸アルミン酸マグネシウム=31.0/69.0(固形分ベース)であり、全固形分濃度は11.7質量%であった(pHは10.2)。クリーム上となり噴霧乾燥できなかった。
【0141】
(比較例1)
ケイ酸カルシウム(トクヤマ(株)製、商品名:フローライト R、体積平均粒子径25μm)単体の物性を表2に示す。
【0142】
(比較例2)
質量比を、でんぷん/セルロース/ケイ酸カルシウム=2.5/72.5/25(固形分ベース)、全固形分濃度を11.7質量%としたこと以外は、実施例4と同様にして、複合粒子Rを得た。複合粒子Rの諸物性を表2に示す。
【0143】
(比較例3)
市販溶解パルプ(針葉樹パルプ、セルロース一次粒子の平均幅は約39μm、平均厚みは約8μm)を細断したものを2kgと、0.4%の塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、商品名、30LGL反応器)に入れ攪拌しながら、116℃、1時間加水分解し、酸不溶解性残渣を得た(セルロース分散粒子の体積平均粒子径は51μmであり、L/Dは3.4であった)。得られた酸不溶解性残渣及び水不溶解性無機化合物として二酸化ケイ素(トクヤマ製、商品名、ファインシール、体積平均粒子径5μm)を、量比30/70(固形分ベース)で、90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が20重量%になるように純水を加え3−1モーターで攪拌しながら、アンモニア水で中和(中和後のpHは7.5〜8.0であった)し、これを噴霧乾燥(分散液供給速度6kg/hr、入口温度180〜220℃、出口温度50〜70℃、アトマイザー回転数30000rpm)して、複合粒子S(特許文献3の実施例2に相当)を得た。複合粒子Sの諸物性を表2に示す。
【0144】
(比較例4)
市販のパルプ(針葉樹パルプ、セルロース一次粒子の平均幅は約39μm、平均厚みは約8μm)を細断したものを2kgと、0.2%の塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、商品名、30LGL反応器)に入れ攪拌しながら、116℃、1時間加水分解し、酸不溶解性残渣を得た(セルロース分散粒子の体積平均粒子径は72μmであり、L/Dは4.0であった)
。酸不溶解性残渣(固形分)及びタルク(和光純薬製、体積平均粒子径が5μmになるよう調製)を、量比98/2(固形分ベース)で、90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10重量%になるように純水を加え3−1モーターで攪拌しながら、アンモニア水で中和(中和後のpHは7.5〜8.0であった)し、これを比較例3と同様に噴霧乾燥して、複合粒子T(特許文献3の実施例6に相当)を得た。複合粒子Tの諸物性を表2に示す。
【0145】
(比較例5)
結晶セルロースとして、セオラスPH−101(旭化成ケミカルズ製)を用い、質量比を、セルロース/ケイ酸カルシウム=28.6/71.4としたものを、ポリ袋中で3分間十分に混合して、セルロース/ケイ酸カルシウムの混合物U(特許文献4でケイ酸配合量が最大のもの)を得た。混合物Uの諸物性を表2に示す。
【0146】
(比較例6)
結晶セルロースとして、セオラスPH−101(旭化成ケミカルズ製)を用い、質量比を、セルロース/ケイ酸カルシウム=71.4/28.6としたものを、ポリ袋中で3分間十分に混合して、セルロース/ケイ酸カルシウムの混合物V(特許文献4でケイ酸配合量が最小のもの)を得た。混合物Vの諸物性を表2に示す。
【表2】
【0147】
<SEM写真>
日本電子(株)製「JSM−5510LV型」の電子顕微鏡を用いて、複合粒子B,D,G,I,K,Mの様子をSEMで観測した。
実施例2の複合粒子B(
図1参照)、実施例4の複合粒子D(
図2参照)、実施例7の複合粒子G(
図3参照)、実施例9の複合粒子I(
図4参照)は、比較的表面に凹凸がなく、球に近い形状をしていることがわかる。また、セルロースのWETケーク(
図5参照)と参考例2のケイ酸カルシウム(
図6参照)が複合化して、空隙を有していることがわかる。この空隙があることにより、液保持率が高く、硬度が高い成型体することができる。
【0148】
一方、実施例11の複合粒子K(
図7)、実施例13の複合粒子M(
図8参照)は、表面に凹凸がある。
【0149】
<スティッキング防止の評価>
イブプロフェンはスティッキングしやすい薬物の代表例である。これを用い、スティッキング防止効果について比較した。評価に用いるイブプロフェン配合の造粒顆粒は、下記の方法で作成した。
【0150】
全量1000gに対してイブプロフェン((株)エーピーアイコーポレーション製)45%、乳糖水和物(商品名:乳糖200M、DMV製)38%、トウモロコシでんぷん(GRDE:ST−C、日澱化学(株)製)17%を計量してポリエチレン袋で3分混合後にバーチカルグラニュレーター((株)パウレック製、FM−VG−10P型)に入れて混合(ブレード200rpm、チョッパー2100rpm)し、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPCーL、日本曹達(株)製)6%溶液200gを30秒かけて投入後、さらに3分間混合(造粒)した後、取り出した。次に、マルチフレックス((株)パウレック製、MP−01型)にて乾燥し、排気温度が40℃になった時点で乾燥終了し、造粒物を取り出した。造粒物を篩の目開き710μmにて篩過し試験サンプルとした(以降、これを造粒顆粒と記す)。
【0151】
(実施例18)
造粒顆粒88質量%、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学(株)製、「キッコレート」ND−2HS)2質量%、実施例3の複合粒子C10質量%をポリエチレンバッグ中で3分間混合した。次に、この混合粉体の総重量に対して0.5質量%のステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)を加えて30秒間さらにゆっくりと混合した。該混合粉体をロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)で直径0.8cm、12Rの杵を用いてターンテーブル回転数54rpm、打錠圧5〜15kN、オープンフィードの条件で打錠し、重量180mgの錠剤を作製した。その錠剤物性を表3に示す。
【0152】
(実施例19)
実施例18の複合粒子Cを、実施例8の複合粒子Hとする以外は実施例18と同様に操作した。錠剤物性を表3に示す。
【0153】
(比較例7)
実施例18の複合粒子Cを、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル(株)製、アエロジル200)とすること以外は実施例18と同様に操作した。錠剤物性を表3に示す。
【0154】
(比較例8)
実施例18の複合粒子Cを、比較例3の複合粒子Sとすること以外は実施例18と同様に操作した。錠剤物性を表3に示す。
【0155】
(比較例9)
実施例18の複合粒子Cを、比較例4の複合粒子Tとすること以外は実施例18と同様に操作した。錠剤物性を表3に示す。
【0156】
(比較例10)
実施例18の複合粒子Cを、比較例5の混合物Uとすること以外は実施例18と同様に操作した。錠剤物性を表3に示す。
【0157】
(比較例11)
実施例18の複合粒子Cを、比較例6の混合物Vとすること以外は実施例18と同様に操作した。錠剤物性を表3に示す。
【表3】
【0158】
実施例18及び19では、実用硬度50N以上、重量CV値1.0%以下で、かつ打錠障害(スティッキング、キャッピング)のない錠剤が得られた。一方、比較例7では、打錠障害(スティッキングはないが、キャッピングは2個)が発生しており、また重量CV値も1.0%を超えてしまうため実用に供さない。また比較例8〜11では、重量CV値が1.0%を超え、打錠障害(スティッキング、キャッピング)が顕著なため、実用に供さない。
【0159】
比較例9の打圧15kNは実用硬度50N以上となっているが、摩損度が0.8%と、実用レベルの0.5%以下を満たさない。
【0160】
また、それぞれの錠剤の崩壊時間も測定したが、いずれも顕著な差はなかった。
【0161】
<乳化液作成方法>
液体の活性成分である理研酢酸トコフェロール(理研ビタミン)360gと、ツイーン80(和光純薬)と、純水1000gを計量し、TKホモミクサー(プライミクスMARK2 2.5型)にて10000rpmで15分攪拌混合し、乳化液を作製した。
【0162】
(実施例20)
実施例3の複合粒子C360gをバーチカルグラニュレーター((株)パウレック社製、FM−VG−10P)に投入し、ブレード200rpm、チョッパー2100rpmの条件で混合しながら、上記で作成した乳化液360gを30秒で投入後、6分間造粒し排出した。次にオーブン(タバイ社製、エスペックオーブンPV−211)で乾燥した後、目開き710μmの篩(イイダ製作所製、試験用ふるい)を通過した乾燥品を試験サンプルとした(以降、VE顆粒と記す)。VE顆粒の安息角は35°で良好であった。
【0163】
VE顆粒35質量%、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株)製、UF−711)45質量%、無水リン酸水素カルシウム(富士化学薬品(株)製、フジカリン)18質量%、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学(株)製、「キッコレート」ND−2HS)2質量%をポリエチレンバッグ中で3分間混合した。次に混合粉体の総重量に対して2.0質量%のステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)を加えて、30秒間さらにゆっくりと混合した。該混合粉体をロータリー打錠機((株)菊水製作所製、LIBRA2)で直径0.8cm、12Rの杵を用いてターンテーブル回転数30rpm、打錠圧2〜7kN、オープンフィードの条件で打錠し、重量200mgの錠剤を作製した。その錠剤物性を表4に示す。
【0164】
(比較例12)
複合粒子Cを、ケイ酸カルシウム(トクヤマ(株)製、商品名:フローライトGrade(R)、体積平均粒子径(凝集状態で測定)25〜30μm)とする以外は、実施例20と同様に操作した。その錠剤物性を表4に示す。VE顆粒の安息角は41°であり、複合粒子Cを用いた場合より、流動性が劣った。
【0165】
(比較例13)
複合粒子Cを、複合粒子Sとする以外は、実施例20と同様に操作した。その錠剤物性を表4に示す。
【0166】
(比較例14)
複合粒子Cを、混合物Uとする以外は、実施例20と同様に操作した。その錠剤物性を表4に示す。
【表4】
【0167】
実施例20では、実用硬度50N以上、重量CV値1.0%以下で、かつ打錠障害(スティッキング、キャッピング)のない錠剤が得られた。一方、比較例12では、全ての打錠圧において、スティッキング発生率が0とならず、実用に供さない。また、比較例13、14では酢酸トコフェロール保持率が低く、粉末化できなかった。