(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トレー本体は更に、トレー本体長手方向軸と、該トレー本体長手方向軸に直交するコンベヤ移動軸と、そして前記トレー本体長手方向軸に平行な前記トレー本体の表面の内部に設けられる溝と、を含み、
前記溝は、前記マイクロ波乾燥プロセス中に、前記セラミック製品のセラミック製品長手方向軸が前記トレー本体長手方向軸に略平行となるように前記セラミック製品を保持するように構成され、そして
前記マイクロ波結合カバーは、前記マイクロ波乾燥プロセス中に、前記セラミック製品長手方向軸と共通の結合部長手方向軸を備える、請求項1に記載のトレーアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なセラミック製品製造システムの模式図である。
【
図2A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレー本体を斜めから眺めた模式図である。
【
図2B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態によるセラミック製品及び例示的なトレー本体を斜めから眺めた模式図である。
【
図2C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレー本体、セラミック製品、及びマイクロ波結合カバーを斜めから眺めた模式図である。
【
図3A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図3B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図3C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方斜めから眺めた模式図である。
【
図4A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図4B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図4C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図5A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図5B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図5C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図6A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図6B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図6C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図7A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図7B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図7C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図8A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図8B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図8C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図9A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図9B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図9C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図10A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図10B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図10C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図11A】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を前方から眺めた模式図である。
【
図11B】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を側方から眺めた模式図である。
【
図11C】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による例示的なトレーアセンブリ及びセラミック製品を斜めから眺めた模式図である。
【
図12】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態による照射マイクロ波の媒質、及びマイクロ波結合カバーの媒質、セラミック製品の媒質、及びトレー本体の媒質の模式図である。
【
図13】本明細書において示され、かつ記載される1つ以上の実施形態によるセラミック製品を乾燥させる方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、セラミック製品を製造し、そして乾燥させるトレーアセンブリの種々の実施形態について詳細に説明するが、これらの実施形態の例は、添付の図面に示されている。可能な限り、同じ参照番号を、これらの図面全体を通じて使用して、同じ、または同様の構成要素を指すこととする。
【0013】
本明細書において説明されるように、トレーアセンブリは普通、トレー本体と、そしてマイクロ波結合カバーと、を備えることができる。マイクロ波結合カバーは、マイクロ波乾燥装置によって供給されてセラミック製品(例えば、セラミックハニカム構造)に結合するマイクロ波エネルギーを大きくして、セラミック製品を効率的に加熱し、そして乾燥させるように機能することができる。結合マイクロ波エネルギーの量を大きくすることにより、より均一な乾燥、及びより短い乾燥時間を実現することができる。更に、本明細書において記載される実施形態は、均一な乾燥を、2回以上の工程(例えば、1回のマイクロ波乾燥工程、及び1回の従来の乾燥工程)ではなく、1回の工程のみで行なうことができる能力だけでなく、複数の品数のセラミック製品を乾燥させる能力を実現する。
【0014】
次に、
図1を参照するに、例示的なセラミック製品製造システム100が図示されている。システム100は普通、押出成形装置102と、ソー切断装置108と、コンベヤシステム130と、そしてマイクロ波乾燥装置132と、を備えることができる。本明細書において記載される実施形態は、
図1に図示されるシステム100に限定されず、かつより多くの、またはより少ない構成要素群を有する他のシステムを利用することができることを理解されたい。吸水セラミック材料104の形態の押出成形品は、押出成形装置102によって所望の押し出し速度で、矢印Aで示す方向に処理することができる。吸水セラミック材料104は、ソー切断装置108の方に向かって第1ベアリングシステム106によって搬送することができる。
【0015】
ソー切断装置108は、吸水セラミック材料104を切断して、所望の長さを有するセラミック製品群112とするように機能することができる。ソー切断装置108はコントローラ109を備えることができ、コントローラ109は、押出成形品の速度を入力として受信し、そしてブレード110を適正な速度に制御することにより、セラミック材料104を切断して所望の長さのセラミック製品群112とする。これらのセラミック製品112は、第2ベアリングシステム114のコンベヤシステム130(例えば、ベルト式コンベヤシステムまたはチェーン式コンベヤシステム)の方に向かって搬送することができる。第1及び第2ベアリングシステム106,114は、エアベアリングシステムとすることにより、吸水セラミック材料104及びセラミック製品群112それぞれの変形を最小限にすることができる。システム100が2つのベアリングシステムを使用する様子が示されているが、種々の実施形態では、より多くの、またはより少ないベアリングシステムを利用することができる。更に、コンベヤシステム130は、セラミック製品群を、マイクロ波乾燥装置132を通るように搬送する何れの適切なシステムも備えることができる。従って、セラミック材料を、セラミック製品製造システム100を通るように搬送するために使用されるコンベヤシステムまたはベアリングシステムの種類については、特定の制限はないものとする。
【0016】
コンベヤシステム130上に配置されるのは、1つ以上のセラミック製品112を第2ベアリングシステム114から受け入れるように機能することができる1つ以上のトレーアセンブリ120である。以下に更に詳細に説明するように、トレーアセンブリ120は、トレー本体122と、そしてマイクロ波結合カバー124と、を備えることができる。トレーアセンブリ120の特定の実施形態によって異なるが、マイクロ波結合カバー124は、セラミック製品をトレー本体122上に載置した後に、トレー本体122の上に配置することができる。
【0017】
セラミック製品112をトレーアセンブリ120の上に、または内部に保持した後、コンベヤシステム130は次に、トレーアセンブリ120をマイクロ波乾燥装置132の方に向かって、矢印Bで示す方向に搬送する。マイクロ波乾燥装置132は、マイクロ波発生源(図示せず)と、マイクロ波チャンバ133と、そして導波路アセンブリ(図示せず)と、を備えることができる。マイクロ波チャンバ133は普通、側壁群134と、上面135と、そして底面136と、を備える。1つの実施形態では、側壁群134、上面135、及び底面136は、マイクロ波不透過性の非磁性材料により形成することができ、この非磁性材料は、高い電気伝導度及び高い耐酸化性を示す。マイクロ波チャンバ133の上面135、底面136、及び側壁群134の各々は、内側シェル及び外側シェルを備えることができ、この場合、絶縁層(例えば、繊維ガラスまたは同等の絶縁材料)が内側シェルと外側シェルとの間に配置される。マイクロ波チャンバ133は、セラミック製品群112及びトレーアセンブリ群120がマイクロ波チャンバ133の内部を通過するように構成することができる。図示されないが、マイクロ波乾燥装置132は更に、入口壁及び出口壁を含むことができ、これらの壁に開口部を設けることにより、トレーアセンブリ群120、セラミック製品群112、及びコンベヤシステム130を、マイクロ波乾燥装置132内に移動させ、そしてマイクロ波乾燥装置132から移動させることができる。これらの開口部のサイズは、マイクロ波エネルギーが、マイクロ波チャンバ133から漏洩することができないように決定される必要がある。開閉動作を行なう入口ゲート及び出口ゲート(図示せず)を更に利用して、マイクロ波エネルギーの漏洩を防止することができる。マイクロ波乾燥装置132は、マイクロ波チャンバ133を1つだけ有するものとして図示されているが、種々の実施形態では、複数の対応するマイクロ波発生源を有する複数のマイクロ波チャンバを利用することができる。
【0018】
マイクロ波発生源により生成されるマイクロ波エネルギーの周波数は、特定のマイクロ波乾燥用途によって変えることができる。1つの実施形態では、マイクロ波発生源は、約10MHz〜約100GHzの範囲の周波数、そして幾つかの実施形態では、約20MHz〜約6GHzの範囲、または約900MHz〜約2.49GHzの範囲の周波数を有するマイクロ波エネルギーを生成するように機能することができる。更に、マイクロ波発生源(または、複数のマイクロ波チャンバを有する実施形態における複数の発生源)は、マイクロ波エネルギーの周波数を、マイクロ波乾燥プロセス中の異なる時点で変えるように構成することができる。
【0019】
図2A〜2Cは、例示的なトレーアセンブリ120の構成要素群の斜視図を描いている。まず、
図2Aを参照するに、トレーアセンブリ120は、半円筒溝129を有するトレー本体122を含み、この半円筒溝129は、トレー本体の長手方向軸と平行に、矢印Cで示す長さ方向に沿って延びる長手方向軸を有する。トレー本体122は、マイクロ波照射を受けると温度が上昇する材料により作製することができる。溝129は、半円筒構造を有するものとして図示されているが、種々の実施形態は当該半円筒構造に限定されない。当該溝は、乾燥対象のセラミック製品の輪郭に一致する何れかの形状とすることができる。例えば、当該溝は、矩形形状を有するセラミック製品を収容する矩形状とすることができる。他の実施形態では、溝の形状は、乾燥対象のセラミック製品の輪郭に一致しなくてもよい。
【0020】
溝129は更に、複数の排水孔127を含むことができ、これらの排水孔127によって、吸水セラミック製品内の液体をトレー本体122から排出することができるだけでなく、蒸気を逃がすことができる。これらの排水孔は、セラミック製品の乾燥時間をより短くすることができる。溝129は、溝が液体及び蒸気をトレー本体から逃がすことができる他の構造を有することができるので、
図2Aに示す複数の排水孔127に限定されない。例えば、1つの実施形態の溝は、液体及び蒸気が通り抜けることができる開口部群を有するふるい(screen)として構成することができる。他の構造を用いることもできる。
【0021】
図示の実施形態では、トレーアセンブリ120は更に、トレー本体122の底部に接続される絶縁体125を備える。絶縁体125は、照射されるマイクロ波を透過する材料であり、かつトレーアセンブリ120をコンベヤシステムから乾燥プロセス中に熱的に絶縁するように作用する材料により作製することができる。絶縁体125は、例えばLexan(レキサン)またはTeflonテフロン(登録商標)により作製することができる。他の絶縁材料を利用することもできることを理解されたい。
【0022】
図2Bは、トレー本体122上にセラミック製品112を載置した状態のトレー本体122を示している。
図2Bに示すセラミック製品112は、円筒形セラミックフィルタとして構成される。セラミック製品群は、他の幾何学的構造(例えば、矩形構造)を有することができる。セラミック製品112は、トレー本体122上に載置することにより、当該セラミック製品が溝129内に配置され、かつ矢印Dで示すセラミック製品軸が、トレー本体の長手方向軸Cと略平行になる。コンベヤに沿ったトレー本体122(及び、トレーアセンブリ120)の移動方向は、矢印Bで示すコンベヤ移動軸に沿った方向とすることができ、このコンベヤ移動軸はトレー本体の長手方向軸Cに直交する(
図1参照)。
【0023】
図2Cは、セラミック製品112がトレーアセンブリ120内に配置された状態のトレーアセンブリ120を示している。マイクロ波結合カバー124は、トレー本体122の上に配置されて、セラミック製品112がマイクロ波結合カバー124によって上方から包み込まれるようになる。矢印Eで示す結合部(coupler)の長手方向軸は、セラミック製品の長手方向軸Dと略一直線上に位置するようにする(すなわち、共通とする)ことができる。
図2Cに示すマイクロ波結合カバー124は、セラミック製品112の長さよりも短い長さを有する。以下に更に詳細に説明するように、マイクロ波結合カバー124の長さは、特定の乾燥用途によって変えることができ、かつセラミック製品を上面、底面、及び/又は側面から包み込むことができる。次に、トレーアセンブリ群及び関連する方法の種々の実施形態について、以下に説明する。
【0024】
次に、
図3A〜3Cを参照するに、例示的なトレーアセンブリ220、及びトレーアセンブリ120内に配置されるセラミック製品112が、前面図、側面図、及び斜視図でそれぞれ示されている。トレーアセンブリ220は、半円筒形マイクロ波結合カバー224と、そしてトレー本体222と、を備える。トレー本体の上に配置されるマイクロ波結合カバーを利用して、当該マイクロ波結合カバーが
図2Cに示すように、セラミック製品を上方から覆うようにするのではなく、
図3A〜3Cに示すマイクロ波結合カバーは、トレー本体222の支持面226よりも下方に配置されるマイクロ波結合インサート224として構成される。セラミック製品112は、半円筒状支持面226の上で直接支持されるようにすることができる、または
図3Cに示す任意のスペーサ群227を使用して間接的に支持されるようにすることができる。1つの実施形態では、マイクロ波結合インサート224がトレー本体222と一体化されるのに対し、別の実施形態では、マイクロ波結合インサート224は、トレー本体222から取り外すことができることにより、種々の材料から成るトレーインサートを必要に応じて、交換のためにトレー本体222に取り付け、そしてトレー本体222から取り外すことができる。この構成の実施形態は、セラミック製品が約40%〜60%乾燥したときにセラミック製品を180°だけ回転させる前に、マイクロ波結合カバーを取り外す工程を無くす利点をもたらすことができ、これについては、以下に詳細に説明する。マイクロ波結合インサート224は、上面(例えば、
図2Cに示すように)との結合ではなく、セラミック製品112の下側半分の少なくとも一部との結合を高めることができるので、セラミック製品への容易な接近が可能となる。1つの実施形態では、セラミック製品112は手作業により、またはロボットにより回転させることができる。別の実施形態では、セラミック製品112を回転させるのではなく、マイクロ波結合インサート224を自動的に、かつ機械的に回転させることができることにより、当該マイクロ波結合インサート224が、セラミック製品112の上側半分の少なくとも一部を包み込んで、当該少なくとも一部がマイクロ波照射を継続して受けるようにすることができる。
【0025】
図3A〜3Cに図示される実施形態では、マイクロ波結合インサート224は、セラミック製品112の全長を(長手方向に)包み込む(すなわち、下側半分の全部分を)。しかしながら、マイクロ波結合カバーの長さは、セラミック製品の長さよりも短くすることができる(
図4A〜4C、
図5A〜5Cを参照)。マイクロ波エネルギーをセラミック製品112に効果的に結合させるために、マイクロ波結合カバー224の長さは、幾つかの実施形態では、λ
gを、マイクロ波がセラミック製品112内を伝搬するときの、マイクロ波乾燥装置によって生成される照射マイクロ波の波長とした場合に、λ
gよりも長くするか、またはλ
gに等しくする。
マイクロ波結合アー224の厚さは、幾つかの実施形態では、約λ
g/8〜約λ
g/2とすることにより、
図12を参照して以下に詳細に説明するように、最適なマイクロ波結合が確保される。
【0026】
蒸気及び空気が吸水セラミック製品112から乾燥プロセス中に自由に流出することができるようにするために、マイクロ波結合カバー224は、ギャップ123がマイクロ波結合カバー224(だけでなく、トレー本体材料)とセラミック製品112との間に形成されるように配置し、かつ構成することができる。これは、例えば任意のスペーサ群227を使用することにより可能になる。マイクロ波結合カバー224によるインピーダンス整合が劣化することが絶対にないようにするために、セラミック製品112とマイクロ波結合カバー224との間の距離は、λ
0を、マイクロ波が空気中を伝搬するときにマイクロ波乾燥装置によって利用される照射マイクロ波の波長とした場合に、約λ
0/10未満とする必要がある。この距離では、ギャップ123を、照射マイクロ波が透過する。
【0027】
マイクロ波結合カバーの材料によって当該カバーが、マイクロ波結合部(microwave coupler)として機能することができ、このマイクロ波結合部は、セラミック製品に結合するマイクロ波エネルギーの量を増大させる。別の表現をすると、マイクロ波結合カバーの材料によって、空気とセラミック製品とのインピーダンス整合を高めることができる。1つの材料をマイクロ波結合カバーに関して選択するに当たって、選択される材料の誘電率は、セラミック製品を取り囲む空気の誘電率(ε
O)と乾燥後のセラミック製品の誘電率(ε
R2D)との中間に設定する必要がある。吸水セラミック製品の誘電率ではなく、乾燥後のセラミック製品の誘電率を考慮に入れることにより、セラミック製品が乾燥した後の表面近傍のセラミック製品の領域の過熱状態を軽減し易くすることができる。「dielectric property(誘電率)」とは、本明細書において使用されるように、実数部及び虚数部を含む誘電率を指している。
【0028】
一例として、かつ限定ではないが、空気の誘電率を1とした場合に、誘電率の実数部が約8である材料が、乾燥状態での誘電率が15であるセラミック製品に関して選択される。マイクロ波結合カバーの誘電率の虚数部は、非ゼロ値であると、セラミック製品との結合を高めることができるのではなく、カバーが加熱されてしまうので(例えば、サセプタ材料を加熱するときに)、略ゼロにする必要がある。更に、かなり電気伝導度の高いカバーは、セラミック製品を電磁エネルギーから遮蔽する。従って、誘電率の虚数部は約0.01未満にする必要がある。一例として、かつ限定ではないが、誘電率の実数部が約8であり、かつ虚数部が略ゼロである材料は、多孔率が約2%未満であるアルミナ(例えば、誘電率が8.09−j0.008で表わされるアルミナ材料)とすることができる。マイクロ波結合カバーの要求誘電率は、異なる種類のセラミック製品に対応して異なる可能性があるので、種々の誘電率及び多孔率を有する異なる材料を、処理対象のセラミック材料の種類に応じて利用することができる。一例として
、マイクロ波結合カバーの材料例として、これらには限定されないが、アルミナ、マグネシア、スピネル、窒化珪素、及び窒化アルミニウムを挙げることができる。一般的に、誘電率の実数部は、特定のセラミック製品の場合、5〜10の範囲に収める必要がある。
【0029】
以下に更に詳細に説明するように、本明細書において記載されるマイクロ波結合カバーは、セラミック製品に結合するマイクロ波エネルギー量を大きくし、これにより、セラミック製品(例えば、乾燥後に吸水領域を有するセラミック製品)の品質を高めることができることにより、歩留まりを向上させることができる。更に、より少ない量のマイクロ波エネルギーしか反射されない、または消散されないので、
セラミック製品を効果的に乾燥させるために要する時間の長さを短くすることができ、エネルギーコストを節約することができる。
【0030】
次に、
図12を参照するに、トレー本体1122の媒質、セラミック製品1112の媒質、マイクロ波結合カバー1124の媒質、及び空気中を伝搬するマイクロ波1140の媒質の模式図が描かれている。一例として、かつ限定ではないが、以下に提示されるのは、
図12に示す種々の媒質の電磁特性であり、マイクロ波結合カバー1124は、約4インチの長さ(
図12に示す水平方向の)、約1インチの厚さ(
図12に示す垂直方向の)を有するアルミナにより作製され、そしてギャップ1123は約0.4インチである。ηは、媒質のインピーダンスを表わし、当該インピーダンスは、透磁率μ=μ
0μ
R(μ
0は自由空間の透磁率)と誘電率ε=ε
0ε
R(ε
0は自由空間の誘電率)との比の平方根である:
【数1】
【0031】
添え字0,1,2,及び3は、空気の媒質、マイクロ波結合カバーの媒質、セラミック製品の媒質、及びトレー本体の媒質をそれぞれ表わしている。更に、添え字「D」及び「W」は、セラミック製品の乾燥状態及び吸水状態を表わしている。反射係数Γに添え字を用いて、2つの媒質の間の境界であることを示唆している。例えば、Γ
01は、空気とマイクロ波結合カバーとの間の境界であることを意味する。上記電磁特性は更に、次式によって定義することができる:
【数2】
【数3】
【0032】
μ
0=4π×10
−7,Hm
−1、及び
ε
0=8.854×10
−12,Fm
−1
以下の電磁特性は、例示のみを目的に一例として以下に提示される。本明細書において記載される種々の実施形態は、決して以下の電磁特性に限定されることはない。この例では、マイクロ波結合カバーはアルミナ材料を含む。例示的な特性は、以下の通りである:
・空気:ε
0,μ
0,η
0=377Ω,Γ
01=−0.5,Γ
02D=−0.59,及びΓ
02W=−0.75;
・マイクロ波結合カバー:ε
R1=9,μ
R1=1,η
1=126Ω,Γ
12D=−0.13,Γ
12W=−0.41;
・乾燥状態のセラミック製品:ε
R2W=15,μ
R2D=1,η
2D=97Ω,Γ
2D3=0.52;
・吸水状態のセラミック製品:ε
R2W=50,μ
R2W=1,η
2DW=53Ω,Γ
2W3=0.52;及び
・トレー本体:ε
R3=1.5,μ
R3=1,η
3=307Ω,Γ
30=0.19
【0033】
上に挙げた反射係数から、アルミナ製マイクロ波結合カバーが、入射する電磁波のインピーダンス整合を高めることができ、これによって今度は、セラミック製品の中央表層領域(すなわち、セラミック製品の最外周の中央部分)の結合効率及び加熱を高めることができることが分かる。以下の2つの例では更に、上記特性を有するマイクロ波結合カバーにより得られる結合効果が高くなることを示す。
【0034】
例1:乾燥セラミック製品−乾燥プロセスの終了近傍
セラミック製品及びトレーアセンブリの方に向かって誘導される入射電磁波の入力電力が100Wであると仮定すると、Γ
01=−0.5の反射係数を有するアルミナ製マイクロ波結合カバーは、電力の40%を反射することにより、50Wの電力をアルミナ製マイクロ波結合カバーに結合させる。この50Wの電力のうち、87%がセラミック製品に直接結合する(50W
*(1−Γ
12)=43.5W)。同様
な分析を行なうことにより、マイクロ波結合カバー124が無い状態では、セラミック製品に直接結合する電力が入力電力の41%に過ぎないことが分かる(100W
*(1−Γ
02)=41W)。従って、マイクロ波結合カバーを設けない場合には、
セラミック製品に結合する電力がより小さくなる。複数の100Wマイクロ波アプリケータを有するマイクロ波乾燥装置を通過する時間を含む約20分の乾燥時間に亘ってこの利点を足し合わせた効果は極めて大きい。
【0035】
例2:吸水セラミック製品−乾燥プロセスの開始時
上の例におけるように、マイクロ波乾燥装置は、100Wの照射電磁波をセラミック製品の方に向かって伝搬させるように構成される。アルミナ製マイクロ波結合カバーが、トレーアセンブリ内で現われる上記特性を有する場合、100Wのうちの約40%(50W)がアルミナ製マイクロ波結合カバーに結合することになる。この50Wのうち、59%がセラミック製品に直接結合する(50W
*(1−Γ
12)=29.5W)。同様
な分析を行なうことにより、アルミナ製マイクロ波結合カバーが無い状態では、セラミック製品に直接結合する電力が、100Wの入力電力の25%に過ぎないことが分かる。従って、マイクロ波結合カバーを設けない場合よりも設ける場合の方が、凡そ、約4.5%だけ優れている。この場合も同じように、幾つかの100Wマイクロ波アプリケータを通過する約20分の乾燥時間に亘ってこの利点を足し合わせた効果は極めて大きい。
【0036】
2つの例を参照して上に説明したように、マイクロ波結合カバーは、セラミック製品に結合する
マイクロ波エネルギー
の割合を上昇させる。結合
するマイクロ波エネルギーの割合がこのように大きくなると、乾燥時間を短くすることができ、かつ例えば、対流乾燥炉のような更に別の乾燥炉を必要とすることなく、低温領域の乾燥度を更に高めることができる。
【0037】
次に、図13のフローチャートだけでなく
図1を参照しながら
、図1に示す例示的なセラミック製品製造システムを使用して
セラミック製品112を製造する方法について、更に詳細に説明する。セラミック製品112を押出成形品104から切り出した(ブロック1310)後、セラミック製品112を第2ベアリングシステム114からトレー本体122に移載して、セラミック製品112が、マイクロ波結合カバー124によって少なくとも部分的に覆われるようにする(ブロック1320)。マイクロ波結合カバー124は
、何れかの適切な方法により、例えば手作業により、またはロボットにより、トレー本体122の上に配置することができる。マイクロ波結合カバーが、例えば
図3A〜3Bに示すインサート224及びトレー本体222のような、トレー本体内に配置されるマイクロ波結合カバーインサートとして構成される実施形態では、マイクロ波カバーをトレー本体の上に配置する必要はない。
【0038】
セラミック製品112がトレーアセンブリ120内に収納された後、コンベヤシステム130は、トレーアセンブリ120を、複数のマイクロ波アプリケータ及びチャンバを有することができるマイクロ波乾燥装置132の方に向かって搬送する(ブロック1330)。1つの実施形態では、これらのトレーアセンブリ120は、マイクロ波乾燥装置132を通って固定速度で搬送される。次に、ブロック1340では、
マイクロ波乾燥装置内でセラミック製品112にマイクロ波エネルギーを
加える。
【0039】
セラミック製品がブロック1350において、約40%未満しか乾燥していない場合、プロセスはN経路を採って、ブロック1340に戻ることにより、セラミック製品に引き続き、マイクロ波エネルギーを
加えることができる。マイクロ波カバー124は、セラミック製品112のほぼ上側半分または下側半分しか覆うことができないので、セラミック製品の上側部分または下側部分にしか、マイクロ波カバー124によって得られる結合効率が高いという利点をもたらすことができない。従って、セラミック製品がブロック1350において、約40%〜約60%乾燥する場合、プロセスはY経路を採ってブロック1360に進み、このブロック1360では、セラミック製品112を、セラミック製品112の軸回りに180°回転させて、セラミック製品112のうちのこれまでに照射を受けていない部分がこの時点で、照射を受けて、マイクロ波カバー124によって得られる結合効率が高いという利点をもたらすことができるようにする。セラミック製品112は
、特定の種類のセラミック製品をマイクロ波乾燥装置132内に、当該製品が約40%〜60%乾燥するまで残留させる必要がある時間長を示す履歴データに基づいて特定される時間が経過した後に、マイクロ波乾燥装置132内で回転させてもよい。別の実施形態では、セラミック製品112の乾燥度はセンサ(図示せず)によってモニタリングすることができる。
【0040】
マイクロ波結合カバー124がセラミック製品112の上側部分を包み込む実施形態では、セラミック製品は、まずマイクロ波結合カバー124をトレー本体122から取り外して、セラミック製品112への接近を可能にすることにより回転させることができる。次に、セラミック製品112を回転させることができ、そしてマイクロ波結合カバー124を再度、トレー本体122の上に配置することができる。セラミック製品112の回転は、手作業により、またはロボットにより行なうことができる。マイクロ波結合カバーがマイクロ波結合インサート(例えば、
図3A〜3Cのインサート224)として構成され、かつセラミック製品を支持面の下方から包み込む実施形態では、セラミック製品112は、マイクロ波結合インサートの取り外しを必要とすることなく直接回転させることができる。回転後、目標乾燥度にブロック1360において達するまで、セラミック材料に追加のマイクロ波照射を行なうことができる。
【0041】
トレーアセンブリ120及び当該トレーアセンブリ120内に収納されるセラミック製品112がマイクロ波乾燥装置132から出て行った後、マイクロ波結合カバー124をトレーアセンブリ120から取り外すことができ(または、取り外さなくてもよく)、そしてブロック1370において、セラミック製品112をトレー本体122から取り外すことができる。このプロセスは、手作業により、またはロボットにより行なうことができる。トレー本体122及びマイクロ波結合カバー124は、ブロック1380において押出成形品104の後端側に達していない場合(N経路)に、更に別の吸水セラミック製品112を受け入れるために乾燥プロセスの開始段階に戻るように搬送する(例えば、1つ以上のコンベヤシステムによって)ことができる、またはブロック1380において押出成形品104の後端側に達している場合(Y経路)にオフライン位置に返すことができる(ブロック1390)。
【0042】
次に、種々の構造を有するトレーアセンブリ群、及びこれらのアセンブリに装着されるセラミック製品を製造する方法の更に別の実施形態について説明する。種々の実施形態は、各種変形及び変更を行なうことが可能であることから、本明細書において例示され、かつ説明されるトレーアセンブリ構造に限定されない。
【0043】
図4A〜4Cは、マイクロ波結合カバーが、トレー本体322内に配置され、かつセラミック製品112の下側半分の少なくとも一部を覆うように機能することができるマイクロ波結合インサート324として構成される実施形態を示している。
図3A〜3Cを参照して上に説明したように、マイクロ波結合インサート324は、トレー本体322と一体化することができる、またはトレー本体322から取り外すことができる。マイクロ波結合インサート324の長さは、
図3A〜3Cに示すマイクロ波結合インサートの長さよりも短い。
【0044】
マイクロ波エネルギー結合効率を最適に向上させるために、マイクロ波結合インサート324(または、本明細書において記載され、かつ例示される実施形態の上部カバー)の長さは、セラミック製品112内を伝搬する照射マイクロ波の波長であるλ
gよりも長くするか、またはλ
gに等しくする必要がある。例えば、セラミック製品内を伝搬する照射マイクロ波の波長が4インチである場合、マイクロ波結合インサート324の長さは、4インチよりも長くするか、または4インチに等しくする必要がある。上に説明したように、図示のマイクロ波結合インサート324の厚さは、幾つかの実施形態では、約λ
g/8〜約λ
g/2であり、そしてギャップ123を約λ
o/10とすることにより、最適なマイクロ波結合効率を得る。マイクロ波結合インサートまたはカバーの長さを、セラミック製品の全長である長さよりも短くすると、マイクロ波結合インサートまたはカバーを製造するために必要な材料の量を減らすだけでなく、インサートまたはカバーの合計重量を減らすことができるという利点をもたらすことができる。
【0045】
次に、
図5A〜5Cを参照するに、2つのマイクロ波結合インサートを有するトレーアセンブリ420が図示されている。マイクロ波結合インサート424(すなわち、第1マイクロ波結合インサート)は、セラミック製品112の第1部分を覆うことができ、そして更に別のマイクロ波結合インサート428(すなわち、第2マイクロ波結合インサート)は、セラミック製品の第2部分を包み込むことができる。第1及び第2部分は、セラミック製品112の第1及び第2端部に近接するものとして図示されている。しかしながら、マイクロ波結合カバー424,428は、セラミック製品112の他の部分を覆っていてもよい。同じとすることができる、または互いに異ならせることができる第1及び第2マイクロ波結合インサート424,428の長さは、上に説明したように、λ
gと等しくするか、またはλ
gよりも長くする必要がある。
【0046】
図6A〜6Cは、マイクロ波結合カバー524を有するトレーアセンブリ520がセラミック製品112を上方から包み込む実施形態を示している。マイクロ波結合カバー524は、半円筒形を有し、そしてセラミック製品112の上側半分全体を覆うように機能することができる。図示のマイクロ波結合カバー524は、セラミック製品112の輪郭に略一致する半円筒形を有するが、種々の実施形態はこの形状に限定されない。マイクロ波結合カバー524は、トレー本体122に直接取り付けることにより支持されるようにすることができる、または例えばLexan(レキサン)またはTeflon「テフロン」により作製される任意のマイクロ波透過スペーサ群(図示せず)を使用することにより間接的に支持されるようにすることができる。上に説明したように、
図6A〜6Cに示すマイクロ波結合カバー524は、セラミック製品112を回転させ、そしてトレー本体122から乾燥プロセスの終了時点で取り外すときに、トレー本体122から取り外すことができる。
【0047】
次に、
図7A〜7Cを参照するに、トレー本体122の上に配置されるセラミック製品112の長さの一部を覆うマイクロ波結合カバー124を有するトレーアセンブリ120が図示されている。
図7A〜7Cは、
図2Cに示す実施形態を描いている。
図7A〜7Cに示すマイクロ波結合カバー124の長さは、
図6A〜6Cに示すマイクロ波結合カバー524の長さよりも短い。マイクロ波結合カバー124は、セラミック製品112の上側半分の少なくとも一部を包み込むように機能することができる。
図4A〜4Cを参照して上に説明したように、マイクロ波結合カバー124の長さは、λ
gよりも長くするか、またはλ
gと等しくすることにより、マイクロ波エネルギー結合効率を最適に向上させる必要がある。
【0048】
図8A〜8Cは、セラミック製品112の長さ全体を完全に包み込む円筒形マイクロ波結合カバー624を有する例示的なマイクロ波トレーアセンブリ620を示している。別の実施形態では、マイクロ波結合カバー624は、セラミック製品112の一部のみを完全に包み込むようにしてもよい。セラミック材料112は、支持面626で直接支持されるようにすることができる(
図8A)、または任意のスペーサ群627を用いて間接的に支持されるようにすることができる(
図8C)。図示のマイクロ波結合カバー624は、上に説明したこれらのマイクロ波結合カバーと同じ特性を有することができる。セラミック製品を完全に包み込むマイクロ波結合カバーによって、セラミック製品が約40%〜60%乾燥したときにセラミック製品を回転させる工程を
省略することができるが、その理由は、セラミック製品の上側半分及び下側半分の両方がマイクロ波結合カバーで覆われるからである。
【0049】
材料及び重量の低減を可能にするだけでなく、マイクロ波結合カバーのセラミック製品112の周りの空気流を増やすために、
図9A〜9Cに示すトレーアセンブリ720は、上に説明した結合材料により作製され、かつ軸方向に延びる複数の結合用帯状体728を有するマイクロ波結合カバー724を備えている。これらの結合用帯状体728は、マイクロ波結合カバー724が、セラミック製品112の少なくとも一部を完全に包み込むように配置することができる。セラミック製品112は、支持面726で直接支持されるようにすることができる(
図9A)、または任意のスペーサ群727を用いて間接的に支持されるようにすることができる(
図9C)。これらの結合用帯状体728は、コネクタ群(図示せず)を用いて保持することができ、これらのコネクタは、照射マイクロ波を透過することができるので、所望形状を有するマイクロ波結合カバーを実現することができる。
図9A〜9Cに示すトレーアセンブリ720を使用して乾燥させたセラミック製品は、セラミック製品が約40%〜60%乾燥したときに、僅かに回転させるだけで済む。これは、セラミック製品の両端を把持し、そして僅かに回転させることにより、またはマイクロ波結合カバー724を僅かに回転させることにより行なうことができる。これらの結合用帯状体は、セラミック製品の上部または底部を覆う実施形態において利用することもできる。
【0050】
次に、
図10A〜10Cを参照するに、内側カバー824として構成されるマイクロ波結合カバーと、そして外側カバー828として構成される更に別の結合カバーと、を有するトレーアセンブリ820が図示されている。図示の連続的に対向するカバー824,828は、約λ
0/10未満のギャップ125を挟んで分離されるので、空気流を流すことができ、かつそれぞれのカバー824,828における凝結を防止する。しかしながら、内側カバー824及び外側カバー828は、これらのカバーが互いに接触するようにトレー本体122の上に配置してもよい。
図2A〜2Cに関して上に説明したように、連続的に対向するカバー824,828は、トレー本体122で直接支持されるようにするか、または間接的に支持されるようにすることができる。内側カバー824及び外側カバー828は、異なる結合材料により、または異なる多孔率及び誘電率を有する同様の材料により作製することができ、そして
図2Dを参照して上に説明したように、セラミック製品112に結合するマイクロ波エネルギーを大きくするように選択することができる。
【0051】
図11A〜11Cは更に、2つのマイクロ波結合カバーを有するトレーアセンブリ920を示している。マイクロ波結合カバー924(すなわち、第1マイクロ波結合カバー)は、セラミック製品112の第1部分を包み込むことができ、そして更に別のマイクロ波結合カバー928(すなわち、第2マイクロ波結合カバー)は、セラミック製品の第2部分を包み込むことができる。第1及び第2部分は、セラミック製品112の第1及び第2端部に近接するものとして図示されている。しかしながら、
図5A〜5Cに示すマイクロ波結合インサート424,428について上に説明したように、マイクロ波結合カバー924,928は、セラミック製品112の他の部分を覆っていてもよい。同じとする、または互いに異ならせることができる第1及び第2マイクロ波結合カバー924,928の長さは、上に説明したように、λ
gと等しくするか、またはλ
gよりも長くする必要がある。上に説明したように、第1及び第2マイクロ波結合カバー924,928は、トレー本体122で直接支持されるようにするか、または間接的に支持されるようにすることができる。
【0052】
本明細書において記載されるトレーアセンブリ及び方法は、例えばセラミックハニカム構造のようなセラミック製品を乾燥させるために特に適している。drying(乾燥させる)とは、本明細書において使用されているように、セラミック製品の液体含有率を目標乾燥度値にまで低下させることを指す。本明細書において記載される種々の実施形態は、セラミック製品へのマイクロ波結合効率を、空気とセラミック製品とのインピーダンス整合を容易にする1つ以上のマイクロ波結合カバーを使用することにより向上させることができる。種々の実施形態は、乾燥後のセラミック材料の品質を、吸水スポット及び/又はホットスポット(hot spot)がセラミック製品内に形成されるのを低減する、または無くすことにより向上させることができる。更に、種々の実施形態は、セラミック製品をマイクロ波乾燥装置内に残留させるために必要な時間、及びセラミック製品を完全に乾燥させるために、または目標の乾燥度を達成するために必要なマイクロ波エネルギーの量の両方を低減することができる。
【0053】
この技術分野の当業者であれば、種々の変形及び変更を本明細書において記載される実施形態に、請求の対象となる主題の思想及び範囲から逸脱しない限り加えることができることを理解することができるであろう。従って、このような変形及び変更が添付の請求項、及びこれらの請求項の均等物の範囲に含まれるのであれば、本明細書は、本明細書において記載される種々の実施形態の変形及び変更を包含するものとする。