(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図3に示す本発明の一実施例に係る金属溶解炉10は、アルミ鋳造用のアルミ溶湯を溶解して保持するいわゆる手許溶解炉であって、一般に乾燥炉床溶解炉(dry hearth furnace)と称され
るもので、実施例では、上部に材料投入口21及び煙道22を有し、下部に材料投入口21から投入された溶解材料を溶解する加熱板40が設けられた溶解室20を備える。図において、符号11は溶解室20を構成する炉体本体、12は炉体本体11に形成された作業点検口、13はその扉、14は加熱板40上で溶解された溶湯の流下部、Mは溶解材料が溶解された溶湯である。
【0015】
溶解室20は、
図2,3に示すように、投入された溶解材料を溶解するための空間であり、側壁W内に形成された排ガス流路25と、上部の材料投入口21に配置された溶解材料保持部材30と、材料投入口21の下側に配置された加熱板40と、加熱板40の下側に配置された加熱バーナー50とを有する。
【0016】
排ガス流路25は、
図2,3に示すように、溶解室20の側壁W内に、加熱バーナー50が配置された加熱板40の下側に開口する入り口26から、煙道22側へ開口する出口27に連通するように形成されている。この排ガス流路25では、後述する加熱バーナー50の排ガスを煙道22へ流出させる。実施例の排ガス流路25は、断面略略コ字形状とされ、加熱バーナー50による排ガスを流出させて煙道22内を予熱する。また、
図3に示すように、排ガス流路25を複数(この例では2つ)形成することにより、効率よく煙道22内を予熱することができる。
【0017】
この排ガス流路25は、
図3に示すように、炉体本体11側面に形成された溝部15と側壁部材16とによって構成され、側壁部材16上部に出口27が形成される。これにより、排ガス流路25を簡単かつ確実に形成することができ、製造コストも低減することが可能である。また、排ガス流路25では、内部を通過する排ガスによって側壁部材16を介して煙道22内を予熱すると同時に、出口27から流出する排ガスによっても煙道22内を予熱することができるため、極めて効率よく材料全体を予熱して溶解することが可能となる。特に、排ガス流路25の側壁部材16を炭化硅素(SiC)や窒化硅素(Si
3N
4)等の熱伝導率がよく耐熱性に優れた材質とすれば、側壁部材16
からの伝熱による予熱効果
も期待できる。
【0018】
溶解材料保持部材30は、
図2,3に示すように、煙道22から溶解室20内に下部が開放された筒状体からなり、上部開口部31から投入された溶解材料を保持して溶解室20内の側壁と溶解材料との接触を回避する。また、排ガス流路25の出口27が溶解材料保持部材30の側面に向かって開口することから、排ガス流路25から流出した排ガスが溶解材料保持部材30を外側から予熱するとともに、該排ガスが煙道22内から炉外に排出される際に溶解材料保持部材30を内側から予熱する。このように、溶解室20内の側壁Wと溶解材料との接触を回避し、該保持部材30の内外両側から予熱することから、溶解材料全体の予熱が可能となって予熱効率が向上し、生産性を高めることができる。また、煙道22内に未溶解材料が付着残留することを防止して、未溶解材料の除去、清掃という煩雑かつ困難な作業を軽減し、未溶解材料が炉体本体11に固着することによる炉体本体11の損傷を防止して耐久性を高めることができる。なお、図の符号32は材料投入口21の開口端縁を覆って保護する溶解材料保持部材30のフランジ部を表す。
【0019】
溶解材料保持部材30の材質は、外部からの加熱を可能とし、溶解材料が投入されて900℃以上の高温にさらされる部分であることから、熱伝導率がよく耐熱性及び耐衝撃性に優れる材料が好ましく使用され、例えば、外面側に酸化防止及び耐久性向上のためにアルミナ(Al
2O
3)を塗布した厚さ10mm程度のステンレス材(耐熱鋳鋼)である。
【0020】
加熱板40は、
図2,3に示すように、平板状に形成され、溶解材料保持部材30の下方の載置部23上に載置されて、後述する加熱バーナー50の燃焼熱によって
加熱されることにより、下側から溶解材料を溶解するように構成される。この加熱板40では、加熱バーナー50の燃焼熱をより効率よく溶解材料に伝えることができて、燃焼熱(約1000℃の高温)に耐え得る適宜の材料からなる熱伝導率の優れた耐熱板が使用される。加熱板の材質としては、例えば、炭化硅素(SiC)や窒化硅素(Si
3N
4)等が好適に用いられる。また、加熱板40では、裏面にステンレス材(耐熱鋳鋼)の補強板45を設けて強度を向上させることができる。なお図示しないが、補強板45に複数の小孔部を形成することで、加熱板40へ熱が伝導しやすくすることが可能となる。
【0021】
加熱バーナー50は、
図1,2に示すように、溶解室20の加熱板40の下側に配置されて、加熱板40を介して該加熱板40上の溶解材料を溶解させ、かつ排ガス流路25を流通する排ガスによって煙道22内の溶解材料を予熱する。実施例の加熱バーナー50では、バーナー炎が約1100〜1200℃とされ、加熱板40の下側を約1000℃に加熱するとともに、排ガス流路25から排ガスを流出させて煙道22内を約900〜950℃に予熱する。
【0022】
また、加熱バーナー50は、加熱板40によって溶解材料と隔てられているため、加熱バーナー50周辺やその内部にシャーベット状の半溶解材料が飛散して酸化物として固着することがなく
なり、従来のように加熱バーナーに付着した酸化物の除去作業が不要
となり、炉内の清掃作業を
軽減することができる。
【0023】
当該金属溶解炉10にあっては、
図1〜
図3に示すように、溶解室20の加熱バーナー50の下側に溶湯保持部60が形成されている。図において、符号62は溶湯保持部60の作業点検口、63はその扉である。
【0024】
この溶湯保持部60は、
図2,3に示すように、加熱板40上から溶湯が流下される流下部14を介して溶解室20と連通された空間であり、加熱板40の下側の加熱バーナー50が加熱する空間の一部に相当し、加熱板40上で溶解された溶湯Mが流下して貯留される。そして、溶湯保持部60では、加熱板40上の溶解材料を加熱溶解させる加熱バーナー50によって、貯留された溶湯Mが保温されるように構成されている。すなわち、加熱バーナー50のバーナー炎が、加熱板40とその下側の溶湯Mの上面M1との間の空間を加熱することにより、加熱板40及び排ガス流路25とを介して加熱板40上の溶解材料を
加熱するとともに、溶湯保持部60に貯留された溶湯Mを
加熱して所定温度に保温する。なお、溶湯保持部60に貯留される溶湯Mの上面M1は、加熱バーナー50よりも下方に位置するように構成されている。これは、加熱バーナー50周辺やその内部に溶湯Mが付着することを回避して、その除去作業等の繁雑な清掃作業を不要とするためである。これとともに、加熱バーナー50のバーナー炎が溶湯Mの上面M1に直接当たらないようにすれば、溶湯Mの酸化が抑制されてメタルロスを減少させることができる。
【0025】
また、
この発明の金属溶解炉10では、
図1,2に示すように、流下部14と溶湯保持部60との間に、下部に溶湯連通部76を備えた隔壁部75を有する溶湯処理部70が形成されていて、溶解室20で溶解された溶湯Mの上面M1が直接溶湯保持部60に流入しないように構成されている。溶湯処理部70は、隔壁部75によって流下部14からの溶湯Mを溶湯保持部60に直接流入させずに一旦蓄積することで、溶解材料の溶解に伴って発生する各種金属の酸化物等の不純物を溶湯M中に拡散する前に溶湯Mの上面M1に集積する。これにより、
不純物を含む溶湯は隔壁部75に遮られて溶湯保持部60へ流入せず、クリーンな溶湯Mのみが隔壁部75下部の溶湯連通部76を介して溶湯保持部60へ流入
する。したがって、溶湯保持部60への不純物の流入を大幅に減少させて溶湯保持部60内の溶湯Mの清浄度を高めて高品質に保持することができるとともに、不純物の除去作業が簡便化されて作業効率が向上する。尚、図中の符号72は溶湯処理部70の作業点検口、73はその扉である。
【0026】
さらに、金属溶解炉10では、
図1,3に示すように、溶湯保持部60と連通する汲出部80が配設されていて、汲出部80に溶湯Mを保温するための補助ヒーター85が設けられている。補助ヒーター85としては、燃焼熱を利用せずに溶湯Mを保温可能な公知の浸漬ヒーターが好適に使用される。補助ヒーター85を用いて溶湯Mを保温することにより、溶湯Mを燃焼させずに保温可能となるため、溶湯Mの酸化が抑制されてメタルロスを減少させることができる。加えて、溶湯Mの温度制御が容易となるとともに、加熱バーナー50の負担を軽減させて燃費を低減させることが可能となる。なお、溶湯保持部60と汲出部80との間に、溶湯Mの上面M1が直接汲出部80に流入しないように構成された汲出側隔壁部81を設けることで、汲出部80への不純な溶湯の流入を防止してより確実にクリーンな溶湯Mを流入させることが可能となる。
【0027】
上記第1実施例に係る金属溶解炉10では、加熱バーナー50によって、加熱板40上の溶解材料と溶湯保持部60に貯留された溶湯Mとを同時に
加熱することで、
加熱バーナー50による溶解材料の加熱と溶湯保持部60に貯留された溶湯Mの加熱を同時に効率的に行うことが可能となって、操業中の燃費を大幅に低減させることができる。実施例では、従来の金属溶解炉と比較して、保持昇温燃費が約75%向上した。
【0028】
また、溶湯保持部60が、加熱板40の下側の加熱バーナー50が配置される空間に設けられるため、当該溶解炉10をより小型に構成することが可能となって、省スペース化を図ることができるとともに、製造コストを低減させることができる。
【0029】
次に、
図4〜
図9を用いて、他の
例に係る金属溶解炉について説明する。以下の
例において、第1実施例と同一の符号は同一の構成を表すものとして説明を省略する。
【0030】
図4に示す第2実施例に係る金属溶解炉10Aは、溶解室20の加熱板40の上側に加熱板40上の溶解材料を加熱するための第2加熱バーナー55が配置される。第2加熱バーナー55は、加熱板40上の溶解材料にバーナー炎を直接当てて補助的に加熱溶解させるように構成される。これにより、加熱バーナー50とともにより効率よく溶解材料を
加熱することが可能となって、加熱バーナー50の負担を軽減するとともに、未溶解や半溶解の材料の発生をより効果的に防止することができる。
【0031】
また、図示しないが、第2実施例の金属溶解炉10Aでは、金属溶解炉10と同様に、溶湯保持部60と連通する汲出部80が配設され、必要に応じて汲出部80に溶湯Mを保温するための補助ヒーター85が設けられる。
【0032】
図5〜
図7に
示す金属溶解炉10Bは、溶湯保持部60と連通する溶湯保持室90が設けられている。各図において、符号11Aは燃焼室20及び溶湯保持室90を構成する炉体本体、92は溶湯保持室90の作業点検口、93はその扉である。
【0033】
溶湯保持室90は、多量の溶湯Mを貯留して保持バーナー95により溶湯Mを保温することが可能な空間であり、下部に溶湯連通部91aを有する保持室隔壁部91を介して溶湯保持部60と連通される。この溶湯保持室90では、保持室隔壁部91により溶湯保持部60内の溶湯Mの上面M1が溶湯保持室90内へ流入しないように構成されるため、溶湯保持部60からの不純な溶湯の流入を防止することができる。また、貯留された溶湯Mは、溶湯保持部60内で加熱バーナー50により
加熱されるとともに、溶湯保持室90内で保持バーナー95により
加熱される。そのため、溶湯保持部60と溶湯保持室90の双方で溶湯Mが
加熱されることとなり、多量の溶湯Mが貯留された場合でも効率よく保温することができて、操業中の燃費を低減させることができる。
【0034】
この例の溶湯保持室90は、加熱板40上で溶解された溶湯Mの流下部14Aを介して溶解室20の煙道22とも連通されている。そのため、溶湯保持室90内の溶湯Mを保温するための保持バーナー95の排ガスが、流下部14Aを通って溶解室20内を流通して排気口を兼ねる材料投入口21より外部へ排出される。これにより、溶湯保持室90からの排ガスが炉全体に流通されて、溶湯保持室90内の溶湯Mの保温のみならず、加熱板40上の溶解材料を補助的に予熱することができてより効率よく加熱溶解させることが可能となり、加熱バーナー50の負担を軽減させて燃費の向上を図ることができる。なお、加熱板40上で溶解された溶湯Mは、溶湯保持室90へ流下するとともに、溶湯連通部91aを介して溶湯保持部60へ流入する。また、流下部14Aは保持室隔壁部91の上部に形成される。
【0035】
この例の金属溶解炉10Bでは、
図7に示すように、側面視略U字形状の加熱板40Aが用いられる。U字形状の加熱板40Aでは、立設された壁部41,41が溶解室20の側壁Wとしても構成される。そのため、溶解室20を極めて簡単かつ確実に構成することができ、製造コストを低減させることができる。また、略U字形状に一体形成することにより、加熱板40Aと溶解室20の側壁Wとの間に隙間が生じないようにすることができ、溶解物の溶解室20内からの漏出を防止することが可能となる。しかも、溶解室20の側壁Wを加熱板40Aの壁部41,41により熱伝導率に優れた耐熱板とすることが可能であるため、溶解室20の側壁Wと加熱板20の下側の双方から効率よく
加熱することができる。
【0036】
また、金属溶解炉10Bでは、
図5,6に示すように、溶湯保持室90と連通する汲出部80Aが配設されていて、汲出部80Aに溶湯Mを保温するための補助ヒーター85が設けられている。補助ヒーター85により溶湯Mを燃焼させずに保温可能となるため、溶湯Mの酸化が抑制されてメタルロスを減少させることができる。加えて、溶湯Mの温度制御が容易となるとともに、加熱バーナー50及び保持バーナー95の負担を軽減させて燃費を低減させることが可能となる。
【0037】
図8,9に
示す金属溶解炉10Cは、溶湯保持室90を区画する溶解室側の隔壁部75Aが設けられて、溶湯処理部70Aが形成される。図において、符号72Aは溶湯処理部70Aの作業点検口、73Aはその扉である。
【0038】
溶湯処理部70Aは、溶湯保持室90と溶解室20及び溶湯保持部60との間に介在されて、流下部14Aからの溶湯M及び溶湯保持部60からの溶湯Mを直接溶湯保持室90に流入させずに一旦蓄積させる空間であって、隔壁部75Aの下部に溶湯保持部60と溶湯保持室90とを連通させる溶湯連通部76Aが形成されている。溶湯処理部70Aでは、隔壁部75Aによって溶湯処理部70A内の溶湯Mの上面M1が溶湯保持室90内へ流入しないように構成されるため、流下部14や溶湯保持部60からの不純な溶湯の流入を防止することができる。また、図示のように溶湯連通部76Aの下辺が溶湯処理部70Aの底面より高い位置に設けられているため、長期間の内に溶湯M中を沈降して底面に堆積する不純物中の重金属等があっても、溶湯保持室90へ流入することを防止することが可能となる。
【0039】
さらに、隔壁部75A上部には、溶湯保持室90の保持バーナー95の排ガスを溶解室20へ流通させる第2排ガス流路77Aが形成されている。第2排ガス流路77Aは、溶湯保持室90の保持バーナー95からの排ガスを炉全体に流通させて有効に利用するための通路である。すなわち、保持バーナー95の排ガスは、第2排ガス流路77Aを通過した後、流下部14Aを通って溶解室20内を流通して排気口を兼ねる材料投入口21より外部へ排出される。これにより、溶湯保持室90からの排ガスが炉全体に流通されて、溶湯保持室90内の溶湯Mの保温のみならず、加熱板40上の溶解材料を補助的に予熱することができてより効率よく加熱溶解させることが可能となり、加熱バーナー50の負担を軽減させて燃費の向上を図ることができる。なお、第2排ガス流路77Aは溶湯Mの上面M1よりも高い位置に形成されることはいうまでもない。
【0040】
また、
この例の金属溶解炉10Cでは、金属溶解炉10Bと同様に、溶湯保持室90と連通する汲出部80Aが配設され、必要に応じて汲出部80Aに溶湯Mを保温するための補助ヒーター85が設けられる。
【0041】
以上図示し説明したように、本発明の金属溶解炉10では、溶解室20の加熱板40の下側に加熱バーナー50が配置され、加熱バーナー50によって加熱板40上の溶解材料が溶解され、かつ排ガス流路25を流通する加熱バーナー50の排ガスによって煙道22内の溶解材料が予熱されるとともに、溶解室20の加熱バーナー50の下側に加熱板40上で溶解された溶湯Mが流下して貯留される溶湯保持部60が形成されていて、加熱バーナー50によって溶湯Mが保温されるため、
加熱バーナー50による溶解材料の加熱と溶湯保持部60に貯留された溶湯Mの加熱を同時に効率的に行うことが可能となって、操業中の燃費を大幅に低減させることができる。
【0042】
また、加熱板40上で溶解された溶湯Mの流下部14と溶湯保持部60との間に、下部に溶湯連通部76を備えた隔壁部75を有する溶湯処理部70を形成して、溶解室20で溶解された溶湯Mの上面M1が直接溶湯保持部60に流入しないように構成
したので、不純な溶湯が溶湯Mの上面M1に集積されてクリーンな溶湯Mのみを隔壁部75下部の溶湯連通部76を介して溶湯保持部60へ流入せることが可能となる。したがって、溶湯保持部60内の溶湯の清浄度を高めて高品質に保持することができ
、不純物の除去作業が簡便化されて作業効率が向上する。
【0043】
また、溶解室20の加熱板40の上側に加熱板40上の溶解材料
に向けて第2加熱バーナー55を配置すれば、
溶解効率をより高めるとともに、未溶解や半溶解の材料の発生をより効果的に防止することができる。
【0044】
さらに、溶湯保持部60と連通するように汲出部80を配設し、汲出部80に溶湯Mを保温するための補助ヒーターを設けることで、溶湯Mを燃焼させずに保温可能となるため、溶湯の酸化が抑制されてメタルロスを減少させることに加え、溶湯の温度制御が容易となるとともに、加熱バーナーの負担を軽減させて燃費を低減させることが可能となる。
【0045】
なお、実施例で述べたように、溶湯保持部60と連通し溶湯Mを貯留して保持バーナー95により溶湯Mを保温する溶湯保持室90を設ければ、多量の溶湯Mを貯留することが可能となるとともに、多量の溶湯が貯留された場合でも溶湯保持部60と溶湯保持室90の双方で溶湯M
を加熱して効率よく保温することができ、操業中の燃費を低減させることができる。
【0046】
また、溶湯保持室90を区画する溶解室20側の隔壁部75Aに、下部に溶湯保持部60と連通する溶湯連通部76Aが形成されているため、不純な溶湯が溶湯Mの上面M1に集積されてクリーンな溶湯Mのみを隔壁部75A下部の溶湯連通部76Aを介して溶湯保持室90へ流入せることが可能となり、溶湯保持室内の溶湯の清浄度を高めて高品質に保持することができ不純物の除去作業が簡便化されて作業効率が向上する。加えて、隔壁部75A上部に溶湯保持室90の保持バーナー95の排ガスを溶解室20へ流通する第2排ガス流路77Aが形成されているため、溶湯保持室90からの排ガスが炉全体に流通させて加熱板40上の溶解材料を補助的に予熱することが可能となり、加熱バーナーの負担を軽減させて燃費の向上を図ることができる。
【0047】
さらに、溶湯保持室90と連通するように汲出部80Aを配設し、汲出部80Aに溶湯Mを保温するための補助ヒーターを設けることで、溶湯Mを燃焼させずに保温可能となるため、溶湯の酸化が抑制されてメタルロスを減少させることに加え、溶湯の温度制御が容易となるとともに、加熱バーナーの負担を軽減させて燃費を低減させることが可能となる。
【0048】
なお、本発明の金属溶解炉は、上記実施例で述べた構成に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を付加して実施することができる。例えば、実施例では、溶解材料保持部材をしてアルミナを塗布したステンレス材(耐熱鋳鋼)からなる筒状体としたが、これに限らず、炭化硅素(SiC)や黒鉛混合物を使用してもよいし、多孔材もしくは網状材もしくは桟材のいずれかによって形成してもよい。
【0049】
また、第1及び第2実施例では、平板状の加熱板を用いたが
、略U字形状の加熱板を使用してもよい。同様に、
図5〜図9の例で平板状の加熱板を用いることも可能である。