(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングの外部の周囲環境への前記第1の音響容積の出口が、前記テレビジョンが実質的に水平な面に置かれた場合に実質的に下方向を向く請求項1に記載のテレビジョン。
前記ハウジングが、厚さ約200mm未満の、動画像が投影される前記フラットパネルディスプレイデバイスの面に実質的に垂直な方向の厚さを有する請求項1に記載のテレビジョン。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aおよび
図1Bは、後に続く図のうちの一部を理解する際に有用ないくつかの幾何学的物体を示す。
図1Aは、2つの導波路6および7の等角図である。導波路6および導波路7は、Y−Z平面において長方形の断面を有し、Y方向の寸法とZ方向の寸法のどちらよりも長いX方向の寸法を有する構造として示されている。導波路6のY−Z平面における面積寸法(area dimension)(以降「面積寸法」)はAであり、Y軸に沿った長さ寸法はhである。本明細書中で、面積寸法の変化に言及することがある。対応する図において、面積の変化は、Z方向の寸法を一様に保ったままでのY方向の寸法の変化によって示される。したがって、例えば、2Aの面積寸法を有する導波路7は、Y軸に沿った長さ寸法hを2倍して2hにすることによって対応する図に示される。
図1Bは、
図1Aの導波路を、X−Y平面における断面として示し、いくつかの追加的な要素を含む。別途明確に指定される場合を除いて、以降の図の導波路は、X方向の寸法を最も長い寸法とするX−Y平面における断面として示される。別途明確に指定される場合を除いて、「長さ」とは、導波路を通る音響経路(acoustic path)の長さを指す。導波路は屈曲または湾曲していることが多いので、長さは、導波路を組み込むデバイスのX方向の寸法よりも長くすることができる。概して、音響導波路(acoustic waveguide)は、少なくとも1つの開放端18を有し、かつ閉端11を有する。音響ドライバ(acoustic driver)10は、概して、示されるように閉端11に取り付けられるが、破線によって示されるように壁13のうちの1つに取り付けることができる。以降の図においては、音響ドライバは、閉端11に取り付けられるものとして示される。
【0015】
図2は、第1の導波路組立体100を示す。音響ドライバ10は、導波路の動作の周波数範囲で低損失であり、好ましくは実質的に無損失である導波路12Aの一端に取り付けられる。導波路12Aは、断面積Aおよび有効な音響的長さ(acoustic length)lを有する。導波路は、主として、物理的な長さに末端効果補正(end effect correction)を足したものである導波路の有効な音響的長さによって決まる調整周波数を有する。末端効果補正は、推定技術を用いて、または経験的に決定され得る。簡単にするために、図において、長さlは、物理的な長さとして示され、用語「長さ」は、有効な音響的長さをいう。導波路12Aは、lAによって与えられる容積を有する。
【0016】
図3Aは、第2の導波路組立体を示す。音響ドライバ10は、導波路の動作の周波数範囲で低損失であり、好ましくは実質的に無損失である導波路12Bに結合される。導波路は、物理的な長さβlおよび断面積βAを有し、ここで、βは係数<1である。導波路12Bの容積は、β
2lAである。開口34によって導波路12Bに音響的に結合されているのは、音響容積(acoustic volume)またはチャンバー22である。チャンバー22の容積はlA−β
2lAであり、したがって、導波路12Bの容積にチャンバー22の容積を足したものは
図2の導波路12Aの容積と同じである。チャンバー22の効果は、導波路12Bが、より短い物理的な長さを有するにもかかわらず
図2の導波路12Aと本質的に同じ調整周波数を持つことである。
図3Aの導波路の利点は、(以下で、ヘルムホルツ共鳴器の検討において、並びに
図6Aおよび
図6Bの検討において説明されている場合を除いて)チャンバー22が正しい容積寸法(volume dimension)を有する限りチャンバー22が多くの形状であり得ることである。したがって、例えば、
図3Bに示されるように、チャンバー22の壁は、導波路12Bの壁を形成する緩やかな曲面31を形成し得る。緩やかな湾曲を有する導波路は、より急激に湾曲するかまたは方向が変化する導波路よりも、生じる乱流(turbulence)および望ましくない雑音が少なく、かつ空間を効率的に使用する。意図した容積が維持される限り、チャンバー22の寸法は、以下で
図6Aおよび
図6Bの検討で検討される場合を除いて幅広い値を持ち得る。
【0017】
図3Cおよび
図3Dは、Y−Z平面における導波路組立体の断面を示し、したがって、x方向の寸法(導波路の最も長い寸法)は図の紙面に対して垂直である。
図3Cの導波路において、チャンバー22は、チャンバーが導波路を部分的にまたは完全に覆うように、導波路12BのYおよびZ方向の寸法よりも長いY方向およびZ方向の寸法を有する。必要に応じて、例えば、製造を容易にするために、仕切り46または仕切り48またはそれらの両方を、導波路12Bまたはチャンバー内にそれぞれ配置することができ(したがって、2つの導波路12B−1および12B−2、または2つのチャンバー22Aおよび22B、またはそれらの両方が存在し)、仕切りがない場合と同じ音響的結果を得ることができる。視線52、54、および56が、以下で参照される。高い周波数のピークをなくすために、
図3Aの導波路およびすべてのそれ以降の図の導波路には特許文献4による音響的に抵抗性のある材料(acoustically resistant material)が少量存在するものとすることができる。
【0018】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、導波路の断面積および長さを削減し、かつ導波路にチャンバーを追加するという概念は、導波路の一部、例えば、段差のある導波路の段差部分、および例えば段差のある導波路の導波路全体に適用され得る。
図4Aは、特許文献5による段差のある導波路を示す。音響ドライバ10は、段差のある導波路12Cの一端に取り付けられている。段差のある導波路12Cは、導波路の長さに沿って4つのセクション24〜27を有し、セクション24は音響ドライバに隣接し、セクション27は導波路の開放端18に隣接する。これらのセクションは、実質的に等しい長さlを有する。セクション24は、断面積A
1を有し、セクション25は、A
1よりも大きな断面積A
2を有し、セクション26は、断面積A
3を有し、セクション27は、断面積A
3よりも大きな断面積A
4を有する。セクション24の容積V
1はA
1lであり、セクション25の容積V
2はA
2lであり、セクション26の容積V
3はA
3lであり、セクション27の容積V
4はA
4lである。一般的な導波路において、環境(environment)に面する音響ドライバの面(以降、外面)からの放射は、導波路内を向いた音響ドライバの面からの放射とは位相が外れている。導波路の有効な音響的長さに等しい波長で、導波路からの放射と音響ドライバの外面からの放射とは弱め合うように干渉し、導波路および音響ドライバの合成された放射を減少させる。
図4Aによる導波路系において、導波路からの放射は、音響ドライバの外面からの放射よりも大きく、したがって、導波路および外面からの合成された放射のディップが除去される。一実施形態、すなわち
図4Aの導波路組立体において、A
1=A
3、A
2=A
4、および
【0020】
である。
図4Aの導波路組立体の動作は、特許文献5に記載されている。
【0021】
図4Bは、導波路に音響的に結合されたチャンバーを使用し、したがって、対応する一般的な導波路よりも導波路が短い導波路系を示す。音響ドライバ10は、導波路12Dの一端に取り付けられている。導波路12Dおよび以降の図の導波路は、導波路の動作の周波数範囲で低損失であり、好ましくは実質的に無損失である。導波路12Dは、
図4Aの導波路のセクション24およびセクション26の断面積A
1に等しい断面積を有する。
図4Aのセクション25およびセクション27は、それぞれセクション25´およびセクション27´によって置き換えられている。セクション25´およびセクション27´は、物理的な長さβlおよびβA
2に等しい断面積A´
2を有し、ここで、βは0<β<1である数である。この例において、
【0023】
であり、したがって、
図4Bの導波路は、導波路の長さ全体で一様な断面積Aを有する。セクション24´およびセクション26´は、Aである断面積およびlAである容積(それぞれV
1およびV
3)を有する。セクション25´およびセクション27´は、A´
2である断面積を有し、かつβ
2A
2lである容積(それぞれV´
2およびV´
4)を有する。導波路の音響ドライバ端からの距離d
1(ここで、l<d
1<l+βlであり、一例において
【0025】
である)で、チャンバー22が、開口34を通じて導波路に音響的に結合されている。導波路の音響ドライバ端11からの距離d
2(ここで、l+βl+l<d
2<l+βl+l+βlであり、一例において
【0027】
である)で、チャンバー29が、開口38を通じて導波路に音響的に結合されている。チャンバー22は、V´
2+V
C=V
2であるように、A
2l(1−β
2)である容積寸法V
Cを有し、チャンバー29は、V´
4+V
D=V
4であるように、A
4l(1−β
2)である容積寸法V
Dを有し、したがって、
図4Bの組立体によって占められる総容積と、
図4Aの組立体によって占められる総容積とは、実質的に等しい。上述のように、チャンバーが正しい容積を有する限り、容積は、以下で
図6Aおよび
図6Bに示されるとともに本明細書の対応する箇所で検討される場合を除いて、チャンバーの任意の形状、向き、または長さ寸法を持ち得る。
【0028】
開口34または開口38は、その開口がそれぞれチャンバー22またはチャンバー29とともに、導波路系の動作に不都合な音響的影響がある可能性があるヘルムホルツ共鳴器を形成し得るような面積を持つ可能性がある。ヘルムホルツ共鳴器は、例えば、非特許文献1に記載されており、このウェブページの写しを付録として添付する。しかし、開口34およびチャンバー22の寸法は、ヘルムホルツ共鳴周波数が、導波路系の動作に不都合な影響を与えないか、または導波路の動作周波数範囲外である周波数であるように、選択され得る。ヘルムホルツ共鳴周波数が導波路の動作周波数外であるように寸法を選択することは、それぞれチャンバー22およびチャンバー29に対する開口34および開口38の幅をそれらのチャンバーの幅に近づける(例えば、チャンバーの幅の50%よりも大きくする)ことによって行われ得る。
【0029】
図4Bの導波路12Dの調整は、
図4Aの導波路12Cの調整と本質的に同じである。
図4Bのセクション24´およびセクション26´は、
図4Aのセクション24およびセクション26と同じ、導波路の調整に対する効果を有する。
図4Bのセクション25´およびセクション27´は、
図4Bのセクション25´およびセクション27´の物理的な長さが(β<1であるために)
図4Aのセクション25およびセクション27の物理的な長さlよりも短いβlであるにもかかわらず、
図4Aのセクション25およびセクション27と同じ、導波路の調整に対する効果を有する。
【0030】
上で開示された図は、網羅的ではなく、例示的であるに過ぎず、多くの変更形態があり得る。例えば、導波路は、5つ以上のセクションを有することができ、セクション25´およびセクション27´などのセクションは、異なる長さを有することができ、セクション25´およびセクション27´などの容積寸法は、異なる容積寸法を有することができ、V
3およびV
4などの組み合わされた容積寸法は、V
2に等しくないものとすることができ、以下から分かるように、チャンバーの異なる構成があり得る(例えば、以下で説明されるように、異なる数のチャンバーが存在することができ、それらのチャンバーが異なる容積寸法、形状、および導波路に沿った配置を有することができる)。
【0031】
より短い長さの導波路を用いて同じ調整周波数を提供することに加えて、
図4Bの導波路系は、対応する波長が導波路の有効な長さに等しい周波数で、音響ドライバと導波路との合成された出力のディップを除去する点で
図4Aと同じ利点を有する。これらの周波数において、導波路の音響出力は、音響ドライバによって環境に直接放射される音響出力よりも大きく、したがって、導波路および音響ドライバからの合成された放射は、一般的な導波路系からの合成された出力よりも大きい。また、
図4Bの導波路組立体は、
図4Aの導波路組立体よりも、急な断面積の不連続部分で起こり得る風雑音(wind noise)を生じにくい。
【0032】
図4Cは、
図4Bの導波路組立体の変更形態を示す。
図4Cの導波路組立体において、
図4Bのチャンバー22が、チャンバー22の容積に等しい総容積を有するチャンバー22Aおよびチャンバー22Bによって置き換えられる。チャンバー22Aへの入り口は、音響ドライバから
【0036】
に配置され、かつチャンバー22Bへの入り口34Bは、音響ドライバから
【0040】
に配置される。
図4Bのチャンバー29は、チャンバー29の容積に等しい総容積を有するチャンバー29Aおよびチャンバー29Bによって置き換えられる。チャンバー29Aへの入り口38Aは、音響ドライバから
【0044】
に配置され、チャンバー29Bへの入り口38Bは、音響ドライバから
【0048】
に配置される。チャンバー22Aおよびチャンバー22Bの導波路組立体の調整の効果は、
図4Bのチャンバー22の効果と実質的に同じであり、チャンバー29Aおよびチャンバー29Bの導波路組立体の調整の効果は
図4Bのチャンバー29の効果と実質的に同じであり、波長が導波路の有効な長さに等しい周波数で導波路組立体の出力のディップを軽減する同じ有益な効果を有する。概して、複数のチャンバーを使用することは、調整周波数が、
図4Aの導波路のような等価な段差のある導波路の調整周波数に、より正確に一致することを可能にする。
【0049】
図4A、
図4B、および
図4Cの態様は、組み合わされ得る。例えば、
図4Dの導波路組立体は、距離d
1において導波路12Eの第1のセクションに結合されたチャンバー32を有し、ここでl<d
1<l+βlであり、かつ段差のあるセクション27は距離d
2=l+βl+lで始まる。
図4Eの導波路組立体は、距離d
1=lで始まる段差のあるセクション25を有する導波路12Fを有し、かつ距離d
2>l+l+lにチャンバー29を有する。
図4A、
図4B、および
図4Cの態様は、
図4Fに示されるように、特許文献5の
図1に示された種類の先細の導波路にも実装され得る。先細の導波路で使用するために、チャンバーのサイズと、導波路からチャンバーへの開口の位置とが、モデル化によって決定され得る。
図4Fの導波路などの実質的に連続的な壁を有する導波路のような導波路は、急な断面積の不連続部分で起こり得る風雑音を生じにくいものとすることができる。
図4Gの導波路組立体は、
図4A〜
図4Eの要素を組み込む実際の導波路組立体の概略図である。
図4Gの実装は、6つの2.25インチ音響ドライバ10A〜10Fを有し、かつ示されるような寸法を有する。
【0050】
図5Aは、空間を効率的に使用しながら、より急激な湾曲によって起こるよりも少ない乱流をもたらす導波路の壁も形成する複数の曲面31Aおよび曲面31Bを形成するチャンバー22およびチャンバー29の壁を示す、
図4Bで概略的に示された導波路組立体の実装を示す。
図5A中の参照番号は、
図4Bの対応する導波路系において同様に付番された要素を示す。
図5Bは、チャンバー29および段差のあるセクション25の壁を示す、
図4Eで概略的に示された導波路の実装を示す。
図5B中の参照番号は、
図4Eの対応する導波路系において同様に付番された要素を示す。
【0051】
図6Aおよび
図6Bは、導波路組立体の別の特徴を示す。
図6Aにおいて、導波路12Bは、開口34を通じてチャンバー22に音響的に結合されている。音波は、開口34に入り、音波が音響境界(acoustic boundary)に行き着くまでいくつかの音響経路、例えば、経路66Aに沿ってチャンバー22内に伝播する。音波が伝播する多くの音響経路が存在する可能性があるが、簡単にするために1つだけが示されている。
【0052】
概して、全音響経路の長さが、導波路12Bの有効な音響的長さの4分の1よりも大幅に短くなるようにチャンバーを構成することが望ましい。音響経路うちの1つの長さが導波路の有効な音響的長さの4分の1よりも大幅に短くない(例えば、10%よりも短くない)場合、出力のディップが、特定の周波数で発生し得る。一例において、
図4Bの導波路組立体と同様の導波路組立体は、44Hzに調整され、したがって、その導波路組立体は、1.96m(6.43フィート)の有効な音響的長さを有する。1851.1cc(114立方インチ)の容積を有するチャンバー22は、閉端11から39.6cm(15.6インチ)の位置で、導波路12Bに結合される。チャンバー22は、導波路組立体の有効な音響的長さの
【0054】
である40.6cm(16インチ)の長さを有する音響経路66Aを有する(
図6A参照)。周波数応答の望ましくないディップは、約200Hzで発生し得る。閉端11からのチャンバー22の距離などの要因に依存して、周波数応答のディップは、音響経路66Aの長さが導波路12Bの有効な音響的長さの
【0056】
である25.4cm(10インチ)程度に短いときに発生し得る。
【0057】
周波数応答のディップをなくす1つの方法は、音響経路66Aが導波路系の有効な音響的長さの10%(この場合は19.6cm)よりも短い長さを有するようにチャンバー22を再構成することである。しかし、実際の導波路において、音響経路66Aが導波路系の有効な音響的長さの10%未満の長さを有するように、チャンバーを再構成することは難しい可能性がある。
【0058】
周波数応答のディップをなくす別の方法は、66Aなどの音響経路の長さを周波数応答のディップを引き起こさない長さに変える構造をチャンバー22に追加することである。
図6Bは、音響経路66Bの長さが50.8±1.3cm(20±0.5インチ)になるようにバッフル42をチャンバーに挿入した
図6Aの導波路系を示す。
図6Bの導波路系は、
図6Aの導波路系の周波数応答のディップがない。ディップが起こり得る経路の長さの寸法と、ディップが起こらない経路の長さの範囲と、導波路の端部に対するチャンバーの開口の配置に関する経路の長さの差異(variance)は、モデル化または実験によって決定され得る。
図6Aおよび
図6Bに示された状況が起こる場合、概して、許容範囲(ディップを起こさない経路の長さの範囲)がより広いので、経路の長さを短くすることが望ましい。上記の例においては、25.4cmよりも短い任意の長さが好適であるが、より長い音響経路の許容範囲はたった±1.3cmである。
【0059】
図7Aおよび
図7Bは、上記の図において概略的に示された特徴を有する導波路組立体を組み込んでいるオーディオ再生デバイスの実際の実装を示す。
図7Aおよび
図7Bの要素は、上記の図の同様に付番された要素に対応する。
図7Aおよび
図7B中の破線は、チャンバー22およびチャンバー29の境界を示す。
図7Aは、オーディオ再生デバイスのX−Z平面における断面である。導波路組立体12Bは、
図3Cの導波路組立体の形態を有し、その断面は、
図3Cの視線52または視線54に対応する視線に沿って切り出され、視線52および視線54に対応する視線に沿って切り出された断面は、実質的に同一である。2つの導波路を有する導波路組立体をもたらす(この図には示されていない
図3Cの)仕切り46が、存在する。
図7Bは、
図3Cの視線56に対応する視線に沿って切り出されたX−Z平面における断面である。この図には示されていない(上記の図の)音響ドライバ10が、導波路12Bに結合されている。区画58および区画60は、導波路組立体に適さない高周波音響ドライバ(図示せず)のためのものである。
図7Aおよび
図7Bの実装において、チャンバー22の容積V
1は約1861cm
3(114立方インチ)であり、チャンバー29の容積V
2は約836cm
3(51立方インチ)であり、導波路の物理的な長さは約132.1cm(52インチ)であり、チャンバー22への開口34の中心は閉端11から約39.6cm(15.6インチ)に位置し、かつ開口34の幅は約3.8cm(1.5インチ)であり、チャンバー29への開口38の中心は導波路の開放端18から約11.7cm(4.6インチ)にあり、かつ開口38の幅は約3.8cm(1.5インチ)であり、導波路は約44Hzに調整されている。
【0060】
図7Cの導波路組立体は、2つの低周波音響ドライバ10Aおよび10Bを有する。
図7Cの要素は、上記の図の同様の参照番号を付された要素に対応する。導波路12の第2のセクションは、開口34Aおよび開口34Bによって、その第2のセクションに、2つのチャンバー22Aおよび22Bをそれぞれ結合している。導波路12の第4のセクションは、開口38によってその第4のセクションに単一のチャンバー26を結合している。導波路12の壁は、チャンバー22Aおよびチャンバー22Bの(この応用例では、以下の実質的に同じ外形を壁として含む)壁を形成し、チャンバー22Aおよびチャンバー22Bを実質的に囲む。チャンバー22Aおよびチャンバー22Bは、導波路のための大きな回転半径を設け、より小さな回転半径によって、または急激な屈曲によって引き起こされる乱流よりも乱流を減らすために「滴」形をしている。チャンバー26は、電子機器コンポーネント36に都合のよい場所を提供する、空気の速度の遅い大きなチャンバーを提供する。速度の遅い空気は、電子機器36にぶつかったときに乱流を生じにくい。チャンバー26の不規則で複数の湾曲がある形状は、組立体が小型のデバイスの筐体34に効率的に収まることを可能にする。高周波音響ドライバ33は、導波路12内に放射しない。
【0061】
図7Dの導波路組立体は、
図4Fに概略的に示された導波路の実際の実装である。
図7Dの要素は、
図4Fの同様の参照番号に対応する。
【0062】
図8に目を向けると、テレビジョン110などの画像表示装置は、フラットパネルディスプレイデバイス112を含む。テレビジョン110は、ビデオチューナを含むかまたは含まない可能性がある(後者の場合、ビデオチューナは、例えば、ケーブルまたは衛星受信機内にある)。別の種類の画像表示装置は、例えば、ローカルコンピュータまたはネットワークにつながれたコンピュータからの画像を表示するディスプレイである。本出願で使用されるフラットパネルディスプレイは、少なくとも以下のディスプレイの種類、すなわち、プラズマ、LCD、有機発光ダイオード、発光ダイオード、エレクトロルミネッセント、表面伝導型電子放出素子、電界放出、コレステリック、および電気泳動を含む。本出願で使用されるフラットパネルディスプレイは、CRT型ディスプレイを含まない。ディスプレイデバイス112は、動画像、静止画像、および他の種類のグラフィカルな情報を表示することができる。テレビジョン110は、フラットパネルディスプレイデバイスを指示するハウジング114と、テーブルの上などの水平な面上にテレビジョン110を支持するスタンド116と、を含む。あるいは、スタンド116は、テレビジョン110から取り外される可能性があり、テレビジョン110は、ハウジング114の裏側のVESAマウントを用いて壁に取り付けることができる。
【0063】
図7Dおよび
図9を参照すると、導波路12(音響容積)は、実質的にハウジング114内およびディスプレイデバイス112の裏側に位置する。導波路12は、ハウジング114とは別々とすることができる物理的構造体である。代替的に、ハウジング114の一部は、導波路112の一部とすることができる。音響ドライバの3つの組10A/10D、10B/10E、および10C/10Fは、導波路12に音響エネルギーを与えるために使用される。少なくとも2つのドライバが、それらのドライバの機械的振動が実質的に相殺されるように使用されることが好ましい。奇数個のドライバ(例えば、3個、5個、7個)は、それらのドライバからの機械的振動エネルギーが実質的に相殺され、かつ音響エネルギーが足し合わされるようにそれらのドライバが構築され、配置される限りにおいて使用され得る。
【0064】
各音響ドライバの第1の面は、音波が出口18で導波路から放射されるように、導波路12に音波を放射する。各音響ドライバの第2の面は、導波路12を含まないダクト(図示せず)などの経路を通じて環境に音波を放射する。これらのダクト(ドライバ10A、ドライバB、およびドライバCのために1つ、並びにドライバ10D、ドライバE、およびドライバFのために1つ)は、それぞれ、ダクトの出口、そしてハウジング114の底部のルーバ117を通じて音響エネルギーを放出する。ルーバ117は、ダクトを出て行く低周波音響エネルギーにほとんど、ないしはまったく影響を与えない。これは、ダクト内の、ルーバ117を行き来する空気の速度が比較的遅いためである。しかし、ルーバ117は、出口18における空気の速度が比較的速く、音響雑音がルーバ117によって引き起こされるので、導波路12の出口18を覆わないことが好ましい。導波路12の出口およびダクトの出口における空気の流れは、画像が投影されるディスプレイの面に実質的に平行であることが好ましい。この例において、出口がハウジング114の底部に沿った位置にあるが、これらの出口のうちの1つまたは複数は、ハウジング114の片方もしくは両方の側部に沿った位置に、および/またはハウジング114の頂部に沿った位置にあるものとすることができる。これらの出口のうちのいずれかをハウジング114の裏側から外向きに向けることは、ハウジング114の裏側が壁の近くに配置されるときにシステムの性能を低下させ、および/またはテレビジョンに振動を生じる可能性があるので好ましくない。
【0065】
導波路12にエネルギーを与えるために1つの大きな音響ドライバの代わりに2つ以上のより小さな音響ドライバ(この例においては6つ)を使用することによって、ディスプレイデバイスの表示面に対して垂直方向のドライバ/導波路組立体の厚さが大幅に削減され得る。したがって、各音響ドライバの周りを含むコーン組立体の外径は、好ましくは約85mm未満であり、より好ましくは約75mm未満であり、最も好ましくは約65mm未満である。ドライバが比較的小さなコーン/周りの直径を有するときに各ドライバの音響出力を強めるために、各音響ドライバに関して比較的長いピークツーピークストローク(peak-to-peak stroke)を有することがやはり好ましい。各音響ドライバの最大のストロークのピークツーピーク値は、好ましくは少なくとも約15mm、より好ましくは少なくとも約18mm、最も好ましくは少なくとも約21mmである。これらは、ドライバに関する絶対的な最大の偏位(excursion)の限界である。
【0066】
第2の音響容積(例えば、22A)は、導波路に音響的に結合され、導波路の出口18からの放射と音響ドライバの第2の面からの放射とが弱め合うように干渉する波長で音響導波路12から放射される音波の振幅を大きくする。ドライバのすべては、実質的に同時に実質的に同じ入力オーディオ信号を受信することが好ましい。各組のドライバは、各組から導波路12に与えられた音響エネルギーが足し合わされ、かつ各ドライバの組からの振動(機械的)エネルギーが実質的に相殺されるように互いに対向する位置に置かれる。これは、各ドライバの組の運動する面(moving surface)が互いに向かって動くか、互いから離れるように動くか、または動かないために起こる。
【0067】
各音響ドライバ10A〜10Fは、動画像が投影されるディスプレイデバイスの面に実質的に平行な方向に振動する。この例において、導波路12は、ハウジング114の外部の周囲環境(atmosphere)への出口18を1つだけ有する。代替的に、周囲環境への2つの出口を有する導波路が、使用され得る。導波路12の出口18は、テレビジョン110が実質的に水平な面(図示せず)に置かれるとき、実質的に下方向を向く。代替的に、導波路の出口は、上方向または横方向を向くことができる。ハウジング114は、好ましくは厚さ約200mm未満、より好ましくは厚さ約175mm未満、最も好ましくは厚さ約160mm未満である、動画像が投影されるディスプレイデバイス112の面に実質的に垂直な方向の厚さ118を有する。ディスプレイデバイス112の面は、好ましくは長さ約152.4cm未満、より好ましくは長さ約137cm未満、最も好ましくは長さ約117cm未満である対角線の寸法を有する、動画像が投影される部分を有する。
【0068】
図10は、
図7Dに示された導波路12と同様の導波路122で具現化された音響容積の別の例を開示する。導波路122も、6つの音響ドライバ120A〜120Fによって音響エネルギーを与えられる。上述のように、各音響ドライバの第1の面は、音波が出口124で導波路から放射されるように導波路122に音波を放射する。各音響ドライバの第2の面は、導波路122を含まない一組のダクト126,128を含む経路を通じて環境に音波を放射する。(ドライバ120D,ドライバ120E,ドライバ120Fのための)ダクト126ならびに(ドライバ120A,ドライバ120B,ドライバ120Cのための)ダクト128は、ハウジング114の底部のルーバ117を通じて音響エネルギーを放出する。この例において、それぞれが導波路122に音響的に結合され、導波路の出口124からの放射とダクト126およびダクト128からの放射とが弱め合うように干渉する波長で音響導波路122から放射される音波の振幅を大きくする4つの音響容積132A〜132Dが存在する。
【0069】
上で検討されたトランスデューサの構成を用いて上述のように導波路を組み込むことによって、かなりの音響出力が、ディスプレイデバイスに余計な振動をもたらすことなく、コンパクトな寸法のビデオディスプレイ内に一体化されたオーディオシステムから、少ない歪みで、低周波(例えば、約40Hzから約80Hzまで)で生成され得る。トランスデューサをそれらのトランスデューサが振動を機械的に相殺するように配列し、振動軸(vibration axis)が表示面の平面に平行であるようにそれらのトランスデューサの向きを定め、外側ハウジングとは別のハウジング内にオーディオ部分組立体の全体を組み込むことは、システムによって生成され得る音響エネルギーのレベルに比べて低いレベルの振動をディスプレイに伝える結果となる。外側ハウジングとは別のハウジングを使用することは、オーディオシステムがディスプレイを保持するフレームに弾性的に結合されることを可能にし、それによって、ディスプレイに結合される振動エネルギーをさらに削減する。2009年2月19日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる特許文献6は、音響導波路に関連する振動減衰技術を開示する。
【0070】
上述の一実施形態は、
図10の導波路122およびドライバ120A〜120Fを
図8〜
図9の表示装置110に取り付ける。各ドライバは、(a)約64.52mmの、周りを含むコーン組立体の外径と、(b)約21mmの最大ピークツーピークストロークと、(c)約7.62mmの、そのドライバの周りの外縁から最も近い他のドライバの周りの外縁までの距離とを有する。ディスプレイ110は、約117cmの視聴可能な対角線の寸法を有するLCDパネルを含む。ディスプレイ110は、約15cmの厚さである。約40Hzから約80Hzの間の、この実施形態の音響出力能力は、以下のようにして測定された。
【0071】
ディスプレイが、無響室内に配置された。測定マイクが、ビデオディスプレイの中心からの軸上の1メートルの距離に配置された。したがって、LCDパネルの視聴可能な対角線の寸法に対するこの距離の比は、約1/1.17または0.855である。Audio Precision System Two Dual Domainテストデバイス(AP)が、測定を行うために使用された。複合信号(complex signal)が、低周波でシステムを励振する(excite)ために構築された。この信号は、40Hzから80Hzまでの範囲にわたる周波数を有する正弦波信号の和から成っていた。厳密な周波数は、表1に与えられている。使用されたサンプルレートは、より大きな低周波分解能を得るために44.1kHzであった。信号の波高因子(crest factor)は、約2であった。上述のマルチトーン波形を用いて周波数応答および歪みの測定を行うために、APデバイスの最も速いテスト機能が使用された。導波路122およびドライバ120A〜120Fの音響応答が測定され、各基本周波数(fundamental frequency)が、40Hz〜80Hzの範囲内の平均最大システム出力SPLの測定値を構築するために合計された。
【0073】
同様に、すべての歪みおよび雑音の発生が、最大で600Hzまで測定された。すべての歪みおよび雑音の発生のエネルギーが、上記の測定されたシステム出力SPLに対する全体的な歪みレベルを判定するために合計された。テストされたデバイスに関して、測定された合計の平均最大システム出力SPLは、(約10%の合計の音響的歪みおよび雑音である)−20.6dBの合計の音響的歪みおよび雑音レベルにおいて90.3dBSPLであった。合計の平均最大システム出力SPLは、好ましくは少なくとも約80dBSPLであり、より好ましくは少なくとも約85dBSPLである(両方とも約10%の合計の歪みおよび雑音を有する)。合計の歪みおよび雑音は、好ましくは約30%未満、より好ましくは約20%未満である。上述の段落71で説明された比は、好ましくは少なくとも約0.7、より好ましくは少なくとも約0.8である。
【0074】
(システムに与えられる信号を電気的に高域通過フィルタリングすることによって)80Hz未満の出力が大幅に削減されるようにシステムの帯域幅を制限することによって、上で与えられたSPLおよび歪みの性能の数値を改善したシステムを構築することを試みることができた。よりはっきりと性能を比較するために、テスト帯域の両端における相対的な出力レベルも比較される。テストされた実施形態に関して、40Hzにおける音響出力は、80Hzにおける音響出力から10dBを超えて低下しなかった。40Hzにおける音響出力は、好ましくは80Hzにおける音響出力から20dBを超えて低下せず、より好ましくは80Hzにおける音響出力から13dBを超えて低下しない。
【0075】
上述の性能のレベルが、表示面の目に見える振動を引き起こすことなしに、フラットパネルディスプレイと一体化されたオーディオシステムから実現される。
【0076】
他の実施形態は、特許請求の範囲の中にある。