(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に基づくセラミック押出成形用潤滑剤(D)の含有量が0.1〜10重量%、セラミック粒子の含有量が10〜95重量%、バインダーの含有量が0.1〜10重量%、水の含有量が0.1〜85重量%である請求項5に記載のセラミック押出成形用坏土組成物(P)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)は、ポリエーテル(A)を含有してなる。
ポリエーテル(A)としては、活性水素を有する化合物にアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)を付加させてなるポリエーテル(A1)、(A1)のアルキルエーテル(A2)及び(A1)のアルキルエステル(A3)からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0008】
活性水素を有する化合物としては、水、1〜6価アルコール及び1級又は2級アミン等が挙げられる。
【0009】
水としては、水道水、工業用水、地下水、蒸留水、イオン交換水及び超純水等が含まれる。
【0010】
1価アルコールとしては、炭素数1〜22の1価アルコールが挙げられ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、イソヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、イソヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール、イソノニルアルコール、n−デシルアルコール、イソデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、イソウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、イソドデシルアルコール、n−トリデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、イソテトラデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−イコシルアルコール及びn−ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0011】
2価アルコールとしては、炭素数2〜22の2価アルコールが挙げられ、具体的には、 エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0012】
3価アルコールとしては、炭素数3〜22の3価アルコールが挙げられ、具体的には、グリセリン、1,2,4−トリヒドロキシブタン、2,3,4−トリヒドロキシペンタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,5−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシチルペンタン及び1,2,3−トリヒドロキシヘプタン等が挙げられる。
【0013】
4価アルコールとしては、炭素数5〜22の4価アルコールが挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトール及びジグリセリン等が挙げられる。
【0014】
5価アルコールとしては、炭素数5〜22の5価アルコールが挙げられ、具体的には、キシリトール及びアラビトール等が挙げられる。
【0015】
6価アルコールとしては、炭素数6〜22の6価アルコールが挙げられ、具体的には、ソルビトール、ジペンタエリスリトール及びマンニトール等が挙げられる。
【0016】
1級アミンとしては、炭素数6〜24の脂肪族1級アミン及び炭素数6〜24の芳香族1級アミン等が挙げられる。
炭素数6〜24の脂肪族1級アミンとしては、鎖状炭化水素基を有する炭素数6〜24の1級アミン及び環状炭化水素基を有する炭素数6〜24の1級アミン等が挙げられる。
鎖状炭化水素基を有する炭素数6〜24の1級アミンとしては、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン及びエチレンジアミン等が挙げられる。
環状炭化水素基を有する炭素数6〜24の1級アミンとしては、シクロヘキシルアミン及びシクロヘプチルアミン等が挙げられる。
炭素数6〜24の芳香族1級アミンとしては、ベンジルアミン、アニリン及びナフチルアミン等が挙げられる。
【0017】
2級アミンとしては、炭素数6〜24の脂肪族2級アミン及び炭素数12〜24の芳香族2級アミン等が挙げられる。
炭素数6〜24の脂肪族2級アミンとしては、鎖状炭化水素基を有する炭素数6〜24の2級アミン及び環状炭化水素基を有する炭素数6〜24の2級アミン等が挙げられる。
鎖状炭化水素基を有する炭素数6〜24の2級アミンとしては、ジブチルアミン、ブチルヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ヘキシルデシルアミン、オクチルドデシルアミン、ジドデシルアミン及びデシルテトラデシルアミン等が挙げられる。
環状炭化水素基を有する炭素数6〜24の2級アミンとしては、ジシクロヘキシルアミン及びジシクロヘプチルアミン及びN−メチルピペラジン等が挙げられる。
炭素数7〜24の芳香族2級アミンとしては、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン及びフェニルナフチルアミン等が挙げられる。
【0018】
活性水素を有する化合物のうち、セラミック押出成形用潤滑剤(D)の押出成形性の観点から好ましいのは、1価アルコール及び2価アルコールであり、更に好ましいのは炭素数1〜4の1価アルコール及び炭素数2〜6の2価アルコール、特に好ましいのは、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール及びジエチレングリコールである。
【0019】
AOとしては、炭素数2〜4のAOが挙げられ、具体的には、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、1,2−プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−イソブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びこれらのハロ置換体(エピクロロヒドリン等)等が挙げられる。
AOは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上のAOを併用する場合の付加形式は、ブロック状でもランダム状でもよいが、好ましいのはランダム状である。
AOのうち好ましいのは、EO単独、及びEOと炭素数3〜4のAOとの併用である。
【0020】
AOが、EOと炭素数3〜4のAOとの併用の場合のEOと炭素数3〜4のAOの重量比は、潤滑性の観点から、好ましくは20/80〜100/0であり、更に好ましくは30/70〜80/20、特に好ましくは40/60〜60/40である。
【0021】
ポリエーテル(A1)の具体例としては、メチルアルコールのEO/POランダム付加物、ブチルアルコールのEO/POランダム付加物、エチレングリコールのEO/POランダム付加物、プロピレングリコールのEO/POランダム付加物及びグリセリンのEO/POランダム付加物等が挙げられる。
【0022】
(A1)のアルキルエーテル(A2)としては、(A1)の水酸基中の一部又は全部の水素原子を、炭素数1〜22のアルキル基で置換したものが挙げられる。
炭素数1〜22のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコシル基及びn−ドコシル基等が挙げられる。
【0023】
(A2)の具体例としては、ポリオキシエチレン・オキシプロピレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレン・オキシプロピレンジブチルエーテル、ジブチルアミンのEO/POランダム付加物のモノメチルエーテル、グリセリンのEO/POランダム付加物のモノメチルエーテル及びグリセリンのEO/POランダム付加物のモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0024】
(A1)のアルキルエステル(A3)としては、(A1)と、炭素数1〜22のモノカルボン酸とのエステルが挙げられる。
炭素数1〜22のモノカルボン酸としては、炭素数1〜22の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数7〜22の芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
炭素数1〜22の脂肪族モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びドコサン酸等が挙げられる。
炭素数7〜22の芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、エチル安息香酸、桂皮酸及びp−ドデシル安息香酸等が挙げられる。
【0025】
(A3)の具体例としては、ポリオキシエチレングリコールモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリコールジオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリコールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリコールジステアリン酸エステル、グリセリンのEO付加物のモノオレイン酸エステル、グリセリンのEO付加物ジオレイン酸エステル、ジブチルアミンのEO/POランダム付加物のモノステアリン酸エステル及びグリセリンのEO/POランダム付加物のモノオレイン酸エステル等が挙げられる。
【0026】
ポリエーテル(A)は、重量平均分子量(以下Mwと略記する)が300以上10,000未満の成分(a1)と、Mwが10,000〜100,000の成分(a2)を含有してなる。
(a1)のMwは、潤滑性の観点から、好ましくは500〜9,500であり、更に好ましくは1,000〜9,000である。
(a2)のMwは、表面平滑性の観点から、好ましくは1,2000〜90,000であり、更に好ましくは15,000〜80,000である。
【0027】
ポリエーテル(A)のMwは、潤滑性及び表面平滑性の観点から、好ましくは1,000〜100,000であり、更に好ましくは5,000〜30,000、特に好ましくは7,000〜20,000である。
【0028】
成分(a1)、(a2)、ポリエーテル(A)、後述するポリエーテル(B)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「SC−8020」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK gel
SuperH4000」、「TSK gel SuperH3000」、「TSK
gel SuperH2000」[いずれも東ソー(株)製]
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 :10μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリエチレングリコール(TSK標準ポリエチレングリコール)[東ソー(株)製]
【0029】
ポリエーテル(A)は、表面平滑性の観点から、GPCにより得られるゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、Mwが10,000以上の領域に、2〜8個の変曲点を有するものが好ましく、2〜6個の変曲点を有するものが更に好ましい。
なお、変曲点とは、ゲルパーミエーションクロマトグラムの2次微分係数が、正から負又は負から正に符号を変える点をいう。
【0030】
ポリエーテル(A)中の成分(a1)の含有量は、(a1)と(a2)の合計重量に基づき、40〜95重量%であり、潤滑性の観点から、好ましくは50〜90重量%、更に好ましくは60〜80重量%である。
ポリエーテル(A)中の成分(a2)の含有量は、(a1)と(a2)の合計重量に基づき、5〜60重量%であり、潤滑性の観点から、好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。
【0031】
ポリエーテル(A)の製造方法としては、
[1]成分(a1)と(a2)を均一に混合する方法、
[2]成分(a1)と(a2)を同時に合成する方法、
等が挙げられる。
【0032】
成分(a1)と(a2)を均一に混合する方法としては特に制限はなく、撹拌機及び温度調節機能を備えた混合槽に、(a1)と(a2)を投入し、10〜100℃で均一になるまで撹拌して製造する方法が挙げられる。
(a1)、(a2)の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
活性水素を有する化合物を加圧反応容器に投入し、無触媒又は触媒の存在下に、AOを滴下し、1段階又は多段階で反応を行なう。反応温度は、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは70〜140℃である。反応圧力は、好ましくは0.001〜0.5MPaである。反応時間は、好ましくは2〜24時間であり、更に好ましくは3〜20時間である。触媒としては、アルカリ触媒(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)、アンモニウム塩触媒(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等)及びルイス酸触媒(三フッ化ホウ素及び四塩化錫等)等が挙げられる。触媒の使用量は、(A)の重量に基づき好ましくは0.01〜5重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。反応終了後、触媒は(A)中にそのまま残しておいてもよいし、吸着剤を用いて吸着・ろ過し除去する方法、酸又はアルカリで中和して触媒を不活性化する方法及び加熱分解して減圧除去する方法等により処理することができる。
【0033】
AOの付加反応終了後、活性水素を有する化合物に対して1.1〜3モル当量のアルカリ(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウム等)の存在下、活性水素を有する化合物に対して1〜2モル当量のアルキル化剤(例えばアルキルハライド及びアルキル硫酸等)を滴下してアルキル化反応を行うことにより、(A2)を製造することができる。
反応温度は好ましくは20〜100℃であり、反応圧力は好ましくは0.001〜0.2MPaであり、反応時間は好ましくは2〜30時間である。
【0034】
AOの付加反応終了後、1価脂肪酸とエステル化反応させることにより、(A3)を製造することができる。
エステル化反応は、反応温度は好ましくは100〜250℃であり、反応圧力は好ましくは0.001〜0.2MPa、反応時間は好ましくは1〜50時間である。
エステル化反応は、反応速度を向上させるために、生成する水を反応系外に除去させながら行うのが好ましい。
また、反応を促進させるために、触媒を使用することが好ましい。触媒としては、無機酸(例えば硫酸及び塩酸等)、有機スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等)及び有機金属化合物(例えばジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート、ビストリエタノールアミンチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等)等が挙げられる。触媒を使用した場合は、エステル化反応終了後必要により触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
【0035】
(a1)と(a2)を同時に合成する方法としては、上記の(a1)、(a2)の製造方法において、2種以上の活性水素を有する化合物を使用したり、活性水素を有する化合物にAOを多段階で反応させる方法等が挙げられる。
【0036】
本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)は、2種以上のポリエーテル(A)を併用してもよい。2種以上の(A)を含有させることで更に潤滑性が良好になる。
【0037】
本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)には、2種以上のポリエーテル(A)を含有する場合であって、2種以上の(A)の相溶性が低い場合や、セラミック押出成形用潤滑剤の粘度を調整するために、添加剤(C)を含有させることができる。
(C)としては、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの脂肪酸エステル並びに水等が挙げられる。
(C)のうち、潤滑剤の揮発性の観点から好ましいのは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの脂肪酸エステル並びに水である。
【0038】
本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)におけるポリエーテル(A)の含有量は、セラミック押出成形用潤滑剤(D)の重量に対して、好ましくは90〜100重量%であり、更に好ましくは92〜100重量%、特に好ましくは94〜100重量%である。
本発明のセラミック押出成形用潤滑剤における添加剤(C)の含有量は、セラミック押出成形用潤滑剤(D)の重量に対して、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0〜8重量%、特に好ましくは0〜6重量%である。
【0039】
本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)の製造方法としては特に制限はなく、例えば、撹拌機及び温度調節機能を備えた混合槽に、ポリエーテル(A)、必要により添加剤(C)を投入順序に制限なく投入し、10〜50℃で均一になるまで撹拌して製造する方法が挙げられる。
【0040】
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)は、本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)を含有してなる。
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)を構成する成分としては、本発明のセラミック押出成形用潤滑剤(D)以外に、セラミック粒子、バインダー及び水等が挙げられる。
【0041】
セラミック粒子及びバインダーとしては、公知のもの(特開2004−203705号公報、特開2002−37673号公報等)等が挙げられる。
水としては、水道水、工業用水、地下水、蒸留水、イオン交換水及び超純水等が含まれる。
【0042】
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)には、更に必要により公知の分散剤及び溶媒(特開2004−203705号公報、特開2002−37673号公報等)等を含有させてもよい。
【0043】
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)におけるセラミック粒子の含有量は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に対して、好ましくは10〜95重量%であり、更に好ましくは15〜90重量%である。
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)におけるバインダーの含有量は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に対して、好ましくは0.1〜10重量%であり、更に好ましくは0.2〜7重量%である。
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)におけるセラミック押出成形用潤滑剤(D)の含有量は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に対して、好ましくは0.1〜10重量%であり、更に好ましくは0.3〜7重量%である。
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)における水の含有量は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に対して、好ましくは0.1〜85重量%であり、更に好ましくは0.1〜45重量%である。
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)における分散剤の含有量は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に対して、好ましくは0.01〜5重量%であり、更に好ましくは0.02〜4重量%である。
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)における溶媒の含有量は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)の重量に対して、好ましくは0.5〜50重量%であり、更に好ましくは1〜45重量%である。
【0044】
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)の製造方法としては、公知の方法(特開2002−37673号公報等)等が適用でき、最初にセラミックス粒子とバインダー(メチルセルロース等)をドライブレンドし、更に水、分散剤、セラミック押出成形用潤滑剤等を加え、ニーダー等で混合する方法が挙げられる。なお、混合の際の温度は、好ましくは5〜50℃である。
【0045】
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)は、セラミック押出成形用坏土組成物(P)を押出成形した後、押出成形体を焼成してセラミック成形体を製造するために用いられるセラミック押出成形用坏土組成物として好適である。
【0046】
本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)を用いてセラミック成形体を製造する方法としては、公知の方法(特開2002−37673号公報等)等が適用でき、本発明のセラミック押出成形用坏土組成物(P)を押出成形して押出成形体を得る工程と、得られた押出成形物を焼成して焼成体を得る工程とを含むことが好ましい。
また、焼成体を得る工程には、焼成後に冷却操作が含まれ、更に必要により、焼成体を機械加工してセラミック成形体を得る工程を含んでもよい(この工程を含まない場合、焼成体がそのままセラミック成形体となる)。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
<製造例1>[成分(a1−1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、窒素導入管及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、出発物質であるブチルアルコール74重量部及び水酸化カリウム30重量部を投入し、撹拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、120℃に昇温後、滴下ボンベからEO2,600重量部とPO3,900重量部との混合液の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化がなくなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、成分(a1−1)を得た。
【0049】
<製造例2〜13、16〜28>[成分(a1−2)〜(a1−13)、(a’1−1)、成分(a2−1)〜(a2−12)の製造]
製造例1において、活性水素を有する化合物、EO、PO、BOの重量部を表1に記載のように変更した以外は製造例1と同様にして、成分(a1−2)〜(a1−13)、(a’1−1)、成分(a2−1)〜(a2−12)を得た。
【0050】
<製造例14>[成分(a1−14)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、窒素導入管及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、出発物質であるブチルアルコール74重量部及び水酸化カリウム30重量部を投入し、撹拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、120℃に昇温後、滴下ボンベからEO3,370重量部の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧が0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた後、引き続き120℃でPO5,050重量部の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、成分(a1−14)を得た。
【0051】
<製造例15>[成分(a1−15)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、製造例1で得られた(a1−1)6,574重量部、オレイン酸282重量部、硫酸46重量部を投入し、撹拌下120℃に昇温し、減圧条件下(0.001〜0.05MPa)で弱酸価が検出されなくなるまで反応させた。次いで25℃に冷却後、硫酸を吸着処理により除去して、成分(a1−15)を得た。
【0052】
<製造例29>[成分(a2−13)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、窒素導入管及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、出発物質であるブチルアルコール74重量部及び水酸化カリウム30重量部を投入し、撹拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、120℃に昇温後、滴下ボンベからEO12,170重量部の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧が0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた後、引き続き120℃でPO18,255重量部の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、成分(a2−13)を得た。
【0053】
<製造例30>[成分(a2−14)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、製造例1で得られた(a2−1)30,499重量部、オレイン酸282重量部、硫酸46重量部を投入し、撹拌下120℃に昇温し、減圧条件下(0.001〜0.05MPa)で弱酸価が検出されなくなるまで反応させた。次いで25℃に冷却後、硫酸を吸着処理により除去して、成分(a2−14)を得た。
【0054】
成分(a1−1)〜(a1−15)、(a’1−1)、成分(a2−1)〜(a2−14)、の組成、物性を表1、2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
<実施例1>[セラミック押出成形用潤滑剤(D−1)の作製]
撹拌機及び温度調節機能を備えた混合槽に、成分(a1−1)80重量部と成分(a2−1)20重量部を投入し、25℃で10分間撹拌して、ポリエーテル(A−1)からなるセラミック押出成形用潤滑剤(D−1)を得た。
【0058】
<実施例2〜31、比較例1〜4>[セラミック押出成形用潤滑剤(D−2)〜(D−31)、(D’−1)〜(D’−4)の作製]
実施例1において、成分(a1−1)、成分(a2−1)を、表3、4に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして、それぞれポリエーテル(A−2)〜(A−31)、(A’−1)〜(A’−4)からなるセラミック押出成形用潤滑剤(D−2)〜(D−31)、(D’−1)〜(D’−4)を得た。
なお、表3、4における(a’2−1)としては、ポリエチレンオキサイド「アルコックスL−11」[Mw=110,000、明成化学(株)製]を使用した。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
<実施例32>[セラミック押出成形用坏土組成物(P−1)の作製]
カオリン、タルク、シリカ、アルミナ粉末を、化学組成が、SiO
2:48〜52重量%、Al
2O
3:33〜37重量%、MgO:12〜15重量%になるように調整したコージェライト質セラミック原料100重量部、メチルセルロース「メトローズ(登録商標)90SH−30000」[信越化学工業(株)製}4重量部を、ハイシェアーミキサーでドライブレンドした後(25℃)、水25重量部、(D−1)4重量部を混合した水溶液を加えて更に混練し、セラミック押出成形用坏土組成物(P−1)を得た。
【0062】
<実施例33〜62、比較例5〜8>[セラミック押出成形用坏土組成物(P−2)〜(P−31)、(P’−1)〜(P’−4)の作製]
実施例32において、(D−1)4重量部をそれぞれ(D−2)〜(D−31)、(D’−1)〜(D’−4)4重量部に変更する以外は実施例32と同様にして、セラミック押出成形用坏土組成物(P−2)〜(P−31)、(P’−1)〜(P’−4)を得た。
【0063】
セラミック押出成形用坏土組成物(P−1)〜(P−31)、(P’−1)〜(P’−4)について、以下の方法で、潤滑性、表面平滑性、坏土の硬さを評価した。結果を表5〜7に示す。
【0064】
<潤滑性>
セラミック押出成形用坏土組成物(P−1)〜(P−31)、(P’−1)〜(P’−4)それぞれを、筒先に5×5mmの口金が付いた12mmφのピストンに詰め込み、押出速度6mm/sでピストンを押出し成形体を得る工程において、ピストンにかかる荷重を測定し、その最大値(MPa)を押出成形時の潤滑性とした。荷重の最大値が小さいほど、潤滑性に優れることを意味する。
【0065】
<表面平滑性>
上記の潤滑性の評価において、得られた押出成形物の表面を目視により観察し、以下の判断基準で表面平滑性を評価した。
[判断基準]
◎:完全に平滑
○:わずかに凹凸あり
△:多少の凹凸あり
×:かなり多くの凹凸あり
【0066】
<坏土の硬さ>
押出試験後、ピストン内に残った坏土を取り出し、その表面に測定用探針が垂直になるようにして、NGK式硬度計[日本ガイシ(株)製]を用いて硬度を測定した。
上記の方法で異なる箇所について10回測定し、この算術平均値を坏土の硬さとした。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】