(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記左右の中間壁は、上記ブームの外周に圧力を加えてブームを上下方向に圧縮して変形させる前の状態では、夫々左右の中間壁の外周面を、上下に位置する円弧壁の外周面相互を結ぶ線よりも窪ませておき、
上記ブームの外周に圧力を加えてブームを上下方向に圧縮して変形させるときには、左右の中間壁において膨出させる外周円弧面の頂部が、外見的には、ほぼ仕上り管壁の外周円弧面上に位置するように、外周に向けて膨出させることを特徴とする請求項1記載のアンテナの製造方法。
上記左右の中間壁は、上記ブームの外周に圧力を加えてブームを上下方向に圧縮して変形させる前の状態では、夫々左右の中間壁の外周面を、上下に位置する円弧壁の外周面相互を結ぶ線よりも窪ませておき、
上記ブームの外周に圧力を加えてブームを上下方向に圧縮して変形させるときには、左右の中間壁において膨出させる外周円弧面の頂部が、外見的には、ほぼ仕上り管壁の外周円弧面上に位置するように、外周に向けて膨出させ、
さらに、上記の中空管状のブームの管壁の外周面の内、上記左右の中間壁の外周面を除く他の外周面には、ブームの軸心方向に長い筋状を多数並設させた
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のアンテナの製造方法では、ブームの外周に上下から圧力を加えて、ブームを上下方向に圧縮して変形させるという極めて簡単な工程でもって、アンテナ素子の管壁に対して、上記ブームの内部に形成されている計8個の尖頭部を喰い付かせて、アンテナ素子の回動と、軸線方向の移動を堅固に阻止することを可能にする利点がある。
【0005】
しかし、ブームの上下から圧力を加え、その圧力を等分に左右に振り分けて上記ブームの内部に形成されている計8個の尖頭部を、均等にアンテナ素子の管壁に対して強く喰い付かせる為には、左右の側壁の形状に多彩な工夫を加える必要がある。
上記従来のアンテナの製造方法にあっては、圧力の左右等分配にのみ配慮したため、上記ブームの断面形状はほぼ六角形状になっていた。
斯かる断面形状がほぼ六角形状になるブームを好む需用者もいるが、昔からあるような断面形状がほぼ真円形状(
図3(B)に表れているように、鋼板を逆U字状に折り曲げて形成されたバンド部6を軽く締め付けた状態で、バンド部6の内面がブームの外周面に馴染む程度の円弧面になっている形状)になっているブームを好む需用者もいる。
【0006】
そこで出願人会社においては、左右の側壁の形状に工夫を加え、断面形状がほぼ真円形状になるアンテナの製造方法を種々試みてみたが、上記ブームの内部に形成されている計8個の尖頭部を、均等にアンテナ素子の管壁に対して強く喰い付かせる点の成功の確率が低く、さらには、天壁、底壁(上下の壁部)の変形率が大きくなって、そこにひび割れが入る等、試行錯誤をしてみたが、歩留まりが悪く、商品化し難い問題点があった。
【0007】
本件出願の目的は、上記課題を解決するもので、ブームの外周に上下から圧力を加えて、ブームを上下方向に圧縮して変形させるという極めて簡単な工程でもって、アンテナ素子の管壁に対して、上記ブームの内部に形成されている計8個の尖頭部を喰い付かせて、アンテナ素子の回動と、軸線方向の移動を堅固に阻止することを可能にするアンテナの製造方法及びアンテナを提供しようとするものである。
他の目的は、ブームの外周に上下から圧力を加えて、ブームを上下方向に圧縮変形することにより、アンテナ素子の管壁に対して、ブームに備えさせた計8個の尖頭部を食い付かせると共に、ブームの仕上がり外形を「略真円形状」に仕上げることのできるアンテナの製造方法及びアンテナを提供しようとするものである。
他の目的は、ブームの外周に上下から圧力を加えて、ブームを上下方向に圧縮変形する場合に、上記ブームの天壁及び底壁の変形率があまり大きくならないように構成して、天壁及び底壁に対するひび割れが発生しないようにしたアンテナの製造方法及びアンテナを提供しようとするものである。
他の課題、目的及び利点、効果等は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるアンテナの製造方法は、 中空管状のブーム20の管壁21には、中空管状のアンテナ素子19をブーム20の左右方向に向けて貫通させる為の二個一対の管壁孔55を設け、 上記二個一対の管壁孔55には中空管状のアンテナ素子19を貫通させ、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させることにより、上記ブーム20に対してアンテナ素子19を固着するようにしたアンテナの製造方法において、 上記中空管状のブーム20の管壁21は、 上部に位置させ、かつ、湾曲内面は下向きに形成し、それの曲率半径R1は左右の上円弧壁24、24の曲率半径R2よりも小さい曲率半径で、しかも、左右の上円弧壁24、24の壁厚T2よりも薄肉にしてある天壁23と、下部に位置させ、かつ、湾曲内面は上向きに形成し、それの曲率半径R5は左右の下円弧壁28,28の曲率半径R4よりも小さい曲率半径で、しかも、左右の下円弧壁28,28の壁厚T4よりも薄肉にしてある底壁29と、上記天壁23の左端部23aに上端部24aを連ねていて、曲率半径R2は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T2は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある左上円弧壁24と、上記天壁23の右端部23bに上端部24aを連ねていて、曲率半径R2は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T2は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある右上円弧壁24と、上記底壁29の左端部29aに下端部28bを連ねていて、曲率半径R4は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T4は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある左下円弧壁28と、上記底壁29の右端部29bに下端部28bを連ねていて、曲率半径R4は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T4は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある右下円弧壁28と、上記左上円弧壁24の下端部24bと左下円弧壁28の上端部28aとの間に位置し、両端26a,26bを夫々左上円弧壁24の下端部24bと左下円弧壁28の上端部28aに連ねていて、壁厚T3は、上記左上円弧壁24及び左下円弧壁28の壁厚T2,T4よりも薄肉にしてある左中間壁26と、上記右上円弧壁24の下端部24bと右下円弧壁28の上端部28aとの間に位置し、両端26a,26bを夫々右上円弧壁24の下端部24bと右下円弧壁28の上端部28aに連ねていて、壁厚T3は、上記右上円弧壁24及び右下円弧壁28の壁厚T2,T4よりも薄肉にしてある右中間壁26とを備え、 上記ブーム20の管壁21における左上円弧壁24の下端部24bと、左下円弧壁28の上端部28aと、右上円弧壁24の下端部24bと、右下円弧壁28の上端部28aとの夫々の円弧壁の内面24c、28cには、上下方向の相互間に間隙52を形成する状態でブーム20の軸心方向に長い二条のリブ36、37を並設させ、上記4つの円弧壁の各内面24c、28cに夫々配した二条のリブ36、37の断面形状は、夫々管内部21bに向けて突出させて膨出状に形成し、上記の上下方向相互間に間隙52を隔てた状態で配設されている二条のリブ36、37の間には上記二個一対の管壁孔55を備えさせると共に、その管壁孔55の直径D1は、上記左右の各二条のリブ36、37の相互間の間隙52よりも大きく設定してあって、上記左右の各二条のリブ36、37にあっては、上記二個一対の管壁孔55が形成された部分おいて部分的に遮断して、その遮断部分54の両側には各リブにつき2個の尖頭部58、58を形成し、上記4つの円弧壁の各内面24c、28cにおいて夫々上下方向に相対向する各二条のリブ36、37の相互間にある間隙52の外周側に位置する中間壁26の厚みT3は、上記ブーム20の天壁23及び底壁29を上下方向から加圧することにより、左右の中間壁26、26は相互に遠く離れ、かつ、上記上下方向に相対向するリブ36、37の間の間隙52は小さくなるように外周に向けて湾曲して張り出すように上記円弧壁より薄く形成しておいて、上記中空管状のブーム20に対するアンテナ素子19の固着は、上記ブーム20を上下方向から圧縮して、上記天壁23の曲率半径R1と、底壁29の曲率半径R5とを「仕上り管壁の曲率半径R6」に近づくように変形させると共に、壁厚T3が、上記4つの各円弧壁24,24,28,28の壁厚T2,T4よりも薄肉にしてある左右の中間壁26,26を外周に向けて膨出させる状態に湾曲させて、上記中空管状のブーム20の管壁21の断面形状を略真円形状に形成すると共に、 上記上下方向の各二条のリブ36、37に夫々形成してある各2個の尖頭部58、58を、上下方向の相互間の間隙が小さくなる方向で、かつ、上記左の円弧壁内面24c、28cに配した二条のリブ36、37に係わる4個の尖頭部58と、上記右の円弧壁内面24c、28cに配した二条のリブ36、37に係わる4個の尖頭部58との相互間が遠くなる方向に、夫々上記8個の尖頭部58を斜め方向に移動させて、夫々上記尖頭部58を、夫々対応するアンテナ素子19の周壁における両側の壁部80a、80aに夫々斜め方向から食い込む状態にして、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動を阻止するようにしたものである。
【0009】
また好ましくは、上記左右の中間壁26、26は、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させる前の状態では、夫々左右の中間壁26の外周面26dを、上下に位置する円弧壁24、28の外周面24d、28d相互を結ぶ線26eよりも窪ませておき、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させるときには、左右の中間壁26,26において膨出させる外周円弧面27の頂部27aが、外見的には、ほぼ仕上り管壁の外周円弧面33上に位置するように、外周に向けて膨出させるものであればよい。
【0010】
また好ましくは、上記左右の中間壁26、26は、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させる前の状態では、夫々左右の中間壁26の外周面26dを、上下に位置する円弧壁24、28の外周面24d、28d相互を結ぶ線26eよりも窪ませておき、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させるときには、左右の中間壁26,26において膨出させる外周円弧面27の頂部27aが、外見的には、ほぼ仕上り管壁の外周円弧面33上に位置するように、外周に向けて膨出させ、さらに、上記の中空管状のブーム20の管壁21の外周面には、ブーム20の軸心方向に長い筋状31を多数並設させたものであればよい。
【0011】
また好ましくは、請求項1で記載したアンテナの製造方法で得られるアンテナであればよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明における中空管状のブーム20の管壁21は、8つの特徴を有する壁部材(23、29、24、24、28、28、26、26)を備え、
上記中空管状のブーム20に対するアンテナ素子19の固着に際しては、上記ブーム20を上下方向から圧縮して、上記天壁23の曲率半径R1と、底壁29の曲率半径R5とを「仕上り管壁の曲率半径R6」に近づくように変形させると共に、
曲率半径が「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてある4つの各円弧壁24,24,28,28は夫々実質的に変形させることなく、アンテナ素子19に近い側24b、28aが、アンテナ素子19に近づくと共に、外周方向に向けて移動するように斜めに移動させ、そして、 壁厚が、上記4つの各円弧壁の壁厚よりも薄肉にしてある左右の中間壁26、26を外周に向けて移動させると共に、膨出させる状態に湾曲させて、
上記中空管状のブーム20の管壁21の断面形状を略真円形状に形成すると共に、
上記左右における各上下方向二条のリブ36、37に夫々形成してある各2個の、計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)を、夫々上下方向の相互間の間隙52が小さくなる方向で、かつ、上記左の壁部内面に配した二条のリブ36、37に係わる4個の尖頭部58と、上記右の壁部内面に配した二条のリブ36、37に係わる4個の尖頭部58との相互間が遠くなる方向に、夫々上記8個の尖頭部58を斜め方向に移動させて、夫々上記尖頭部58を、夫々対応するアンテナ素子19の周壁における両側の壁部80a、80aに夫々斜め方向から食い込む状態にして、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動を阻止するようしたものであるから、
上記ブーム20の外周に上下から圧力を加えて、ブーム20を上下方向に圧縮して変形させるという、極めて簡単な工程でもって、
第1に、アンテナ素子19の管壁80に対して、上記ブーム20の内部に形成されている計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)を喰い付かせて、アンテナ素子19の正確な固定、即ち、ブーム20に対するアンテナ素子19の回動と、軸線方向の移動を堅固に阻止することを可能にする効果があると同時に、
第2に、上記したように、アンテナ素子19の管壁80に対して、上記ブーム20に備えさせた計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)を喰い付かせるものであっても、ブーム20の仕上がり外形を「略真円形状」に仕上げ、商品価値を高める得る効果もある。その上、
第3に、上記4つの各円弧壁(24、24、28、28)は、予め曲率半径R2、R4を「仕上り管壁の曲率半径R6」と略同じように湾曲させてあり、しかも、上記天壁23と底壁29とを近づけるように加圧した場合に変形し難いように、上記天壁23と底壁29及び中間壁26、26の肉厚よりも夫々厚肉に形成してあるので、「ブーム20の外周に圧力を加えて、ブーム20を圧縮して変形させる工程」において、各円弧壁(24、24、28、28)の曲率半径R2,R4は変化することなく、上記ブーム20の上下に対して加えられる圧力を、上記ブーム20の内部に備えさせた計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)に確実に伝達し、アンテナ素子19の管壁80に喰い付かせることのできる特長がある。
このことは、天壁23の曲率半径R1と、底壁29の曲率半径R5を共に、予め大きくしておくことができ、上記ブーム20を上下方向から圧縮して、上記天壁23の曲率半径R1と、底壁29の曲率半径R5とを「仕上り管壁の曲率半径R6」に近づくように変形させる場合の変形率を小さくすることができる効果があり、これにより、天壁23と底壁29の変形に伴うひび割れを予め防止し、製品の歩留まり向上に効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1において、1は、マスト2によって支持されているアンテナ、例えば周知のUHF波の送受に利用される周知のアンテナを示す。アンテナ1において、20は中空管状のブーム、16は放射器、17は反射器、18は導波器を示し、これらはブーム20に対して装着されることにより一体化している。導波器18において19は、任意複数の中空管状のアンテナ素子で、ブーム20の軸心に対して直交する方向に向けて、夫々管壁21に任意所定の間隔で穿設された二個一対の管壁孔55を貫通した状態で固定されている。
3は、U字状の支持杆を示し、金具2aを介してマスト2に連結されている。支持杆3の両側の自由端3a、3aは、取付金具5、5を介してブーム20に着脱自在に連結してある。
【0015】
取付金具5は、
図3(B)に表われているように、鋼板を逆U字状に折り曲げて形成されたバンド部6と二つの支持杆添付部10とを一体的に備える。なお、バンド部6において、6aは膨出状に形成してあるリブを示し、バンド部6の内面における円弧の形状をブーム20の外周形状に対応させ、回動を自在にする為の曲面を維持する為の補強材である。
バンド部6の内懐部7の形状は、ブーム20の外径形状である略真円形状に対応させて円弧状にしあり、支持杆添付部10、10を締付けることによって内懐部7の内周面はブーム20の外周面21aに対して一体化し、支持杆添付部10、10を緩めることにより、ブーム20の円弧状の外周面21aは内懐部7の内周面からの圧接状態から解放され90度の範囲内で回動自在になる(
図2の折畳状態から、
図1の状態にできる)。8は周知の長孔を示し、ブーム20に螺合させてある(回り止用)螺子に対して90度の範囲内で回動方向に相対的な移動を可能にしてある。12は支持杆添付部10、10を締緩するためのボルトの頭を示す。
【0016】
なお、当分野においてアンテナ1は、
図1の状態でブーム20に対してアンテナ素子19を左右(水平方向)に突出させた状態で使用される場合が多い。しかし、アンテナ素子19を上下に向けた状態で使用される場合もある。従って、当業者は利用の形態によって上下、左右の呼び名を変更して用いている。このような事情から本件(特許請求の範囲、明細書、図面)においては、上下、左右の用語の用い方においては、説明の都合上、
図1の状態で用いられた場合を仮定して、アンテナ素子(エレメント)19の突出方向を「左右」として説明し、
図1の図面上の上下を、そのまま「上下」と称して説明するが、利用の形態によって上下、左右の呼び名は変る。
【0017】
次に、ブーム20に対するアンテナ素子19の固定部の構造に関連する構成について説明する。なお、
図4〜10に示されるブーム20はブーム管壁21の変形前の状態を示す。
ブーム20は、周知のようにアルミニウム合金(例えばアルミA6063−T5)或は塑性変形可能な任意の硬質材によって形成されている。ブーム20の管壁21の断面形状は、
図5、6に示される壁部23〜29の8つの壁部材で囲まれた楕円形状(小判形状)にしてある。即ち、上下の壁部23と29の外周間の寸法H1は、左右の壁24、26、28の外周相互間の寸法W1より大きく(例えば2.0倍位に)して、全体が小判形状に設定してある。
【0018】
管壁21において、23〜29は、
図5〜8に表れている8つの壁部材を示す。これら管壁21が備える壁部材の夫々について次の通り説明する。
天壁23は、右の上円弧壁24、24の曲率半径R2よりも小さい曲率半径で、しかも、
図6に表れているように左右の上円弧壁24、24の壁厚T2よりも薄肉にして、曲がり易いようにある。
底壁29は、下部に位置させ、かつ、湾曲内面は上向きに形成し、それの曲率半径R5は左右の下円弧壁28,28の曲率半径R4よりも小さい曲率半径で、しかも、
図6に表れているように左右の下円弧壁28,28の壁厚T4よりも曲がり易いように薄肉にしてある。
左上円弧壁24は、上記天壁23の左端部23aに上端部24aを連ねていて(一体に形成)、曲率半径R2は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T2は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある。
右上円弧壁24は、上記天壁23の右端部23bに上端部24aを連ねていて、(一体に形成)、曲率半径R2は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T2は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある。
左下円弧壁28は、上記底壁29の左端部29aに下端部28bを連ねていて、(一体に形成)、曲率半径R4は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T4は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある。
右下円弧壁28は、上記底壁29の右端部29bに下端部28bを連ねていて、(一体に形成)、曲率半径R4は「仕上り管壁の曲率半径R6」に略揃えてあり、壁厚T4は、上記天壁23及び底壁29よりも変形し難いように、上記天壁23及び底壁29の肉厚T1,T5よりも厚肉に形成してある。
左中間壁26は、上記左上円弧壁24の下端部24bと左下円弧壁28の上端部28aとの間に垂直状態で位置し、両端26a,26bを夫々左上円弧壁24の下端部24bと左下円弧壁28の上端部28aに一体に連ねていて、壁厚T3は、
図6に表れているように上記左上円弧壁24及び左下円弧壁28の壁厚T2,T4よりも薄肉にしてある。
右中間壁26は、上記右上円弧壁24の下端部24bと右下円弧壁28の上端部28aとの間に垂直状態で位置し、両端26a,26bを夫々右上円弧壁24の下端部24bと右下円弧壁28の上端部28aに一体に連ねていて、壁厚T3は、
図6に表れているように上記右上円弧壁24及び右下円弧壁28の壁厚T2,T4よりも薄肉にしてある。
さらに説明を加えれば、上記4つの円弧壁の各内面24c、28cにおいて夫々上下方向に相対向する各二条のリブ36、37の相互間にある間隙52の空間52aの外周側に位置する中間壁26の厚みT3は、上記ブーム20の天壁23及び底壁29を上下方向から加圧することにより、左右の中間壁26、26は相互に遠く離れ、かつ、上記上下方向に相対向するリブ36、37の間の間隙52は小さくなるように、即ち、
図12、
図14に表れているように外周に向けて湾曲して張り出すように上記円弧壁より薄く形成してある。
【0019】
上記左右の中間壁26、26は、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させる前の状態では、必要に応じて、夫々左右の中間壁26の外周面26dを、上下に位置する円弧壁24、28の外周面24d、28d相互を結ぶ線26eよりも窪ませておき(必要に応じて任意の深さの凹部25を形成しておき)、
上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して任意の膨出寸法に変形させるときには、左右の中間壁26,26において
図14に表れているように、膨出させる外周円弧面27の頂部27aが、外見的には、ほぼ仕上り管壁の外周円弧面33上に位置するように、凹部25内を外周に向けて膨出させるようにしておいてもよい。
【0020】
このように左右の中間壁26の外周面26dの位置を窪ませておくと(大きな凹部25を形成しておくと)、アンテナ素子19の管壁(周壁)80に対して、上記ブーム20の内部に形成されている計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)を深く、強く喰い付かせる場合でも、左右の中間壁26の外周面26dを大きく(上記外周円弧面33を超えて)膨出させてもあまり外観的には目立たなくなり、頂部27aを、外観的には、ブーム20の外径形状である略真円形状の円弧軌跡33に対応させることができる。
一方、大きな凹部25を形成して、頂部27aを大きく膨出できるようになるということは、上円弧壁24の下端部24bと下円弧壁28の上端部28aとの間が縮まることを意味し、アンテナ素子19の管壁80に対して、ブーム20の内部に形成されている計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)を深く、強く喰い付かせることができる効果がある。
【0021】
さらに、上記の中空管状のブーム20の管壁21の外周面に対して、
図2〜
図5に表れているようにブーム20の軸心方向に長い筋状31(かまぼこ状断面の筋状)を多数並設させておくと、上記中間壁26の外周面に膨出させる外周円弧面27の筋状が、上記多数並設されている長い筋状31と一体化融合して、目立つことを防止し、外観的には違和感のない美しい筋状模様を構成する商品を提供できる効果がある。
【0022】
次に
図5〜8に表れるリブについて説明する。
上記ブーム20の管壁21における左上円弧壁24の下端部24bと、左下円弧壁28の上端部28aと、右上円弧壁24の下端部24bと、右下円弧壁28の上端部28aとの夫々の円弧壁の内面24c、28cには、上下方向の相互間に間隙52を形成する状態でブーム20の軸心方向に長い二条のリブ36、37を並設させてある。
上記左右の円弧壁の内面24c、28cに夫々配した二条のリブ36、37の断面形状は、図示のように夫々管内部21bに向けて突出させて膨出状に形成してある。
【0023】
この点をさらに詳細に説明すると、
図5〜8に表れる上記ブーム20の管壁21における左右の壁部(左右の円弧壁24、24、28、28)の内面24cの夫々には、上下方向に相互間に間隙52を形成する状態でブーム20の軸心方向に長い二条のリブ36、37が並設されている。なお、
図6に表れる上記円弧壁の内面24c、28cの曲率半径R2aは、上記円弧壁の肉厚が薄くならない範囲で適宜選定すればよい。
第1リブ36と、第2リブ37の夫々の元部36a、37aは、管壁21における左右の円弧壁24、24、28、28と一体材でもって一体的に成形してあり、夫々の対応壁部の肉厚を、
図6に表れているように中間壁26に向けて逐次厚みを増加させ、結果的に円弧壁の肉厚を補強する形態にしてある。
43は上記第1と第2リブ36、37における各第2周面41と第1周面40との間に形成される頂部を示す。第1と第2リブ36、37の断面形状は、例えば
図6のように夫々管内部21bに向けて突出させ、全体の断面形状を山形状(膨出状)に形成してある。リブ36、37においては、上下方向の相対向する第1と第2リブ36、37における対向面の近い位置に頂部(稜線)43が形成されている。
次に40,41は第1リブ36及び第2リブ37の各第1周面、第2周面を示す。第1周面40と第2周面41は、
図12に表れているような加圧完了状態において、8個の尖頭部58が、アンテナ素子からの反力に負けることなく、設計上予定された食込み状態を得られるように、第1周面40は
図5に表れているように予め斜面に形成しておき、第2周面41は、食込み状態で
図12に表れているように斜面になるように形成してある。
このように内面に4条のリブ36,37を備えるブーム20の形成手段は任意あるが、通常知られているように押出成形によっても製作できる。
【0024】
次に、アンテナ素子19を固着する手段について説明する。本発明におけるアンテナの製造方法は、中空管状のブーム20の管壁21には、中空管状のアンテナ素子19をブーム20の左右方向に向けて貫通させる為の二個一対の管壁孔55を設け、上記二個一対の管壁孔55には中空管状のアンテナ素子19を貫通させ、上記ブーム20の外周に圧力を加えてブーム20を上下方向に圧縮して変形させることにより、上記ブーム20に対してアンテナ素子19を固着するようにする。
【0025】
即ち、
図4〜
図8を用いて前述したように構成されているブーム20の管壁21における二条のリブ36、37の間には上記二個一対の管壁孔55を備えさせる。その管壁孔55の直径D1は、上記左右の各二条のリブ36、37の相互間の間隙52よりも大きく設定してあって、上記左右の各二条のリブ36、37にあっては、上記二個一対の管壁孔55が形成された部分おいて部分的に遮断して、その遮断部分54の両側には各リブにつき2個の尖頭部58、58を形成する。
【0026】
この点をさらに説明する。まず、
図4〜8の中空管状のブーム20の管壁21におけるアンテナ素子19装着予定位置に対し、周知の手段を用いて、複数の中空管状のアンテナ素子19を左右方向に貫通させる為の二個一対の管壁孔55を所定間隔を隔てながら複数穿孔形成する。
上記管壁孔55の直径D1は、アンテナ素子19の外径D2が挿通できるように外径D2よりも周知のようにやや大きくした対応寸法にしてある。そしてブーム20内の左右の各二条のリブ36、37における二つの頂部43の相互間の間隙52よりも大きく形成してある。
【0027】
従って、管壁孔55を形成すると、
図5(B)、
図7、
図8に表れるように、夫々のリブ36、37における第2周面41側も、第1周面40側の一部も夫々削り取られ、そこには図示のような円弧状の添付面56が夫々形成される。この添付面56におけるアンテナ素子軸心方向長さは、夫々上円弧壁24、下円弧壁28の壁厚寸法T2,T4に比較して長くなる。
さらに、ブーム20内の左右の各二条のリブの頂部43は、夫々管壁孔55が設けられた位置において、
図8に表われているように、そこで連続性が遮断されて遮断部分54が形成されている。従って、この頂部43が貫通孔55によって遮断された位置(遮断部分54)においては、上下二つのリブ36、37の第2周面41と第1周面40と、添付面56とによって、各リブにつき2個(全部のリブでは8個)の鋭い牙のような尖頭部58が形成される。尖頭部58、58のブーム軸心方向の間隔53は
図7に表われているように、管壁孔55の直径D1より小さくしてある。
次に、上記二個一対の管壁孔55に対して、通常行われるように中空管状のアンテナ素子19を貫通させる。この状態では、アンテナ素子19は
図7、9、10のように、左右の各二条のリブ36、37において上下二つの添付面56と4個の尖頭部58によって夫々支持される様子になる。
上記のアンテナ素子19は、
図9のブーム20を上下方向から任意の手段を用いて加圧することにより、
図11、12に表れるようにブーム20の断面を順次変形させ、その変形によって、ブーム内における上下のリブ36、37をも上下の頂部43、43が相互に近づくように変位させて、添付面56をアンテナ素子19の周壁80に食い込ませる。
【0028】
次に、ブーム20の管壁21、ブーム内の上下のリブ36、37、ブーム20内に位置するアンテナ素子19夫々の動作を、
図9〜15を用いて以下詳しく順次説明する。
上記中空管状のブーム20に対するアンテナ素子19の固着は、上記ブーム20を上下方向から圧縮して、上記天壁23の曲率半径R1と、底壁29の曲率半径R5とを「仕上り管壁の曲率半径R6」に近づくように変形させると共に、
壁厚T3が、上記4つの各円弧壁24,24,28,28の壁厚T2,T4よりも薄肉にしてある左右の中間壁26,26を外周に向けて膨出させる状態に湾曲させて、
上記中空管状のブーム20の管壁21の断面形状を略真円形状に形成する。さらに、
上記上下方向の各二条のリブ36、37に夫々形成してある各2個の尖頭部58、58を、上下方向の相互間の間隙が小さくなる方向で、かつ、上記左の円弧壁内面24c、28cに配した二条のリブ36、37に係わる4個の尖頭部58と、上記右の円弧壁内面24c、28cに配した二条のリブ36、37に係わる4個の尖頭部58との相互間が遠くなる方向に、夫々上記8個の尖頭部58を斜め方向に移動させて、夫々上記尖頭部58を、夫々対応するアンテナ素子19の周壁における両側の壁部80a、80aに夫々斜め方向から食い込む状態にして、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動を阻止するようするものである。
【0029】
さらにこの点を説明する。
ブーム20の管壁21の動作に関連する動作は次の通りである。
図9、10に示されるブーム20を上下方向(矢印60a、60b方向)に加圧することにより、
図11、12に表れるように順次ブーム20の管壁21における上下の壁部23、29を相互に近づける方向に変形させると共に、左右の中間壁26、26は相互に遠く離れるように変位する。この変形させる手段としては、例えば断面形状が
図9(A)に示されている金型70を用いる。ブーム20を中間にして、互いに対向する状態で一対のプレス金型70を配置する。金型70における71は凹部で、ブーム20の仕上がり予定の外周形状(
図11のブームの外周形状)に対応する形状にしてある。(なお、金型70の長手方向(ブームの軸心方向と同じ)の長さは任意であり、複数のアンテナ素子19を同時に固着できるように長くしてあってもよい。)
【0030】
図9の状態で上下二つのプレス金型70の対向面70a、70bを夫々矢印60a、60bに向けて近付けると、ブームの天壁23と底壁29とはプレス金型70に押されて夫々の曲率半径R1を大きくなるように変形させながら(
図11、12参照)、相互に近づく方向に移動する(約80%)。この移動に伴い、
図11,12に表れるように上円弧壁24,24と下円弧壁28,28とは変形することなく、上半部の円弧壁24はハの字状に変位して広がり、下半部の円弧壁28は逆ハの字状に変位して広がる。
この変位(移動)と共に、左右の中間壁26、26は相互に遠ざかる方向(矢印60c、60d方向)へと変位して広がる。この際、ここは
図9のように上下のリブ36、37が存在する部分より肉薄で耐曲げ力を弱くしてあったり、又は
図5(B)のように管壁孔55の存在で耐曲げ力が弱くなっていたりしていて、夫々中間壁26の上下方向の中間位置を頂点として、
図11、12のように凹部71の内壁面に沿う状態に左右に膨出状に変形する。
なお72は欠如部(エレメント存置空間)を示す。
【0031】
このように、ブーム20の外周に上下から圧力を加えて、ブーム20を上下方向に圧縮して変形させるという、極めて簡単な工程でもって、アンテナ素子19の管壁80に対して、上記ブーム20に備えさせた計8個の尖頭部(58、58・・・・・58)を喰い付かせるものであっても、ブーム20の仕上がり外形を「略真円形状」に仕上げ、商品価値を高める得る効果もある。
【0032】
本件において上記「略真円形状」とは、概略でよく、適当な距離から見て、例えば2〜3m程度離れた場所からブームの外形をみて、真円形状に見える程度であればよい。
また、
図2の状態から
図3(B)の状態、或いはその逆の状態にブーム20に対するバンド部6を回動操作する場合、円滑に動く程度の真円形状であればよい。このようにブーム20がそのような真円形状であると、作業者は円滑な操作ができる作業上のメリットを得る。
なお、上記の金型を用いて「上下方向から加圧」をするときの作業においては、上下の壁23、29が薄くて最も曲がりやすい構成にした場合には、上下の壁23、29の外側面に金型内面(ブーム20の仕上がり予定の外周曲面に対応させてある曲面)を密接状態で当接させることにより補強効果を発生させ、そこの過剰な湾曲を予め防止することができる。
【0033】
上記の管壁21の動作に関連する動作をさらに説明する。上記
図5〜
図8において説明したブーム20の管壁21を
図9、10の状態にし、さらにそれらの図の状態から
図11、12の状態に順次変形することによるブーム内の上下のリブ36、37の変位動作は次の通りである。
前述したブームの管壁21における左右の壁部26、26の変形によって、
図9の左右の各二条のリブ36、37も夫々
図11、12に示されるように、リブ36、37の上下の頂部43、43が相互に近づくように変位する。
この左右各2本のリブ36、37の変位によって、全8個の尖頭部58と、4個の添付面56も夫々対応変位し、
図12のように、 上下一対の尖頭部58が、相互に近付いて、夫々対応するアンテナ素子19の周壁80に食い込む。その際の、上記尖頭部58の詳細な動作を
図14を用いて説明する。
【0034】
図14は、
図9〜
図15に表れているブーム壁部21と、リブ36、37と、尖頭部58と、添付面56と、角部57との相互の動作を詳細に説明する為に用いる図で、
図10のブームの一部分と、
図12のブームの一部分の輪郭を重ねて、各部の動きを部分的に説明できるようにしたものである。
なお、図中、一点鎖線で示される尖頭部58、天壁23等の位置は、成型開始前、即ち、
図9、10の状態を示す。実線で示される尖頭部58、天壁23等の位置は成型完了状態、即ち、
図12の状態を示す。
図14において、前述したように一点鎖線で示す天壁23を矢印60a方向に押圧する(自明なように底壁29に対しても対称的な動作あり)。すると、天壁23は実線方向に変位する。その変位に伴って、前述したように上円弧壁24は実線方向に向けて変位する。その変位に連動する状態で一点鎖線で示される中間壁26には、矢印60d方向の分力がおよんで中間壁26は彎曲して実線位置に変位する。その変位の過程において尖頭部58は、一点鎖線の位置から円弧の軌跡S5を描いて実線位置に変位する。その変位の軌跡S5は図示のように下降曲線を描きながら、矢印60d方向に向う。
上記の尖頭部58の動きは、
図14、
図10〜
図12から明らかなように、管壁21の左右における各上下に存在する二つの尖頭部58が一対として、同時に、「相互間の距離を縮めながら変位」する。
【0035】
このように、上記上下方向の各二条のリブ36、37の相互間にある間隙52の外周側に位置する薄肉の壁26を大きく外周に向けて湾曲させて張り出させることにより、上記上下方向の各二条のリブ36、37相互間の間隙52が小さくなる方向で、かつ、上記左の円弧壁内面に配した二条のリブ36、37と、上記右の円弧壁内面に配した二条のリブ36、37との相互間が遠くなる方向に、夫々上記4個のリブ36、37を斜め方向に移動させて、夫々上記4個のリブ36、37の内側(
図6の第2周面41または
図16の添付面56)を、
図12に表れるように夫々のリブ36、37の相互間に位置する対応するアンテナ素子19の周壁における両側の壁部80a、80aに夫々斜め方向から食い込む状態にして、図示のように夫々外周に向けて傾斜させた添付面56、56を、夫々対応した円弧状形成の斜面84、84に圧接させて、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動を阻止するような状態でもって上記中空管状のブーム20にアンテナ素子19が固着されるものである。
【0036】
次に
図14を用いて添付面56と、角部57の変位を説明する。この添付面56と角部57は、上記尖頭部58の場合と同様に、一点鎖線位置にある天壁23を矢印60a方向に変位させることにより、一点鎖線位置から実線位置に向けて円弧の軌跡S6を描いて変位する。その変位の過程において「軌跡S6は下降曲線」を描き、かつ、図示のように、添付面56の水平な面(アンテナ素子の軸心に平行な面)を、
図14、
図12(A)からも明らかなように、アンテナ素子が軸心方向に移動できないようにする為の外向の傾斜面56(例えばアンテナ素子の軸心に対して20度前後(15〜27度位))の角度が得られるように変形させる。さらに係る変形操作により、アンテナ素子の断面形状も非円形となり、アンテナ素子の回動も防止される。
上記の添付面56の動きは、
図10、
図12(C)、
図14から明らかなように管壁21の左右における各上下に存在する各添付面56、角部57が一対として、同時に、「相互間の距離を縮めながら変位」する。
【0037】
次に、アンテナ素子19の周壁80の変形状況を説明する。
前述したように、8個の尖頭部58と、4箇所の添付面56と、そこの夫々の角部57がアンテナ素子19の軸心方向(
図11(C),12(C)における左右方向)に移動しながら変位すると、その変位により、アンテナ素子19の周壁80は
図11〜
図15に表れるように変形する。
その内、
図13は、上記8個の尖頭部58と、4箇所の添付面56と、そこの夫々の角部57の動きによりアンテナ素子19の周壁80が対応して変形した状態を図法を変えて詳細に示すものである。
図13において、(A)、(B)は、ブーム20に対するアンテナ素子19の固定状態を説明する為の図面であって、変形後のブーム20を一部破断して示す概略断面図(アンテナ素子19の表示は省略してある)。それらの図の破断位置は、(A)は
図12(C)のXIII A−XIII A位置、(B)は
図12(C)のXIII B−XIII B位置である。更に(C)〜(E)は、ブーム20に対するアンテナ素子19の固定状態を説明する為の図面であって、アンテナ素子19を一部破断して示す概略断面図(ブーム20の表示は省略してある)。(C)は変形前のアンテナ素子19、(D)と(E)は変形後のアンテナ素子を示す。それらの図の破断位置は、(D)は
図12(C)のXIII A−XIII A位置、(E)は
図12(C)のXIII B−XIII B位置である。
【0038】
更に詳述すると、前述
図14の添付面56、角部57の部分が、一点鎖線位置から緩やかな円弧状の軌跡S6を描いて実線位置に向かう過程にあっては、アンテナ素子19の周壁80は、各添付面56、角部57の部分の移動により、それらに当接していた部分は、夫々上下方向に向けて圧縮されて変形する。
図12(B)(C)、
図13(E)に示されているように、角部57、57相互間にあって周壁87は、上下方向には潰れ、左右方向には膨出する(左右方向の寸法は変形前の直径D2よりも大きいD6の寸法となる)。そして、上下方向の寸法D5は、変形前の直径D2(
図13(D)参照)に比べてやや小さく潰される。
さらに添付面の角部57、57に当接しているアンテナ素子の周壁80における凹状係部86、86相互間の寸法は、D5のように小さくなる(
図13(A)の角部57、57相互間の寸法D3に対応する)。 このように、周壁80の各部夫々の上下寸法を小さくしながら変形し、やがては
図12、
図13(E)の状態に変形する。また当然のことながらこれらの変形した部分は、
図15に現れるようにアンテナ素子19の平面形状にも表れる。
【0039】
また前述のブーム20における8個の尖頭部58については、
図14の尖頭部58の部分が、一点鎖線位置から緩やかな円弧状の軌跡S5を描いて実線位置に向かう過程にあって、アンテナ素子19の周壁80の両側壁80aは、
図13(C)の状態から、前述のように添付面56、角部57の部分の上下方向に向けての圧縮により各部夫々上下寸法が小さくなるように変形する過程で、
図13(D)(E)から明らかなように左右方向に逐次広がり、かつ、並行的な動きをする尖頭部58の移動により、周壁80の両側壁80aは夫々上下方向からの尖頭部58の押圧により局部的に圧縮されながら、やがては
図12(A)(B)、
図13(E)、
図15に示す状態に変形する。
【0040】
アンテナ素子19の変形の状態を示す
図15において、周壁80の外周面81の上部に現れている凹状係部86、86は、
図12(C)における添付面56の角部57が周壁80の外周面81に食い込み状に当接して凹状(溝状)になっている部分を示す。
83、83は、角部57が
図14の一点鎖線位置から、緩やかな円弧状の軌跡S6を描いて実線位置に向かう過程において、上記外周面81の上部に強く摺擦、圧縮してできた斜面を示す。84、84は、添付面56で押圧変形された斜面を示す。
次に82、82は、添付面56、56が、
図14の一点鎖線位置から、緩やかな円弧状の軌跡S6を描いて実線位置に向かう過程において、上記外周面81の上部を強く押圧して
図13(E)に表れているD5方向の寸法を縮める過程で、アンテナ素子19の左右方向の両側の壁部80aに膨出した膨出部を示す。
85は、上記膨出部82に形成された食込み部を示す。この食込み部85は、尖頭部58が
図14の一点鎖線位置から、緩やかな円弧状の軌跡S5を描いて実線位置に向かう変位の過程において、
図13(E)に現れているように周壁80の両側の壁部80aに形成される膨出部82に対して押圧する状態で食い付くことによって、深い凹状に形成されている。この食込み部85、85の両側に形成されている膨出部82、82(
図13(E)参照)は、
図13(B)の間隙52の空間52aに向けて膨出する。
なお、アンテナ素子19の裏面も同様になるのであるが、自明な為省略する。
【0041】
以上のように、ブーム20を上下方向に加圧することにより、8個の尖頭部58と、4個の添付面56と、それらの先部となる角部57を、夫々対応するアンテナ素子19の周壁の両側の壁部80a、80aに食込ませた結果、ブーム20の管内におけるアンテナ素子の固定部は、
図11〜15を用いて説明したような状態になる。
この状態にあっては、
図11〜15から理解できるように、アンテナ素子19は、8個の尖頭部58によって周壁の両側の壁部80a、80aに放射方向から楔を打たれたようになっており、アンテナ素子19の軸心(軸線)方向への移動は阻止され、かつ、周方向の回動も確実に阻止される。
しかも、上記アンテナ素子19の外周面81における凹状係部86、食込み部85等は、ブーム20の管内、即ち、
図15のブームの管壁外周面21a、21aの間(W2)よりも管内に位置するものであり、雨水に晒されることはなく長寿命となる。
その上、アンテナ素子19にあって、上記凹状係部86、食込み部85等が形成されている部分と、ブームの管壁外周面21a、21aとの間に夫々存在する「管壁孔55の内面に当接する部分81a」は、夫々で対応する管壁孔55の内面に夫々密着して、ソフトに支持されるので、アンテナ素子19におけるブーム20の左右の管壁孔55から突出する部分の元部には、格別に配慮しなければならない様な集中応力が加わる場所はなく、ブームの元部は長寿命となる状態で維持される。
【0042】
更に、ブーム20に対するアンテナ素子19の固定状態において、アンテナ素子の周壁80を押えている部分は、アンテナ素子19の周壁80における両側の壁部80a、80aであり、しかも、両側の壁部80a、80aを押さえる方向は、アンテナ素子19の両側の壁部80a、80aにおける切線方向(
図13(E)の上下方向)であり、アンテナ素子19の周壁側からの反力は充分に大きなものが得られる構成である一方、8個の尖頭部58と、4個の添付面56と、それらの先部である角部57は丈夫なリブ36、37によって支えられているので、アンテナ素子の周壁に対する左右夫々4個の尖頭部の食いつき状態は堅固で、永く持続できる構成であり、信頼できる固定状態を得ることができる。
【実施例】
【0043】
図17(A)は、変形前のブーム20の断面形状における管壁21と第1、第2リブ36、37の具体的な寸法図を示す。
図17(B)は、変形後のブーム20の断面形状における管壁21と第1、第2リブ36、37(4本のリブ36、37)の具体的な寸法図を示す。
なお、本件の図面において、()内に示される数字は、実施例の寸法(単位:mm)を示す。[]内の数字は、実施例の角度(単位:度)を示す。<>内の数字は、実施例の半径曲率(半径:mm)を示す。
なお、
図16、17においても前述の
図1〜15のものと機能、性質、手段又は特徴等が同一又は均等構成と考えられる部分には、前述の図と同一の符号を付して重複する説明を省略する。