【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、下記式(I)で表される4環性化合物、その塩、それらの溶媒和物が、ALK阻害活性の他、優れたRET阻害活性を有し、選択的にRETを阻害し、RETに変異を有する癌、癌転移を含む疾患の治療および予防に有用であり、かつこれらの疾患に対し優れた薬効を有することを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【化3】
(I)
(式中、R
1はC
1−6アルキル基である)
すなわち、本発明の1つの側面によれば、本発明は、以下に示す、4環性化合物またはその塩等を含有する、RETに変異を有する癌、癌転移等の治療または予防剤である。また、本発明の他の側面によれば、上記化合物等による治療が効果的な癌や対象患者の同定方法を提供する。
【0007】
具体的には、以下のとおりである。
[1] 式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、RETに変異を有する腫瘍、または前記腫瘍の転移の治療および/または予防剤。
【化4】
(I)
(式中、R
1はC
1−6のアルキル基である。)
[2] 前記腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、神経膠腫、甲状腺癌、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、皮膚癌、悪性黒色腫、腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、前立腺癌、および該腫瘍から転移した腫瘍からなる群より選択される、[1]に記載の治療および/または予防剤。
[3] 前記腫瘍が甲状腺癌または肺癌である、[1]〜[2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[4] 前記腫瘍が甲状腺髄様癌または非小細胞肺癌である、[1]〜[3]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[4−1]前記腫瘍が、腫瘍組織においてRETチロシンキナーゼの活性化が確認された腫瘍である、[1]〜[4]に記載の治療および/または予防剤。
[4−2]前記腫瘍が、RETチロシンキナーゼの活性化を引き起こす変異を有する腫瘍である、[1]〜[4]に記載の治療および/または予防剤。
[4−2−1]前記腫瘍が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質、を有する腫瘍である[1]〜[4−2]に記載の治療および/または予防剤。
[4−2−2]前記腫瘍が、RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質を有する腫瘍である、[1]〜[4−2]に記載の治療および/または予防剤。
[4−2−3]前記腫瘍が、KIF5B−RET、CCDC6−RET、NCOA4−RET、またはTRIM33−RETを有する腫瘍である、[1]〜[4−2]、または[4−2−2]に記載の治療および/または予防剤。
[4−3]前記腫瘍が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質、を有する腫瘍である、[1]〜[4−2]に記載の治療および/または予防剤。
【0008】
[5] 前記腫瘍がRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質を有する腫瘍である、[1]〜[4−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[5−1]他の遺伝子およびタンパク質がKIF5B、CCDC6、NCOA4またはTRIM33の遺伝子およびタンパク質である、[5]に記載の治療および/または予防剤。
[5−2]前記融合遺伝子およびタンパク質が、RET遺伝子またはタンパク質のチロシンキナーゼドメイン、および他の遺伝子またはタンパク質のコイルドコイルドメインを含む、[5]または[5−1]に記載の治療および/または予防剤。
[5−2−1]RETタンパク質およびRET遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[5]〜[5−2]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:3または4で表されるアミノ酸からなるポリペプチド
(b)配列番号:3または4で表されるポリペプチドにおいて1または複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
(c)配列番号:3または4で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチド
[5−2−2]KIF5B、CCDC6、NCOA4およびTRIM33のタンパク質および遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドのそれぞれが、以下に記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[5−1]または[5−2−1]に記載の治療および/または予防剤:
(1)KIF5Bのタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:30で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:30で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:30で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(2)CCDC6のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:31で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:31で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:31で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(3)NCOA4のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(4)TRIM33のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
[5−2−3]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[4−2−2]、[5]または[5−2]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列おいて、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド
(d)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列において、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(f)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド
[5−2−4]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[4−2−2]、[5]または[5−2]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、かつチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、かつチロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(d)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列を含み、かつRETチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(f)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
[5−3]前記融合遺伝子が、以下(a)〜(d)のいずれかである、[5−2]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列のポリヌクレオチドを含む融合遺伝子
(b)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる融合遺伝子
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子、または
(d)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドにおいて、1または複数(例えば、数十個、1−10個、1−5個、1−3個)のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたポリペプチドで、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子。
【0009】
[6] 前記腫瘍がRET遺伝子および/またはタンパク質に点変異を有する腫瘍である、[1]〜[4−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[6−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、2600G、2861T、または2943Tの塩基における変異である、[6]に記載の治療および/または予防剤。
[6−1−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、または2861Tの塩基における変異である、[6]または[6−1]に記載の治療および/または予防剤。
[6−2]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2494G、2600G、または2943Tの塩基における変異である、[6]または[6−1]に記載の治療および/または予防剤。
[6−3]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、2600G>A、2600G>C、2861T>Gまたは2943T>Cである、[6]または[6−1]に記載の治療および/または予防剤。
[6−3−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、または2861T>Gである、[6]、[6−1]または[6−3]に記載の治療および/または予防剤。
[6−4]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2494G>C、2600G>Aまたは2943T>Cである、[6]、[6−1]、[6−2]または[6−3]に記載の治療および/または予防剤。
[6−5]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[6]に記載の治療および/または予防剤。
[6−5−1] 前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、S891、またはA883のアミノ酸における変異である、[6]または[6−5]に記載の治療および/または予防剤。
[6−6]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、E768、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[6]または[6−5]に記載の治療および/または予防剤。
[6−7]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、V804M、V804L、S891AまたはM918Tである、[6]または[6−5]に記載の治療および/または予防剤。
[6−7−1]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、またはS891Aである、[6]、[6−5]、または[6−7]に記載の治療および/または予防剤。
[6−8]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、E768D、V804M、またはM918Tである、[6]または[6−6]に記載の治療および/または予防剤。
【0010】
[7] 式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、RETに変異を有する患者に使用する、腫瘍、または前記腫瘍の転移の治療および/または予防剤。
[8] 前記腫瘍が甲状腺癌または肺癌である、[7]に記載の治療および/または予防剤。
[8−1]前記患者が、腫瘍組織におけるRETチロシンキナーゼの活性化が確認された患者である、[7]または[8]に記載の治療および/または予防剤。
[8−2]前記患者が、RETチロシンキナーゼの活性化を引き起こす変異を有する患者である、[7]または[8]に記載の治療および/または予防剤。
[8−2−1]前記患者が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質、を有する患者である[7]〜[8−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[8−2−2]前記患者が、RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質を有する患者である、[7]〜[8−2−1]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[8−2−3]前記患者が、KIF5B−RET、CCDC6−RET、NCOA4−RET、またはTRIM33−RETを有する患者である、[7]〜[8−2]、[8−2−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[8−3]前記患者が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質、を有する患者である、[7]〜[8−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[9] 前記患者がRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質を有する患者である、[7]または[8]に記載の治療および/または予防剤。
[9−1]前記他の遺伝子およびタンパク質がKIF5B、CCDC6、NCOA4またはTRIM33である、[8−3]または[9]に記載の治療および/または予防剤。
[9−2]前記融合遺伝子および融合タンパク質が、RET遺伝子またはタンパク質のチロシンキナーゼドメイン、および他の遺伝子またはタンパク質のコイルドコイルドメインを含む、[9]または[9−1]に記載の治療および/または予防剤。
[9−2−1]RETタンパク質およびRET遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[9]〜[9−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:3または4で表されるアミノ酸からなるポリペプチド、
(b)配列番号:3または4で表されるポリペプチドにおいて1または複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:3または4で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[9−2−2]KIF5B、CCDC6、NCOA4およびTRIM33のタンパク質および遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドのそれぞれが、以下に記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[9−1]に記載の治療および/または予防剤:
(1)KIF5Bのタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:30で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:30で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または
(c)配列番号:30で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(2)CCDC6のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:31で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:31で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:31で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(3)NCOA4のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(4)TRIM33のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
[9−2−3]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[8−2−2]または[9]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列おいて、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド
(d)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列において、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(f)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド。
[9−2−4]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[8−2−2]または[9]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、かつチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、かつチロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(d)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列を含み、かつRETチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(f)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド。
[9−3]前記融合遺伝子が、以下(a)〜(d)のいずれかである、[9]または[9−2]に記載の治療および/または予防剤:
(a)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列のポリヌクレオチドを含む融合遺伝子
(b)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる融合遺伝子
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子、または
(d)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドにおいて、1または複数(例えば、数十個、1−10個、1−5個、1−3個)のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたポリペプチドで、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子。
【0011】
[10] 前記患者がRET遺伝子および/またはタンパク質に点変異を有する患者である、[7]または[8]に記載の治療および/または予防剤。
[10−1]前記RETにおける点変異が、RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける点変異またはチロシンキナーゼドメインにおける点変異である、[10]に記載の治療および/または治療剤。
[10−2]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G、2261G、2494G、2562A、2600G、2861Tまたは2943Tである、[10]または[10−1]に記載の治療および/または予防剤。
[10−2−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、または2861Tの塩基における変異である、[10]〜[10−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[10−3]前記RETにおける点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2494G、2600G、または2943Tの塩基における変異である、[10]〜[10−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[10−4]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、2600G>A、2600G>C、2861T>Gまたは2943T>Cである、[10]〜[10−2]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[10−4−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、または2861T>Gである、[10]〜[10−2]または[10−4]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[10−5]前記RETにおける点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2494G>C、2600G>A、または2943T>Cである、[10]〜[10−2]、[10−4]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[10−6]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[10]または[10−1]に記載の治療および/または予防剤。
[10−6−1] 前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、S891、またはA883のアミノ酸における変異である、[10]、[10−1]または[10−6]に記載の治療および/または予防剤。
[10−7]前記RETにおける点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、E768、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[10]、[10−1]または[10−6]に記載の治療および/または予防剤。
[10−8]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、V804M、V804L、S891AまたはM918Tである、[10]、[10−1]または[10−6]に記載の治療および/または予防剤。
[10−8−1]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、またはS891Aである、[10]、[10−1]、[10−6]または[10−8]に記載の治療および/または予防剤。
[10−9]前記RETにおける点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634Y、E768D、V804M、またはM918Tである、[10]、[10−1]または[10−6]〜[10−8]のいずれかに記載の治療および/または治療剤。
[10−10]前記患者が、サンガーシーケンス法またはFISH法によりRETにおける変異の存在を検出した患者である、[10]〜[10−9]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【0012】
[11] R
1がエチルである、[1]〜[10−10]のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
[11−1]前記化合物が塩酸塩である、[1]〜[11]に記載の治療および/または予防剤。
[11−2]RETを選択的に阻害する、[1]〜[11−1]に記載の治療および/または予防剤。
[12] 式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、RET阻害剤。
[12−1]RETを阻害するための、式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の使用。
[12−2]式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の有効治療量を患者に投与することを含む、RETに変異を有する腫瘍、および前記腫瘍の転移を予防および/または治療する方法。
[12−3]RETに変異を有する腫瘍、および前記腫瘍の転移を予防および/または治療するための、式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の使用。
[12−3−1]前記RETにおける変異が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質、の形成である[12−3]に記載の使用。
[12−3−2]前記RETにおける変異が、RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質の形成である、[12−3]または[12−3−1]に記載の使用。
[12−3−3]前記RETの変異が、KIF5B−RET、CCDC6−RET、NCOA4−RET、またはTRIM33−RETの形成である、[12]〜[12−2−2]のいずれか1項に記載の使用。
[12−3−4]式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物が選択的にRETを阻害する、[12−3]〜[12−3−3]のいずれかに記載の使用。
[12−3−5]R
1がエチルである、[12−3]〜[12−3−4]のいずれかに記載の使用。
[12−3−6]前記化合物が、塩酸塩である、[12−3]〜[12−3−5]のいずれかに記載の使用。
[12−3−7]前記腫瘍が甲状腺癌または肺癌である、[12−3]〜[12−3−6]のいずれかに記載の使用。
【0013】
[13] 式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の投与対象を同定するための方法であって、前記対象由来の組織においてRETの変異を検出する工程を含む方法。
[13−1]前記組織がRETチロシンキナーゼの活性化を確認した組織である[13]に記載の方法。
[13−2]前記組織がRETチロシンキナーゼの活性化を引き起こす変異を有する[13]に記載の方法。
[13−2−1]前記RETにおける変異が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質の形成である[13]〜[13−2]のいずれか1項に記載の方法。
[13−2−2]前記RETにおける変異が、RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質の形成である、[13]〜[13−2−1]のいずれかに記載の方法。
[13−2−3]前記RETの変異が、KIF5B−RET、CCDC6−RET、NCOA4−RET、またはTRIM33−RETの形成である、[13]〜[13−2−2]のいずれかに記載の方法。
[13−3]前記組織が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質を有する、[13]〜[13−2]のいずれかに記載の方法。
[13−4]RETの変異がRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパクの形成である、[13]〜[13−3]のいずれかに記載の方法。
[13−5]他の遺伝子およびタンパク質がKIF5B、CCDC6、NCOA4またはTRIM33である、[13−4]に記載の方法。
[13−6]前記融合遺伝子および融合タンパク質が、RET遺伝子またはタンパク質のチロシンキナーゼドメイン、および他の遺伝子またはタンパク質のコイルドコイルドメインを含む、[13−5]に記載の方法。
[13−6−1]RETタンパク質およびRET遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[13−4]〜[13−6]のいずれかに記載の方法。
(a)配列番号:3または4で表されるアミノ酸からなるポリペプチド、
(b)配列番号:3または4で表されるポリペプチドにおいて1または複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:3または4で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[13−6−2]KIF5B、CCDC6、NCOA4およびTRIM33のタンパク質および遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドのそれぞれが、以下に記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[13−5]に記載の方法:
(1)KIF5Bのタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:30で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:30で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:30で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(2)CCDC6のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:31で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:31で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:31で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(3)NCOA4のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(4)TRIM33のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
[13−6−3]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[13−2−1]、[13−2−2]、[13−3]または[13−4]に記載の方法:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列おいて、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド
(d)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列において、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(f)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド。
[13−6−4]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[13−2−1]、[13−2−2]、[13−3]、[13−4]または[13−6−3]に記載の方法:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、かつチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、かつチロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(d)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列を含み、かつRETチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(f)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド。
[13−7]前記融合遺伝子が、以下(a)〜(d)のいずれかである、[13−6]に記載の方法:
(a)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列のポリヌクレオチドを含む融合遺伝子
(b)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる融合遺伝子
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子または
(d)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペオプチドにおいて、1または複数(例えば、数十個、1−10個、1−5個、1−3個)のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたポリペプチドで、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子。
[13−8]前記組織がRETに点変異を有する、[13]〜[13−2]に記載の方法。
[13−9]前記組織がRETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインまたはチロシンキナーゼドメインに点変異を有する、[13−8]に記載の方法。
【0014】
[13−10]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、2600G、2861T、または2943Tの塩基における変異である、[13−8]または[13−9]に記載の方法。
[13−10−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、または2861Tの塩基における変異である、[13−8]〜[13−10]のいずれかに記載の方法。
[13−11]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2494G、2600Gまたは2943Tにおける塩基の変異である、[13−8]〜[13−10]のいずれかに記載の方法。
[13−12]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、2600G>A、2600G>C、2861T>Gまたは2943T>Cである、[13−8]〜[13−10]のいずれかに記載の方法。
[13−12−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、または2861T>Gである、[13〜8]〜[13−10]、[13−12]のいずれかに記載の方法。
[13−13]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける、2091G>T、2494G>C、2600G>Aまたは2943T>Cである、[13−8]〜[13−12]のいずれかに記載の方法。
[13−14]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[13−8]または[13−9]に記載の方法。
[13−14−1]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、S891、またはA883のアミノ酸における変異である、[13−8]、[13−9]または[13−14]に記載の方法。
[13−15]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、E768、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[13−8]、[13−9]または[13−14]に記載の方法。
[13−16]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、V804M、V804L、S891AまたはM918Tである、[13−8]、[13−9]または[13−14]に記載の方法。
[13−16−1]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、またはS891Aである、[13−8]、[13−9]または[13−14]に記載の方法。
[13−17]RETにおける点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634Y、E768D、V804MまたはM918Tである、[13−8]〜[13−16]のいずれかに記載の方法。
[13−18]RETに変異を有する腫瘍、または前記腫瘍の転移の治療および/または予防のための、式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の投与対象を同定する、[13]〜[13−17]のいずれかに記載の方法。
[13−19]前記腫瘍が甲状腺癌または肺癌である[13]〜[13−18]のいずれかに記載の方法。
[13−20]式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物が選択的にRETを阻害する、[13]〜[13−19]のいずれかに記載の方法。
[13−21]R
1がエチルである、[13]〜[13−20]のいずれかに記載の方法。[13−22]式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物が、式(I)の化合物の塩酸塩である、[13]〜[13−21]のいずれかに記載の方法。
【0015】
[14] RETにおける変異を有する患者を特定し、当該患者に式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の有効治療量を患者に投与することを含む、RETに変異を有する腫瘍、および前記腫瘍の転移を予防および/または治療する方法。
[15] 式(I)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物に対して感受性のある患者を同定あるいは予備的に同定する方法であって、
前記患者から得られた試料中のRETにおける変異の存在を検出する工程、および
前記腫瘍中のRETにおける変異の存在に基づき、前記患者が前記化合物、その塩またはそれらの溶媒和物に対して感受性を有する患者であると決定あるいは予備的に決定する工程を含む、前記方法。
[15−1]さらに、RETチロシンキナーゼの活性化を検出する工程を含む、[15]に記載の方法。
[15−2]前記RETにおける変異が、RETチロシンキナーゼの活性化を引き起こす変異である、[15]に記載の方法。
[15−2−1]前記RETにおける変異が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質の形成、である[15]〜[15−2]のいずれかに記載の方法。
[15−2−2]前記RETにおける変異が、RETの融合遺伝子および/またはRETの融合タンパク質の形成である、[15]〜[15−2−1]のいずれかに記載の方法。
[15−2−3]前記RETにおける変異が、KIF5B−RET、CCDC6−RET、NCOA4−RETまたはTRIM33−RETの形成である、[15]〜[15−2−2]に記載の方法。
[15−3]前記RETにおける変異が、(a)RETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインにおける変異、(b)RETチロシンキナーゼのチロシンキナーゼドメインにおける変異、または(c)RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質の形成である、[15]〜[15−2]のいずれかに記載の方法。
[15−4]前記RETにおける変異が、RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子および/またはRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質の形成である、[15]〜[15−3]のいずれかに記載の方法。
[15−5]他の遺伝子およびタンパク質がKIF5B、CCDC6、NCOA4またはTRIM33である、[15−4]に記載の方法。
[15−6]前記RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子およびRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質が、RET遺伝子またはタンパク質のチロシンキナーゼドメイン、および他の遺伝子またはタンパク質のコイルドコイルドメインを含む、[15−4]または[15−5]に記載の方法。
[15−6−1]RETタンパク質およびRET遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[15−4]〜[15−6]のいずれか1項に記載の方法:
(a)配列番号:3または4で表されるアミノ酸からなるポリペプチド、
(b)配列番号:3または4で表されるポリペプチドにおいて1または複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:3または4で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[15−6−2]KIF5B、CCDC6、NCOA4およびTRIM33のタンパク質および遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドのそれぞれが、以下に記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[15−5]に記載の方法:
(1)KIF5Bのタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:30で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:30で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:30で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(2)CCDC6のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:31で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:31で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:31で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(3)NCOA4のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:38〜42からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
(4)TRIM33のタンパク質を構成するポリペプチドは、
(a)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、
(c)配列番号:45または46で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
[15−6−3]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[15−2−1]、[15−2−2]、[15−3]または[15−4]に記載の方法:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列おいて、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド
(d)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいは、配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列において、1または複数のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチド
(f)配列番号:27または28により表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸を含むポリペプチド。
[15−6−4]前記融合タンパク質および融合遺伝子を構成するポリペプチドおよびポリヌクレオチドが、以下(a)〜(f)のいずれかに記載のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[15−2−1]、[15−2−2]、[15−3]または[15−4]に記載の方法:
(a)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、かつチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、かつチロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(d)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列を含み、かつRETチロシンキナーゼが活性化したポリペプチド、あるいは配列番号:27または28で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたアミノ酸配列を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド
(f)配列番号:27または28から選択されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸を含み、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチド。
[15−6−5]前記融合遺伝子が、以下(a)〜(d)のいずれかである、[15−3]または[15−4]に記載の方法:
(a)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列のポリヌクレオチドを含む融合遺伝子
(b)配列番号:5〜14からなる群より選択される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる融合遺伝子
(c)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子、または
(d)配列番号:15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペオプチドにおいて、1または複数(例えば、数十個、1−10個、1−5個、1−3個)のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたポリペプチドで、チロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む融合遺伝子。
[15−7]前記RETにおける変異が点変異である、[15]〜[15−2]のいずれかに記載の方法。
[15−8]前記点変異がRETチロシンキナーゼのシステインリッチドメインまたはチロシンキナーゼドメインにおける点変異である、[15−7]に記載の方法。
[15−9]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、2600G、2861T、または2943Tの塩基における変異である、[15−7]または[15−8]に記載の方法。
[15−9−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2261G、2494G、2562A、または2861Tの塩基における変異である、[15−7]〜[15−9]に記載の方法。
[15−10]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G、2494G、2600Gまたは2943Tの塩基における変異である、[15−7]〜[15−9]のいずれかに記載の方法。
[15−11]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、2600G>A、2600G>C、2861T>Gまたは2943T>Cである、[15−7]〜[15−9]のいずれかに記載の方法。
[15−11−1]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドにおける2091G>T、2261G>A、2494G>C、2562A>T、または2861T>Gである、[15−7]〜[15−9−1]または[15−11]に記載の方法。
[15−12]前記点変異が、配列番号:1により表される塩基配列のポリヌクレオチドの2091G>T、2494G>C、2600G>Aまたは2493T>Cである、[15−7]〜[15−11]のいずれかに記載の方法。
[15−13]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、V804、S891、A883、またはM918のアミノ酸における変異である、[15−7]または[15−8]に記載の方法。
[15−13−1]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、G691、E768、Y791、S891、またはA883のアミノ酸における変異である、[15−7]、[15−8]または[15−13]に記載の方法。
[15−14]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC609、C611、C618、C620、C630、C634、E768、V804、S891、A883またはM918のアミノ酸における変異である、[15−7]、[15−8]または[15−13]に記載の方法。
[15−15]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、V804M、V804L、S891AまたはM918Tである、[15−7]、[15−8]または[15−13]に記載の方法。
[15−15−1]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドにおけるC634W、C634Y、G691S、E768D、Y791F、またはS891Aである、[15−7]、[15−8]、[15−13]または[15−15]に記載の方法。
[15−16]前記点変異が、配列番号:3により表されるアミノ酸配列のポリペプチドのC634W、C634Y、E768D、V804MまたはM918Tである、[15−7]〜[15−15]のいずれかに記載の方法。
[15−17]前記患者が甲状腺癌または肺癌の患者である、[15]〜[15−16]のいずれかに記載の方法。
[15−18]前記患者が甲状腺髄様癌または非小細胞肺癌の患者である、[15]〜[15−17]のいずれかに記載の方法。
[15−19]式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物が選択的にRETを阻害する、[15]〜[15−18]のいずれかに記載の方法。
[15−20]R
1がエチルである、[15]〜[15−18]のいずれかに記載の方法。
[15−21]前記化合物が塩酸塩である、[15]〜[15−19]のいずれかに記載の方法。
[16]式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物に対する患者の感受性を予測する方法であって、以下の工程;
(1)患者から得られた試料におけるRETの変異の有無を確認する工程、
(2)RETの変異が存在する場合、式(I)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物に対する該患者の感受性を有すると決定あるいは予備的に決定する工程、
を含む前記方法。