(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記振動函は上記固定函内に収納された状態の二重函構造とし、上記弾性部材は上記固定函に対して上記振動函を支持する板バネであることを特徴とする請求項1又は2記載の粉砕大豆の皮分離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の方法では短時間で豆乳の製造が可能であるが、全粒大豆から豆乳を製造する場合、さらなる歩留まり向上及び栄養付加の観点からすると、粗粉砕大豆に粗粉砕皮が混入しないように両者を正確に分離すること、及び、大豆の剥離皮以外の部分、即ち、子葉の微小片、胚軸の部分もできるだけ無駄なく使用することが望まれている。
【0007】
一方、特許文献2の装置では、送風機の風力によっては、子葉の小片又は杯軸等が剥離皮と共に除去されてしまうおそれがあり、逆に剥離皮が子葉側に混入して歩留まりの低下を来す等の課題がある。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、全粒大豆を粗粉砕し、粗粉砕大豆から皮の分離等を歩留まり良く行うことができる粉砕大豆の皮分離装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、長時間の浸漬工程を経ることなく、短時間で豆乳を製造することができる粉砕大豆の皮分離装置を使用した豆乳の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、固定函内に弾性部材によって振動函を振動可能に支持し、上記振動函は、底面より所定高さに篩網が固設された振動篩部と、上記振動篩部の前側に連通し該振動篩部から連続する共通の底面を有すると共に、上記篩網を有しない誘導通路部とを具備し、上記篩網の後部上に粉砕大豆の供給を受ける大豆供給部を設けると共に、上記誘導通路部の先端部に開口部を設け、上記篩網は粉砕大豆の内、粗粉砕大豆と粉砕皮を篩網上に残し、粉砕大豆の微小片を上記底面に篩落とすものであり、上記振動函を斜め上下方向に振動させる駆動機構を設け、上記振動函の上記振動により上記篩網上の上記粗粉砕大豆及び上記底面上の微小片を上記振動函内において前進させるように構成し、上記固定函に吸引管を設けると共にその先端の吸引口を上記大豆供給部より前方の上記篩網の上面に対向して設け、上記吸引口から上記篩網上の上記粉砕皮を吸引除去し得るように構成し、上記振動函の上記振動により上記篩網上を前進してきた上記粗粉砕大豆は、当該篩網の前端から上記底面上に落下して、上記誘導通路部の上記底面上を引き続いて前進するものであり、上記誘導通路部の上記底面を前進してきた上記粗粉砕大豆及び上記微小片を共に上記開口部から排出し得るように構成した粉砕大豆の皮分離装置により構成される。
【0011】
上記弾性部材は例えば板バネ(20,21)により構成することができる。上記駆動機構は、駆動モータ(6)、軸受(15)、カム支持アーム(16)、カム(18)、駆動軸(19)、タイミングベルト(B2)等により構成することができる。斜め上下方向は例えば矢印A,B方向をいう。上記誘導通路部は、例えば絞部(5b)及び誘導通路部(5c)により構成することができる。このように構成すると、粗粉砕大豆と粉砕皮(粗粉砕皮)の混合物から粉砕皮(粗粉剤皮)のみを正確に分離することができると共に、粗粉砕大豆のみならず、大豆の杯軸等を含む粉砕された微小片をも振動函の開口部から排出させることができ、栄養価の高い杯軸を含む大豆の微小片をも有効に利用して豆乳を製造することができ、利用大豆の歩留まりを大幅に向上させることができる。また、吸引口から固定函内の空気を吸引すると、当該排出空気が篩網の下部エリアから篩網の上部エリアの吸引口方向に吸引され、これにより篩網の下部エリアから篩網の上部エリアの吸引口方向への空気流が形成され、当該空気流により篩網上の粉砕皮を効率的に上記吸引口に向けて吹き上げることができ、粉砕皮及び粗粉砕皮を効率的に吸引することができる。
【0012】
第2に、上記駆動機構は、上記固定函に上記粉砕大豆の進行方向とは直交する左右方向の駆動軸を回転可能に支持し、上記振動函に上記駆動軸に設けられた偏心カムと係合するカム支持部材を設け、上記駆動軸の回転による上記偏心カムの作用により、上記振動函を上記固定函に対して斜め上下方向に振動させるものであることを特徴とする上記第1記載の粉砕大豆の皮分離装置により構成される。
【0013】
上記カム支持部材は例えば軸受(15)及び軸受(15)に固定されたカム支持アーム(16)により構成することができる。このように構成すると、簡易な構成により、固定函に対して振動函を効果的に斜め上下方向に振動させることができ、当該振動により粉砕大豆を小刻みに前方に進行させることができる。
【0014】
第3に、上記振動函は上記固定函内に収納された状態の二重函構造とし、上記弾性部材は上記固定函に対して上記振動函を支持する板バネであることを特徴とする上記第1又は2記載の粉砕大豆の皮分離装置により構成される。
【0015】
このように構成すると、板バネという簡易な構成により、固定函に対して振動函を振動可能な状態に支持することができる。
【0016】
第4に、上記第1乃至第3の何れかに記載の粉砕大豆の皮分離装置を使用した豆乳の製造方法であって、大豆を大豆粉砕機で粗粉砕することにより、粗粉砕大豆と粉砕皮と微小片を形成する粗粉砕工程と、上記粗粉砕工程にて粉砕された粉砕大豆を上記粉砕大豆の皮分離装置の上記篩網上に落下供給し、粗粉砕大豆と粉砕皮を上記篩網上に残すと共に、上記微小片を上記振動函の上記底面上に落下させ、上記粉砕皮を上記吸引管により吸引除去し、上記振動函の上記振動によって、上記篩網上の粗粉砕大豆と、上記底面上の微小片を上記誘導通路部を介して前方に進行させて皮を除去された上記粗粉砕大豆と上記微小片を上記開口部から混合タンク部に供給する皮分離工程と、上記混合タンク部において上記粗粉砕大豆及び上記微小片とマイクロバブル含有水とを混合撹拌して前期混合液を形成する混合工程と、上記前期混合液を混合微粉砕機械にてさらに微粉砕して後期混合液を形成する混合微粉砕工程と、上記後期混合液を加熱釜にて加熱して加熱混合液を製造する加熱工程と、加熱後に上記加熱混合液から豆乳を分離する分離工程と、により豆乳を製造することを特徴とする豆乳の製造方法により構成される。
【0017】
このような豆乳の製造方法によると、大豆の杯軸等を含む粉砕された微小片をも振動函の開口部から排出することにより、栄養価の高い杯軸を含む大豆の微小片をも有効に利用して豆乳を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したので、粗粉砕大豆と粉砕皮の混合物から粉砕皮(粗粉砕皮)のみを正確に分離することができると共に、粗粉砕大豆のみならず、大豆の杯軸等を含む粉砕された微小片をも振動函の開口部から排出することにより、栄養価の高い杯軸を含む大豆の微小片をも有効に利用して豆乳を製造することができ、使用大豆の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0019】
また、マイクロバブル含有水を用いることにより、大豆の長時間の浸漬工程を経ることなく、短時間で豆乳を製造することができる大豆の皮分離装置を使用した豆乳の製造方法を実現することができる。
【0020】
さらに、マイクロバブル含有水と混合した前期混合液は、混合微粉砕機械にて細かく粉砕、切断されて後期混合液が生成されるため、大豆繊維に含まれるオリゴ糖等が後期混合液に抽出され、これによりおいしい豆乳を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る粉砕大豆の皮分離装置及びそれを使用した豆乳の製造方法について詳細に説明する。
【0023】
図1に本発明に係る粉砕大豆の皮分離装置を示す。同図において、本装置は、水平底板1上に設置された直方体形状の上面閉鎖の固定函2、大豆粉砕機3、該大豆粉砕機3の駆動モータ4、上記固定函2内に設置された振動函5、上記固定函2の天板2a上に固定された振動函5の駆動モータ6、上記固定函2の上記天板2aから上記振動函5の篩網7に向けて設けられた吸引管8、及び上記吸引管8からエアを吸引するための空気吸引機9を具備している。尚、
図1において、駆動モータ6,4側を「後方」、開口部5f側を「前方」と定義する。
【0024】
1a,1aは上記水平底板1上に立設された柱、1bは上記水平底板1後部上に固定された小機枠であり、上記大豆粉砕機3は上記小機枠1b上にボルトで固定されている。
【0025】
上記大豆粉砕機3は(
図9参照)、内部に円錐状の固定外臼3aと、固定外臼3aの内側に、上記固定外臼3aと小間隙tを介して設置された同じく円錐状の回転内臼3bとが設けられており、上記回転内臼3bは回転軸Pに固定されている。上記回転軸Pの一端はベルトB1により上記駆動モータ4のプーリ4aに接続されており、上記駆動モータ4により上記回転内臼3bを回転可能となっている。従って、上記駆動モータ4により回転内臼3bを回転した状態で、ホッパー10から全粒大豆を粉砕機3内に投入すると、上記大豆は上記固定外臼3aと回転内臼3b間の小間隙tにて粗粉砕され、排出口3cから排出シュート11に投入される。
【0026】
この粗粉砕の過程において、全粒大豆22の子葉は粗粉砕され粗粉砕大豆23(
図7(a)参照)となり、同時に皮も子葉から分離されて粗粉砕及び粉砕されて粗粉砕皮(粉砕皮)24(
図7(b)参照)となり、さらに、杯軸も子葉から分離されると共に、細かく粉砕された子葉及び杯軸の微小片25(
図7(c)参照)が形成される。ここで、上記粗粉砕大豆23、粗粉剤皮24は約3mm〜4mm程度の大きさであり、上記胚軸を含む微小片25は約1mm〜2mm程度の大きさである。
【0027】
上記大豆粉砕機3によって粉砕された粗粉砕大豆23、粗粉砕皮24、杯軸を含む微小片25は、排出シュート11から上記固定函2内の振動函5の篩網7上の後端部位置(大豆供給部S)に落下供給される。
【0028】
上記振動函5は、直方体形状の上面開口(開口部5e)の函により構成された振動篩部5aと、振動篩部5a前方にテーパー状に左右側面間隔が狭くなる上面閉鎖の絞部5bと、該絞部5bを介して前方に長く突出形成された上面閉鎖の細長筒状の誘導通路部5cとから構成されており、当該誘導通路部5cの先端下方に開口5fが形成されている。この振動函5の底面5a’は、上記振動篩部5a、上記絞部5b及び上記誘導通路部5cのすべてのエリアに亘って連続した段差のない共通の水平面(平面)を構成している。但し、この底面5a’は、上記振動篩部5aから上記絞部5b、上記誘導通路部5cの先端部方向に向けて緩やかな下り傾斜面として構成されている。
【0029】
この振動函5は上記固定函2内において、振動板5の後面板5’と上記固定函2の後面内面2’との間に設けられた板バネ20にて後端部を支持され、その振動函5の底板5”の前端部と上記固定函2の底板2bの前方位置との間に設けられた板バネ21にてその前方部下面を支持され、上記両板バネ20,21によって上記固定函2の内部において、上記固定函2に対して矢印A,B方向(斜め前後(上下)方向)に往復振動可能に支持されている。
【0030】
上記振動篩部5aには支持脚12,12上に上記篩網7が、当該振動篩部5a内の一定高さに水平又は略水平(上記底面5a’に平行な緩やかな下り傾斜となるように)に固定されており、これにより上記振動篩部5aは上記篩網7の上部エリアE1(開口部5e側)と上記篩網7の下部エリアE2(底面5a’側)に二分割されている。
【0031】
また、上記篩網7の先端7aは上記絞部5b方向に開放されており、当該先端7aに送られてきた粗粉砕大豆は、上記先端7aから上記絞部5bの底面5a’に落下するように構成されている。
【0032】
この篩網7は、上記振動篩部5aの後端部から上記絞部5bに至る、当該振動篩部5aの上記上面開口5eの略全面に対応するように、当該振動篩部5a全面に亘り、前方に向けて若干の下り傾斜を以って設けられており(
図2、
図1参照)、網の升目は縦横共に約2.5mmの方形である。従って、上記粗粉砕大豆23及び粗粉砕皮24は篩網7の上部(上部エリアE1)に残り、杯軸を含む微小片25は上記篩網7を通過して上記振動函5の下部エリアE2の底面5a’上に落下する(
図10参照)。
【0033】
また、上記振動函5は左右の側面板5d,5d’を有しており、これら左右側面板5d,5d’と上記固定函2の左右側面板2d,2d’との間には、空間K,Kが形成されている。
【0034】
上記振動函5の底板5”の下面側には、軸受15が形成されており(
図4、
図5参照)、当該軸受15にカム支持アーム16の一端が固定軸17を以って、鉛直線Lに対して角度θ傾斜した状態で固定されている。この支持アーム16の他端の円形孔16aにはカム(偏心カム)18が上記支持アーム16に対して上記円形孔16a内で矢印C方向に回転自在に嵌合しており、上記カム18の偏心位置に駆動軸19が設けられている。即ち、上振動函5の駆動機構は、上記固定函2に粉砕大豆の進行方向とは直交する左右方向の駆動軸19を回転可能に支持し、上記振動函5に上記駆動軸19に設けられカム(偏心カム)18と係合する円形孔16aを有するカム支持アーム16を設け、上記駆動軸19の回転による上記カム18の作用により、上記振動函5を上記固定函2に対して斜め上下方向に振動させるものである。この振動方向は、より具体的には矢印A,B方向(
図10参照)、即ち、粉砕大豆の進行方向(矢印D方向)に対して、斜め上方前方(矢印A方向)と、斜め下方後方(矢印B方向)に振動させるものである。
【0035】
そして、上記駆動軸19は、
図4に示すように、その両端は上記固定函2の側面板2d,2d’に軸受27,27にて回転自在に軸支され、かつ上記駆動軸19の他端にはプーリ19aが設けられており、当該プーリ19aと上記駆動モータ6の駆動プーリ6aとの間にタイミングベルトB2が張設されている。よって、上記駆動モータ6を回転駆動すると、上記駆動軸19が矢印C方向に回転し、従って、上記カム18が矢印C方向に回転するため、当該カム18の回転により、上記駆動アームとしてのカム支持アーム16を介して、上記板バネの20,21の支持力(弾性力)に抗して上記振動函5は矢印A,B方向の斜め前後方向(上下方向)に傾斜した状態の斜め前後方向(上下方向)に往復回転振動するように構成されている(
図5矢印A’、B’参照)。従って、上記篩網7上に落下供給された粗粉砕大豆23、粗粉砕皮24は、上記振動函5の上記振動によって上記篩網7上を徐々に前方(矢印D方向)に移動していくように構成されている。
【0036】
さらに、上記篩網7を介して下部エリアE2に落下した微小片25は、上記振動函5の底面5a’上に落下供給されるが、これら微小片25も上記振動函5の矢印A,B方向の上記往復回転振動によって、前方(矢印D方向)に移動していくように構成されている。
【0037】
上記固定函2の前面板2”には、上記誘導通路部5cを通すための開口部2cが形成されている(
図1、
図3参照)。この開口部2cの面積は、上記誘導通路部5cが矢印A,B方向に往復回転振動しても、その外板が上記開口部2cの周縁に当接しないように広く形成されている。
【0038】
本発明は上述のように構成されるので、本発明に係る大豆の皮分離装置を使用した豆乳の製造方法について
図10等を使用して説明する。
【0039】
まず、駆動モータ4及び駆動モータ6を回転駆動し、大豆粉砕機3を回転駆動すると共に、振動函5を振動させる。上記駆動モータ6を駆動すると、ベルトB2を介して駆動軸19が矢印C方向に回転するので、それに伴ってカム18が回転中心Nを中心に矢印C方向に回転する。すると、カム18の回転中心Nは偏心しているので、カム支持アーム16が矢印A,B方向に傾斜した往復回転運動を行い、それに伴って振動函5全体が矢印A,B方向、即ち、前方が高く後方が低く傾斜した斜め方向に沿って前後方向に往復回転運動を行う。
【0040】
また、空気吸引機9を駆動し、上記吸引管8を介して上記振動函5及び固定函2内の空気を吸引しているものとする。このとき、固定函2と振動函5内の空気は、全体として上記吸引管8の吸引口8aから上方に吸引されていく。
【0041】
従って、篩網7の下部エリアE2にある空気は、当該エリアE2から篩網7の上部エリアE1側に吹き上げられ、その結果、上記篩網7の下部エリアE2から篩網7の上部エリアE1側への空気の流れが形成されている。
【0042】
このような空気流が生じている上記振動函5の往復回転運動時において、全粒大豆を大豆粉砕機3のホッパー10に所定量投入する。すると、全粒大豆は当該大豆粉砕機3にて粗粉砕され、子葉が粉砕された粗粉砕大豆23、脱皮されかつ粗粉砕された粗粉砕皮(粉砕皮)24、杯軸を含む微小片25に粉砕され、排出シュート11から固定函2内に落下供給される(
図10参照)。
【0043】
上記固定函2に落下供給された上記粗粉砕大豆23等は、上記振動函5の振動中の篩網7上に落下し、上記篩網7の矢印A,B方向の振動により、上記篩網7の網目より細かい微小片25は上記篩網7の網目より下部エリアE2の底面5a’上に落下する。
【0044】
上記篩網7上に残留した粗粉砕大豆23、粗粉砕皮(粉砕皮)24は、上記篩網7の矢印A,B方向の往復振動により、徐々に前方(矢印D方向)に移動していく。実際には
図10に示すように、振動函5(篩網7)の矢印A,B方向の振動に従って、矢印D’に示すように小刻みに飛びはねながら前方に進んでいく。同時に、上記振動函5の底面5a’上に落下した微小片25も、当該振動函5の矢印A,B方向の振動により、徐々に前方(矢印D方向)に矢印D’のように小刻みに飛び跳ねながら移動してく。
【0045】
そして、上記粗粉砕大豆23及び粗粉砕皮24は、上記吸引管8の吸引口8a近傍に移動すると、重量大の粗粉砕大豆23は吸引されず、重量小の粗粉砕皮(粉砕皮)24のみが、上記吸引管8の吸引力によって当該吸引管8に吸い込まれ、吸引経路8’を通じて皮収納トレー34に蓄積されていく。重量大の上記粗粉剤大豆23は、吸引されずに上記篩網7の振動によって引き続き前方(矢印D方向)に移動していく。
【0046】
また、上記篩網7の下方から上記篩網7の上方に向けて吹き上げ空気流が生じているので、当該吹き上げ空気流によって、上記篩網7上に存在する軽い粗粉砕皮(粉砕皮)24のみが上方に吹き上げられ、上記吸引管8の開口部8aから容易に吸引管8内に吸引されていく。
【0047】
このように、上記粗粉砕皮24は上記吸引管8の吸引力によって直接的に上記吸引管8内に吸引されていくと共に、上記吹き上げ空気流によって上記篩網7の上方に吹き上げられるため、上記篩網7上に吹き上げられた粗粉砕皮24は上記吸引管8の吸引力によって容易に当該吸引管8内に吸引されていく。
【0048】
一方、上記篩網7上の粗粉砕大豆23は、上記粗粉剤皮24に比べて重量が大なので、上記吹き上げ空気流によって吹き上げられることなく、従って、上記吸引管8に吸引されることなく、上記篩網7の振動によって、上記吸引管8の下部を通過して、前方(矢印D方向)に進行して行く。
【0049】
また、上記振動函5の底面5a’に落下した微小片25は、上記吸引管8の吸引口8aから距離が遠いため、上方に吸引されることなく、上記振動函5の矢印A,B方向の往復回転振動によって前方(矢印D方向)に進行していく(矢印D’参照)。
【0050】
かかる作用によって、上記篩網7上に存在する粗粉砕皮24は、略全て上記吸引管8によって吸引除去することができ、従って、上記篩網7上において、上記吸引管8の位置より前方側は、粗粉砕大豆23のみとなり、当該粗粉砕大豆23のみが前方に移動していく。また、上記振動函5の底面上の微小片25も前方に進行していく。
【0051】
そして、上記粗粉砕大豆23は、上記篩網7の先端部7a(絞部5bの位置)から上記振動函5の上記底面5a’上に落下する。その後は、上記底面5a’上の上記粗粉剤大豆23と微小片25は、上記振動函5の矢印A,B方向の往復回転振動によって、共に、上記底面5a’上を引き続いて前方(矢印D方向)に移動して行き、上記誘導通路部5cの底面5a’を前端まで移動し、当該通路部5c’の開口部5fから下方に落下供給されていく。
【0052】
ここで、当該開口部5fから下方に落下供給される粗粉砕大豆は、篩網7上に残り、粗粉砕皮24を除去された粗粉砕大豆23(粗粉砕された子葉)だけでなく、細かく粉砕され篩網7から下方のエリアE2に落下した子葉からなる微小片25、及び細かく粉砕された杯軸の微小片25を含むため、大豆を有効に使用することができる。特に、上記粗粉砕大豆にはイソフラボンやサポニンを多く含む杯軸が含まれているため、栄養価の高い豆乳を製造することができる。
【0053】
上記開口部5fから落下する粗粉砕大豆23及び微小片25は、水に浸漬される所謂浸漬工程を経ることなく、混合タンク部28a〜28d(
図6参照)において、ナノレベルの水(マイクロバブル含有水)27と混合されて混合液(以下、この混合工程で製造される混合液を「前期混合液」という)が形成され、その後、混合微粉砕機械30にて微粉砕され、かつ、混合される。
【0054】
上記混合工程において、混合タンク部28a〜28dはそれぞれのタンク内に撹拌器を有している。これらの混合タンク部28a〜28d内には、ナノレベルの水27の送水が行われることでナノレベルの水27で満たされており、当該混合タンク部28a〜28d内に上記粗粉砕大豆23及び微小片25が各々投入される。このように、上記混合タンク部28a〜28d内に上記粗粉砕大豆23及び微小片25を投入することで、当該混合タンク部28a〜28d内において上記粗粉砕大豆23と微小片25と上記ナノレベルの水27とを撹拌器にて混合して上記前期混合液を生成することができる。
【0055】
この混合タンク部28a〜28dでの混合時間は、例えば3〜4分であり、従来の水への浸漬工程の時間(例えば約5時間〜15時間)に比較して、大幅に時間短縮することが可能である。ここで、マイクロバブル含有水とは、数十(nm)〜100(μm)程度の気泡、又は、数(μm)〜100(μm)程度の気泡を含む水をいう。ここでは、ナノレベルの気泡をも含んだ水(ナノレベルの水)、すなわち、数十(nm)〜100(μm)の気泡を含む水をマイクロバブル含有水という。このマイクロバブル含有水は、マイクロレベル又はナノレベルの極めて微小な気泡を含む水であり、上記粗粉砕大豆と混合することで、短時間で粗粉砕大豆中に迅速かつ充分に水分を浸透させることができ、粉砕大豆を長時間水に浸漬したと同様の効果を極めて短時間で実現し得るものである。このマイクロバブル含有水を製造するには公知の製造法、例えば、加圧溶解法、キャビテーション法、剪断力利用法、スタティックミキサー法、ベンチュリー法等があり、何れの方法で製造しても良い。
【0056】
この混合工程における粗粉砕大豆23及び微小片25と上記ナノレベルの水27との混合量(前期混合液の量、各混合タンク部28a〜28d内の混合液の量)は、後の加熱工程における加熱釜32a〜32dの何れか1つの1回分の容量に相当する量を生成するように構成する。
【0057】
上記ナノレベルの水27と上記粗粉砕大豆23、微小片25とを混合する混合タンク部28a〜28dは
図6に示すように、その出力部に切換弁29a〜29dが各々設けられており、次段の混合微粉砕工程における混合微粉砕機械30に接続されている。
【0058】
そして、上記混合微粉砕機械30の出力部には切換弁31a〜31dが設けられており、当該切換弁31a〜31dは4つの加熱釜32a,32b,32c,32dに各々接続されており、各加熱釜32a〜32dの出力部は、1つの分離機械33に接続されている(
図6参照)。
【0059】
従って、上記混合タンク部28a〜28dにおいては、一の加熱釜(32a,32b,32c,32dの何れか一つ)における容量分の前期混合液が生成され、上記混合タンク部28a〜28dの何れかにおいて前期混合液の生成が完了した時点で、上記切換弁29a〜29dを介して前期混合液を混合微粉砕機械30に投入する。上記混合微粉砕機械30では上記混合タンク部28a〜28dの何れか一つから上記加熱釜一つ分の容量の前期混合液が投入され、投入された前期混合液をさらに細かく粉砕し、かつ混合して混合液(以下、混合微粉砕機械30で製造された混合液を「後期混合液」という)を製造する。
【0060】
上記混合微粉砕機械30での混合微粉砕が終了すると、上記混合微粉砕機械30から後期混合液を切換弁31a〜31dを介して、空いている加熱釜(32a〜32dの何れか)に投入する。
【0061】
上記混合タンク部28a〜28dでは加熱釜1個分の容量の前期混合液を製造することができるので、当初は上記前期混合液を切換弁29a〜29dを介して混合微粉砕機械30に前期混合液を投入して加熱釜1個分の容量の後期混合液を製造することができる。
【0062】
上記混合微粉砕機械30での混合微粉砕途中において、混合タンク部28a〜28dにおいて、次の前期混合液が完成した場合は、新たに製造された前期混合液をそのまま混合タンク部28a〜28dにて待機させる為、混合微粉砕機械30での混合微粉砕が終了していなくても何ら問題がない。
【0063】
そして、上記混合微粉砕機械30での混合微粉砕が終了し、後期混合液を何れかの加熱釜32a〜32dに投入した後は、直ちに、混合タンク部28a〜28d何れかにて待機していた前期混合液を混合微粉砕機械30に投入することができ、前期混合液の製造及び後期混合液の製造を連続的に途切れることなく行うことができる。
【0064】
さらに、上記混合微粉砕機械30での混合微粉砕が終了した後期混合液は、切換弁31a〜31dを介して加熱釜32a〜32dの内、空いている何れか一の加熱釜に投入して加熱を行うことができる。
【0065】
上記混合微粉砕機械30は、
図8に示すように、上記前期混合液を投入する投入口41と、後期混合液を排出する排出口42を有する管状の本体43を有し、該本体43内に同軸的に高速回転する第1タービン44と第2タービン45が配置されており、上記投入口41から投入された前期混合液を上記高速回転する第1タービン44と第2タービン45にて微小粒子に微粉砕し、同時に、上記ナノレベルの水との混合を行うものである。
【0066】
従って、当該混合微粉砕工程においては、粗粉砕大豆23及び微小片25がさらに微粉砕されることで、大豆繊維が上記第1タービン及び第2タービンの羽(刃)により細かく切断され、これにより大豆繊維に含まれるオリゴ糖が混合液に抽出され、後期混合液が製造される。尚、
図8において、47はタービンの駆動モータ、46は上記駆動モータ47により回転駆動されるタービンシャフトである。
【0067】
上記混合微粉砕機械30にて製造された上記後期混合液は、切換弁31a〜31dを介して何れかの空いている加熱釜32a〜32dに投入される。ここで加熱釜32aが空いているとすると、上記後期混合液は当該加熱釜32aに投入され、当該加熱釜32aにて加熱が行われる。ここで、上記混合液微粉砕機械30において、次の後期混合液が製造された場合において、加熱釜32aにて加熱が継続している場合は、上記後期混合液を切換弁31a〜31dを介して空いている加熱釜32b又は32c又は32dに投入すれば良い。このように、混合微粉砕機械30にて製造された後期混合液は連続的に加熱釜に投入することができる。
【0068】
加熱釜32a〜32dにて加熱が終了すると、加熱混合液は次段の分離機械33に投入され、当該分離機械33において豆乳とオカラに分離され、最終的に豆乳が製造される。上記分離機33は上記加熱混合液を濾すことにより、上記加熱混合液から豆乳とオカラを分離する。
【0069】
本発明の豆乳の製造方法によると、全粒大豆を粗粉砕してから最終の分離工程まで要する時間は約20分であり、従来の浸漬工程時間の約5時間から15時間が無くなるため、大幅な時間短縮が可能となる。
【0070】
上記
図6の実施形態では、複数の混合タンク部28a〜28d及び1つの混合微粉砕機30と、複数の加熱釜32a〜32dを用いて、混合工程と、混合微粉砕工程と、加熱工程を各別に行ったが、円筒形の長い連続混合撹拌タンクと、連続的に混合微粉砕が可能な連続混合微粉砕機と、円筒形の長い連続加熱釜を用い、粗粉砕大豆と微小片とを、上記連続混合撹拌タンクにて連続的に投入して連続的に混合撹拌して前期混合液を連続的に製造し、引き続いて連続混合微粉砕機械にて混合微粉砕を連続して行い後期混合液を連続的に製造し、さらに引き続いて後期混合液を連続加熱釜にて連続的に加熱することにより、途切れることなく、連続的に投入を製造することも可能である。
【0071】
本発明は以上のように、粗粉砕大豆と粗粉砕皮の混合物から粗粉砕皮のみを正確に分離することができると共に、粗粉砕大豆のみならず、大豆の杯軸等を含む粉砕された微小片をも振動函の開口部から排出することにより、栄養価の高い杯軸を含む大豆の微小片をも有効に利用して豆乳を製造することができ、使用大豆の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0072】
また、マイクロバブル含有水を用いることにより、大豆の長時間の浸漬工程を経ることなく、短時間で豆乳を製造することができる大豆の皮分離装置を使用した豆乳の製造方法を実現することができる。
【0073】
さらに、マイクロバブル含有水と混合した前期混合液は、混合微粉砕機械にて細かく粉砕、切断されて後期混合液が生成されるため、大豆繊維に含まれるオリゴ糖等が後記混合液に抽出され、これによりおいしい豆乳を製造することができる。