特許第5759679号(P5759679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759679
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】屋内廃棄物処分場のガス検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20150716BHJP
   B09B 1/00 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   G01N1/22 AZAB
   B09B1/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-101049(P2010-101049)
(22)【出願日】2010年4月26日
(65)【公開番号】特開2011-232092(P2011-232092A)
(43)【公開日】2011年11月17日
【審査請求日】2013年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】000250421
【氏名又は名称】理研計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森 拓雄
(72)【発明者】
【氏名】嶽本 政宏
(72)【発明者】
【氏名】鴫谷 孝
(72)【発明者】
【氏名】葛西 実
(72)【発明者】
【氏名】山木 光夫
(72)【発明者】
【氏名】岩嵜 利章
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−189919(JP,A)
【文献】 特開2010−073077(JP,A)
【文献】 特開2005−186024(JP,A)
【文献】 特開2003−236486(JP,A)
【文献】 特開2005−058963(JP,A)
【文献】 特開2005−087787(JP,A)
【文献】 特開2005−042298(JP,A)
【文献】 特開2004−344838(JP,A)
【文献】 特開2005−087792(JP,A)
【文献】 特開平04−080631(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0047020(US,A1)
【文献】 米国特許第6004070(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2701976(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00− 5/00
G08B 19/00−21/24
G01N 1/00− 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な建屋の内部に処分ピットが設けられた屋内廃棄物処分場のガス検知システムであって、
前記屋内廃棄処分場は複数の埋立区画に区画され、前記建屋は、隣接する埋立区画相互間を移動可能に構成され、
前記建屋の複数箇所にそれぞれ着脱可能に取り付けられるとともに、前記屋内廃棄物処分場内のガスを採取して検知し、該検知データを無線送信する複数のガス検知手段と、
前記建屋に取り付けられ、前記複数のガス検知手段から無線送信されたガスの検知データを受信する受信手段と、
前記建屋の外部に設けられ、前記受信手段から送信された前記ガスの検知データを受信し、該受信した検知データを出力する管理手段とを備えていることを特徴とする屋内廃棄物処分場のガス検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内廃棄物処分場のガス検知システムに関する。
【0002】
近年、廃棄物処分場の廃棄物から発生するガスによって周辺の環境が汚染されるのを防止するため、建屋内に廃棄物を貯留する処分ピットを設けた閉鎖式廃棄物処分場(屋内廃棄物処分場)が建設されている。
【0003】
屋内廃棄物処分場は、建屋内に設けた処分ピット内に廃棄物を貯留しているため、廃棄物から発生するガスが周辺に拡散して周辺環境を汚染するおそれはない。しかし、建屋内で各種の作業を行う作業者が危険に晒されることがないようにするため、廃棄物から発生するガスの種類及びその濃度を検知し、その検知したデータに基づいて適切な対策(警報を発する、換気装置を作動させる等の対策)を採り、作業者の安全を確保する必要がある。
【0004】
特許文献1には、屋内廃棄物処分場の廃棄物から発生するガスの種類及びその濃度を検知するガス検知システムの一例が記載されている。
このガス検知システムは、建屋内の天井部の中央部及び両側部に巻き取り装置を垂直方向及び水平方向に移動可能に設け、建屋内の天井部及び壁部に沿ってガスサンプリング管を設置し、このガスサンプリング管を巻き取り装置によって支持して垂直方向及び水平方向に移動可能とし、ガスサンプリング管の一端の吸引口を廃棄物に対向させ、他端を建屋外に引き出して、建屋と別棟のモニタリング室内に設けたポンプに接続したものである。
【0005】
このような構成のガス検知システムにあっては、ポンプを作動させて、ガスサンプリング管の一端の吸引口を介してガスを吸引し、このガスをガスサンプリング管を介してモニタリング室内のガス検知器に導き、ガス検知器のセンサでガスの種類及びその濃度を検知し、この検知結果を示したデータをモニタリング室内の制御部に送り、取得したデータに基づいて制御部を通じて警報を発する等の対策を実行することにより、作業者の安全を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−186024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のガス検知システムにあっては、ガスサンプリング管の全長が非常に長いため、発生するガスの種類及びその濃度を検知し、その検知結果に基づいて警報を発する等の対策を採るまでに時間がかかり、作業者の安全を確保することが困難になることがある。
【0008】
また、ガスサンプリング管の設置に非常に手間がかかる上、ガスサンプリング管の内部に粉塵等が溜り易く、その粉塵等を取り除くためのメンテナンスが必要になり、その作業に手間がかかる。
【0009】
しかも、巻き取り装置からガスサンプリング管を繰り出し、又は巻き取る際に、ガスサンプリング管が錯綜するおそれがあり、ガスサンプリング管が破損する等のトラブルが発生することがある。
【0010】
さらに、ガスサンプリング管の全長が長いため、ガスを吸い込む際に大きな負圧が生じてガスサンプリング管が変形し、ガスの吸い込みが困難になる。さらに、ガスサンプリング管が変形した状態で巻き取り装置に巻き取られるため、更にガスの吸引が困難になる。
【0011】
さらに、処分ピットを複数の埋立区画に区画し、隣接する埋立区画相互間で建屋(屋根)を移動可能に構成した廃棄物処分場の場合、小型の建屋の場合には、レールやクレーンを用いて建屋を埋立区画相互間で移動させることができるが、大型の建屋の場合には、レールやクレーンを用いて建屋を移動させることが困難であるため、建屋を分解して移動させ、移動後に再度組み立てる必要があるため、その作業に非常に手間がかかる。また、建屋の移動に伴ってガスサンプリング管、及びその付帯設備も分解して移動させ、移動後に組み立てる必要があるため、その作業にも非常に手間がかかる。
【0012】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、ガスサンプリング管を用いることなく、発生するガスの種類及びその濃度の検知を行えるとともに、構造が簡単でメンテナンスが容易であり、さらに、移動式の建屋(屋根)を備えた廃棄物処分場に適用した場合には、移動式の屋根の移動及びそれに伴う設備の移動を容易に短時間で行うことができる屋内廃棄物処分場のガス検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、移動可能な建屋の内部に処分ピットが設けられた屋内廃棄物処分場のガス検知システムであって、前記屋内廃棄処分場は複数の埋立区画に区画され、前記建屋は、隣接する埋立区画相互間を移動可能に構成され、前記建屋の複数箇所にそれぞれ着脱可能に取り付けられるとともに、前記屋内廃棄物処分場内のガスを採取して検知し、該検知データを無線送信する複数のガス検知手段と、前記建屋に取り付けられ、前記複数のガス検知手段から無線送信されたガスの検知データを受信する受信手段と、前記建屋の外部に設けられ、前記受信手段から送信された前記ガスの検知データを受信し、該受信した検知データを出力する管理手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の屋内廃棄物処分場のガス検知システムによれば、ガスを採取して検知するガス検知手段を建屋の少なくとも1箇所に着脱可能に取り付けるように構成したので、ガスサンプリング管によりガスを採取するガス検知システムように、設置に時間と手間と費用がかかるようなことはなく、設置に要する時間と手間と費用を大幅に削減することができる。
また、ガスサンプリング管の全長が長いため、ガスを吸い込む際に大きな負圧が生じてガスサンプリング管が変形し、ガスの吸い込みが困難になるようなことはなく、さらに、ガスサンプリング管が変形した状態で巻き取り装置に巻き取られるため、更にガスの吸引が困難になるようなことはなく、発生するガスを確実に採取して、そのガスの種類および濃度を検知することができる。
さらに、ガス検知手段を建屋から容易に取り外すことができるので、ガス検知手段のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、ガス検知手段を他の場所に移動させて、メンテナンスを行うことができるので、ガス検知手段のメンテナンスを効率良く行うことができる。さらに、ガス検知手段のメンテナンスを行う場合に、メンテナンス完了済みの予備のガス検知手段を取り付けることにより、ガスの検知を中断させることなく連続して行うことができる。
【0018】
また、建屋を移動させる場合に、移動式建屋と一体にガス検知手段及び受信手段を移動させることができるので、移動式建屋の移動の際に、移動式建屋からガス検知手段等を取り外し、移動式建屋を移動させた後に、ガス検知手段等を再度取り付けるような煩雑な作業が不要となる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明の屋内廃棄物処分場のガス検知システムによれば、ガス検知手段等の着脱を容易に行うことができるので、設置に要する時間、手間、及び費用を大幅に削減することができる。また、複数の埋立区画に区画された廃棄物処分場の埋立区画相互間で移動式建屋を移動させながら、各埋立区画に廃棄物を埋め立て処分する場合には、移動式建屋と一体にガス検知手段等を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による屋内廃棄物処分場のガス検知システムの第1の実施の形態を示した概略図である。
図2】本発明による屋内廃棄物処分場のガス検知システムのブロック図である。
図3】本発明による屋内廃棄物処分場ガス検知システムの第2の実施の形態を示した概略図であって、第1埋立区画への廃棄物の埋め立て処分状態を示した説明図である。
図4】第2埋立区画への廃棄物の埋め立て処分状態を示した説明図である。
図5】第3埋立区画への廃棄物の埋め立て処分状態を示した説明図である。
図6】第4埋立区画への廃棄物の埋め立て処分状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明による屋内廃棄物処分場のガス検知システムの第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11は、地表面に開口する平面視矩形状の処分ピット2と、処分ピット2の上部開口を覆う固定式建屋3(周囲が壁部4で覆われ、上部が屋根7で覆われた建屋)とを備えた屋内廃棄物処分場1に適用したものである。
【0022】
すなわち、本実施の形態の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11は、固定式建屋3の内部の複数箇所(壁部4、天井部6等の複数箇所)に設けられるガス検知手段12と、固定式建屋3の内部又は外部に設けられる受信手段17と、固定式建屋3の外部に設けられる管理手段21とを備えている。
【0023】
なお、本実施の形態においては、固定式建屋3の両側の壁部4a、4bの内面にガス検知手段12を設け、前側の壁部4cの内面に受信手段17を設け、一側の壁部4aの外側の地面上に管理室20を設置し、この管理室20内に管理手段21を設けている。
【0024】
図2に示すように、ガス検知手段12は、例えば、ガスの種類及びその濃度を検知する複数のセンサ14を有する検知部13と、ガスを吸引して検知部13に導くポンプ15と、ポンプ15の吸引口に接続される吸引ホース(図示せず)と、検知部13が検知したガスの検知データを無線送信する送信部16とを備えている。ガス検知手段12の検知部13で検知したガスの検知データは、送信部16から無線によって後述する受信手段17に送信される。
【0025】
なお、本実施の形態においては、ガス検知手段12の検知部13には、7種類のガス(メタンガス、水素ガス、硫化水素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アンモニアガス)及びその濃度を検知するセンサ14が設けられている。
【0026】
固定式建屋3の両側の壁部4a、4b、前側の壁部4c、及び後側の壁部4dの内面側の複数箇所には、所定の間隔ごとに複数箇所にガス検知手段12の取付部5が設けられ、この取付部5にボルト等の取付手段(図示せず)によってガス検知手段12が着脱可能に取り付けられる。
【0027】
本実施の形態においては、固定式建屋3の両側の壁部4a、4bの内面側の6箇所の取付部5を利用し、これらの取付部5にそれぞれボルト等の取付手段によってガス検知手段12を取り付け、これらのガス検知手段12に対応する処分ピット2の部分におけるガスの種類及びその濃度を検知している。各ガス検知手段12によって検知したガスの検知データは、各ガス検知手段12の送信部16から後述する受信手段17に無線により送信される。
なお、ここで、ガスの検知データとは、ガス検知手段12が検知したガスの種類及びその濃度の物理値、或いは、その物理値を電圧値等に変換したものを含むものとする。
【0028】
図2に示すように、受信手段17は、ガス検知手段12の送信部16から無線によって送信されたガスの検知データを受信する受信部18と、受信部18が受信したガスの検知データを管理手段21に出力する制御部19とを備えている。受信手段17は、各ガス検知手段12の送信部16から送信される検知データを受信可能な場所に設置され、本実施の形態においては、固定式建屋3の前面側の壁部4cの内面側にボルト等の取付手段によって着脱可能に取り付けられている。
【0029】
図1及び図2に示すように、管理手段21は、固定式建屋3の一側の壁部4aの外側の地面上に設置される固定式建屋3と別棟の管理室20内に設けられ、受信手段17の制御部19にケーブル23によって電気的に接続されている。管理手段21は、受信手段17の制御部19から出力されたガスの検知データを出力するモニター等の表示手段22を備え、この表示手段22に出力されたガスの検知データに基づいて、適切な対策(警報器の作動、換気装置の作動等)が採られる。
【0030】
上記のように構成した本実施の形態の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11により、処分ピット2の各部におけるガスの種類及びその濃度を検知するには、図1及び図2に示すように、固定式建屋3の壁部4a、4bの内面側の6箇所に取り付けたガス検知手段12のポンプ15の作動により、それに対応する処分ピット2の部分のガスを吸引ホース(図示せず)を介して吸引して検知部13に導き、検知部13のセンサ14によって吸引したガスの種類及びその濃度を検知し、そのガスの検知データを送信部16から無線によって受信手段17の受信部18に送信する。
【0031】
そして、受信手段17の受信部18で受信したガスの検知データを制御部19を介して管理室20内の管理手段21の表示手段22に出力し、表示手段22に出力される検知データに基づいて、適切な対策(警報器の作動、換気装置の作動等)を採る。これにより、固定建屋3内において、各種の作業を行う作業者の安全を確保することができる。
【0032】
上記のように構成した本実施の形態の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11にあっては、処分ピット2の各部のガスを採取して検知しようとする場合に、ガスの採取箇所に対応する固定式建屋3の壁部4の部分にガス検知手段12を取り付け、このガス検知手段12によってガスを採取して検知し、この検知データを無線によって受信手段17に送信し、受信手段17から有線によって管理手段21に送信し、管理手段21の表示手段22に出力することができる。
【0033】
従って、ガスサンプリング管を使用したガス検知システムのように、設置に手間がかかるようなことはなく、ガス検知手段11の設置を容易に、短時間で、多大な費用をかけることなく行うことができる。
また、ガスサンプリング管の全長が長いため、ガスを吸い込む際に大きな負圧が生じてガスサンプリング管が変形し、ガスの吸い込みが困難になるようなことはなく、さらに、ガスサンプリング管が変形した状態で巻き取り装置に巻き取られるため、更にガスの吸引が困難になるようなことはなく、発生するガスを確実に採取して、そのガスの種類および濃度を検知することができる。
【0034】
さらに、ガス検知手段12の検知部13が液体を使用したものであっても、ガス検知手段12を固定式建屋3の壁部4の取付部にボルト等の取付手段によって固定しているので、ガス検知手段12によりガスを採取して検知する際に、ガス検知手段12の検知部13が振動による影響を受けるようなことはなく、所期の検知精度が得られることになる。
【0035】
さらに、ガス検知手段12を固定式建屋3の壁部4に設けた取付部にボルト等の取付手段によって容易に着脱させることができるので、ガス検知手段12のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、ガス検知手段12のメンテナンスを行う場合に、ガス検知手段12を取り外した後に、メンテナンスが完了している予備のガス検知手段12を取り付けておくことにより、ガスの検知を中断することなく連続して行うことができる。さらに、取り外したガス検知手段12を修理工場等に搬入してメンテナンスを行うことができるので、ガス検知手段12のメンテナンスを効率良く行うことができる。
【0036】
図3図6には、本発明による屋内廃棄物処分場のガス検知システムの第2の実施の形態が示されている。
本実施の形態の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11は、4つの埋立区画2a、2b、2c、2dに区画された処分ピット2を備え、隣接する埋立区画2a、2b、2c、2d相互間に移動式建屋8を移動可能に設けた廃棄物処分場1に適用したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0037】
この場合、移動式建屋8は、一つの埋立区画2a、2b、2c、2dを覆う大きさに形成され、図中、上下に連続する埋立区画2aと埋立区画2bとの間に敷設されたレール(図示せず)、埋立区画2cと埋立区画2dとの間に敷設されたレール(図示せず)上を移動可能に構成されている。また、左右に連続する埋立区画2cと埋立区画2bとの間、埋立区画2dと埋立区画2aとの間で移動式建屋8を移動させる場合には、クレーン(図示せず)を用いて移動式建屋8を分解してから揚重し、左側のレールと右側のレールの相互間で移動式建屋8を移動させる。
【0038】
上記のような移動式建屋8を備えた廃棄物処分場1に本発明の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11を適用する場合、図3に示すように、例えば、移動式建屋8の複数箇所(本実施の形態では両側の壁部9a、9bの内面側の6箇所)にガス検知手段12を取り付け、前面側の壁部9cの内面側に受信手段17を取り付け、移動式建屋8の前面側の壁部9cの外側の地面上に移動式建屋8と別棟の管理室20を設置し、この管理室20内に管理手段21を設置し、管理手段21と受信手段17とをケーブル23によって電気的に接続する。
【0039】
そして、図3に示すように、第1埋立区画2aの上部に移動式建屋8を配置し、各ガス検知手段12の検知部13によって第1埋立区画2aの各部において発生するガスの種類及びその濃度を検知し、その検知した検知データを各ガス検知手段12の送信部16から受信手段17の受信部18に無線により送信し、受信手段17の制御部19により受信した検知データを管理手段21に送信し、管理手段21のモニター等の表示手段22に出力し、表示手段22に出力したガスの検知データに基づいて、適切な対策(警報機の作動、換気装置の作動等)を採る。これにより、移動式建屋8内において、各種の作業を行う作業者の安全を確保することができる。
【0040】
次に、第1埋立区画2aに廃棄物の埋め立て処分が完了した後に、図4に示すように、移動式建屋8をレールを介して第1埋立区画2aから第2埋立区画2bに移動させ、第2埋立区画2bを移動式建屋8で覆い、この状態で、第2埋立区画2bへの廃棄物の埋め立て処分を行ない、この際に、各ガス検知手段12によって第2埋立区画2bの各部のガスの種類及びその濃度を検知し、この検知したデータを受信手段17を介して管理手段21に送り、管理手段21の表示手段22に出力し、その出力した検知データに基づいて適切な対策(警報器を作動させる、換気装置を作動させる等)を採る。
【0041】
そして、第2埋立区画2bへの廃棄物の埋め立て処分が完了した後に、図5に示すように、移動式建屋8をクレーンを用いて揚重し、右側のレールから左側のレールに移動させて、第3埋立区画2cを移動式建屋8によって覆い、第3埋立区画2cに対する廃棄物の埋め立て処分を行ない、この際に、第1埋立区画2a、及び第2埋立区画2bと同様に、第3埋立区画2cの各部に発生するガスの種類及びその濃度を検知し、その検知データに基づいた適切な対策を採る。
【0042】
そして、第3埋立区画2cの埋め立て処分が完了した後に、図6に示すように、第3埋立区画2cから移動式屋根8をレールを介して第4埋立区画2dに移動させ、第4埋立区画2dに対する廃棄物の埋め立て処分を行ない、この際に、第1埋立区画2a、第2埋立区画2b、及び第3埋立区画2cと同様に、第4埋立区画2dの各部に発生するガスの種類及びその濃度を検知し、その検知データに基づいた適切な対策を採る。
【0043】
このようにして、処分ピット2の各埋立区画2a、2b、2c、2dで各種の作業を行う作業者の安全を確保しながら、複数の埋立区画2a、2b、2c、2dに区画された処分ピット2の全体に廃棄物を埋め立て処分することができる。
【0044】
上記のように構成した本実施の形態による屋内廃棄物処分場のガス検知システム11にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏する他、移動式建屋8を埋立区画2a、2b、2c、2d相互間で移動さる場合に、ガス検知手段12、受信手段17、管理手段21を分解して移動式建屋8から取り外し、移動式建屋8の移動後に再び組み立てて取り付けるような作業が不要であるので、移動式建屋8の移動、及び移動式建屋8の移動に伴うガス検知手段12等の移動に要する時間と手間と費用を大幅に削減することができる。
【0045】
なお、管理手段21は、処分ピット2の外側の地面上に固定されているので、管理手段21と受信手段17との間は、ケーブル23の着脱によって容易に接続又は分離することができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、本発明の屋内廃棄物処分場のガス検知システム11を4つの埋立区画2a、2b、2c、2dに区画した矩形状の処分ピット2を備えた廃棄物処分場1に適用したが、3つ以下又は5つ以上の埋立区画に区画した矩形状の処分ピットを備えた廃棄物処分場に適用してもよい。また、矩形状の処分ピットに限らず、円形状の処分ピットを備えた廃棄物処分場に本発明を適用してよい。円形状の処分ピットに適用する場合には、処分ピットを扇形状の複数の埋立区画に区画し、移動式建屋を各埋立区画を覆う扇形状の屋根を備えたものとし、この移動式建屋を処分ピットの周方向に移動させながら、各埋立区画に対して廃棄物の埋め立て処分を行うように構成すればよい。
【0047】
また、前記各実施の形態においては、ガス検知手段からのガスの検知データを受信手段を介して管理手段に送信したが、ガス検知手段からのガスの検知データを受信手段を介さずに管理手段に直接又は間接的に送信するように構成してもよい。
【0048】
さらに、前記各実施の形態においては、固定式建屋3の内部の複数箇所、移動式建屋8の内面側の複数箇所にガス検知手段12を取り付けたが、固定式建屋3の内部の1箇所、及び移動式建屋8の内面側の1箇所にガス検知手段12を取り付けてもよい。
【0049】
さらに、前記各実施の形態においては、固定式建屋3の内部、及び移動式建屋8の内面側にガス検知手段12を取り付けたが、固定式建屋3の外部、及び移動式建屋8の外面側にガス検知手段12の検知部13を取り付け、吸引ホースを固定式建屋3の内部及び移動式建屋8の内部に挿入するように構成してもよい。
【0050】
さらに、前記各実施の形態においては、固定式建屋3の内部、及び移動式建屋8の内面側に受信手段17を取り付けたが、固定式建屋3の外部、及び移動式建屋8の外面側に受信手段17を取り付け、又は固定式建屋3の近傍、及び移動式建屋8の近傍に受信手段17を設けてもよい。
【0051】
さらに、前記各実施の形態において、固定式建屋3及び移動式建屋8の周囲に移動可能に台車等の移動手段を配置し、この移動手段にガス検知手段12及び受信手段17を設けることにより、移動手段に追従してガス検知手段12及び受信手段17を移動可能に構成してもよい。この場合には、移動手段に設けたガス検知手段12の吸引ホースを固定式建屋3及び移動式建屋8の内部に挿入することにより、発生するガスの種類及びその濃度を検知することになる。
【符号の説明】
【0052】
1 屋内廃棄物処分場
2 処分ピット
2a 第1埋立区画
2b 第2埋立区画
2c 第3埋立区画
2d 第4埋立区画
3 固定式建屋
4 壁部
4a 壁部(一側)
4b 壁部(他側)
4c 壁部(前面)
4d 壁部(後面)
5 取付部
6 天井部
7 屋根
8 移動式建屋
9 壁部
9a 壁部(一側)
9b 壁部(他側)
9c 壁部(前面)
11 ガス検知システム
12 ガス検知手段
13 検知部
14 センサ
15 ポンプ
16 送信部
17 受信手段
18 受信部
19 制御部
20 管理室
21 管理手段
22 表示手段
23 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6