(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線通信システムにおいて、無線周波数送信器は、データを同位相チャンネル及び直交位相チャンネルの両チャンネルに乗せて送信する。したがって、所望の信号を完全に復元するためには、互いに90°の位相差を有する同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qが必要となり、このような同位相局部発振信号及び直交位相局部発振信号の位相差が正確に90°にならない場合には、最終的に信号を復元した時、ビットエラー率(Bit Error Rate)が高くなる。
【0003】
特に、両チャンネルへの信号分離が高い周波数で起こる直接変換方式の受信器やイメージ除去方式の受信器の場合、同位相信号Iと直交位相信号Qとの不整合は、システム全般に深刻な問題を起こしうる。
実際、無線周波数受信装置において、絶縁体の厚さ、素子の大きさまたはスペースの差、半導体物質の多様なクリスタル構造、及びレイアウト(layout)の不整合などによって、局部発振器を構成する遅延セルの特性が理想的に一致しない。このような遅延セルの間の特性不一致は、局部発振器から出力される同位相局部発振信号及び直交位相局部発振信号の間の位相不整合を発生させ、これは、受信装置のI/Q信号間の不整合を発生させる重要な原因となる。
【0004】
さらに、受信装置のI及びQ経路にある素子の間で発生した不整合も無線周波数受信装置のI/Q不整合を発生させる要因の一つである。
同位相信号及び直交位相信号の間で発生した位相不整合を補償するための技術として、ミキサを通過した基底帯域の同位相信号及び直交位相信号を補償する方法と、無線周波数信号のI経路及びQ経路を補償する方法とがある。
しかし、このような技術は、I/Q信号間の位相不整合を補償するために、付加的な位相シフト(shift)ブロックを付け加えなければならない短所があり、固有の振幅(amplitude)不整合を考慮しなければならないために、位相不整合の補償範囲に限界がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の望ましい実施形態を例示する添付図面及び添付図面に記載の内容を参照しなければならない。以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を説明することによって、本発明を詳しく説明する。各図面に付された同一参照符号は、同一部材を表わす。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による無線通信システム10を概略的に示す図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による無線通信システム10は、受信端100及び送信端200を含む。
無線通信システム10の受信端100は、第1アンテナ105、第1低ノイズ増幅器110、第1ミキサ120、第2ミキサ130、第1発振信号発生器140、第1基底帯域回路150、第2基底帯域回路160及びI/Q不整合ディテクタ(I/Q mismatch detector)170を含む。
【0014】
第1低ノイズ増幅器110は、第1アンテナ105を通じて受信された無線周波数信号(RF信号)を増幅、第1ミキサ120及び第2ミキサ130に印加する。第1ミキサ120及び第2ミキサ130は、増幅された無線周波数信号をそれぞれ第1発振信号発生器140から入力された同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qとミキシングして、中間周波数または基底帯域信号を出力する。第1基底帯域回路150及び第2基底帯域回路160は、それぞれ第1ミキサ120及び第2ミキサ130から出力された信号を増幅、濾過して同位相信号I
R及び直交位相信号Q
Rを出力する。
【0015】
無線通信システム10の送信端200は、第2アンテナ205、第2電力増幅器210、第3ミキサ220、第4ミキサ230、第2発振信号発生器240、第3基底帯域回路250及び第4基底帯域回路260を含む。
図1には図示されていないが、送信端200の同位相信号I
T及び直交位相信号Q
Tが、I/Q不整合ディテクタ170に入力されて、I/Q不整合が検出されうる。送信端200に含まれた第2電力増幅器210、第3ミキサ220、第4ミキサ230、第2発振信号発生器240、第3基底帯域回路250及び第4基底帯域回路260の動作は、前述した第1低ノイズ増幅器110、第1ミキサ120、第2ミキサ130、第1発振信号発生器140、第1基底帯域回路150及び第2基底帯域回路160の動作の逆動作を行う。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態による
図1の第1発振信号発生器140を具体的に説明するための図である。
図2では、
図1の第1発振信号発生器140のみを図示したが、
図1の第2発振信号発生器240も同様に構成することができる。
図2を参考にすると、第1発振信号発生器140は、クオドラチャーディバイダ(quadrature divider)141及び局部発振器(Local Oscillator)142を含む。クオドラチャーディバイダ141は、I/Q不整合補償機能を有する1/2分周器(frequency divider)であり得る。クオドラチャーディバイダ141は、局部発振器142の出力である同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qの位相を調節して、同位相信号I
R及び直交位相信号Q
Rの位相差を90°にする。この際、I/Q不整合ディテクタ170は、同位相信号I
Rと直交位相信号Q
Rとの間の位相エラー量(すなわち、I/Q位相不整合量)を検出し、クオドラチャーディバイダ141は、I/Q不整合ディテクタ170の検出結果に基づいて、同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qの位相を調節することができる。同位相信号I
Rと直交位相信号Q
Rとの間の位相不整合量は、同位相信号I
Rの位相と直交位相信号Q
Rの位相との間の差が90°から外れるほど大きくなる。
【0017】
図3Aは、本発明の一実施形態によるクオドラチャーディバイダ141を概略的に示すブロック図であり、
図3Bは、本発明の一実施形態によるクオドラチャーディバイダ141の回路図である。
図3Cは、クロック信号CKによって
図3Aのラッチ回路対300の動作による同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qを示す図である。この際、
図3Aに示されたクオドラチャーディバイダ141の詳細回路は、
図3Bに示された回路として具現可能であるが、これに限定されるものではない。
【0018】
図3A及び
図3Bを参考にすると、クオドラチャーディバイダ141は、ラッチ回路対300及び位相補償部320a、320b、320c、320dを含む。
ラッチ回路対300は、差動の同位相発振信号IP、INを発生させる第1ラッチ部300aと、第1ラッチ部300aとクロスカップルされ、差動の直交位相発振信号QP、QNを発生させる第2ラッチ部300bとを含みうる。
【0019】
第1ラッチ部300aは、位相遅延部310a、選択部330a及びバイアス部340aを含み、第2ラッチ部300bは、位相遅延部310b、選択部330b及びバイアス部340bを含む。
第1ラッチ部300aの位相遅延部310aは、クロック信号CKに応答して動作する第1差動トランジスタ対311aと相補クロック信号CKbに応答して動作する第2差動トランジスタ対312aとを備える。相補クロック信号CKbとは、クロック信号CKと周波数は同一であり、位相は180°の差を有する信号である。
【0020】
第2ラッチ部300bの位相遅延部310bは、相補クロック信号CKbに応答して動作する第1差動トランジスタ対311b及びクロック信号CKに応答して動作する第2差動トランジスタ対312bを備える。
第1バイアス部340aは、第1バイアスノードBN1と接地電圧との間に接続され、バイアス電圧Vbに応答して、第1ラッチ部300aのバイアス電流IDDIを調節することができる。
【0021】
第1ラッチ部300aの選択部330aは、第1バイアスノードBN1と第1共通ノードN1との間に接続されて、クロック信号CKに応答して、第1差動トランジスタ対311aを選択的に動作させるためのトランジスタ及び第1バイアスノードと第2共通ノードN2との間に接続されて、相補クロック信号CKbに応答して、第2差動トランジスタ対312aを選択的に動作させるためのトランジスタを含みうる。
【0022】
第2バイアス部340bは、第2バイアスノードBN2と接地電圧との間に接続され、バイアス電圧Vbに応答して、第2ラッチ部300bのバイアス電流IDDQを調節することができる。
第2ラッチ部300bの選択部330bは、第2バイアスノードBN2と第3共通ノードN3との間に接続されて、相補クロック信号CKbに応答して、第1差動トランジスタ対311bを選択的に動作させるためのトランジスタ及び第2バイアスノードBN2と第4共通ノードN4との間に接続されて、クロック信号CKに応答して、第2差動トランジスタ対312bを選択的に動作させるためのトランジスタを含みうる。
【0023】
第1ラッチ部300aは、第1差動トランジスタ対311aと第1電源電圧VDDとの間に接続されるロード(load)をさらに含み、第2ラッチ部300bは、第1差動トランジスタ対311bと第1電源電圧VDDとの間に接続されるロードをさらに含んで構成することができる。
位相遅延部310a、310bは、I/Q波形の位相を遅延させ、選択部330a、330bは、位相遅延部310a、310bを選択的に動作させる役割を果たす。
【0024】
バイアス部340a、340bにバイアス電圧Vbが印加され、選択部330a、330bにクロック信号CK及び相補クロック信号CKbが印加されれば、位相遅延部310a、310bの動作が行われる。
さらに具体的に、クロック信号CKが、第1ロジックレベル(ハイレベルまたはレベル1)である場合、第1ステージAの第1差動トランジスタ対311aが動作する。第1差動トランジスタ対311aのゲート端には、差動の直交位相局部発振信号QP及びQNが印加され、この際、QPのロジックレベルは0、QNのロジックレベルは1であり得る。
【0025】
QPロジックレベルが0、QNロジックレベルが1である場合、第1ステージAでの第1差動トランジスタ対311aの第1トランジスタ1aはOFFになり、第2トランジスタ2aはONになる。これにより、IPロジックレベルは1、INロジックレベルは0値を有する。この際、差動の同位相局部発振信号IP及びINは、第2差動トランジスタ対312aのゲート端に印加される。但し、第1ステージAでの第2差動トランジスタ対312aは、クロック信号CKが、第2ロジックレベル(ローレベルまたはレベル0)である場合に動作する。
【0026】
クロック信号CKが、第2ロジックレベル(ローレベルまたはレベル0)である場合、第1ステージAでの第2差動トランジスタ対312a及び第2ステージBでの第1差動トランジスタ対311bが動作する。第1ステージAの第1差動トランジスタ対311aの動作過程によってロジック1値を有するIP及びロジック0値を有するINが、第1ステージAでの第2差動トランジスタ対312aのゲート端に入力される。これにより、第1ステージAでの第2差動トランジスタ対312aの第3トランジスタ3aはOFFになり、第4トランジスタ4aはONになる。これにより、IP信号のロジックレベルは1、IN信号のロジックレベルは0値を有し、IP及びIN信号は、第2ステージBでの第1差動トランジスタ対311bのゲート端に印加される。
【0027】
第1ステージAの第2差動トランジスタ対312aの動作過程によるロジック1値を有するIP信号及びロジック0値を有するIN信号が、第2ステージBでの第1差動トランジスタ対311bのゲート端に入力される。これにより、第2ステージBでの第1差動トランジスタ対311bの第1トランジスタ1bはONになり、第2トランジスタ2bはOFFになる。これにより、QNロジックは0、QPロジックは1値を有し、QN及びQPは、第2ステージBでの第2差動トランジスタ対312bのゲート端に印加される。但し、第2ステージBでの第2差動トランジスタ対312bは、クロック信号CKが、第1ロジックレベル(ハイレベルまたはレベル1)である場合に動作する。
【0028】
第2ステージBの第1差動トランジスタ対311bの動作過程によるロジック0値を有するQN信号及びロジック1値を有するQP信号が、第2ステージBでの第2差動トランジスタ対312bのゲート端に入力される。これにより、第2ステージBでの第2差動トランジスタ対312bの第3トランジスタ3bはONになり、第4トランジスタ4bはOFFになる。これにより、QN信号はロジック0、QP信号はロジック1値を有し、QN及びQP信号は、第1ステージAでの第1差動トランジスタ対311aのゲート端に印加される。
【0029】
前述した過程は、クロック信号CKによるラッチ回路対300の第1ステージA及び第2ステージBの動作であって、前記のような過程は、クロック信号CKの第1ロジックレベル(ハイレベルまたはレベル1)及び第2ロジックレベル(ローレベルまたはレベル0)によって反復されうる。
【0030】
図3Cは、クロック信号CKによる前記のような動作を示す図であって、クロック信号CKによる同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qを表わす。同位相局部発振信号LO
Iは、差動の同位相局部発振信号IP及びINを表わし、直交位相局部発振信号LO
Qは、差動の直交位相局部発振信号QP及びQNを表わす。
【0031】
位相補償部320a、320b、320c、320dは、第1ステージAでの第1差動トランジスタ対311a及び第2差動トランジスタ対312aのバイアス電流を相補的に調節し、第2ステージBの第1差動トランジスタ対311b及び第2差動トランジスタ対312bのバイアス電流を相補的に調節することによって、同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qの位相を調節することができ、これを通じてI/Q不整合を補償することができる。ここで、バイアス電流を相補的に調節するということは、一つ(例えば、第1ステージAでの第1差動トランジスタ対311a)のバイアス電流を増加させる時、これに対応する他の一つ(例えば、第1ステージAでの第2差動トランジスタ対312aのバイアス電流)は、減少させることを意味する。バイアス電流の増加量と減少量は、相互同一であり得る。
【0032】
位相補償部320a、320b、320c、320dは、第1ステージAでの第1差動トランジスタ対311aの共通ソース端である第1共通ノードN1に接続されて、第1共通ノードN1に第1オフセット電流−△IOFFを提供する第1オフセット電流源320a、及び第2差動トランジスタ対312aの共通ソース端である第2共通ノードN2に連結されて、第2共通ノードN2に第2オフセット電流−△IOFFを提供する第2オフセット電流源320bを含みうる。
【0033】
位相補償部320a、320b、320c、320dはまた、第2ステージBの第1差動トランジスタ対311bの共通ソース端である第3共通ノードN3に接続されて、第3共通ノードN3に第3オフセット電流−△IOFFを提供する第3オフセット電流源320c、及び第2ステージBでの第2差動トランジスタ対312bの共通ソース端である第4共通ノードN4に接続されて、第4共通ノードN4に第4オフセット電流△IOFFを提供する第4オフセット電流源320dを含みうる。
【0034】
例えば、位相補償部320a、320b、320c、320dは、第1ステージAでの第1差動トランジスタ対311a及び第2差動トランジスタ対312aに同じ大きさの異なる符号値を有するオフセット電流値を印加させ、第2ステージBの第1差動トランジスタ対311b及び第2差動トランジスタ対312bに同じ大きさの異なる符号値を有するオフセット電流値を印加させうる。
【0035】
このようにすることによって、位相補償部320a、320b、320c、320dは、クロック信号CKに応答して動作する差動トランジスタ対311a、312bのバイアス電流を増加させる時、相補クロック信号CKbに応答して動作する差動トランジスタ対312a、311bのバイアス電流を減少させるか、その逆に調節することができる。
【0036】
図4Aは、本発明の一実施形態による位相補償部320a、320b、320c、320dを示すための図である。
図4Aに示された位相補償部320a、320d及び320b、320cは、オフセット電流源I1、I2で構成することができるが、本発明の範囲が、これに限定されるものではない。
【0037】
図4B及び
図4Cは、それぞれ
図4Aに示されたオフセット電流源の一具現例を示す回路図である。
図4Bを参照すると、第1ないし第4オフセット電流源のそれぞれは、電圧源と相応する共通ノードN1、N2、N3またはN4との間に接続され、アナログ電圧源の△VCまたは−△VCに応答して動作するトランジスタMP1、またはMP2として具現可能である。
【0038】
図4Bに示された実施形態では、アナログ電圧源の△VC及び−△VC値を増加させるか、減少させてオフセット電流△IOFF及び−△IOFF値を減少させるか、増加させることができる。アナログ電圧源△VC及び−△VC値は、前述したI/Q不整合ディテクタ170によって検出された同位相信号I
R及び直交位相信号Q
Rの間の位相不整合量によって可変されうる。I/Q不整合ディテクタ170は、リアルタイムで位相不整合量を検出することによって、オフセット電流量をリアルタイムで可変させることができる。またはI/Q不整合ディテクタ170は、非リアルタイム的に(例えば、受信装置のターンオン時や、リセット時のように特定イベントの発生時)位相不整合量を検出することができる。
【0039】
図4Bに示されたグラフは、△VCの増加、減少によるMP1トランジスタに流れる電流I_MP1とMP2トランジスタに流れる電流I_MP2との差を示す図である。
【0040】
図4Cは、デジタル制御を通じてオフセット電流値を可変するオフセット電流源の一例である。
図4Cを参照すると、オフセット電流源は、電流ミラー回路として具現され、電流ミラー回路は、電圧源と相応する共通ノードN1、N2、N3またはN4との間にそれぞれ接続され、デジタル制御信号に応答して、選択的に動作する少なくとも一つのトランジスタMP5、MP6、MP7、MP8として具現可能である。
【0041】
本実施形態では、デジタル制御信号は、電流ミラー(current mirror)でのオープン及びクローズ(0及び1)スイッチングを制御するための当該スイッチSW1、SW2、SW4、SW4に印加される。デジタル制御信号を用いてスイッチSW1、SW2、SW4、SW4の短絡を制御することによって、△IOFF及び−△IOFF値を減少させるか、増加させることができる。
【0042】
例えば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオープンされている場合には、MP4トランジスタには、MP3の電流量と同一のI3の電流が流れ、MP5及びMP6トランジスタには、電流が流れなくなる。したがって、ノードN1またはN4には、I3だけのオフセット電流が提供される。第1スイッチSW1がクローズされる場合には、MP4トランジスタだけではなく、MP5トランジスタにもI3の電流が流れ、ノードN1またはN4には、I3+I3=2I3が提供される。第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がクローズされる場合には、ノードN1またはN4には、MP4及びMP5トランジスタだけではなく、MP6トランジスタにもI3の電流が流れ、ノードN1またはN4には、I3+I3+I3=3I3が提供される。もちろん、トランジスタMP3、MP5、MP6の大きさを異なるように具現するならば、オフセット電流量も異なるように調節される。
【0043】
また、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4がクローズされている場合には、MP7、MP8及びMP9トランジスタには、MP10の電流量と同一の−I3の電流が流れる。したがって、ノードN2またはN3には、−I3−I3−I3=−3I3の電流が提供される。第4スイッチSW1のみクローズされる場合には、MP8及びMP9トランジスタに−I3の電流が流れ、ノードN2またはN3には、−I3−I3=−2I3が提供される。第3スイッチSW1及び第4スイッチSW2いずれもオープンされる場合には、MP9トランジスタにのみ−I3の電流が流れ、ノードN2またはN3には、−I3が提供される。デジタル制御信号は、前述したI/Q不整合ディテクタ170によって検出された同位相信号I
R及び直交位相信号Q
Rの間の位相不整合量によって可変されうる。
【0044】
図5は、オフセット電流印加によって発生した電圧オフセットを通じて第1及び第2差動トランジスタ対311a、312aまたは311b、312bの出力デューティが調整されることを示す図である。電圧オフセットVosによって
図3Bに示された第1及び第2バイアス電流IDDI及びIDDQの波形のトリップポイント(trip point)が、所定の電圧オフセットVosだけシフトされる。これにより、第1及び第2バイアス電流IDDI及びIDDQのトリップポイントを基準にレベルトランジションする信号を仮定すれば、その信号は、
図5に示されたように、F1からF2に変化する。すなわち、電圧オフセットVosが存在しない時の第1及び第2バイアス電流IDDI及びIDDQのトリップポイントを基準にレベルトランジションする信号がF1であれば、オフセット電流印加によって電圧オフセットVosが存在する時の第1及び第2バイアス電流IDDI及びIDDQのトリップポイントを基準にレベルトランジションする信号はF2になる。したがって、オフセット電流印加によって電圧オフセットVosが生じれば、これにより、クロック信号CK、CKbのデューティが変わる効果が得られる。
【0045】
クロック信号CK、CKbのデューティの変化は、第1及び第2差動トランジスタ対311a、312aまたは311b、312bの出力(すなわち、IP、QP、IN、QN)を変化させ、同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qの位相を調節することによって、基底帯域の同位相信号I
R及び基底帯域の直交位相信号Q
Rの位相不整合を補償することができる。
【0046】
前述したように、本発明の実施形態によれば、クロック信号CK、CKbのデューティーを直接的に変更せず、オフセット電流を印加して電圧オフセットVosを調節し、これを通じてクロック信号CK、CKbのデューティを間接的に変更することによって、同位相局部発振信号LO
I及び直交位相局部発振信号LO
Qの位相を調節する。
この際、電圧オフセットVosは、下記のような数式1によって求められる。
【0047】
【数1】
(ここで、Vosは、電圧オフセット、u
nは、電荷運搬キャリアの有効移動度、Wは、ゲート幅、Lは、ゲート長さ,C
oxは、単位面積当たりゲート酸化層の静電容量及び△Iは、オフセット電流に該当する。)
【0048】
図6は、電圧オフセットによる
図5のデューティ変化をより詳細に示すための図であって、
図5に示されたC部分を拡大したものである。電圧オフセットVosが発生すれば、クロック信号CKの波形が△tだけ移動し、△tは、下記のような数式2によって求められる。
【0049】
【数2】
したがって、数式1と数式2とを通じて下記のような数式3によって、△tと△Iとの関係が求められる。
【0050】
【数3】
すなわち、△tは、△Iと比例する。
【0051】
図7Aは、本発明の一実施形態によるオフセット電流の変化による振幅エラー及び位相エラーの変化を示すための図であり、
図7Bは、
図7Aの一部区間を拡大して示す図である。
図7A及び
図7Bを参考にすると、補償部320を通じて印加されるオフセット電流の変化を通じて位相エラーを変化させることができる。オフセット電流の変化によって振幅エラーには大きい変化はなく、一方、位相エラーは相対的に大きい変化があり、位相エラーの変化形態が線形性を有している。位相エラーの変化が線形性を有しているので、或る程度の位相エラーがあるかどうかを考慮して、オフセット電流量を変化することができて、位相不整合の補償に効率的である。
【0052】
図8は、本発明の一実施形態によるオフセット電流による位相変化を示すための図である。G1、G2波形は、第1及び第2差動トランジスタ対311a、312aまたは311b、312bに印加される入力波形であり、J、K、L、M、N波形は、I/Qの出力波形である。
【0053】
図8は、オフセット電流の変化によってI/Qの出力波形の間隔が変化することを表わしている。L波形部分は、オフセット電流がない時のI/Qの出力波形であり、J、K、M、N波形部分は、オフセット電流が20uA、10uA、−10uA、−20uAである時のI/Qの出力波形を表わす。JからNにオフセット電流の大きさが変化するほどI/Qの出力波形の間隔が次第に広くなることが分かる。さらに具体的に、オフセット電流が20uAである時(J)、間隔が最も狭く、オフセット電流が−20uAである時(N)、間隔が最も広い。すなわち、オフセット電流の変化によってI/Q出力波形の位相が変化する。
【0054】
図9は、本発明の一実施形態によるI/Q不整合を補償する過程を示すフローチャートである。
図8のI/Q不整合を補償する過程は、
図3Aに示されたクオドラチャーディバイダ141によって行われる。
図9を参考にすると、クオドラチャーディバイダ141に含まれた位相遅延部310a、310bに位相補償部320a、320b、320c、320dを用いてオフセット電流を印加する(ステップS10)。次いで、オフセット電流によってオフセット電圧が発生する(ステップS20)。次いで、入力オフセット電圧によってIDDI及びIDDQの波形のトリップポイントが電圧オフセットだけシフトされ、これにより、出力信号(同位相発振信号及び/または直交位相発振信号)のデューティが変化する(ステップS30)。次いで、出力信号のデューティが変化することによってI/Q不整合が補償される(ステップS40)。この際、I/Q不整合補償によってI/Qの位相差が90°になりうる。
【0055】
本発明は、図面に示された一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。